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2020-07-08 第201回国会 衆議院 安全保障委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年七月八日(水曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 西銘恒三郎君    理事 小田原 潔君 理事 大岡 敏孝君    理事 長島 昭久君 理事 原田 憲治君    理事 宮澤 博行君 理事 小熊 慎司君    理事 篠原  豪君       岩田 和親君    江渡 聡徳君       小野寺五典君    大野敬太郎君       鬼木  誠君    門山 宏哲君       熊田 裕通君    塩谷  立君       辻  清人君    出畑  実君       中谷  元君    西田 昭二君       浜田 靖一君    百武 公親君       三谷 英弘君    村井 英樹君       渡辺 孝一君    重徳 和彦君       寺田  学君    本多 平直君       屋良 朝博君    吉川  元君       浜地 雅一君    赤嶺 政賢君       串田 誠一君     …………………………………    防衛大臣         河野 太郎君    外務副大臣        若宮 健嗣君    防衛大臣       山本ともひろ君    防衛大臣政務官      岩田 和親君    防衛大臣政務官      渡辺 孝一君    政府参考人    (内閣法制局長官)    近藤 正春君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 小林 賢一君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君    政府参考人    (水産庁漁港漁場整備部長)            山本竜太郎君    政府参考人    (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       辰己 昌良君    政府参考人    (防衛省大臣官房報道官) 伊藤 茂樹君    政府参考人    (防衛省大臣官房審議官) 村岡  猛君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君    政府参考人    (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君    政府参考人    (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君    政府参考人    (防衛装備庁長官)    武田 博史君    安全保障委員会専門員   奥  克彦君     ――――――――――――― 委員の異動 七月八日  辞任         補欠選任   大西 宏幸君     西田 昭二君   大野敬太郎君     鬼木  誠君   左藤  章君     辻  清人君   鈴木 貴子君     百武 公親君   照屋 寛徳君     吉川  元君 同日  辞任         補欠選任   鬼木  誠君     大野敬太郎君   辻  清人君     村井 英樹君   西田 昭二君     大西 宏幸君   百武 公親君     三谷 英弘君   吉川  元君     照屋 寛徳君 同日  辞任         補欠選任   三谷 英弘君     出畑  実君   村井 英樹君     左藤  章君 同日  辞任         補欠選任   出畑  実君     鈴木 貴子君     ――――――――――――― 六月十七日  一、国の安全保障に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。  このたびの令和二年七月三日からの大雨による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に深く哀悼の意を表します。  また、被災者皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地において救援活動等に従事されているボランティアの皆様並びに自衛隊を始めとする政府関係者諸君に心から感謝と激励を申し上げます。  これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  全員御起立をお願いいたします。――黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 西銘恒三郎

    西銘委員長 黙祷を終わります。御着席お願いします。      ――――◇―――――
  4. 西銘恒三郎

  5. 西銘恒三郎

    西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  6. 西銘恒三郎

    西銘委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。
  7. 小野寺五典

    小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。  きょうは質問の機会をありがとうございます。  ただいま委員長からお話がありましたが、今回の豪雨被害、多くの犠牲者が出ました。また、今現在でも助けを求める多くの皆さんがいらっしゃいます。政府として全力を挙げていただきたい。また、現在、三千人を超える自衛隊員の活躍があり、今後とも予備自衛を含めて二万人の支援があると報告を受けております。全力を挙げてこの被災者支援に当たっていただきたい、そのように思っております。  また、冒頭、先般陸上配備型のイージスについての計画の中止という報告がございました。この経緯についてはさまざまな判断があったんだと思っております。ただ、私ども、このイージス・アショア導入については、もともと、二十四時間三百六十五日厳しい任務に当たるイージス艦負担軽減、これが必要だということ、そして、南西海域においてこのイージス役割が今後高まる中で、安全保障上も必要だということ、これを判断をして導入をしたという経緯があったと認識をしております。この視点から、早急に代替案を示し、実行に移していただきたいと思っております。  さて、それでは質問に入りたいと思っています。  このような、今イージスを持ってしっかりとした対応をとっているとはいえ、例えば、北朝鮮だけでも数百発の日本に届く弾道ミサイル保有し、近年はその撃ち方複雑化し、迎撃するのも難しさを増す、このような状況があるという認識であります。  それを踏まえて、三年前になりますが、自民党は、ミサイル防衛抑止力の観点から、敵基地反撃能力についての提言をまとめました。きょうは、この打撃力について少し質問を深めていきたいと思っております。  まず、憲法との関係について内閣法制局長官からお伺いをしたいと思います。  自衛隊我が国防衛するための必要最小限度実力であることは改めて言うまでもありません。それでは、そのような性質を持つ自衛隊日本国憲法のもとで我が国防衛するための実力としてどのようなものをどのくらいまで保有できると整理されているのか、その限度について説明をしていただきたいと思います。
  8. 近藤正春

    近藤政府参考人 お答えいたします。  自衛隊保有できる実力限度についてどう整理されているかという御質問でございました。  政府としては、従来から、自衛のための必要最小限度実力を保持することは、憲法九条二項によって禁じられていないと解しておりますけれども、性能上専ら他国の国土の壊滅的破壊のためのみに用いられる兵器については、これを保持することが許されないと考えてきております。  それ以外の個々の兵器については、これを保有することにより、我が国が保持する実力の全体が自衛のための必要最小限度を超えることとなるか否かによりその保有の可否が決せられるものであります。  その上で、自衛のための必要最小限度実力の具体的な限度については、本来、その時々の国際情勢科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有することは否定し得ず、結局は、毎年度の予算等審議を通じて、国民の代表である国会において判断されるほかないと考えてきているところであります。
  9. 小野寺五典

    小野寺委員 今の法制局長官の解釈ということを考えれば、例えば相手領土に届く装備自衛隊が持つこと、これが必要最小限度範囲であれば、国会判断をすれば保持できるというのが憲法上の整理ということになります。ですから、議論にあるような、例えば敵基地に対する反撃能力というのは、国会の承認があれば、まず装備としてはこれは保有できるというのが今回の整理なんだと思っています。  さて、その中で、では、実際にこの装備を使って、実際、相手基地を攻撃できるかどうかということでありますが、従来から、このことについては、昭和三十一年二月の内閣委員会における鳩山答弁、実際には船田長官が代読した形になっていますが、急迫不正の事態において、ほかに手段がなく、必要最小限措置であれば、相手基地をたたくことは自衛範囲に入るとして、憲法の中でもこの話は整理をつけております。とすれば、この能力を持つかどうかというのは、あと政府政策判断、そして国会判断ということになります。  さきに述べましたが、北朝鮮だけでも数百発の日本に届く弾道ミサイルを現在保有していると言われています。近年は、その撃ち方複雑化をし、迎撃するのも難しさを増しています。  また、仮に、この弾道ミサイルターミナルフェーズでPAC3が迎撃しても、その破片我が国に落下、市街地であれば大きな被害につながります。一番確実なのは、発射前、相手ミサイル基地にある、まだ発射する前の時点、この時点であれば、その抑止が一番簡単でありますし、その破片日本に届くことはありません。  ミサイル防衛一環考えれば、従来からの専守防衛の枠を超えず、更にアメリカ打撃力を補完する役割を果たせば、抑止力は一層高まります。弾道ミサイル防衛を万全にし、我が国を守り抜くためにも、相手ミサイル基地をたたく能力日本も持つべきだと考えておりますが、防衛大臣はいかがお考えでしょうか。
  10. 河野太郎

    河野国務大臣 近年、空からの脅威というのは非常に多様化複雑化しております。  一部の国では極超音速滑空兵器というような新しい兵器開発が行われている。これは、非常に速い速度で低い高度、しかも機動性を持って飛んでくる、迎撃がこれまでの弾道ミサイルと比べてしづらい、そういうものでございます。また、一般論として申し上げれば、同じ弾道ミサイルであっても、一どきに大量の弾道ミサイルというものが発射されれば、迎撃できないものが出てくる可能性は大きくなるわけでございます。  こうした新しい空からの脅威にいかにして対抗し、我が国国民の平和な暮らしを守っていくか、与党の御議論も踏まえながら、防衛省としてしっかり検討していかなければならぬというふうに考えているところでございます。
  11. 小野寺五典

    小野寺委員 私ども、今議論している中身というのは、ミサイル防衛一環であります。ミサイルが非常に防御しにくい撃ち方をされる、あるいはすごく高速で飛んでくる。いろいろな、今後、また技術開発もあるかと思います。また、今大臣がお話ししたように、大量に一どきに撃ってくるということもあります。  撃ち落とすのが大変難しい事態、これが当然発生する中で、同じミサイルであればどこで食いとめるのが一番確実か。それは、発射する前、あるいはもしかしたら発射した直後、ここで食いとめるのが一番確実。  実は、ミサイル防衛一環として考えれば、宇宙領域での高いミッドコースで撃ち落とすよりも、とまっているところで食いとめるのが一番確実。ただ、この場所はどこにあるかというと、相手領土であり、あるいはブーストフェーズであれば相手の領空ということになります。  ここで食いとめることが一番効率的だとすれば、それは私ども専守防衛範囲内で、そして現在私どもイージスでやっているミサイル防衛範囲内で、当然、この能力を持つことは憲法上も許されているし、あるいは、先ほど法制局長官議論がありましたが、これを保有することは、実際、政府がその判断をし、国会判断を行えばできるという答弁でありました。あと政府政策判断ということになります。  私どもミサイル防衛の立場を見れば、飛んでくるミサイルを撃ち落とすというのは大変高い技術が必要です。また、コストも相当かかります。これをずっとやり続けるというその大変さもよく認識しています。その中で、一番確実に防げるというその判断を政策的にすることは至極普通のことだと思います。  ぜひ大臣にもう一度お伺いしたいのですが、今、与党議論を待つということでありますが、本来であれば政府の中でもこの議論をしっかりしていただいて、むしろ政府として大きな判断をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 河野太郎

    河野国務大臣 政府といたしましても、国民の命あるいは平和な暮らしを守るというのが大きな責務でございます。そうしたことを考えれば、現行の憲法範囲内で何が最も適切なのか、これは与党の御意見も受けとめながら、政府内でしっかり議論してまいりたいと思います。
  13. 小野寺五典

