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2020-03-06 第201回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年三月六日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 松本 剛明君    理事 岩屋  毅君 理事 木原 誠二君    理事 鈴木 憲和君 理事 中山 泰秀君    理事 山田 賢司君 理事 大西 健介君    理事 山内 康一君 理事 竹内  譲君       小野寺五典君    尾身 朝子君       鬼木  誠君    城内  実君       黄川田仁志君    新藤 義孝君       杉田 水脈君    鈴木 貴子君       鈴木 隼人君    武井 俊輔君       中曽根康隆君    中谷 真一君       中山 展宏君    古川  康君       阿久津幸彦君    小熊 慎司君       岡田 克也君    玄葉光一郎君       森山 浩行君    岡本 三成君       穀田 恵二君    杉本 和巳君       井上 一徳君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    外務大臣        鈴木 馨祐君    外務大臣        若宮 健嗣君    法務大臣政務官      宮崎 政久君    外務大臣政務官      尾身 朝子君    外務大臣政務官      中谷 真一君    外務大臣政務官      中山 展宏君    国土交通大臣政務官    和田 政宗君    政府参考人    (出入国在留管理庁審議官)            佐藤  淳君    政府参考人    (外務省大臣官房長)   垂  秀夫君    政府参考人    (外務省大臣官房儀典長) 海部  篤君    政府参考人    (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       塚田 玉樹君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 加野 幸司君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 宇山 秀樹君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 高杉 優弘君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 赤堀  毅君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 山中  修君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 遠藤 和也君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 河津 邦彦君    政府参考人    (外務省アジア大洋局長)            滝崎 成樹君    政府参考人    (外務省北米局長)    鈴木 量博君    政府参考人    (外務省中東アフリカ局アフリカ部長)       森 美樹夫君    政府参考人    (外務省経済局長)    山上 信吾君    政府参考人    (外務省国際協力局長)  鈴木 秀生君    政府参考人    (外務省国際法局長)   岡野 正敬君    政府参考人    (外務省領事局長)    水嶋 光一君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房総括審議官)         佐原 康之君    政府参考人    (農林水産省大臣官房審議官)           道野 英司君    政府参考人    (水産庁漁政部長)    森   健君    政府参考人    (海上保安庁警備救難部長)            伊藤 裕康君    政府参考人    (防衛省大臣官房報道官) 伊藤 茂樹君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 石川  武君    外務委員会専門員     小林 扶次君     ――――――――――――― 委員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   尾身 朝子君     古川  康君   黄川田仁志君     鬼木  誠君 同日  辞任         補欠選任   鬼木  誠君     黄川田仁志君   古川  康君     尾身 朝子君     ――――――――――――― 三月五日  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 松本剛明

  3. 松本剛明

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 松本剛明

    松本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西健介君。
  5. 大西健介

    大西(健)委員 皆さん、おはようございます。大西健介でございます。  立国社の会派から、先頭で質問させていただきたいと思います。  まず、新型コロナウイルス対策に関連して質問をしていきたいというふうに思うんですけれども、残念なことですけれども、日本からの渡航者日本人に対する入国制限というのが広まってきております。  まず、外務省事務方から、現時点での最新の状況を簡潔に御説明いただきたいと思います。
  6. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  本日六日の七時時点で外務省確認している限りにおきまして、日本に対する入国制限措置、これは日本だけに対して措置を課している国はございませんけれども、コロナウイルス感染症確認された国、地域からの入国制限等を実施している国として、ミクロネシア、サモア、イスラエル、イラクなどの二十四カ国・地域がございます。  また、タイ、カザフスタン、インド・ケララ州、リベリア等、五十八カ国・地域におきましては、新型コロナウイルス感染症確認された国、地域からの渡航者等に対して、入国時あるいは入国後に医療検査措置観察措置等が実施されていると承知をしております。
  7. 大西健介

    大西(健)委員 今、局長からは、イランとかイラクとかという話がありましたけれども、インドは、三日の日に、日本人に発給した入国ビザを無効にしています。  卒業旅行シーズンですから、旅行もキャンセルになったとか、あるいは出張も禁止になっている。一旦出国すると再入国できないということで、駐在員皆さん出国禁止というような指示が出ている。春休みに一時帰国しようと思った家族も、帰るとまた再入国できないということで、それも難しいというような、広範な影響が出ているというふうに思います。  あるいは、バドミントンの日本代表は、海外の試合に出て、また一回戻ってくると入れなくなっちゃうかもしれないということで、転戦をするというようなこともニュースに流れております。  こういう状況、いろいろなところに影響が出ておりますし、また、入国制限等をする国々も拡大している状況に関して、大臣、どのように受けとめておられるか。また、入国制限解除を申し入れるというような働きかけもぜひしっかりやっていただきたいというふうに思いますけれども、この点について、大臣の御答弁をお願いいたします。
  8. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、水嶋局長の方からも答弁させていただいたように、現在、二十四カ国・地域関係当局が、我が国を含みます新型コロナウイルス感染症確認された国、地域から入国制限を行っている、また、五十八カ国・地域につきましては、入国時あるいは入国後に医療検査措置であったりとか観察措置等を実施している。  これらの国に対しましては、改めて日本国内状況であったりとか対策についてしっかりと説明しておりますし、また、必要な申入れ等々は行ってきているところであります。  さらに、渡航者皆さんに対して、こういった国で入国制限措置がとられている、若しくは入国後の行動制限がとられている、外務省として把握している情報につきましては、外務省海外安全ホームページ等で掲載をいたしまして、渡航者現地邦人に広く注意喚起をしておりますし、また、現地に行かれている方、いろいろお困りのことがあったら、大使館、総領事館等々で丁寧に相談に乗る、こういう体制をとっております。
  9. 大西健介

    大西(健)委員 今、大臣の御答弁の中では、日本状況を丁寧に説明して、入国制限解除申入れ等も行っているということですけれども、確認ですけれども、現時点で、では、日本からそういう申入れとか説明をしたことによって何か変わったということはあるんですか。
  10. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 具体的な国名に言及するのは控えたいと思いますけれども、例えば、それまで入国制限措置がとられていた国が、我々大使館の方から説明をした結果、入国後の自宅待機等観察措置ということに緩和をされた例、あるいは、もともとは自宅待機と十四日間の観察措置という制限をとっていた国に対しても、説明をした結果、そのような措置が撤回されたという例もございます。
  11. 大西健介

    大西(健)委員 そういう実際に例もあるということですので、しっかり申入れとかを行っていただきたいと思うんです。  先ほども言ったように、インドなんかは、例えば、自動車メーカー、スズキさんなんかはたくさん行っておられるということで、既に影響が出始めたと思うんですけれども、やはり気になるのはアメリカですよね。アメリカでもしそのようなことが行われれば、これは大変な影響が出るんじゃないかというふうに懸念をしております。  そういう中で、トランプ大統領は、記者団にイタリアや韓国同様、日本も非常に注視しているというふうに述べたということですけれども、先日三日の参議院の予算委員会では、大臣の方から、日本については入国制限措置をとるという動きはないという御答弁がありますが、その後もこういう報道が出ております。  その点、これは、アメリカ米側にちゃんと確認をしたのか、また、いわば大使館とかからやっているということですけれども、ハイレベルで、例えば大臣から電話をしていただくとか、やはりアメリカに関しては、これはもう本当にそんなことになったら大変なことですから、しっかりと働きかけ事前にも行っていく必要があるんじゃないかと私は思いますけれども、この点についての大臣の御答弁をお願いします。
  12. 茂木敏充

    茂木国務大臣 私自身ポンペオ長官と一月にサンフランシスコで日米外相会談を行っておりますが、その際もしっかりした説明は行ってきております。米国は、新型コロナウイルス感染症に関しまして日本に対する入国制限措置は現在とっておりませんし、現時点で、そうした動きを導入するという具体的な話というのもございません。私自身もそうでありますし、大使館ルートを通じても引き続き丁寧に働きかけを行っていきたい。  その上で、トランプ大統領発言でありますけれども、よく聞いていただきますと、こういった国に対しても制限をかけることも検討する、その上で、万全を期すため、日本のような国ですらそういうことを検討することもあるということで、まさに日本は、どちらかというと、懸念国というよりも、そこまでのことを考えることもあり得るんだという万全な措置をとる例として出されている、このように承知をいたしております。
  13. 大西健介

    大西(健)委員 アメリカ大統領選挙をやっていますから、やはり非常に国民の世論の反応というのを多分気にしているというふうに思いますので、そこは大統領の一言でということもありますので、しっかりコミュニケーションをとっていただきたいなというふうに思います。  他方、昨夜は政府から、中国韓国からの入国者に対して二週間の待機を要請することや、短期のビザの効力を停止するという方針が示されました。  中国は一定理解しているみたいですけれども、韓国からは何か反発が出ているようです。大統領府の金商祚政策室長は、韓国メディアに対して、過激な措置だ、失望していると反発していますし、また、韓国外交部は、入国制限に関連して、事前日本政府協議してきた事実はないというふうに言っていますけれども、韓国政府中国政府に、昨夜のこの政府方針発表に関して、事前協議とかはちゃんとやったんでしょうか。
  14. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、日本におけます新型コロナウイルス感染症拡大、この一、二週間がまさに山場というところでありまして、考えられるさまざまな措置をしっかりとっていきたい。水際対策についても、そのような形をとるということを昨晩決定をさせていただいたところであります。  韓国に対しましては、大邱であったりとか、また慶尚北道の一部の地域について既に入国制限をとっているところでありますけれども、御案内のとおり、全体のトレンドを見ましても、韓国での感染者、これは明らかに大きく拡大をしてきているという状況でありまして、そういった中で万全の水際措置をとるということは必要だと思っております。  決定に当たりましては、これまでもさまざまなやりとり韓国との間でしてきておりますけれども、今回は、決定したことにつきましてはしっかりと説明いたしております。
  15. 大西健介

    大西(健)委員 私も、水際対策強化するのは賛成です。ただ、遅いと思いますけれども。  ただ、今、最後のところがちょっとあやふやだったんですけれども、事前に、韓国側とは、こういうことを考えていますよ、やりますよということは事前に言ってあるということで間違いないですか。
  16. 茂木敏充

    茂木国務大臣 韓国中国ともさまざまな、新型コロナウイルス感染症拡大防止に関しましては、やりとりを行っております。  また、今回の措置決定するに当たりましては、韓国政府にもお伝えをいたしております。
  17. 大西健介

    大西(健)委員 あと、今回、新型コロナウイルス対応では、SARSの教訓から迅速かつ厳格な対応をとった台湾対応というのが国際的にも大変評価をされているということなんですけれども、皮肉なことに、台湾WHOへの参加が認められておりません。  この点、二月六日のWHO執行理事会で、ジュネーブ代表部岡庭大使が、特定の地域オブザーバーとしての参加さえ認められないことによる地理的な空白を生み出すべきではないという発言をしていただいています。これは大変立派な発言だというふうに思いますし、今後も台湾WHO総会へのオブザーバー参加を支持していくということを改めて、大臣、その決意を示していただきたいと思います。  また、台湾は、ほかの国際機関、例えば国際民間航空機関ICAOでも加入が認められていないということですけれども、他の国際機関も含めて、台湾参加というのを日本として支持していくということを、大臣から強く、この場でその決意をお示しいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  18. 茂木敏充

    茂木国務大臣 我が国は、従来より、国際保健課題への対応に当たっては地理的空白を生じさせるべきでない、そのように考えておりまして、この立場をこれまでもWHOで一貫して主張してきているわけであります。  今回の新型コロナウイルスの事態でも、これ以上の感染拡大防止する観点から、この地域の全ての国及び地域の知見を最大限活用し、この地域が一体となって、万全の対策を可及的速やかに講じる必要があると考えております。かかる観点から、引き続き、あらゆる機会我が国立場を主張していきたいと思っております。  また、WHO以外の機関につきまして、それぞれその機関の持っている性格とか、そういったものが違っております。そういった中で、我が国立場、これはしっかりと主張していきたいと思っております。
  19. 大西健介

    大西(健)委員 それぞれ機関によって、おっしゃるとおり性質が違うと思いますけれども、それでは、国際民間航空機関ICAO台湾にももちろん大きな空港があって、非常にたくさんの方が利用されているという意味では、そこだけまた空白にすべきではないというふうに思いますけれども、この国際民間航空機関についてはどうでしょうか。
  20. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 国際民間航空機関につきましても、ただいま大臣から答弁申し上げたように、安全な航空行政が遂行されるという観点から、必要に応じて関係国とも協調しながら我々としては立場を主張していきたいというふうに思っております。
  21. 茂木敏充

    茂木国務大臣 もう少し具体的に申し上げますと、はっきり申し上げますと、台湾が実質的な形でICAO参加することを望ましいと考えております。引き続き、あらゆる機会我が国立場働きかけていきたいと思います。
  22. 大西健介

    大西(健)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、習近平国家主席国賓訪日についてですけれども、私は、これは予算委員会で何度も、延期すべきじゃないかということを申し上げてきました。  この間、予算委員会、二十八日でしたかね、大臣やりとりさせていただいたときは予定どおりという話でしたし、きのう、昼にレクに来ていただいたときも現時点では予定どおりと言われていたんですけれども、夕方の官房長官記者会見で正式に延期発表になりました。  私は、延期すること自体は、ずっと言ってきたことですからそれでいいと思うんですけれども、先ほど言ったように、きのう、それと同時に、中国からの入国制限中国から入ってきた場合は二週間待機していただくというようなこととかが発表されたわけですけれども、これに対しては、逆に、習近平国家主席訪日があったから中国に対する入国制限をなかなかできなかったんじゃないか、水際対策のおくれに影響したんじゃないか、そういうような見方もあります。  その点において、私は、この習近平国家主席訪日延期という決断がちょっと遅かったんじゃないか、もっと早く決断すべきだったんじゃないかというふうに思いますが、この点についての大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  23. 茂木敏充

    茂木国務大臣 先日来の答弁でも、現時点においては予定には変更はない、ただし、中国国家主席訪日、前回の胡錦濤国家主席が二〇〇八年でありました、その前の江沢民国家主席がたしか一九九八年ということでありまして、大体十年に一遍ということでありまして、しっかり成果の上がるような訪日にしなければいけない、こういったことを申し上げて、そういった観点から日中間協議をしているということは、これまでも丁寧に御説明をしてきたところではないかなと思っております。  習近平国家主席国賓訪日については、ことしの春ということで調整を進めてきましたが、このたび、双方の都合がよい時期に行うということで、改めて調整を進めるということになりました。その具体的な時期につきましては、今後、両国間の外交ルートを通じて調整をしていきたいと思っております。  一方で、今回の水際対策措置、これは、世界的な拡大が収束する兆しが見えない、コロナウイルスに関して。このような水際対策抜本的強化に向けたさらなる施策として、感染者数の動向をしっかりと分析して、国民の健康を守ることを最優先にちゅうちょなく実施をしたものであります。  例えば、一万人当たりの感染者数がどうなっているか。これは明らかに武漢市が多い、そしてまた湖北省が多い。さらには、浙江省の中でも温州市が非常に多い。温州市の場合は非常に、温州商人と言われまして、武漢との交流等も多いということも原因だと思うんですが、そういった数字もあります。また、韓国の中でも大邱そしてまた清道郡、これが飛び抜けて大きな数字であって、それがまた近隣の地域拡大している。  こういった状況を見ながら、しっかりと、どういった水際対策が必要か、こういう観点で検討して、適時適切な対応を行ってきていると考えております。
  24. 大西健介

    大西(健)委員 何度も言いますけれども、水際対策強化は結構なんですけれども、我々はもっと早くやるべきだとずっと言ってきて、それがおくれたのが習近平国家主席訪日があったからじゃないかというような見方があるということは再度申し上げておきたいというふうに思います。  ダイヤモンドプリンセス号関係ですけれども、公海上では国際法日本感染拡大措置を講じる権限や義務がなかったということに関して、船籍のある旗国運営会社の国、今回でいうとイギリス船籍運営会社アメリカ沿岸国日本との間の管轄権について国際的なルールがなかったということ、このことに関して国際的なルールづくりが必要ではないかという話が出ていますが、今回、このダイヤモンドプリンセス号への対応についてはいろいろ国際社会からも厳しい声もある中で、我が国がこのことを一つの教訓として、こうしたクルーズ船の中の管轄権について国際的なルールづくりをやろうじゃないかと、サミット等さまざまな場で大臣リーダーシップをとって発言をしていく、そういうおつもりがあるのかどうか、この点について確認します。
  25. 茂木敏充

    茂木国務大臣 国際法上、船舶におけます感染症拡大防止のための措置について、旗国、今回の場合はイギリス、そして運航者の所在国、今回の場合は米国、そして寄港国、今回の場合は日本に当たるわけでありますけれども、こういった関係国のいずれかが一義的な義務を負うというルールは確立をされておりません。  今回の事案に関して、沿岸国である我が国、この法律は及びます。ダイヤモンドプリンセスに関して、内海に入ってきている、また横浜港に入港するということでありますから法律は及びますが、だからといって、我が国のみが対処する義務、これを負っているわけではありません。むしろ、沿岸国たる我が国感染拡大防止観点からみずから率先して対応に当たった、これが実態であるわけでありますが、今回のような事例において、旗国、そして運航者の所在国、さらには寄港国、そして乗客乗員国籍国等が協力してどうやってあの感染拡大を防いでいくかということは重要な検討課題だと思っておりまして、国際的な協力体制の構築を含めていかなる対応が望ましいか、今後、関係国ともよく相談をしたい、また、そういった提起もしていきたいと思っています。
  26. 大西健介

    大西(健)委員 ぜひ大臣リーダーシップに期待したいと思います。  先ほど、習近平国家主席訪日延期になったと。それから、日本国内でもさまざまな大規模イベント等中止延期になっていますけれども、そういう中で、国連犯罪防止刑事司法会議京都コングレスという五年に一度の会議、大規模会議ということですけれども、これが四月二十日から二十七日、京都予定をされているということなんですけれども、これに関する三月一日の公開シンポジウム、これは中止になったというふうに聞いていますけれども、この会議予定どおりやるのかやらないのか、もう四月二十日ですからかなり迫っていますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
  27. 中山展宏

    中山大臣政務官 お答え申し上げます。  京都コングレス事務局である国連薬物犯罪事務所、UNODCとの間では、日ごろから緊密にやりとりを行っているところであります。  理事御存じのとおり、京都コングレス主催者国連であり、開催については最終的に国連が判断することとなります。我が国としては、国連による適切な判断に資するよう、新型コロナウイルスに関する我が国感染状況拡大感染防止のための取組について情報共有しているところであります。その上で、現在、国連において検討が進められていると承知しており、引き続き、その適切な判断に資するよう情報提供を行うとともに、判断内容につき速やかに共有されるよう連携してまいりたいと思います。
  28. 大西健介

    大西(健)委員 五十年ぶりの日本での開催ということですから、できるならやりたいという気持ちは理解するんですけれども、前回のドーハでの会議は約百五十カ国から約四千人が参加している。まあ同規模が予想されることと思いますけれども、四千人、百五十カ国から来るというのは事実上なかなか現状では難しいんじゃないかと思いますし、四月二十日ですから、事実上の決断というか決定の期限が迫っていると思いますけれども、日本国内で大規模なイベントが中止されているのに、これは四千人、百五十カ国ってできるんですかね。もう一度。
  29. 中山展宏

    中山大臣政務官 お答え申し上げます。  昨日、四月三日、四日に予定しておりました第六回の国際女性会議WAW!、これは東京で開催される予定でありましたが、それが延期となりました。約一カ月前での御判断だったと思います。  いずれにしても、我が国としては、国連による適切な判断に資するように、新型コロナウイルスにかかわる状況を、緊密に連携をとりながら情報を提供しているところであります。
  30. 大西健介

    大西(健)委員 次に、今のコングレスというのは犯罪防止刑事司法分野の国連最大の国際会議ということですけれども、この分野にかかわる大事件として、保釈中に日本からレバノンに逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏の事件というのがあると思いますけれども、まず外務省確認したいんですが、日本アメリカの間には犯罪人引渡条約はありますけれども、日本で逮捕状の出ている米国人の引渡しをアメリカに求めることは一般論として可能かどうか、イエスかノーかだけでお答えください。
  31. 有馬裕

    有馬政府参考人 お答え申し上げます。  特定の被疑者や事件を前提としてではなく、一般論として申し上げれば、我が国として、日米犯罪人引渡条約に基づき、米国に対して同条約が定める者の引渡しの要請を行うことができます。
  32. 大西健介

    大西(健)委員 それでは、法務省にお聞きしたいと思いますけれども、今できるということですけれども、犯人隠避で逮捕状が出ているゴーン被告の逃亡に協力した三人の米国人について、犯罪人引渡条約に基づく身柄引渡しを要請するおつもりはあるでしょうか。いかがでしょうか。
  33. 宮崎政久

    ○宮崎大臣政務官 お尋ねの件は、個別事件における具体的な捜査、公判にかかわる事項でございますので、お答えはちょっと差し控えをさせていただきたいと考えておりますが、いずれにしましても、引き続き、外交当局と情報を共有いたしまして、関係国関係機関などとしっかりと連携をいたしまして、できる限りの措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
  34. 大西健介

    大西(健)委員 もう外務省にはあえて聞きませんけれども、同様に今度、日本とEUの間では刑事共助協定というのがあります。刑事共助の対象になる人物が例えばEUの領域内に入れば、これは我が国として刑事共助の申入れを行うことはできるというふうに思いますけれども、もう一度、では法務大臣政務官にお伺いしますけれども、ゴーン被告が今度EUの領内に入ったら、EUとの間のこの刑事共助の申入れというのを行うんでしょうか。
  35. 宮崎政久

    ○宮崎大臣政務官 今先生から御指摘のありました刑事共助協定、これは、供述などの証拠の取得や送付といった共助を対象とするものでございます。  また、御質問の中ではEUの領域内に入った場合という前提でお聞きになりましたが、刑事共助協定に基づく請求というのは、対象者がその領域内に所在しているということ自体は要件とはなってはいないというものでございます。  個別事件における具体的な捜査、公判にかかわる事項でありますから、お答えは差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、御質問の趣旨もしっかり踏まえまして、外交当局との情報共有はしっかりやって、そしてまた、この分野に関しても、関係国関係機関などとしっかり連携をいたしまして、できる限りの措置はしっかり講じてまいりたいと考えているところでございます。
  36. 大西健介

    大西(健)委員 義家副大臣が二日にレバノンに行ってアウン大統領、ナジェム司法相と会談をしたということで、日本で裁判を受けるのが当然という考えを再三伝え、理解を得られたというふうに述べられていますけれども、レバノンとの間は犯罪人引渡条約はありません。ありませんけれども、米国の間にはあるんだから、これは、やれるんだったら当然やるべきなんじゃないですか。あるいは、ゴーン被告に対しても、今お話があったように、日本の捜査当局は国際刑事警察機構を通じて国際手配しているんですから、EUに対して刑事共助を申入れするのは当然じゃないかと私は思います。  副大臣も、レバノンに行って、やったやったと言って成果を自慢げにお話しされているんですから、法務省としても、これはやれるんですから。やれないんだったらしようがないけれども、レバノンとの間には犯罪人引渡条約はありませんけれども、アメリカの間にはあるし、できる。EUとも刑事共助協定があるわけですから、これはやらないという選択肢はないと思いますけれども、政治家としてもう一度御答弁していただきたいと思います。
  37. 宮崎政久

    ○宮崎大臣政務官 我が国としましては、ゴーン被告人が日本の裁判所において裁判を受けることは当然のことだと考えているということについては、義家副大臣がレバノンを訪問させていただいた際にもしっかりとお伝えをして、その必要な協力を求めてきたところでございます。  個別の事件における具体的な捜査、公判に係る事項でありますので、お答えは差し控えざるを得ないわけでありますけれども、御質問の趣旨も踏まえまして、できる限りの措置をしっかりと講じてまいりたいということははっきりと申し上げたいと思います。
  38. 大西健介

    大西(健)委員 個別の問題については答えられないんでしょうけれども、今、政務官の御答弁の中に私は決意がかいま見えたんじゃないかと思いますので、ぜひとも法務省としてもしっかり対応していただきたいなというふうに思っております。  それでは次の質問ですけれども、五月の九日にモスクワで対ドイツ戦勝七十五年式典というのが行われるそうですけれども、安倍総理は現時点でこれに出席をする方向で検討しているということで聞いておりますけれども、それで間違いないのかということと、それから、これ、五年前には七十周年の式典というのがあったんですけれども、そのときには出席を見送っています。もし今回出席するということであれば、五年前と今回は何が違うのか、この点について大臣から御答弁いただきたいと思います。
  39. 茂木敏充

    茂木国務大臣 領土問題を解決する上で首脳同士の交渉というのは不可欠でありまして、首脳会談を重ねていくこと、ロシアとの関係でも極めて重要だと思っております。  御指摘の五月九日の式典への総理の出席につきましては、さまざまな日程等の関係であったりとか、十分な時間をとって日ロ首脳会談が実施できるかどうか、そういった観点も含めて、引き続き現在検討中であります。  その上で、五年前と比べてと。明らかに、今、日ロの交渉、これは具体的なレベルでさまざまなやりとりが行われている。同時に、共同経済活動であったりとか、新たなステージに入っているのも事実であると思っております。また、五年前のときの、先ほど申し上げたようなさまざまな日程の関係、これがどうであったか、こういったことも含めて、対応は必ずしも、五年前こうであったから今回こうなるということではないと思っております。
  40. 大西健介

    大西(健)委員 日ロの交渉があるから五年前と違うんだということなんでしょうけれども、もう一つ、これはちょっと事務方確認したいんですけれども、五年前の七十年式典のときには、当時のオバマ米大統領、キャメロン英首相、オランド仏大統領、メルケル・ドイツ首相らは出席を見送ったというふうに聞いておりますけれども、今回の七十五年式典、例えば米、英、仏、独など、重立った国の対応はどうなっているんでしょうか。
  41. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答えを申し上げます。  これまでの公開情報によれば、現時点で、フランスのマクロン大統領中国習近平国家主席インドのモディ首相等が出席予定でございまして、一方で、米国、英国、ドイツなどからの出席については決まっていないと承知しております。
  42. 大西健介

    大西(健)委員 大臣に、今のことに関して、他の主要な国の出欠というのが、我が国安倍総理の参加に当たっての何か影響を与えるところがあるのかどうなのかということと、あわせて、これはロシアにとって、この五月九日という日と、日本が戦艦ミズーリ号で降伏文書に署名した日、九月二日というのは、ある意味対をなしているような日であるというふうに思います。  五月九日の式典に参加するということは、北方領土が、第二次大戦の結果、正式にロシアのものになったことを日本はまず認めよと、こういうことを最近ロシアは言っているということが言われていますけれども、そういうことに影響しないのか。五月九日に出ることが、五月九日と九月二日というのは対をなしているということを考えると、果たしていいのかどうなのか。  この各国の出席動向が我が国参加の是非に影響を与えるのかということと、参加するということになった場合に、そういうロシア側の主張に影響を与えるというようなことがないのかどうなのか。この点についてお聞きします。
  43. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、国際的な式典、さらには国際的な会議、これの出欠に当たっては、当然、ほかの国のどういうレベルの人間が出席をするのか、こういったことは一つの材料にはなってくる、そのように考えております。  それから、五月九日の式典、これは対ドイツ戦勝七十五周年記念式典だ、このように理解をいたしております。
  44. 大西健介

