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2020-05-28 第201回国会 衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年五月二十八日(木曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 津村 啓介君    理事 石川 昭政君 理事 小渕 優子君    理事 大岡 敏孝君 理事 関  芳弘君    理事 簗  和生君 理事 青柳陽一郎君    理事 中島 克仁君 理事 太田 昌孝君       あかま二郎君    井林 辰憲君       今枝宗一郎君    今村 雅弘君       越智 隆雄君    大隈 和英君       岡下 昌平君    神谷  昇君       小泉 龍司君    杉田 水脈君       谷川 弥一君    出畑  実君       渡海紀三朗君    中村 裕之君       馳   浩君    藤井比早之君       古田 圭一君    堀井  学君       和田 義明君    伊藤 俊輔君       大島  敦君    吉良 州司君       篠原  豪君    早稲田夕季君       古屋 範子君    畑野 君枝君       串田 誠一君     …………………………………    国務大臣    (情報通信技術IT政策担当)    (知的財産戦略担当)    (科学技術政策担当)    (宇宙政策担当)     竹本 直一君    内閣府副大臣       平  将明君    内閣府副大臣       宮下 一郎君    外務副大臣        若宮 健嗣君    文部科学大臣      亀岡 偉民君    厚生労働大臣      橋本  岳君    内閣大臣政務官     今井絵理子君    文部科学大臣政務官    青山 周平君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  三角 育生君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  二宮 清治君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  齋藤 晴加君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  渡辺その子君    政府参考人    (内閣府政策統括官)   松尾 泰樹君    政府参考人    (内閣宇宙開発戦略推進事務局長)        松尾 剛彦君    政府参考人    (総務省国際戦略局長)  巻口 英司君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 齋田 伸一君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           川中 文治君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           梶原  将君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           増子  宏君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           岡村 直子君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術総括審議官)       浅輪 宇充君    参考人    (国立研究開発法人日本医療研究開発機構理事長)  三島 良直君    衆議院調査局科学技術イノベーション推進特別調査室長           吉田 郁子君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十八日  辞任         補欠選任   大隈 和英君     古田 圭一君   中村 裕之君     堀井  学君 同日  辞任         補欠選任   古田 圭一君     大隈 和英君   堀井  学君     中村 裕之君     ――――――――――――― 五月二十七日  科学技術基本法等の一部を改正する法律案内閣提出第四七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  科学技術基本法等の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)  科学技術イノベーション推進の総合的な対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 津村啓介

    津村委員長 これより会議を開きます。  科学技術イノベーション推進の総合的な対策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として国立研究開発法人日本医療研究開発機構理事長三島良直さんの出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官三角育生さん、内閣官房内閣審議官二宮清治さん、内閣官房内閣審議官齋藤晴加さん、内閣官房内閣審議官渡辺その子さん、内閣府政策統括官松尾泰樹さん、内閣宇宙開発戦略推進事務局長松尾剛彦さん、総務省国際戦略局長巻口英司さん、外務省大臣官房参事官齋田伸一さん、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦さん、文部科学省大臣官房審議官川中文治さん、文部科学省大臣官房審議官梶原将さん、文部科学省大臣官房審議官増子宏さん、文部科学省大臣官房審議官岡村直子さん、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深さん、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生さん、経済産業省大臣官房審議官中原裕彦さん、経済産業省大臣官房審議官上田洋二さん、国土交通省大臣官房技術総括審議官浅輪宇充さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 津村啓介

    津村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 津村啓介

    津村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川昭政さん。
  5. 石川昭政

    石川(昭)委員 自由民主党、衆議院石川昭政でございます。  本日は、お時間をいただきまして、科学技術イノベーション、そして新型コロナ対策にかかわる部分につきましても、政府の考え、取組についてお伺いしたいと思っております。  まず最初に、先日、国民皆様と、あと医療関係者医療従事者、そして政府皆様の熱心なお取組によって、ようやく新型コロナ非常事態宣言が全国解除されました。これほど強力な感染力を持つコロナウイルスがこれほど世界じゅうに感染が爆発したということは、これは予測不可能だったのかなというのが私が一番素朴に思う疑問であります。  過去に、こういった新型コロナウイルスMERSとかSARSとか、局地的に蔓延した感染症もありましたけれども、こういった新型コロナウイルスのような強力な感染力を持つウイルスについて日本研究していた研究者がいたのではないか、そしてその研究者が警告を発していたのではないかなというふうに思っております。  そこで、青山政務官に冒頭お尋ねしたいと思いますが、過去の科研費の中で、過去、かつて、新型コロナウイルスに関して研究をしていた、その研究に支出をした、援助したこと、そういったことはあったでしょうか、お尋ねいたします。
  6. 青山周平

    青山大臣政務官 石川先生の御質問お答えをいたします。  科研費において、平成二十三年から令和二年までの十年間で支援をしております研究課題について、研究課題名コロナウイルスを含むものは二十二件、感染症を含むものは七百七十八件ございます。総配分額としては約五十五億円の支援実績がございます。  また、日本医療研究開発機構等を通じて支援をしております感染症研究においては、平成二十二年度から令和元年度までの十年間で、大学海外九カ国に設置した感染症研究拠点に対し総額約二百億円の支援を行うとともに、新興・再興感染症制御のための基礎的研究三十件及び病原性の高い病原体を扱う高度安全実験施設を中核とした研究拠点に対し総額四十億円の支援実績がございます。  この事業におけるコロナウイルス研究に関しては、例えば、中国に拠点を設置する東京大学において、これまで中東呼吸器症候群MERSコロナウイルス感染する研究を実施しており、この研究成果を踏まえて、今般の新型コロナウイルス感染症における治療薬の候補として、ナファモスタット、商品名フサンでございますが、これを同定したと承知をしております。  文部科学省といたしましては、引き続き、厚生労働省を始めとした関係府省と連携をしつつ、今後の対策に必要となる研究開発をしっかりと支援してまいります。
  7. 石川昭政

    石川(昭)委員 ありがとうございます。  やはり、この科研費というのはかなり重要なファクターでございまして、将来、予測不可能な中でも、やはりそういったところに幅広く研究開発費を配るということによって、未来、我々にとっては現在ですけれども、何かが生じたときにすぐに対処できる、この蓄積が私は大事だと思っております。今、第二次補正予算、昨日、政府において閣議決定しましたけれども、そういった中でも、十分な研究開発予算を、ぜひ予備費等を活用して、対策を充実強化していただきたいというふうに希望しております。  そんな中、この新型コロナウイルス感染抑止するということで、大学研究機関、あるいは民間研究機関も、大学に入るな、研究をちょっと一時ストップしろということで、研究活動が中断しているというふうにも伺っております。  そこでお伺いいたしますが、これから徐々に研究開発を再開するに当たって、新型コロナウイルス感染防止しながら研究活動のおくれをどうやって取り戻していくのか、政府現時点でのお取組を、また青山政務官にお伺いいたします。
  8. 青山周平

    青山大臣政務官 お答えをいたします。  新型コロナウイルス感染症影響を受けまして、先生指摘のとおり、研究現場では、研究が思うように進んでいない、また、研究テーマの見直しを迫られているといった声が上がっていると伺っております。  今後、新しい生活様式の実践が求められる中で、大学研究機関において感染拡大予防に努めつつ研究活動を再開するためには、研究室内での対人距離確保、ローテーションでの勤務、実験施設設備を短時間で効率的に利用するための運転計画構築利用時間の共有、記録、設備遠隔利用積極的推進等対策が必要だと考えております。  文科省では、今月、五月の十四日に、これらの対策に当たっての留意点工夫例等をまとめた感染拡大予防研究活動両立に向けたガイドラインを作成しまして、大学研究機関等周知をいたしております。  研究設備遠隔化自動化による研究再開支援など、今後とも、感染拡大予防に最大限留意しつつ、現場状況も伺いながら、我が国研究活動が着実に進んでいくように取り組んでまいります。
  9. 石川昭政

    石川(昭)委員 ありがとうございます。  予算もしっかり確保していただいていて、遠隔化自動化に関しては二十一億円、それからバイオリソースの安定的な維持、提供に向けた基盤構築については九億三千五百万円を、もう既にこうやって措置していただいております。可能な限り早く執行して、研究開発が取り戻せるように、ぜひ強い後押しをお願いしたいと思っております。  次に、ITを駆使した新型コロナ感染追跡アプリ開発についてお伺いしたいと思います。  今回の新型コロナ感染症拡大抑止防止に成功したとか早期に収束に導くことができた国を見ますと、例えば台湾とかシンガポール、あるいは韓国もそうなんですが、この新型コロナに対して、ITを駆使して、うまくその感染拡大防止に活用した国が早期抑止に成功したというふうに見てとれると思っております。  それを受けまして、我が国におきましても、感染者追跡アプリ開発する計画があるというふうに承知をしております。  一昨日だと思いますが、政府において、グーグルとアップルのAPIを利用した仕様書が公表されました。私も、いろいろ調べて、見てみたところでございます。新型コロナウイルスの第一波が収束する中で、国民的な関心というか警戒心が薄れていく中で、このアプリをどう活用していくのかというのは非常に重要な課題だと思っております。  聞くところによりますと、国民の六割から八割の方にこのアプリ利用してもらいたいというふうに考えているというふうに承知をしておりますけれども、今、現時点でどういう方策を考えておられるのか、政府取組をお伺いしたいと思います。
  10. 三角育生

    三角政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、五月二十六日に、諸外国で実装されているような接触確認アプリにつきまして、仕様書を公開しているところでございます。この仕様書もとに、六月中の導入に向けて、厚生労働省において開発を進めているものと承知しているところでございます。  また、本アプリ導入に当たりましては、国民への普及率が高いほど、より感染拡大防止の効果が期待されていることから、アプリの積極的な利用を促す周知広報活動を行います。また、本アプリ陽性者との接触があったと判断された方に対する適切な通知、案内のあり方を検討する必要があると考えているところでございます。  本アプリ厚生労働省におきまして開発、運用が進められていくことになるわけでございますが、内閣官房といたしましても、引き続き本アプリ普及に向けて必要な協力を行ってまいりたいと存じます。
  11. 石川昭政

    石川(昭)委員 このアプリ開発に当たっては、政府テックチーム指導力を発揮したというふうに承知をしております。その座長、ヘッドですね、平副大臣、きょうお越しでございますが、これは事前通告なしでございますけれども、これについて所感があったら、ぜひお伺いしたいと思います。
  12. 平将明

    ○平副大臣 今、接触追跡アプリというお話がありましたが、追跡はしませんので、接触確認アプリということで御承知おきいただければと思います。  また、今回はプライバシーに物すごく配慮をしておりまして、諸外国、例えばシンガポールなんかは電話番号をとりますし、韓国位置情報もとっていると思います。今回のアプリは、電話番号もとりませんし、位置情報もとりません。そういった意味では、最新のテクノロジーと、あとプライバシー配慮といったものをしっかり両立をさせて、プライバシー配慮をすることによって、多くの方に安心して入っていただこうと思っております。できるだけ多くの方に入っていただいて、濃厚接触者をみずから確認をしながら落としていくことによって、感染のリスクを抑えて社会活動経済活動もとに戻していく、強力なツールになると思っております。
  13. 石川昭政

    石川(昭)委員 ありがとうございます。ぜひ、できるだけ早いアプリの公開に努めていただきたいと思っております。  次に、実はきょうここに本を持ってまいりましたけれども、NISTEP科学技術予測調査についてちょっとお伺いしたいと思います。  実は、昭和三十五年に出版された「二十一世紀への階段」という本でございます。これは、昭和三十五年当時の研究者技術者が、四十年先の未来社会技術がどういったものになっているかということをこの本で紹介しているものであります。巻頭の辞は、あの中曽根康弘先生が書かれております。  それによりますと、今我々が普通使っております携帯電話も、当時、まだ普通の一般家庭電話が余り普及していない中で、ポケットに持って電話が使えるようになるというようなことをこちらにもう既に書いてあるんですね。こういった技術予測というのは大変難しいわけですけれども、ある意味、一流の技術者にとっては、この四十年間、この先どういったものが社会的に広がっていくのかということを非常にうまく書いてあります。ぜひ委員皆様も、時間があったら、国会図書館にも復刻版が出ておりますので、お読みいただきたいと思っております。  そんな中、今、第六期科学技術基本計画策定をしている最中だと承知をしております。そんな中で、NISTEP科学技術予測調査というものを行っております。その調査が、私も読んでみましたが、非常に興味深い、いい調査だったと承知をしております。これが次の科学技術基本計画にどう反映していくのか、このあたりのことをぜひお伺いしたいと思っております。
  14. 梶原将

    梶原政府参考人 お答え申し上げます。  科学技術予測調査は、科学技術基本計画等科学技術イノベーション政策の立案などのための基礎的な情報を提供することを目的として、一九七一年度から約五年ごとに実施しております。  昨年の十一月に文部科学省科学技術学術政策研究所NISTEPですが、公表した第十一回調査においては、五千人以上の専門家を対象としたアンケート調査の結果等をAI関連技術等も活用しつつ分析し、二〇四〇年をターゲットとして目指すべき未来像を描いております。  具体的には、二〇四〇年の未来像として、「人間性再興・再考による柔軟な社会」を挙げております。また、分野横断分野融合により成果が見込まれる可能性の高い領域としては、「プレシジョン医療をめざした次世代バイオモニタリングバイオエンジニアリング」「新規構造・機能の材料製造システムの創成」等の八つの分野を挙げております。  今般の新型コロナウイルス感染症は、社会に甚大な影響を与えている。一方で、二〇四〇年の未来像実現に向けて、サイバー空間フィジカル空間融合させるソサエティー五・〇の実現を加速させる可能性があります。  次期科学技術基本計画検討も進んでいるところですが、引き続き、目指すべき未来像研究開発方向性を示すことを通じて、今後の科学技術イノベーション政策検討にも貢献してまいります。
  15. 石川昭政

    石川(昭)委員 ありがとうございます。  次に、次期、第六期の科学技術基本計画を現在策定中だと申し上げました。それに当たって、今現在の第五期の基本計画レビュー専門家委員会で行っているというふうに聞いておりますが、今のレビュー状況と、あと、第五期基本計画の中で、予算確保、予定の予算額計画どおり確保できたのか、これについて平副大臣にお伺いします。
  16. 平将明

    ○平副大臣 現在、二〇二一年度から始まる第六期科学技術基本計画に向けて、まさに第五期の基本計画レビューを行っているところであります。  第五期の基本計画においては、まさにサイバー空間フィジカル空間融合による人間中心社会、いわゆるソサエティー五・〇を世界に先駆けて打ち出しをしました。  一方で、新型コロナウイルス感染症対策では、社会全体のデジタル化のおくれが顕在化をしております。そういった意味では、そのスピード感危機感について十分であったか、反省材料としたいというふうに思っております。  また、第五期基本計画期間中の政府研究開発投資については、対GDPで二十六兆円を目標としておりますが、現段階においては、令和二年度当初予算までの総額について二十三・八兆円となっております。最終的には、第五期基本計画期間中の総額は、令和二年度の補正予算地方公共団体による予算が加わることになっておりますが、目標達成に向けては厳しい状況にございます。  科学技術イノベーション我が国の根幹を支える政策でございますので、しっかりと、五期の計画反省を踏まえて、第六期基本計画では科学技術イノベーションに十分な投資が起きるように取り組んでまいりたいと考えております。
  17. 石川昭政

    石川(昭)委員 ありがとうございます。  予算の推移を見ますと、本予算での予算はかなり上昇傾向にあるというのは私も評価をしておりますが、その不足分補正予算で継ぎ足し継ぎ足しやって、やっと計画、二十六兆円に向かっているということで、補正予算がなければ全く到達できていないんですね。このあたり予算の請求の仕方もぜひ頑張っていただきたいと思っております。  それで、基金化についてもお聞きしたかったんですけれども、これは青山政務官に後ほど御教授いただくことにして割愛しまして、最後大臣にお伺いしたいと思います。  やはり、日本科研費などを使ってつくってきた研究開発のせっかくの成果が、日本企業で使われずに、海外企業がそれに目をつけてマネタイズして商品化して、また日本に輸出する、こういうことが往々にして行われているわけですね。この付加価値の損失というのは非常に大きいと思います。  そういう意味では、いかに、イノベーションサイクルというんですか、これを促進していくかというのが非常に大事だと思っておりますし、もう一点は公共調達、こういった新たな技術社会に実装していく中で、どうやって公共調達で使っていくかということも私は一つ後押しになると思いますが、この二点について最後大臣に御見解をお伺いします。
  18. 竹本直一

    竹本国務大臣 先生おっしゃるとおりでございまして、日本で発明されたものが、例えば特許等にして産業界評価していただいている金額と、アメリカで同じことをやっている金額に余りにも差が大き過ぎる。この間、ちょっと調べさせましたら、特許で見ましたら、日本で発明された特許が一件当たり七十五万円、アメリカでは千六百万円、こういうことなんです。同じものなんですよ。そうしますと、優秀な学者は当然アメリカへ行っちゃうんじゃないか、私はそれを恐れているんです。  ですから、やはりアカデミアで発明したものに対してきちっとした評価産業界がやってくれるようにならないといけない。これは、相思相愛というか、お互いを尊敬し合って初めてできることなので、よくその辺は世界標準に合わせていただきたいなということを強く思っております。私は、サイエンスがリスペクトされる社会をつくらないと日本は生き残ることはできないというふうに思っております。  先生の第二段目の御質問公共調達でございますが、大体、ベンチャーというのは財産を持っていないし、売上げも何もないわけです。ですから、最初公共調達で、例えば随意契約等でそれを採用していただくと、それが一つの経営上の糧になって、よりイノベーションを見つけるような活動に集中できる。そういういい環境をやはり国を挙げて、民間ももちろん一緒になってつくっていかなきゃいけないなと思っております。
  19. 石川昭政

    石川(昭)委員 以上、終わります。ありがとうございました。
  20. 津村啓介

    津村委員長 次に、古屋範子さん。
  21. 古屋範子

    古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。  本日は、大臣所信に対する質疑ということでございます。  私からは、新型コロナウイルス感染症関連質問をしてまいります。よろしくお願いを申し上げます。  猛威を振るう新型コロナウイルスが出現をしてから、世界は未曽有の脅威にさらされております。世界秩序というものも揺れ動いておりますし、経済は大きな打撃を受けております。また、我々の生活そのものも変化を迫られてきたところであります。  この新型コロナウイルス感染症対策で、我が国は、まず二月にクルーズ船の対応で大変苦労をいたしましたし、また海外からも批判にさらされました。しかし、厚労省始め関係省庁、DMAT、懸命に対応されたというふうに思います。  私も地元が神奈川なんですが、既にこの時点から、専門病院ではなく一般病院で患者を受け入れて、医療関係者も必死で治療に当たってきたわけでございます。また、日本では大変死亡者が少ないということで、これに関しましても、ミステリアスだとか成功物語であるとか、いろいろな評価があるところであります。  先日、NHKスペシャルWHOシニアアドバイザー進藤奈邦子氏が、この日本死亡者の少なさについて、その要因は、名立たる感染症専門家がいること、また国民の意識の高さだということを指摘されております。  私も、二〇〇九年、新型インフルエンザが流行したときに、ジュネーブでこのWHO進藤さんとお会いをしたんですが、そのときも、我が国近畿エリアで非常に早くから学校を一斉休校したり、あるいはイベントを禁止したということが、当時も、感染症を抑え込むことに成功し世界のモデルとなっている、そのような評価もいただいたところでございます。  我が国では、罰則つきのロックダウンというような措置は行わず、ここまで何とか感染を減少させてきているというふうに思います。実際、最近、国内の新規感染者は大きく減少して、数十万人から百万人規模の感染者を出している欧米諸国、またブラジルなどとは様相を異にしておりまして、ここまで何とか抑え込んでくることができたというふうに思っております。  二十五日に非常事態宣言が全面解除をされて、感染防止しながら、片や経済活動も再開をしていく、そういう段階に入りました。これから懸念をされる第二波への備えが非常に重要だというふうに思っております。  初めに、この新型コロナウイルス感染症の闘いにおいて、国民が安心して暮らせる、こういう体制をつくっていくために、この感染症を科学的に解明をしていくということが必要であると考えます。竹本大臣の御決意を伺いたいと思います。
  22. 竹本直一