    小野寺委員 また、この議論をするときに私どもが特に気をつけなきゃいけないのは、やはり、日本として新しい防衛政策に踏み切る、あるいは新しい装備を持つということになりますと、当然、周辺国、あるいは日本との関係の深い国も、さまざま高い関心を持つと思います。  特に同盟国アメリカにおいては、今までは、日米役割というのは盾と矛の関係、これがありました。当然、この考え方というのはこれからも維持されるべきものだと思います。  ただ、私どもミサイル防衛議論しているのは、今までの盾の役割は同じだとしても、その盾の考え方というのは、従来であれば、爆撃機日本に飛んできて、それを撃ち落とす、こういう能力を持つのが盾の考え方。あるいは、弾道ミサイルが飛んでくる、これを撃ち落とすというのも盾の考え方。ですが、これをずっと考えていくと、相手領土にあるけれども、まだ発射前、このミサイル抑止するということも盾の考え一環ということになります。これを丁寧に説明することによって、私は、日米の基本であります盾と矛の関係というのは維持されると思います。  もう一点、日本がそのような能力を持つということは、例えば相手に対してどう映るか。北朝鮮に対しては、一定の抑止力が働くことにもなると思います。当然、今、その抑止力というのは同盟国アメリカに頼っておりますが、日本がその能力を持つことによって、よりその厚みが増す。私は、抑止力が更に加わる、そう考えております。  もう一点注意しなきゃいけないのは、当然、周辺国の中で、日本防衛力にさまざまな注目をする国もあるんだと思います。その中で、例えば中国ロシアに対してはしっかりとした説明をする必要がありますし、逆に言えば、周辺国の中で、例えば弾道ミサイルを持っていない国、北朝鮮は当然保有していますし、韓国でも保有をしています。そして、中国ロシアは当然多数の数を保有しています。日本が今回考えるのは、弾道ミサイルということではなく、あくまでも抑止のための、ミサイル基地を抑制するための装備ということ、これは私はしっかり説明できるのではないかと思っています。  こういう考え方からも、ぜひこの装備をしっかり入れることを国会の場で正面から議論していきたい、いただきたい、そのように思っています。  そして、最後になりますが、大臣にもう一度お願いしたいこと。  今回のイージスシステム、イージス・アショアの問題、これについては、その導入のときにもかかわった者の一人として、秋田、山口、地元皆さんにも大変御迷惑をかけたと思っております。  ただ、この経緯の中で私が一つ腑に落ちないのは、もともと、ブースターが落ちるということに関して、それを強く意識して導入をしていたかというと、そこはやはり、その時点でしっかりそのことについて強く意識をし、地元皆さんにもそのことについては正面から丁寧に説明をするという努力がもしかしたら足りなかったか。ですから、途中から実は説明が、初めは検討する、ブースター安全性について検討すると言って、その後、だんだんそれが、ちゃんと落ちます、そういう答弁に変わっていったと私は見ております。  では、その過程防衛省がしっかり精緻な分析をしたか。もしかしたら、その努力が足りなかったので、最終的には地元皆さんに正確な説明をしていなかった。そのことで今回のイージス・アショア配備停止ということにつながれば、安全保障上大きな穴があきますし、また隊員負担も更にふえる。今後、その代替考える場合には、相当の費用負担がもしかしたら必要になるかもしれない。  いずれにしても、やはり防衛省の姿勢ということ、これは私どもも含めて、今後とも真摯に、そして、一つ発言に関しては精緻な発言考えるということがとても重要だと思っています。  このアショアについては一刻も早くしっかりとした決着をつけていただきたい。その決意を大臣にお伺いして終わりたいと思います。
  14. 河野太郎

    河野国務大臣 地元皆様には本当に御迷惑をおかけをいたしました。この過程日米でのやりとりについて、もう一度、何がどうなったのか、今見ているところでございます。そうしたことも踏まえながら、今後のミサイル防衛能力をいかに高めていくか、しっかり議論をしていかなければならないというふうに思っております。  改めて地元皆様におわびを申し上げ、日本防衛についてしっかりとその責任を果たしてまいりたいと思っております。
  15. 小野寺五典

    小野寺委員 ありがとうございました。終わります。
  16. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、浜地雅一君。
  17. 浜地雅一

    浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。  私も十五分間お時間を頂戴しました。  冒頭、七月三日から九州南部九州全土を襲っております豪雨被害について、自衛隊皆様方災害派遣についてまずお聞きをしたいと思っております。  五十名を超える、お亡くなりになられた犠牲者が出ました。心より哀悼の意を表したいと思っております。また、このコロナ禍において、非常に環境の悪い中、避難を強いられている皆さんもいらっしゃるわけでございます。その中におきまして、本当に自衛隊皆様方が、人命救助また道路啓開作業等、テレビでも非常に活動されている場面が映っているわけでございます。  何十年に一度の豪雨が、特に九州は毎年来る状態でございます。私も九州比例区選出の議員として心を痛めておるところでございます。しっかりと、この災害派遣、今後も増員を果たしていただき、また迅速に対応いただきたい、そのように思っておりますが、一言、まず防衛大臣の御見解をいただきたいと思います。
  18. 河野太郎

    河野国務大臣 昨日、自衛隊、最終的に三千百十二名の隊員と十八機の航空機を用いまして、昼夜を問わず、まず人命救助に当たりました。大牟田では隊員約百名、ボート十六隻で三百七十二名を救助する。全域で合計をいたしますと、これまでに累計で千五十九名の方を救助いたしました。  また、今回は大雨、洪水で孤立した地域が非常に多いという状況でございますので、中には、自衛隊の人間が、濁流の中、命綱をつけて渡りながら、あるいは壊れた道路をはうようにして、こうした孤立集落で安否の確認あるいは水や食料の輸送ということをやってまいりました。  今後、恐らく、物資の輸送あるいは生活支援道路啓開、こうしたところにニーズはだんだんと移っていくと思いますが、当面人命救助をしっかりやりながら、その他必要なニーズに応えられるように、昨日の段階で二万人態勢をとりました。必要ならば更に増員ができるように、そこはしっかり備えてやってまいりたいと思っております。
  19. 浜地雅一

    浜地委員 ありがとうございます。  三年前に襲いました九州北部豪雨よりも今回は大きな被害が出ておりますので、あのときも自衛隊皆様方に、人命救助、非常に助けをかりましたが、今回はさらなる増員もしていただきました。また大臣の英断をもって対応いただきたいというふうに心から念じるところでございます。  続きまして、イージス・アショアの問題について御質問したいと思います。  六月二十五日には、河野大臣、直接我が党の外交安全保障調査会にお出ましいただきまして、御説明をいただいたところでございます。その中には、やはり、中国地方出身議員からも非常に厳しい声もございました。  まずは、この代替案をこれから考えていく前提として、まずしっかり今回のアショア断念経緯について詳しい検証を求めるべきだという声が我が党では多くございました。特に、ブースターをむつみ演習場内に落下させるよう措置をしっかりと講じるとこれまで防衛省説明したわけでございますが、このときはプログラム改修のみで演習場内に落下させることができるといったような説明だったというふうに思っております。しかし、結果、これはプログラム改修では落下できずに、ハードの、ブースター改修が必要になったのが今回の断念の理由だというふうに聞いております。  なぜこのような説明をしてきたのか。実際に、エビデンスとして、ソフト、プログラム改修だけで本当に防衛省演習場内に落下させるということのエビデンスを持っていたのか。そうではなくて、やはり、地元の理解を得るために説明が少しずつぶれてきたんじゃないかといったような議論もございます。また、アメリカ側としっかりと、このあたりの事前の打合せ、どこまで行っていたのか、そういった発言がございました。  ですので、これから我が党も、代替案を含めまして外交安全調査会でさまざま議論していきますが、まずはこの検証の結果を報告していただくのが議論スタートになるというのが我が党の考えでございます。防衛大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  20. 河野太郎

    河野国務大臣 地元に、ブースター演習場内に確実に落としますという説明をしてきたわけでございますが、当初は、日米間でさまざまな技術的な協議をする中で、ソフトウエア改修でそれができると防衛省認識をしておりました。それが、この協議を進める中で、確実に演習場内に落とすことがソフトウエア改修だけではできないのではないか、そういう疑念のもと、協議を進めた結果、やはりハードウエア改修がなければ確実に演習場内に落とすということができないという結論を得るに至りました。  どうしてそういう認識になったのか、また、どういう協議であったのか、今私が確認をしているところでございます。こうした過ちを繰り返さないためにも、このプロセスをきちんと確認していくということが大切だと思っておりますので、それについてはしっかりやってまいりたいと思っております。
  21. 浜地雅一

    浜地委員 しっかり検証されるという御答弁だと思っております。  まだちょっと時間もございますので、うちの会合の日程もございますので、しっかりとまた更に御説明をいただいて、特に、やはり、これまで地元説明に尽くしてきた議員がまた納得して、そこからスタートをさせたいというふうに思っております。  そうはいいましても、やはりこのアショア断念を受けて、代替案を早急に検討することも当然でございます。今、いわゆるミサイル防衛に、言ってみれば穴があいている状態でございます。報道によりますと、護衛艦二隻調達してはどうかといったことがございますが、まずこの代替案の検討はどういうスケジュール感で行っていくのか。特に、九月末の概算要求に向けて、やはり何らかの措置をとるべきだと思っております。また、当然、今回は与党意見もしっかりと反映をさせていただきたいというふうに思っております。  この代替案の策定に当たってのスケジュール感与党の関与のプロセスをどのように大臣がお考えか、御見解をお聞きしたいと思います。
  22. 河野太郎

    河野国務大臣 現在、イージス艦並びにPAC3で弾道ミサイル防衛を行っております。これは、イージス・アショアの配備が仮に進んだとしても、今後五年程度はこの体制でやっていくということでございましたので、今、何かこの弾道ミサイル防衛に穴があいているということではございません。そこはしっかり対応ができているというふうにお考えをいただいていいと思います。  しかし、イージス・アショアの配備を断念するということでございますので、そこから先をどのように考えていくかということは当然議論を始めなければなりませんし、先ほど小野寺委員の御質問にもお答えをしたように、新たな空からの脅威というのもだんだんと増しているわけでございます。そうした脅威から国民の平和な暮らしをどのように守っていくのか、これは、与党の御議論も踏まえながら、政府としてしっかりと、NSCその他、議論をしていかなければならないというふうに思っております。  当然に来年度の概算要求というのはその一つの節目になるというふうに考えてはおりますが、現時点で何かまだ確固たるスケジュールがあるというわけではございません。与党の方ともしっかり意見交換をしながら、今後の議論をしてまいりたいというふうに思っております。
  23. 浜地雅一