    大西(健)委員 まさに五月九日は対ドイツ戦の戦勝記念式典ですけれども、ロシアでは、五月九日と九月二日、つまり、日本が降伏文書に署名した日というのは同じような感じで扱われている。  ですから、そのことが、ロシア側の、北方領土は第二次大戦の結果、正式にロシアのものになった、つまり、第二次大戦によって、対ドイツ、対日本、そこで国境が決まったんだというような向こうの主張を補強するようなことにならないかどうかということを懸念しているんですが、この点、大臣の明確な御答弁をいただきたいと思います。
  45. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そのような御懸念がないように、交渉はしっかり進めていきたいと思います。
  46. 大西健介

    大西(健)委員 最後に、ちょっと時間も押してきましたので、資料を一枚お配りをしております。国連本部で原爆展というのをやっているということなんですけれども、これ、五年に一度ということですけれども、今回、この中に東電福島第一原発事故の概要を伝えるパネルが含まれていることについて、外務省が問題視をして、展示内容の一部を変更しないと後援をしないよというようなことを言っているということが報道されていますが、これが事実かどうか。  また、二〇一五年の原爆展にも原発をテーマにした展示はあったそうですけれども、これも、五年前はあってもちゃんと後援しているのに、今回はこれがあったら後援しないよということだと、五年前と違うということなんですけれども、この辺はいかがでしょうか。大臣から御答弁いただきたいと思います。
  47. 茂木敏充

    茂木国務大臣 先般、外務省に対しまして、四月末から行われますNPT運用検討会議の際に国連本部で開催予定の原爆展につきまして、後援名義の使用許可申請がありました。現在、外務省にてしかるべく審査中でありまして、申請団体との間のやりとりについてコメントすることは差し控えたいと思います。  その上で、一般論として申し上げますと、外務省として、何らかの、こういったものを後援する、行事であったり展示であったり、そこにおいて、やはり、正確なものであるかどうか、こういったことは極めて重要でありまして、ある意味、外務省としてこれを応援するとか後援するのに当たって、もし事実関係等々に誤認がありましたら、そういったことについてはお話をするということは一般論としてあると思います。
  48. 大西健介

    大西(健)委員 今、やりとりしている最中だからなかなか言えないということですけれども。  私は、後援する以上、内容についても意見を言って、やりとりすることは当然だと思いますけれども、ただ、被団協の方は、核の被害の恐ろしさや非人間性を伝える一環として原発事故のパネルを展示したい、そういう趣旨でやっているということですし、さっき言ったように、五年前は、あってもそれで後援しているんですよ。  だから、逆に言うと、外務省は何を問題にしているんですか。別にやりとりの詳細について言う必要はありませんけれども、原発事故のパネルがあることは何が問題と外務省は考えているのか、この点について教えていただきたいと思います。
  49. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そのようなことは申し上げておりません。まだ不許可と決めたわけでありませんし、今、審査中であります。
  50. 大西健介

    大西(健)委員 五年前は本当に何も問題なく後援しているわけですから、ぜひ、変なことにならないように、引き続き協議しているということですから、結果は我々も注視していきたいというふうに思っています。  もう本当、ほとんど時間がないので、最後、事務方にちょっと答えていただきたいんですけれども、私もちょっと外務省にお世話になったことがあって、そのころよく便宜供与電というのをたくさん書きました。いろいろな便宜供与がありますし、例えばよく、ホテルの部屋のことでいえば、いつもあるのは、喫煙、禁煙、最近は喫煙に対して厳しいですけれども、そういう指示とか便宜供与電に書きます。  そういう中で、今回、予算委員会で問題になった大坪審議官と和泉総理補佐官の例がありましたけれども、それ以外に過去に、コネクティングルームという、そういう便宜供与の指示があった例があるのかどうなのか、ちょっと探してくださいということをお願いしておきましたけれども、こういう例ではそういう指示があったことがあったというのが見つかったかどうか。  それからもう一つは、今回、和泉補佐官は健康上の不安があるため、主治医である大坪審議官を一晩じゅう同室にする必要があるということを理由にされていますけれども、例えば総理外遊とかだと随行医という、お医者さんがついていっていると思うんですけれども、この随行医の方は、コネクティングルームになっているのか、それとも、例えば同じフロアになっているとか隣の部屋にしているとか、どういう、過去なっていたのかというようなこともちょっと確認してくださいとお願いしておきましたけれども、それについて事務方から御答弁いただきたいと思います。
  51. 海部篤

    海部政府参考人 お答え申し上げます。  出張同行者の部屋割りについて、出張先の宿舎の施設がさまざまでございますので、その都度、適切な形で確保しております。したがいまして、御指摘のございました随行医の部屋につきましても、御指摘があったように、さまざま、いろいろな事例があるというふうに御理解をいただければと思います。  それから、指示があったかどうかという点でございますけれども、先般、国会の場で私どもの方から明らかにした事例以外の点について、引き続きまだ調査中でございまして、この場でちょっと御回答を申し上げることは差し控えさせていただければと思います。
  52. 大西健介

    大西(健)委員 まあ、きょうの時点では見つからないということなので、いかに異例かということだというふうに思いますけれども、もし見つかったんだったら、こういうケースではコネクティングルームになっていますよということを教えていただければというふうに思います。  時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  53. 松本剛明

    松本委員長 次に、山内康一君。
  54. 山内康一

    ○山内委員 立憲民主党の山内康一です。  きょうは、ついさっき大西委員も質問されましたが、国連本部の原爆展について、追加で質問させていただきたいと思います。  皆さん、お手元の資料にあるとおりなんですけれども、五年に一度行われております核不拡散条約再検討会議に合わせて、日本原水爆被害者団体協議会がニューヨークの国連本部ビルで原爆展の開催を予定しております、ことしの春ですね。  これは、二〇〇五年から五年に一度のペースでやってきた写真展だそうです。これまで三回とも外務省が後援をしている。なぜ今回後援できなかったのかと今既に質問されまして、答えられないということでありました。  理由、まだ検討中で、答えられないということですけれども、もうこれは大臣の御判断でできる程度の判断だと私は思うんですよね。できない理由がわからない。  大臣、恐らく事務方から説明を受けていらっしゃると思います。もうここは事務方が何と言おうと、常識的に考えて、後援して当然だと思います。大臣の御判断で、後援していいよとおっしゃることはできないんでしょうか。
  55. 茂木敏充

    茂木国務大臣 後援できないとは申し上げておりません。今審査中だ、このように明確に先ほども答弁をさせていただいたと思います。  審査に当たっては、当然、事実関係に基づいた展示物であるというのは極めて重要だと私は考えております。
  56. 山内康一

    ○山内委員 正直言って、パネルの審査にそんなに時間がかかるとはとても思えないんですよね。恐らく、もうやればと大臣の御判断でできるんだと思います。  そういった意味では、もし、今検討中ということで、それ以上はお答えいただけないのであれば、ぜひ検討結果と、そしてそれが、もし、認められるのであれば特に理由は要りませんが、認められないのであれば、きちんと理由を説明していただきたいと思います。  もし不許可の場合にはその理由を、ぜひ、例えば外務委員会理事会で御報告いただきたいと思います。  その点について、委員長にもお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  57. 松本剛明

    松本委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  58. 山内康一

    ○山内委員 ここの報道内容が事実であるとするならば、展示できない理由は、福島の原発事故の話があって、それが恐らく日本政府にとって都合が悪いということなんじゃないかと思います。  私は、日本にとって多少不利になるかもしれない、いや、実際には不利にはならないと思うんですけれども、そういうありのままの姿をきちんと世界に向けて広報していくことが、実は本当は、いわゆるパブリックディプロマシー、あるいは文化広報外交と言われるもので大事なんじゃないかなと思うんですね。  一方的に日本側の主張を喧伝するだけでは単なるプロパガンダにしかなりませんし、そういうプロパガンダとレッテルを張られた瞬間、効果がなくなってしまいます。  パブリックディプロマシーの世界でとても有名な、アメリカの文化外交の成功例と言われているものがあるそうです。それも同じく写真展です。  一九五五年に、アメリカの広報文化交流庁、USIAという今はもうなくなった役所なんですけれども、そこが、アメリカのありのままの写真、貧困とか人種差別も含めた、そういった写真展を世界じゅうで開いたんですね。日本でも開かれました。  この写真展が非常に評判がよかった。なぜかというと、アメリカは、アメリカ政府機関が主催する写真展であるにもかかわらず、アメリカの貧困や差別をありのままに紹介している、そこに器の大きさを示すことができて、かえって世界でアメリカのイメージアップに貢献したということで、パブリックディプロマシーの世界では、とてもうまくいった例とされております。  日本の広報文化外交に必要なのはそういう点だと思うんですね。ですから、少々、原爆展の中で、日本の原子力政策について都合の悪い写真、それも、たった二枚の写真のパネルだと報道されています。その程度のことであれば、きちんと示した方が、むしろ、日本は懐が深い、器が大きいというふうに思われて、日本のプレゼンスというか、日本の対外イメージのアップにつながると思うんですね。  そういう点について、大臣、どうお感じでしょうか。
  59. 茂木敏充

    茂木国務大臣 正しい事実を伝えるということについて何ら異存はありません。ただ、間違ったことを伝えるということについては、私は、もし間違ったことでも伝えろというのであれば、山内委員と意見を異にするということを申し上げたいと思います。
  60. 山内康一

    ○山内委員 間違った意見を伝えろなどと一言も言っていませんね。私は、たとえ不都合な真実であってもきちんと示すことが日本の誠意というか、イメージアップにつながるということを申し上げたいだけで。  もし、では、この写真展のパネルを理由にして後援を却下されるのであれば、どこが間違いだったのか、どこが誤りだったか、きちんとそれを説明する義務外務省にあると思います。ぜひ、もし検討が終わった上で不許可の場合には、外務省として責任ある説明を求めたいと思います。それについて外務省のコメントをお願いします。
  61. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そんなことは申し上げておりません。私は、事実として正しいもの、不都合であっても、それは伝えるべきものは伝える、こういう考えであります。それは先ほどから申し上げております。  ただ、事実と違うことについては、やはり、これを後援するというのは、外務省としてはできないということを申し上げているだけです。
  62. 山内康一

    ○山内委員 今、大臣答弁を聞いて、私と認識は別に変わっていないと思います。私も、間違った、事実と反することを伝えろとは一切言っていません。不都合であっても事実であれば伝えてほしいということしか言っていません。ですから、恐らく認識はそんなにギャップはないと思いますので、結果はきちんと説明していただきたいと思います。  もう既に新聞記事になっている時点で、外務省にとっては、外務省の国内のイメージが低下していると思います。こういうことは望ましくないと思います。それは外務省のためにもならないと思いますので、ぜひ、その点、我々も注視してまいりますので、大臣の賢明な御判断をお願いするとともに、もちろん、間違った、誤った事実であれば、私は後援できなくても仕方ないとそれは思います。あるいは、この二枚を外せば、もし事実に誤りがあればですよ、この二枚を外せば後援できるというような判断もあり得ると思います。そういった点で賢明な御判断を待つのと、結果についてのその後の説明責任をお願いして、とりあえずこの質問については終わりたいと思います。  次に、核兵器禁止条約の加入の検討についてということをお伺いしたいと思います。  二〇一七年に国会で議論が始まりました核兵器禁止条約、これはもともと、やはりNPT、核不拡散条約だけではなかなか前に進まない、核軍縮が進まない、そういう考えの国や市民団体が中心になって議論がなされてきました。そして、この核兵器禁止条約は、五十カ国が批准したらその時点で成立すると言われております。今三十四カ国まで来ているそうですから、ひょっとすると、ことし中にもこの条約は発効するかもしれません。  しかし、日本政府は、核兵器禁止条約加入について、加入できないというふうにおっしゃっていますし、その理由、いろいろ説明されておりますが、核兵器禁止条約に日本が入れない理由について、もう一度、確認のために質問させていただきます。
  63. 茂木敏充

    茂木国務大臣 唯一の戦争被爆国として核兵器の非人道性を知る我が国は、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードしていく使命を有していると考えております。これは我が国の確固たる方針であります。  その上で、核兵器禁止条約が目指す核廃絶というゴール、これは我が国も共有をしております。一方で、同条約、現状では、委員も御案内のとおり、核兵器国のみならず、核の脅威にさらされている非核兵器国からも十分な支持が得られていない、こういう状況にあります。  我が国を取り巻きます安全保障環境が一層厳しさを増す中で、抑止力の維持強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に、現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していく、これが適切だと我が国として考えております。  このような立場から、核兵器禁止条約については、我が国のアプローチと異なるということで、署名は行わない考えであります。
  64. 山内康一

    ○山内委員 今、幾つか、入れない理由をおっしゃいました。その一つが、非核保有国の中にも支持が広がっていないという点が挙げられておりました。  では、今度は逆に聞きますが、もし非核保有国の支持が広がっていったら、日本も入れる可能性が出てくるという理解でよろしいんでしょうか。
  65. 茂木敏充

    茂木国務大臣 仮定の質問であります。また、私が述べた幾つかの要因の中の、今、山内委員が御指摘されたのは、一つの要因だと思っております。
  66. 山内康一

    ○山内委員 仮定の質問ではありますが、おっしゃっていることの裏を返しただけなので、真実ではないかと思います。  そして、次の質問に行きますが、もう一つ、今おっしゃった理由というのは、基本的には、法的な理由で入れないということでしょうか。それとも政治的判断あるいは外交的判断で入れないということでしょうか。
  67. 茂木敏充

    茂木国務大臣 法的な理由で入れないということではありません。先ほども申し上げたように、我が国方針です。
  68. 山内康一

    ○山内委員 ありがとうございます。  法的な理由というか法的な障害はないということで確認させていただきますが、そういうことでよろしいでしょうか。
  69. 加野幸司

    加野政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど大臣から御答弁を申し上げたとおりでございまして、私どもとしては、方針として、署名することは考えていないということでございます。何らかの国内法のせいで入らないということではございません。
  70. 山内康一

    ○山内委員 では、法的な問題がないのであれば、政治的状況が変われば参加できるということが確認できましたので、次の質問に行きたいと思います。次というか関連の質問に行きたいと思います。  今、ヨーロッパのNATOの加盟国では、あるいはオーストラリアでは、アメリカの同盟国であっても核兵器禁止条約に加入できるのではないかという議論が行われております。  例えばオーストラリアの労働党、野党ですけれども、党の決議の中で、党の方針として、核兵器禁止条約に入ろうということを言っています。アメリカの同盟国であり、アメリカとの同盟関係は大事だけれども、核禁止条約に入ることは問題ないし、そうすべきであり、我々が政権をとったら核兵器禁止条約に入りますということをオーストラリアの労働党は言っております。  オーストラリアの労働党は何度も政権についたことがある政党ですから、ひょっとすると次の選挙が終わったら労働党政権になって、実際にオーストラリアがその核禁止条約に入る可能性も出てくるわけですね。  なぜオーストラリアを特に注視しているかというと、茂木大臣参加された軍縮・不拡散イニシアチブ外相会合、これを日本と一緒に立ち上げたのがオーストラリアです。松本委員長外務大臣で出られていたかと思います、ホームページを見ていて気づいたんですけれども。  この十年間、ずっと日本外務省が大事に進めてきた軍縮・不拡散イニシアチブ、これは、日本と、本当にオーストラリア二カ国でずっとリーダーシップをとってきた会合なんですね。これがひょっとすると、労働党政権になったオーストラリアのもとでは、あっちは核兵器禁止条約に入る、こっちは入らない、そういう状況すら起こり得るわけです。  そういった意味では、政治状況が変わればこの核兵器禁止条約に加入できる可能性もあると思うんですね。そのためには国内でも議論を始める必要があるのではないかと思っております。そのために、できれば議論してほしい、外務省内でも議論してほしいと思っているんですけれども、そういった状況の変化があった場合、日本政府対応を変える可能性はあるんでしょうか。
  71. 加野幸司

    加野政府参考人 お答えを申し上げます。  国内あるいは国際の状況の変化に応じて我が国の核兵器禁止条約に対する考え方がどう影響を受けるのかということでございますけれども、私どもとしては、その時々の状況を踏まえながら、一般論として外交政策を取り進めているということでございます。  他方で、現在の状況について申し上げますと、先ほど来大臣から御説明を申し上げたとおりでございますけれども、我が国としては、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードしていくという使命を持っております一方、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しております中、抑止力の維持強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に、現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求してきているということでございます。
  72. 山内康一

    ○山内委員 今の状況では、日本が核軍縮の議論をリードしているとはとても思えないと思うんですが、せめてついていく必要はあると思います。  この核兵器禁止条約に関しては、発効した後に締結国会合というのが開かれます。この締結国会合には批准していない国も参加できますので、日本オブザーバー参加する権利が発生します。  この条約が発効した後は、恐らく日本政府にも招待状が届きますので、オブザーバー参加できるんですけれども、する権利があるんですけれども、その際のオブザーバー参加、せめてオブザーバー参加ぐらい必要だと思います。なぜなら、日本は、ずっと言ってきたのは、核保有国と非核保有国のかけ橋になって議論をリードすると言ってきたわけですから、せめてオブザーバー参加ぐらいは当然考えてしかるべきだと思います。それについて、外務省の見解をお尋ねしたいと思います。
  73. 加野幸司

    加野政府参考人 お答えを申し上げます。  核兵器禁止条約につきましては、署名国による五十番目の批准書等の寄託後九十日間で発効するということになってございますけれども、ただ、現時点で、まだ発効の具体的な見通しは立っていないということでございます。  この条約におきましては、発効後一年以内に第一回の締約国会議を、その後は隔年で締約国会議国連事務総長が開催するということにされているわけでございますけれども、締約国会議のあり方あるいは内容等について予断できる状況にはございませんので、我が国参加いかんといった具体的なことについて申し上げることについては差し控えさせていただきたいと存じます。
  74. 山内康一

    ○山内委員 国連主催の締約国会合、オブザーバーぐらい当然出ていいと思いますし、それは、もし事務方が嫌と言っても、大臣のお力でぜひ参加していただきたいと思います。  本当に、対人地雷禁止条約のときは、当時の小渕外務大臣外務省内の反対を押し切って、思い切って加入できたということがありました。あのときは政府内も反対していましたし、アメリカが対人地雷を持っていて、日本は持っていないとなると、共同行動のときどうなるんだみたいないろいろな議論があったと思いますが、アメリカの対人地雷は日本の自衛隊は輸送しませんみたいなことをちゃんと詰めて、アメリカの理解も得て、対人地雷禁止条約、アメリカ参加しませんでしたが、日本参加できました。あのときは政治的なリーダーシップがきっちり動いて実現したことだと思います。  ぜひ、日本外務大臣として、小渕外務大臣のようなリーダーシップ茂木大臣にも期待して、次の質問に移りたいと思います。  次も、絡めて核軍縮賢人会議についてお伺いしたいと思います。  この核軍縮賢人会議、岸田外務大臣時代に非常に熱心にやられていたと思います。そして、その提言が出ました。それを受けて、外務省として、あるいは、せっかくなので外務大臣の御所見を伺いたいと思います。この提言に関して、よろしくお願いします。
  75. 茂木敏充

    茂木国務大臣 核軍縮の実質的な進展のための賢人会議、ここにおきましては、これまで開催されました五回の会合を通じまして、核軍縮を実質的に進める上で各国が取り組むべき課題や議論のあり方について、一定の方向性を示す議論がなされたところであります。  実は、きょう、我が国は、賢人会議におけます議論の成果のフォローアップ及びさらなる発展を目的として、核軍縮の実質的な進展のための一・五トラック会合、これを東京でちょうど開催をしているところであります。この会合は、国際社会として取り組むべき核軍縮措置等について議論を行いまして、各国の政府関係者及び民間有識者と共通の基盤の形成に貢献することを目的とするものであります。賢人会議におけます議論の成果、これを活用するとともに、本件会合を通じまして、本年のNPT運用検討会議に向けた機運の醸成であったりとか、各国の共通基盤の形成にも貢献をしていきたい。  先ほどオーストラリアのお話をされておりましたけれども、十一月にオーストラリアのペイン外相とお会いしたときも、こういった分野でも、オーストラリアともしっかり連携していこうというお話もさせていただいております。
  76. 山内康一

    ○山内委員 賢人会議の提言、受け取るときに副大臣が受け取られていまして、ぜひ、こういう、日本が最も重視する政策の一つが核軍縮だと思います。外務大臣として、ぜひリーダーシップを発揮していただきたいと思いますし、原爆展みたいなものは、はっきり言って小さな問題だと思います。こういったことであらぬ批判を招くのは本当に損だと思いますので、茂木大臣に期待して、次の質問に移りたいと思います。  実は、きのう、私、比較的質問の事前通告を早くする方なので、中国韓国の、コロナ関係で二週間の待機、こういった報道を知らなかったので事前通告していなかったんですけれども、ちょうど在外公館のパンデミック対策、あるいは危機管理ということで領事局長が来ておりますので、質問通告していないものも含めて、ちょっと質問させていただきたいと思います。  一つは、報道を、ざっと新聞をさっき読んだだけなんですけれども、中国韓国から入国した人を二週間待機させると。この待機させるということに関しては、もちろん厚労省とか別の省庁の所管になるとは思うんですが、在外公館で、恐らく問合せがいっぱい、その国の外国の方、日本に行きたい外国の人、あるいは在留邦人の人から問合せがあると思うんですね。これは、どういうふうに、在外公館において告知したり、情報提供したり、あるいは、日本に行ったら二週間どこかに集められるんですよという説明をしていると思うんですけれども、どういう体制で行われているのか、お尋ねしたいと思います。
  77. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  昨日総理から発表いたしました措置、けさ閣議決定を行った措置につきましては、その内容についてしっかりと在外公館に指示をし、在外公館のホームページ等を通じて発信をしていきたいと思いますし、当然のことながら、外務省におきましても、ホームページ等でしっかりと発信をしていきたいというふうに思っております。
  78. 山内康一

    ○山内委員 多分、誰でも思う最初の素朴な疑問は、二週間どこに集められるんだろう、どこに滞在するんだろう。そういうことは、もう既に外務省には連絡が入っているんでしょうか、国内の担当の官庁から。
  79. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 今般決定いたしました措置は、外務省だけが行う措置ではございません。御案内のとおり、各省が実施する措置もございますので、その辺の詳細も含めて、関係省庁としっかりと連携をとりながら、誤解のないような正しい情報発信をしていきたいというふうに思っております。
  80. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今の十四日間の日本におけます停留、それから公共交通機関の使用、これに関しましては、これをやめてほしい、こういう勧告を行うものでありまして、完全に禁止をするというものではありません。その上で、場所につきましては、検疫官が指定をする場所という形になっております。
  81. 山内康一

    ○山内委員 通告していなかったので、余り細かいことを聞いてもわからないと思いますので、通告していた内容に戻りたいと思います。  こういったパンデミック対策ということに関しては、恐らく外務省あるいは在外公館でも以前からそれなりに準備をされて、いざというときの緊急対応プランとか組まれていたと思うんですけれども、そういった状況について、わかる範囲でお答えいただければと思います。
  82. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  外務省といたしましては、これまでさまざまな感染症が世界的に流行してきたということを踏まえまして、在留邦人の安全を確保するために対応してきた経験を持ってございます。SARS、MERS、鳥インフルエンザあるいはエボラ出血熱といった感染症対応の経験を踏まえて、邦人の安全を保護する観点から、感染症危険情報を現在のような形に整備をして、同情報の適切な発信あるいは領事メール等を通じた在留邦人及び渡航者に対する適時適切な情報共有、注意喚起を行ってきてございます。また、必要な支援も個別に行ってきているところでございます。  こういう経験は、外務本省、在外公館において共有され、蓄積をしてきてございます。  今回の新型コロナウイルス感染症の発生に際しましても、過去のこのような経験を生かしながら、省を挙げて、茂木大臣の指示のもと、対応してきてございます。  例えば、今回は、特に中国につきましては、省、市あるいは郡ごとにさまざまな移動制限などが課されてございます。それにつきましては、大使館あるいは総領事館が、それぞれの管轄の地域の当局等から情報を得て、それをホームページ等で適時適切に在留邦人あるいは渡航者の方に情報提供してきているということでございます。  今後とも、今回の経験も踏まえて、しっかりと省内で活用してまいりたいと思っております。
  83. 山内康一

    ○山内委員 大使館には医務官という方がいらっしゃると思いますが、多分中国全体でもそんなにはたくさんいないと思います。今回の対応でいうと、例えば近隣国とか日本から応援が行ったとか、どういう形でこういう緊急事態に外務省として備えていらっしゃるんでしょうか。
  84. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  在中国の公館には医務官もおります。今回、コロナウイルス感染症対応につきましては、先ほど申し上げましたように、本省においても、大臣の指示のもと全省的に対応してございますし、中国大使館、これは横井大使のもとで対策本部が対応に当たりました。武漢には北京から大使館員十名が行っております。その中には医務官も入って、現地で不安な在留邦人等への対応にも当たった次第でございます。  加えまして、本省職員等から合計十二人が順次チャーター機等で武漢に入って、大使館職員と合流したり、交代をしながら、今回のチャーター機の運航等に従事をしてまいったという次第でございます。  以上です。
  85. 山内康一

    ○山内委員 あと、ちょっと、今、新聞記事を見ながら思ったんですけれども、通告していないんですけれども。  例えば中韓の二カ国から人が入国しても、二週間どこかに待機させられるということになると、中国外務省とか韓国外務省の人が打合せにこっちに来るというのは一切、しばらくできなくなるんですか。あるいは、日本から行っても戻れなくなってしまうから、当面の間は中韓との交渉というのは、帰ってくるとき、日本外務省が送っても帰れなくなってしまいますから、恐らくこっちからも派遣できないと思いますが、そういう事態になっているんでしょうか。
  86. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 個別のケースに関しましては、適時適切にそのケースごとに判断をしてまいりたいと思っております。
  87. 山内康一

    ○山内委員 事前通告していないので、これ以上は求めませんが、恐らく相当、外交上も支障が出るのかなと思いますので、いろいろまた今後聞いていきたいと思います。  ちょっと次の質問に行くには時間がないので、一分早いですが、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  88. 松本剛明

    松本委員長 次に、玄葉光一郎君。
  89. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 おはようございます。立国社会派に所属をしております玄葉光一郎です。  きょうは、新型コロナ関連、あるいは日中関係を中心に質問をしたいと思いますけれども、冒頭、忘れたくても忘れられないあの三・一一にあと一週間ぐらいということでございまして、ちょうど九年になるわけでありますが、韓国が、福島あるいは放射能関連に関して嫌がらせ的な言動があります。大変残念なことでありまして、処理水の問題も科学的な根拠に基づかない言動をされたり、あるいは、民間団体だとは思いますけれども、防護服を着た聖火ランナーのポスターをつくって張り出すみたいなですね。はっきり言って、嫌がらせだと思います。  これは、日本の輸出管理の厳格化が去年の八月、夏に行われたあたりと大体軌を一にするわけで、よく韓国外交にはあることではありますけれども、外務大臣、しっかり、役人任せにせずに外相同士で、このことについては強く抗議をしてもらいたいと思います。
  90. 茂木敏充