    竹本国務大臣 古屋先生おっしゃっているように、今回のコロナ被害で、日本が非常に死者の数が少ない、致死率が大体三%ぐらいです。フランスは一九・六%ぐらいまで高い、二割近くの人が亡くなるということでございます。  だから、非常に大きい差がありまして、これはなぜかということは、後日というか、これから大きい、学術的な意味でも研究の対象になるんだろうと思いますが、我が国がなぜよかったかというと、一つは、欧米流のタッチングカルチャーというか、お互い握手しハグをするというようなカルチャーがなくて、おじぎで、一定の距離を置いて相手と接触しないという生活習慣、それから、手を洗い、顔を洗い、清潔感のある生活をしている、そんなことが貢献をしているんだろうという説はありますけれども、恐らくそうだろうと思いますが、それだけではないんだろうというふうに思っております。  それで、感染者と死亡率との関係なんですが、権威ある先生方に言わせますと、やはり死亡率が一番問題だ、感染者の数はそれほど問題じゃない、こういうお説を伺っておりますが、いずれにいたしましても、日本はある種の、成功と言えるかどうかわかりませんけれども、いいパターンをつくり出したのは事実であります。  先日もG7の科学技術大臣会合で、私はこのことを申し上げました。アジアの致死率が低い、ヨーロッパが非常に高い、これは何か、技術的な意味でもっと学問的な意見の交換をぜひやりましょう、こう言っておりますが、大きい研究課題だと思います。  我々としては、国民の命を守る責任がありますから、やはり、過去の歴史、一世紀前のスペイン風邪がどうだったか、あれも、一旦あって、六カ月後に第二波、第三波が来ていますから、そういうことも念頭に置きながら、細心の注意を払って対応していかなきゃいけないと思っております。
  23. 古屋範子

    古屋(範)委員 竹本大臣から、新型コロナウイルス対策への御決意を伺いました。  大臣も今、死亡者が非常に少ないということに言及されました。この新型コロナウイルスで死亡する人がなぜ日本は欧米に比べて少ないのか、その疑問に挑む研究、コロナ制圧タスクフォースが発足をされたと伺っております。慶応大学や京都大学など七つの大学研究機関から成る共同研究グループ、コロナ制圧タスクフォース、さまざまな研究分野から日本を代表する科学者が横断的に結集していると承知をしております。  この日本感染者の中で死者が少ないという点に着目をして、日本人の患者の遺伝情報を解析する研究を手がけると伺っております。この研究では、日本人の死亡者を含めた重症者と軽症者の血液検体六百人分の遺伝情報を解析することで、重症化に至る原因を突きとめていこうということだと伺っております。九月には解析結果を発表して、最終的にはワクチン開発を目指すと聞いております。  このコロナ制圧タスクフォースの概要と目的、また今後の展開について、内閣府にお伺いをいたします。
  24. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘研究につきましては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、AMEDでございますが、こちらで、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発における研究開発課題として、五月七日に採択をされております。  御指摘のコロナ制圧タスクフォースというのは、先生もう御指摘のとおりに、慶応義塾大学を中心とした研究者から成ります、ワクチン開発を目指して研究課題を実施するために、さまざまな特徴を持った、専門性を持った方々が集まった共同研究グループというふうに聞いております。  その研究内容につきましては、先生、遺伝学的な特徴ということもおっしゃっておられましたが、特に、人の白血球の抗原、これが非常に遺伝的に多様なバラエティーを持っております。そういったものを中心とした免疫学的特徴という非常に基礎的な研究を解明するとともに、そこから粘膜免疫というもののワクチンの開発をしていくということであると承知をいたしておりまして、AMEDのワクチン開発支援により研究が進められていくものと承知をいたしております。
  25. 古屋範子

    古屋(範)委員 タスクフォースの研究概要を御説明いただきました。  緊急事態宣言は解除されましたけれども、若干、このところ感染者がふえてきているかなと思います。また、北九州では二十七日、新たな感染者が八人確認をされたということでございまして、ワクチンが開発されるまではこういう状況がやはり続いていくのではないかというふうに思います。  ワクチンが開発をされ、完成をして、なおかつそれが全国民に接種をされる、ここまでいってやはり安心ということなんだろうというふうに思います。それまでは、私たちは、やはりこの感染というものと隣り合わせで暮らしていかなければいけない。新しい生活様式を取り入れて、常に感染防止ということを念頭に置いて生活をしていかなければならないと思います。  今、このタスクフォースの研究、ワクチン開発などの基礎研究の部分を担っていかれるということですので、ぜひともこれを推進して、新型コロナウイルスワクチン開発にしっかりとつなげていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、今出ましたワクチン開発と実用化、また治療薬開発状況、見通し、そして資金面での支援についてお伺いをしてまいります。  新型コロナウイルス感染症の終息に向けた重要な武器、これは治療薬とワクチンであります。世界で今、研究者が、ウイルスの解明に当たりながら、これらの開発を進めていると承知をしております。  今月に入りまして、治療薬につきましては、初の薬が承認をされるなど、開発が本格化をしております。開発が最も活発化しているのは、ウイルスの増殖を防ぐ薬、既存薬の転用、研究が進んでいると思います。例えば、エボラ出血熱の治療薬レムデシビル、これは五月七日、特例措置で適用され、承認をされました。また、新型インフルエンザ治療薬のアビガン、承認の手続は六月以降になるのかと思います。また、エイズ治療薬のカレトラが臨床研究に入った。また、膵炎治療薬のフサン、これがアビガンとの併用で高い治療効果が見込めるのではないかということで臨床研究が始まりました。また、抗寄生虫薬イベルメクチン、この治験を研究中だと伺っております。  まず、この治療薬につきまして、効果、安全性、厳密な検証が今後行われていくと思いますけれども、ウイルスの増殖を防ぐ、また免疫の働きで重症化を防ぐなどのメカニズムに期待が高まっています。まず、この治療薬開発状況を伺います。  そして、ワクチンなんですが、WHOによりますと、ワクチン開発については、今、百十八の計画が進行中だということです。このうち、欧米、中国の八件は、もう人に投与をして有効性を確かめる治験の段階に入った。  一方、我が国では、やはり出おくれが目立つように思います。大阪大学、東京大学、国立感染症研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所、タカラバイオなど、いずれも治験の前段階だということを聞いております。  二十六日なんですが、大阪大学発のバイオ企業アンジェスが、ワクチンの治験を、当初は九月から開始すると言っていたんですが、これが七月から始めるという報道がございました。AMEDが二十億円を研究費として投じることがここは決まっております。  海外の方が先行しているようでございますけれども、国内に行き渡る量をできるだけ確保するために、やはり国内産のワクチンというものが鍵になってくると思います。安全で有効性が高いワクチンの開発、承認まで通常は二年かかってしまうということなんですが、このワクチンをいつ接種できるのか、実用化の見通しについて、いかがでしょうか。  また、第二次補正予算案でも、コロナワクチン開発、生産支援が盛り込まれております。十分な予算確保して、国内産業の育成にしっかりと当たっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。政府参考人にお伺いをいたします。
  26. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 お答えいたします。  新型コロナウイルス感染症に関しまして、医療分野研究開発関連の調整費、それから令和二年度の第一次補正予算、また、今御審議されております第二次補正予算等を用いまして、治療法の開発、ワクチン開発等に取り組んできております。これまで、第一次補正予算を含めまして、研究開発関連は八百三十五億円ということで手当てをいただいております。  その中で、先生の御質問治療薬につきましては、日米が中心となって共同治験を実施してきたレムデシビルについて、先生指摘のとおり、五月七日に特例承認されております。また、アビガンにつきましては、観察研究、臨床研究企業治験が進められておりまして、有効性、安全性が確認できれば、迅速に薬事承認を行う方針と承知いたしております。  ワクチン開発に関しましても、AMEDの課題の採択が五月七日に行われたところではございますが、そこも含めまして、複数の研究機関において新しいワクチンの開発が進められております。  実用化の見通しということでございますが、ワクチンの開発、製造につきましては、大変重要な課題でありますものの、一般的には、当該ワクチンの有効性、安全性の確認や、一定の品質を担保しつつ大量生産が可能かどうかといったことを確認をする必要などがございまして、開発には年単位を必要とするというものでございます。  いずれにしましても、新型コロナウイルス感染症研究開発国民の命と健康を守るための最優先の課題でございますので、私ども、緊張感とスピード感を持って進めてまいりたいというふうに思料いたしております。  失礼いたします。
  27. 古屋範子

    古屋(範)委員 補正予算をつけていただきましたけれども、米国また中国などに比べますと、非常に規模が小さいと言わざるを得ません。しっかりこの機会に国内産業を育成し、国内のワクチン開発に全力を挙げていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  最後質問になりますけれども、我が国で、新型コロナウイルス感染など、重症の呼吸とか循環器不全に対する集中治療というものは今進歩をしているんですけれども、救命率、治療後の予後、QOLも向上してきました。しかし、ECMO、この治療というのは大都市に限定をされている状況です。地方ではなかなか高度専門治療が受けられない現状がございます。ECMOも配置が少ない、また、扱う専門家も少ないと思っております。  今回の新型コロナウイルス感染症の重症呼吸不全患者、また劇症型の心筋炎など、循環不全患者が国内で公平に医療を受けるために、ドクターヘリ、またメディカルウイング、これは航空機を利用して患者を搬送するものでありますけれども、こういうものを活用して、地域から高度医療施設へ患者を広域搬送していく、若しくは、医師と機材を地域に搬送して、ECMOを現地で装着して、地域から高度医療施設に患者を搬送するシステムが必要なのではないかというふうに思います。その研究を早急に行うべきだと思っております。  全国各地で発症した重症呼吸・循環不全患者がひとしくECMO治療を受けられるように、現地でのECMO装着を含めた、装着患者の救急車また空路、ヘリコプター、航空機搬送を含めて、治療のガイドライン作成と搬送システムの構築が求められると思っております。  高度医療施設への航空搬送をするための運用システムを策定するための研究を行う必要について、政府の考えをお伺いいたします。
  28. 迫井正深

    迫井政府参考人 御答弁申し上げます。  委員指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症が発生した際の感染者を含めた救急患者、それから、循環不全も含めました重症者等の受入れに支障を来さないように、地域全体で、搬送手段それから医療機関の役割分担、これらについて事前に調整をするというのは極めて重要だというふうに理解いたしております。  航空搬送も含めまして、感染患者の搬送に関しましては、患者の状態でございますとか治療状況、それから、搬送中に適切な感染管理ができるかなどを踏まえることが非常に重要な点になります。  このため、今般の新型コロナウイルス感染症への対応といたしまして、都道府県に対しましては、まず、県内の患者受入れを調整する機能を有する組織、部門の設置、それから、当該組織、部門に搬送調整の中心となる患者搬送コーディネーターの配置を求めるとともに、広域の患者搬送体制についても重要でございまして、そういった体制の構築、それから、新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関、そして、逆にそれら以外の重症者を積極的に受け入れる医療機関、これは役割分担でございますけれども、そういったものをしっかり行うように依頼をいたしております。  さらに、厚生労働省といたしましては、令和二年度の一次補正予算におきまして、感染拡大防止それから医療提供体制の整備等を優先的に取り組むことを主眼といたしました緊急包括支援交付金を創設をいたしておりますが、この中で、患者搬送コーディネーター配置と、必要に応じた都道府県を越えた患者搬送の費用でございますとか、先ほど委員指摘のとおり、ドクターヘリ等のヘリコプターによる広域搬送の際の当該患者を隔離するために、感染防止に必要な設備の整備などの人、物両面から抜本的な強化を図ることといたしております。  こういった取組を通じまして、患者が適切な医療を受けられる医療提供体制の構築支援してまいりたいというふうに考えております。
  29. 古屋範子

    古屋(範)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  30. 津村啓介

    津村委員長 次に、大島敦さん。
  31. 大島敦

    ○大島(敦)委員 衆議院議員の大島です。  竹本大臣に何問か質問をさせてください。  科学技術特別委員会質問させていただくこと、本当に光栄だと思っています。  まず、量子の技術。  「プラトーン」でアカデミー賞をとったオリバー・ストーン監督の「スノーデン」という映画を見ると、なかなかよくできている映画で、対日の傍受の仕事をやっていたところがリアルに描かれています。アカデミー賞をとった監督の映画ですから、荒唐無稽な話ではないのかなと思っていまして、唯一秘匿できるデータのやりとりは量子暗号です。これは、NICTの佐々木先生がここ二十年間かけて中心的にやってきた技術。  あとは、量子コンピューターですね。二〇一六年の一月、僕はNTTの厚木に行きまして、今回、政府の量子技術イノベーション有識者会議のメンバーである寒川先生から、四年半前に光の量子コンピューターについて説明を受けたことがあります。翌々年、うまくいったというお話を伺いました。  ですから、国の基本技術はやはり量子だと思っていまして、これまでの私たちの国の技術は一九六〇年代の技術の延長だったと考えています。余りおもしろくないと思っています。本当にそれをブレークスルーするのはこの領域かなと思っていまして、ですから、量子コンピューターができれば世界の全ての暗号システムは全て解読することが可能ですから、やはりこの分野をしっかりと我が国がリードすることが必要だと思います。  アメリカでは論文はほとんど出ていません。衛星量子通信は、恐らく今、もう実験段階を過ぎて、実用化しているんじゃないのかなと思っています。  中国は、三、四年前だったかな、もっと前だったか、今の国立天文台の常田先生がJAXAの宇宙研の所長だったときにちょっとお伺いしたら、中国は六百キロの衛星を打ち上げたという話を聞いていて、それもうまくいっています。  日本は、かすかすの中で、ようやくこの分野、保っているのが我が国ですので、ぜひ大臣には、この分野、応援したいと思っています。  私たちの、仮に政治が上部構造だとすれば、政治を規定しているのは経済です。経済を規定しているのは科学技術ですから、科学技術が私たちの国の未来を規定しているわけ。  昨年、ここにいらっしゃる先生方、渡海先生始めとして皆さんの御協力で研究開発力強化法案が成立をして、ムーンショット、これはアポロ計画だったと思います。今からもう三十年以上前、私がデュッセルドルフの事務所で駐在員のときに、ドイツのドイチェス・ムゼウム、ミュンヘンにあります科学技術の博物館を見ると、アポロ計画、ソユーズ計画とあって、その展示の真ん中に一つロケットがあるの。V2なの、ロンドンを攻撃していた。彼らにとっては宇宙技術の根幹はV2から始まっているということを展示で見せているわけですよ。  やはりこの科学の領域は我が国の安全保障そのものだと思うものですから、まず一問目、量子技術について、産業安全保障上の観点から、我が国としても技術開発や国際標準等の取組を一層強化することが不可欠であると考えますけれども、特に、大臣、この国際標準が大切なんです。四、五年前だったかな、サイバーダイン社の山海先生とお話ししたら、やはり標準化、この標準化をとることによって、世界の全ての技術がそこに集まるんです。この標準化を我が国がとっていくことが、黙っていても世界じゅうから技術が集まることになるものですから、その点についての大臣の御答弁、よろしくお願いします。
  32. 竹本直一

    竹本国務大臣 この分野に非常にお詳しい大島先生から御質問いただきまして、光栄と思っております。  最後におっしゃったように、標準化、デファクトスタンダードを世界のスタンダードにする努力が、いや、努力はしているんですけれども、全然力が我が国は弱くて、それが非常に大きい課題であることは間違いないわけでございます。  お話の量子技術でございますけれども、これからの経済社会に大きな変革をもたらす重要技術と認識をしておりますが、欧米中を中心に、国として戦略を策定するとともに、政府企業を挙げて大幅な投資の拡充を図っていく必要があると思っております。  今のような状況ですと、我が国は、量子技術の発展において諸外国の後塵を拝しかねないというような状況でございます。統合イノベーション戦略会議におきましても、本年一月に、初めての国家戦略、量子技術イノベーション戦略を策定しました。この戦略によりまして、国として重点を置くべき技術領域を明確に設定し、今後三十年を見通した具体的なロードマップを作成するとともに、国内外から人材が結集した拠点の形成、例えば東大とか、いろいろな大学とか、あるいは研究所ですね、国際連携協力の拡大、あるいは知財、国際標準化の推進、さらに、すぐれた人材の育成、確保など、体系的、総合的な取組を盛り込んだ画期的な戦略と考えております。  政府としては、この戦略に基づきまして、我が国が強みを持つ量子技術を一層強化するとともに、産業安全保障の観点も含めて、イノベーションに結びつく状態をぜひとも実現していきたいなと思っております。  数十年前、フレデリック・フォーサイスの「悪魔の選択」という本が結構売れたことが、私もそのときに読んだんですが、あの時点では三十センチで地球上のものが皆わかるというようなことを言っていましたけれども、それが今はもう一センチぐらいで全部わかるわけですから、技術というのは恐ろしく進むものでありまして、基幹技術に対してやはり投資を惜しんではだめだというふうに思っております。  最後におっしゃった宇宙開発におきましても、アルテミス計画アメリカから我々は協力を要請されまして、合意をして日米で協力してやるんですけれども、中国は、実は月の裏側にもう行っている。アメリカも行けていないんですね。そのように着々とやっている国がありますから、それを念頭に置いて、この分野予算の獲得というのは絶対怠ってはいけないと思っております。
  33. 大島敦

    ○大島(敦)委員 まことにありがとうございます。力強い御答弁ありがとうございます。  内閣府の皆さんには、来週の月曜日ですか、科学技術基本法の改正案の審議をここでやります。  文書をつくることも物すごく大切なんですけれども、やはり予算を分捕ることが一番大切だと思っています。予算のあるところに人は集まりますので、ぜひ、その点、大臣に一問質問させてください。  政府として、計画、戦略等の実効性を担保するため、科学技術予算を拡充していくことが不可欠であると考えますが、大臣の決意について伺いたいのが一点。  この中でも、特に量子技術については、私は、重点的に予算確保、拡充することが重要であると思っています。これが次のイノベーションですから。その点についての大臣の御答弁をよろしくお願いいたします。
  34. 竹本直一

    竹本国務大臣 科学技術イノベーションをめぐりまして各国が覇権争いを繰り広げる中、科学技術基本計画や統合イノベーション戦略に基づきまして、科学技術イノベーション政策を推進するための予算は、おっしゃるとおり、極めて重要だと考えております。  具体的に申し上げますと、科学技術関係予算ですが、今年度当初予算では、対前年度比三・三%増となる約四・四兆円の予算確保したところです。  なお、第五期基本計画期間、これは二〇一六年から二〇二〇年ですけれども、この間の科学技術関係予算現時点で二十三・八兆円、先ほどうちの副大臣が答えたとおりでございます。  また、問題の量子技術におきましては、今年度予算及び昨年度補正予算において、政府全体で対前年度倍増以上となる三百四十億円を確保したところでございます。この間まで、その半分の百六十億円だったんです。  引き続き、来年度予算要求に向けて一層の拡充に努めてまいりたいと思っておりますが、桁が違うといいますか、非常に少ない。これは何とかしなきゃいけないなと本当に思っております。
  35. 大島敦