    浜地委員 我が党でもしっかりと議論をしてまいります。  一年半前に防衛大綱を改定されました。あのときには、いわゆるクロス・ドメインといった定義も出てきましたし、「いずも」の改修というところもございました。私も与党防衛大綱の検討のメンバーに加えていただきましたけれども、あのときいわゆる打撃力というキーワードも出てきたわけでございますが、防衛大綱には、日米の基本的な役割を踏まえて、日米同盟全体の抑止力強化のためのミサイル発射手段等に対する我が国の対応能力のあり方について検討を行うという記載がございます。  ですので、これから行う議論に根拠がないわけではございませんけれども、あのときに打撃力を中心に話をしたかというと、やはりそうではなくて、基本的には、BMDの、迎撃というところに焦点を置きながら議論したというふうに私自身は記憶をしております。  ですので、国家安全保障戦略もあのときは変えなかったわけでございますので、これからさまざま議論していく中には、なぜ一年半前にそういった大きな議論がなかったものが今になって出てくるのか、そういったことについて、やはり詳細な説明が、私自身は、必要であろうというふうに個人的には思っております。  その点もしっかり、また我が党の外交安全調査会防衛省説明も受けながら検討してまいりたいというふうに思うところでございます。  その点において、今、弾道ミサイル防衛というお話が出てきましたが、やはりもう一つ脅威は巡航ミサイルというところでございます。  これについては、国民皆様方には何となく、北朝鮮脅威ということで、弾道ミサイル防衛については非常に理解は深まっていると思うんですけれども、巡航ミサイル防衛について、私は今回更に議論を深めるべきではないかというふうに思っております。BMDとともに、我が国が置かれた巡航ミサイルからの脅威についてしっかりと議論をし、やはり整備を急ぐべきだというふうに私は個人的に見解を持っておりますが、最後に防衛大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  24. 河野太郎

    河野国務大臣 巡航ミサイルというのは、弾道ミサイルと比べまして、低い高度を機動性を持って飛行するという特色がございますので、早期に探知をするというのが非常に難しいということがございます。  この巡航ミサイルに関しましては、例えば陸上自衛隊の短SAM、中SAMその他、さまざまな装備品をもってこれに対抗するということになっておりますが、センサーですとかあるいはシューターといったものの能力を高め、また弾道ミサイルその他と一体的にミサイル防衛をする能力を高めていくということも当然必要になってくると考えております。そうしたことで、新たな技術というものも生かしながら統合的なミサイル防衛ができるように、しっかり議論をしてまいりたいと思います。
  25. 浜地雅一

    浜地委員 ありがとうございます。  いずれにせよ、これはそんなにゆっくりとやっている時間もございません。しかし、冒頭申し上げましたとおり、しっかりまず検証を行った上で、また、安全保障環境が大きく一年半前と変わっているのであればその説明も必要でしょうし、しかし、本来、変わってはいないんだが、本来の脅威というものが実はほかにありまして、それに対して今回正面から検討をしていくということであれば、それはそれでまた、我々議員や、また国民皆様方に、しっかりと理解を深めながらやることが一番肝要だと思っておりますので、しっかり私も努力をさせていただきたいと思っています。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  26. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、小熊慎司君。
  27. 小熊慎司

    ○小熊委員 立国社の小熊慎司です。  まず冒頭、今回の豪雨災害で被災された皆様方、亡くなられた皆様方にお見舞いを申し上げますとともに、災害対応に当たっている自衛隊関係者に深く敬意と感謝を申し上げ、また、そのトップである河野大臣においても御奮闘されていることに感謝を申し上げる次第であります。  災害は与党、野党関係ありませんので、これはしっかり対応していきたいなというふうに思っております。  また、質問に先立って、これは理事会でも申し上げましたけれども、昨日、参議院の決算委員会において、イージス・アショアに関するプロセスの停止について、しっかり対応するとともに報告を求める決議が全会一致でなされました。我が委員会としても、これは決議を提案しているわけではありませんが、しっかりこのプロセスについて国会への報告、参議院の決算委員会だけではなくて我が委員会も含め報告することを委員長を通じてお願いをしたいというふうに思います。よろしいですか。  質問に移ります。  このイージス・アショアに関しては、これは、巷間言われているとおり、安倍総理とトランプさんのトップ会談で決まったという経緯があります。安倍政権になってから対外有償軍事援助費は異様に増大をしているわけで、この点にメスを入れたきっかけになっているという点については一定の評価をしたいというふうに思います。  これは事実上の、停止と言っていますけれども、事実上の撤回というふうにも見られていますが、アメリカ政府高官においては、これは停止されたけれども、ほかのところでちゃんとやってくれるんだという認識発言があります。  この日米関係、これは、イージス・アショアはなくていいというふうに思っています。ちゃんと防衛をしっかりもう一回見直すということが重要だというふうには思いますし、イージス・アショアは役に立たない。  また、古い話ですけれども、石原莞爾の「世界最終戦論」において、せん滅戦と持久戦の、技術の革新によって転換していくのが歴史上あるというふうにありますから、これはいろんな、十年後に完成しても技術が追いついていかないということを考えれば、今回停止に至った判断一つとして、十年後ではもう意味がないという部分においてもまた評価をするところでもあります。  とはいえ、これは購入決定のいろんな経緯がありましたし、今、アメリカ側認識も、そのような発言があるところでありますので、二つお聞きいたしますけれども、このアメリカの、これを発言したのはヘルビー次官補代行という方でありますけれども、撤回されたわけじゃない、これは将来的にはまた動いていくんだという発言に対しての、認識に対する政府見解。また、もう一個、今回の事実上の撤回について日米関係がどのようになっていくのか、見解を伺います。
  28. 山本ともひろ

    山本大臣 お答え申し上げます。  日米両国はこれまでも、さまざまなミサイル脅威に効率的かつ効果的に対処するため、政策面、装備面、運用面の各分野で平素から緊密に連携しているところでございます。  今回のイージス・アショアに係る日本政府の決定についても、公表に先立ち、しかるべきタイミングで米国政府には伝達をしております。  米国側の反応も含め、やりとりの具体的な内容、今委員がヘルビー次官補代行のお話もされましたけれども、やりとりの具体的な内容については、相手方との関係もあるためコメントを差し控えさせていただきたいと思います。  また、先ほどトップ会談でというお話もございましたけれどもイージス・アショアについては、北朝鮮の核・ミサイル能力の急速な強化を始めとする我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえ、あくまでも我が国自身の判断として導入することとしたものでありまして、トランプ大統領から求められてとか、そういったことではないということは申し上げておきたいと思います。  その上で、弾道ミサイル脅威への対応については、日米間で平素から緊密に連携しているところであり、引き続き米国と緊密に連携し、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化に取り組んでまいりたいと思います。
  29. 小熊慎司

    ○小熊委員 今の発言に関しての深掘りはこの後の委員がやりますけれども我が国の独自の判断アメリカに頼んだんだという趣旨でありましたが、であれば、今回、いろいろな経緯イージス・アショアのふぐあいがわかったわけでありますし、それについて、では、買うという判断をしたときに、防衛省の見立ての能力がないということを露呈しています、今の発言であれば。  巨額の予算を使って買う兵器に対して、そんな甘い推測で決断をしてしまった。これは今ストップしていますから、それは河野大臣の英断だったと思いますけれども、今の発言日本判断なんだ、アメリカに無理やりじゃないんだということであれば、防衛省兵器を買う見立て能力がないということを露呈しました。これはこれで問題だと思います。この点についてはちょっと後でほかの委員がやりますから、次に移りますけれども。  今回、事実上の撤回をした一つの問題にブースターの落下問題がありますけれども、これもそもそもわかっていたのに、また、落下しませんとかちゃんと回避できますって、住民にはうそか、見抜けなかったというのも、これも能力不足ですから。見抜けなかった能力不足。もしわかっていたのを隠したら、これも問題です。いずれにしろ問題なんです、防衛省説明のあり方が。  ただ、今回のイージス・アショアだけではなくて、ミサイル等の兵器がありますけれどもブースターが落ちるものもいろいろあるんですが、これまで保有してきたもの、今もうそれが更新されていないものも含め、今現在、過去を含め、ミサイル等の兵器ブースターが落下するものについて状況説明、まずそれを聞きます。
  30. 山本ともひろ

    山本大臣 お答え申し上げます。  過去から現在ということでございますけれども、現在、自衛隊ブースターを切り離して飛翔する誘導弾、いわゆるミサイルでございますが、SM3、あと地対艦誘導弾、そして艦対艦誘導弾を保有しております。  地対艦誘導弾では、陸自が所有しております一二式、八八式の二種類。艦対艦でいいますと、海上自衛隊の有します九〇式、一七式、あと、ハープーン、SM3ブロック1Aということになります。  過去はどうであったかということでございますが、過去は、地対空誘導弾、ナイキアジャックスとナイキJという誘導弾を有しておりました。
  31. 小熊慎司

    ○小熊委員 今回、イージス・アショアの場合、地元説明に落下について大丈夫だという説明をしてきましたが、私が調べた限りでは、今並べられた兵器の、例えば地元というか、配備されている地域において、そういう説明はしてこなかったというふうに思います。今回、イージス・アショアにおいてこれが焦点が当てられたわけでありますけれども、そういう意味では、今ある兵器でも落ちるものがあるわけですよね。その落ちると想定される周辺地域への今後の御理解というか説明をどのようにしていくのか、まず一点。  あとは、今後の兵器の購入の場合に、こうした落下するものがあるものにはしっかりそれを対処していくのか、そして、それをきちっと住民説明をして理解が得られなければ、やはり今回の問題のように、この兵器の購入をどうするかという検討の指標になるのか、この二点についてお伺いします。
  32. 山本ともひろ

    山本大臣 お答えを申し上げます。  今の装備品でブースターが落ちるのではないかというお話でございますが、地対艦誘導弾のブースター、先ほど申し上げたものも落下をしますけれども、落下の範囲につきましては、発射する地点あるいは射撃の方向から、あらかじめ落下の範囲を予想することができます。加えて、地対艦誘導弾は発射装置が車載型、車で積んで移動する、移動が可能である。射撃に当たっては、地元住民の皆様に危険が及ばないよう適切な措置を講じるということを考えております。  あと、艦対艦ですが、それはそもそも、艦対艦は海上の上ですので、そういう付近に住民はいないということであります。  加えて、今後、装備品でブースター、また落下するようなものが出てきた場合はどうするのかということでございますが、そういった際も、個々の装備品ごとによりまして状況が異なると考えられます。したがって、一概にブースターが落下するものはこういうふうな取扱いにしますよということはなかなかお答えすることが困難でございますけれども一般論で申し上げれば、防衛省としては、それぞれの装備品の導入目的、防衛上の効果、運用形態、配備する地域に与える影響、さまざまな要素を勘案して対応をしていきたいと考えておりまして、いずれにしましても、防衛装備品の配備に対しては、先ほど委員おっしゃったとおり、配備される地域の皆様の安全確保ということを第一に、万全を期してまいりたいと思っております。
  33. 小熊慎司