    茂木国務大臣 玄葉委員がおっしゃるとおりだと思っております。  私も、韓国の康京和外交部長と何度か会談を重ねておりますが、そこの中でも、科学的根拠に基づかないさまざまな報道について極めて懸念を持っているということは強く申し上げているところでありますし、これからも引き続き、そういったことを働きかけていきたいと思っております。
  91. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 江戸のかたきを長崎で討つというのは、本当によくこの種の外交ではあるわけでありますけれども、このことは、本当に、科学的根拠に基づいて三・一一のことあるいは放射能のことについてはやりましょうということを繰り返し外務大臣から、まあ、カウンターパートは外相にはなりますけれども、よく言っていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。  その上で、私も質問通告してからきのう聞いたわけでありますけれども、きのう、重要な日中関係発表が二つ同時に、ほぼ同時にあったわけであります。一つは、習近平国家主席訪日延期、まあ、訪日延期されると私も想像していましたけれども、そのことの正式な発表と、中国韓国からの入国者全員の二週間の隔離、停留というか待機という措置でございます。  まず、訪日延期の問題でありますけれども、この訪日延期の問題で、十分な成果というものを重視するのだということはこの間言ってこられて、私、その答弁があったときに、ああ、延期だなと正直、予算委員会でそういう答弁があったときにそう感じましたけれども。  基本的に、今回延期になったのは、新型コロナの対応が最優先であると同時に、十分な成果について、なかなか、この一カ月間くらいの準備では成果が得られない、そう判断したということでよろしいですか、これまでの答弁から考えると。
  92. 茂木敏充

    茂木国務大臣 習近平国家主席国賓訪日につきましては、ことしの春ということで調整を進めてきましたが、双方の都合がよい時期に行うということで改めて調整を進めるということをきのう発表させていただいたわけであります。  先週来、この問題につきまして、日中の外相会談、さらには、訪日しましたヨウケツチ中国共産党政治局委員との間で議論を行ったところでありまして、そういった議論も踏まえて日中間で引き続きやりとりを行った結果、双方は現下最大の課題であります新型コロナウイルス感染症拡大防止を最優先する必要があり、また、習近平国家主席国賓訪日を十分成果が上がるものにするためには両者でしっかりと準備を行う必要がある、こういう認識で一致をしたところでありまして、習主席の国賓訪日については、日中両国が地域国際社会が直面する課題にともに大きな責任を果たしていくことを内外に示す機会にしていくという考えには変わりはございません。
  93. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 一点目の、新型コロナ対策を両国とも最優先する、当然のことだと思います。  もう一つは、この間も繰り返しおっしゃっていたわけでありますけれども、十分な成果が得られるよう準備をするのだと。この十分な成果というのは、やはり、この一カ月の準備の期間では得られそうもない、あるいは新型コロナのウイルスの感染状況からして十分な成果が得られそうもない、そう判断したというふうに考えてよろしいですか。
  94. 茂木敏充

    茂木国務大臣 十分な成果を得るための時期としてどういう時期がいいか、また、そのための環境整備としてどういうことをやるかということを考えた上で、春ではなくて、適切な時期で再調整するということになりました。
  95. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 確かにおっしゃるように、十分な成果を得るための時期として適切じゃないのではないか、こういうふうに考えたということだろうと思います。  だとすると、この十分な成果というのは一体具体的に何を指しておられるのか。先ほどの答弁だと、両国とも地域全体で大きな役割を果たしていくのだ、こういうことをおっしゃっているわけですけれども、よく、第五の政治文書をつくるのだというような報道等もあるわけであります。  御承知のとおり、七二年、七八年、九八年あるいは二〇〇八年、それぞれ日中関係の基礎となると少なくとも言われている文書があって、今度は第五の政治文書をつくるのだ、そのための調整をするのだと言われておりましたけれども、そういうことで考えておられるのですか。
  96. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まだ、第五の政治文書をどうするかということについて、決まっているものはございません。  その上で、今最優先の課題であります新型コロナウイルス感染症防止していくという観点から、保健衛生の分野でも日中間、また国際的な協力、これの重要性というのは高まっているんだと思います。さらには、地球温暖化であったりとか、そういう地球規模課題に対して、それぞれが大国になっている、こういった中で大きな責任を果たしていかなきゃならない、また、時代が新しくなる中で、その時代にふさわしい新しいルールづくり、こういったこともともにやっていく、こういう議論を進めたいと思っております。
  97. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 おっしゃるように、公衆衛生とか気候変動とか、こういったことも大事、確かに大事だと思います。今度の成果の一つにぜひしていくべく調整をしてもらいたいと思いますし、成果の中で一番重要視してほしいのは、南シナ海、特に東シナ海、尖閣の問題だと思います。絶対にこの問題は譲れないし、最も日本側として重視しなければならない点だと思いますけれども、当然、このことは最重要視しているということでよろしいですか。
  98. 茂木敏充

    茂木国務大臣 東シナ海の問題、そして南シナ海におけます課題、こういったことについては、日本にとって、また国際社会全体にとっても極めて大きな課題だ、こういう認識を持っております。
  99. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 したがって、いつ来日をされるか定かではありませんけれども、習近平国家主席日本にいらっしゃるときにつくり上げる文書なのか、まあ報告、文書と正式に言えるかどうかわかりませんけれども、少なくとも、成果に、尖閣の問題を最重要視すると考えてよろしいですか。
  100. 茂木敏充

    茂木国務大臣 先ほど申し上げたように、第五の文書を含め、成果について今の段階で決まっているものはございませんが、我が国としては、こういった問題を重視して議論したいと思っております。
  101. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 ちょっと最初に戻りますけれども、いわゆる第五の政治文書というのは基本的に、できればつくりたいと考えておられるんですか。
  102. 茂木敏充

    茂木国務大臣 習主席、中国国家主席国賓訪日というのは十年に一遍ということになるわけであります。そして、大国になった中国日本がともに国際社会の課題に対して大きな責任を担っていく、こういった姿勢を内外に示していく機会にしたい、こういう観点から考えていきたいと思います。
  103. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 できればつくりたいということですね。
  104. 茂木敏充

    茂木国務大臣 内外にしっかりと示す機会にしていきたいと思います。
  105. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私、この日中関係を考えるときに違和感があることがあって、それは、日中関係は完全に正常な軌道に戻ったという認識を持っていると安倍総理が述べておられることなんです。本当に正常な軌道に完全に戻ったと言えるのかどうか。  これは事務方に、当たり前のことですけれども、改めて、通告していますので確認したいんですけれども、二〇一三年以来の中国の公船の接続水域への入域、領海侵入の状況、どうなっていますでしょうか。
  106. 滝崎成樹

    滝崎政府参考人 御質問にお答えいたします。  今委員から御指摘のあった時期以降ということですけれども、特にこの一年間だけで申し上げても、尖閣諸島の接続水域にはほぼ毎日、中国の公船による活動というのが確認されておりますし、それから領海侵入についても、月に二、三回の頻度で発生しているというのが現状であります。
  107. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 過去最高レベルなんですよね。それなのに、完全に正常な軌道と、本当に外務大臣、言えるんですかね、これ。
  108. 茂木敏充

    茂木国務大臣 恐らく、いろいろな国の関係を考えても、玄葉委員外務大臣をやられて経験をされていると思いますが、それは、例えば外交関係が絶たれたりとか、対話が途絶える、こういう国もあると思います。そういった国同士の関係を正常な関係とは呼べないんだと思います。  もちろん、日中の間では、そういった、東シナ海、さらには南シナ海をめぐる問題、拘束事案、さまざまな懸案というのがあるわけでありますが、少なくともハイレベルで、首脳レベル、外相レベルも含めて、交流、対話を重ね、率直にそういう問題について意見が言える、また、お互いにそれらについて改善を模索する、こういう動きがあるという意味において、正常な軌道に戻った、このように考えております。
  109. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私はここは認識が違っていて、率直な意見交換ができるようになったということと、完全に正常な軌道に戻ったということは、やはり、普通、考えれば違うんじゃないかと思いますね。それは、率直な意見交換ができるだけで完全な正常な軌道に戻ったと本当に言えるのかどうかというのは、私は強く疑問を持つということを申し上げながら、出入国管理の問題に入りたいんですけれども、安倍総理の応援団でもあるメディア、産経新聞でさえ、この間の危機管理、特に出入国管理を評して、水をくむような出入国管理だというふうに評しています。  きのう発表になった、中国韓国からの入国者全員の二週間の待機、これは、なぜ今なのか。なぜ今なのかということなんですね。もしやるなら、相当前にこの水際対策強化はやらなければほとんど意味がなかったのではないか。なぜ今なのかということを、外務大臣、政治家として、あるいは今回のコロナ対策本部の重要メンバーのお一人として、なぜ今なのかということをお答えいただけますか。
  110. 茂木敏充

    茂木国務大臣 さまざまな水際対策、今回初めてとったわけではなくて、中国湖北省、さらには温州市を始めとします浙江省からの入国規制、こういったものは既にとっているわけであります。そういった中にあって、日本にとっても、今この一、二週間が山場という時期にあり、一方で、中国が最大の感染者確認されている国であり、また、韓国が、今の伸びであったりとか規模でいいますと、非常に大きな増加が、感染症の増大が広がっている。この水際対策が特に重要になった。  こういう観点から、今回につきましては、検疫の強化だけではなくて査証の制限等も行う形にしたわけでありまして、中国及び韓国に所在します日本大使館又は総領事館で発給された一次、数次査証の効力を三月三十一日まで停止をする。同様に、香港、マカオ及び韓国に対する査証の免除措置の停止、これも三月三十一日まで行わせていただく。期間を区切った上で、しっかりした水際対策をとっていきたいと思っております。  また、十四日間の待機、それから国内において公共交通機関を使用しないこと、これは要請という形で行わせていただく。  ただ、査証が出ない、また査証が無効になるということでありますから、入ってこられる方というのは極めて限定的になると思っております。
  111. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 韓国は更に感染拡大をしていて、中国は逆に新たな感染者数は減り始めている。なぜ今なのかというのが全くわからないんですよ。エビデンスを示してほしいんですけれども、なぜ今なのか。なぜ一カ月前じゃないのか。  あのときに、浙江省とか湖北省、特に湖北省、だから私は予算委員会でも湖北省縛りが問題だという話をしていたんですけれども、検査も入国拒否もそうだと思うんですが、何で最初から小さ目小さ目に行くのかなというふうに思っています。  ですから、なぜ今なのか。一カ月前にやるなら私はすごくわかるんですけれども、今、閉じていこうとしているときに、つまり感染者数が減ろうとしているときにこの措置をとる、その今がわからない。どうですか。
  112. 茂木敏充

    茂木国務大臣 恐らく、湖北省武漢等々に入国制限をかけたときは、湖北省におけます感染者数、これは極めて高い数字でありまして、一万人当たり、恐らく、私の記憶ですと三十人を超える、こういうレベルでありました。これが少なくとも、今当局の発表によりますと、かなり低いレベルまで下がってきているのは確かでありますが、今、中国全体、八万数千人の感染のうちで、五万五千人が治癒しているにしても、二万五千人、厳然として感染されている方がいらっしゃる。そして、韓国につきましては、この数が五千人を大きく上回る。こういうレベルになってきていて、さらに、日本において、この一、二週間が、まさにこの感染拡大を防げるのかどうか、ピークが高くなるのか、山を小さくできるのか、この瀬戸際に差しかかっている、こういった中で、この措置をとらせていただいたわけであります。
  113. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 まだよくわからないんですね。  結局、一カ月前に、私は、やるならやったらよかったと思いますよ。そうすれば、水際対策としてしっかりとした措置だと評価できたと思います。アメリカは御承知のとおりかなり早い段階で、アメリカだけじゃありませんよ、シンガポールだってそう、オーストラリアだって、たしかニュージーランドなんかもそうだったと思いますけれども、中国全土からの入国を拒否しているわけですけれども。  それに対して中国は、その当時、アメリカ中国人の入国制限を、親善の行動ではない、こういうふうに批判をしていたわけですね。もしかしたら、習近平国家主席の来日の問題への配慮があったのではないかというふうにも言われています。  さらには、これは当然配慮するのかもしれませんけれども、経済とか観光への影響、インバウンドですね、そういったことも全て勘案した結果、今ということなんでしょうか。
  114. 茂木敏充

    茂木国務大臣 それは、当然、感染症拡大防止する、これが最優先でありますが、同時に、中国韓国日本とはさまざまな形で交流等があるわけでありまして、こういった経済への影響であったりとか、そういったことも当然考慮をするわけでありますが。  私の手元の数字によりますと、一万人当たりの感染者数、これで見ますと、これはきのう時点の数字でありますけれども、韓国が一・一二人、次に高いのが中国の〇・五八という数字になりまして、例えば日本でいいますと、これが〇・〇二五です。韓国が一・一二、そして、中国が〇・五八に対して、日本は〇・〇二五という数字であります。これが広がらないようにする。このために、一番高い韓国中国について、三月の三十一日までと当面の期間は区切りますが、査証の停止であったりとか入国制限をとる、これはやむを得ない措置だ、このように考えております。
  115. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 ちなみに、日本はどうしても検査の数が少ないので、全体として率が下がるということは、現実問題、あるんだろうと思います。  今、特に問題にしているのは中国なんですよね。中国感染率というのは当初から高かったはずですよ、一カ月前から。その時点でやるならやらないと、やはり水際対策としては明らかにだだ漏れだと言わざるを得ないということではないかと思います。  先ほど経済や観光の影響は無視はできないというようなお話がありました。現実、そうでしょう。恐らく国家主席訪日問題も微妙に絡んだんじゃないかと思いますけれども、やはりそういったことへの配慮も若干はあったでしょう。
  116. 茂木敏充

    茂木国務大臣 この措置につきましては、コロナウイルス感染症拡大防止、こういう観点で行っております。  数字、毎日見ていますから。毎日自分で確かめて、これがどうなっているか。それで、省内で会議を行って、危険情報をどうするか、また、どういう措置であるか、これを毎日検討しております。  その上で、どれだけ数字中国内でふえてきているか、武漢数字がどうであるか、逆に温州市がここまで下がってきたな、いろいろなことを考えながら、判断というのはさせていただいております。
  117. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 ただ、外務大臣が恐らく主に判断するのは、こちらからの渡航中止をするかどうかとか、要請をする、渡航の抑制をどうするかとか、多分そういうことなんじゃないかと思うんです。中国人をどうするかというのは、やはり外務大臣がメーンでかかわったんですか。
  118. 茂木敏充

    茂木国務大臣 基本的には、これは入国制限でありますから法務省ということでありますけれども、入国制限をするに当たっては、当然、中国そして韓国、それも地域ごとの感染状況であったり、こういった情報が必要でありまして、そういった数字であったりとか、現場の、実際に総領事館等々から入手しました情報、こういったものは提供する必要がありまして、そういった情報をもとにして各省で協議を行いまして、法務省において決定をするということであります。
  119. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 これは、今お話をしていてもまだ十分わからないんですけれども、なぜ今になっちゃったんだというのは、経済や観光への影響、あるいは、言いにくいでしょうけれども、国家主席訪日の問題も微妙に絡んだんだろうと推測をいたします。そういう意味では、本来あるべき、早い段階での水際対策強化をしてほしかったということを申し上げたいと思います。  最後に、WHOなんですけれども、WHOのこの間の言動、特にテドロス事務局長は、一月三十日に緊急事態を宣言しましたけれども、中国への配慮があったんじゃないかというふうに報道がございました。そのときの発言に、不必要に渡航や貿易を制限する必要はないというふうな発言もされている。最も懸念される国に、イタリアあるいは韓国、そしてイラン、日本と、日本まで名指しをされているわけですけれども、WHOの、これまでのこの問題、この問題というのは新型コロナの問題に関する一連の言動への評価をお聞かせをいただきたいと思います。
  120. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、日本に対する評価でありますけれども、三月二日の日に、中国以外の四つの懸念国の中に日本が入った。日本として、WHOの方に、きちんと事実関係、こういったものをお話ししまして、次の日、三月三日以降は、中国以外で発生している感染者の八割については、韓国そしてイタリア、イラン、この三カ国、こういった形でありまして、日本措置につきましては、きのうのプレスリリースでも、しっかりした対応をしている、このような発表をしている、そのように考えております。  その上で、この新型コロナウイルス感染症拡大防止、早期の鎮静化が国際社会全体が直面する大きな課題となっている中で、WHOに対するいろいろな見方、意見があるということは承知をいたしております。我が国としては、WHOが専門性を生かした活動を進めることを強く求めていくとともに、我が国自身WHO及び関係各国と連携をして、事態の収束に向けて全力を尽くしていきたいと思っております。  先日も、WHOは、中国に対して日本米国の専門家を含みます合同調査団を派遣し、現地状況について分析を行って、報告書を発出して、症状、感染経路、致死率等の分析を行うとともに、中国、発生国・流行国、非発生国、一般国民、そして国際社会の五つの方面に向けた勧告を行ったところと承知をしております。  毎日プレスリリース等も出ております。テドロス事務局長の会見等もあるわけでありまして、そういったものもしっかり見ながら、正しい判断がなされるように、こういった観点から注視をしていきたいと思っています。
  121. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 これは通告しているので、ちょっと教えていただきたいんですけれども、国連の専門機関が、それぞれトップ人事がどうなっているか、十五あるんですけれども。  つまり、今回気になっているのは、よくこれは報道でもあるんですけれども、事務局長さんの出身がエチオピアで、エチオピアに対する援助を中国が莫大に行っているということで、中国影響力があり過ぎるんじゃないか、こういうふうに言われていて、さまざまな報道があるということになっているわけですけれども。  今、国連の専門機関、十五ありますけれども、トップの人事、どうなっていますでしょうか。
  122. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  国連の専門機関のうち、中国人が長を務める機関は、国連食糧農業機構、FAO、国連工業開発機構、UNIDO、国際民間航空機構、ICAO、国際電気通信連合、ITUの四機関です。
  123. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 十五の専門機関のうち四つあるんですよね。今回も、知的所有権の機関に立候補していて、恐らくアメリカも、日本もこれは公表していないと思いますけれども推したと思いますけれども、こちら側が推した候補者が入っているんですけれども、別に中国の方がトップになっても、公平に公正に中立の運営をしてくれるなら大いに結構、むしろ、大変大事なことだというふうに思うんですね、ルールに基づく責任ある大国になってもらうわけですから。  ただ、残念ながら、そうならない場合も見受けられるので、これは私、外交のすごい大事なところだと思うんですけれども、やはり、何だかんだ言って、国際機関ルールをつくるというところが御承知のとおりあるわけです。そこの人事をどうするかというのは、かなり戦略的に行っていかなければならない。  特に、アメリカが、特にトランプ政権が、国連あるいは国連の専門機関等への関心を私はやや失っているように思うんですね。その空白中国が埋めちゃう。そうすると、力による秩序とルールによる秩序があると思いますけれども、ルールによる秩序の方も中国が出てくるということになると、これはかなり大変だなと思ってしまうんです。  ですから、これは、外務大臣、ぜひ、外相同士、相当、特にアメリカ、ヨーロッパ、よく連携をとってもらって、まずアメリカに、国連にきちっと関心を持て、国際機関に関心をもっと持て、そうじゃないとやられるぞということをきちっと伝えて、しっかりと連携をとってほしいと思いますが、いかがでしょう。
  124. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、今回のWIPOの選挙の結果を見る限り、アメリカが関心を失っているということはないなと、率直に申し上げて、私もポンペオ長官とはさまざまなやりとりをやっておりますが、そういう思いを持っております。  その上で、委員御指摘のように、十五ある機関の中で特定の国の比率が余り多くなる、これは、もちろん人物本位の部分もあります、経験のあるトップということは重要ですから、国籍を問わずに。そういったこともありますが、よく考えなければいけないと思っております。  それは、ある意味、途上国であったりとか、さまざまな利益を代表する国であったり、また女性の候補者であったりとか、さまざまな要素はあると思うんですけれども、そういった中で、日本としてもきちんと、望ましい人が、特に日本人がそういう国際機関等々でより高い立場を占めることによって、日本が考える国際ルール、国際スタンダード、こういったものが世界に浸透していくような、普及していくような形をとっていきたいと思います。
  125. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 もう終わりますけれども、確かに、今回のWIPOのアメリカの取組を仄聞すると、完全に関心を失っているわけではないと思います。でも、多分この分野だったからなんじゃないかなという感じもするんですね。つまり、ハイテク技術を強要する中国に対して問題だとやはり思って、問題意識が非常にこの問題は強かった。ただ、違う問題になるとまたトーンダウンする気配があるので、国連の専門機関のトップ人事、しっかりと重視して取り組んでほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。  どうもありがとうございます。
  126. 松本剛明

    松本委員長 次に、小熊慎司君。
  127. 小熊慎司

    ○小熊委員 立国社の小熊慎司です。  同僚議員もしていましたが、新型コロナウイルス感染症についてお聞きをいたします。  世界的な広がりを見ています。今、大臣も、しっかり数字を見ていくということでありましたけれども、私も、地元で会合がなくなったりして、過去のいろいろな感染症のドキュメンタリーや映画を見ていると、R0、基本再生産数というのが一つの数字の根拠になって、これが一より低くなれば終息だということもあります。何人かかった、何人感染している、亡くなったということだけを追うのではなくて、やはりきちっとした、こうしたR0という数字も見ながら対応していかなければならないというふうに思っています。我が国国民の健康、安全といったものを守っていきながら、これは世界的に広がっていますから、国際社会での連携をしながらこの撲滅に向かっていかなければならないというふうに思っています。  ただ一方で、マスクなんかもいろいろな国が輸出を規制をし始めているのも大臣承知のとおりでありまして、そうしたことも否定はできないんですけれども、一方で、疫学的なところでは、世界各国連携しながらこの対応をしていかなければならないというふうに思いますが、まずこの国際連携について、撲滅のための国際連携についてお伺いをいたします。
  128. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 お答えいたします。  国際連携につきましては、この分野の世界の協調の中心を担っております世界保健機関との連携がまずは第一、重要だと思っておりまして、WHOとの間で、我が国の国内の感染状況あるいは感染拡大防止に関する取組、こういった情報提供をしますとともに、関係国との間の二国間のさまざまな情報共有、あるいは取組に関する国際支援に対するかかわり、こういった形で密に意思疎通をし、かつ連携をしてきているところでございます。
  129. 小熊慎司

    ○小熊委員 薬の開発にも時間がかかるということも指摘もされていますし、これはしっかりとこの病気の撲滅のために協調関係の中で取り組んでいかなければならないんですけれども、現場サイドを見る、実際の社会を見ていると、これはかつて、ちょっと質が違うところもありますが、福島県民が震災後いろいろな差別を受けてきた事件も数多くあったんですが、今回のこのコロナウイルスに関しても、残念ながら、幾つかの国で、アジアまた日本人が差別を受けている、暴力沙汰にもなった、暴力を受けたというのもニュースで、報道でなされていました。  こうしたいわれ、根拠のないそうしたものの中で差別を受けて邦人の危険が生じるということに関して、今、外務省としてはどうした安全確保に努めているのか、お聞きいたします。
  130. 山中修

    山中政府参考人 お答え申し上げます。  海外メディアでは批判的なものを含めてさまざまな報道が見られておりますが、これについては、反論投稿も含めて政府としてしっかりと対応してきております。  具体的には、これまで、在京の外国プレスへのブリーフ及び記者会見を七回実施しているほか、海外でも、在外公館を通じて適時適切な説明、発信を実施してきているところであります。在京の外国プレス向けの記者会見におきまして、動画を作成し、そのリンクを在京の外国プレスに送付するとともに、外務省のSNS等を通じて発信してきております。  引き続き、正確かつタイムリーな対外発信に……
  131. 松本剛明

    松本委員長 ちょっと、聞き取れるようにしっかりしゃべってください。
  132. 山中修

    山中政府参考人 引き続き、正確かつタイムリーな対外発信にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  133. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今申し上げたかったのは、やはりそれぞれの国における正確な世論形成というのを図っていかなきゃならない。小熊委員がおっしゃるような、いわれもなき誹謗であったりとか風評被害、これは防止していかなくてはならない。そのためには正しい情報がいろいろな国において伝わるということが重要でありますから、そういったことをまず心がけたい。  その上で、さまざまな障害に遭われる方、海外にいらっしゃると不安だと思います、そういう方に対しては丁寧に対応するようにということで指示を出しております。
  134. 小熊慎司

    ○小熊委員 正しい情報発信の中でも、なかなか、それぞれの国の事情もありますけれども、いわゆる世間的な感覚というのは、科学的根拠に基づかない判断をしてしまう人がどうしても社会の中に一定程度いますし、震災から九年たった今でも風評被害が根強く一定程度残っているということもおわかりのとおり、これは、しっかり情報発信することもありながら、それでもやはり理解を得られない人たちが存在をするということで、ぜひ、在外の邦人の安全については万全の体制をとってしっかり対応していかなければいけないというふうに思いますので、ぜひその点については全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に移ります。  国際秩序について。日本でも、これはまた安保委員会でやりますけれども、宇宙作戦隊という、名前については賛否両論、国民の間でも出ていて、非常にSFチックな、大臣が少年のころに見た特撮の番組のような隊で、私も半分おもしろいなと思いつつ、それで合っているのかなというところがありますけれども。  宇宙空間の平和利用をしなければならないというのは、国連の宇宙条約、宇宙の憲法と言われているものがあるんですけれども、そこには平和利用が全人類共通の利益とうたっているんですが、現時点では、ここ数年来、軍事的な利用が続いているというのも現状です。  日本においてもこうやって宇宙作戦隊というものが創設されるわけでありますし、また一方で、アメリカでは宇宙のそうした軍がありますけれども、さらには同盟を目指していて、アメリカのバンデンバーグ空軍基地には連合宇宙運用センターというのがその基盤として位置づけられて、同盟国から連絡官の受入れを進めています。既にイギリス、ドイツ、フランスの三カ国の連絡官が常駐もしていて、宇宙同盟がもう既に構築されていると言っても過言ではありません。  日本においても航空自衛官が派遣をされるというようなこともお聞きしましたが、現時点でもうされているのか、されていないのか、また、今後正式に派遣するということになっていくのか、確認をさせてください。
  135. 石川武

    石川政府参考人 お答えを申し上げます。  まず、現時点におきまして、米国の連合宇宙運用センターに自衛官は派遣されてはおりません。  その上で、今後でございますけれども、宇宙領域における日米協力のあり方につきましては、平素から不断の検討や協議を進めておりますが、自衛官の宇宙連合センターへの派遣といった個別具体的な検討状況協議状況につきましては、相手国政府との関係上、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  136. 小熊慎司