    ○大島(敦)委員 これから概算要求の季節に入ると思いますので、大臣の桁が違うというのは、私も桁が違うと思っています。  前に調べたら、グーグルの一年間の研究開発予算は二兆円でしたので、日本政府が四兆円ですから、余りにも少な過ぎる。ですから、ここのところをしっかりと確保し、人材、やはり研究者は、高額な所得は要らないんだけれども、安定した職場と、楽しいこと、研究したいことを思う存分研究したいというのが研究者の気持ちですので、その点、大臣も十分に御理解されていると思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、この量子の力学、量子物理学は、NICTの佐々木先生とお話しすると、物理学科の学生の中でも、わかる人はわかるし、わからない人はわからないのがこの量子の物理学だそうなんです。日本では、特に東芝、今、NICTと東芝、一緒に研究しながら暗号技術を市場に出そうとしていて、ただ、その研究所はどこにあるかというと、イギリスのケンブリッジだったと思います。  ですから、やはり、学者の数、研究者の数が圧倒的に少ないのが日本ですので、政府として、これからの量子技術の推進、発展を担う人材育成を、根本的に母数をふやしていく、研究者をふやすことが必要だと思いますので、その点についての大臣のお考えをお聞かせください。
  36. 竹本直一

    竹本国務大臣 近年、量子技術をめぐります国際的競争が非常に加速しております。  我が国では、量子技術研究開発等に携わる研究者の層は、米国や中国を始めとする諸外国に比べて、極めて薄い状況にあることはもう認めざるを得ないというところでございます。  このため、量子技術イノベーション戦略におきまして五つの柱をつくりました。  その一つとして、人材戦略を挙げております。すぐれた研究者技術者等の戦略的な育成、確保に向けて、大学等における量子技術に関する体系的、共通的なカリキュラムの開発や活用の促進。また、大学研究機関等において、国内外からすぐれた研究者技術者等を招聘し、確保するための取組の促進。さらに、将来を担います量子ネーティブの育成について、高等学校や専門学校において、興味を持つ生徒に対して、量子に関する学問等に触れる機会をつくること。  政府としては、本戦略に基づきまして、特に文科省を中心に、内閣府としても、経済産業省、総務省等と連携協力しつつ、強力に推進してまいりたいと思っております。内閣府は国家戦略を考える役所でございますので、この人材育成に関しては本当にしっかりやらなきゃいけないなと思っております。  研究者の立場というか、経済状況が非常に悪い。一つは、任期が限られている、例えば十年契約とか五年契約。そうすると、将来の見通しが立たないから、生活を考えながら研究しなきゃいけない、落ちつかない。そんなことがありまして、先般の補正予算で、年間一人七百万、十年間だから七千万の研究費の支給をする制度をつくりました。  しかし、それだけではもちろん全然だめでございまして、いい発明、発見をしたら大臣が表彰するような制度もつくろうと考えておりますが、もろもろのことをやって、要するに、サイエンスに打ち込むことが非常に生活も安定するし、生きがいのある仕事であるという状況をつくらなきゃいけない。  そのためには、先ほど申し上げましたように、やはり、日米比較をしまして、成果品に対する評価日本の国は余りにも低過ぎる、これはちょっと何とかしなきゃいけないなと思っております。特許で見ましたら、大体、アメリカの二十分の一の評価しかされていない。学者が気の毒でございます。こんなことをやると、どんどんアメリカへ優秀な人が行ってしまうのではないか。これだけは何とか是正したいなと思っております。
  37. 大島敦

    ○大島(敦)委員 大臣の力強い御発言、まことにありがとうございます。  なかなか研究者は悩んでいまして、外国研究者もよく日本予算の仕組みをわかっているんです、大臣。一般予算、当初予算補正予算日本科研費はトータルするとこの金額だけれども、補正の割合がどんどんふえているんじゃないか、だから、安定的に一緒にコンソーシアムを組む相手としてちょっと弱いんじゃないのという指摘を受けることがあるそうなんです。  ですから、やはり、補正でとることも大切ですけれども、当初予算の中でしっかりとした予算配分を獲得していかないと、今度、外国とのコンソーシアムを組むときに弱くなってしまいますから、その点、よろしくお願いいたします。  もう一つは、この量子を、今まではアカデミアでした、若干これから商用に移しかえているところです。やはり、秘匿できる通信システムであり、将来的にはさまざまな産業の基盤となるのが量子コンピューターを始め量子の技術ですので、今この量子技術イノベーション戦略を読んでいると、量子技術イノベーション協議会(仮称)の創設ということがうたわれていて、要は、量子技術について、単なる技術開発にとどまることなく、成果を事業化、産業化等に結びつけていく取組が必要だと思っていまして、なかなか量子力学といっても難しいなと思う方が多いので、特に、産業界の皆さんと学者の皆さんが一緒に議論しながら、何かの気づきがあって、量子を生かした産業をつくっていこうということが必要だと思います。  それで、量子ICTフォーラムを始め、量子技術を産業に結びつけていくための仕組みの必要性について、大臣の御所見をお聞かせください。
  38. 竹本直一

    竹本国務大臣 量子技術は、将来の産業・イノベーションにつながる重要技術でございますけれども、技術的に発展途上にあるため、我が国産業界が大きな投資を行い積極的に参入する段階に、今、必ずしも至っていないのが現状でございます。  我が国としても、多様なステークホルダーが集い、量子技術の現状分析や研究開発の発展、産業、社会での利活用等を検討するための場を確保していくことは極めて有益と考えております。  こうした観点から、量子技術イノベーション戦略では、特定の技術領域ごとに、量子技術イノベーション協議会、おっしゃったようなものを新たに設けることを考えておるわけでございます。  本協議会の先行事例として、昨年五月に量子ICTフォーラムが一般社団法人として発足したと承知をいたしております。ここでは、量子コンピューターや量子計測・センシング、量子通信、暗号等の技術領域に関心のある幅広い関係者が参画し、研究会やシンポジウムの開催等が積極的に行われているものと承知いたしております。  政府といたしましても、引き続き、こうした場の活動を積極的に支援してまいりたいと考えております。  量子という一つの大きいテーマについて、これがこれからの技術社会を根本的に変える要素を持っておりますので、そこには、しっかりした、関係者の集合をきちっとして、意見交換して、その中でイノベーションが生まれるという状態は、国として、その責任上においてつくらなきゃいけないと思っております。
  39. 大島敦

    ○大島(敦)委員 まことにありがとうございます。  アインシュタイン、ノーベル賞をとりました。相対性理論でノーベル賞をとっていないんです。彼は量子力学でノーベル賞をとっています。その割には量子力学が余り好きじゃなかったらしいんですけれども。そういうことがありますので、ぜひ、この量子の領域、よろしくお願いいたします。  続きまして、準天頂衛星システム。  まず大臣に、申しわけないけれども、一問目、お願いしたい。  私は、その国の航空機とか艦船がどこにいるかということを捕捉することが国の独立の条件かなと思っています。ですから、アメリカですとGPS、世界に先駆けての衛星。私たちはそれを無料で、ただで使っているのがカーナビシステム。あるいは、ロシアですとこれはGLONASSだったかな。EUだとガリレオ。そして、中国はいよいよ、年内中には、三十基で地球全体を覆う北斗という、ベイドウというシステムを立ち上げます。日本では、準天頂衛星が、二〇一八年の十一月に「みちびき」がサービスを開始して、それから一年半が今経過をしています。  おととしの暮れから去年の年初にあった「下町ロケット」を見ると、この準天頂衛星の電波を使いながら農業用トラクターを開発するなんというストーリーでした。  それで、自動車、農機、ドローンの自動走行等に貢献する「みちびき」は、ポストコロナ時代にはさらなる重要なインフラとなると考えております。官民一体となって「みちびき」の利用拡大を更に加速するために、大臣のぜひリーダーシップを、今でも発揮していただいているんだけれども、更に発揮していただきたいと思いますので、ちょっとその点についての御所見をお聞かせください。
  40. 竹本直一

    竹本国務大臣 「みちびき」は、現在販売されている大半のスマホやカーナビで実際に利用され、GPS等の衛星測位サービスの精度の向上に役立てられております。  また、「みちびき」が提供する高精度測位信号を活用した新たなサービス、商品も生み出されつつあります。例えば、自動車や、お言葉のように農機の自動走行、あるいはドローンによるピンポイント配送など、実用化を通じまして、さまざまな分野のリモート化への貢献も大いに期待されるところであります。  今回、コロナを経験しまして、これからの世の中は、新しい時代のあり方というものを必然的につくっていかなきゃならない時代に来ております。その場合にこの「みちびき」等の技術が大きく貢献することは間違いないと思っておりまして、私自身、関係省庁の副大臣や経団連の幹部などを集めました準天頂衛星システム利活用促進タスクフォースというのを主宰しておりまして、関係者の連携強化に努めております。官民が結束して「みちびき」の利活用の促進がなされるよう、私みずからが先頭に立って積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  先般も、楽天の輸送システムを実際に見てまいりました。実に省力化が図れるというか、そういう時代が来るんだなというのが如実にわかる感じがいたします。しっかりやりたいと思います。
  41. 大島敦

    ○大島(敦)委員 大臣、ありがとうございます。  それでは、残余の時間で、各省庁の取組について伺わせてください。  まず、国土交通省さん、さまざまな取組をしていただいていることを感謝申し上げますので、その点について御答弁いただければと思います。
  42. 浅輪宇充

    浅輪政府参考人 国土交通省では、高精度な測位情報の提供が可能となります準天頂衛星システムについて、さまざまな分野において実装を含めた検討、検証等の取組を積極的に進めております。  例えば、航空分野におきましては、準天頂衛星「みちびき」三号機を用いまして、衛星航法システムによる測位補強サービスの提供をことしの四月から開始したところでございます。今後、準天頂衛星七基体制を見据えまして、引き続き、衛星航法の精度や安全性を向上させるための取組を進めてまいります。  また、鉄道分野につきましては、昨年二月に有識者や業界団体等から成ります検討会を立ち上げまして、鉄道における準天頂衛星の活用の可能性について検討を進めているところでございます。  具体的には、都市部や地方の幾つかの路線を選定しまして、鉄道車両に準天頂衛星の受信機を搭載させてフィールド試験を行い、走行している列車の位置検知の精度や課題などを取りまとめているところでございます。  さらに、測量分野でございますが、準天頂衛星などを活用した高精度測位を支える国土地理院の電子基準点が災害時にも安定的に運用できるように、基準点の強靱化に取り組んでおります。  また、タイやミャンマーを始めとする東南アジア諸国においては、我が国の準天頂衛星等を活用できる電子基準点の整備が進んでおります。国土地理院では、これらの国に対して、その国のニーズを踏まえまして、積極的に技術協力、人材育成に取り組んでございます。  国土交通省といたしましては、内閣府を始めとする関係府省と連携しながら、例示として挙げた分野以外にもさまざまな分野におきまして、準天頂衛星の利活用の取組を積極的に進めてまいります。
  43. 大島敦

    ○大島(敦)委員 お取組、まことにありがとうございます。  続きまして、経産省からの御答弁をお願いします。
  44. 上田洋二

    上田政府参考人 お答え申し上げます。  準天頂衛星は、高精度測位サービスを無償で提供する、我が国が誇るすぐれたインフラでございます。このインフラを利用した新たなビジネスの創出への期待、これが高まっております。  このため、経済産業省では、準天頂衛星を具体的にビジネス利用する場合の技術課題の解決に向けた開発、実証の支援を行っております。  例えば、ドローンにつきましては、準天頂衛星のセンチメートル級の測位データを活用し、安全な運航を実現するため、衝突回避技術等の研究開発を行ってまいりました。今後、準天頂衛星の活用を一層推進するため、ドローンに搭載する受信機のさらなる小型化、低消費電力化、これに取り組んでまいります。  また、よりコスト低減が求められる汎用的なドローンにおきましては、準天頂衛星のサブメートル級の測位データの活用、これも選択肢の一つとして検討を深めてまいりたいと考えております。  さらには、ドローン以外の、例えば、防災、物流、農業を含む多様な分野においても、アジア、オセアニア地域を対象とした、事業者による準天頂衛星を利活用したサービスの開発に対して実証支援を行っていく予定でございます。  このような取組に加えまして、新たなユーザー開拓の観点から、企業、業種の枠を超えた利活用を推進するIoT推進コンソーシアム、このもとに、準天頂衛星の利活用を推進するための官民協議体、これを設置しております。物流、プラント、農機、建機など、異分野のさまざまな産業団体にも参加をいただき、ビジネスの創出に向けた課題取組方向性検討やベストプラクティスの共有等に取り組んでおります。  引き続き、関係省庁と連携しながら、準天頂衛星システムを活用したサービスの創出に取り組んでまいります。
  45. 大島敦

    ○大島(敦)委員 まことにありがとうございます。お取組に感謝申し上げます。  最後に、総務省の取組について御答弁をお願いします。
  46. 巻口英司

    巻口政府参考人 総務省では、「みちびき」の海外展開に向けた利活用実証事業としまして、平成二十六年度から三十年度にかけて、オーストラリアにおいてスマート農業の実現を目指した実証を、また、令和元年度には、インドネシアにおいて植林管理の効率化を目指した実証を実施してまいりました。  令和二年度におきましても、これまでの実証事業の成果を踏まえつつ、引き続き、アジア太平洋地域において、高精度な位置情報へのニーズを有する農林業や物流などの分野で実証事業を実施することを検討しております。  総務省としましては、引き続き、関係省庁民間企業と連携し、本実証事業の推進などを通じてアジア太平洋地域における「みちびき」の活用の推進に寄与してまいりたいと考えております。
  47. 大島敦

    ○大島(敦)委員 まことにありがとうございます。  竹本大臣にお願いしたいのは、各役所の皆さんは一生懸命取り組んでいただいておりますので、大臣からも応援していただけると助かります。先ほど御答弁あったとおり、副大臣の皆さんをお集めになって、会議体でしっかりやってほしいという話をされているそうなので、ぜひお願いします。  今御答弁の中で、四基から七基という話があります。これは結構大切な話でして、今までのGPS衛星の測位の誤差は十メートルぐらいだったかな、それを、各国、先ほど申し上げましたGLONASSなり、あるいはガリレオなり、準天頂衛星の電波も使いながら、カーナビシステム、非常によくなっているんですけれども、四基というのは、準天頂衛星はセンチメーター級ですから、誤差が十センチぐらいだというところが売りなわけです。この誤差を出すためには、やはりアメリカのGPS衛星の力をかりないとこれが出ない。  ただ、七基体制にすると、我が国の衛星だけでこの誤差が、センチメートル級の精度が出るというのが七基体制なので、ここが七基になったときには、大きく、もう独立して運用できるようになるものですから、この点に対する応援も、竹本大臣科学技術に非常に熱心でお詳しいのでいらっしゃいますから、この点をぜひお願いしたいんです。  やはり科学技術が大切だというところ、竹本大臣最後に何か決意を、特に予算獲得に向けての決意をいただきまして、大島の質問を閉じさせていただきますので、よろしくお願いします。
  48. 竹本直一

    竹本国務大臣 いろいろお励ましの言葉、ありがとうございます。  七基体制は絶対必要だということを篤と専門家から言われておりますので、そう信じて、そのための努力をしております。  最後先生が言われた、やはり科学技術予算なんです。もう間違いなくそうなんです。予算がないと動けないんです。科学者の数が多くないとこれはだめなんです。そういうことを心得てしっかりと努力しますので、よろしくお願いします。
  49. 大島敦

    ○大島(敦)委員 ありがとうございました。終わります。
  50. 津村啓介

    津村委員長 次に、青柳陽一郎さん。
  51. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 立憲民主党の青柳陽一郎でございます。  きょうは、質疑の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。  科学技術未来への投資であり、非常に重要な分野だというのは論をまちません。ここにいる委員皆さんがそういう思いだと思います。その上に立って質問をさせていただきます。  まず、健康・医療政策の推進体制について、竹本大臣に伺います。済みません、ちょっと質問の順番を調整によって変えさせていただきましたので踏まえていただきたいと思いますが、健康・医療政策の推進体制を竹本大臣に伺います。  これまで、当委員会で半年以上にわたって、相当な労力を要して、健康・医療戦略室の問題、戦略室と山中先生関係、戦略室とAMEDの関係、科学者、研究者の懸念について、事実の確認と検証、そして再発防止について議論を重ねてきたところです。政府においても、本件は問題があったという事実を認め、先般、竹本大臣もこの委員会で報告をしていただいたところです。  しかし、今回の科学技術基本法の改正で、内閣府設置法を改正し健康・医療政策の推進体制を変えることになりますけれども、今回のこの改正、この措置で、これまで発生した問題の再発の防止に本当になるのか、正直、疑問が残ります。  まず、内閣府に移管する健康・医療戦略推進事務局、この事務局長は戦略室の役職と兼務にならないということを大臣確認させていただきたいと思います。
  52. 竹本直一

    竹本国務大臣 最後の御質問でございますが、内閣官房に残る業務につきましては、法案が成立した際に具体的な体制や人事を検討することとなります。このため、兼任するかどうかについて現時点お答えすることは困難ですが、いずれにせよ、適材適所となるよう、適切に検討されるべきものだと考えております。
  53. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 任命権者は大臣ですね。ですから、検討してくださっていいと思いますけれども、兼職にはしないということを明言していただきたいと思います。でなければ、結局、戦略室長の配下となって、これまでの問題の再発の誘因になりかねません。  ぜひ大臣、任命権者なんですから、ここは確認させてください。
  54. 竹本直一

    竹本国務大臣 業務上の命令で使うのは私の方ですけれども、任命権者は内閣総理大臣になっています。
  55. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 では、総理にそのように報告してください、大臣。どうぞ。
  56. 竹本直一

    竹本国務大臣 わかりました。
  57. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 わかりましたということで、しっかり御答弁いただきましたので、お願いしたいと思います。  次に、戦略室の問題をもう一つ。  戦略室のこれまでの問題は、海外出張に係る事案です。国会でもたびたび問題になりました。週刊誌でも複数回報道されている。戦略室の室長と次長がわざわざ高い税金を使って海外まで出張する必要性、この税金の使い方が果たして適正なのか、こういうことが問われたわけです。そして加えて、この出張に際しては、外務省に対して、通常では考えられないような便宜供与をしていたということが明らかになったわけです。  問題のあったこの海外事業部門は、これまでと同様、戦略室の事業として残しているわけです。この理由が全くわかりません。どう評価しているんでしょうか。そして、この海外事業部門、残さずに全て移管したらいいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 竹本直一

    竹本国務大臣 昨年から報道されました一連の問題ですけれども、先般、津村委員長から、今後、科学技術イノベーション政策の推進及び関連予算の配分につき、より一層の透明性確保に努めること、二番目に、AMEDと内閣官房健康・医療戦略室のコミュニケーションを改善し、戦略室が医療分野研究開発の総合調整を十分に行っていく態勢を整えること、三番目に、科学技術イノベーション政策の推進につき、国会を通じた国民への説明責任を適時適切に果たすこととの御指摘をいただいております。  我々はそれに従ってきっちりと対応してまいりますが、最後の、アジア健康構想等の問題が内閣官房の方に残っておるその理由は何かということでございますが、この健康構想等はちょっと視点が違いまして、日本の医療政策世界との間でどう考えるかという視点に立ったことなので、より広く見なきゃいけないという立場から官房に残しているということなんだろうと私は考えております。
  59. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 であれば、とても重要な分野だということです。であれば、なおのこと、この問題の最大の根本的な要因は何か。これは、これまでの室長と次長の個人的な関係とそのキャラクターが、関係先にさまざまな、一つや二つじゃない、本当にいろいろな関係先にさまざまな悪影響を及ぼしてきた、これは事実です。政府も認めています。  にもかかわらず、今般の異動で、次長はかわりました。AMEDの理事長もかわりました。しかし、肝心の室長だけかわっていない。重要な事業をこの戦略室に残すんだということであれば、もともとの一番の問題の室長の人事だけなぜかわらないんでしょうか。これでは、今のこの体制、改革案では、山中先生始め、科学者、研究者のコミュニティーそのものが納得しないと思いますよ。  そして、山中先生始め関係先と関係を再構築する、そういう旨、述べられていますけれども、これでは関係の再構築にならないんじゃないかということを大変危惧しております。  なぜ室長人事だけはかたくなにかえないんでしょうか。これも任命権者は大臣ですから、かえるべきだと思います。いかがでしょうか。
  60. 竹本直一