    ○小熊委員 今、自走のやつがありましたが、自走するやつであればどこでどういうふうになるか、PAC3も含め、あるわけですよ。一部識者からは、核兵器が飛んできて落下物を気にしている方がおかしいというふうな意見を言う人もいますけれども、それは一つ意見ではありますが、とはいえ、やはりそういう危険性がある。いざとなったらそういうものが落下する場合もあります。  万全の体制をとりたいというのは、今回、この落下物についてしっかり説明をして、それがそのとおりにならないからこれは停止にもなっているんですけれども、これは、やはり大きな被害を受けないために多少の犠牲はなんという言い方ではよくないんですけれども、そのリスクはありますということをしっかり国民皆さんにお知らせをし、それに納得をいただくという努力は、今回、この件で落下問題が大きく焦点が当たりました。今までも実はこれが存在していたわけです、大なり小なり。  これは防衛省としても、今後、国民議論、理解を得るためにはしっかり説明をしていく機会をふやしていかなければいけないというふうに思いますので、その辺、万全の体制と言っても、それは抽象的な言葉で、具体的にどうするんだということがありますから、今後、その具体的な、どういうふうに国民の理解を得ていくのか。なるべくリスクを、リスクゼロというわけにもなかなかいかないのも、これも現実であるのも承知はしていますけれども、ただ、それを前提に、しようがないでしょうという言い方もできないし、しっかりとした対応、具体的にどうするのかを今後また詰めていきたいというふうに思います。  次に移りますけれども、今、ウイズコロナ、アフターコロナで新しい世界観が求められていて、世界的にはグリーンリカバリーという経済復興、これでやっていくんだということが言われていて、我が国にとってもこれは重要な視点であり、河野大臣がいなくなっちゃったけれども、そういう意味で再生可能エネルギーというのが重要な視点であって、今、洋上風力、国でも一生懸命推進しています。  実はこの秋田も有力な候補地だったんですけれどもイージス・アショアが検討されていたことによって、そのレーダーが干渉するしないで、これが進められていなかったということがあります。日本の有力な候補地が幾つか選定されて、今経産省で進めていますけれども、いろいろな防衛施設との、バッティングするとかふぐあいが、いろいろなことがあって、それが進められないでいるというのが今現状としてあります。  そういう意味においては、この洋上風力発電を始めこうした開発において、防衛省、また米軍も含みますけれども、このレーダー施設の干渉問題がある中で、洋上風力開発が国としてやるんだと言っていながら停滞する一因、この点について、どのような場合に洋上風力施設との干渉が起きるのか、御説明をまずお伺いいたします。
  34. 槌道明宏

    槌道政府参考人 再生可能エネルギーの拡大及び洋上風力発電の導入の促進は、政府の重要政策課題でございますので、防衛省としても積極的に協力しているところでございます。  他方で、洋上風力発電施設につきましては、その設置によりまして、自衛隊や在日米軍の運用に影響が生じる場合がございます。エネルギー庁が作成する風力発電事業に関するガイドラインにおきまして防衛省への事前相談が推奨されていることに加えまして、防衛省としても、日本風力発電協会経由で、事業者に対しての事前の相談を依頼するといった取組を行っているところでございます。  具体的に、先ほどレーダーということで御指摘ございましたので、その例を挙げて申し上げますけれども一般論として申し上げますと、洋上風力発電の設置により影響を受ける要因につきましては、警戒管制レーダー等が設置されている標高と洋上に設置される風力発電施設の高さの関係及び警戒管制レーダー等と風力発電施設の距離の関係から我々のレーダー波の遮蔽が生じる、そういうことが影響として考えられる、これが一例でございます。
  35. 小熊慎司

    ○小熊委員 秋田でイージス・アショアが停止になりましたから、秋田のやつはどんどん、有力な候補地として挙がっていますから進めていってほしいなというふうに思いますし、河野大臣が戻ってきたので、今、韓信の股くぐりか何かあれですけれども、脱原発のトップランナーとして頑張ってこられていますから、ぜひ、こういう防衛施設と洋上風力発電の利益がバッティングしないようにやっていくべきだと思います。  今、一定のルールで整備していると言っていましたけれども、場所によって、物によってちょっと違うので、硬直化したルールで一律にはめるんじゃなくて、規制とかあり方については柔軟に対応していただいて、それは防衛施設もちゃんとレーダーに干渉しないことを前提ですけれども、洋上風力発電が進めるように、このルールにおいては柔軟に対応していただきたいというふうに思います。  今後、今あるものでも、老朽化したものを更新していかなければなりません。更新する際に、こういうふうに仕様を変更してくれというのも防衛省の側としてはあると思います。今言ったように、レーダーの部分も機能するのに大事ですから。そうなったときに、これは防衛省の予算をつけていくのか。よくインフラ整備でも防衛省の予算で、私の地元でも道路をつくってもらったり、学校の改修をしてもらったりもしていますけれども、そういったものに該当してくるのか、予算措置として。防衛省の理論として改修の場合はこういう規定でやってくださいとやるわけですから、その可能性、この対応についてお伺いをいたします。
  36. 槌道明宏

    槌道政府参考人 まず、これまでも、運用上、工夫できるところは工夫をして、洋上風力発電の設置についても御協力させていただいているということは申し上げておきたいと思います。  その上で、今、例えば、老朽化した装備品の更新においてということでございました。先ほども警戒管制レーダーの話を申し上げましたので、それについて申し上げますけれども、これはやはり自衛隊が運用する装備品でございますので、我が国防衛のために必要な性能、これを備えたものを導入、更新するということが大前提となります。  そして、例えば、警戒管制レーダー等と洋上風力発電の関係につきましては、先ほど申し上げましたように、相互の高さと距離がこれは重要な要素でございますので、それをほかの技術的な要素で克服できるかということがまず第一の問題でございます。  その上で、いずれにしても、我が国防衛に必要な性能、これを有しないようになってしまっては意味がございませんので、その性能を有することが前提でございます。その点では限度があるということは、ぜひ御理解いただきたいとは思います。
  37. 小熊慎司

    ○小熊委員 最後に、大臣に聞きたいんですけれども、これは防衛の設備が万全の機能を発揮することが大前提ではありますが、今までいろいろな利益がぶつかっていて洋上風力発電が進まなかった側面もあります。これは柔軟に対応しながら、両方が並び立つように、ぜひ、脱原発の雄であった大臣にもこの点にも御配慮していただきながら、日本防衛施設のあり方をもう一度見直し、点検をしていただきたいと思いますが、御見解があればお願いします。
  38. 河野太郎

    河野国務大臣 自衛隊も将来的には再生可能エネルギー一〇〇%でやる必要があるだろうと思いますし、燃料についてもバイオ燃料であったりあるいは電力に移行する、そういうことが自衛隊の抗堪性、強靱性に寄与するということで、自衛隊にとっても、再生可能エネルギーをふやしていくというのは非常に大きなことでございます。  今年度から、自衛隊の各駐屯地施設で使う電力、再生可能エネルギー三〇%を含む電力の入札というのを始めて、価格も前年度より下がった、そういうこともございました。  そういう意味で、今委員が提起されました洋上風力も、日本の再生可能エネルギーの中では非常に大きなポテンシャルがあるものだと思っております。  また、我々の警戒監視レーダー、国を守るために最大限能力を発揮しなければならないわけでございますから、そのぎりぎりのところをどう折り合っていくか、これはしっかりと考えて、再生可能エネルギーを伸ばせるように、我が国の警戒監視もきちんとできるように、そこはしっかり努めていきたいというふうに思います。
  39. 小熊慎司

    ○小熊委員 大臣答弁を求めていない突然のあれでもしっかり答えられた、さすがだというふうに思いますので、ぜひ河野総理誕生の際には脱原発を推進できるように御期待を申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。
  40. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、篠原豪君。
  41. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 篠原豪でございます。  本日も質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。  まず、私からも冒頭、七月三日からの豪雨災害によって多くの方々が犠牲になられております。犠牲者皆様には、そして御家族の皆様には深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にはお見舞いを申し上げます。  そして、警察、消防、消防団、そして多くのボランティアの皆様が今も懸命に活動されております。自衛隊皆様におかれましては三千名から二万名態勢ということで、河野大臣が昨日そういった御指示をしていただいたということで、ありがとうございます。こういった方々の活動にも激励を申し上げますとともに、感謝を申し上げたいと思います。  まず冒頭、私からは、今ちょっと香港の問題がありますので、少し聞かせていただきたいと思っております。  中国の全人代の常務委員会で、六月三十日、香港での反体制的な言動を取り締まる香港国家安全維持法、国安法が成立をし、即日施行されました。この法律は、国家分裂や政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託、海外勢力による国家の安全への危害などについて無期懲役以下の刑事罰を科すものですけれども、香港では、既に中国批判などの言論を控える萎縮の空気が漂い始めていまして、民主派の団体は迫害を恐れて相次ぎ解散を表明をして、海外に逃れようとする民主活動家が出ております。  これは、一九九七年の香港返還に際して共産党政権が宣言をした一国二制度、このもとでの高度な自治を五十年間は変えないとした国際約束をほごにする行為でありますので、したがって、もはや香港だけの問題ではなくて、これは、自由や人権を尊重せず、既存の秩序に挑むという中国とどう向き合うかという国際社会全体の問題だというふうに思っております。  既に欧米では、制裁やら、海外に逃げ出す香港市民の受入れを表明をしているところですけれども、アジアを代表する民主主義国家である我が国としてまずやるべきことは、習近平国家主席の国賓来日が、現状では、こういう状況では実現不可能じゃないかということが大きな声に今なってきているということも、これもしっかりと政府として、実際にそういう声が上がってきているわけですから、これを中国にお伝えをし、そしてまた、海外に逃れようとする香港市民の皆様、特に民主派の活動家に対して、これは柔軟な受入れ措置をとることだと考えておりますが、政府のお考えを端的にお聞かせいただければと思います。
  42. 若宮健嗣