    ○小熊委員 私は、これも実際に今後派遣されたときにまた議論していきたいなというふうに思っていますが。  日本が、平和外交また地球儀を俯瞰する外交を、安倍政権のもとで。地球儀を俯瞰するといっても、実は、松本委員長が言葉がおかしいと何年か前に言っていまして、地球を俯瞰するというのが正しいと。地球儀そのものが、それはもう俯瞰図ですから、俯瞰図を俯瞰してどうするんだという話で、国語的にもおかしいし、リアルな地球を俯瞰するのが本来であって、俯瞰図を俯瞰していても何も生まないというような趣旨を、数年前、松本委員長が言っていたので、今、与党に入って委員長もやっていますから、ここはちょっと修正をしていくというのが正しい日本外交の情報発信にもなるかなと思っていますが。  そういった、あえて言います、地球を俯瞰する外交、いいことだというふうに思います。そういう中で、法の支配とかいろいろな共通する価値観を、普遍的な価値観を世界にリードしていくというのは、日本の外交のまた真骨頂だというふうに思います。  そういう意味では、宇宙の空間に関しても、実際、宇宙条約があるといっても、南極条約のようにいろいろな具体的な縛りとか規制とか、またしっかりとした前向きな建設的な利用といったものではないです。まだざっくりしたものであって、だからこそ軍事利用が進んでしまっているというのが近年の状況だというふうに思います。  それはそれでありながらも、やはり宇宙空間の平和利用、安全保障といったものは軍事的な手段が今先行していますので、日本の外交の真骨頂であるところの平和外交といったものを考えれば、やはり軍事的な利用ではなくて、外交手段を通じてこの平和利用の推進をしていくということが求められるというふうに思います。  これは野方図に今軍拡の状況になっていますから、これを規制していく国際的な理性のある行動規範の策定や、また、国連などの場での、この平和利用に対してもっとより具体的にやっていきましょうという議論を、日本リーダーシップを発揮して新たな秩序づくりをしていくということが、地球を俯瞰する外交のまさに柱の一つになってくるのではないかと思いますが、そうした取組についてお伺いをいたします。
  137. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、宇宙空間、大きく二つの動きがあると思っておりますが、まず、一つは宇宙利用の多様化ということでありまして、宇宙そのものを利用する、さらには、宇宙空間において無重力の中で新たな実験をするとか、こういうこともあります。また、例えば準天頂衛星、これは斜角が十度以内の衛星を打ち上げることによって、GPSの機能を持って地上での地理情報に役立っていく。こういった三つの側面からの宇宙利用、これが多角化をする。同時に、宇宙活動に参加する国もふえておりますから、宇宙空間そのものが混雑化をしている、こういう状況が一つございます。  一方で、対衛星兵器の開発、衛星そのものを狙うということもありますし、同時に、例えば準天頂衛星が狙われたら、それに伴って、地上でのナビゲーション機能、このものが失われる、こういう問題もあるわけでありまして、安全保障上の懸念、これも当然増加をしている。  利用が高まれば、その分安全保障上の懸念、これも高まってくるということになるんだと思いますけれども、その中で、我が国としては、我が国の安全保障及び宇宙空間の持続的かつ安定的な利用を確保すべく、同盟国であったりとか友好国と戦略的に連携しつつ、実効的なルールづくりを主導していくとともに、各国に、宇宙空間における責任ある行動、これを求めていきたいと思っております。  また、宇宙空間でありますから、どうしても、地上と比べても、誤算であったりとか誤解であったりとかこういうリスクをより回避する必要性があるわけでありまして、関係国間の意思疎通の強化及び宇宙空間におけます透明性、信頼醸成措置の実施等の重要性、こういったものも発信をしていきたいと思っています。  今、昨年のG20でもそうでありましたが、例えば大阪ブルー・オーシャン構想、これは海ですから全く違いますけれども、そういう新しい領域においてルールづくりをしていく中で、私は、日本の立ち位置といいますかポジショニングというのは高まってきている、これを機会に、小熊委員おっしゃるように、しっかりルールづくり日本が主導していくんだ、こういう気概を持って取り組んでいきたいと思っております。
  138. 小熊慎司

    ○小熊委員 宇宙空間の安全保障上の必要性というのは私も感じますけれども、今のところは国際的な、大臣が言うとおり、ルールがちょっと欠けている部分がありますから、ぜひ日本が主導して、新たなルールづくりのもとに適正な宇宙空間の利用が国際的になされるようにしていただくよう、取組をより一層強化をしていただきたいというふうに思います。  同じ国際的秩序、今海の話も出ました、海洋秩序の話に移りたいというふうに思います。  大臣も常々言っているとおり、海洋国家日本で、海洋秩序も日本はしっかりやっていくんだ。安全保障上のこともあります。今、中近東でもタンカーの航行なんかにも大変懸念をされる事案が発生をしておりますし、また、中国の海洋進出に関しても、これは秩序を乱しているというふうな観点もあります。  また一方で、海洋秩序といっても、こうした安全保障上の問題だけではなくて、まさにこのSDGsの目標達成のために、海洋資源、また漁業資源といったものもどう守っていくんだということも海洋秩序をリードする日本としての役割なんですけれども、この委員会でもたびたび議論させていただいてきましたが、実は、海洋秩序と高らかにうたいながら、海洋資源を守っていく分野においては日本は国際的に批判を浴びていますし、対応がおくれているのも事実であります。いわゆるIUU漁業への取組は、日本は、海洋国家日本として、また、海洋秩序をしっかり守っていくんだと言っている割にはやっていないと言われている点のところでありますので、この点についてまた議論をさせていただきたいというふうに思っています。  現在、水産庁においては、漁獲証明制度に関する検討会において、資源管理の徹底とIUU漁業の撲滅等の観点から、トレーサビリティーの出発点としての漁獲証明に係る法制度の検討が行われているというふうに認識をさせていただいております。  この漁獲証明制度の対象魚種としては、私は、ほかの国の一部がやっているとおり、全魚種をしっかり例外なくやるべきだというふうにもこれまで主張してきましたが、日本においては、まずは国内で密漁されやすいナマコやアワビ等が検討されているというふうに一部報道がされています。  資源管理というのは、IUU漁業の撲滅という観点からはやはり更に拡大をしていく必要があるというふうにも、先ほど申し述べたとおり、私はそういうふうに主張してまいりました。また、国際社会の中でもその点が指摘をされているわけですし、こうした限定をしてやるからこそ、日本が、海洋国家日本と格好いいことを言っていたって後ろ向きじゃないかと言われる点でもあります。  それを前提としまして質問に移りますが、制度設計が、しっかり電子化によって現場の負担を軽減して適正な証明書が出されることになるのか、又は、やはり、私はその魚種をもっと拡大すべきだということを主張してきましたが、今、直近では限定的になってしまうのか、まずお伺いいたします。
  139. 森健

    ○森(健)政府参考人 お答え申し上げます。  現在、水産庁におきましては、適正な水産物の国内流通を確保するという観点から漁獲証明制度を設ける、そうした上で、密漁等の違法漁獲が懸念される水産物についてはこの漁獲証明を義務づけていくといった方向で検討をしているところでございます。  この対象魚種につきましては、いわば合法的な漁獲を行う漁業者の方にも負担をお願いするといった面もございますので、有識者等による議論を経て、まずは必要性の高いものから順次対象とするという方向で検討をしているところでございます。  一方で、本制度の検討に当たりましては、やはりなるべく漁業者など現場の負担を軽減できるよう、例えばICTの活用も含めた仕組みの構築に向けて、あわせて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  140. 小熊慎司

    ○小熊委員 拡大に関しては、より、絞るのではなくて、しっかり魚種をふやしていくということが重要だと思いますので、そういった方向でしっかり対応していただきたいと思います。  ただ、一方で、魚種をふやしていくと、確かに漁業者の負担、またいろいろな、これは日本全体でやりますし、各地域での漁獲可能量の配分調整といったものも必要になってきますので、いわゆる漁業者間の中での調整がより必要となってきます。今既に数量管理が行われているクロマグロなどについては、漁業者の理解が十分に進んでいる状況じゃないので、混乱、また調整がうまくいっていないということも、今現時点であります。  こうした対象となった魚種、それを扱う漁業者の、これは日本全体の話になってきますから、こうした調整といったものは、とりわけ量がふえてくるわけですよね、指定していけば。これはどうやって行っていくのか、今、対応をどういうふうに考えているのか、お伺いいたします。
  141. 森健

    ○森(健)政府参考人 お答え申し上げます。  漁獲証明制度の構築につきましては、水産資源の持続的な利用を流通面から後押しする、さらに、消費者が求めます漁獲情報の信頼性を担保するといった面につながるということでございます。そういった意味で、沿岸、沖合等の漁業者はもとより、加工流通業者にとっても有益なものになっていくものというふうに考えております。  そうした中で、現在、検討を行っているという状況でございますが、この検討会におきましても、やはり幅広い関係者、沿岸、沖合、遠洋の各漁業者や団体のほか、加工、流通、小売の関連業界、さらには行政、あるいは自然保護団体等を含めて参加をいただいて、丁寧な意見聴取を行っております。  今後とも、そうした検討会、さらにさまざまな場を活用しながら、丁寧に調整を進め、制度の検討を進め、また、制度ができ上がった暁には、実行においても丁寧に進めてまいりたいというふうに思っております。
  142. 小熊慎司

    ○小熊委員 今言われたところ、沿岸や沖合、また漁法によっても立場が違ったりします。地域によっても違うということで、幅広くいろいろな関係者でやっているということですが、これはやはり、その議論、利害調整の場はオープンでなければなりませんし、決まった後に意見がまた噴出してしまわないように、意思決定のプロセスもしっかり理解していただいているということが重要だというふうに思います。  決める前に、こうした工程で意思決定をしますということはしっかり関係者に伝えているのかどうか、そしてまた、これがしっかりオープンとなって、公平性、透明性が保たれているのか、これが意思決定したときに不満が出ない重要な前提となっていますが、そうした前提はしっかり守られていますか。お聞きいたします。
  143. 森健

    ○森(健)政府参考人 お答え申し上げます。  現在、検討会におきましては、委員の忌憚のない意見を頂戴したいという観点から、会議自体は非公開ということになっております。ただ、一方で、会議の議事要旨、資料につきましては会議終了後公表し、議論のプロセスについては誰でも見ることができるようにということで運営をしております。  今後とも、引き続き、この検討会を含めまして、幅広い関係者から丁寧に意見を聴取しながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  144. 小熊慎司

    ○小熊委員 決まった後に不公平性や非透明性が不満を引き起こしますので、ぜひその点についてはしっかり留意をしていただきたいというふうに思っています。  先ほども答弁の中にもありましたけれども、水産業におけるICTの活用を推進しようとして、今取り組んでおられますし、議論も深まっているところであります。EUなんかではしっかりとICTの活用がなされていて、その情報をもとに輸出向けの漁獲証明の発行まで行っているところであります。  今、日本で進めている段階ではありますけれども、資源調査などのために集めたデータは別の目的に転用することが今はできません。別の制度では、既に水産庁が持っている情報を事業者が二重で報告する手間が発生しているということを私は聞いていますが、その点について現状どうなっているか、確認をさせてください。
  145. 森健

    ○森(健)政府参考人 お答え申し上げます。  水産庁におきましては、大臣管理漁業をやっておられる方々に対しまして定期的な漁獲成績報告書の提出を求めておりまして、この漁獲成績報告書のデータにつきましては、漁獲統計でございますとか資源評価を始め、行政の基礎データとして幅広く活用しているところでございます。  御指摘の二重報告の手間についての具体的詳細というのはなかなか承知をしておりませんが、例えば、水産庁が、輸出向けの漁獲証明書の発給に際して産地情報を確認するために、漁協等が発行します産地証明書の提出を求めていると。さきに申し上げました定期的な漁績、漁獲成績報告書の情報がそのままこの産地証明書に活用できるというものではないんですけれども、ただ、こうした報告を、改めて産地証明書を求めているということが二重の手間というふうに感じられている可能性はあるというふうに考えております。
  146. 小熊慎司

    ○小熊委員 ぜひ、今の議論してきた中でのいろいろな電子情報というのをもっともっと推進をしていかなければなりません。なおかつ、水産庁の中でも、縦割りでその情報が共有化されていない、利活用されないということも、現時点でまだ課題が積み残されているというふうに思います。  ぜひ、電子的な情報のさらなる推進と、また情報の利活用についても、課題解決のためにしっかり取り組むべきだというふうに思いますが、一言、最後、何かあれば。
  147. 森健

    ○森(健)政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど委員の方から御言及もございました。現在、水産資源の持続的利用と水産業の成長産業化を実現するために、ICTやデータを活用しましたスマート水産業というものに取り組んでいるところでございます。これによりまして、資源評価の高度化、操業の効率化等による生産性の向上を推進していくということが重要と考えております。  特に、資源調査や資源管理、TAC管理のために水揚げデータなどを収集する際に、電子的な方法によることで集計ですとか情報伝達が容易になるとともに、収集したデータを各種の報告等に使用することが可能となって、結果として漁業者の負担の軽減というものにつながるというふうに考えているところでございます。  私ども水産庁におきましては、令和二年度から、幾つかの産地市場等におきまして、水揚げデータを電子的に収集する取組の実証を行うこととしております。その結果を踏まえて、漁獲情報の電子化、一元的な収集あるいは活用に向けて取り組んでいく必要があるというふうに考えているところでございます。
  148. 小熊慎司

    ○小熊委員 茂木外務大臣も、海洋秩序は重要で、日本がこれをリードしていくんだと言っている割には、水産庁のこれまでの取組は、足かせになっていた部分が、足を引っ張っていた部分がありますから、ぜひ、さらなる努力で挽回をしていって、まさに水産資源を守っていく、海洋資源を守っていくという分野においても世界をリードできるように、今後の努力に期待したいというふうに思います。  対中外交についてはこれまでも議論が出てきたので、習近平主席も訪日延期をされたということですから、これは与野党ともに国賓待遇ということがいかがなものかという意見もありますので、時間もできましたから、しっかりまたこれは与野党を超えて、習近平さんの訪日自身は否定はしないものの、国賓扱いということについてはこれからも議論していきたいと思います。  今、香港のデモはコロナウイルスで鎮静化していますけれども、デモでマスクをするなとか、今コロナがはやっているからマスクをしろと、何かすごい香港では混乱が起きているということがありますが、六月四日の天安門追悼式は常にやってきました。中国も、四月末には我が国は鎮静化すると言っています、コロナが。であれば、六月四日あたりからまた香港のデモが活発化してくるということが、一つの、この六月四日というのがありますから、この辺を注視しながら、日本も香港のデモに対しても注目をしていかなければならないということを指摘して、最後の質問に移ります。  資料をお配りしましたが、これは今、インバウンドが大変な状況の中で、国交大臣が我が県の県内紙のインタビューに答えて、国際定期便の再開を後押ししていくということを言っていただきました。  私も、同僚の武井委員と日中次世代交流委員会で毎年のように中国を訪れ、私は昨年、その後、個人的に上海に行って春秋航空の会長と会って、ぜひ福島空港の再開をしたい、ただ、中国政府が許可を出してくれないと言っているんですが、その後、中国外交部の方と会ったら、これは許可を出しますよとまで言っていただいているところであります。今、春秋航空は茨城空港を黒字化した大きな要因となった航空会社であるし、新潟にも、知事が二階さんの元秘書だから気を使って、ここも一生懸命やると春秋航空は言っていましたけれども。  今、北陸と中部地方とを結ぶドラゴンルートというのがあります。会長から私が言われたのは、新潟、そして大臣の栃木も含めて、福島、栃木、茨城から抜けるというルートを、おまえ、何か命名した方がいいぞと言われたから、何かあるかなと思ったら、鳳凰みたいに羽を広げているかなと思って、フェニックスルートでこれを売っていこうかなというふうにも思っていますが。  そういうことを話し合ってきた中で大臣が言っていただいたので、これについて、ぜひ、どういうふうに具体的に取り組んでいくのか、お伺いいたします。
  149. 和田政宗

    ○和田大臣政務官 お答えをさせていただきます。  まず、現状でございますが、福島空港は、東日本大震災以降、ソウル便、上海便といった国際旅客定期便が運休となっています。  一方で、地元自治体等の地域の取組により、ベトナム、台湾等からの国際チャーター便が、平成二十九年度に六十九便、平成三十年度に百四十八便、令和元年度では令和二年二月末までで百七十七便に増加、入国外国人数も、平成二十九年の三百四十一人から令和元年には九千百十九人に増加と、順調な増加を続けていると認識をしております。さらに、本年はタイからのチャーター便が運航するなど、取組の成果が着実にあらわれつつあることを認識をしています。  国土交通省としましては、平成二十九年七月に福島空港を訪日誘客支援空港の一つとして認定し、国際線誘致の取組を支援しているところです。  委員御指摘のとおり、福島空港における国際線の増便は東北観光の復興の観点からも重要と考えており、東北観光復興対策交付金を活用した現地プロモーションや、影響力を持った海外の著名人の招請等への支援を含め、引き続き、福島県など御地元の御要望や取組を踏まえながら、しっかりと対応してまいります。
  150. 小熊慎司

    ○小熊委員 ぜひ大臣、一緒に、フェニックスルートの開発をやっていくためにも、和田さんのところの宮城も大事だからそれもやりますけれども、ぜひこれから取り組んでいきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをします。  以上で質問を終わります。  ああ、じゃ、言いますか。
  151. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ドラゴンもフェニックスも架空の生き物でありますが、それだけやはり壮大であり、何というかクリエーティブなことをやっていく、こういう観点においては、小熊委員と同じ考え方であります。
  152. 小熊慎司

    ○小熊委員 ありがとうございました。
  153. 松本剛明

    松本委員長 次に、森山浩行君。
  154. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 引き続きまして、立国社共同会派、立憲民主党の森山浩行でございます。  本日は、茂木大臣外務大臣としての基本姿勢について、るるお尋ねしようと思っておりますけれども、残念ながら、きのう発売の週刊文春において、記事が出てしまいました。  「茂木外相 安倍会見当日にゴルフしていた」ということで、二月二十九日午後六時から、小中学校の休校要請や文化スポーツイベントの中止延期を含む首相会見が行われたときに、友人三名とゴルフをしていたとされています。  各国との情報交換あるいは連携強化の責任者である外務大臣が、この日にゴルフをするとはというニュアンスの記事ですけれども、取材に対して、ゴルフに行ったという事実もまだお認めになっていないようなので、その確認。それから、昼休みにスマホを取り出しというような表現がありますけれども、当然、プレー中も連絡のつく状況にあったのですよねという、二点、確認をお願いします。
  155. 茂木敏充

    茂木国務大臣 公務以外の時間の、政務、プライベートの個別のことについては答弁を控えたいと思いますが、携帯も含めて、常に連絡がとれるようにしております。
  156. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 済みません、ゴルフをしたということについてのお答えがないということですか。
  157. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、コロナウイルス感染症拡大に向けて、さまざまな注意行動を行っております。それを踏まえて、ふだんの生活もしております。(発言する者あり)
  158. 松本剛明

    松本委員長 大臣、では、もう一度お答えいただけますか。
  159. 茂木敏充

    茂木国務大臣 委員も、それぞれ議員としての仕事もおありになると思います。プライベートな時間もあると思います。プライベートな時間であっても、きちんと連絡がとれるような体制で常に臨んでおります。(発言する者あり)
  160. 松本剛明

    松本委員長 答弁の内容について御要請があるようであれば、改めて理事会へ御要求をいただきましたら、理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  161. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 では、後刻、理事会にて、事実の確認という部分についてお願いをしたいというふうに思います。
  162. 松本剛明

    松本委員長 はい。協議はさせていただきます。
  163. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 記事のとおりであったとしても、法務大臣、文科大臣、環境大臣のように、会議をサボって地元の行事に行っていたという話ではありませんので、私、ゴルフをされていたこと自体はそんなに悪い話ではないのではないかなと思っています。ただ、連絡がきちんとつくというような状況であったということが大事ですから、事実をお認めになったらいいと思いますよ。  その上で、主要閣僚であり、また対策本部の責任者の一人として、緊張感を持って任務に当たっていただくようにお願いをしたいというふうに思います。中身については、後刻、お願いをいたします。  さて、その新型コロナウイルスの部分であります。  各国への情報提供、それから説明外務大臣の重要な任務であると考えます。日本からの渡航者日本人に対する各国の入国制限措置について、これまでもお話が出ていますけれども、きのうの時点では二十二の地域、これは、イスラエル、イラクインド、ガーナ、キリバス、キルギス、クック諸島、コモロ、サウジアラビア、サモア、ジブラルタル、ソロモン諸島、ツバル、トリニダードトバゴ、トルクメニスタン、ネパール、バーレーン、バヌアツ、仏領ポリネシア、マーシャル、ミクロネシア、モンゴルというところで、きょうに至ってマレーシア、シリアが加わって二十四カ国。  また、きのうの時点で渡航後の制限、これが五十三というふうに言っていただいていましたし、二月三日には三十八でありましたけれども、これが五十八にふえているということでございます。  きのうの時点で、時系列でどのようにふえてきているのかというような資料の要求をしましたけれども、それはないんだというようなお話でありました。日々多くの国々から、日本日本人、来られたら困るよというような話になってきているというような部分について、しっかり整理をして、また発表を、あるいは皆さんに御説明をしていっていただきたいというふうに思います。  また、先ほどの説明によると、緩和の例もあるということでありますので、今日本がどういう状況にあるのかということ、また、これはコミュニケーションが大事で、相手側からすると、こういう状況になれば緩和することができるよというようなことがあるかと思います。こういう条件で解除されるよ、あるいは緩和があるよというような部分についてお話を聞いてきて、これをまた国内の対策に生かしていくというようなことも、外務省外務大臣の非常に重要な仕事であるというふうに思いますけれども、そのような形でお願いをできますでしょうか。
  164. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、この入国制限それから入国後のさまざまな観察措置等について、日本だけに出しているという国は、先ほど委員の方からありました二十四カ国それから五十八カ国の中で、ない。一般的に、コロナウイルス感染症感染者確認がされている国ということでありますが、それぞれの国の状況、それは中国韓国日本は違うわけでありますから、そういった日本状況であったり、また対策、こういったことについてはそれぞれの国に対して丁寧に説明をし、必要な申入れ等々も行っているところであります。  また、渡航者に対します入国制限措置又は入国後の行動制限について外務省として把握しております情報については、外務省海外安全ホームページ等に掲載をいたしまして、渡航者現地邦人に広く注意喚起を行っております。  そういった働きかけ、またやりとりといったものは、これからも続けてまいりたいと思っております。
  165. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 ありがとうございます。  内外の情報をつなぐということが非常に大事なわけですけれども、どうもこの間の対応を見ておりますと、一部の省、厚労省などを中心として、一部の省の中で情報がとどまっているというような事例も少なくないように思われます。  ダイヤモンドプリンセス号、これが横浜に着岸をしたときに、中に乗っておられる乗客の方から携帯で連絡がありまして、やりとりをしておったのですけれども、なかなか中の様子というものが十分に伝わっていない、あるいは、ニュースでやっているのに船内には伝わらないというような話も随分あったようでございます。  そこなんですけれども、ダイヤモンドプリンセスから皆さんおりるという段階のときに、ニュースでは、韓国に、六名の韓国人の方と配偶者一名、日本人の方ですけれども、飛ばれた、向こうで隔離をするというような形をとられるというようなことが報じられておりましたけれども、その時点で、外務省、つかんでおられずに、連絡先わかりませんというような状況にありました、残念ですけれども。  邦人保護というような観点からいいますと、このような形で韓国へ行かれるときには、日本外務省あるいは現地大使館対応していただくというのが基本的な形であるというふうに思いますけれども、この辺の経緯を御説明いただけますか。
  166. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 今委員御指摘の件、個別の件についてのお答えではありませんけれども、一般論といたしまして、どこにいても、どういう状況であっても、日本人であれば、その日本人の安全確保という観点から、大使館、総領事館がしっかりと連絡をとってサポートする努力をするということは当然だと思っておりますので、引き続きそのような努力は続けてまいりたいと思っております。
  167. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 まあ、やることはそうなんですが、ちょっと情報が足りなかったのかなと思います。厚労省なのか、あるいは法務省なのか、韓国に行くよという話になったときに、横、横で当然外務省にお話をしていただかなきゃいけないわけなんですけれども、それがなくて、私のところに、御本人さんの方からお電話を下さいというふうに外務省さんに頼まれたというようなことがありました。  ですので、やはり、緊張状態の中、また大変多くの業務のある中でありますけれども、邦人保護というようなところで、しっかり認識をしてやっていただきたいなというふうに思います。  習近平国家主席の来日延期中国の渡航制限というようなことで、これが関連づけられて世論の中でも言われつつありますけれども、これについても、ほかの理由はいろいろあるというような御答弁がありましたけれども、明確に否定ということはこれまでの質疑ではありませんでしたので、これはまた後ほど検証をしていきたいというふうに思います。  さて、昨年秋の答弁大臣がおっしゃったとおり、国益というのは、これは援助のときにおっしゃっていますけれども、平和と安全の確保、さらなる繁栄の実現、安定性及び透明性の高い社会の実現、付加価値を共有した平和で安全な社会の実現というようなこと。そのために外務大臣、お仕事されているわけですけれども、主要閣僚ということでありますが、外務省予算というのは、百兆円を超える国家予算のうちの一兆円にも届かないというような状況です。予算をどこにつけるかということだけでなくて、むしろ諸外国とのコミュニケーション、あるいは国際世論への訴えなど、日本の考えあるいは主張を情報発信するということこそが外務大臣の仕事の大事な部分と言えるのではないかと思います。  古今東西の事例や行政各般に精通をされている茂木大臣ならではの積極的な発信をお願いしたいというふうに思うわけですが、まず北方領土の問題について。  二〇一八年の外交青書においては、「北方領土問題は日露間の最大の懸案であり、北方四島は日本に帰属するというのが日本立場である。」とあります。二〇一九年、「一方、日露間の最大の懸案となっているのが北方領土問題である。政府としては、首脳間及び外相間で緊密な対話を重ねつつ、領土問題を解決して平和条約を締結すべく、ロシアとの交渉に精力的に取り組んでいる。」という表現になっています。  領土問題、この部分、これは大臣就任前の話でありますけれども、当時、このような書きぶりに変わったということが、領土問題における後退というような形で報じられたということがありました。交渉相手であるロシアとの関係への影響について、また今後の対応についての大臣の姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
  168. 茂木敏充

    茂木国務大臣 北方領土、我が国が主権を有する島々でありまして、この立場に変わりありません。ロシア側が提起をしましたあらゆる論点についても、これまでの交渉の中で日本側の立場説明して、必要な反論もしてきているところであります。  もちろん、この問題についての日本側とロシア側の立場は違います。しかし、それを埋めなければ領土問題も解決できない。そして、平和交渉も、平和条約も締結できない。こういったことでありまして、一九五六年の共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速する、この両首脳の合意に基づいて、領土問題を解決し、そしてまた平和条約を締結する、この方針に変わりありませんので、その観点から粘り強く交渉していきたいと思っております。  昨年の十二月に、モスクワ、ラブロフ外相の招聘に応じまして訪れさせていただきまして、二日間、八時間にわたって交渉させていただきました。まさに交渉を今進めているところでありますから、その中身についてはつまびらかにできない部分はございますが、かなりお互い率直な意見交換ができ、そして、交渉を進める、そういう基盤が整いつつある、このように考えております。
  169. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 ありがとうございます。  外交青書において表現が変わったことによって、ロシアからどんどん追い込まれているというような状況は感じておられないということですよね。
  170. 茂木敏充