    竹本国務大臣 人事につきましては、あくまでも新組織ができてから、法案成立後に検討するものですけれども、人事権者は内閣総理大臣となっておりますので、総理の方できちっと適切に判断されることだと思っております。  御指摘のもろもろの問題に関しましては、かつて、和泉補佐官に対し私からは、公務の信用に影響を与えることを常に認識し、国民から疑念を持たれないように行動するようにという注意を行ったところであります。李下に冠を正さずということでございます。そういう注意をしておりますので、適切に対応してくれるものだと思っております。
  61. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 もう李下じゃなくて、もう事実が明らかになっているんですよ、大臣。  それから、先ほどは、戦略室と推進事務局は兼任させない、最終的な任命権者は総理だけれども、大臣はそういうふうに決めるとおっしゃいました。同じです。室長も、これだけ問題を起こしたんだから、もう李下じゃないんです。ですから、しっかりこれは人事で再発防止を、責任を明確にしないと示しがつかないと思いますよ。  大臣、もう一度答弁をお願いします。
  62. 竹本直一

    竹本国務大臣 今回のいろいろ起こりました件については、当委員会においてもさんざん議論されたことでありまして、その事実は十分踏まえております。  ただ、人事に関しては任命権者が内閣総理大臣であるということも認識していただきたいと思います。そちらの判断だと私は思います。
  63. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 大臣、それじゃ、もう科学者との、あるいは山中先生始め悪影響を及ぼした方々との関係の再構築、私はできないと思いますよ。大臣に期待しますけれども、しっかり人事でその姿勢は示していただきたいと思います。  本日は、AMEDの新理事長にもお越しいただきました。お忙しいところ、ありがとうございます。  理事長は、今までるる話のありましたAMED、これを立て直していかなきゃいけないと思います。政府や政治との関係、この再構築、AMEDや科学者のオートノミーの回復、そして医療分野の国内ネットワーク、海外ネットワークの再構築など、多くの重要な役割、これが理事長に求められていると思います。さらに、加えて、現在コロナ禍にある、このコロナの検査機器、治療薬、ワクチンの開発、本当に重要な役割を担っています。  まずは、こうした重責を担う覚悟と、これまでのAMEDと政府のぎくしゃくした関係の立て直し、どうやっていくのか、この御決意をお伺いしたいと思います。
  64. 三島良直

    三島参考人 四月一日にAMEDの理事長を拝命いたしました三島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいまの御質問お答えしたいと思いますが、まず、何よりも、国の健康、医療の政策に携わる健康・医療戦略室とそれからAMED、それぞれの役割をまずしっかりと見直して、そして共同して事に当たれるようにするための会話といいますか、コミュニケーションというんでしょうか、それを非常にしっかりとして持って進めていきたいというふうに思います。  第一期からの基本的なAMEDの目標というのは変わっておりませんので、それを更に発展できるようにさまざまな方策を立てていきたいというのが、まず方針でございます。  それから、私はバックグラウンドが医療分野ではございませんけれども、医療分野研究開発が、もはや医学、薬学にとどまらないということになります。まさに、理学、工学、統計、情報といったもの、更に広げますと、社会科学であるとか人間行動学、心理学みたいなことまでがこういう医療に深くかかわってくるというふうに思ってございますので、その辺の幅広い学問分野を背景に進められるような仕組みをつくっていきたいというふうに思うところでございます。  喫緊の問題、コロナウイルス感染症対策でございますけれども、現在の政府の方針を踏まえつつ、検査技術治療薬、ワクチン開発等を、政府からの補正予算等を有効に用いて、引き続き迅速かつ着実に取り組んでいきたいというふうに思っております。  何より、今いろいろな御懸念をいただきましたけれども、産学官はもとより、さまざまな情報や人をつなぎ、連携を進めながら、健康、医療の研究開発を推進し、その成果を広く国内外に向けて発信し、よりよいものにしていきたいというふうに思うところでございます。
  65. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 ありがとうございます。  末松前理事長から引継ぎは受けられましたか。受けたんだとすれば、特に、霞が関や政治との関係についてどのような引継ぎを受けたんでしょうか、お答えください。
  66. 三島良直

    三島参考人 末松前理事長とは余りお話しする時間がないような状況でございましたが、一度、私が着任する前にお話をいたしましたが、基本的には、理事長として職務を遂行するために必要な業務一般についてお話を伺ったというのが本当のことでございまして、健康・医療戦略室といかに良好なコミュニケーションを築いていくかというところがその中で私が感じたことでございまして、そういったことを踏まえながら、これから先、進めていきたいというふうに思ってございます。
  67. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 末松前理事長とはそれほどしっかりと引継ぎを行っていないというような御答弁でした。であれば、ぜひ一度しっかり引継ぎを受けていただきたいと思います。でなければ、これまでどういうことが起こって、どういうことが問題になったのか、はっきりしないと思います。  実は、私と、私は理事でございますが、もう一人の理事の中島理事と、三月に、末松前理事長が退任される前にお話を伺う機会がありました。ここで、末松前理事長にはとてもしっかり時間をとっていただき、本当に腹を割ってお話をしていただきました。日本の医療政策科学技術者コミュニティーにおけるAMEDの役割、そしてAMEDの理事長としての役割、国際的な医療政策ネットワークの重要性について、本当に熱い思いを語っていただきました。  その際に、戦略室とAMEDの関係についても、末松前理事長からはとても具体的なお話がございました。我々も大変驚くような、信じられない話が具体的に幾つもなされたわけです。そして、前理事長いわく、これは完全に戦略室によるAMEDへのハラスメント行為であるということを断言し、そして、AMEDには戦略室によるハラスメントリストがあります、ぜひこれを次の理事長始め科学者のコミュニティーに受けとめていただきたいという旨の発言が明確にございました。  理事長は、このハラスメントリストについて御存じでしょうか。もし御存じでないんだとすれば、ぜひ、このハラスメントリストについて一度調査をしていただき、その調査結果を当委員会に報告していただきたいと思います。どうぞ御答弁ください。
  68. 三島良直

    三島参考人 先ほど申し上げましたように、末松理事長からその辺の詳しいお話というのは直接伺ってございません。  いろいろなことがあったということ自体はいろいろ報道等も通じて感じてはございますけれども、末松理事長からは、ここで理事長がかわったということを生かして、しっかりとやってほしいというようなお話を伺っただけでございますが、今言われたようなことについては、しっかりと検討して、私は、やはり第二期のAMEDを牽引していくためには、第一期の成果とそれから課題、これを両方しっかりと検証しないといけないというふうに思ってございますので、そういうふうに取り組んでまいりたいと思います。
  69. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 それでは、委員長にお願い申し上げますが、今理事長からお話のありましたハラスメントリストの調査について、当委員会に提出していただき、当委員会で協議をしていただきたいと思います。委員長にお願い申し上げます。
  70. 津村啓介

    津村委員長 承りました。
  71. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 それでは、よろしくお願いしたいと思います。  先ほども御答弁いただきましたけれども、AMEDの新型コロナウイルス感染症対策への取組について御説明がありました。この感染症対策としては、第一弾で二十・三億、第二弾で三十一・一億、さらに、補正で百億円の予算措置が既に行われています。  検査機器、治療薬、ワクチンについて、きょうの委員会でも答弁が大臣側から、あるいは政府参考人からありましたけれども、私は特に、まずは検査キット、検査薬ですね、これはAMEDでも独自に開発されていると思うんですけれども、もういろいろな民間事業者がいろいろなキットを既に製品化されています。製品化されているものとAMEDの今の開発状況、そして、製品化されているものをより市場に流すべきだというふうに思いますが、こうした支援について、なぜAMEDはやらないんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  72. 三島良直

    三島参考人 御説明いたします。  それに関連しますので、今、支援するというお言葉ですが、AMEDが支援する診断法、検査機器、治療法、ワクチンの開発状況をちょっと御紹介したいと思います。  まず、新型コロナウイルスに係る診断法、検査機器、治療法、ワクチンについては、今、AMEDで支援を受けたものが着実に開発が進んでいるというふうに認識していることをまず冒頭で申し上げます。  診断法それから検査機器につきましては、迅速PCR検出機器、ジーンソックという名前ですが、これについて、既に十六の国内医療機関において性能実証評価をAMEDが支援し、製品化及び保険収載が行われております。また、富士レビオというところに対して、抗原を迅速かつ簡便に検出する検査キット、この開発支援を行ってございまして、今月半ばに製造販売が承認されております。  治療法についてでございますけれども、治療法については、ファビピラビル、いわゆるアビガンに関する臨床研究について、藤田医科大学病院の湯沢由紀夫病院長を研究代表者として、まず、臨床経過の検討を目的とした多施設観察研究、それから二つ目に、無症状、軽症患者におけるウイルス量の低減効果の検討を目的とした特定臨床研究令和二年三月から実施する、これを支援しているということでございます。  ワクチン開発でございますけれども、これは、国民への安定供給のためには国内でのワクチン生産を目指していくことが重要であり、全力を尽くしてまいりたいと思いますが、AMEDにおきましては、令和二年の二月からワクチン研究に不可欠なモデル動物等の確立に向けた研究支援してございます。  また、令和二年度第一次補正予算を活用して、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発を重点的に支援し実用化するため、研究開発支援することを目的とした、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発、この公募により、研究課題を選定いたしまして、AMEDからの研究支援をもう既に開始したところでございます。  引き続き、令和二年度補正予算等も活用しつつ、感染症対策に資する研究開発に取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。
  73. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 検査キットについて、民間で既に幾つも、例えば唾液からとれるものとか、検査してからすぐに結果が出るものとか、いろいろなものが開発されてきていると思います。  ただ、私に対するきのうの説明では、AMEDは独自に開発しているので、そういう民間開発したものを流通する手助けはしないということを答えられたんですが、私は、もうこういう状況ですから、いいものがあれば、AMEDでもしっかり検査して、よかったらどんどん市場に流通させるお手伝いをしたらいいと思うんですよ。そういうことを申し上げておきます。ここは指摘にとどめさせてください。  もう一つ治療薬について伺いたいと思います。  この治療薬、今も説明がありましたけれども、当委員会理事であって医師でもある中島克仁衆議院議員、こちらにきょうも出席してくれていますけれども、中島議員は、二〇一五年にノーベル医学賞を受賞された大村智先生の高校の後輩なんですよ。しかも、医師であり、議員であり、当委員会理事なんです。この中島議員が非常に強く推薦しているのが、まさに大村先生が発見して開発したイベルメクチンです。  このイベルメクチンが、今、世界から実は注目されています。既に、新型コロナウイルス治療薬としてですよ、新型コロナウイルス治療薬として政府認証した国、もう二カ国あります。そして、実用化に向けて臨床治験の検討に入っている国も、米国、そしてヨーロッパのフランス、ドイツ、イギリス始め、スペインもそうですね、主要国含め二十カ国もこの臨床の治験の段階に入っているわけです。  このイベルメクチンの優位性は、中島議員いわく、フィラリアの治療薬として、もう既に多くの国で投与されている。三億人ぐらいにもう使われているんですね。三億人ぐらいに使われていて、副作用がないということが確認されている、安全性が高い、こういう治療薬なわけです。  このイベルメクチン、大村先生が発明して、二〇一五年にノーベル賞をとっているわけですから、メード・イン・ジャパンの治療薬世界のコロナ危機を救ったんだということになれば、これは我が国の科学者、研究者の夢と希望になるじゃないですか。ですから、それがひいては日本科学技術の発展、底上げにつながる、非常にうれしい、明るいニュースになるんじゃないかと思います。  AMEDさんにも、このイベルメクチンの治験の申請、もうされているようですから、アビガンやレムデシビルだけでなくて、このイベルメクチンの実用化にも、メード・イン・ジャパンですから、ぜひ支援を求めたいと思いますが、理事長の御所見、御見解を伺いたいと思います。
  74. 三島良直

    三島参考人 その件でございますけれども、ただいま、今おっしゃられたようにAMEDの方に申請が出てございますが、今申請中でございますのでそれ以上は申し上げられませんが、非常に楽しみというか、そういう申請だというふうに思っておりますので、御期待いただければと思います。
  75. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 当然そこまでしか答えられないと思いますが、でも、イベルメクチン、メード・イン・ジャパンの薬が世界のコロナ危機を救ったら本当に明るいニュースになると思いますので、ぜひ、しっかりもちろん審査をしていただければと思いますが、御支援をお願いしたいというふうに思います。  もう時間がほとんどなくなってしまったので、科学技術基本法の改正のところの一問、最後大臣に伺って質疑を終えたいと思いますが、この基本法の改正と同時に、今年度で五期二十五年の科学技術基本計画の区切りとなるわけです。これまでの科学技術政策予算、どのように評価して検証して、第六期の基本計画に生かすのかという点について伺いたいと思います。  これまで、五期二十五年やってくれたわけですけれども、数でいえば、論文数とか論文引用数とか、大学企業の国際競争力とか、博士課程の入学者数とか、高いスキルの人材の世界からの確保とか、イノベーション指数とか、ユニコーン企業数とか、どれをとってもずっと右肩下がりあるいは横ばいになっていて、競争力としては落ちているんじゃないかという指摘が数多くあります。  ということは、この六期の計画をつくるに当たって、あるいは科学技術基本法を改正するに当たって、これまでの政策の延長線では当然だめなわけですよね。  先ほど来、大臣の答弁、ほかの委員質問に答えているその答弁を聞いても、実は私も第三次小泉内閣科学技術大臣の秘書をやっていましたけれども、そのときから政策秘書をやっていましたが、そのとき言われていることと今大臣が答弁していることと、ほとんど変わらないんですよ。  ですから、延長線上でこれを六期をつくってもしようがないし、基本計画を延長線上で変えてもしようがないし、つくる人たちのメンバーもこれまでの延長線だと何も変わらないんじゃないかと思うんですが、大臣、そういう問題意識を持っているのであれば、どのように変えていくのか、最後に御答弁いただきたいと思います。
  76. 竹本直一

    竹本国務大臣 問題意識を持っているかどうかと聞かれれば、持っております。  要するに、五カ年計画の更新時期に、たまたまそこにコロナという現象が起こりましたので、これはもう絶対、新しい現象下においてどう五カ年計画があるべきか、当然考えるべきだと私は考えております。  少し事務的なことを申し上げますと、一九九五年の科学技術基本法の制定以降、科学技術基本計画策定を通じまして、政府研究開発投資の増加、研究者数、論文数の増加、先生おっしゃったように、大学等への民間投資の増加など、着実な、一応の成果は上げてきております。  しかし、その一方で、課題としての、論文の質、量ともに国際的地位が低下傾向にあることや、若手研究者研究環境が不十分であること、これは先ほども申し上げましたけれども、非常に、相変わらず重要な、深刻なことであると考えております。  特に第五期基本計画につきましては、現在、総合科学技術イノベーション会議もとレビューを行っておりまして、社会デジタル化のおくれのほか、若手研究者や論文数等に関する目標値を達成していないことが指摘されております。  さらに、我が国や人類が直面する諸課題科学技術イノベーション成果により解決する重要性がますます高まっていることも踏まえ、適切な指標のあり方も含め、来年度からの次期基本計画に向けた検討をしっかりとやってまいりたいと思っております。  特に、コロナという大変な災害に遭いまして、この中で、どのように、治療薬をどこが一番最初につくるかという国際競争にもなっておりますので、まさに必死の努力の中でいい成果をぜひ上げたいなと思っております。  研究費用として八百数十億の予算を組みましたけれども、それでは十分でないかもしれませんが、更に必要なものはどんどんつぎ込んで、ぜひ、先生おっしゃったように、世界の人類を救う薬を可能であれば日本からつくっていきたいと思っております。思いは一緒でございます。
  77. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 終わります。ありがとうございました。
  78. 津村啓介

    津村委員長 次に、篠原豪さん。
  79. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 質問の機会をいただきましてありがとうございます。篠原豪でございます。  コロナがあって、このポストコロナ社会と科学というのはどういうふうになっていくのかということが、やはり考える中では大切なんじゃないかと今の段階で思っています。  質疑に当たって、一つ、昔、石川啄木さんが「林中の譚」という物語を書いていまして、今は絵本になっているんですけれども、そこに書いている一節があるので、ちょっと御紹介させていただきたいと思います。  ああ、とうとう人間の最悪の思想を吐き出したな。  人間はいつの時代も木を倒し、山を削り、川を埋めて、  平らな道路を作って来た。  だが、その道は天国に通ずる道ではなくて、  地獄の門に行く道なのだ。  人間はすでに祖先を忘れ、自然にそむいている。  ああ、人間ほどこの世にのろわれるものはないだろう。  サルはそう言い終わると、  人間が気の毒でたまらなくなりました。  木の下の人間は、サルに真のことを言われたと感じつつも、  しかし、それを認めることはできませんでした。  そして腹をたて、歯ぎしりをして林を出ようとしました。 これは、どんどんどんどんとグローバル化が進んで、文明が発達をする中で、人類社会というのがこれからどういうふうになっていくんだろう、このことを著した物語なんですね。そういった中で、文明というのはいろいろなものを便利にし、移動をどんどんどんどんと世界の中でしていく中で、今回起きたのがコロナの問題だったのだろうと、一つの問題として思っています。  ことしに入るまで、世界じゅうで外出自粛が続く状況を誰が予測したのか。新型コロナウイルスはまさにパンデミックでございますので、かくも短時間の間に地球全体をのみ込んで、我々の日常を一変させました。百年前にスペイン風邪がはやったときには、日本でも何十万人の方々が亡くなったという記録が残っていますが、一度のパンデミックが起これば人々の生活がこれほどまで変わるということは、恐らく多くの方々の脳裏にはなかったんだと思います。  そして、五月二十五日、政府は緊急事態宣言を全面解除しました。これは、新型コロナウイルスが制圧されたことを意味するものではありません。きょうの質疑の中でも、いかにワクチンをどうしていくのかという話で、解決しているものではないということでありますし、これは、経済活動がもたないので規制を緩和したにすぎないんです。基本的には、ワクチンが開発をされ、それが普及するまで感染の拡大は続きますので、第二波、第三波に備えていく継続的な努力が不可欠です。  そして、今回の我が国の動きを見てきてわかったことは、やはりパンデミック感染というものに対しての準備が全くなされていなかったということであります。そのことに対しましてもどうしていくのかということ、そして、そういったことがきちっといくまで、きっと自粛がいろいろなところで日常化していくんじゃないかと思います。  現状の感染症対策がポストコロナ社会を大きく規定することを踏まえると、やはりこれはどうあるべきかということで聞いていきますので、よろしくお願いいたします。  今回のコロナウイルスは、動物から人に感染した、病原体が人から人へ感染してパンデミックを引き起こしたということですが、なぜ起きてしまったのかということをもう一度評価していただきたいと思います。お願いします。
  80. 橋本岳