    ○若宮副大臣 お答えさせていただきます。  香港につきまして、国家安全保障をめぐりましては、これまでも米国を含みます関係国と連携をして対応いたしているところでございます。G7の外相声明も発出をさせていただき、本件に対する重大な懸念を示してまいりました。  今般、全人代の常務委員会におきまして、国際社会、そして香港市民の強い懸念にもかかわらず、香港におけます国家安全法が制定されたことは遺憾であるというふうに認識を持っております。  香港は、私ども我が国にとりましても緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーでもあり、まさに、一国二制度のもとに自由で開かれた体制が維持をされ、そして民主的、安定的に発展をされていくことが重要であるというのが我が国の一貫した立場でもございます。  我が国の今後の対応につきましては、予断を持って申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、引き続き、関係国と連携をしつつ、中国側の適切な対応を求めることに考えは変わりございません。  また、今委員が御指摘になりましたように、習近平主席の訪日についてでございますけれども、今は具体的な日程調整をする段階にないという政府の立場はこれまでも申し上げてきているとおりでございます。  その上で申し上げますと、中国との間にはやはりさまざまな懸案が存在しているのも事実でございます。政府といたしましては、引き続き、首脳会談等のハイレベルの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張し、懸案を一つ一つ解決し、また、中国側の前向きな対応を強く求めていくということが基本的な方針であることを御理解いただければと思っております。  以上でございます。
  43. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私から、もう一つ、活動をされている方々の受入れについても、どういうふうに考えていらっしゃるかというのがあれば教えていただきたいということなんですが、ございますでしょうか。
  44. 若宮健嗣

    ○若宮副大臣 具体的に今委員から、香港の市民の方々、そしてまた民主化の活動の方々、さまざまな方を、受入れ措置をというような御指摘がございましたけれども、今後の対応につきましては、予断を持って今この場で述べることは差し控えたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、関係各国と連携をいたしましてしっかりとした対応をしてまいりたい、このように思っております。
  45. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 我が国日本は、アジアを代表する民主主義国家であります。ですので、そのアジアの中から我々がやるべき役割というのは非常に大きいと思っておりますので、ぜひ、政府におかれましては、しっかりとした対応をお願いをさせていただきたいと思います。  もう一つ、世界有数の金融拠点としての香港という姿があります。この香港が栄えてきたのも、これは自由で開かれた社会とそれを担保する法治が維持されてきたからだということでありまして、この繁栄する香港、まさに社会主義を維持をして経済発展を目指す中国にとっても、日米欧などとの間で人、物、金が行き交う結び目として重要な役割を、意味も持ってきた。しかし、今回の事態を受けて、トランプ政権も、これはもはや一国一制度だと言って、香港への関税優遇措置の撤廃など圧力を強めています。  習近平指導部は香港の混乱にアメリカの影を見ていると思いますので、両大国は香港をめぐって通商紛争にとどまらない全面対立の様相をこれから強めていくんじゃないかということを懸念しています。  そういった中で、香港が国際ビジネス都市としての基盤を喪失すれば、中国のみならず、これは世界経済全体が傷つくことになります。ですので、特に米中の間に立つ我が国でありますから、その我が国の立場として、今こういう状況がありますので、経済的に必要な面の見方からどのように対処をしていくのか、そのことについても教えていただければと思います。
  46. 若宮健嗣

    ○若宮副大臣 今委員が御指摘になられた点というのは非常に重要なポイントだというふうに思っております。私どもも、情勢については極めて注視をしているところでもございます。  今回のこの全人代常務委員会、先ほども答弁申しましたけれども、この国家安全法が制定をされたこと、これはまさに遺憾であるというふうに考えているところでございます。  また、私どもにとっては、本当に、一国二制度のもとで、非常に、極めて重要なパートナーでもございます。まさに今後も民主的、安定的に発展していくことが重要であるということの認識には全く変わりはございません。  今回のこの国家安全法の制定につきましては、国際社会の一国二制度の原則に対する信頼を大きく損ねるものであるというふうにも思っております。  私どもの今後の対応につきましては、今この場で予断を持って申し上げることは差し控えたいと思いますけれども関係各国と緊密なる連携をした上で適切に対応してまいりたい、このように思っております。
  47. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 米中の間に立って話ができる、日本というのはやはりそういう立場にあると思いますので、ぜひ、本当に積極的に、これはうまく回していかないといろんな問題が出てくるんだと思いますので、その点はくれぐれもよろしくお願いしたいと思います。  今、一国二制度の話がありましたので、まさに、この一国二制度というのは、一九七〇年代にトウショウヘイさんが台湾の平和的統一のために発案をした、そういった考え方が土台にありましたけれども、今回の香港の動きを見てみますと、こういった考え方を根底から覆すという大きなところに出たんだろうというふうに思っています。そういったことになると、今既に台湾へ中国は軍事的な圧力を強める行動をとりつつあるんじゃないかというふうに思っています。これは、尖閣をめぐる東シナ海とか、あるいは南シナ海での中国海軍の動向とも密接に連携を今してきているんだと思います。  そういったわけなので、日本としてこうした動向に、これは安全保障委員会で今度は河野防衛大臣に教えていただければと思うんですけれども、もし、どういうふうに対処していくのかということがあれば、御見解をお聞かせください。
  48. 河野太郎

    河野国務大臣 中国は最近、今回の香港への対応もそうですし、中国、インドの国境沿いの問題、あるいは尖閣諸島を始めとする東シナ海、あるいは南シナ海でベトナムの漁船が沈んだりフィリピンの船に火器管制レーダーを照射したり、あるいは南シナ海に行政区を新設すると言ってみたり、力による一方的な現状変更をもくろんでいると国際社会から見られても仕方ないような動きというものが相次いで行われております。  政治体制が違うというのは、これはあることかもしれませんけれども、現状を一方的に力で変更するというのはそうしたことと関係なく、国際社会としては受け入れられないことであります。日本として、志を同じくする国々と一緒に中国のそうした試みに断固反対をし、そうした試みには当然に高いコストがついて回る、そういうことを明確にしていかなければならないというふうに思っております。  防衛省自衛隊としては、中国がこの三十年間に国防予算を四十倍以上にふやす、この十年間でも恐らく二倍半ぐらい防衛予算をふやしてきて、各種の最先端の装備品を獲得をし、さまざまな能力を身につけているわけでございますが、それだけの能力を身につけた中国がどのような意図を持って軍事を拡大をしているのか、あるいは、どのような意図を持ってそうした軍を運用しているのか、そこをしっかり見きわめて、日米同盟が基軸ではありますが、オーストラリア、ベトナム、フィリピン、あるいはそのほかのさまざまな有志国としっかりと連携をして、中国の軍事的な行為をきちんとチェックできる、そういう体制をつくっていかなければならぬというふうに考えております。
  49. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私も思いは同じでありますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、できることは我々からもお願いをさせていただいて、そして、力を合わせてやらせていただければと思っています。  外務副大臣はもう結構でございます。ありがとうございます。済みません、急な質問で。ありがとうございました。  それでは、先ほど来、ミサイル防衛をどうするのかということで、イージス・アショアが突然、配備停止をされました。これは河野防衛相だから今回決断はできたんだというふうに思いますが、私もそうやって思うところは大きいんですけれども、やはり、もともとのコストが、総額四千五百億円と見積もられている巨額の費用に見合った防衛効果が得られるのか、専門家からもこれまでも疑問が呈されていましたので配備停止は当然ですけれども、少なくとも、二〇一九年に米国防省がイージス・アショア二基の日本への売却を承認し、関連費用を含めた価格が防衛省の予定した千六百億円をはるかに超える二千三百五十億円だった、こういったことを発表した時点で、やはり私は中止を決断すべきだったと考えています。  先ほど与党委員の方からも、あるいは報道を見ていると、最近出てくるのが敵基地攻撃能力でございます。  敵基地攻撃能力は、六月十七日に国会を閉じて、その翌日にたしかこういう話が上がってきたんじゃないかと記憶をしています。間違っていたら済みません、日にちが間違っていたら申しわけないですけれども。安倍総理が記者会見で、安全保障のあり方について、この夏に国家安全保障会議で集中的に議論をし、そして新たな方向性を打ち出すということを、そして、その中で、敵基地攻撃能力保有に言及をしたということであります。  恐らく、敵基地攻撃の話というのは、与党の中でも二〇一七年ぐらいにもう、多分この導入の前にあった議論じゃないかと私もおぼろげながら覚えておりまして、そういった中で、また出てきたのかなというふうに思っています。  イージス・アショア導入によって、先ほどから議論を聞いていますと、今度、ミサイル防衛に穴があいたから、そこの部分をどういうふうに埋めていくのかというのを早くやらなければいけないという話ですが、河野大臣がおっしゃったように、イージス艦が今配備をされていて、そもそもこのイージス・アショアを入れるときには、海上自衛隊負担が余りにも重たいということだったんですが、そのときには、自衛艦が積んでいるミサイルというのはSM3ブロック1ですから、これは千キロ程度の射程なので、日本全土を全部カバーするには、二隻必要だという話だったと思うんですが、それ以降、「まや」も、「あたご」型の改修も含めて、今四隻、SM3ブロック2Aでやっておりまして、このミサイルだと二倍の能力がありますので、実際には格段に能力が上がっていて、当時の議論と船の必要な数というのは、多分この議論をしっかりした方が私はいいと思っています。  なぜかというと、二十五兆円の予算が、財政が今ない中で防衛費をかけていて、無駄なお金を、これをどんどんどんどんやらなきゃいけないということで、本当に、河野大臣は、いよいよ防衛装備品までオークションにかけられるということで、私も報道を見ましたけれども、そういった状態なので、また、費用と効果というものをしっかり見ながらどういうふうにやっていくのかというときに、先ほど報道で二隻またふやすんだよとか言っているということもありましたけれども、その辺のことも考えていかなきゃいけないんだと思います。  このイージス・アショアというのは、もともと、拒否的抑止力を上げていくということで、拒否的抑止力というのは、向こうから来たものを撃ち落としてやっていく、まあ盾の関係に比較的近いんだと思うんですけれども、そういった観点からも、これは反撃能力を持つことが望ましい、イージス・アショアだったらということだったと思います。  しかし、さっきからお話があるように、北朝鮮ミサイル技術を年々向上化させていて、最新の短距離ミサイルは変則軌道ですね。ほかの国は、河野大臣もさっきおっしゃっていましたけれども、音速の何倍ものミサイルを、今、非常に破壊力の高いものを用意をしているということで、開発中としている中で、これに対応した能力をそもそもイージス・アショアは持たないわけなので、こういった中で断念したからといって、じゃ、本当に拒否的抑止力がそれほど下がるのかというと、やはりそこのところの議論国会でしっかりしていかなければいけないという話だったので、これから計画を立てていくうちには一つ一つやっていった方がいいと私は思います。  そして、それでも反撃能力、つまり、先ほど出ていましたけれども敵基地攻撃能力にこだわるならば、先ほど河野大臣は現行の憲法範囲内で何ができるのかということを検討していくということをおっしゃっていましたけれども、これをやはり合憲とされるには先制攻撃に当たらないということが必須である。したがって、我が国は、敵国がミサイル攻撃に着手した後でなければ攻撃はできません。  二〇〇三年のときに当時の石破防衛庁長官は、「東京を灰じんに帰してやるというふうに言って、」「燃料を注入し始めた、」まあこのときは敵基地攻撃じゃなくて敵地攻撃論というのをやっているんですけれども、そのときに「まさしく屹立したような場合ですね、そうしますと、それは着手と言うのではないですか。」というふうに答弁をされています。  近年は、あの当時と時代は変わっていて、ミサイルは、あのときはまだ液体燃料を注入してという話だったんですけれども、今はもう固形燃料でもって、移動式の発射台になるんですね。だから、それが一カ所で屹立をして、ばっと立って、それを着手同等事態みたいにみなすというのは非常に難しいことになっているんだと思います。  そういった中で、やはり発射の兆候をつかむのは難しいので、そうすると、これはどういった時点でと考えると、事態対処特別委員会で宮崎内閣法制局長官が平成十五年の五月二十八日におっしゃっていたことでいえば、弾道ミサイル発射された時点で、なおかつ、これも、秋山法制局長官、同じ年なんですけれども我が国に対して飛来する蓋然性が高いと判断される場合にのみ攻撃が許されるということになるんだというふうに思っています。  つまり、敵基地攻撃といいながら、攻撃が許されるのは、現時点ではブースト段階のミサイル本体であって、発射台や基地そのものを攻撃することは、これはやはり違憲じゃないかというふうに考えるんですけれども、それは間違いないかということを確認させていただいてよろしいでしょうか。
  50. 河野太郎