    茂木国務大臣 これは、交渉を、追い込む追い込まれると、いろいろ、そういうものではなくて、例えば日米の貿易交渉においても、決してライトハイザー通商代表から追い込まれたとも思っておりません。ただ、お互いに主張しなきゃならない部分を主張して、どういったところでお互いが一致できる点を見出すかということが重要だと思っておりまして、ラブロフ外相とも、そういう観点からじっくりこれからも交渉していきたいと思っています。
  171. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 ありがとうございます。  次は、イニシアチブをとって頑張っていただきたいという問題なんですが。実は、一月、愛知県警が、東南アジアでの関税の追徴課税を逃れるために相手国の公務員に七百三十五万円の賄賂を贈ったということで、不正競争防止法違反で日本の会社を書類送検したというふうに報じられています。  このような例だけではなくて、事業の発注に際して、まだまだ国際的には賄賂が横行している慣行がある、あるいは、向こうに行ったらその慣行に従わないとしようがないんだというようなこと、我が国企業の中でも、現地で仕事をされる方々からよく聞かれる話でもあります。また、それによって、賄賂を上乗せしない我が国企業がなかなか競争で勝てないんだというような話もお聞きをすることがあります。もう嘆きと言ってもいいかもしれません。  ですけれども、国際的にも賄賂は当然だめなものでありまして、一九九九年に発効したOECD外国公務員贈賄防止条約においての取決め、あるいは日本はどのように評価をされているか、御報告をお願いします。
  172. 山上信吾

    山上政府参考人 お答えいたします。  まず、外務省としての基本的な考え方でございますが、企業活動のグローバル化の進展に伴いまして、日本企業が海外で贈賄事件に巻き込まれる、あるいは関与する、こういったことを防ぎ、公平な競争条件のもとで活発な企業活動が行えることを確保すること、こうしたことは極めて重要であると考えております。  こうした基本的考え方に立ちまして、では、どういう方策を講じているかということでございますが、一つには、外務省といたしましては、外国公務員贈賄防止担当官なる担当官を在外公館に配置しております。二百二十の在外公館に上ると承知しておりますが、こうした担当官を通じまして、贈賄事件に係る法人、日本企業からの相談や問合せに対応できるようにしております。  また、腐敗対策ということでは、海外において日本企業が賄賂を求められることがないよう、諸外国に対し腐敗対策の取組を推進しているところでありまして、例えば、こうしたことの例としましては、昨年のG20の大阪サミットがございます。このサミットにおきましては、日本の主導により、腐敗との闘いに関するG20としてのハイレベルの協力を追求するとともに、G20として外国公務員贈賄を犯罪化するための国内法の整備を促進していくこと、こうしたことを大阪の首脳宣言において確認したところでございます。  また、委員御指摘のOECDの当該条約でございますが、この条約に関しましては、アジア地域へのアウトリーチ活動を行っております。アジア開発銀行とOECDのアジア太平洋腐敗対策イニシアチブなるものでございますが、日本といたしましては、このイニシアチブにも積極的に参加し、腐敗対策のための国内法整備等に関する取組に貢献しているところでございます。  日本といたしましては、日本企業が安心して活動できるよう、贈賄等の腐敗対策を通じた公平な競争条件の確保に向けた国際協力を今後とも推進してまいりたい、かように考えております。
  173. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 日本はクリーンにやっていきたいんだということを訴えをしていくということなんですけれども。  もちろん、今回のIR事業でも現職の国会議員が中国のカジノ企業からの賄賂の疑いで逮捕されるなどのような事件もあり、日本も完全に大丈夫だと言える状況にはないという一面もあるわけですけれども、一般的に贈収賄に関しては厳しい態度で臨んでいるということをエビデンスを持ってしっかりお伝えをいただくとともに、八年前ですけれども、シベリア鉄道で料金以外にも護衛料というものを取られていたということを指摘して撤廃するなどというような形で、これまでも日本の交渉実績もありますから、ここは強い発信、しっかりしていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  174. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そのようにしたいと思います。
  175. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 ありがとうございます。  私、テレビ局の記者の出身でありますから特に思い入れが強いのですけれども、報道の自由、これは民主主義社会にはなくてはならないものであり、民主主義の成熟度のバロメーターとも言えます。  日本に一番厳しい国境なき記者団のランキングでは、この政権発足前は先進国としてまあまあ当たり前の十位台というようなところでありましたけれども、二〇一九年には六十七位、いわゆる先進国が三十数カ国であることからしても、到底、先進国とは言えないレベルとなっています。ほかのもう少しましなランキングもありますけれども、公文書の廃棄や黒塗り、白塗り、あるいは記者への恫喝、マスコミ経営陣と政府首脳の会食など、指摘されている問題をしっかり受けとめなければ、対外的な情報発信に欠かせないメディアの信用を更に失うという事態になりかねません。  大臣の考えと今後の取組について、お尋ねをします。
  176. 茂木敏充

    茂木国務大臣 御指摘のランキングについては承知をいたしております。個別団体の発表についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で、民主主義の根幹をなします言論の自由、そして報道の自由を尊重すべきことは当然のことと認識をしておりまして、機会を捉えて、そういった我が国立場説明していきたいと思います。  同時に、メディアというのも大きく時代とともに変わっております。もちろん、さまざまなメディア、何というか、少なくなったから重要性がなくなるというわけではありませんけれども、今ちょうどアメリカ大統領選挙が行われておりますが、恐らく、一九五〇年代までのアメリカ大統領選挙、ラジオが中心で討論会が行われた。それが、一九六〇年、ケネディ、ニクソンの大統領選挙、初めてテレビで報道される。テレビ番組を見ていた人はケネディ大統領が勝っただろう、そして、ラジオを聞いていた人はニクソン候補が勝っただろうと。結果的には、僅差でケネディ大統領が勝利をする。時代がだんだんラジオからテレビに移っていく。  同時に、今、インターネット、こういう時代を迎えるわけでありまして、既存のメディアもそうでありますし、新しく、個人が発信をする、こういうメディアも含めて、さまざまな報道であったりとか発信、これに対して日本としてもしっかり対応していくことが国力を高めていく上でも重要だ、こんなふうに考えております。
  177. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 ありがとうございます。  先進国としてちゃんとやっているよ、どんと構えているよというようなことを含めて、しっかり発信をしていただきたいと思います。  環境問題についてもやろうと思いましたが、ちょっと済みません、後の時間がありますので、以前も大臣が共感できるというふうにコメントされていますけれども、グレタ・トゥンベリさんの訴えに象徴されるような国際世論、それに対して、日本がどのような形で評価をされていくかということについても、しっかり発信をしていただきたいというふうに思います。  さて、女性問題なんですけれども、九月、国連のUHCハイレベル会合に続いて、二〇一九年、去年の十一月、ケニアで開催をされました国際人口開発会議二十五周年ナイロビ・サミット、これで、日本のコミットメントを発表されています。  ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を推進することにより、国際人口開発会議の行動計画の残された課題に取り組むということ。当時、駐ケニア日本大使館の堀江大使が参加をされていますけれども、特に、人道危機状況に置かれている人々、女性や少女に性と生殖に関する健康に関するサービスを享受できるように最大限の努力をする必要性、また、人口問題、特に少子高齢化、都市化に関する日本の知見を国際社会と共有するだけでなく、日々の、生涯を通じた政策実施の面でも取り組むというようなことで言っておりまして、高い評価を受けたわけなんですけれども、これについて、その後、どんな形で取組しているよ、あるいは取組していくよというようなお話がありますでしょうか。
  178. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 お答えいたします。  ただいま委員御指摘のとおり、昨年九月、国連総会におきまして、UHCをテーマとしたハイレベルの会合を初めて開催されまして、全会一致で政治宣言が採択されたところであります。  この宣言の中には、二〇三〇年までに性と生殖に関する保健サービスを全ての人が利用できるようにする旨が記載されておりまして、これは、我が国を含む全ての国連加盟国が、UHC達成に向けて、女性の性と生殖に関する権利を重視しているということのあらわれだというふうに言えると思います。  なお、この宣言の取りまとめに当たりまして、我が国は、五十カ国以上から成るUHCの有志グループを立ち上げまして、その議長として取りまとめに貢献したところであります。  また、昨年の十一月のナイロビ・サミットにおきましては、我が国政府代表の演説におきまして、女性と女児が脆弱な環境下に置かれ、最も支援が届きにくい人々だということに注目して、こういった女性と、性と生殖に関する権利を重視する、そのアクセスとサービスを保障すべきだということを表明しますとともに、超党派の議連を代表する形で国会の議員の方々にも参加していただいて、演説を行ったところでございます。
  179. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 まあ、やったということなんですが、その後のフォローがどうなっているのかという質問でありまして、私も国際人口問題議員懇談会のメンバーということで取り組んでいるわけなんですが、今回の補正予算でも、国連人口基金への約十億円の予算が拠出をされています。開発途上国における人口増加に対して、あるいはこれからの少子高齢化に向かう新興国に対して、あるいは今のセクシュアル・リプロダクティブヘルス、こういった面に関して取組をしていくんだということ、宣言はされていますけれども、その後、あるいはこれからどうやっていくんだというような部分、大臣にお聞きをしたいんですが。
  180. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、女性活躍、これは途上国においてはどうしても社会政策的な側面を持つ部分はあるんですが、国際社会全体として、若しくは途上国も含めて、長い目で見たら、これは単なる社会政策として捉えるのではなくて、経済社会に多様な視点や新たな創意工夫をもたらし、社会の活力を生み出す大きな源になる、こういう前向きな捉え方が重要だと考えております。  日本政府として、国際女性会議、WAW!を過去五回開催したほか、昨年のG20大阪サミットにおいて女性のエンパワーメントに関する首脳特別イベントを開催する等、ジェンダー平等に向けた積極的な発信を行ってきているところであります。  四月に開催を予定しておりました第六回のWAW!につきまして、主たるテーマをWAW!ウイズ・メン、男性と一緒につくるWAW!、固定観念から自由になろう、こういった形で開催しようとしておりましたけれども、残念ながら、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を踏まえて延期することになったところであります。  ただ、我が国として、この問題に取り組んでいくというコミットメントは、変わらず、しっかりした取組を今後とも進めていきたいと思います。
  181. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 ありがとうございます。  三月八日は、国連が制定をした国際女性デーでございます。千三百二十五号を始めとして、女性の権利や尊厳を保障するということ、女性の命や健康を守る、特にジェンダーに基づく暴力を削減、なくすということが重要になってくるかと思います。  特にジェンダーギャップ指数、これは深刻で、特に政治分野においては、議員立法成立時にも私は事務局を務めておりますけれども、絶望的に低い状況にもあります。これは、我々男性議員、あるいは大臣も男性でありますから、男性がしっかり取り組んでいくということが、この女性問題をやっていくという中では非常に重要な部分ではないかなというふうに思っています。  今ちょっと一部言っていただきましたが、取組の意向をお願いいたします。
  182. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、男性だ、女性だ、そういった区分とか区別をなくしていく。バリアフリーの世界でもそうだと思うんですけれども、肉体的なバリアフリーと同時に、精神的なバリアフリー、これを取り払っていくことが必要でありまして、この中でも、やはり、女性の議員の方もたくさんいらっしゃるな、こんなふうに思っておりますけれども、特にそういった方の方が、さまざまな意味で発言力が強いなと思っております。それについてはいろいろ異論があるところもあるかもしれませんけれども。  こういったやはり多様な意見を国政の場にも取り入れていく、また、さまざまな社会の場に取り入れていく、率直に言って、日本はおくれているのは間違いないんですから、そういう認識を持って取り組む必要があると思っております。
  183. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 そうですね。私は、この間、政治改革、倫選特などでも議論をしてきていますけれども、クオータ制であるとか、あるいは政党ごとにしっかり女性候補を擁立するであるとかも含めまして、きちんとやっていかなきゃいけないなというふうに思っております。  それでは、女性問題についてはしっかり取り組んでいただくということと、次は水問題ですね。  ラスト、水問題ということで、水循環基本法作成時の事務局長として、私自身、ライフワークとして取り組んでおるところでございます。今回は、日本が得意とし、また、これまで実績を上げてきた水と衛生分野のODAについて、水、衛生分野のODAの所得別、グループ別の実績値について御報告をお願いします。
  184. 塚田玉樹

    塚田政府参考人 水、衛生分野のODAの状況でございますが、二〇一八年の日本の水、衛生分野のODAは、低中所得向けが約五九%、後発開発途上国及び低所得国向けは約一九%というふうになっております。
  185. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 その中には、どうやら、河川開発であるとか、直接水というようなところでない部分も入っているというようなことで指摘をされているところでもありますが、水の支援はニーズから優先国を決めるべき。例えば、アメリカのウオーター・フォー・ザ・ワールド・アクトなどのようなものもありますけれども、ニーズの高いところ、より多くの人に水が届くようにするというようなことが命の基本的な部分でありますので、しっかりこれは検討していただきたいというふうに思います。  また、よりきめ細かな援助のために、JICA経由だけではなくて、NGO経由という部分についても拠出をふやしていくべきだというようなことも現場からよく言われるところなんですけれども、その部分はいかがでしょうか。
  186. 鈴木秀生

    鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。  外務省は、日本の国際協力NGOを、顔の見える開発協力を行う上で重要なパートナーであるというふうに重視しております。開発協力大綱においても、開発現場などの多様な考え方、ニーズをきめ細かく把握し、状況に応じて迅速に対応できるNGOそして市民社会との連携を強化するということにしております。  特に、委員御指摘の水、衛生分野においては、日本NGO連携無償資金協力及びジャパン・プラットフォームを通じて、平成三十年度において総額約十八億円の日本NGOを通じた支援を実施しているところでございます。  例えば、エチオピアにおいては、安全な水へのアクセス率が一〇%未満の遠隔地で、簡易水道設備の設置と保健衛生教育を行う事業を実施しております。これにより、一万二千人の住民に安全な水を届けるのみならず、児童及び女性による過重な水くみ労働負担の改善、そして、下痢等の水因性疾患の罹患率の軽減にも寄与しているところでございます。  NGOから優良事業の申請があれば、引き続き、政府として、可能な限り支援をしっかりしていきたいというふうに考えております。
  187. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 ありがとうございます。  特に、この水と衛生の分野については、日本は大変実績を上げてきているという部分でもあり、より細かく、きめ細かくというようなところについて努力をいただきたいと思うと同時に、最初からのこの議論のテーマであります、発信の仕方というのが大事だと思っています。世界で一番頑張っているというような部分の一つであるかと思います。  日本政府より積極的に発信もすべきで、ことしは、前回のミャンマーで行われたアジア・太平洋水サミット、うちの高校生の息子も見学に行きましたけれども、このサミットが日本で、熊本で行われるということでございます。このような機会なども捉えてしっかり発信をしていただきたいと思いますが、大臣、よろしくお願いします。
  188. 茂木敏充

    茂木国務大臣 水と。この宇宙の中で、地球以外に生命体が存在するかどうかわかりませんが、まさに、生命体をこの地球という星で生んだ根本が水であります。同時に、ナイルは、エジプトはナイルのたまものと言われるように、文明が発達する、そこには水があったということでありまして、水分野は、SDGsゴール6に全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保するとして掲げられている重要な課題の一つであります。  御指摘の、本年十月に熊本で開催をされます第四回アジア・太平洋水サミットでは、首脳級を含みますハイレベルで水問題の重要性を確認し、具体的な資源の動員や行動を促すことによって、日本を含みますアジア太平洋地域の災害リスクの減少につなげていきたい、こんなふうに思っております。  日本はやはり、稲作もありまして、水の利活用ということについては長い歴史を持っております。一方で、台風であったりとか洪水の被害ということでさまざまな経験もしているわけでありまして、こういった日本の経験と教訓に基づいて、国際社会においてリーダーシップを発揮していきたいと思います。
  189. 森山浩行

    ○森山(浩)委員 ありがとうございます。  天皇陛下も水が御専門であられて、いろいろな国際会議でも発信をされておられます。政府の方からもしっかり頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  190. 松本剛明

    松本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  191. 松本剛明

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田賢司君。
  192. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 私は、自由民主党の山田賢司でございます。  質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、役所の皆様方におかれましては、新型コロナウイルス対策を始め、日々お忙しい中、御奮闘いただいておりますことに敬意を申し上げたいと思います。  とりわけ外務省におかれましては、武漢発の新型ウイルス感染が騒がれ始めた初期の段階で、在武漢の邦人退避を調整していただき、一月二十八日にはチャーター機の第一便を送り、その後、五回にわたり邦人退避を迅速に実施していただきましたこと、国民の一人として感謝を申し上げたいと思います。  日本政府の取組に対しては、さまざまな御意見もあろうかと存じますが、現実の数字が示すとおりに、感染拡大を一定程度に抑え込んでいるということは評価されるべきだと存じます。その上で、現場最優先で感染拡大防止に全力を挙げていただきたいと存じます。  幾ら拡大防止あるいは治療を行っていったとしても、新たに入ってくる感染者を抑えないことには意味がありません。そこで、入管法による入国規制についてお尋ねをしたいと思います。  この質問を通告してから、昨日夕刻に、中国全土からの入国制限するとの報道が流れておりました。中国全土からの上陸拒否ではなくて、あくまで検疫法に基づく停留ということで、入管法に基づく上陸拒否の対象は、湖北省浙江省に十四日以内に滞在歴がある外国人、同省発行の旅券を所持する外国人という理解でよろしいでしょうか。もしそうだとするならば、両省における滞在歴があることをどのように把握しておるのか、法務省の方からお答えをいただきたいと思います。
  193. 佐藤淳

    佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおりでございまして、中国に関して言いますと、入管法五条一項十四号に基づきます上陸拒否は、十四日以内に湖北省又は浙江省に滞在歴のある外国人、それから、両省で発行された旅券を所持する中国人が対象となります。  その上で、対象者の把握についてですけれども、まず、航空会社に対しまして、これまでの閣議了解に基づく措置を周知しておりまして、一次的には、航空会社におきまして、本邦向け航空機の搭乗手続のスクリーニングにおいて適切に対応しているものと思っております。  さらに、出入国在留管理庁におきましては、中国便及び韓国便で到着する外国人の上陸審査におきまして、日本語、中国語、韓国語等で記載された確認票を用いまして、十四日以内の対象地域の滞在歴の有無を申請者に申告させた上で署名を徴しておりまして、審査官は、その申告内容のみならず、旅券に記された出入国歴なども参考にして滞在歴を確認しております。あわせて、中国人につきましては、旅券の発行地を確認しております。  なお、確認票には、虚偽の回答をした場合、退去強制や処罰の対象になり得る旨を付記しておりまして、これにより、一定の抑止効果はあると考えているところでございます。
  194. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  一定の抑止効果は当然あるんだろうとは思いますけれども、あくまで自己申告なんですね。湖北省とか浙江省から飛行機で出るという場合は、それはわかるでしょうけれども、例えば、北京から入って、その後、浙江省に行ったとか湖北省に行って、また北京から出る人が正直に申告しなかった、その場合は、そのまま抜けてきてしまうということになってしまうんですね。  そこで、外務省にちょっとお尋ねしたいんですが、他国は国単位で入国の可否を判断している。例えば、中国から、日本からといった国単位で判断していると思いますけれども、国内の省、例えば都道府県だとかという形で分けていないと思うんですけれども、中国の何々省と、省を特定して制限をしている、あるいは日本の都道府県を特定して入国拒否の対象としているという国はあるんでしょうか。
  195. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  中国を始めとします各国、地域におけます新型コロナウイルス感染症確認を受けまして、一部の国、地域関係当局は、感染者の所在する国、地域からの渡航者入国制限等を行っております。  委員お尋ねの、中国の特定の省からの渡航者入国制限している例としましては、韓国、また香港が、湖北省に滞在歴のある外国人について、入国又は入境禁止措置を講じているというふうに承知をしてございます。  それから、日本の個別の都道府県や市町村に限定をして入国措置を講じている例ということでございますが、まず、日本だけに対して入国制限措置を講じている国はございません。  その上で、ロシアのサハリン州でございますが、北海道からサハリン州に到着をした外国人に対しては、症状の有無にかかわらず、十四日間、検疫施設にとめ置く措置をとるということを発表していると承知をしております。  また、マレーシアでございますが、マレーシアも、十四日以内に北海道あるいはイタリアの一部地域、イランの一部地域に滞在した渡航者によるマレーシアへの入国を一時的に禁止をするということを決定したと承知しております。
  196. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  確かにそういう例もあるということなんですが、今挙げていただいた国以外は、ほとんどが国単位で制限をしているということだろうと思っております。  そこで、お配りしております資料一の方、これは、日経新聞の方で中国感染地域のマップというのを出していただいております。  数字で見るより、こういったマップ、ビジュアル化した方がイメージが湧きやすいんですが、当初、中国は、武漢を閉鎖した、だからそれ以外のところには出ていないんだ、だから湖北省から来るやつだけをとめればいいんだという説明を我々は受けていたんですが、もう既に自由にいろいろな人の動きがあるので、この図で見ていただけるように、中国全土にわたって感染者が広がっているということでございます。  そこで、日本も、他国と同様に、多くの国と同様に、国単位で入国の可否を判断して入国拒否の対象としてはどうかと考えますが、これはなぜそういうふうにしないのか、これまた入国管理庁の方から教えていただきたいと思います。
  197. 佐藤淳

    佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  政府におきましては、これまで新型コロナウイルス感染症感染が深刻な地域につきまして、さまざまな情報や知見に基づきまして検討し、政府対策本部において報告、公表してきたところでございます。  法務省は、これを踏まえて、入管法五条一項十四号に基づきまして、迅速に上陸拒否の措置を講じることとしておりまして、これまで、先ほどの中国の二省、それから韓国大邱広域市、また慶尚北道清道郡、それから、今回新たに、さらに慶尚北道の一部とイランの三州を対象地域として追加することとしたところでございます。  さらに、加えまして、今般、中国及び韓国に所在する日本大使館等で発給された査証の効力が停止され、また、香港、マカオ及び韓国に対する査証免除措置が停止されることとなると承知しております。  これによりますと、対象者は、入管法七条一項一号に定める有効な査証を所持していないこととなりまして、上陸の条件に適合しないとして、上陸を拒否し、退去を命ずることとなります。したがいまして、中国及び韓国からの新規入国者はほぼいなくなるということでございます。  いずれにしましても、感染症感染拡大が時々刻々と変化している中で、上陸拒否の措置の対象地域をどのように定めるべきかにつきましては、政府全体としてのさまざまな情報や知見に基づく検討を踏まえまして、法務省としても今後とも弾力な措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
  198. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  御説明をいただいたんですが、余り答えがかみ合っていないようなんですけれどもね。  確かに、中国ビザを発行している人のビザの効力を停止しても、中国人だけとは限らないわけですね。中国全土におられる外国人の方で入ってくることもできるわけで、なぜこの中国全体という、別に日本だけが特別なことをしろと言っているわけではなくて、ほかの多くの国は国単位で制限をしているということなんですね。それがなぜできないのかということを聞いていたんですけれども。  これは、別に中国を毛嫌いするとかどうこうということではなくて、友好関係が崩れるという問題ではないと思っているんですね。実際に、日本の友好国であっても、日本からの入国禁止している国がある。だからといって、日本はその国と、じゃ、おまえのところが入国禁止にするんだったらもうつき合わないと言うかというと、そうではなくて、お互いに感染防止をとめようということですから、そういう意味では、きっちりととめるものをとめて感染拡大防止する、この方がいいのではないかというつもりでお聞きをいたしました。  その上で、なぜもっと早く全面的にとめられなかったのかということをお聞かせいただきたいと思います。  既に、報道等では、一月末時点で六十二カ国が中国からの入国禁止しておりました。中国との外交関係の悪化を懸念したのか、それとも中国からの観光客をとめることによる観光業への影響懸念したのか、この辺についての見解をお聞かせください。
  199. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  これまで政府といたしましては、新型コロナウイルス感染症の国内での蔓延を防ぐために、前例のない抜本的な対策を講じてまいってきております。  外務省におきましては、先ほど来御答弁申し上げていますように、感染症の危険情報の発出をしたり、スポット情報を発出したりして、在留邦人の安全確保のために積極的かつ機動的な措置を講じてきております。  今般、諸外国での感染拡大する中で、国内対策はもとより、機動的な水際対策についても引き続きちゅうちょなく断行していくことは不可欠であるということで、積極果断な措置を講じることとしたものでございまして、先ほど入管庁の方から御説明があったとおりでございます。  これまで中国の一部の地域に限って講じてきたわけですが、これは、政府全体として、現地感染状況の悪化等、さまざまな状況を総合的に判断した上で措置をとってきたということでございまして、外交関係の悪化あるいは観光業への影響、こういったものを懸念したから、だからとらなかった、こういうことではないというふうに承知をしております。
  200. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 そういったものを勘案したのでなければ、感染拡大状況を見れば、諸外国が既に迅速に入国拒否をしているんですから、日本もそうすべきだった。ただ、終わってしまったことはもうしようがないので、これから徹底をしていただきたいというふうに考えます。  続きまして、世界保健機構、WHOについてお尋ねをしたいと思います。  当初、このテドロス事務局長という方が、非常事態宣言は不要だとか、渡航制限は勧めないと主張する、あるいは、事態を過小評価して中国を擁護したり、場合によっては称賛するなどしておりました。結果的に世界じゅうに感染拡大させたというテドロス氏は、グローバルな保健問題についてリーダーシップをとるべきWHO事務局長としては不適任ではないかと考えておりますが、解任を求めるべきではないでしょうか。
  201. 佐原康之

    佐原政府参考人 お答え申し上げます。  国際機関の長の資質や個別の発信内容について見解を申し上げることは差し控えたいと思いますが、一般論としては、WHO事務局長は、どの加盟国に対しても、科学的知見に基づき、専門的な立場から公衆衛生上の助言や支援を行うことが求められていると考えております。
  202. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 それも余り答えにはなっていないんですけれども。まあ、与党ですから余り突っ込みませんけれども。(発言する者あり)突っ込みましょうか。  要は、フランスのル・モンド紙なんかも、これは中国の圧力を受けているのではないかという指摘までされておるわけですね。  そこで、お配りしております資料三に、WHOに対する日本中国のそれぞれの分担金、任意拠出金というものを比較した資料を厚生労働省からいただきました。さぞかし中国は金をいっぱい出しているからそれでWHOが買収されているのかと思ったら、そうでもなくて、WHOの分担金はGDPに基づいて機械的に割り振られているものの、任意拠出金は、日本は第四位、八千六百万ドル出しているのに対して、中国は二十一位、六百万ドルちょっとしか出していないんですね。  ということは、これは、逆の言い方をすると、中国は少ない資金で物すごく大きな影響力を行使できているということで、中国の方が要領よくやっているのではないかという気がするんですね。  これを反省しないということであれば、改善を求める意思を示すためにも、同機関に対する任意拠出金をとめてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
  203. 佐原康之

    佐原政府参考人 お答え申し上げます。  これまで日本から、WHOの任意拠出金は、国際保健分野における諸課題への取組を強化することを目的に、特に我が国の国益に資する分野を中心に拠出をしてまいりました。今後とも、任意拠出金をどのように出すか、また、その際の出し方については、WHOとしっかりコミュニケーションをとりながら、戦略的に検討していきたいと思っております。
  204. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  まさに国益に資する使い方をするという意味では、たくさん出すのも一つの使い方ですが、とめるというのも一つの効果ですから、国益に資するようにとめるという選択も含めて考えていただきたいというふうに思います。  続きまして、これはほかの委員からもありましたけれども、台湾WHOから締め出されております。  中華民国、台湾の領域内において中華人民共和国政府が衛生状況を把握しているわけでもなく、医療政策を行っているわけでもありません。感染症拡大防止というのは世界的な課題であり、空白地域をつくらないためにも、台湾オブザーバー参加を認めるよう日本政府としても積極的に後押しすべきと考えますが、いかがでしょうか。
  205. 高杉優弘