    ○橋本副大臣 なぜ動物から人への感染が発生したのかというお尋ねでございます。  現時点で、最初にどのように新型コロナウイルスが人に感染したのかということについて、正確に特定できていないものというふうに承知をしております。  WHOの報告によりますと、人から分離された新型コロナウイルスの遺伝子配列がコウモリから分離されたコロナウイルスに近いことから、コウモリが今般の新型コロナウイルスの起源となった可能性が考えられる一方で、人間とコウモリの間の密接な接触というのは通常限られておりますから、人への伝播は別の動物種が中間宿主となって起こったということも考えられます。ただ、この中間宿主となる動物は、現時点でまだ確定されていないということでございます。  この感染源等につきましては、各国の研究機関等において広く調査がなされているものと承知をしておりまして、政府としても、こうした調査に対し、必要に応じて協力をしてまいりたいと考えております。  なお、なぜ動物から人への感染がということにもう一言付言をいたしますと、恐らくは、ウイルスというのはコウモリならコウモリの中でいろいろな変異を重ねていろいろな種類ができている、そして、その中で人に感染する能力を持ったウイルスがたまたま接触をする機会等があって人に感染をしたというふうに考えるのが自然だとある人に言われて、私はなるほどと思ったことがありますが、そういうふうに捉えることもできるのかなと思います。
  81. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 先ほどの「林中の譚」じゃないですけれども、森から出てくるんです。  野生生物はさまざまな病原体の宿主になっています。もちろん人間も常在菌と呼ばれる微生物に満ちあふれていますので、口の中には百億個、皮膚には一兆個以上あるというふうに言われています。  そうした中で、中国やアフリカではコウモリなどの野生動物を食す文化もありますし、また、世界的にも、ペットブームとかもそうなんですが、これも、もともとは野生にあったものが変わってくるということでありまして、病原体が人に感染する機会がふえています。  農地や居住地の造成のために熱帯雨林の開発を急ピッチで進めて、生息地を失ったネズミなどの齧歯類やコウモリが集落に侵入をしてきている、そして新たな病原体を持ち込む。人と野生の動物の境界線が曖昧にどんどんなってきているので、これからこういったことは加速をしていくんだと思います。  このため、本来、人と接触のなかった感染力の強いエマージング感染症、これは新興感染症というのですけれども、これが次々に出現してくるということになりますので、新型コロナウイルスの宿主も、コウモリであると言われている、それがどこかを介したんじゃないかということになっていますが、これも、やはり開発によって人と動物との境界が曖昧になっていることが感染拡大の原因です。  政府は、感染予防のみならず、広い意味での根本原因である自然破壊というものを防止するという観点を、やはり今のこの時期に、私たち日本は、環境問題、非常に、この百年間、特に戦後、世界のリーダーとしてやってきた国でありますし、いろいろな、公害病も含めて戦ってきたということもありますので、こういったことを開発も含めて規制する考えをやはり持っていかなければいけないんだろうと思います。  熱帯林の開発規制は国際的な課題ですので、規制のあり方というのはどうなっているかといえば、あるんですが、一般的な環境についての条約というのはいろいろとるるこれまでもあると思うんですが、感染症と自然破壊についての条約というもの、世界にこれがないというふうに聞いています。  ですので、こういった対応を我が国がイの一番で率先してやっていくことが大事じゃないかと思っておりますので、外務副大臣に御答弁をお願いいたします。
  82. 若宮健嗣

    ○若宮副大臣 篠原委員お答えさせていただきます。  今お話しになりました自然破壊の問題、非常に重要なポイントだというふうに、私ども、認識いたしております。  委員が御指摘になりましたように、熱帯林と申しますのは世界の森林の約半分近くを占めているところでございます。CO2の吸収源としても、そしてまた気候変動緩和に大変寄与しているところも、御承知のとおりでございます。全世界の陸生種の三分の二以上の生息地であることもまた事実であることから、生物多様性の対策の観点からも非常に重要な役割を担っているというふうに認識をいたしているところでございます。  御指摘のとおり、熱帯林につきましては、現地におけます開発を始め、違法の伐採、それから森林火災、こういったさまざまな要因によりまして減少傾向にあるのも事実でございます。私どもといたしましても、対処の重要性というのは重く認識をいたしております。  また、今委員指摘になりましたけれども、森林破壊が感染症関係をしているのではないか、こういった報道も確かに出ていることも重々承知をいたしているところでございますが、その具体的な関係性につきましては、今後さらなる研究が必要になってこようか、このようにも認識をいたしているところでございます。  いずれにいたしましても、熱帯林の減少の一因となります違法の伐採に対しましては、我が国といたしましては、横浜に本部がありますが、国際熱帯木材機関、ITTOというのが略称でございますが、ここへの支援を通じまして、木材生産国におけます熱帯林の持続可能な森林の経営、この促進と、それからまた合法の木材の貿易促進を通じまして、間接的に違法伐採の抑制等を支援しているところでもございます。  引き続き、このITTOを通じまして、新しい科学的見地等を踏まえながら、熱帯林の減少の抑制に寄与してまいりたい、このようにも思っているところでございます。
  83. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 横浜の名前を挙げていただいて、ありがとうございます。私、横浜から来ておりますので。  伐採だけじゃなくて、やはり伐採のトレーシングをどうするかというのは大事なんです。私も外務委員会にいましたし、そのときも質疑もしていますので、そういった話もしてきましたけれども、やはり今回大事なのは、感染症というものがこういったものにかかわってきて、これから人類を脅かしていくことをどんどんどんどん起こしてくるんだということだと思います。  これは報道だけじゃなくて、もう何十年も前にできた小説から、ツンドラが温暖化で解けて、そこから未知のウイルスが出てきてという有名な小説もありますけれども、そういったものもずっと前から警鐘はされているので、今回のコロナウイルスというのは、まさに世界的なパンデミックをあっという間に引き起こして、エボラ出血熱とかSARSとかといったときと比べて今回は非常に影響が大きいんです。一瞬にしてこういうことが起きるということでございますので、そういったことも含めて、やはり我が国として、こういった枠組みでも頑張るんだということで、しっかりと、手を挙げて、新しく一番手で、先頭を切っていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  そして、次に、これは科学技術委員会でございますので、あえて竹本大臣にもお伺いしたいと思うんですけれども、今回の新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ対策として、ビッグデータ、スマホの位置情報や個人の行動履歴を集積して、これも世界で、これは国内だけじゃなくていろいろな枠組みで今やろうとしています。恐らく、感染症の流行や大きな災害への対応のためには、個人のデータを活用する流れは、これはもう、今後加速することはあっても、とめるという選択肢はないんだと思っています。  しかし、こうしたデジタルデータの活用は、プライバシーの保護にどう配慮するか、どうバランスをとるかというような大きな問題を抱えています。実際、諸外国では、政府当局がデジタル技術を駆使して市民の行動監視に踏み込む事例が多々あります。  強権的なデジタル監視システムを持つ中国では、政府感染者の行動を追跡するチームを設置して、感染者が使った交通機関の便名や座席番号、駅や空港の出入りの記録も含めて、行動を割り出している。監視カメラの映像をもとにしながら分刻みの動きも公表し、さらに、指名手配犯の国民監視を行いながら、七十三万人以上の濃厚接触者を割り出したりしているということを中国ではやっている。  韓国でも、町じゅうの監視カメラが感染者の行動を追っていて、クレジットカードの履歴やスマホの位置情報を組み合わせて、感染者の行動履歴を十分以内で特定することができるんだということだそうです。自宅隔離中にスマホを持たずに出歩く感染者がふえちゃったため、隔離命令を守らない感染者には、任意とはいえ、電子の腕輪をつけさせているということであります。  個人情報の厳格な保護法制、一般データ保護規則、GDPRを定める欧州ですら、イタリアやスペインでの感染爆発で風向きが変わって、世論調査でも、ウイルス感染拡大に役立つならば自分の人権をある程度犠牲にしても構わないと答えた人の割合が七五%に上ったそうです。  しかし、冒頭で述べたように、感染症対策は今回のコロナウイルスに限られたものではない、新型コロナがたとえ制圧されても、新たな次の、森を切って、いろいろなものが出てくる限りは、これは出てくるわけですから、それに備えて、ポストコロナ社会としては、新たな感染症の襲来に直ちに対処できる体制を維持する必要がその中であるというときに、感染症対策を口実に人権侵害が合法化されてしまうと、それは人類が生存する限り永遠に続くことの、そういった人類の新しい歴史をこのコロナ以降でつくっていくということにもなってしまうんです。  これは、今までの人類が求めてきた、我が国は自由主義、民主主義、資本主義でございますし、自然権というのは、人間は生まれながらにして自分で自由な思いや意思をしっかりと持ってやっていくということになっていますので、こういったものが、だから、これまで獲得してきたものが一気に変わっていくという可能性が出てくるということも、そういうことの危険性もはらんでいるということであります。  そういった中で、人権を最優先に考えるということでやってきた日本という国であるわけで、これは自由主義の国でありますから、別に社会資本主義じゃなくて、自由民主主義で資本主義の社会ですから、そういう国であるならば、こういった、以上のような中国モデルや韓国モデルを採用すべきと考えているのかどうか、それはやはりしない方がいいんじゃないか、そうした観点から、日本ではどのような追跡科学技術の活用が進められているのかを、今のこの段階なので確認させていただきたいと思います。
  84. 竹本直一

    竹本国務大臣 我が国においては、コロナの蔓延防止という意味でクラスターを発生させないことが必要だということを考える中で、シンガポール方式を当座、民間企業からの提案によりまして、その研究に打ち込みました。ところが、シンガポールでは、やはり個人情報が外に漏れるのも困るからということで、参加者が全人口の二割ぐらいにしかいかない。二割だと全然クラスターの現象を把握するまでいかないわけですね。  だから、それを、率を上げたいわけですけれども、上げるためには、やはりスマホを持っている人の理解を得なきゃいけない。ところが、それをふやしていくと、仕組みいかんによっては、先生おっしゃるように、個人情報政府とか特定のところに握られてしまう、それは近代的民主主義国家に生まれた我々としては絶対嫌だ。  こういうことの中で、政府として今考えておりますのは、民間の提案をもとに、今度、厚労省で運用を、グーグルアプリでやってもらうわけですけれども、個人情報を絶対外に漏れないようにいたします。だから、ブルートゥースで接触した事実が知らされてくるわけですけれども、誰が感染していたか、それは名前がわからないようになっています。だから、そこにおいて、自由主義というか、個人の自由を守るといいますか、そういうところにしたい。  だから、要するに、効率よくコロナを防げるという意味では不十分かもしれないけれども、人間の基本的人権というのはもっと大事だろうということの中で、そのようにやっていきたいと思っておりまして、我が国と、ドイツもエストニアも、大体ほぼ同じような方向を向いております。  先生おっしゃったように、中国、韓国、まあ台湾もそうかもしれませんが、非常に、個人情報を余り重く考えないところもあります。だから、一概に数字だけで比較できないというところでございます。
  85. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 今、竹本大臣から、基本的人権は守っていくんだ、これまでの、ジョン・ロック以降、ずっと我々が獲得してきたものをしっかり守るんだと言っていただいたということは、本当に安心をいたしました。  これは五月中に提供を始める予定で、日本政府と、先ほどグーグルとアップルのお話がありましたけれども、これは一般社団法人のコード・フォー・ジャパンがやるということで、この技術というのは、スマホとブルートゥースを使って記録する情報に定期的に変わる符号をつけることで、個人特定に情報がつながらないということなんですね。ですので、それでしっかりとやっていっていただいて、今の思想に基づいて、引き続きそれは変わることのないように求めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次は、やはりこれは人権にかかわってくるんですが、隔離と差別の問題。これは橋本厚労副大臣に伺いたいと思っていますが、各国が感染拡大を防ぐために、封じ込め政策、ロックダウンを採用しています。日本は、ロックダウンという厳密な対策がとりにくいので、三密を避けるようにと要請しつつ、感染者の濃厚接触追跡してクラスター感染を塞ぐ方法を講じています。こうした隔離措置が、国民の差別感情や利己的、排他的なムードを最近すごい助長しているように感じるんですよね。  危機の渦中に、エッセンシャルワーカーと呼ばれる、医療関係者、スーパーの従業員などに対する陰湿ないじめや有害なデマの拡散が頻発していまして、この社会、大丈夫なのかなというぐらい、もう本当に、戦時中の隣組のように、周りの自粛状況を監視して違反していると思った人を脅かす、そういうやからまで出てきているんですよ。  海外でも、ウイルスを広げるという観点から、一方的な理由で欧米人がアジア人を差別して、例えばインドのヒンズー至上主義者がイスラム教徒を非難しているとか、そういうことがニュースになっていて、世界がどんどん危ない方向に行っているなというふうに思っています。  人類共通の敵と戦っているはずなので、本来は。お隣のかかった人と戦っているわけじゃなくて、本当に戦うべきは、コロナウイルスとこのパンデミック感染症を人類がどう乗り越えていくかということなんです。にもかかわらず、市民の間に分断が広まっていることを非常に残念に思います。  余談ですけれども、インドの階級的身分制度というのが、昔学校で習いましたカースト制度も、やはりこれはインドに侵入してきたアーリア民族が高温多湿のガンジス川流域を支配下に置くに当たり、感染症対策として、流域住民を対象に接触を禁じるとか、そういったところに起源があるというような、だから、人類というのはやはり同じようなことをやっているところがあるのかもしれない。  なので、今だからこそ、今、日本も、SNSとかいろいろなものを通じて、いろいろなものを張っちゃったりして、何か車にいろいろ張っちゃったりしてやっているので、こういったものが市民の分断を助長しないようにしていただきたいというふうに政府には思っています。  この点についてどのような方策を講じているか、お伺いします。
  86. 橋本岳

    ○橋本副大臣 お答えをいたします。  まず、私どもの対策新型コロナウイルス感染症の拡大対策として、御指摘いただいたように、三つの密を避けるといったこと、あるいは、この間解除されましたけれども、非常事態宣言をし、その中で外出自粛等をお願いする、こうしたことを行ってきたこと、さらには、積極的疫学調査というものを行いまして、感染された方が見つかったらその濃厚接触も含めて自宅で待機をしていただく、そうしたことを取り組んでまいりました。  そうしたことが、あるいはロックダウンをした海外の例があろうがなかろうが、いずれにしても、差別的なことが日本国内外においてあるということは、それはそれで残念なことだと思っておりますし、感染症と差別という話は、ハンセン病の、我が国にはそういう例があったりするわけで、大変に重要な問題で、克服すべきことなんだろうと思っております。  感染症の差別を防止するためには、国民一人一人にまずは感染症の知識や予防策を正しく御理解をいただくことが大事でありまして、厚生労働省あるいは国立感染症研究所では、国民皆様に正確な情報周知するため、新型コロナウイルスに関する基本情報感染予防策など、必要な情報についてホームページなどを通じて周知をしているところでございます。  委員お話しになったように、ともに克服すべきはウイルスなのだということなので、そうしたこともしっかりと含めて発信をしてまいりたいと考えております。
  87. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ありがとうございます。  なぜ私が分断とか差別を気にしているかというと、かつてハンセン病患者の対応で国が大きな過ちを犯してきたということがあります。全国のハンセン病患者さんを強制隔離することで、人々に病気に関する誤った考えを広めました。差別を、意識を助長しているし、隔離はどうしても差別というものを生むということもありますし、感染症の恐怖心というのは、これはもう仕方ないことなのかもしれないですけれども、これは、既にある、差別意識というのはふだんは顕在化していないんですけれども、何かあったときに、どこかに理由を自分で見つけて安心するというときに、深刻化しがちなんですよ。  ですので、国は、その事実を踏まえて、常にやはり科学的に正確な情報周知に努めていただくこと、そして、敵は違うんだということもしっかりとこれから伝えていっていただいて、なるべく、差別の兆しがあれば、迅速に対処できる、対応できることも含めて、どうしていくかということ。差別の兆しが出てくれば、それに対して、それは違いますよというメッセージを、対処の仕方も含めて、どんどん発信していっていただくということもやっていただくことが、今の社会にとっては大事なんだろうと思いますので、よろしくお願いします。  もう一つ、市民の分断というのは、これは権力の濫用にもつながるおそれがありますので、これは宮下副大臣、きょうはありがとうございます、来ていただいていますのでお伺いしたいと思います。  国民の間に、隔離対象者の自動追跡を望む意見が多数あると言われていますけれども、これは、行く行く最新デジタルの技術を駆使して国民の管理を自動化する、強化することにつながりかねない。これをしっかり、そういうふうにならないで、自由で開かれた社会の象徴だったインターネットというものを強権政治の増幅装置にしないような法律の規制のあり方というのは考えるべきだというふうには、今、竹本大臣にもお願いをさせていただきました。  こうした観点から、どこまでお答えできるかわかりませんが、この間、このコロナウイルスの、一月からきょうに至るまでの中で、看過してはいけないなと思うのは、やはり、安倍首相が今回の新型コロナ禍を根拠に憲法に緊急事態条項を設ける意図を述べたことです。  緊急事態条項を憲法に新たにということは、これは、首相が新たな憲法上の規定のもとに緊急事態宣言をすれば、内閣は議会に諮ることになる。法律と同じ効力を持つ政令を出すことができる。これは、国民はこれに従う義務が出てくるということでございます。  そうすると、政府に権限を集中させて、憲法のもとでの権力分立と人権保障を一時的に停止する措置であって、これは国家緊急権とも呼ばれますけれども、我々は、大衆運動や言論を弾圧する根拠となった一九二八年の治安維持法の改正が当時の緊急勅令で行われたことを歴史の教訓とすべきなので、そういったときに、またコロナを使って憲法みたいな話は、ちょっと私はどうかというふうに思っています。  そういった中で、新たな感染症対策の一環として憲法に緊急事態条項を設けることについて、どのように評価しているのか、今のお立場でお答えください。
  88. 宮下一郎

    ○宮下副大臣 憲法改正につきましては、立法府でお決めいただく話でありまして、政府の一員としては答弁することは控えたいと思いますけれども、質問の御趣旨にのっとって、私の立場で申し上げられることは、まず、新型インフルエンザ対策特措法第五条におきまして、やはり基本的人権の尊重について規定をされてございます。また、その趣旨を十分に踏まえるとともに、今回の緊急事態宣言を行うに当たりましては、三月の特措法の改正時にいただきました附帯決議等を踏まえて、国会に対して事前に必要な事項を報告しておりますし、緊急事態措置の区域変更、期間の延長があった場合や緊急事態宣言を解除した場合も、同様に、国会に対する事前の御報告といった対応をさせていただいているところであります。  今後とも、感染症対策を講ずる場合におきまして、国民の自由と権利が最大限尊重されるように、適切に対応してまいりたいと思っております。
  89. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ありがとうございます。ぜひそうしていただいて、憲法で何かというようなことを、この場で火事場的にやることではないということを申し上げておきます。  最後に、文科副大臣に来ていただいていますので、一つお伺いしたいと思います。  外出自粛や都市封鎖でテレワークが広がって、ITを使ったオンライン会議が今普及しています。オンライン診療、オンライン面接、オンライン授業も広がっています。これは、工場で働く人たちは自動化ロボットが加速していきますし、これから社会でどんどんと、出勤簿とか契約とか、そういう判このやつは消えていく。  オンライン化は、私たちがこれまで頼りにしてきた社会的きずなを断ち切るという側面もあります。  もともと、グローバルな人と物の動きが加速する現代は家族や共同体のきずなが薄れていたので、それを補うために、お祭り、スポーツ、コンサート、我々もよくお世話になっていますけれども、そういったところにも、イベントにも、活発化させて皆さんがやられているのは、もう皆さん御承知のとおりだと思います。  感染症防止のために人々の接触が制限されて集まれなくなると、感動を共有できない社会というのが生まれてしまう、この危険性が非常に高いと思います。特に、子供たちですね。子供たちに影響は深刻で、成長過程において、単なる知識はオンラインの個別学習で補完できるかもしれませんが、気持ちを通じ合わせるという、人間の条件である、ほかの動物にはない応答性というものを人間は持っています。そして、その中で、これが育たない、社会的に必要な発達への支障が出てきます。  教育の基本というのは、集まって一緒にみんなで学ぶ、その中でいろいろみんなで話し合って乗り越えていって、社会へ出たときにどういうふうにしていくのかというところまで育てるというのが、これが大切なことですから、早急な対策が求められていると思っています。そのことについて、政府の基本的な考えを御説明ください。
  90. 亀岡偉民