    河野国務大臣 いわゆる敵基地攻撃と憲法との関係について、あくまで一般論として申し上げれば、政府としては従来から、誘導弾などによる攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度措置をとること、例えば、誘導弾などによる攻撃を防御するのにほかの手段がないと認められる限り、誘導弾などの基地をたたくことは、憲法上、法理的には自衛範囲に含まれ、可能と考えております。  また、政府は従来から、我が国に対する武力攻撃が発生した場合とは、他国が我が国に対して武力攻撃に着手したときであると解してきております。どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかについては、その時点国際情勢相手側の明示された意図、攻撃の手段、態様などによるものであり、個別具体的な状況に即して判断すべきものでございます。  いわゆる敵基地攻撃が法理上あり得ることについては、武力攻撃発生時点だけでなく、武力攻撃が発生した後について論じられてきた経緯がございます。  したがって、攻撃が許されるのはブースト段階のミサイル本体だけであって発射台や基地そのものを攻撃することは違憲との御指摘は当たらないと考えております。
  51. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 何で私がこれを過去の答弁から引いて現実に合わせてお話をしているかというと、敵基地攻撃というのは場合によっては非常に危ない議論になっていくんだと思っています。  というのは、敵基地攻撃は本当に覚悟が必要な話であって、これは後からやらせていただきますけれども、じゃ、現実的にどういう防衛ミサイルの構想というのを今やっているかというと、アメリカの話でいいますと、今これは太平洋IAMDセンター、パシフィックIAMDセンターをハワイに設置をして、アジア太平洋において統合防空ミサイル防衛の構想を進めています。  弾道ミサイル防衛については、アメリカイージス艦が海上自衛隊及び韓国海軍と常に連携をしつつ所要の態勢をとっていて、米陸軍もパトリオット部隊を韓国と沖縄に配備するとともにAN/TPY2レーダーにより北朝鮮ミサイル発射を監視しています。また、これに加えて、THAAD部隊が二〇一三年からグアムに、そして二〇一七年には韓国に配備をされ、監視が強化されています。  このIAMD構想には、敵の航空、ミサイル攻撃を未然に防止するための策源地攻撃作戦が含まれています。米国軍が対応するとしておりますが、特にこの攻撃作戦においては、同盟国の関与なく、米国の選ぶ時期と場所において、アット ザ タイム アンド プレース オブ イッツ チュージングと書いてあって、アメリカの選択によるというふうになっている。  したがって、日本が独自の敵基地攻撃能力を備えて独自の判断で策源地攻撃をするということを考えたときに、こことの考え方の整合性というものを考えたときに、実はそれをする余地はなくて、まさに矛の役割を米軍に任せるのが日米協力のあり方でこれまであったわけで、これは、国連が、ピース・ラビング・ピープルズ、平和愛好国から実際に国連軍をつくって、そして日本でどういうふうに活動していくのか。実際には、国連軍というのができたことは今まで歴史にないですから、アメリカがその代替として日本を守っているということで日米安保というのは成立しているのだと思いますし、憲法九条も、そういった関係から、日本が敵国から平和愛好国に入るために、そういった歴史があってできてきた経緯だと思うので。  そういった中において、あえて日本が独自の敵基地攻撃能力を持つという場合は、このアメリカのIAMD構想との関係がどうなるのかということはすごく心配になるので、そこのところをお聞かせ願いたいと思います。
  52. 河野太郎

    河野国務大臣 敵基地攻撃能力保有を前提とした仮定の質問にお答えするのは差し控えたいと思います。
  53. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 そうだと思います。  ただ、これは違うんですよ。今議論していかなきゃいけないのは、日本も、二〇一八年の改定の防衛計画大綱でこの構想の一部をもう取り入れているんです。日本が独自の敵基地攻撃能力保有するためには、このIAMD構想を日本も本格的に導入をして日米の一体化を進める以外に方法はないんです。なので、それは集団的自衛権の限りない行使に近づいていくことにほかならないので、現行の憲法では許されるはずもないんです。なので、この敵基地攻撃、多岐にわたっていろんな議論をしていかなければいけないです。これからやらせていただきたいと思いますが。  これから、例えば個別的自衛権の発動で日本が危ない状況にあって、これは否定するものでもない、そのケースが半分以上だと思っているんですが、そうでなかった場合、すなわち、アメリカがやることに対して、例えばグアムがやられた、イージス・アショア、先立って、どこへ向かっているかといえば、それはアメリカ基地の、直線なわけです。  そういった話で、アメリカの論文を見れば、日本がこのイージス・アショアを入れることによって、一千億円以上の、アメリカ基地を守るコストが削減されると書いている論文もあるわけです。そういったことを発表してきているわけですから、アメリカは。そういった中で、グアムがやられた、それについて一緒に行きますよとなるというとかなり危ない話になってくるので、この議論は本当に大事な議論だと思っていて、お話をさせていただいています。  これから、国家安全保障戦略の初改定が行われます。中期防とか防衛大綱の話がずっとありますが、これは最近、計画どおりじゃなくて、途中で変えるということがあります。例えば、二〇一七年のときには2プラス2をやりました。それでイージス・アショアというのが出てきました。それで変えていくということがあった。  ことしは、このNSSが二〇一三年にできて、この国家安全保障戦略があって、防衛大綱があって、そして中期防というのがある、こういうたてつけで、今までなかったものができているということで、その改定が今秋にもされるということになっていて、これは官房長官も積極的な議論をしていこうよということを言っております。  そこで、私が心配しているのは、これは、政府は今秋にも有識者による懇談会を設置をしてこのNSSの初改定に向けた議論を本格化させる、そして、この有識者懇談会の結論を受けて年末にもNSSを改定するというふうに言われています。三本柱だというふうに言われていますね。一つミサイル防衛、もう一つはポストコロナをどうするのか、経済安全保障をどうするかということをやっていく。このミサイル防衛では、恐らく、敵基地攻撃能力保有を明記することが主眼になっていくんじゃないかと考えているんです。  そういった中で、安倍政権の中で、安倍首相の意図が敵基地攻撃能力保有を明記することにあるかどうかということはわかりませんが、少なくとも六月十八日に突然それが出てきているわけです。もともとあった議論が出てきている。  実際にはそうなるかは別の問題ですから、確かに、防衛大臣の立場では今お考えになるのは難しいかもしれませんが、しかし、イージス・アショア断念したからといって、それにかわる抑止力として敵基地攻撃能力保有とするのは、すなわち、敵基地攻撃能力というのは懲罰的抑止力考え方の入り口に今立つものでありますから、これは自衛隊皆さんもいろいろと気にされていると思いますよ。懲罰的な抑止能力にこれから変わっていくと、作戦も変わっていくし、考え方も変わっていくわけです。  そういった中において、これは軍事論の世界の話になってくるんですけれども、この議論に直接かかわられるのが河野防衛大臣ですから、ステーツマンとして、失礼ですが、先輩なので申しわけありませんが、この期待を、大局的な判断をこれからしていっていただけると思っているんです。ですので、そのことについて御所見があればお伺いしたいと思います。
  54. 河野太郎

    河野国務大臣 国家安全保障戦略については、官房長官もしっかり議論しようということを会見でも発言をされておりますので、しっかり議論していくことになろうかと思います。
  55. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 その中で、間違った議論に行かないということが大事なので、お願いをさせていただきたいと思っています。  敵基地攻撃論でやはり一番怖いのは、例えば北朝鮮は、先ほどの委員もおっしゃっていましたが、何百発か日本に届くミサイルがある、千発というふうに書かれていることもあります。これが日本に向かってきたときに、もし、我々が報復攻撃だと思って、先制攻撃と理解されたときには、本当に全面戦争になるだけの覚悟があるかというだけの非常に重要な議論になります、これは。  もちろん、半島は、韓国は憲法上は北朝鮮も自分たちの領域ですから、領地ですから、いいですか、なので、こういったことを、攻撃するといったって、韓国がどう考えるかということも本当に具体的に話をして計画を決めていかなければいけないし、協力関係を築いていかなきゃいけないわけですから、ぜひこういった議論をこれからもこの委員会でさせていただきたいと思います。  ぜひ、変な方向に行かないようにしていただけるのが河野防衛大臣だと思っておりますので、これは本当にそう思っていますので、イージス・アショアをとめたこともありますので、そのことをお願いをし、最後、ちょっと意気込みというか一言いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。河野太郎防衛大臣だから、私が言ったらできるといってとまった、ゼロベースと言えば、ゼロと言った、その河野大臣にお願いします。
  56. 河野太郎

    河野国務大臣 防衛大臣として、国民の命並びに国民の平和な暮らし、そして日本領土、領海、領空を守る、これが仕事でございますので、しっかりできるようにやってまいりたいと思います。
  57. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 逸脱しないでやっていただくことをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  58. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、本多平直君。
  59. 本多平直

    ○本多委員 立憲民主党の本多平直です。会派の一員として質問をさせていただきます。  まず、私からもイージス・アショアの件、質問をしたいと思います。前回に引き続きでございます。  その前に、被災地で頑張られている自衛官の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  前回、私の質問大臣の撤回発表直後でございました。何らかの形で総括する必要があるというふうに御答弁をいただきました。本日も、与党公明党の浜地議員質問に、総括の必要があるという答弁をされております。  いつごろ、どのような形で、この経緯、きちんと御報告を我々国会にいただける、そのような雰囲気の話なんでしょうか、この総括というのは。
  60. 河野太郎