    高杉政府参考人 お答え申し上げます。  国際化の進展に伴い、地球規模の課題が増加している昨今、世界的な公衆衛生危機対応強化は不可欠と認識しております。  こうした観点から、我が国といたしましては、従来より、国際保健課題への対応に当たっては地理的空白を生じさせないべきであると考えておりまして、この立場をこれまでもWHOで一貫して主張してきております。  今回の新型コロナウイルス感染症をめぐっても、これ以上の感染拡大防止する観点から、この地域の全ての国及び地域の知見を最大限活用し、この地域が一体となって万全の対策を可及的速やかに講じる必要があると考えております。  引き続き、あらゆる機会我が国立場を主張してまいりたいと考えております。  以上です。
  206. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  お配りしております資料、前後しますが、二の方ですね、これはWHOのホームページからとってきた資料なんですけれども、中国国内の各省、地域が書かれているんですが、その下から五行目をちょっと見ていただきたいんですが、台北。台湾中国の中に入ってしまっているんですね。  先ほど申しましたように、中華人民共和国政府台湾の中に入って何か衛生状況を管理しているわけでもないのに、これをまとめて計上しているということなんですね。台湾と中華人民共和国とは全く別です。これを国として、国家として承認するかどうかは別として、全く政府も別でございます。こういったことも、台湾をきちんとオブザーバーに入れて、実際に衛生管理をしている者の意見を反映させるべきだというふうに考えます。  台湾に関しまして、同様に、これも先ほどほかの委員からもありましたが、中国人がトップを務める国際民間航空機関ICAOでも台湾が締め出されております。  政治的な問題ではなくて、航空安全の確保の観点からも、台湾を加えて情報共有すべきであり、日本政府としても、この点、台湾参加をぜひ後押ししていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  207. 高杉優弘

    高杉政府参考人 お答え申し上げます。  我が国としましては、従来より、アジア太平洋地域における航空安全を向上させるという実務的な観点から、国際的な航空コミュニティーの全ての活動的なメンバーのICAOフォーラムへの実質的な参加を支援しておりまして、この立場をこれまでもICAOで一貫して主張してきております。  この観点から、台湾が実質的な形でICAO参加することが望ましいと考えております。  引き続き、あらゆる機会我が国立場を主張してまいります。
  208. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  米国では、三月四日、台湾の外交的孤立を防ぐように、台北法案が下院で可決されたと聞いております。日本政府におきましても、ぜひ台湾の国際参加への積極的な支援をお願いしたいと思います。  続きまして、国際機関国連における人材の増強ということに関連しましてお伺いしたいと思います。  中国は、国連において多数の主要ポストを占めております。国連食糧農業機関国連工業開発機関国際民間航空機関、国際電気通信連合など、重要な機関のトップに多数ついております。今般の世界知的所有権機関、WIPOの事務局長選挙でも次点まで争っておりました。  中国国連の中で多数の重要な機関のトップについている要因は何だというふうに分析されておるでしょうか。お聞かせください。
  209. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答え申し上げます。  現在、御指摘のとおり、国連の四つの専門機関において中国出身者が長を務めております。  国連専門機関、それぞれ選挙によって長を務める者を選出しております。候補者は、各国政府の判断で擁立されております。  そのような中、他国のことではございますが、中国国際機関のトップのポストに意識的に候補者を擁立し、支持要請に相当な力を入れていると考えられます。
  210. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  やはりそういうことだろうという気がしますね。  日本も、国連機関のトップとしては、国連防災機関、UNDRRの水鳥さん、こちらのお一方のみであります。  我が国は、国連に対してこれまでも多額の分担金、拠出金を出してきましたが、それほどたくさん主要なポストがとれているというわけではありません。  これは、要するに、資金の負担の問題ではないんじゃないか。人材の問題、あるいは、戦略的にここへ入れていこうという意思の問題ではないかというふうに考えております。  実際に、昨年、御逝去されましたけれども、IAEAの天野之弥さんやUNHCRの緒方貞子さんといった、世界から尊敬される人材もいらっしゃったことは事実です。ただし、これは、属人的に優秀な方がいて、その方がトップについただけであって、国を挙げて戦略的に、この分野が重要だから、ここへ優秀な人材を、トップをとりに行こうという形で動いたわけではないんだろうなと思っております。  ですので、資金の問題ではなくて人材の問題だということであれば、任意拠出金に多額の予算を充てるのではなく、その予算をむしろ優秀な人材の獲得や育成に充てて、重要な機関のトップをとれるように注力することが国益にかなうのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  211. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答え申し上げます。  外務省国際機関への任意拠出金は、近年減少傾向にございます。国際機関における発言力を維持し、外交政策を効果的に遂行するため、めり張りをつけつつ重要な分野に適切に拠出金を出していけるよう、意義、重要性について十分御理解を得ながら進めてまいりたいと存じます。  人材育成につきましては、外務省として行っております若手の国際機関職員に向けた研修等を実施しつつ、各種国際機関の主務官庁と緊密に連携して優秀な人材の育成に取り組んでまいりたいと存じます。  外務省といたしましては、茂木外務大臣の指揮のもと、省内各局、在外公館、さらに関係省庁と一丸となりまして、戦略的なポスト獲得に取り組んでまいりたいと存じます。
  212. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  言葉で言うとそうなのかもしれないんですが、なぜこの資料三の形で中国の分担金、拠出金との比較をしたかというと、中国は、お金を拠出しなくても影響力を行使しているということなんですね。だから、拠出金が減ろうが減少傾向にあろうが、しっかりとした人材を送り込んで戦略を立ててやっていくことで影響力は行使できるんだと思っておりますので、ぜひその人材育成に力を入れていただきたいと思います。  そこで、今の即戦力の人材も大事なんですが、将来国際機関で働く人材をふやすためには、裾野をどんどん広げていく必要があると考えております。もちろん、大学生だけではなくて、もっと若い中高生も含めて、若いときから国際機関で働くことに魅力を感じられるように工夫すべきと考えますが、これは副大臣、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  213. 若宮健嗣

    ○若宮副大臣 お答えさせていただきます。  今委員の御指摘は、大変重要な御指摘だと思っております。  国際機関は、安全保障、あるいは軍縮・不拡散、人権、人道、環境、保健、経済を始めといたしまして、実に幅広い分野で活動いたしております。いずれの機関にも、もちろん民間企業と同様に、会計や法務や人事や調達やIT関連などの管理部門もございます。あらゆる分野の方々が活躍できる場というのをより幅広く優秀な人材に関心を持っていただくというのは、非常に重要なことだというふうにも考えております。  今委員が御指摘になりましたように、中高生を含む若い方々、こちらに向けても、国際機関はもちろんですけれども、いわゆるグローバルに活躍できる人材を目指していただく、これも非常に重要な観点だと思っております。  私ども外務省といたしましては、大学生向けには外交講座、あるいは高校講座、あるいは教育機関と連携したセミナー等を通じまして、国際機関への入り方を含めて、国際的にどうやったら活躍できるのかという方を御紹介申し上げているところでもございます。  また、実際に活躍する国際機関の職員の姿を、ホームページですとか、あるいはパンフレット、あるいは外交青書なども通じまして御紹介を申し上げているところでもございます。  また、先ほど御指摘もいただきましたように、緒方さんあるいは天野さんのように、実際に活動された方、御活躍された方々も、ロールモデルとなるような存在もつくっていく、これも非常に重要なポイントだというふうに思っております。  引き続き、関係省庁とも連携いたしまして、若い方々も含めて情報発信をきちっとした形で進めてまいりたい、このように思っております。
  214. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。  昨今、公務員たたきとかで、ややもすると何かいろいろな批判があるんですけれども、子供たちにとっては、外交官というのは格好いい仕事でもあるんですね。国際機関で世界を股にかけて働くということに夢を持ってもらえるように、ぜひ皆さん方の活躍の姿を若い人たちに見せていただきたいというふうに思います。  そして、更に力を入れていただきたい分野の一つとして、国際裁判の部分でございます。  我が国が当事者となる国際裁判の強化の方策、体制、即戦力の人材確保、それに加えて、将来、国際裁判を含め国際的な共通ルールづくりの担い手を育てるという意味で、どのような取組を行っているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  215. 岡野正敬

    岡野政府参考人 委員御指摘のとおり、国際裁判、ますます重要になってきております。  まず、外務省では体制強化を行っております。二〇一五年に国際裁判対策室を設置し、国際裁判の手続に関する知見の蓄積を図るとともに、国際裁判に豊富な経験を有する法律事務所、法律家との連携を図っています。  このような体制とともに、将来に向けて、国際法の知見を有する専門家を育成することにも力を注いでおります。外務省では、毎年、新入省員向けに国際法の集中研修を行って、若手省員の人材育成に取り組んでいます。また、令和二年度政府予算案において計上している国際裁判対応強化人材育成事業等委託費というのがございます。ここでは、日本の大学院生や若手の法律実務家等を対象に、国際法、国際裁判に関する実務経験の機会を広げるために、国際機関等におけるインターンシップへの参加を支援するということを考えております。  今後とも国際裁判対策強化、人材育成に努めていく考えです。
  216. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ぜひお願いいたします。  そして、頭がいいだけだとか、あるいは正しいことを言っているから国際裁判で勝てるとは限りませんので、その辺も含めて、実務家、実務能力のある方をぜひ育てていっていただきたいと思います。  さらに、安倍政権においても法の支配を世界に呼びかけていっておりますが、その一方で、では、実は日本国内ではどうなのかというと、国際法に対する関心は非常に低いというふうに考えております。  外務省としてもぜひ国際法の関心を高めるように取組を強化していただきたいと思いますが、御所見をお伺いできますでしょうか。
  217. 岡野正敬

    岡野政府参考人 委員御指摘のとおり、日本国内での国際法に対する関心というのは、残念ながら低いものがございます。  このため、外務省としては、さまざまな形で日本国内、特に学生、実務家の間で国際法に対する関心が高まるような工夫をしております。  例えば外務省では、毎年、国際法学会との共催のもと、日本を含むアジア諸国の学生が参加する模擬裁判大会、アジア・カップというのをやっております。前年度、二〇一九年の大会では、当時の山田政務官から優勝チームに外務大臣賞を授与していただきました。このような裁判プロセスを通じて、日本のチームも参加しておりますので、国際法の魅力に触れる機会を設けるように努めているところでございます。  日本の国内の大学における国際法教育というのも重要かと思いますので、この点についても関係省庁と連携していく考えでございます。
  218. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  今、御紹介あったアジア・カップも、たしか優勝したのはフィリピンだったのではないかなというふうに記憶しておりますけれども、まさにフィリピンが置かれている状況中国とフィリピンとの間での国際裁判という、領土がとられるか、とられないかという本当に緊張感を持った中で、そういった学生たちも国際法に関心を持っているんだなと思っております。  翻って、我が国も四方を海に囲まれ、さまざまな領土、領海侵犯を受けている中、もっと日本人自身が危機感を持って、それに対抗するためには、武力で国際紛争を解決するのではなく、法によって解決していかなければならない。その上で、国際法というのは非常に重要だと思いますので、ぜひそういった取組を強化していただければと思っております。  続きまして、北朝鮮による拉致問題につきまして、先日の予算委員会分科会でも質問をさせていただきましたが、安倍政権の最重要課題であり、一刻も早く被害者の帰国を実現させなければならないという観点から、本日も質問をさせていただきます。  まず、二〇一八年まで我が国は北朝鮮人権状況決議案を長年にわたり、国連総会及び人権理事会において、EUとともに共同提出してまいりましたが、二〇一九年三月、国連人権理事会における北朝鮮人権状況決議に当たっては、日本は、北朝鮮に配慮したのか、共同提出せず、共同提案国にも名を連ねませんでしたが、その結果として、何か進展はあったのでしょうか。
  219. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  拉致問題を取り巻く諸情勢を総合的に勘案した結果、昨年三月の人権理事会においては、北朝鮮人権状況決議について、共同提出国にも共同提案国にもならないことといたしました。  拉致問題につきましては、外交上あらゆる手だてを尽くしてきており、北朝鮮に対しても、直接にも間接にも、かつ、さまざまなレベルでこれまで働きかけを行ってきております。  拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要でございます。拉致被害者の御家族も御高齢となる中、拉致問題を一日も早く解決することが必要でございます。  引き続き、米国等と緊密に連携しながら、あらゆるチャンスを逃すことなく、果敢に行動してまいります。
  220. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  あらゆる努力をしている結果、結果が伴っていればいいんですけれども、遠慮したからといって、何か交渉が進んだとか、帰ってきたというわけではありませんので、遠慮していても意味がないのではないかと思います。  そこで、また再び質問させていただきますが、国際刑事裁判所に付託してはどうかと、前回も御質問させていただきました。  北朝鮮による拉致というのは、ローマ規程で言うところの人の強制失踪、すなわち、人道に対する犯罪であります。累次の北朝鮮人権状況決議では、拉致問題を含む北朝鮮による人権侵害について、安保理による国際刑事裁判所、ICCへの付託を奨励する旨決められた国連総会決議を歓迎するとあります。にもかかわらず、一向に動いておりません。  もし安保理によるICCへの付託ができないなら、なぜ漫然と毎年同決議に記載をしておるのか、お聞かせください。
  221. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、北朝鮮人権状況決議の中には、安保理による付託についての言及がございます。  この文言につきましては、国連の場における北朝鮮の人権状況をめぐる各種のやりとりを踏まえ、関心を有する各国が議論を行い、決定され、触れられているものでございます。  政府といたしまして、現時点でICCへの付託を具体的に検討しているわけではございませんけれども、今後の取組につきましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するため何が最も効果的かという観点から、不断に検討してまいります。
  222. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  まさに、安保理への付託は考えていないということですけれども、先ほど来ずっとおっしゃっているように、米国を始め関係各国と緊密に連携してとか、あるいは、何が最も効果的かという観点から不断に検討していくということなんですが、ICCへの付託をしてくれと安保理に働きかけることもしないということは、これ以上に何か効果的なことをやっているのであれば教えていただきたいと思います。
  223. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要との考えから、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するため何が最も効果的かという観点から、不断に検討してまいります。
  224. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 まあ、政府答弁というのは、何回もお伺いしておりますので、最終的には答弁としてはそうなるんだろうけれども、これを見ていらっしゃる国民の方々がどう感じるかだと思うんですね。  もちろん、交渉事、相手のあることなので、本当に動いているのであれば、機微にわたる交渉の過程を、経緯をつまびらかにする必要はないというふうに考えるんですが、何を聞いても、今おっしゃったような、何が最も効果的かという観点から不断に検討していくという答弁。その結果、一人でも二人でも、あるいは全員帰ってくるということであれば、まだ、なるほど、よくやってくれているんだなということになるんですけれども、どうもその動きが見えてこないような気がいたします。  政府は、北朝鮮に対してプレッシャーをかけようと考えているのか、それとも金正恩が機嫌を損ねないように顔色をうかがっているのか、どちらなのでしょうか。副大臣、お聞かせいただけますでしょうか。
  225. 若宮健嗣

    ○若宮副大臣 お答えさせていただきます。  委員外務の政務をなさっておられたので、いろいろとよく御承知のところだと思います。  また、今、政府参考人からも御答弁申し上げさせていただきましたけれども、私ども日本といたしましては、拉致と核とミサイル、この三点というのが本当に包括的に解決をするために、包括的に解決するために何が効果的かということを、最重要な観点というふうに思っているところでございます。  その上で、一昨年来、アメリカとそれから北朝鮮の中でのトランプ・金正恩会談、何度か実施をされました。そういった様子を見ながら、しっかりと国際社会と緊密に連携をしながらこの安保理決議を完全に履行していく方針には全く変わりはないところでございます。しっかりと、私どもの対応も、自分自身のこととして解決をしていかなきゃいけない。これは日本政府立場でもございますし、委員も御指摘のとおり、拉致問題というのは、この安倍内閣においても最重要課題でございます。まずは、本当に主体的に取り組むこと。  そしてまた、確かに、先般も私は総理と御一緒に御家族の皆様方とも面会をさせていただきました。本当に、御高齢になる中、あるいはお亡くなりになる方も少しずつ出ておられるのも現実でございます。そうした中、あらゆるチャンスを逃すことなく、一刻も早く具体的な、委員おっしゃるとおり、成果に結びつくように、果断に努力をしてまいりたい、このように思っております。
  226. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ぜひよろしくお願いいたします。  続きまして、ウイグルの問題についてお伺いをしたいと思います。  ウイグルにおける人権弾圧について、日本政府の認識をお聞かせいただけますでしょうか。
  227. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  政府としては、国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配が、中国においても保障されることが重要であると考えておる次第でございます。  こういった観点から、新疆ウイグル自治区における人権状況についても懸念を持って注視しておるというところでございます。また、国際社会の関心が高まる中で、中国政府が透明性を持った説明を行うということが重要かと考えております。  こうした我が国立場につきましては、さまざまな機会を捉えて中国側に伝えてきておりまして、昨年末の習主席との首脳会談においても、安倍総理から働きかけたところでございます。  引き続き、我が国の考えをしっかりと中国側に伝えてまいりたいと考えております。
  228. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  人権状況に対して懸念を持っているというのはもうそのとおりなんですけれども、中国政府が言う再教育施設という名の強制収容所に拘禁され、家族とも連絡がとれず、洗脳教育や拷問、民族浄化も行われていると報じられております。その認識はあるのでしょうか。  米国は、ウイグル人権法を上院に加えて下院でも可決しました。日本は傍観者でいいのかという思いがあります。  日本に帰化して日本国籍を有する方もいらっしゃって、実際に家族と連絡をとれないという相談も受けております。日本政府としてどういったことができるのか、お聞かせください。
  229. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  まず、先ほど申し上げましたとおりで、政府といたしまして、基本的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配、中国においてしっかり保障されるということが大事だというふうに考えております。  そうした中におきまして、御指摘のようなケースがあるということは我々としても承知をしておるところでございますけれども、個別の案件への対応につきましてお答え申し上げるということは差し控えさせていただければと考えております。
  230. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  これを言うと中国が大変嫌がると言うんですが、私は別に中国と仲が悪くなれと言っているのではなくて、中国との友好は大切なんですね。ただし、真の友人であればこそ、間違ったこと、ひどいことをしているのであれば、とめてあげないといけない。嫌がることは言えないというのが本当の真の友達なのか。そうではないんじゃないかというふうに考えます。  時間が少なくなっておりますので、ちょっと一問、アフリカに関して。  昨年は、アフリカ開発会議、TICAD7が行われました。このTICAD7はビジネスTICADとも位置づけられて、ビジネスを中心として活性化していこう、援助よりも投資ということで言われておりました。その後、日本企業によるアフリカ投資は進んでいるのか。あるいは、官民で情報交換をするアフリカビジネス協議会というものを立ち上げましたが、これは産業界の期待も大変大きかったと認識しております。会議で終わることなく、実際のビジネスにおいて成果につながっているのかをお聞かせください。
  231. 森美樹夫

    ○森(美)政府参考人 お答えいたします。  TICAD7におきましては、アフリカ開発のあり方について、民間ビジネスの活力を活用する観点から活発な議論を行い、この際、山田政務官、当時の政務官にも大いに御活躍いただいたところでございます。  御指摘いただきました対アフリカ民間投資でございますが、今後、三年後に開催されますTICAD8に向けまして準備を進める中で、改めて達成状況確認していくことになります。  確実に今申し上げられるのは、アフリカに対する日本企業の進出はここ数年着実に増加しており、こうした取組によりまして、対アフリカ民間投資の進展に寄与しておるものと考えます。  それから、もう一つ、委員御指摘いただきましたアフリカビジネス協議会でございますが、このビジネス協議会での議論、それからここで立ち上げられたワーキンググループの開催、ここでの議論、さらには二国間ビジネス環境改善委員会等を通じた具体的な議論を通じまして、課題の解決に取り組んでいるところでございまして、日本企業がアフリカでのビジネスにおいて直面する課題を一朝一夕に解決するものではございませんが、それでも、既にアフリカ各国におきましては、政府内で日本企業専用のワンストップ窓口を設けるとした国もございます。  こうした取組を通じまして、同協議会の継続的な活動が着実にアフリカビジネスの進展に資するよう、今後とも努力してまいりたいと存じます。
  232. 山田賢司

    ○山田(賢)委員 ありがとうございます。  これは、民間企業が投資をしてくれても、受けた方からは日本に投資してもらったということになりますので、予算を使わずに感謝されるということですので、民間企業がビジネスをしやすくなるようにぜひ後押しをしていっていただきたいと思います。  時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。  本日はありがとうございました。
  233. 松本剛明

    松本委員長 次に、竹内譲君。
  234. 竹内譲

    ○竹内委員 公明党の竹内でございます。  それでは、きょうは日中関係につきまして質問させていただきたいと思います。  習近平国家主席訪日延期となったわけでございますけれども、しかし、依然として両国間の重要な外交案件であるということには変わりがないわけであります。  その意味で、まず大臣に、日本国側が国賓として招待した経緯、背景、狙いは何か、そしてまた中国側はどのように考えているのか、そのあたりをまずお尋ねしたいと思います。
  235. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日本中国は、地域や世界の平和と繁栄にともに大きな責任を有しております。特に、国際社会が直面する課題や挑戦に対して、世界的な大国となっております中国我が国がともに相ふさわしい責任を果たしていくことが強く求められているわけであります。  習近平国家主席を国賓としてお迎えをする、その責任をしっかり果たしていくことを内外に明快に示す機会にしていく、こういう考えで訪日の招待をしたわけであります。  基本的な認識につきましては、中国側も同じだと思っております。
  236. 竹内譲

    ○竹内委員 安倍総理とヨウケツチ氏が二月二十八日に会談をされているんですけれども、その中でこのように述べておられます。総理の方から、国際社会の直面する課題や挑戦に対して、既に世界的な大国となった中国我が国がともにふさわしい責任を果たしていくというメッセージを発出したい、このように明確に述べられておるわけであります。  この課題や挑戦というのは、まず具体的にどういったものを想定しているのか、そしてまた、それにふさわしい責任というのはどういうふうに考えていくべきものなのか、そのあたりを少し御答弁願いたいと思います。
  237. 茂木敏充

    茂木国務大臣 もともと想定しておりましたのは、さまざまな気候変動の問題であったり地球規模の課題、さらには二十一世紀型のルールづくり、こういった中で日中が協力をし、さらには主導的な役割を果たしていくということだと考えておりました。  同時に、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大防止、こういった意味でも、情報の共有であったり、また医療、そういった面での協力、それも日中間だけではなくて国際的な協力の枠組みを広げていく、こういった課題にも現在直面していると考えております。
  238. 竹内譲

    ○竹内委員 いろいろな個別的課題、今大臣がおっしゃったような大きなものがあると思いますし、それ以前に、個別的課題、幾つもありますね。尖閣諸島の問題、それから東シナ海の資源開発の問題とか、それからまた軍事力の問題、中国軍機に対する緊急発進の回数の問題とか、こういうなかなかきな臭いものもありますし、そのほかにも、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃であるとか、米の輸出拡大であるとか、牛肉の輸出再開であるとか、さらにまた邦人拘束事案について、これらの前進というのもやはり重要な課題の一つではないかなというふうに思うわけでございます。  この辺につきまして、大臣からということではありませんけれども、少しでも前進できる要素があるのかないのか、そのあたり、簡潔に答えてもらいたいと思うんですが、可能ですか。通告はしてあるんですが。
  239. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  今委員御指摘のございましたとおりに、日中の間におきましてはさまざまな課題、懸案がございます。そうしたさまざまな懸案につきましては、まさにこれからハイレベルの往来を通じて、引き続き、主張すべきはしっかりと主張し、中国側の前向きな対応を強く求めていくというような形で進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  240. 茂木敏充

    茂木国務大臣 例えば、今委員の方からお話のありました拘束事案につきましては、昨年も、王岐山国家副主席が訪日をされたときに、総理からも私からも、北大の教授の拘束事案につきまして、早期の解決、こういったことを求めて解放に至った、こういう経緯もあります。  そして、昨年末、中国、日中韓サミットの際、訪問しまして、王毅国務委員と私も会談を行いましたが、日本産食品の輸入規制、この撤廃につきましてもかなり突っ込んだ議論で前進が見られるところでありまして、こういった問題も一つ一つしっかりと解決に向けて更にやりとりを続けていきたいと思っております。
  241. 竹内譲

    ○竹内委員 よろしくお願いします。  四つの政治文書の原則というのがあることはよく御承知のとおりでありまして、二〇一九年の十二月二十三日に習主席と安倍総理が会見されていますけれども、そのときに、習主席が、中日の四つの政治文書の各原則を厳守して、関連の重大かつ敏感な問題を適切に処理し、こういうふうにも向こう側も触れております。  この四つの中でも、私は一九七八年の日中平和友好条約というのは非常に重要な原則を示していると思っておりまして、全ての紛争を平和的手段により解決して、武力又は威嚇には訴えないということを明確に言っているわけですから、そういう意味でも、しっかりと言うべきことは言って、少しでも前進をしていただきたいとお願いする次第であります。  そこで、次に、日中交流事業というのがあります。時間の関係で、二〇一九年は日中青少年交流推進年ということになっておりまして、今後五年間で三万人規模の双方向の青少年交流を実施する、こういうふうになっております。これは数字だけですので私の方から先に申し上げますが、昨年は三千七百人ほどの中国の方々が、青少年が日本へ来られたということで、これはよいことだというふうに思っております。  そして、もう一つ、きょうは資料を用意しましたが、お手元に国民感情の変化という資料を用意しております。この右下のところを見ていただきますと、お互いの相手国に対する印象というのがグラフになっておりまして、非常にユニークな、注目すべきデータが出ていると思うんですね。  二〇一三年の第二次安倍政権になってから、この緑色の中国世論、よい印象を持っているというのが着実に上がってきているんですね、二〇一三年から一九年まで。この間、いろいろな問題があったと思うんですけれども、着実に上がってきている。そしてまた、紫の、よくない印象を持っているというのが、非常に二〇一三年ぐらいまでは高かったのが、ずっと減ってきて、五二・七%まで下がってきている。一貫して改善しているわけであります。  この理由について、これはどういうふうに分析されているか、お答え願いたいと思います。
  242. 若宮健嗣

    ○若宮副大臣 お答えさせていただきます。  今委員が御指摘になられましたように、民間団体が実施をしている調査によりますと、中国の方で日本によい印象を持つ回答数、非常にいい状況になっている。過去最低の状態から、二〇一九年は過去最高という状態になっているのを承知をいたしているところでございます。  私ども政府といたしましても、同調査の結果についてお答えすることは差し控えたいと思っておりますけれども、その上で申し上げさせていただきますと、一九年の同調査では、中国人が日本によい印象を持つという理由としては、回答の多いものから見ますと、経済発展と生活水準の高さ、あるいは自然、環境及び観光地、あるいは高品質な日本製品、礼儀とマナーなどが挙げられており、観光から日本製品、国民性に至るまで多岐にわたっていると承知をいたしてございます。  こうした、委員も御指摘の国民間の相互の理解、そしてまた信頼の増進というのは、長期的に見た場合での安定した日中関係を構築する上では不可欠の基礎になるものだというふうに考えております。  政府といたしましても、引き続き、こうした形の傾向になるよう積極的に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  243. 竹内譲