    ○亀岡副大臣 今まさに委員指摘されたように、新型コロナ対策で、オンライン教育に今頼って学習の補完をしております。  ただ、これに全部頼るということではなくて、まさに学校教育は、協働的な学び合いの中でしっかりと人間教育も学んでいくということになっておりますので、この中でも、実は分散登校とかいろいろな形を考えながら、学校教育に、協働性を持ち、しっかり学んでもらうということをやっておりますが、さらに、今度は、大体規制が解けてきますので、すぐに再開できる環境をということで新たな予算もつけさせていただいておりますので、できる限り早く協働でしっかりと学べるような環境をつくるということで、予算づけ及びその体制づくり、しっかりやっておりますので、それを早くいきたいと思います。
  91. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ありがとうございます。  そろそろ時間ですね。  では、最後に一言だけ述べさせていただきますけれども、今、世界日本も文明の岐路に立っているところにあるんだと思います。近代や現代文明が行き詰まって、あらゆる分野で矛盾やほころびが噴出している。人類の意識も大きく転換を迫られています。  文化人類学者のトール・ヘイエルダールさんは、こういうふうに語っています。進歩の行き先は何ですか。その目的は何ですか。突き詰めれば、人が笑顔で幸せに暮らせることではないでしょうか。人の幸せは、便利なものに囲まれたり、はかりにかけてはかるものではありません。幸せは感じるものです。  どうしたらこの迷路を脱することができるのか、そのことを、分断ではなく、どう手探りしていくのか、このことが始まったんだと思います。皆さんと力を合わせて、新しいポストコロナ社会を一緒につくらせていただきたいと思いますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。
  92. 津村啓介

    津村委員長 次に、早稲田夕季さん。
  93. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 それでは、質問を順次させていただきます。  立国社の早稲田夕季でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  大きい質問を二つ用意しておりますけれども、時間の関係もございまして、一番、かなり短くさせていただきたいと思いますが、まず、科学技術基本法の改正についての質問でございます。  これは、今の、イノベーションの創出というのは当然のことでありまして、その中で、なかなか、この文言を入れるのに二十五年間かかったということも、私は非常に遅きに失しているのではないかなというふうに感じております。そしてまた、人文科学を入れるということですけれども、当初より、人文科学と科学というものは、調和のとれて、両方で、両輪でやっていかなければならないんだということも、もう従来から言われている概念ではなかったでしょうか。  そうした中で、この五期二十五年間の計画を歩んできて、そしてまた六期の方に移ろうとしているのが現在の状況だと思います。  先ほど来、竹本大臣からも、科学技術の進展、そして、これは予算がイコールなんだ、研究者の方たちを大切にしなければならない、リスペクトしなければならないというお話も大分御答弁でいただいて、私も大変期待をさせていただくところですけれども、それでは、今回のコロナの対策で非常に注目を浴びたのが国立感染研究所だと思います。そちらの予算について、象徴的な話でございますので、これは厚労省ですけれども、やはり司令塔として竹本大臣に伺いたいのです。  これは、ずっと歴代政権の中で予算が削減をされてきたと承知をしております。そして、研究評価委員会の方でも、研究者の増員、予算額の増額を何度も要求をしておりますけれども、研究者は減員の一途をたどり、そしてまた、新型インフルエンザ流行の六十億円の予算から二十億円も減少したままの、その落ちたところで横ばいになっているという状況がずっと続いております。  それから、今回のコロナでは、PCR検査等で、保健所それから地方の衛生研、こうしたところも大変厳しい状況の中で、本当に、それが、厳しい状況がどうなっていくかというと、最後は人の命にかかわることになるわけです。その中で、この厳しい状況でやらざるを得なかった。こうした研究所が日本の中にはたくさんあります。  そして、今回の基本法の改正の中では、大学とかそれから研究所、こうしたところに責務という言葉が加わりました。これまでは国と地方公共団体の責務だけでございましたが、六条、七条でこれが加わりました。そのことも含めて、責務が加わったのになかなか予算がふえないということでは、大変、何もこれまでと変わらない、改善ができないのではないかと私は懸念をしております。  それで、大臣に伺いたいのは、この責務が加わった意図と、それから、このような、国立感染研究所に代表されるような研究所の予算の増額を、やはり科学技術を進展させる、医療の分野もしっかりとやっていく、その司令塔としての大臣としてのお考えをまずお尋ねいたします。
  94. 竹本直一

    竹本国務大臣 お答えします。  改正案の目的規定において、我が国科学技術の水準向上及びイノベーションの創出の促進を図る旨を規定しておりますけれども、このための研究開発活動の主体となるのは研究開発法人、大学等、民間事業者であることから、その基本的な役割について規定して、科学技術の水準の向上とイノベーションの創出の促進を図っていくことを狙いとしております。  なお、研究開発法人及び大学等の責務規定については、人材育成や研究開発等に自主的かつ計画的に努める旨を規定しており、自主的に配慮した規定としているところでございます。  いずれにいたしましても、責務という言葉を入れましたのは、やはり関係者が本当に責任を持ってしっかりと対応する必要があるということの中で、先生がおっしゃるように、予算の配分とかそういったことについては、特に、このコロナという大災害を前にして、絶対に最優先に予算確保しなきゃいけないなと思っております。  現場の、感染症センターとかそういうところのお医者さんの人たちは、いつ自分のところに赤紙が来るのか、本当に怖いんですと言っておられました、私の親しい人が。そんなものでありまして、実は、日本のコロナの致死率は三%台ですけれども、フランスは何と一九・六%ぐらいに上がっています。五人に一人が、お医者さんが死ぬわけですから、それは大変なんですよ。  だから、そのことを考えれば、日本はまだましだったんですけれども、それでも医療崩壊の直前まで行って、ぎりぎりに行っています。ですから、医療関係者の大変な御努力に本当に感謝しなきゃいけないと思っています。  したがって、予算においても、精いっぱいそういったところに手を尽くさなきゃいけないというのが私の考えであります。
  95. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 医療関係者のお話もいただきました。医療崩壊が寸前だと見るか、東京あたりではほとんど医療崩壊、もう中に入っていたのではないかと私は思うわけですけれども、それも、医療者の努力だけということではあってはならないと私は思います。  とにかく、医療物資も足りない、今でもいろいろな面で、マスクはある程度行ったけれども、防護服についても、それから人工呼吸器もどうなんだというお話もありますし、こうしたことをしっかりやるためには、まずは国が、大臣がおっしゃっていただいた力強い決意を持って、このコロナ対策にも当たるために、研究開発をしている機関、それから大学、そうしたところにもしっかりと予算をつけていただくように私からはお願いをさせていただきたいと思います。  そして、五期二十五年の科学技術政策でございますが、大変、日本の現状で、今、デジタル化がおくれたと反省をされているという御答弁も先ほど来ありました。そして、競争力が落ちているのではないかと。これは、いろいろな面から見ても、そういうことは顕著になっております。  物づくり大国、物づくりの日本であったにもかかわらず、デジタル化のおくれでいろいろな負の側面が出てきているのではないかということを懸念しておりますので、先ほど、反省もとに六期目をやっていくという大臣のお言葉を受けて、それでは、これからの産業政策をどうしていくのかということを、経産省に、この項の最後として伺いたいのですけれども、AI、それからIoT等、私も不得意です、そういう部分は。だからこそ思っているのは、そうしたものを進めていかないと、おくれをこのままにしていたら、やはり世界から取り残されるんだろうと。  それは、この間の平成の時代、失われた三十年とも言われました。特に、電機産業などが次々と中国、韓国、台湾と買収をされていく、実質の経営はそちらに移っていくというようなことがある中で、私は、この産業政策に、どこに注力をしていくのかということは大変重要な課題ではないかと思いますし、これが科学技術の振興と相まっていく必要がもちろんあるわけですから、そこをもう少し、ソサエティー五・〇という目標もありますけれども、しっかりと打ち出していただいて、産業政策をどのようにしていくのかということを経産省に伺います。
  96. 中原裕彦

    中原政府参考人 世界時価総額ランキング上位を見ますと、委員指摘のとおり、一九九〇年には日本企業が上位を占めていたわけでございますが、現在では、いわゆる米国のGAFAなど、あるいは中国のデジタル企業などがその上位を占めているという状況にございまして、事業環境が大きくさま変わりした中で、我が国といたしましても、これまでの延長線上にない大胆な取組が必要不可欠であるというふうには認識しております。  そうした認識のもとで、日本企業が第四次産業革命の中でも生き残り、さらには主導権を担うことができるよう、経済産業省としましては、AI、IoT、ロボットなどの新たな技術の潜在力を最大限に生かし、経済社会システム全体の再構築を図りつつ、新たな成長産業を創造していくということが重要であるというふうに思っております。  具体的には、日本企業全体のデジタル経営改革を推進するとともに、大企業に閉じ込められた資金や人材を解放し、異業種や企業規模を超えた連携、協業を推進していこうということでございます。  まず、デジタル時代のイノベーションの担い手であるスタートアップへの投資を拡充する。それから、個人のスキルが第四次産業革命に合わせたものになるように、産業界と連携しまして、ITデータ分野における社会人の学び直しの機会というのもふやしていきます。また、特に、AIやIoTといった最先端のデジタル分野におきましては、自前主義に陥ることなく、変革に取り組むことが何よりも重要だと思っております。こうした取組を推進することで、日本企業の変革を促し、事業ポートフォリオの見直しを推進していく、そういう必要があるというふうに思っております。  こうした取組によりまして、第四次産業革命を支える高度な通信インフラとしての5G、あるいは、先生指摘ソサエティー五・〇を実現するモビリティーとかヘルスケア、フィンテックなどの主要な分野において、イノベーションを力強く推進していく、そんなところに最大限取り組んでまいりたいと考えてございます。
  97. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 今御説明いただきましたが、やはり、注力をするものは何なのかということを見きわめていただきたいと思います。総花的にやるという時代ではないのではないかと思いますので。  ぜひ、そこのところは、ソサエティー五・〇もいいんですけれども、その前にドイツが主導で出しているインダストリー四・〇というような、このはっきりした明確な打ち出しというのが、少しソサエティーの方は欠けているのではないかと私は感じているんです。  社会課題を解決しながら科学技術も発展させよう。非常に壮大な、すばらしい目標ではありますけれども、その科学技術というところをもっと振興に力を入れていただきたい。そこのところを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  それでは、きょうはAMEDの三島理事長にもお越しをいただいております。  先ほど来、青柳委員からも御質問がありまして、重なる部分もありますので、そこは割愛をさせていただきますけれども、私がかなりびっくりいたしましたのは、青柳委員からお話がありましたけれども、この間で、半年間いろいろ、AMEDと医療戦略室の確執と言って間違いないと思いますけれども、そうしたことがありまして、私が十一月二十七日に山中先生のiPS細胞の予算が削られるということで質問したところから、こんなにも長く尾を引いていたわけなんです。  それで、ある意味理事長もおかわりになったし、室の次長も事実上の更迭という形でかわられましたけれども、その経過を理事長がほとんど詳細なところはお聞きになっていないというのは非常にびっくりいたしました。  医療戦略室として、ここは改善はしなければならない、半年もかかってやっていることなんですから。そして、理事長までおかわりになっているわけなので。そこの経過をつまびらかにお話をされて、そして、これからの医療戦略室とAMEDとの関係を再構築していくためには、まずは、その検証の部分を理事長に御説明していただかなければならないと思いますが、戦略室はどのようにお考えでしょうか。
  98. 三島良直

    三島参考人 ちょっと繰り返しになりますけれども、私は、理事長を交代するときに一度お目にかからなくてはと思っておりましたけれども、時間が本当になくて、閣議決定したのももう三月の最後でございましたので、そういうことで、でも、交代する前に一度お目にかかってお話をしようということでお話をいたしましたけれども、そのときの末松理事長のお話は、ここで理事長がかわるんだから、とにかく思い切って自分の思うような展開をされたらいいんじゃないかということを伺った。それで、非常に力強く思ったわけでございますので。  まだ、今、これで二カ月ぐらいという中で、戦略室とそれからAMEDとのいろいろな事業に関する打合せ等を見ましても、今、その半年もかかっていたことということは、私には肌でまだ感じられませんので、そういうことは、先ほどの質問にもございましたけれども、もう一度周りの意見をよく聞いて考えますけれども、ともかく、私はもう前を向いて、これからのAMEDをどうしていくかということを考えているというのが現状の正直なところでございます。
  99. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 お答えいたします。  委員指摘の点につきましては、委員長の冒頭の御報告にもございました。大臣からも御指導いただいているところでございます。AMEDとの関係につきまして、まずは丁寧にコミュニケーションをとっていくことということを心いたしまして、日々努めているところでございます。  コロナの対策もございまして、頻繁にお目にかかって、直接お目にかかってというところまではいっていないところですが、必要な事業がまずは進められるよう、それから、これまでのことについても、長く時間をとってというのはなかなか難しいところではございますが、必要なところを理事長にも御説明申し上げて、きちんと職務をこなしていきたいというふうに思っております。
  100. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 いや、別に何日もとって御説明くださいと言っているんじゃありませんから。三十分でも一時間でも、これまでの経過をお話しすべきではないですかということなんです。  理事長の今の御答弁は私もよく理解いたします。でも、末松理事長は、この理事会の発言の中で、AMEDのオートノミーがじゅうりんされたと言っていらっしゃるんです。これは大きなことで、AMEDが自律性がないんだったら、やる意味がないわけですね。そこまで追い詰められたいろいろな経過だったんです。それは、コミュニケーション不足とかそういう抽象的なことで片づけないでいただきたい。大人なんですから、話が通じないのではないでしょう。  ある一部の方が、恣意的な、そして不透明な予算のカットを行おうとしたから、こうなったわけです。そしてまた、税金の、公費の使い方にも問題があったということは、もう国会でさんざん議論いたしました。こんなことに時間を費やしていること自体が本当に問題です。  そして、先ほど青柳委員からお話のあったハラスメントの資料というものでありますけれども、これは委員長のお取り計らいで出していただけるということになりましたが、この問題で、室長の方の人事に関して、竹本大臣内閣総理大臣のあれですからとおっしゃいましたが、その前にお答えになった兼職の問題については、私からも申し上げるということですから、ぜひ、この室長の人事におきましても、総理大臣に、こうした経過があったからこそふさわしくない、不適切であるということをぜひ大臣から総理にお話をいただきたい。そのことについてお答えがなかったようなので、もう一度お願いいたします。
  101. 竹本直一

    竹本国務大臣 本日の議論は、きっちり関係のところへお伝えいたします。
  102. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 検討いたしますとおっしゃったんでしょうか。ごめんなさい、よく聞こえませんでした。
  103. 竹本直一

    竹本国務大臣 関係のところにきちっとお伝えいたしますと言いました。
  104. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 関係のところということですから、最終任命権者は総理でございますから、伝えていただけると御答弁をいただいたものと理解をいたしました。  それでは、次に進んでまいりますが、コロナのことで、AMEDに百億円のワクチン開発費、これがついていると思います。そして、このことにつきましては、ワクチン開発、創薬支援ということで採択が決まったと思いますけれども、これはどこに決まったのでしょうか、教えていただきたいと思います。
  105. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 一次補正で手当てをされましたワクチン開発の百億円に関しましては、先般、採択課題が発表されたところでございますが、済みません、幾つかございまして、ただいま手元にリストを持っていませんので、全てについてお答えをするというのは難しいのでございますけれども、五月七日に発表になっているところでございます。
  106. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 これはワクチンの問題と言って通告をしております。ですから、お答えいただかないと次に進めません。お願いいたします。
  107. 津村啓介

    津村委員長 これはどちらに通告しましたか。
  108. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 戦略室。  理事長、おわかりであればお願いいたします。
  109. 津村啓介

    津村委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  110. 津村啓介

    津村委員長 それでは、再開します。  渡辺さん。
  111. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 失礼いたしました。  ワクチン開発に関する公募、採択課題については、これは課題名を申し上げればよろしいですか。読み上げさせていただきますが、アカデミア、それから企業開発型というふうに二種類の採択をいたしておるところでございます。  アカデミアの採択課題に関しましては、研究開発機関名で申し上げます。新潟大学、それから公益財団法人東京都医学総合研究所、慶応義塾大学、東京大学、長崎大学といったところで採択がなされてございます。  企業関係に関しましては、四課題採択されておりまして、企業名で申し上げますと、KMバイオロジクス、塩野義製薬、アンジェス、IDファーマの四社となっております。  以上でございます。失礼いたしました。
  112. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 四社、今伺いました。あとはアカデミアの方ですけれども。  それでは、医療戦略参与、今務められている方、教えてください。
  113. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 お答えいたします。  健康・医療戦略参与のことと承知いたします。こちらにつきましては、令和元年度末時点の健康・医療戦略参与、十名いらっしゃいます。  お名前でよろしゅうございますか。(早稲田委員「はい」と呼ぶ)日本総合研究所の翁さん、それから神奈川県知事の黒岩さん、それからメディカル・エクセレンス・ジャパンの近藤さん、自治医科大学学長の永井さん、国立がん研究センター理事長の中釜さん、日本製薬工業協会の中山さん、一般社団法人日本医療機器産業連合会の松本さん、京大iPS研究所アドバイザーの水野さん、それから大阪大学の森下さん、それから日本医師会の横倉さんの十名でございます。
  114. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 先ほど、企業主導型で採択をされた会社の関係者、創業者も含めて、この健康・医療戦略参与の中に含まれる方がいらっしゃいますでしょうか。
  115. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 企業採択型の四社のうちのアンジェスを創業されたのが、もう二十年近く前になると思いますが、森下さん、今、健康・医療の参与をされている大阪大学の森下さんでございます。
  116. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 それでは、この森下さん、健康・医療戦略参与でありますし、いろいろ務めていらっしゃいます、政府の。そして、アンジェスに対しては、幾らの契約で、予算額、これはもうわかっていると思いますので、契約の予算額、教えてください。
  117. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 採択については発表になっておりますけれども、幾らの研究費を出すかということについては、まだAMEDの方から公表されていないという段階でございます。
  118. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 公表されていなくても、当該会社の方では公表している資料を私は政府の方からいただいておりますが。  ということは、そこを御存じで私の方にお渡しいただいたということでございましょうから、きちんと、予算のお金を、どのくらいのお金なのかということをおっしゃっていただきたい。
  119. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 多分、先生にお渡しした、私、詳細に、済みません、どんなものかというのを今思い浮かべておりますけれども、恐らく申請額でございますね。採択になった後に幾ら出すのかというのはまた別なんですけれども、申請額については御説明しているかと思います。  金額について、申請額は二十億円となっていたと記憶しております。
  120. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 そうではありません。  当該の会社が公表している、これで採択になりましたというものを私はいただきましたので、その金額を教えていただきたい。
  121. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 会社の発表の資料でございましょうか。私どもからは金額の入ったものというのはお示ししていないと思います。採択された課題が何であるかということをお伝えしたとは思いますが。  今申し上げられるのは、申請のときの金額まででございます。
  122. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 もう採択されているわけですよね。それで、会社も公表をしている。なぜ、その採択の額を言えないんでしょうか。  申請は二十億、これは上限ですね。上限、採択されたんでしょうか。
  123. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 上限は二十億なのでございますけれども、それが具体的に幾らになるのかというのは、今、AMEDの方で精査をいたしまして、後に公表されるという手続上のことでございまして、今は、先ほど御説明したとおりでございます。
  124. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 では、AMEDに伺いますが、これは採択されたときに決まらないんでしょうか、金額は。
  125. 三島良直

    三島参考人 採択をした後に、申請の額の正当性というんでしょうか、どういうものにどう使うというものが、きちっとしたものに基づいて申請しているかということの審査は必ずやります。それが終わってから公表するというのがシステムでございます。
  126. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 審査の前に採択をするということですか、それではAMEDのこういう研究事業は。そんなことはないと思いますが。
  127. 三島良直

    三島参考人 ちょっと、私、まだ細かいところはよくわかりませんが、大体、外部資金というのは、申請をして、そのときに総額を、総額というか積み上げたお金をつけて出しますけれども、その内容がいいということで採択した後に、その中身を吟味して、ここはもっと削れるんじゃないですかということで最終的に決まるというのがルールだ、普通のやり方だと思います。
  128. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 そうすると、会社が公表している二十億というのは、その額は、ならないかもしれない、そういうことでしょうか。
  129. 三島良直