    河野国務大臣 当初、防衛省としては、ブースターの落下がむつみの演習場内に確実に落とせる、これはソフトウエアの変更でできる、そういう認識をしておりました。その後、日米協議を進める中で、ハードウエア改修までしなければ確実とは言えないということになりまして、地元皆様を始め多くの方々に多大な御迷惑をおかけをしたわけでございまして、そこは深く反省をしているところでございます。  私といたしましては、当初、どうしてそういう認識になったのか、また、その後、どういう協議の中でそれが変わっていったのか、このプロセスはきちんと確認をしなければならないというふうに思っておりまして、今その作業をしているところでございます。  その確認プロセスの中で、日米技術的な協議でございますので、文章はほぼ機密扱いになっているものでございます。確認した後、これをどのように御報告するか、御説明申し上げるか、そこは少し考えさせていただきたいというふうに思っておりますが、そこはまずしっかり確認をするということはお約束をしておりますので、そこはしっかりまずやりたいというふうに考えております。
  61. 本多平直

    ○本多委員 まず、なぜこれを急いできちんとやっていただきたいかというと、いろいろな理由があるんですが、今、この撤回の表明を受けて、急に代替策だ、あげくの果てには、その代替策の一つ敵基地攻撃論だと。何か、まさにイージス・アショア導入されたときの経緯も非常に不透明で、官邸主導で、外交のベールに包まれていてわからなかった。その中で、あれよあれよとなって、こういうことになっているんです。  ですから、同じことが直近の防衛政策、私は防衛省だけが悪いと思っていません、前から言っているとおり。国家安全保障局というようなものをつくって、防衛政策をまたいでやることになったのが果たして、本来はいいことを目指してやっていたんでしょうけれども、こういう決定を見ていると、本当によかったのか。官邸の介入がどのぐらいあったのか、こういうこともしっかり含めないと、次の意思決定を間違う。  この代替策、安易にイージス艦二隻とか、まして敵基地攻撃論とか、どこがどう代替なのか、私はよくわかりませんけれども、こういう議論を総理の思いつきでやられたら困ると思っているんです、安全保障の骨格を。  撤回という大きな議論の直後に急いで、百歩譲ってですよ、やるとしても、代替だから、穴があいていないと今河野大臣おっしゃいましたよね、別に、今でもイージス艦で必死にミサイル防衛に従事している自衛官はいるわけですよ。そういうことを、穴があいているというようなことを与党側から言って、イメージ操作をして早急にやるということが非常に問題なので、この経緯をしっかりと検討をして、報告をしていただきたいと思っているんです。  そこで、その検討が、どうもブースター問題に絞ろうと大臣はされているところがあるんですが、私は、やはり導入経緯、この辺から含めて、しっかりと総括、検証していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  62. 河野太郎

    河野国務大臣 北朝鮮弾道ミサイル発射し、それが日本の上空を飛び越えるということが、二〇一七年ですか、八月、九月にありました。いかにして北朝鮮弾道ミサイルから我が国を守るか、国民の平和な暮らしを守るか、そういう議論の中で、二〇一七年の十二月にイージス・アショアの配備というものを決めたわけでございまして、その配備のプロセスに何ら問題があったとは私は考えておりません。
  63. 本多平直

    ○本多委員 よく二〇一七と言われます、皆さん。二〇一七、北朝鮮ミサイル発射を繰り返していた時期、非常にこういう議論、あり得るかなという雰囲気があった。そのことは私も認めたいと思いますけれども、その中で、先ほど、例えば山本大臣アメリカに言われたから買ったんじゃないと。まあ、アメリカに言われたから買ったという答弁はできないと思うんですけれども、そういうことを言っていました。でも、ちょっと答弁が走っていて、アメリカに言われていないと言ったんですよ。そんな話はないでしょう。  これはやはり、アメリカは何らかの、首脳会談とかでトランプ、今の段階では言えないかもしれないですよ、ただ、私は、首脳会談のやりとりを言えと言っているんじゃないんですよ。ただ、河野大臣は知っておくべきだと思うんですよ、この経緯を。私たちに報告するかどうかは別として、機密情報に接せられる、首脳会談の議事録を見られる河野大臣は、知って、今後の対策をとっていただきたいんですが、いかがですか。
  64. 河野太郎

    河野国務大臣 私も外務大臣をやっておりましたし、首脳会談に何度も陪席をしております。日本として、我が国防衛に必要な装備品を導入しなければならぬということで行われた決定でございます。
  65. 本多平直

    ○本多委員 山本大臣の、アメリカ側からは何か提案や要求はなかった、アメリカ側から提案、要求があるのは当たり前なんですね。兵器を買ってほしいと思うのは、アメリカ政府。まして、トランプ大統領のようなタイプの方が、これもいいぞ、あれも買ってはどうだという話が出ても何の不思議もないので。  ただ、その経緯を、やはり、我々に全部言えるかどうかわからないですけれども大臣ぐらいは知った上で、今後の対応をしっかりと考えていただきたいと思います。  もう一つ。これは、私は防衛省の担当官から説明を聞いて一定納得をしているんですが、今、週刊誌の報道で、二つのレーダーを比べて、ロッキード・マーチンのものを導入を決めたと。  この問題についてはいろいろな疑念が出ているんですけれども、きちんとした報告日本企業の参入を最初はさせると言っていて、決定した後にだめになったとか、いろいろおかしな経緯があるんですね。  自民党の筆頭理事である長島先生も三度にわたって質問主意書を出して、このレーダー選定は本当に合理的なのかと。いろいろな心配があります。  きちんと、このことについても大臣は、自信を持ってこのレーダー選定には問題がなかったと言えますか。
  66. 河野太郎

    河野国務大臣 週刊文春の記事を指していらっしゃると思うんですけれども、私はあの記事には事実誤認があると思っておりまして、そもそも、レーダーというのはセンサーでございますから、弾道ミサイル発射を探索する、あるいは認知、追尾する、そういう能力がございます。それを受けて、どう迎撃ミサイルの軌道をとるか、迎撃するための軌道はどういうのがいいのかというのを計算する、そういう計算機、計算システムがあって、それが発射をさせるわけでございます。ですから、そもそもレーダーに射撃管制能力はないわけで、そこに大きな事実誤認があるというふうに思っております。  このレーダーを調達をするときに、日本の企業の部品というんでしょうか、日本の企業のものを組み込むという話があったというのは私も理解をしておりますが、それを組み込んだ場合に、スケジュールがおくれ、コストが上がる可能性があるということだったものですから、防衛省としてそれを断念したという経緯がございます。  さまざまな能力その他を比較をして、今回のレーダーの選定は私は妥当であったのではないかというふうに考えているところでございます。
  67. 本多平直

    ○本多委員 それでは、代替策の話をしたいと思います。  私は、実は、代替策というのが要らないと。つまり、イージス艦、ずっとイージス・アショアをやめろ、やめろと言っていて、じゃ、日本の安全はどうなるんだと当然言われるわけで、私は、八隻にすることで相当問題は解決するという主張をずっとしてきました。  防衛省は、やはり人繰りが大変なんだといって、二〇一七年、北朝鮮ミサイルを連続して発射をしていた当時、そして、まだそれは、今は七隻です、来年八隻になります、当時は六隻か五隻だったんだと思うんです。そのころ、あれだけのことをされて警戒態勢をとっていたら、本当にそれは大変だったと思うんです。非常に緊張を強いられ、長時間の海上勤務ということがあったと思うんです。  しかし、そのときの情報をもとに、ずっと、イージス・アショアを正当化するために、海上勤務が大変なんだという議論をしてきたんですが、来年八隻になります。そして、篠原議員から指摘があったとおり、ミサイルの性能も相当広範囲に伸びました。  この中で、本当に八隻体制が不完全だと言えますか。私は、この体制をもとに、本当に足りないかどうかを慎重に、安易に、やめたから二隻買うとかそういう話じゃなく、しっかりと、八隻でどうなんだろうと。東シナ海や南シナ海にも影響が出ないでミサイル防衛ができるんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがですか。
  68. 河野太郎

    河野国務大臣 どうも、最近の記事でイージス艦を二隻ふやすんだという話がございますが、それは、そういう案もあるよねということだと思います。  少なくとも今後五年程度は、イージス・アショアの配備を仮にしたとしても、イージス艦とPAC3で弾道ミサイル防衛をやるということでありましたが、今の自衛隊の、特に採用面を見ると、海上自衛隊、非常に採用が厳しいという現実はございます。  そういう中で、この体制をどう維持していくか。護衛艦の中にも、人手がかからない、要するに一隻の運用に必要な乗組員の数を大幅に減らす、そういう護衛艦を今後導入をしていく、そういうこともやっていくわけでございますから、海上自衛隊の人繰りが大変だというのは、現実として私も日々頭を悩ませているところでございます。  海上自衛隊イージス艦八隻体制で穴があいているかと言われれば、穴はあいておりません。しかし、人繰りを考えた場合、あるいは、イージス艦を例えば南西諸島に振り分ける、そういうことが、今の場合では、残念ながら非常にやりにくいということを考えた場合に、当時、イージス・アショア導入することによって、そこを楽にしよう、あるいはイージス艦をほかの目的にもきちんと運用できるようにしよう、そういう決定が行われたというのは妥当であったというふうに考えております。  私は、ブースターの問題がなければ、イージス・アショア導入すべく直前まで奔走していたわけでございますから、そこは必要であったというふうに考えておりますが、配備を断念するということになりましたので、この五年は、当初イージス艦で、PAC3でやるということでございましたが、その後をどうするんだということについては、なるべく早く議論を始めなければならないというふうに考えております。
  69. 本多平直

    ○本多委員 人繰りの問題、ずっと議論防衛省の方としてきたんですけれども、教えてもらえないんですよ。  例えば、Aさんという乗組員が何日間海に出て、何日後に休めて、それぐらい教えてくれよ、議論できないじゃないかと。二〇一八年に、ちゃんと八隻体制になったらどういうシフト表になるのか、これを秘密だとか何だとか言うんですけれども、そんなことは秘密でも何でもないじゃないですか、その人に聞けばそういう体制はわかるんですから。  そういうシフト表を、もちろん現実じゃなくてもいいですよ、何か概念図でいいですよ。二〇一七年、大変だったときはこんなに大変だったんですよ、だけれども、最近、例えば去年の同じAさんはどんなシフトで海に出て休暇がどうであってという、若干日付とかずらしてもいいですよ、そういうのを私に見せてもらえないですか。出してくれないんですよ。
  70. 河野太郎