    ○竹内委員 上の日中間の人的往来の推移を見てもわかりますように、この間さまざまな規制緩和もあって、訪日中国人数もだんだんふえてきたということで、実際にごらんになって日本に触れる方々もふえてきたことも一つの要因かなというふうには思っているところでありますが、これは好ましいことであるというふうに思っているところであります。  少しだけコロナウイルスについても触れておかなければなりません。  もう時間もそんなにあるわけではありませんので私の方からいろいろ申し上げますけれども、中国が最初にこの問題を認識したのが十二月三十日というふうに言われております。そして、中国が最初にWHOに報告したのは十二月三十一日だ、このように言われているわけであります。そして、一月七日に習主席が対策の指示を出したと言われておりますし、一月二十日には重要指示を出したということであります。この重要指示の後に、お手元の資料にありますように、一月二十日を越えてから急速に感染者数の報告が激増をしている。これははっきりしているわけですね。  一方で、一月の十六日ぐらいまでは、地方では、地方の人民代表大会というのが順次開催をされておりまして、そこでやはりこの問題が報告されていたのかどうかということが私は一つのちょっと問題ではないかなというふうに思っておるんですが、この点、事務当局の方でわかることはありますか。
  244. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  中国の各地方の人民代表大会でいかなる内容の報告がされたかという点につきましては、全てが明らかになっているというわけでもございませんで、網羅的にお答えを申し上げるということは困難ではございますが、その上で申し上げさせていただければ、一月中旬に開催された湖北省の省人民代表大会において新型コロナウイルス感染症について報告されたという事実は、その十二日付の湖北省政府活動報告においては確認をできておりません。
  245. 竹内譲

    ○竹内委員 武漢は、十二月三十一日に認識し緊急通知を出したとか、また、三十一日にWHOにも報告したと言っているけれども、地方の人民代表大会には報告がなかった、こういう事実であります。  結局、三月五日の全人代は延期されるわけでありますが、これは御承知のとおりであります。二十四日に中国共産党の常務委員会の重要会議が開催されて、さまざまな指示が更におりているということであります。  今回、世界に蔓延することになった理由につきましては、中国側は特に何も述べていないように思いますけれども、しかし、昨年の十二月三十日に武漢の医師がネットで明らかにし、そしてまた、警察当局から翌一月三日に訓戒を受けた。その後、この方は二月七日に死亡されている。そして、武漢市長が、一月二十七日に中国国営中央テレビで、今回の問題を発表する権限がなかったと発言をして、事実上、情報公開のおくれを認めた形になっているわけであります。  その後、この市長は更迭されたというふうに伺っておるわけでありますが、それは間違いのない事実でしょうか。
  246. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 二月の十三日、湖北省の書記及び武漢市の書記が交代したということは、報道されておるとおりで事実でございます。
  247. 竹内譲

    ○竹内委員 そういう事実だけを確認させていただきました。  さて、あと、中国外交につきまして、若宮副大臣に一問、大臣に一問だけ質問して終わりたいと思いますが、中国外交、中国政府は、現在を百年来の世界の大変化期と位置づけて、新型国際関係の構築及び人類運命共同体の促進を強調しているわけでありますけれども、この辺につきまして、何か日本側の捉え方につきまして、わかることがあれば教えてください。
  248. 若宮健嗣

    ○若宮副大臣 今委員がお話しになりました百年来の世界の大変化期、また、新型国際関係、人類運命共同体につきまして、これは習近平国家主席始め中国政府が、さまざまな場面で関連の御発言があることは承知をいたしているところでございますけれども、その意図するところという具体的な真意については、私どもからコメントするのは差し控えさせていただければと思っております。  その上で申し上げさせていただきますが、これまでの累次の首脳会談あるいは外相会談におきますやりとりを踏まえた上で、我が国といたしましては、日中両国、地域や世界の平和と繁栄にともに大きな責任を有してございます。両国がこうした責任をきちっと果たしていくことが、現在のアジアの状況、そしてまた、ひいては国際社会全体にも強く求められているものと考えております。  中国側でも同じような問題意識を持っているものと承知をいたしているところでございます。
  249. 竹内譲

    ○竹内委員 最後に大臣に、日本が今後ますます大国化する中国とどのように向き合っていくかということがやはり非常に、最大の課題であるというふうに私は思うわけであります。アメリカ中国は覇権争いのまさに様相を呈しているわけでありまして、アメリカとは同盟関係にありますけれども、中国とも、歴史的にも経済的にも深いつながりのある隣国であります。  日本が今後どのような進路をとっていくべきか、大臣の御所見を承りたいと思います。
  250. 茂木敏充

    茂木国務大臣 中国は、四半世紀前、GDPが世界の大体三%でありましたのが、今一六%を超える、こういう経済的にも大国になっておりますし、例えばワイン、中国の方が好むようになってから圧倒的に値段が上がる。こういう卑近なところを捉えても、いかに中国のさまざまなことというのが世界経済全体、また国際社会全体に影響力を持つかということが大きくなってきているわけであります。  もちろん日本として、アメリカと同盟関係にある、これが日本外交の基軸でありますが、中国とも隣国としてしっかりした関係を築いていくということは極めて重要だと思っております。  そういった中で、中国が最近言っております、例えばマルチラテラリズムであったりとか国際協調主義であったり、こういうことは私はすばらしいことだと思うんです。大切なことは、それが具体的に行動に移されるかということでありますし、しっかり国際ルールに従った行動をしていくかということが重要でありまして、そういった行動を引き出していく、そのためにも首脳間で大きな合意をしていくということが極めて重要なんだと思っております。
  251. 竹内譲

    ○竹内委員 ありがとうございます。  中国も、ぜひ国際社会と協調をやはりしてもらいたいというふうに思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  252. 松本剛明

    松本委員長 次に、穀田恵二君。
  253. 穀田恵二

    ○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。  きょうは、茂木大臣と質疑を交わしたいと思っています。  新型コロナウイルスによる感染症問題について質問します。  新型コロナをめぐっては、安倍政権の対応が後手に回り、国民の間に不安と混乱を広げています。その最大の要因は、新型コロナの有無を調べるPCR検査が十分に行われておらず、感染がどれほど拡大しているのか、その実態を政府が正確に把握し切れていないことにあると私は考えます。発熱やせきが続いても検査を受けられず、医療機関をたらい回しにされるといった事例も相次いでいます。感染者数をふやさないために検査を制限しているのではないかとの疑念も生じています。  こうした中で、政府は、昨晩、先日の小中高並びに特別支援学校への休校要請に続き、中国韓国からの入国制限する新たな措置を突如発表しました。  茂木大臣、なぜこのタイミングで突然入国制限措置を打ち出したのか、お聞きしたいと思います。
  254. 茂木敏充

    茂木国務大臣 突然ということでありますが、御案内のとおり、既に中国湖北省浙江省については入国制限措置をとっております。さらには、韓国につきましても、大邱市、さらには清道郡についてはそういった措置はとってきているところであります。さらに、適時適切に感染症危険情報、この引上げも行ってきているところであります。  そういった中にあって、全体的に見ても、まだ感染者の数は中国が一番多い、そして、ここに来て韓国での感染者が急増している。こういう事態を受けながら、一方で、日本においても、これから一週間、二週間、これが新型コロナウイルス感染症拡大を食いとめることができるかどうかの山場、こういった中で万全な水際対策をとる。こういった考えから、きょう、閣議了解をさせていただきましたが、新たな入国制限措置、そしてまたビザ等の発給したものに対してそれを無効にする、こういった措置をとらせていただいた次第であります。
  255. 穀田恵二

    ○穀田委員 この間の経過についてお話がありましたけれども、なぜこのタイミングかということを聞きたかったわけですよね。  といいますのは、けさの読売新聞によると、日本政府がこうした対応をとったのは、四月上旬に中国習近平国家主席の国賓来日が控えていたことが大きく影響していたとして、日本政府関係者が、入国拒否の地域拡大し、国賓来日に水を差すわけにはいかなかったと明かしたと報じています。これは読売新聞の報道です。  今回の入国制限措置が、昨日の習近平主席の来日延長と日を同じく、時を同じくして突如発表されたのはこうした理由があったのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  256. 茂木敏充

    茂木国務大臣 仮に、穀田先生のそういった仮説に立ちますと、日本として入国制限措置はずっととらずに来たはずでありますが、既にとっているわけです。湖北省であったりとか浙江省について入国制限措置をとり、また、感染症の危険情報の引上げ等々も行って、適時適切な注意喚起であったりとか水際対策もとってきたというわけであります。  そういった中で、習近平国家主席国賓訪日につきましては、今、日本中国ともに、コロナウイルス感染症拡大防止、これが最優先の課題であること、これに最優先で当たる必要があること、同時に、十年に一度となります中国国家主席訪日、これが大きな成果を上げるようになるように十分な準備を行う必要があること、こういう観点から判断をしたものでありまして、昨日、そういった最終的な、先週来、私も、王毅国務委員との間で電話会談を行い、また、来日しましたヨウケツチ中国共産党政治局委員ともお話をさせていただきながら、さまざまな、習近平国家主席訪日の意義であったりとか、どういうタイミングが適切であるかと議論をさせていただき、それを踏まえながら日中間やりとりをしてきて、きのう決まった結果としての適切な時期を改めて調整する、こういう判断と、きのう決めさせていただいた水際措置、これは全く別のものであります。
  257. 穀田恵二

    ○穀田委員 私が仮説を出しているわけじゃないんですよね。私は読売新聞を引用して言っただけで、私が仮説を立てて大臣にお話をしてどないやと聞いたわけじゃないんですね。そこははっきりしておかへんと、何か、話をこっちに持っていこうとする意図がありありなので、ちょっとそれは違うんじゃないかと私は思うんですね。  今回の入国制限措置発表は、習近平主席の来日延期が正式発表されてからわずか三時間後でありました。けさの日経新聞にはこう書いています。安倍総理が、何もしなければ批判ばかりされる、やり過ぎの方がましだと周囲に強い不満を漏らし、中国への水際対策強化に傾いていった、そして、政権がたどり着いたのが、習近平主席の来日見送りと中国からの入国制限強化をセットで打ち出すという解だったと報じています。これは日経新聞で、先ほどは読売、今度は日経ということですね。  ここからは私のあれですけれども、国内での感染が広がっている中、二周も三周も周回おくれの対応をしている、感染拡大防止の科学的見地から、今ごろ中国からの入国制限をして意味があるのかと私は問わざるを得ないんですが、いかがですか。
  258. 茂木敏充

    茂木国務大臣 先ほどの御質問について、穀田先生の仮説ではなく新聞報道等からのお話である、それについては了解をいたしました。  その上で、若干繰り返しになるわけでありますが、中国そして韓国等での発生状況であったりとかさまざまな情報を総合いたしまして必要な水際措置をとってきたわけでありますが、依然として中国感染者が圧倒的に多いというのも事実でありますし、韓国におきましては、この伸びが物すごい、今グラフを私は持っているんですけれども、すごい伸びを示して、きのう現在で五千七百六十六人、中国が八万人でありますけれども、その次の三位のイタリアが三千人、イランが二千九百二十二人、こういう状況から見ても、隣接する韓国も含めた水際措置、これは、日本が今まさにコロナウイルス感染症を食いとめられるかどうか、この瀬戸際で必要な適切な判断であった、このように考えております。
  259. 穀田恵二

    ○穀田委員 韓国の問題は、韓国大統領府も含めて、いろいろな反応をしている模様です。ですから、それをよく見ていただければと思います。  政府感染防止対策が後手に回っている背景に中国との関係を指摘する報道は、読売だけではありません。ほかにもたくさんありますが、二月十九日の時事通信も、政府関係者の言葉を引用し、次のように報じています。習近平国家主席の国賓来日を控えて中国側から大ごとにしないでほしいと要請があったといい、これも対応が後手に回った要因だと見られる、このように報じています。政府の初動対応のおくれにこうしたことがあったのが事実なら、まさに重大問題だと思うんです。  そこで、大臣は、この間の取組の経過を踏まえて、こうやってきたんだということをおっしゃいましたので、その後の問題についてやりますが、よう見ていると、この報道というのは、単に日本報道機関がやっているだけじゃない。国内にとどまらない。海外のメディアからも厳しい批判が出されています。  例えば、アメリカの有力紙ワシントン・ポストは、二月二十日付の記事で、日本政府が二月一日まで湖北省からの来訪者への入国禁止措置を行わなかったことなどを挙げ、安倍首相は、コロナウイルスの問題に正面から取り組むよりも、四月に予定される習近平国家主席の訪問を前に、中国を怒らせることを避けたがっている、このように報道しています。  だから、こういった点で、先ほどお話ししましたように、国内のメディアがさまざま報道しているというだけじゃなくて、海外習近平国家主席の来日と絡んだ事態についての考え方をそれぞれ批判的に報道しているということがおわかりかと思うんですが、国内はもとより、海外からもこうした批判が出されていることに対してどう受けとめておられるか、お述べいただきたいと思います。
  260. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、かなり事実誤認があるなと。正確に日本の取組というのを踏まえたような報道はしていただきたいと思っております。  例えば、中国に対して、日本は、湖北省、一月二十四日に、感染症の危険レベル、これをレベル3、渡航中止勧告、なかなか出さないものにもう引き上げております。そして、湖北省につきましては、三十一日に、上陸の拒否、こういった閣議了解も行っております。さらには、浙江省につきましても、二月の十二日の時点で、入国規制、こういったことも行っているわけでありまして、今御紹介いただきました記事、これよりも前の段階でそういった措置はとっているということはぜひ御理解をいただきたいと思います。  確かに、海外メディアを見ておりますと、批判的なもの、必ずしも正確でない情報のものも含め、さまざまな報道が見られるわけでありますが、これについても、反論投稿も含めて、政府としてしっかり対応してきているつもりであります。なかなかいい反論をしているんですよ。御紹介しましょうか。(穀田委員「それは後にして」と呼ぶ)とてもいいのがあるんですよ。見ていますか。いいでしょう。
  261. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、そういう、両方あるというのは知っていますよ、反論しているというのも知っていますよ。だけれども、大事な問題は、単にそういう報道日本国内にとどまらず、そういった中身が随分あるという問題についてどう受けとめるか。それは、誤認があるというんだったら誤認があるでそれはいいんだけれども、私はそうじゃないと思うんですね。  つまり、こうした海外メディアの反応に、あれこれ、こうやこうやと言って抗弁されるよりも、それはそれで率直に受けとめて、それは、そういうことについて後手に回っているということについては、多くの国民全体が、全体としては後手に回っているということは認識しているわけだから、その場当たり的なやり方が国民の不信を増幅させているということは誰の目にも明らかだと思うので、そのときに、理屈をあれやこれや述べてやるんじゃなくて、批判に対して謙虚にやるということが私は必要だ、行政機関にあるもののその長としては、きちんとそういう立場が必要だということを私はあえて述べておきたいと思うんです。  そこで、茂木さんは、今外務省の初動の対応について少しお述べになりましたから、そこを少し、では、具体的に質問したいと思うんです。  中国各地で広がる新型コロナウイルスについて、外務省は、現在、感染症危険情報として、中国全土にレベル2、不要不急の渡航自粛勧告を、また、お話ありましたように、湖北省浙江省温州市にレベル3、渡航中止勧告を発出しています。このうち、湖北省をレベル3としたのはいつで、その理由は何か、改めてお伺いしたいと思います。
  262. 茂木敏充

    茂木国務大臣 誰もいないようですから、私が答弁をさせていただきます。  一月二十四日までに、武漢市に加えまして近隣の六市につきまして、空港の閉鎖に加えまして、各市当局が交通機関の停止、及び鉄道の駅及び市を離れる道の封鎖を発表する等、移動制限措置強化をされたところであります。また、武漢市を始めこれらの各市におきまして、患者数がますます増加していたことに加えまして、感染の地理的拡大懸念される状況にありました。  さらに、WHOは、中国において患者の家族や医療機関関係者で限定的なヒト・ヒト感染が認められたと示されておりまして、これらを総合的に勘案した上で、一月二十四日に中国湖北省に対しまして感染症危険情報レベル3、渡航はやめてください、これを発出したところでありまして、こういった感染拡大がどうなっているか、また、交通規制であったりとかそういったものがどうであるか、現地の医療体制がどうであるか、そういったものを総合的に判断して、危険情報につきましては発出、注意喚起を促しているところであります。  その上で、先ほど先生の方から海外メディアのお話がありましたが、率直に、御意見というのは謙虚に受けとめなければいけない、このように私も考えておりますが、一方で、事実関係として間違っているものについてはきちんと訂正していく、これも必要な措置である、そのように思っておりまして、何か海外メディアで言っていることが全て正しいということだったら、中国とか韓国は今、アメリカのメディアからぼこぼこですよ、本当に。大変な状況でありまして、そこは一つ一つ、正しい情報かどうかというのは精査する必要があると思っております。
  263. 穀田恵二

    ○穀田委員 外務省が発出する感染危険情報、これは配付資料一枚にもあります。渡航、滞在に当たり特に注意が必要と考えられる国、地域に発出される危険情報の四段階のカテゴリーを使用し、WHOなどの国際機関対応や、発生国、地域の流行状況、主要国の対応などを総合的に勘案して発出されているものであります。  茂木大臣は、湖北省をレベル3にしたことを、一月二十四日の夕方十六時四十三分から行った記者会見で発表されました。しかし、同じ日の朝九時二十五分から開かれた関係閣僚会議の議事概要を見ますと、茂木大臣は、武漢市について前日の一月二十三日にレベル2にしただけと報告して、湖北省をレベル3とする考え方は示されていませんでした。  つまり、一月二十四日の午前中までは武漢市のみをレベル2とすることでよしとしていたものを、その夕方になって、今度は湖北省をレベル3にすると判断を改めたわけですけれども、その理由を簡単にお話しください。
  264. 茂木敏充

    茂木国務大臣 感染症拡大、日々、時々刻々、状況というのは変わってまいります。外務省としても、現地での数字もそうでありますし、状況等々を取り寄せておりまして、そういったものを総合的に判断しながら、その時々で判断をしていくという話でありまして、じゃ、二十四日午前中の段階を維持したから、午後になって変えるということが、じゃ、二十四日の午前中の会議で言わなかったので、あと二日待とうか、その方が私は適切でないと思います。
  265. 穀田恵二

    ○穀田委員 私、そんなこと言っていません。  茂木さんが今お話しになりましたけれども、外務省が一月二十四日の昼に自民党の一部議員のみに配付した領事局政策課名の文書の写しを、私、持ってまいりました、これなんですけれどもね。  それを見ると、領事局政策課は、一月二十二日と二十三日に行われたWHOの緊急委員会で、中国において人から人への感染が認められるとされたが、緊急事態宣言は時期尚早として見送られたこと、また、武漢市及び近隣六市が公共交通機関の停止及び駅、空港の閉鎖等を発表したことなど現状を踏まえ、武漢市をレベル2、不要不急の渡航自粛勧告ですね、に引き上げたなどと書かれています。つまり、領事局政策課では、一月二十四日の昼の時点でも、武漢市のみをレベル2にした前日二十三日の対応を踏襲していたということになるわけであります。  茂木大臣は、今、レベル3とした理由について、一月二十四日の夕方の記者会見では、武漢市及び近隣六市が公共交通機関の停止などを発表したことなどを挙げていますけれども、これは、領事局政策課が一月二十四日の昼の時点で、同じ理由で武漢市のみをレベル2とすることとして、よしとしていたわけですね。同じ理屈と、相違して、一方では違う資料で行われているということについて、違うんですか。
  266. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ちょっと手元にその資料がありませんが、今お聞きしますと、それは一月二十四日の昼時点の話でありまして、この危険情報、引上げを行わせていただいたのは夕刻であります。その前に、さまざまな情報を総合して、レベルの引上げを行った次第であります。
  267. 穀田恵二

    ○穀田委員 さまざまな、時々刻々と、しかし、理由は同じ理由を言っているんですよね。今お話ししましたように、外務省対応が出ているんですけれども、その中身は、先ほど言いましたように、武漢市及び近隣六市が公共交通機関の停止などを発表したことを挙げて、同じ理屈で、片っ方をレベル2、片っ方をレベル3にしているということだけは明らかだ。  私は、外務省に対して、領事局政策課が自民党の一部議員のみに配付したものと同じ文書、正確には、新型コロナウイルスによる感染症外務省対応という文書を提出を要求しました。  ところが、領事局政策課から三月四日に提出された文書には、これですけれども、日付や表題は同じなんですけれども、こういう内容なんですね、同じなんですけれども、結局、領事局政策課から三月四日に提出された文書には、日付、表題こそ同じだけれども、自民党の一部議員に配付したものと全く異なる文書が提出された。  私は、中身を指定して、これを出せと言ったんだけれども、こういう内容が違うものが出てくるということ自体がおかしいんと違うか。なぜ違う文書を私に、じゃ、提出したんですか。わかりませんか。
  268. 茂木敏充

    茂木国務大臣 突然のことでありますから、その文書、私、今見ておりません、正直申し上げて。その部分はわからないんですが、その引上げを行った理由、これは先ほど申し上げた理由でありまして、こういった問題につきましては、やはり判断が必要なんです。ある程度いろいろな考えはあると思います。危険情報を引き上げるかどうかにつきましては、さまざまな判断はあると思いますけれども、万全をとる、こういう観点から私が判断を行わせていただきました。
  269. 穀田恵二

    ○穀田委員 万全をとるというなら、もう少し早くできたというのが私の考えです。先ほど言ったとおりです。  それで、私は、自民党の一部議員に配付したものと内容の指定をして、同じものを要求したにもかかわらず、そのものを提出せずに、内容も、二十四日、状況を踏まえ、武漢市を含む湖北省感染症危険情報をレベル3に更に引上げという文言をつけ加えているんですよね。だから、茂木大臣の夕方の記者会見を受けて、今お話ししたように、政府対応と、自民党の一部議員にのみ配付されたその時点での問題との、同じ文書を要求したにもかかわらず、別な文書に変わっているという点は、極めて私は遺憾だと思うんですね。  だから、この間、文書というのはずっと問題になっていて、どういう形で出されて、政策形成過程や決定過程、どういうふうになっていくのかという問題の一つとして私は重視して提出を依頼したわけですよね。もちろん、今、大臣、見ていないからとおっしゃいますけれども、いずれにしても、それは後で見せてもええけれども、違うことだけは確かだと思うんです。  したがって、要するに、結局後から、大臣は、時々刻々変わるからその時点で判断を変えたんだと。それはそうかもしれません。だとしたら、その前の文書については、こういう経過でこうでしたと出せばいいわけで、私が要求しているものについて。別に、大臣発言が変わったなら変わったでいいですよ。しかし、変わったことさえも明らかにしない文書を出すとなれば、それは改ざんと言わなければならないと思います。  しかも、茂木大臣湖北省をレベル3に引き上げた理由というのが、先ほどもお話ししましたように、この自民党の一部議員のみに配付した文書の写しを見ても、領事局政策課が一月二十四日の時点で踏襲していた、前日二十三日に武漢市のみをレベル2にした判断と何ら変わらないんです。判断が変わったというんなら、文書の中身も変わっていいと私は思うんですね。  だから、そうすると、大臣は、時々刻々、万全の、私が変えた、こう言っているわけです。そうすると、武漢市のみをレベル2とした一月二十三日の判断が甘かったと。武漢市だけでなくて湖北省全体をレベル3にすべきだったという対応のおくれ、つまり、これを夕方の記者会見で修正したということでいいわけですね。
  270. 松本剛明

    松本委員長 答弁の前に穀田君に申し上げますが、委員会に資料、物品等を御提示いただく場合は、事前委員長の許可を得ることになっておりますので、御注意願いたいと思います。
  271. 茂木敏充

    茂木国務大臣 危険情報の発出に当たりましては、先生お手持ちの資料だけではなくて、さまざまな情報、それは紙になっているものもありますし、そうでないものもあります、そういったものも総合的に判断して、その時々において一番適切な判断をいたしております。  二十三日の時点で判断したこと、二十四日の時点で判断したこと、それは当然変わってまいります。そして、一枚の紙、自民党にお示ししたものであろうが、穀田先生にお示ししたものであろうが、その紙だけをもって判断しているということでは全くございません。
  272. 穀田恵二

    ○穀田委員 判断したというふうに私は言っていないんです。そういう二つがあるわけだから、それやったらきっちり出したらええやろうと。政策決定過程、判断が万全、そしてどうのこうのと言うんだったら、少なくとも外務省としてはそういう経過があるわけだから、それはきちんと出したらよろしいやんかと言っているだけなんです。  そこで、配付資料の二枚目ですけれども、これは出していますので。三月四日の本委員会理事懇談会に外務省説明に使った「新型コロナウイルス感染症への対応」と題する文書であります。  この中の「我が国対応」とある箇所を見ますと、湖北省について、外務省が一月二十三日の時点で武漢市のみをレベル2にしていたことが、これまた一行も書かれていないんですね。なぜ、じゃ、その部分を削った文書を理事懇談会で事務方説明させたのかということになりますよね。そういった問題も別にええのやということですか。
  273. 茂木敏充

    茂木国務大臣 これをごらんいただきますと、この「新型コロナウイルス感染症への対応」として、相当、一枚の紙に入れるのには無理くりなぐらいの情報を入れてあるわけであります。そして、一月二十四日にレベル3に上げたという前のことについて、全部を書けているわけではないんです。ここの中には、韓国のことも書けば、イランのことも書けば、ほかの国のことも書いてあります。本来もっと書きたいことが書き切れていないのがあれでありまして、重要な点をピックアップして書いている。  決して、この一月二十三日がどうだったかというのを隠しているとかいうことではなくて、それは明らかなことですから、オープンになっていることですから、まとめた中で、重要なことをこれに入れたというだけの話であります。
  274. 穀田恵二

    ○穀田委員 そういう言い方もなかなかあるのやなと思いましたわ。そうやったら二ページにしたらいいわけで、別にそんなこと。  私は、実は、新型コロナ感染症への対応をきちんと出してほしいと言ったわけですね、理事会を通じて。それで皆さんに出していただいたという経過があるわけですね。これでええかと来たらいいわけで、まず。私は、やはり事実問題として、レベル2、レベル3、まあ、レベル二、レベル三でもいいですけれども、そういうものをきちんとしたものを載せるのは、それは筋だと思うんです、これだけ大事な問題だと書いてんのやから。こういうふうに、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4があるのやということを書いているわけだから、私は、全て漏らさずに書くのが当然だ。そうしたら、二ページになるのが困るのやったら、最初から、少し大部になりますけれども二ページでもよろしいかと言えばいいので、そんなことを一々、皆さん、一ページでなければ困るなんて言っていないわけですから。  私は、最後に、今、感染症危険情報というのは、邦人の命と安全確保にかかわる重要な情報です。その発出に当たっては、まさに緊張感を持って取り組まなければならないものであります。  したがって、いや、それは前からわかっていることだなんという話で、全部わかっていることだったら、それはわかっていることなんです、これだって。そうじゃなくて、やはりその判断が私は、はっきり言って、レベル3にするときの判断が甘かったんじゃないのかということを指摘したわけですね。だから、その意味では、対応にかかわる文書を変えたりするということは言語道断だと思います。  したがって、松本委員長に、では、もう一遍言いましょう。では、本委員会に領事局政策課名の二〇二〇年一月二十四日付新型コロナウイルスによる感染症外務省対応とする文書の原本を提出することを求めたいと思います。
  275. 松本剛明

    松本委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。
  276. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、質問の冒頭、国内はもとより、海外のメディアからも政府の初動対応のおくれの原因が中国との関係にあると指摘していることを紹介しました。  領事局政策課による文書の改ざんというんですかね、隠しているというんですか、こうしたことがその背景にあるとすれば重大問題だということを改めて指摘しておいて、終わります。
  277. 松本剛明