    三島参考人 私の今までの経験でも、外部資金の獲得によるときは必ずそうで、それで、採択されましたというときに、その二十億という額をホームページに出したとかいうことだったと思うんですけれども、それは、最終的になぜ、こちらはまだ発表していないという立場をとっているのは、審議には、その中身の積算を吟味しているところだから出せないわけで、決まると大体、これは言い過ぎかもしれませんけれども、私、工学系の大学におりましたときには、申請額の例えば八割とか九割になることがよくありますので、それを待っているということで、正式な額にはなっていないということですが、申請額が二十億というのはそのとおりでございますし、採択されたということも確かでございます。
  130. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 申請額は二十億ということで確認をさせていただきました。  それで、これまでの報道によりますと、このアンジェス社、これが、なかなかいろいろな報道がございます。そして、未公開株で利益を得ていた不祥事、それから、ディオバン事件というのもありまして、森下参与が企業から多額の謝礼を受け取りながら第三者委員を務めたなど、また、この会社の役員によるインサイダー取引疑惑とか、一連の不祥事、これが報道に確認をされております。  こういう中で、この大変なコロナのために、国民の命を守る、税金を使ってのこのコロナのワクチンですから、こういうことが後ろ指を指されないように、公明正大になされなければならないというのは当たり前のことでございますので、そうした、この疑惑も含めて、理事長がどのようにお考えか、公正な研究開発がなされなければならないということについての御見解を伺います。
  131. 三島良直

    三島参考人 それでは、本件の公募から審査に至る経緯を御説明いたしますが、令和二年度新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発については、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発を重点的に支援し実用化するため、研究開発支援することを目的とし、令和二年度第一次補正予算を活用し、公募により、研究課題を選定し、AMEDからの研究支援を開始したところでございます。  選定のプロセスとしては、公募に応じて申請のあった提案を対象とする外部委員による書面審査、及びウエブ形式での課題評価委員会による審査、これはコロナの影響でございます。五月二十一日に採択の公表を行ったものでございます。  そのうち、企業主導型の分類において四件を採択しているうちの一つの今のアンジェス株式会社の提案でございますが、新型コロナウイルスを標的としたワクチン実用化開発というもので、代表者が社長の山田英さんということでございます。その研究計画によると、この課題には複数の分担研究者が参画しており、分担研究者の中の一人に、今御指摘のある大阪大学の森下教授の名前が入っているものと承知してございます。  この公募に係る採択課題の審査に当たっては、他の公募と同様で、国の研究開発に関する大綱的指針及び同指針を踏まえてAMEDが定めた研究開発課題評価に関する規則等に基づいて、外部の有識者から成る課題評価委員会を開催し、審議を行うなど、公正性及び透明性のある審査を行ってございます。  その際、いわゆる利益相反の点につきましては、これら指針等を踏まえて定めている課題評価委員会委員の利益相反マネジメントの取扱いに関する細則というのがございます。これに基づいて、課題評価委員について、被評価者との間で、経済的利益、同一機関所属、親族関係、その他の特別な関係がないか等を確認し、懸念がある場合は審議に参加させないなど、利益相反のマネジメントを適切に行っているところでございます。  今回採択されたこの本課題におきましては、利益相反のマネジメント対象に該当するものはなかったと承知してございます。  また、今回の公募プロセスにおいて……
  132. 津村啓介

    津村委員長 既に時間が経過していますので、答弁は簡潔にお願いします。
  133. 三島良直

    三島参考人 はい、わかりました。  本課題を含む特定の申請を採択してほしいとの働きについても、官邸を含む政府関係部署や外部からはありませんことをつけ加えます。  以上でございます。
  134. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 申しわけありません。時間が過ぎました。  ありがとうございます。
  135. 津村啓介

    津村委員長 次に、畑野君枝さん。
  136. 畑野君枝

    ○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  冒頭、新型コロナ感染症対策に関連する学生への支援について伺います。  この間、休業要請で、アルバイト先が休みになったり、シフトが減るなどして収入が激減した学生等に、第一次補正予算の予備費を使って、最大二十万円給付する学生支援緊急給付金が創設されました。また、昨日閣議決定された第二次補正予算案には、独自に授業料減免を実施する大学などに国が助成する措置が盛り込まれました。  通告していないんですけれども、これ、額がわかったら教えていただけますか。なければ、後で資料を下さい。  これらは、この間、多くの学生や大学院生自身が声を上げて政府に求めてきたことでありまして、一歩前進だというふうに思います。  一方で、こうした施策でも、支給対象が限られていることなどから、そもそも学費を一律半額にしてほしいという声が広がっています。今国がしなければならないことは、そもそも高過ぎる学費負担をいかに軽減していくのか、国際人権規約に基づき、高等教育の漸進的無償にどう進んでいくのかということだと思います。  もし金額がわかりましたら、教えていただけますか。なかったら、委員長、後で出していただくようにお願いします。
  137. 松尾泰樹

    松尾(泰)政府参考人 今具体の数字を持っておりませんので、後ほど調べてお届けします。
  138. 畑野君枝

    ○畑野委員 全体で百五十三億というのを聞いているんですが、そこに私立の小学、中学、高校が入っているものですから、引いた額をちょっと聞きたかったということで、よろしくお願いをいたします。  こういう取組が進められているんです。ところが、今、こうした学生や大学院生の願いとは全く逆の議論が行われています。  ことし二月から、国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議です、この会議検討事項に、授業料の自由化の是非が掲げられています。  国立大学の授業料は、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令第十条、授業料等の上限額等で、標準額の一二〇%の範囲内で定めることができるとされています。値上げには上限がありますが、値下げには下限がないということです。  ここで伺いたいのですが、この検討会で議論される自由化というのは、学費値上げの自由化ということですか。
  139. 川中文治

    川中政府参考人 お答えいたします。  議員御指摘検討会議は、成長戦略フォローアップ、骨太方針二〇一九の閣議決定を受けまして、国立大学法人がより個性的かつ戦略的な経営を行うことを可能とするため、多岐にわたる検討が行われることとなっておりまして、御指摘の授業料の自由化の是非も検討事項の一つとして挙げられているところでございます。  この会議におきましては、国立大学の役割や地域の特性等も踏まえまして、各大学の判断により、授業料の上げ下げも含め、一層柔軟に取り扱うことを可能とするかどうか議論していたものと考えてございます。  したがいまして、文部科学省といたしましては、現時点では、国立大学の授業料を自由化すべきか否か、予断を持って考えているわけでもございませんで、まずはこの会議においてその是非について御検討いただくものであり、今後、この会議での結論を踏まえて対応していきたいと考えてございます。
  140. 畑野君枝

    ○畑野委員 申し上げましたように、値下げについては下限がないんです。問題は値上げですよ。今一二〇%と歯どめをかけている、それを取っ払おうとしていることじゃないですかというふうにしか見えない検討課題じゃありませんか。下げるのは、幾らでも下げようと思えばできるということになっているわけですから。  第一回の検討会議で、文科省の高等局の担当者が、検討事項が取りまとめられ次第、できるものから速やかに制度改正等を進めてまいりたいと発言をいたしました。  この検討会議で合意された内容で運用改善や政省令改正で対応可能な事項というのは、直ちに実行に移されるということですか。
  141. 川中文治

    川中政府参考人 お答えいたします。  御指摘検討会議では、国立大学法人がより個性的かつ戦略的な経営を行うことを可能とするため、多岐にわたる検討が行われるということになってございまして、年内を目途に取りまとめる予定になってございます。  しかしながら、急速なグローバル化、激しい国際競争の激化の中で、イノベーションの創出の中核として、国立大学は、社会変革のエンジンとして我が国の成長に大きく貢献するために、待ったなしの改革が急務となってございます。  本検討会議は、国立大学のあり方を議論する中で、多岐にわたる事項を検討するための会議でございまして、直ちにこの検討会議の場で政策が決定するものではございません。  この会議においてある程度検討が熟した事項につきまして、会議での検討も踏まえながら、文部科学省として、責任を持って政策決定した上で、関係省庁との調整も含め、対応していきたいと考えてございます。
  142. 畑野君枝

    ○畑野委員 この検討会議ですけれども、五月二十二日の第四回検討会議で、委員の上山隆大氏は、私は、徹底的な自由論者なので、レッセフェールの信奉者ですから、全てを基本的には自由にすべきだ、授業料も学生数もなどと述べられて、授業料を引き上げたイギリスで、留学生が減ると学科が潰れ、教員も首を切られるということを紹介した上で、そのことを現場は耐えないといけないなどと発言しておられます。  座長の金丸恭文氏は、まずこの会で覚悟を決めて文科省に迫り、文科省が覚悟を決めて各省とかに交渉するべきなどと述べておられます。  私は、いろいろ文科省はおっしゃいましたけれども、学費値上げありきのひどい議論だと思いますよ。こんな議論で値上げが合意されて、文科省が唯々諾々と実行に移すなどということは、これはとんでもないことだ、許されないことだと思います。  学費値上げの議論は検討事項から削除すべきだと思いますが、この授業料の自由化問題、削除すべきだと思いますが、削除してください。
  143. 川中文治

    川中政府参考人 お答えいたします。  大変申しわけない、繰り返しになりますが、この会議におきましては、国立大学の役割や地域の特性も踏まえまして、各大学の判断により、授業料の上げ下げも含め、一層柔軟に取り扱うことを可能とするかどうかを議論していただくものと考えてございます。
  144. 畑野君枝

    ○畑野委員 総合科学技術イノベーション会議の議員などから、あけすけにこういう発言があるということです。大臣にも聞いていただきたいから、この質問をいたしました。  本日の委員会質疑終了後に、二十五年ぶりとなる科学技術基本法の改正案が審議入りいたします。私は、それに先立ちまして、まず、科学技術基本法そのものについて幾つかただしておきたいと思います。  科学技術基本法第二条第二項は、「基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展」をうたっています。これはどのような趣旨から設けられたのですか。
  145. 松尾泰樹

    松尾(泰)政府参考人 お答えいたします。  先生指摘のとおり、現行の科学技術基本法第二条第二項におきまして調和をうたっておりますけれども、当時の提案者であります尾身幸次元議員の本によりますれば、将来の科学技術の発展のためには、基礎研究から応用研究開発研究までバランスのとれた総合的な発展を図ることが必要である、そのために定めたというふうに書いてございまして、要約いたしますと、基礎といえども高度な技術がなければ成り立たない、また、技術の高度化に当たってもしっかりとした科学的な原理の裏づけが必要ということで、お互いに補い合い、支え合うということであろうかと思います。  なお、特に基礎研究につきましては、この法案の、第五条におきまして、基礎研究の推進において国が果たすべき役割の重要性に配慮すべき旨についてもあわせ規定しているところでございます。
  146. 畑野君枝

    ○畑野委員 議員立法で提出された科学技術基本法の成立に尽力された、当時衆議院議員の尾身幸次氏の御紹介がございました。私も持っております。  尾身幸次氏が書かれた基本法の解説書である「科学技術立国論」からは、当時の日本が国際的に見て、応用研究開発研究に比べて基礎研究分野のおくれが目立つという現状認識に立って、そのレベルを引き上げようという問題意識を私は読み取ることができました。  基本法第五条では、基礎研究が新しい現象の発見及び解明並びに独創的な新技術の創出等をもたらすことであること、その成果の見通しを最初から立てることが難しく、また、その成果が実用化に必ずしも結びつくものではないこと等の性質を有するものであることに鑑み、基礎研究の推進において国及び地方公共団体が果たす役割の重要性に配慮しなければならないというふうにしております。  このような基本法の基礎研究に対する位置づけに照らし、現在の我が国の基礎研究を取り巻く状況についてどのように認識されていますか。
  147. 松尾泰樹

    松尾(泰)政府参考人 委員指摘のとおり、基礎研究は非常に重要だと私どもも思っているわけでございまして、そのために、この法案でもそういうふうに記載をし、進めてきたわけでございます。  一方で、昨年、吉野先生がノーベル化学賞を受賞されましたように、我が国の基礎研究の能力、潜在力、これは極めて高いものだと思ってございます。  しかし、今先生からも御指摘ございましたが、我が国状況を見ますれば、大臣からも先ほども別の委員の方々に答弁させていただきましたが、他の先進諸国が論文数をふやす中で、論文数の総数、そしてまた、注目度の高い論文数、トップ一〇%の補正論文数でございますけれども、やはり、日本の順位が低下するなど研究力の低下、これが相当危惧されている状況でございます。  したがいまして、私どもとして基礎研究にしっかりと取り組んでまいりたい、かように考えている次第であります。
  148. 畑野君枝

    ○畑野委員 今、研究力の低下という話がありました。  そこで、竹本直一大臣に伺います。  今日、我が国研究力の低下が指摘されているその原因をどのように分析されていらっしゃいますでしょうか。
  149. 竹本直一

    竹本国務大臣 博士後期課程への進学率が非常に減っております。それから、研究ポストの不安定な状況があります。例えば、任期は、五年の任期だとか十年の任期だと、それを越すと先がわからないという不安があります。それから、研究時間が非常に少ない、雑務に六割ぐらいとられるという話もあります。状況はそういうふうに非常に厳しくて、そんな苦しい、魅力のないポストだったらやめようかというふうになって、なかなか研究室に進む人が少ない、これが非常に問題であります。  今お話ありましたように、ノーベル賞につながるような基礎研究が非常に必要なんですけれども、若手研究者がじっくり腰を据えて研究に打ち込むという環境が全くできていないと言っていいのではないかと私は思っております。そういう結果として、最近、論文数が激減、半分ぐらいになってしまった、しかも、いい論文が少ない、今答弁しましたように、そういう状況であります。  そこで、これではいけないというので、私は、科学技術がリスペクトされる社会をつくることが一番、国家戦略として大事だと思っておりまして、そういう意味で、若手研究者を中心に自由な発想による挑戦的研究支援する仕組み、我々は創発的研究支援と言っておりますが、こういうものを仕組んだり、それから、優秀な研究者のポストの確保、これは、本来の給与以外に、いろいろなところから給与の足しになるような資金を集めるというようなこともやらなきゃいけないし、それから、ポスドク、博士後期課程学生の処遇の改善、これもしなきゃいけない。学生であると同時に、大学に対して役立っているというところもありますから、そういう意味で、民間からの資金の提供もつなぎ合わせるというようなこともいろいろやっておるんですけれども、しかし、いずれにいたしましても、決して研究環境は、豊かでないといいますか、快適ではないというのは事実であります。  これをしっかりと本当にやらないと、たまたまノーベル賞を連年とりましたけれども、二十年近く前のことです。これからはそんな、見通しは全然明るくないと私は思っております。ですから、本当に今こそ、このコロナのような大災害を経験しまして、基礎研究に打ち込むことに対してみんなが拍手を送るような、そういう社会にしなきゃいけないなと思っております。
  150. 畑野君枝

    ○畑野委員 私も、この間、委員会などで繰り返し研究力低下の問題について取り上げてまいりました。  私は、科学技術基本法の理念どおりに基礎研究が重視されてきたならば、今のような研究力の低下など起こりようがなかったのではないかと思うんです。結局、この二十五年間行われてきたのは、研究費を競争資金化し、短期的に結果が出るような研究評価され、資金も重点的に配分される、いわゆる選択と集中による施策が推進されてきたことにあるというふうに思うんですね。  ですから、どのような研究成果が得られるのかとか、その研究成果がどのように社会実装に結びつくのかとかわからないけれども、研究者の興味や創意に基づく自由な研究を行う環境というのがやはり後退してきたのではないかというふうに思います。  私は、イノベーションの創出というふうに政府はおっしゃいますが、実は、学術的な研究や基礎研究を充実させて、その裾野を大きく豊かにしていくことこそが必要だというふうに思います。  そこで、伺います。  資料の二枚目につけさせていただきましたが、基礎研究や将来の研究人材育成がどのように取り扱われているのかを示す実例として、国立天文台のVERAプロジェクトについて質問したいと思います。  資料にありますように、VERAプロジェクトは、岩手県の水沢、鹿児島県の入来、小笠原の父島、沖縄県の石垣島の四カ所にある同一仕様の電波望遠鏡を連動させることで直径二千三百キロメートルの電波望遠鏡と同じ能力を発揮させ、二〇二二年三月までに銀河系の天体を観測して銀河系の三次元立体地図を作成しようとするものだということで、非常に壮大で夢のある基礎研究です。  実は、二〇一九年、去年の四月に、日米欧等の研究者から構成される国際共同研究プロジェクトのグループが、史上初めてブラックホールの撮影に成功したということで、この資料にも載っております。  日本からも二十二名の研究者等が参加をして貢献をした。日本側代表者は、国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長。所長を含め水沢VLBI観測所から四名の研究者等が参加をしたということで、たしか去年の四月、それが映像で流れて、おおっと、本当に国民は感動しまして、その一人が私ですけれども、すごいことだと。先ほどアインシュタインの話がありましたけれども、百年前にアインシュタインの一般相対性理論、ブラックホールを予測し、それが百年たって証明された、銀河の起源や進化の解明の手がかりにもなる、こういうことだったと思います。今でも、そのときのわくわくどきどきした思いを思い起こすわけなんです。  ところが、伺いますと、本年度、この水沢VLBI観測所の予算が削減をされて、プロジェクトがことし六月までに前倒しして終了されるというふうに言われております。予算削減の理由は何でしょうか。これは、しっかりと対応していく必要があると思いますが。
  151. 岡村直子

    岡村政府参考人 お答えいたします。  先生、今、国立天文台のVERAのプロジェクトを子細に御説明いただきました。まさしく、遠隔地をつなぎまして、二千三百キロメートルの機能を持つという、非常に画期的なプロジェクトでございまして、二〇〇四年にスタートをしまして、二〇二二年の三月に終了する予定のプロジェクトでございます。  このVERAのプロジェクトの予算といいますのは、国立天文台の内部予算、基盤経費の配分によって決まるものでございますが、こういう基盤経費の配分につきましては、研究者のコミュニティーの意見も踏まえまして、国立天文台の自主的、自律的な運営の中で検討されるべきものと思っております。  お尋ねの予算削減の件なんでございますが、当初は、このプロジェクトの進捗状況成果等を踏まえて国立天文台本部として決定をいたしましたが、その後、改めて本部と水沢の観測所との間で話合いの場が設けられまして、現在、プロジェクトの継続に向けて追加の予算の配分等が検討されていると聞いております。当省としましても、この状況をしっかりとフォローしてまいりたいと思います。  なお、先端の技術研究者の知識を結集しまして人類未踏の研究課題に挑むような、こういうような研究開発、私どもも、先生の御指摘のように、非常に意味のあるものでありまして、我が国研究力向上や国際社会におけるプレゼンス向上に意義のあるものであると考えております。国立天文台におきましては、そのような観点も含めて、水沢の観測所と調整を進めていただきたいと考えております。  いずれにいたしましても、当省としましても、きちんとフォローしてまいります。
  152. 畑野君枝