    松本委員長 次に、杉本和巳君。
  278. 杉本和巳

    ○杉本委員 維新の杉本和巳です。  二十分しかないので、端的にと言いつつも、ちょっと冒頭、少し申し上げさせていただければと思っております。  まず、大臣の所信的な発言で、タイトルは、衆議院外務委員会における国際情勢に関する報告というのがございました。それで、前提の積極的平和主義というのは書いていなかったんですけれども、先ほど小熊議員が提起され、松本委員長も、過去そういった発言があったかどうか、ちょっと私も確認できておりませんけれども、「地球儀を俯瞰する外交」というのが、やはり地球を俯瞰する外交の方が適切なのではないかと。言葉は難しいので、ただ、小熊さんの発信を聞いていると確かにそうかなというふうにも思いましたので、この点もまた政府として御検討いただければ私もいいかなと思っております。  それとあわせて、「包容力と力強さを兼ね備えた外交」と書いてあるんですけれども、ここに平和を入れて、兼ね備えた平和外交とされてもいかがかなというふうに思います。  何ゆえかといえば、大臣も十分御案内かと思いますが、きのう、ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が、モスクワにおいて、シリアのイドリブ県についての停戦に向けての方向づけの首脳会談をされているということ。  ここから読み取れるのは、シリアの問題についてアメリカがもはや関与しておられないという状況が一つあるのと、もう一点は、アフガン情勢ですけれども、二十九日に和平合意の署名がされたにもかかわらず、きのう、ポンペオ米国務長官が会見で、タリバンによるアフガン政府軍への攻撃は過去数日、暴力の急増は容認できないというような発言がなされて、まさしく地球を俯瞰する外交が我が国にも、アメリカがいろいろ、アフガンでは十八年間なかなか撤退できず、向こう十四カ月で撤退していきたいというようなプランを持っていても、アフガンでスタックしちゃっているという状況とか、シリアになかなかもう関与していないというような状況の中、やはり日本の外交の役割というのは大変大きいかと思います。  今申し上げたアフガンの方では、タリバンという言葉があって、ちょっとこれは包容力と力強さを兼ね備えた、私は平和外交と申し上げさせていただいているんですけれども、平和を本当に希求する我が国の、日本の一人として一つだけ、資料は机の上に置いたまま読むので、皆さん理事会の了解を得ていないんですけれども、あえてここに置いたまま読みますけれども。  中村哲さんが、タリバンとかアフガンにかかわっておられて、亡くなられましたけれども、澤地久枝さんとのインタビューの本が、「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」という御本があって、この七十六ページあたりに、実はタリバンという言葉は、これは予算委員会でも中央公聴会でちょっと披瀝させていただいたんですけれども、アフガニスタンではタリバンという言葉は二つ意味があって、いわゆる反政府勢力のタリバンと、もう一点は、寺子屋で学ぶ子供たちのことをタリバンというと。タリバンで八十人亡くなったという事案があって、それは八十人タリバンを殺したというような意味なんですが、実は子供たちが亡くなっていたということがあったんだというようなことを中村哲さんがおっしゃっておられました。  そういった意味で、包容力のある外交というものを標榜してくださっているという意味からは、やはり現場に入っている方々、全て正しい答えを持っているとは思いませんけれども、やはり現場の声を拾っていただいて、そして我が国の外交に生かしていただいて、我が国が本当に平和のために積極的な平和外交をしていただくということを冒頭、大臣の所信にかかわるところで一方的にお願いをしておきたいなというふうに思っております。  さて、そこで、その包容力の一つとしてクルーズ船の問題をちょっと伺っておければと思っておりますが、その前に、きょうも質疑が大分ありましたけれども、中韓の方々の入国規制、タイミングの問題、いろいろ意見があることはわかっておりますけれども、我が党も三月四日の党首会談で、安倍総理に対して提言という形で中国全土からの入国禁止措置といったものを提案させていただく中で、中韓に対してこれに準じる入国の十四日間の滞留というか、待機要請というんですか、そういったものをしていただいているということは前向きに受けとめさせていただきたいと私は思っております。  そこで、ちょっと確認というか、麻生副総理・財務大臣が指摘していたやにちょっと記憶はしておるんですけれども、ダイヤモンドプリンセス号について伺っておきたいんですが、三月一日に三千七百十一名全員が下船されたということの中で、英国の船籍であり、米国の運航、米国の方が社長、イタリア国の船長という状況でありました。  我が国は人道的あるいは包容力を持った外交というような意味で、今その姉妹船が、サンフランシスコ沖でグランド・プリンセスというのが、日本人四名を乗せた状況の中で二十数名が感染しているというような報道があったりしていますけれども、一体、ダイヤモンドプリンセスの対処についていろいろ意見はあるのはわかっているんですが、その話とは別に、我が国が、我が国の乗船者が多かったこともあるけれども、いずれにしても、英国船籍米国運航という状況の中で、人道的、包容力のある外交として展開をしたというふうに私は認識しているんですけれども。  このことに対して、日本政府外務省に対して、関係国、英国、米国あるいはイタリア等から公式の謝意であるとか連絡であるとか、そういったものがあったのかなかったのか。また、もしあったならば、いつどのような内容のものがあったのかということを事実の確認として教えていただければということで、外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  279. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、ダイヤモンドプリンセス号のオペレーションに対します海外からの謝意の前に、地球を俯瞰する外交か地球儀を俯瞰する外交か。概念としては地球の方が正しいのかもしれませんけれども、こういうのはキャッチフレーズですから、見た感じで、ビジュアルでやはり地球儀という方が何となく俯瞰している感じがするという部分もあると思うんですよ。  さらには、包容力と力強さを備えた平和外交であるのは間違いないわけでありますけれども、包容力という言葉が最初に出ているんですね、温かさという中が。しかも、六項目の中の五番目は経済外交の話、六番目は地球規模課題の話でありますから、ここはシンプルに外交とさせていただいたというところであります。  その上で、ダイヤモンドプリンセス号に乗船していた外国籍の乗員乗客について、外務省関係国大使館等と緊密に連携をして、例えば医薬品の緊急ニーズ、こういったものが出された場合には対応すべく支援を行ったほか、チャーター機によります帰国オペレーション、これも無事に終了し、支援をさせていただいたところであります。合計十三カ国・地域が航空機を運航して、延べ千五百七十四名の乗員乗客が出国いたしましたが、いずれの国、地域からも我が国に対する謝意が表明されております。  代表的なものだけ申し上げますと、まず、クルーズ船を運航しております米国でありますが、二月の十七日、米チャーター機の出発直後に、在京米国大使館がプレスリリースを発出いたしまして、日米間の連携や自衛隊による米国民の輸送支援に対して謝意が表明をされたところであります。  また、旗国であります英国からは、チャーター機の出発に対しまして、我が国に対して謝意を表明するジョンソン首相発安倍総理宛てのメッセージが伝達されたほか、ラーブ外相、来日をされまして自分が会談を行いましたが、二月二十四日付の書簡で改めて謝意の表明がございました。
  280. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。確認させていただいて、きちっと謝意をいただいているという認識をさせていただきました。  それで、ちょっと確認というか、皆さんに認識を共有いただく必要があるかと思うんですが、先ほども大臣の御答弁を聞いていたら、このコロナの問題で、ここ一、二週間が瀬戸際だということを重ねて言われておられましたけれども、よく考えるとなんですが、ネットなんかにも書かれていて、そうだなと私も思っておるんですが、専門家委員会がここ一、二週間が瀬戸際だという表現をされたのは二月の二十四日でございます。月曜日です。  それから二週間目の今金曜日ということで、実は、専門家委員会が発したタイミングからほぼ二週間がたったというのが今、きょうこのときということかと思いますので、全体として、答弁のあり方というか、政府の発信の仕方として、もう二週間たってしまっているという事実を踏まえて、ここ三、四週間という言葉に改めるのか、あるいは、更に今から改めてここ一、二週間が大切な瀬戸際だというような発信の仕方をしていかないと、ちょっと、ここ一、二週間という言葉が走り続けてこの二週間がたっているということなので、この点については、本当に国民皆さんの心配があり、その中で、終息に向かうタイミングがまだ見えてこない中で、やはり発信という意味では正確性を持っていただく必要があるかということで、これは特に大臣の御答弁はいただきませんが、そのことはちょっと私の問題意識としては持っているということをお伝えさせていただきたいと思います。  次に、国連の分担金、山田元政務官がWHOのことで指摘をされておられましたけれども、やはり同じ外務委員会にいると問題意識というのは共通するのかと思いながら、私はもうちょっとざっくりと大きな質問で恐縮なんですけれども、分担金の現状、全体の分担金ですね、WHOに限らずですけれども、現状認識、いかに外務省として認識をされておられるかという点を、例えばGDP水準とか、これまでの経緯、連続性、あるいは今後の将来の展望等考えると、先ほども、山田委員の質疑からですと、分担金が多いからポストがとれるとかというよりは、むしろ投票のときに、関係国が多くて、投票してもらってそのポストをとるためには、国連にお金を出すよりは、削って、直接的に各国にODAを出していった方が実は効果があるのかもしれないというふうに質疑を伺いながら感じておった次第なんですけれども、この分担金の現状認識と今後について、大臣のオフィシャルな御所見を、まず担当から伺って、大臣からまた一言あれば、お願いしたいと思います。
  281. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答え申し上げます。  国連の活動基盤である分担金に関し、その分担率は、国民総所得を基礎とする加盟国の支払い能力に従って決定されております。我が国の分担率は、一九八六年以降、米国に次ぐ二位でございましたが、二〇〇〇年に二〇%を超えたのを境に低下し、二〇一九年からは、米、中に次ぐ三位となっております。  我が国は、分担金とは別途、国連関係機関への任意拠出金の拠出を通じ外交政策の遂行に努めておりますが、拠出金の額も過去十年間で低下している状況でございます。我が国にとり重要な機関、分野について戦略的優先順位づけをしつつ適切な拠出を行っていくことが、国際機関における発言力を維持強化するためにも重要であると考えております。  その上で、分担金、拠出金のいずれにつきましても、意義、重要性について国民の皆様の十分な御理解を得ながら、国際機関における責任を果たし、また、各機関の効果的な活用を図っていく考えでございます。
  282. 茂木敏充

    茂木国務大臣 御案内のとおり、国別のODA、これもあるわけでありまして、額からいきますと、そちらの方が大きくなってくるわけであります。  日本として、例えば東南アジアの国々、これは一九六〇年代ぐらいからかなり困難な状況があった、ベトナム戦争が起こったり、また、各国の国内で分断があったり紛争があったり。そういった中で、日本のODAというのがやはり大きな、民間投資と並んで力となって、八〇年代以降の東南アジアの発展につながっている。そんなこともあって、東南アジアの国々と我が国は極めて良好な関係を保っているというのも事実であると思っております。  国別のODAだけなのか、それとも拠出金、分担金だけなのか、こういう二者択一の選択ではない、両方見ながら、また、国連機関の中でもどの機関に今出すことが一番戦略的に重要なのか、こういったことも考えながら、総合的に日本のポジショニングが上がっていく、こういったことも念頭に判断していきたいと思います。
  283. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  先ほど玄葉元大臣からも、WIPOの人事等に触れながら、同じような問題意識を質問されていたというのをちょっと漏らしましたので、つけ加えさせていただきます。  次に、今つけ加えさせていただきたいことを聞こうと思ったんですが、もといでいきますと、十五の専門機関のうち中国が四つとっているというようなことについて、既に玄葉大臣からの質問の中で御答弁がありましたので、この点については私の方はちょっと、後段で質問する人間にとって、同じ質問をしても意味がないと思いますので、割愛をさせていただきたいと思いますし、もう一つ質問しようと思っていたのが、これも山田委員が質問されて、人材面、資金面で、いかに国際的なところの人材をというところにも政府側の答弁があったので、この問題もちょっと飛ばさせていただいて、次に、敵国条項についてちょっと伺うということでいいでしょうか。  敵国条項の削除というのがまだなされていないというふうな認識でいいのかと思うんですが、この点を含めて、所信的な報告の中にも国連安保理改革というお言葉があったと思いますし、国連全体の改革ももはや必要かというふうにも私は感じていますけれども、現時点での外務省の認識、あるいは、何らかの提言等を行っていく予定があるのかどうか、この点について御答弁をいただければと思います。
  284. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答え申し上げます。  我が国政府といたしましては、二十一世紀の国際社会の現実を踏まえた形で、国際の平和及び安全の維持に主要な責任を負う安保理の改革を含む国連改革の速やかな実現に向けて、具体的取組を引き続き進めていく方針でございます。  いわゆる旧敵国条項につきましては、我が国は、一九七〇年の第二十五回国連総会以降、国連総会の場で累次にわたり削除することを主張してまいりました。一九九五年の第五十回国連総会では、旧敵国条項が既に死文化しているとの認識を示す決議が圧倒的多数の賛成により採択されました。また、二〇〇五年の国連首脳会合では、憲章上の関連する条項における敵国への言及を削除するとの加盟国の決意を示す文書がコンセンサスで採択されました。  我が国政府といたしましては、国連憲章改正が必要な安保理改革との関係に十分留意しつつ、憲章改正の機が熟したときに旧敵国条項の削除もあわせて求めていく考えでございます。  安保理改革につきましては、一九四五年に国連が創設されて以来、加盟国の数は約四倍にふえるなど、国際社会の構図は大きく変化しておりますが、安保理の構成はほとんど変化しておりません。安保理が二十一世紀の国際社会の現実を反映し、増大する国際社会の諸課題に有効に対処するためにも、我が国の常任理事国入りを含む安保理改革を通じた正統性、実効性、代表性の改善が急務でございます。  政府といたしましては、引き続き、本年が国連創設七十五周年であるとの機会も捉え、国連が時代に合った組織となるよう、安保理改革を含む国連改革を目指し、取り組んでまいります。
  285. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  若干あと時間があるので、次はNPTについて伺いたいと思いますが、この日本語訳は核拡散防止条約なんですが、英語を読むと、トリーティー・オン・ザ・ノンプロリファレーション・オブ・ニュークリア・ウエポンズなんですが、以前は、少なくとも二〇〇〇年よりもっと前のタイミングでは核不拡散条約という訳がどっちかというと共通用語だったような認識を私は持っているんですけれども、その日本語訳のあり方というのもちょっと問題意識を持っておりますけれども。  改めて、核の問題ということで、核保有国を今、日本国は、外務省は、どういう国が今現状、核保有国であるという認識を、インド、パキスタンとかイスラエルとかはどういう今認識にあるのか、北朝鮮はどういう認識にあるのかといった点も含めて、ちょっと、現状の核保有国という定義づけ、外務省の認識を伺わせてください。
  286. 加野幸司

    加野政府参考人 お答えを申し上げます。  NPTとの関係でまず申し上げますと、条約上、核兵器国については定義がされておりまして、米国、ロシア、中国、それからイギリス、フランスの五カ国が条約上の核兵器国ということになっているということでございます。
  287. 杉本和巳

    ○杉本委員 済みません、NPT上ではなくて、NPTを離れて、今、国際的にというか日本が認識として、例えば日米の2プラス2を開きますとか、そういったときの、現状、公表できる意味での認識をちょっと最後確認させていただき、ちょっと時間になっていますので、御答弁いただければと思います。
  288. 加野幸司

    加野政府参考人 お答えを申し上げます。  NPT上の核兵器国に加えまして、インド、パキスタンにつきましては、既に核兵器の実験を行っているという認識でございます。  それ以外にも、幾つかの国について、核兵器を保有しているのではないかということを言われているという国が複数あるというふうに承知をしております。  また、北朝鮮につきましても、既に核兵器を、実験をしているということでございまして、累次の国連安保理決議等において非難をされているという状況でございます。
  289. 杉本和巳

    ○杉本委員 時間となりました。以上で終わります。  ありがとうございました。
  290. 松本剛明

    松本委員長 次に、井上一徳君。
  291. 井上一徳

    ○井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。  本日は、在日米軍駐留経費の日本側負担、これを中心に質問したいと思います。  本年は、日米安保条約が改定されて六十周年という節目の年に当たるわけですが、その年にこの米軍駐留経費の交渉を行うということになっております。  それで、資料、産経新聞の記事を配付しておりますけれども、「米軍駐留費の負担増拒否」ということで政府方針が固まったというような記事があります。これを中心に質問したいと思いますが、まず、米軍駐留経費の負担増ということなんですけれども、これについてはいろいろ記事がありまして、昨年の十一月、米国の外交誌フォーリン・ポリシーにおいて、当時のボルトン米大統領補佐官が日本側の負担を四倍にふやすように要求したというような報道もありました。  それから、同じような話で、二〇一九年七月に来日したボルトン米国家安全保障担当大統領補佐官、当時岩屋防衛大臣と会われて、そのときにも韓国の特別協定の改定交渉を話題にして、駐留経費負担を交渉中の韓国には現行の五倍の負担を要求していると。岩屋氏は、米兵の人件費まで払わせたら傭兵になるじゃないか、米軍もプライドが許さないのではないかと反論したという、こんな記事もありました。  それから、昨年の十二月、トランプ氏、在日米軍費増額を要求、ロンドン訪問中のトランプ氏は、NATO事務総長との会談の冒頭で、友人の安倍首相に、日本米国を助けてくれ、米国は多くの金を支払っているが、日本は金持ちなんだからと伝えたということで、首相に駐留経費の日本負担増額を求めたという記事があります。  いろいろな記事があるんですけれども、これは政府としては公式にはまだ認めておられませんけれども、実際、米側からどういうような要求が今来ているのか、教えていただきたいと思います。
  292. 茂木敏充

    茂木国務大臣 増額の要求は、米側からはございません。
  293. 井上一徳

    ○井上(一)委員 ここに言う四倍ふやすとかこういう話は、恐らくそういうのはないと思うんですけれども、米側の意向として、日本側に増額をしてくれという、そういう意向も示されていないという理解でよろしいんでしょうか。
  294. 茂木敏充

    茂木国務大臣 増額の要求を受けているという事実はございません。
  295. 井上一徳

    ○井上(一)委員 多分、要求はないんでしょうけれども、そういった意向は示されているという、そういうこともないということですか。
  296. 茂木敏充

    茂木国務大臣 意向というのがどういう意味か、ちょっととりかねるところはあるんですが、例えば、ボルトン前補佐官が岩屋前防衛大臣にどういうお話をされたかはわかりませんが、少なくとも、私、そしてまた外務省に対して、米国政府から米軍駐留経費の増額を要求された、こういった事実はございません。
  297. 井上一徳

    ○井上(一)委員 済みません、こればかりやっているわけにはいかないので、トランプ大統領がそう言っているわけですから、それはやはりそういう事実があったということで受けとめて、私は質問を続けたいと思います。  安倍総理は、昨年七月四日のNHKインタビューで、日本はもう既に七割近くを負担しているんだということで、これは同じような内容を十月の国会でも答弁されております。七四・五%という数字は、アメリカ側の計算では出てくるんですけれども、日本側は総理が七割近くを負担しているというふうにおっしゃっているわけですが、これはどういうような計算根拠になっているんでしょうか。
  298. 石川武

    石川政府参考人 お答え申し上げます。  在日米軍駐留経費の日米の負担割合につきましては、米軍の駐留に伴い必要となる経費の範囲の捉え方が日米で異なることなど、一概に論じることは困難でございます。  その上で申し上げれば、今委員の方からも御指摘がありましたように、二〇〇四年版米国防省の報告書におきまして、二〇〇二年時点の米軍駐留経費の日本の負担割合が七四・五%とされておりまして、御指摘の総理の七割近くという御発言につきましては、このような米側が公表している数字などを念頭に御発言されたものと理解しております。
  299. 井上一徳

    ○井上(一)委員 だから、三倍、四倍というのが、基本的にこういうような数字はあり得ないと思うんですけれども、今米側の計算でも七四・五%ということですから、仮に日本側が一〇〇%負担したとすると、あとどのぐらい負担することになるのか。機械的な計算ですから、教えていただきたいと思います。
  300. 石川武

    石川政府参考人 お答え申し上げます。  今答弁申し上げましたように、最新の数字としては二〇〇二年時点の負担額しか米側から公表されていないわけでございますけれども、仮にその数字を前提に、この七四・五%の負担割合を前提に、では一〇〇%はどれぐらいの額になるかというふうに計算をしますと、つまりは七四・五で割り戻すわけですから、単純に機械計算をいたしますと、約五十九億ドルとなるというふうに考えております。
  301. 井上一徳

    ○井上(一)委員 約五十九億ドルですから、差額でいうと約十五億ということになるので、仮にそれだけ負担したとしても十五億ドル。だから、ボルトンさんが言っているように三倍、四倍ということになると、これは総理がおっしゃっているように、それを何倍にしたら、むしろこれは彼らが駐留して利益を上げるということになってしまうわけでございますから、そんな要求するわけはありませんと。そういう要求は多分現実的にはないという理解をしております。  そこで、トランプ大統領は公平な費用負担の協力を同盟国から取り付けているということで言っておりまして、報道では、河野防衛大臣は、米軍駐留経費交渉は本年の秋口ごろからというふうに言われております。これは、恐らく米国大統領選をにらんだスケジュール感で秋口ごろからというふうに言われていると思いますが、前回の特別協定の交渉はいつからスタートして、どういうような、いつ合意して、いつ国会承認だったか、事実関係を教えてください。
  302. 鈴木量博

    鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。  在日米軍駐留経費負担特別協定の現行協定につきましては、二〇一五年四月二十七日の日米2プラス2において、閣僚は、適切な水準の在日米軍駐留経費負担を行う将来の取決めに関する協議を開始するという意図表明をいたしております。それに基づきまして、一五年七月に協議を開始いたしました。十二月に実質合意をし、翌一六年一月に署名に至りまして、一六年三月末に国会で御承認いただき、四月一日に発効しております。  以上でございます。
  303. 井上一徳

    ○井上(一)委員 産経新聞によりますと、日本政府方針を固めたということで三つありまして、一つは大幅な負担増は拒否、二つ目、自衛隊の米軍防護で作戦費負担を相殺、思いやり予算以外にも包括的に調整というのが対処方針の柱となるというふうに書いてありますが、現時点で、日本側としてはどういう対処方針で臨む方針なのか、御説明いただきたいと思います。
  304. 鈴木量博

    鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘いただきました報道における対処方針といったものを検討しているといった事実はございません。  その上で申し上げますれば、現行の在日米軍駐留経費特別協定は明年三月末日まで有効でございまして、現時点で新たな特別協定に関する交渉は日米間では行われておりません。  いずれにしましても、次期交渉を行う際には、一層厳しさを増す地域の安全保障環境や我が国の厳しい財政状況等を踏まえまして適切に対応していきたいと思っております。  以上でございます。
  305. 井上一徳

    ○井上(一)委員 トランプ大統領は、昨年六月、こういうふうに言われています。もし日本が攻撃されたら、米国は第三次世界大戦を戦う、あらゆる犠牲を払って戦う、しかし、米国が攻撃されても日本は助ける必要はない、ソニーのテレビで攻撃されるのを見ていられるということで、日米安保条約の片務性に関して非常に不満を示したというふうに言われております。  ここは、私は、日米安保条約というのは、日本が米軍に基地を提供し、そして米軍が日本を防衛するということで、非対称ですけれどもお互いに義務を負っている、こういうような理解がトランプ大統領にはまだないのではないかな、幾ら安倍総理が説明されてもまだ理解はされていないのではないかというふうに思います。  それで、日米安保改定六十周年を迎えることを契機に、やはり私は、まず、今の国際情勢を踏まえて、中国、北朝鮮を念頭に置いて、日米安保条約というのは戦略的にどういう意義があるのかというのを日米間でもう一回しっかり議論する、その上で、日米防衛協力体制のあり方、例えば今は日本が盾、米国が矛というふうに任務分担されていますけれども、そういう任務分担も含めて議論してみる。それから、米軍基地や自衛隊基地のあり方、私は、とにかく共同使用をもっと進めるべきだというのが私の持論なんですけれども、もう少し中長期的な日米防衛協力のあり方、そういうのをまず議論する。その上で、基地の経費負担、こういうような議論をしないと、どうしても、基地経費負担が多いんだ少ないんだ、そんな議論ばかりになってしまうと思うんです。  今言ったように、もう少し中長期的なスパンで日米防衛協力をどう考えるか、その上で駐留経費を考えていく、そういったスタンスで臨む。だから、もう速やかにこういった交渉は早くスタートした方がいいと思うんですけれども、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  306. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ことしで署名そして発効から六十年を迎えます日米安保条約、これは単に、我が国の防衛について、この条約が、お互いの役割が違うけれども平等であるとか、それだけの問題ではなくて、これが、米軍の前方展開、そしてインド太平洋地域の平和と安定にとっても極めて重要な存在である。これは米韓とは違うんですね。全く違うということについては米側も理解をしていると思いますが、そういった理解を確認し、同時に、今、インド太平洋地域、大きな安全保障上も変化があるわけでありまして、そういった変化をどう見て、そこの中で日米がどう連携していくか、こういう議論も必要であると思っております。  同時に、安全保障政策の対象、これが単純に、陸、そして海、空、こういう世界から宇宙そしてサイバー、こういう新しい領域に広がり、新しい脅威というものが生まれる中で、日米双方が果たすべき役割、これはアメリカ日本もそれぞれ大きくなっている、こういう前提に立って今後の協議というのは行っていく必要があると思っております。
  307. 井上一徳

    ○井上(一)委員 前回もゴールデンウイークぐらいから2プラス2でキックオフして協議を開始したということでありますので、私は、やはりもう少し早く協議を開始した方がいいのではないかというふうに思っております。  最後になりますけれども、中国の尖閣諸島に対する領海侵犯、これで、一月には四日と十四日に四隻ずつ、それから、新型コロナウイルス感染が広がった中にあっても、二月五日と十三日に四隻ずつ侵入したということで、私は今、日本中国もそうですけれども、新型コロナウイルス感染拡大防止に国を挙げてやっているときにこういった領海侵犯があることは絶対許してはならないと思うんです。  大臣、この間、ヨウケツチさんも来られたみたいですけれども、中国側に対して強く抗議していただいていると思いますけれども、どんな感じでしょうか。
  308. 茂木敏充

    茂木国務大臣 この間、時間をとって議論しましたのは、ミュンヘンで王毅外相と会談したわけでありますが、尖閣諸島周辺海域等、東シナ海を始めとします海洋安全保障分野の課題、改めて、日本の考え方、問題提起を行いまして、中国側の行動を強く求めたところであります。  東シナ海の安定なくして日中関係の真の改善はない、今後も、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜く、こういう決意のもと、冷静かつ毅然とした対応をとっていきたいと思います。
  309. 井上一徳

    ○井上(一)委員 では、終わります。      ――――◇―――――
  310. 松本剛明

    松本委員長 次に、内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣茂木敏充君。     ―――――――――――――  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  311. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ただいま議題となりました在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  改正の第一は、フィリピンに在セブ日本国総領事館を新設するとともに、同総領事館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めることであります。  改正の第二は、在マケドニア旧ユーゴスラビア共和国日本大使館名称及び位置の国名を改めることであります。  改正の第三は、在カザフスタン日本大使館位置の地名を改めることであります。  改正の第四は、在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定することであります。  以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額の改定につきましては、令和二年度予算案に計上しているため、四月一日に実施する必要がございます。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  312. 松本剛明

    松本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十一分散会