    ○畑野委員 国立天文台を抱える大学共同利用機関法人自然科学研究機構への運営費交付金なんですが、二〇〇四年の三百億円から今年度二百六十三億円へと、四十億円近くも削減されているわけです。研究や運営、人件費等に充てられる基幹運営費交付金は、運営費交付金が削減される中で約三億円減っております。だから、国立天文台の基盤的経費は前年比三千万円の減少ということなんですね。こうした国の予算削減が国立天文台内の予算査定にも影響を与えているということは否めないと思います。  天文台の関係者の方は、銀河系の立体地図製作が完成させられなくなるかもしれないという危惧と同時に、予算削減が続けば、営々と続けられてきた観測自身ができなくなるのではないか、最先端の観測装置を自前で持つことが困難な地方大学のいわば天文学者の卵とも言える学生や大学院生が研究できなくなるのではないかということを大変危惧されていると伺いました。  実は、テレビ信州が、昨年、二〇一九年の十一月三十日に、「カネのない宇宙人 閉鎖危機に揺れる野辺山観測所」という放映をしまして、私、二〇二〇年、ことし二月十六日に再放送されたので、それを見ました。若手の人たちも、もうあと一年だよねと言われる中で、本当に苦労しているという話です。  私は、選択と集中の話をしましたけれども、運営費交付金が競争資金化され、少ない予算で効率的に経営しろとなれば、成果の見通しが明らかでないなどといって、基礎研究がないがしろにされてしまうと思うんですね。そして、若手研究者や卵たちが育つ土壌を奪うことになりかねないと思います。  今年度予算で、新規事業として創発的研究支援事業が創設されました。趣旨は何ですか。
  153. 増子宏

    増子政府参考人 お答え申し上げます。  我が国が将来にわたってノーベル賞級のインパクトをもたらす研究成果を輩出し続けるには、若い研究者がしっかりと腰を据えて、自由で挑戦的な研究に打ち込める環境が必要でございます。  このため、文部科学省では、既存の枠組みにとらわれない自由で挑戦的な研究を、研究者研究に専念できる環境を確保しつつ、最長十年間にわたり支援する創発的研究支援事業を新設し、これに必要な経費といたしまして、令和元年度補正予算及び令和二年度予算におきまして、合計五百一億円の基金を科学技術振興機構に造成したところでございます。  本事業を起爆剤といたしまして、若手研究者を中心とする多様な研究人材の潜在能力を最大限に引き出して我が国の基礎研究力の底上げを図れるよう、引き続き全力で取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  154. 畑野君枝

    ○畑野委員 創発的研究というふうに言われているんですが、その出どころはどこかなと思ったら、昨年四月の経団連の「Society5.0の実現に向けた「戦略」と「創発」への転換 政府研究開発投資に関する提言」なんですね。  ここでは、政府研究開発投資の配分のあり方を見直す必要があるとして、選択と集中から戦略と創発へと転換せよと提言している。破壊的イノベーションは想定外の研究から生み出されることが多く、政策的に意図した研究開発から生じる可能性が極めて低いので、選択と集中を転換せよと言っているということなんです。  きょうはそれについて言う時間はありませんので、質問最後に二つだけ、大臣にさせていただきます。  一つは、政府は、研究力低下の要因に若手研究者研究環境が悪化していることや、改善を図る必要があるとおっしゃっているんです。問題は、その解決のために何が必要か。新型コロナ感染症禍で修士、博士課程の大学院生が経済的に困窮している原因をどのようにお考えなのかということが一つ。  それからもう一つは、十一月の当委員会で、博士課程在籍者の自立した研究者としての地位を確立できるように真剣に検討するべきだと要望し、大臣も必要だとおっしゃっていただきました。研究者として大学院生が生活していくだけの経済支援が必要だと思うんです。特別研究員事業の支援対象人数は何人なのか。本事業の抜本的強化は必要だと思いますが、その二点、伺います。
  155. 竹本直一

    竹本国務大臣 博士後期課程の入学者数は、平成十五年をピークとして、非常に減少傾向にあります。その大きな原因の一つは、在学中の経済面に対する不安であります。これは先生おっしゃるとおりであります。特に、博士後期課程学生は、学生であると同時に専攻分野について主体的に研究活動を行っておりまして、将来自立した研究者としての地位を確立するという観点も重要でございます。  内閣府におきましては、ことし一月、若手研究者に対する新しい支援パッケージを策定したところでございまして、関係省庁と連携しながら、大学院生が授業科目や研究指導をできる限り充実した形で受けられるよう、処遇の向上に努めているところでございます。  それともう一つ、要するに、大学院に残って研究することが、将来を考えた場合、余りメリットがないという状況があるからなんです。というのは、裏返せば、企業がドクターをもっと採用してくれればいいんですね。マスターで来た方が使いやすいというような風潮があるわけです。だから、ここも産業界の十分な理解がないと、こういう状態が続くことは決していいことではないと私は確信しております。  それからもう一つ、DC、特別研究員事業というのがございますけれども、ことし四月一日現在で三千八百六十五人と文科省から聞いておりますけれども、若手研究者支援強化のための新しい支援パッケージ、先ほど御回答の中にもありましたけれども、多様な財源による優秀な博士後期課程学生のリサーチアシスタントとしての採用や、特別研究員等の充実を図ることとしたところであります。  要は、学生であると同時に、先生の手伝いをして研究のために働いている、ならば給料をとるべきではないか、こういうことであります。その分野を太くしてあげれば、ポスドクの人たちの経済環境はよくなります。そういうことをやらなきゃいけないなと思っております。
  156. 畑野君枝

    ○畑野委員 時間が参りましたので、また引き続き、この次は質問をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  157. 津村啓介

    津村委員長 次に、串田誠一さん。
  158. 串田誠一

    ○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。  先ほど竹本大臣が、若い者の研究の環境というのを憂慮されて、進めるという御発言をされまして、私も本当に、それを認識していただいている大臣、頼もしく思ったわけでございますけれども、先ほど畑野委員も、選択と集中という話がありました。非常に言葉としては聞こえがいいんですけれども、問題は何を選択するのかということなんだろうと思います。  先ほど大臣が若者と言いましたが、今回の基本法に関して、私のところにも、大学院生から何人か、いろいろ御意見というか懸念を示されました。  その方々の意見というのは、今、日本は、選択の中で、非常に経済性というのを重視しているんじゃないかと。普通に考えると、基礎研究はすぐお金にならないわけですから、普通にしておけば、お金になる応用研究の方に、重視しがちであると。選択と集中というその選択が、先ほどからずっと出ているノーベル賞の基礎研究というようなものに回ればいいんですけれども、それが経済性に集中していくということになると、やはり若い人たちが基礎研究したくてもなかなか回ってこない、特に大学院生の意見を聞いてくれるということが非常に少ないんだ、そういう意見もありました。  その若者の中にぜひ大学院生というものも入れていただいて、いろいろな意見を聞いていただきたいというふうに私は思っているんですけれども、きょうはiPS細胞の件で、ストック事業で報道がありまして、私も、これがこんなに問題になるというのを報道ベースで初めて知ったわけなんですが、竹本大臣、この報道を、竹本大臣は、こういう対立というか、山中教授が非常に心配されたこういう発言というものを前から御存じなのか、それとも報道によってこの問題を認識したのか、この辺の事情をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  159. 竹本直一

    竹本国務大臣 私、現在のポストについたのが九月中旬だったと思いますが、そのときまでは全く知らなかったです。ところが、この事件というのがそれより二カ月ぐらい前に起こっているわけでして。  それで、ともかく、iPS細胞というすばらしい発見がされて、当時、安倍総理の御英断で一千百億の研究費をつけた。破格の扱いです。それが、残り数年、四年ぐらいある中で、なくなるかもしれないという心配を山中先生が物すごくされた、そういう事態が起こったということを、私、今の職に来て初めて知ったわけです。
  160. 串田誠一

    ○串田委員 そこで、私も報道ベースでしかわからなかったんですけれども、いろいろと理事会でも説明を受けて、ただ、曖昧にしてもいけないなと思うので、ここを明確にさせていただきたいんです。  当初、十年間ですか、予算として計上されていたのをゼロベースにするという話になったというような報道なんですが、これは事実なのかどうか、誤解なのかどうか、ちょっと説明をしていただきたいと思います。
  161. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 委員会の所信のときに委員長からも御報告をいただいておりますとおりでございますけれども、昨年の一連の経緯につきましては、研究の一線における最近の取組課題について把握するための意見交換の場ということではございましたが、当事者間のやりとりの中で双方の認識が違い、特に山中教授には非常に御心配をおかけしたというところでございます。  そのことにつきまして、医療分野研究開発を推進する私ども健康・医療戦略室として、竹本大臣からの御指導も踏まえまして、今後とも、研究者へのリスペクトを忘れず、オープンな手続を経て、透明性の高い議論を行っていくとともに、研究者コミュニティーやAMEDを始めとする関係機関と丁寧なコミュニケーションを図られるようにしっかりと対応していきたいということで、御指導を踏まえて、私どももそのように努めてまいりたいと思っているところでございます。
  162. 串田誠一

    ○串田委員 そこで、今回、iPSのストック事業ということなんですが、報道の中では、政府の医療戦略室と医療現場の対立みたいな形で報道されている部分がありますが、これはiPSのストック事業に限ったことなのか、それとも、状態として何らかの緊張関係というか対立関係というものが常日ごろから発生しているのかどうかというのも大変危惧しているんですけれども、その点はいかがなんでしょうか。
  163. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 どのように御説明を申し上げたらよろしいかというところがございますが、常に緊張関係というのは、当然、一定の政策を推進していく上での真摯な関係というのはございますが、基本的に、例えば、iPS細胞研究支援に対する位置づけにしましても、そのほかの分野の推進の位置づけにつきましても、健康長寿社会実現という大目標もとで健康・医療戦略を定めて、それから、医療分野における基礎から実用化まで一貫した研究開発を推進して、世界最高水準の医療の提供に取り組むというのが私どもの職務でございます。  それを実施する段において、それぞれのプロジェクトの位置づけにつきましては、個々に独断で判断するということではなくて、計画に従った方針というものを私どもが推進してまいるということでございますので、もちろん、いろいろな方となれ合うのではなく、一定の緊張関係が必要かとは思いますが、必要以上の緊張関係があるということは私は認識しておりません。
  164. 串田誠一

    ○串田委員 そこの部分ですが、理事会ベースで私が説明を受けている中では、予算をどの分野にどういうふうに配分するかというような説明があって、医療的な専門用語が出ていく中で、この分野に関しては配分し、この分野に関してはというようなことが説明がありましたが、その山中教授と相談に行くときの相談をされる方は、医療的には専門的ではないのですけれどもというような説明を受けた気がするんですけれども。要するに、山中教授等と打合せをする方というのは、山中教授と同じぐらいこの分野に詳しいのかどうか。  というのは、普通に考えて、私の個人的な見解なんですけれども、非常に最先端的な技術を毎日のようにやっていらっしゃる方が、ある一定の予算というものを限度として決められた場合は、その限度の予算をその研究者が自由に使ってもいいんじゃないかなと私はちょっと聞いていて思ったわけですね。それに対して、相談に行く方が、この分野はこうで、この分野はこうでというのを何か相談するということ自体がそもそもでき得るものなんだろうかと。  一つの枠組みの全体像を、これは上限がないと切りがないわけですけれども、上限さえあれば、あとは、iPSというような日本が大変期待しているような医療分野に関しては、研究者にお任せしていいんじゃないかというふうに私はちょっと個人的に思ったんですが、その考え方は何か問題があるのか、その点、ちょっと説明をしていただきたいと思います。
  165. 渡辺その子

    ○渡辺政府参考人 両面あり得るので、そのバランスが非常に重要だ、一言で申し上げればそういうお答えになるかと思います。  研究者が、認められた研究費の中で、自由に成果の最大化を行っていただくということは一番望ましい形でございます。  他方で、研究の中身に関しては、もちろん、やっていらっしゃる方が、一定のレビューを経た上で実施するにふさわしいということで選ばれていますけれども、例えば、運営において、その金額予算の執行の仕方が本当に合理的なのかどうかということは、私どもは、そういうプロジェクトを推進していく中で、関係省庁の、個々の先生方のところに余り口を出すということはしないわけでございますけれども、政府予算の中で精査をさせていただくということはございますので、そういう意味では両面あり得ますが、研究者におかれては、なるべく自由に研究をしていただける環境というのが私も望ましいというふうに思っております。
  166. 串田誠一

    ○串田委員 その合理性というのが果たして研究者と相談するぐらいまでのレベルまでいくのかどうかという点が、私、大変懸念しておりまして、お金を受け取るという側は、非常に弱い立場の中で、これはこうだとかこうじゃないかと言われても、研究者としては、いやいや、そうじゃないんだ、これは研究している人間からすれば非常に重要なんだというものが非常に私はあるのかなと。それと同じぐらいの、同等のレベルの人が、いやいや、これはこっちの方がいいんじゃないですかと言うんならいいんですけれども、なかなかそうでもなさそうなのに、いろいろな区分けをして、こっちは幾ら、こっちは幾らというのを指定するということ自体が、ちょっと私自身疑問に思っているんです。  大臣、どうですか、その点。自由に、ある程度枠があれば、iPS細胞ぐらいのレベルにまで達して、世界で認識されるような、そういう研究者においては、ある程度任せていいんじゃないかと私は思うんですけれども、大臣としては、その点いかがでしょうか。
  167. 竹本直一

    竹本国務大臣 先生おっしゃるとおりだと思います。もちろん任せているんだと思います。  任さないと、ノーベル賞クラスの頭脳についていける人はそんなにいるわけじゃなし、それは、やはり賞をとられた方が自由にお使いになるお金だというふうに思います。
  168. 串田誠一

    ○串田委員 政府側の戦略室の考えもわからなくはないんですね。どんどんどんどん出せばいい、そういうものではないと思うんですけれども、ただ、一定の研究者で、相当の社会的な、世界的な評価を受けている研究者においては、その自由度というのは、やはりこれは尊重していくということが、かえって研究を進めるということに私はなるのかなと。  そこの強弱感というものもやはり持っていただかないと、何か全部、合理性、合理性といいながらも、それを、予算を余り区分けして、こっちは幾らというようなことをするのはちょっと違うんじゃないかなというのを私は理事会の説明を受けているときに感じたわけでございますので、大臣もそう言っていただいた部分も参考にしながら、政府として進めていただきたいと思うんです。  質問はちょっとかわりますけれども、非常に今、日本としても、これから経済を立て直すという意味で、今一番有望視している科学技術というものはどのように捉えているのかを説明していただきたいと思います。
  169. 竹本直一

    竹本国務大臣 科学技術というのは多面にわたりますけれども、非連続なイノベーションの種となるものが非常に重要だと思っております。  現時点でいいますと、イノベーションに関連の深いIT、健康・医療、宇宙、海洋について、司令塔としての本部を設けて重点的に研究開発等を今まで進めてきたところでありますが、これからもその重要性はますますふえてくると思います。  特に、具体的に申し上げますと、昨年六月にAI戦略、バイオ戦略を、それから、ことし一月には量子技術イノベーション戦略、革新的環境イノベーション戦略、こういったものを策定いたしまして、今申しましたようなテーマについて深く掘り下げる努力をしているところであります。  現在、二〇二一年度から始まります次期科学技術基本計画検討を行っておりまして、我が国研究力の強みや弱みなどの分析を行い、さらには、我々が経験しましたコロナウイルス感染症などの社会課題に対してどう立ち向かっていくかという観点から、しっかりと戦略的に進めてまいりたいと思っております。  特に対コロナについては、このコロナは治療薬開発が確たるものがないというのが一番の特徴でありまして、一番の困っていることなんです。ですから、治療薬を発明したら、それこそ英雄です。だから、そういう役割を我が国最初にやるとかいうふうなことができればいいなと思って、精力的にその研究に取り組んでいただくようお願いしているところであります。
  170. 串田誠一

    ○串田委員 今の研究の中で、最後質問をさせていただきたいんですが、科学技術という中で、新型コロナというのがありましたが、世界では、今、その新型コロナの探知犬、犬ですね、嗅覚を利用して新型コロナを発見する研究というのが報道されています。がんも研究されていますよね、がんの探知犬というのもあります。  今、日本では、麻薬犬とか検閲探知犬というのがあるわけですけれども、がんだとか新型コロナだとか、こういったようなことは、科学技術という部分からすると、到底人間は及び得ない。嗅覚というのは一万倍以上というようなことも言われていて、そういう科学の技術ではとても到達できないような部分の活用という部分が、これからは必要なというか、謙虚にそういう部分も応用していく必要があるんじゃないかなと思うんです。  科学技術の中でそういう部分はどこの部署が、世界に先駆けてというか世界と同じようなレベルで、そういう今、人間が持ち得ないような能力を利用して、活用していくというようなことを行っているのかをお聞きしたいと思います。
  171. 松尾泰樹

    松尾(泰)政府参考人 では、私の方から少し簡単目に。  今先生言われましたように、大臣も述べましたけれども、基礎科学、基礎研究というのは、何がどう応用されていくのか、本当にわからないところがございます。したがいまして、今先生言われたように、探知犬でありますとか、いろいろなものをどう探知していくかとかというのは、それはどこでやっているかというのは、なかなか統合的にまとまって研究しているところはないと思います。  ただ一方で、いろいろな基礎研究というのは各大学、各研究機関でやっておりますので、そういったことを集約をしてやるということであろうかと思います。  ちなみに、ぴったり合っているかどうかはあれですけれども、私どもは昨年からムーンショット研究、ムーンショットという大きな目標を立ててそれに向かっていくプロジェクトをやっておりますけれども、それはまさに何がどう生まれるかわからないというようなものを目標にしてやっていくというようなことでございますので、さまざまなアプローチでそういったことに取り組んでいくということであろうかと思ってございます。
  172. 竹本直一

    竹本国務大臣 先日もEUの科学技術大臣と私とで対談を四十分ぐらいやったんですけれども、そのときにも議題になりましたのですが、今参考人が言いましたように、我が国では、ムーンショットの研究、野のものとも山のものともわからないような研究をやろうとしているんですね、六テーマぐらいで。向こうは、EUはホライズンプロジェクトというのがございまして、ほぼ同じような趣旨なんです。だから、情報交換しましょうということにはしたのですが。  要は、この世に生息するものは、我々が科学技術で考える以上のものが、神がつくりたもうたものだろうと思いますが、とてつもない能力を持っているものがあるわけです。先ほど話題になりました大村先生研究だって、回虫でしょう。皆さん方はお若いから、私なんかが小さい小学生のときには、回虫というのはいっぱいいたんですよ。だから、ああいうものが研究の対象になって、ノーベル賞をいただかれて、それが何とコロナに効くという話です。  ですから、そういう意味で、やはり神がつくったものは相当の能力を持っているものも時々あるという前提で、畏敬の念を払いながら科学研究をやらなきゃいけないなと思っております。
  173. 串田誠一

    ○串田委員 まさにそれがイノベーションなんじゃないかなと思います。  どうもありがとうございました。      ――――◇―――――
  174. 津村啓介

    津村委員長 次に、内閣提出科学技術基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。竹本国務大臣。     ―――――――――――――  科学技術基本法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  175. 竹本直一

    竹本国務大臣 このたび政府から提出いたしました科学技術基本法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  AIやIoT、生命科学など、近年の科学技術イノベーションの急速な進展により、人間や社会のあり方と科学技術イノベーションとの関係が密接不可分なものとなっております。複雑化する現代の諸課題に対峙していくためには、人間や社会のあり方に対する深い洞察に基づいた、総合的な科学技術イノベーションの振興を図る必要があります。これが本法律案を提案する理由であります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、科学技術基本法について、法の振興対象に人文科学のみに係る科学技術イノベーションの創出を加え、法律の題名を科学技術イノベーション基本法に改めるとともに、科学技術イノベーション創出の振興に関する方針の見直し等の改正を行うものであります。  第二に、科学技術イノベーション創出の活性化に関する法律について、人文科学のみに係る科学技術の法の対象への追加、研究開発法人による出資規定の整備、研究開発型のベンチャー、中小企業によるイノベーションの創出を促進する観点から、中小企業技術革新制度の見直し等の改正を行うものであります。  第三に、内閣府設置法について、科学技術イノベーション創出の振興に関する内閣府の司令塔機能の強化を図るため、内閣府に科学技術イノベーション推進事務局を設置するとともに、内閣官房から健康・医療戦略推進本部に関する事務を内閣府に移管し、健康・医療戦略推進事務局を設置する等の改正を行うものであります。  このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  176. 津村啓介

    津村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る六月一日月曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会