    河野国務大臣 なかなか運用の手のうちを大っぴらにするということはできないわけでございますが、委員がおっしゃることもよくわかります。人繰りが苦しい苦しいと言っているだけで、中身がわからなきゃ議論できないだろうというのはそのとおりでございますので、ちょっと考えさせていただきたいと思います。
  71. 本多平直

    ○本多委員 ぜひお願いしたいと思います。  数年間、人繰りが苦しい苦しいと。多分それは二〇一七年の大変だったときのことなんです。概念図でいいですから、こういうふうなシフトで、八隻体制になる来年以降はこんな感じになる、一人の自衛官の方がこんな勤務になるんだということを私にぜひ見せていただきたいですし、最低限、大臣は見てから次の議論をしていただきたい。  何千億というお金がかかるイージス艦を、私はイージス・アショアよりイージス艦の方がいいということも申し上げてきましたけれども、安易に、やめたからイージス艦、これは、人繰り人繰りというだけでは、簡単に国会としてそんなに認めるわけにいかないと私は思っています。  もう一つ。ずっと私がイージス・アショア議論で、この委員会でも何度も申し上げてきました。弾というんですか、ミサイル本体というんですか、飛ばすやつですね、あれが、やはり積めるだけ今のイージス艦にも積んでいない。九十発ぐらい発射ができる、だけれども、飛行機相手のものや潜水艦相手のものも積む。しかし、五十発くらい積めるところに、今、わずか八しか積んでいない。  これは、言えない言えないと、手のうちをさらすから言えないと言っていますが、それは一発数十億するわけで、決してどんどんどんどん買えと言えるかどうかわかりません。  しかし、これだけ穴があいているだのイージス艦をふやせだの、あげくの果てには敵基地攻撃だと言っている自民党の皆さん、何で、マックス積めとは、予算の関係もありますよ、だけれども、せっかく船をつくって高いイージスシステムを買って、北朝鮮は、やる可能性は極めて低いけれども、やるとなったらたくさん撃ってきますよね。そのときに、なぜこの弾を買わないという議論がしっかり出てこないのか。  まさに、代替策がもしあるとしたら、私が認める代替策はそれだと思うんですけれども、この弾数問題、どうお考えですか、大臣
  72. 河野太郎

    河野国務大臣 誘導弾の総数あるいは搭載数、これは手のうちでございますから申し上げるわけにはいきませんが、誘導弾の数が重要だというのは全くそのとおりでございまして、麻生財務大臣にもそういう議論をしているところでございます。そこについては、来年度の概算要求、しっかりやってまいりたいと思っております。
  73. 本多平直

    ○本多委員 本当に自由民主党の皆さんにも申し上げたいんですけれども敵基地攻撃論の議論をする前にきちんと、高価なイージス艦を八隻にして、弾が八発。専門家によれば五十積めるところを八なんですよ。こういう、手のうちも何も、北朝鮮は知っているんですよ、そんなことは。それをきちんと要求をしていただきたいと思います、まず先に。これがまず最大の代替策だと私は思いますよ、前から。イージス・アショアをつくらなくてもいいと言ってきたのも、この一つの大きな話なので、すっ飛ばして、代替策という話を急ぐ場面では私はないと。しっかりやるべきことをまずやってくださいということをお願いしたいと思います。  さて、その代替策、いろいろ私はきちんと提案をしました。八隻でしっかりやれるのではないか。人繰りも見せてもらっていません、我々国会に。その中でずっと自由民主党さんは敵基地攻撃論というのを提案をし続けて、私が日本政府は立派だと思うのは、自民党という与党が提案をしてもずっとこれを蹴ってきていただきました。私は正しい判断だと思います。  つまり、敵基地攻撃論、憲法論はきょうしません、鳩山答弁をそのまま私も尊重する立場で話しますが、憲法論的には可能性があるかもしれませんが、政策論として、日本の国力からしたら、そして日本が想定する相手国、幾つかあります。この想定する相手国、北朝鮮だけではありません。こういうときに北朝鮮の何かミサイル発射基地というわかりやすい例えでこの論に踏み出すことは、政策的に私はやるべきではないと思っています。しかし、議論まではどうぞすればいいと思っているんですよ。自民党の皆さんも提案を一生懸命されているというのはわかっているんです。  ただ、今回、イージス・アショアの撤回と同時に突然、総理大臣が、いや、自分から言うならまた潔いんですが、読売新聞さんの記者に聞かせて、その答えの中で突然、敵基地攻撃論の話をし始めたんですね。これは論理的によくわからないんですよ。代替策をいろいろいろいろ、ほかのことをやった後にこの話が来るんだったらわかるんですけれども大臣、こういう経過になるということはどこかで御存じでしたか。やめるのはわかった、河野さんがそこまで言うなら、だけれどもかわりに敵基地攻撃論の議論はさせてもらうぞというような話があったんですか、総理と。
  74. 河野太郎

    河野国務大臣 イージス・アショアの配備を断念をする、それから、先ほどから答弁で申し上げておりますように、新しい空からの脅威というのがふえております。これは、いろいろな種類、多様性その他ございます。政府として、国を守るためにどうするのか、イージス・アショアの配備を断念してどうするのか、新たな空からの脅威にどう対応するのか、そういう議論をするのは当然のことだと思います。
  75. 本多平直

    ○本多委員 総理とそういうやりとり、敵基地攻撃論も含むという話はされていないんですか。
  76. 河野太郎

    河野国務大臣 イージス・アショアの配備を断念をし、今後どうするか。それは、まずあらゆる選択肢をテーブルの上にのせて議論するというのは、これは別に当然のことではないでしょうか。特に何をのせようとか何をのせないとかというよりも、まず全てのカードをテーブルの上に並べてみて、それぞれについてどうだという議論をするのは当然のことだと思います。
  77. 本多平直

    ○本多委員 わかりました。  では、経緯の話はここまでにして、時間がだんだんなくなっちゃったので、少しだけ議論させていただきたいと思うんですけれども敵基地攻撃を行うとしたら、例えばどんな兵器が、今、日本が、あるものもないものも含めて必要になりますか。
  78. 河野太郎

    河野国務大臣 一般論で申し上げますと、まず、先ほどどなたかがおっしゃっていましたけれどもミサイル発射というのは固定式から移動式に変わっておりますから、どこにミサイル発射基地があるのかというのをリアルタイムで把握をする。あるいは、地下から出てくるものも当然ございますから、そういうミサイルの位置を正確にどう把握するか。それから、防空用のレーダーとミサイル、これはセットなんだと思いますが、防空用のレーダーとミサイルがどこにどうあるのか。それから、それを当然に無力化しなければなりません。そうやって相手の国の制空権を一時的に確保した上で、そのミサイル発射装置あるいは地下の施設というものを攻撃をする、そして、その攻撃がどうだったかということをかなり正確に評価をし、次につなげる、こうした一連の能力というものが必要になってまいります。
  79. 本多平直

    ○本多委員 今我々は、例えば島嶼防衛だけでも非常に大変な力を注がなきゃいけないわけですよね。そこに新たにそれだけのものを、可能性がそれほど高くないものにこうしたコストをかけるというのは、私は、コストパフォーマンスの観点からいっても非常にもったいない。今アメリカがそれを担うと言っているものをわざわざ日本側から変えていくというのはもったいない。  自民党さんの提言はある意味で正直で、自民党は防衛費を二倍にすると言っているんですよ、GDP比二%と。それだけかければ、五兆円を十兆円にすれば、そういうものも買えるのかもしれません。  しかし、十兆円というのは、私は不可能な、今の日本の財政を見たら、防衛費は大体この範囲でやらざるを得ない、この中で敵基地攻撃論、そろえるのは、非常にコストパフォーマンスが悪い。  では、効果はあるのかということも議論させていただきたいんです。  実は、最近の本格的な戦争というのは湾岸戦争やイラク戦争までさかのぼらないとないので、これを例にしますが、世界最強のアメリカ軍が二度にわたってイラクと戦いました。このとき、当然、アメリカは別に憲法も気にせず敵基地攻撃をしたわけです。イラクが発射してくるスカッドミサイルをできるだけ少なくしようとして頑張ったんですけれども、きちんと効果的にスカッドミサイルが撃たれることをとめられましたか、二つの戦争において。
  80. 河野太郎

    河野国務大臣 例えば湾岸戦争ですか、イラクが持っているスカッドミサイルアメリカとして捜索し、これを破壊をする、そういう一連のオペレーションをやりました。しかし、幾つかこのスカッドミサイルがイスラエルに届いた、そういうこともあった。また、発射地点を特定をし、それを攻撃する、そういうオペレーションが行われた、そういうふうに承知をしております。
  81. 本多平直

    ○本多委員 私が調べたら、二〇〇五年、防衛研究所の研究員の方が論文を書いているんですよ、この二つの戦争における敵基地攻撃論がどういうふうに機能したか。  自民党の皆さんも、まあ、自民党はアショア撤回の前から敵基地攻撃論を言っているんだから、それは次の提言にも出てくるんでしょう、それで。しかし、僕は政府にはしっかり検討してもらわなきゃいけないと思うんです。  そのとき、河野大臣、この二つの戦争において、敵基地攻撃論があのアメリカでさえ完璧にはできなかったんですよ。そこを中途半端に、日本が今何かここで世間受けを狙ってつけ加えたところで、費用を一定、中途半端にかけたところで、効果あるものにならない。この二つの戦争におけるアメリカ軍の行動、イラクの、それでもかいくぐって、移動式のところから発射を続けていたんですよ、戦争の最後の方まで。この実情をきちんと調べてから敵基地攻撃論の議論に臨んでいただけますか。
  82. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほど全てのカードをテーブルにのせると申しましたが、これからの議論でございますので、何かその中の一枚を選んで議論しようとしているわけではございません。
  83. 本多平直

    ○本多委員 自民党はこれまでも提言してきたんだから、提言が出てくると思いますよ、総理も前向きなんだし。しかし、それをきちんと議論していただくために防衛大臣がいると思っているので、日本にとってこれが本当に最善の政策変更かどうかというのは、慎重にも慎重を。  それで、我々、議論の場を与えていただきたいですよ、こんな大事な政策変更をする際は。ぜひ、これは私は、きょうは入り口にしたいと思います。  さて、ちょっと一つ、全然関係ない、違う、ずっと正月から気になっていて、ほかに大事な話があるのでできなかったんですけれども、航空宇宙自衛隊に名前を変えると。そして、読売新聞一月五日報道によると、四万七千人の航空自衛隊の定員のうち、空自の任務は七割にして、残る三割は宇宙などにすると。本当に、こんなものを読んだら、航空自衛隊皆さんは怒っていると思いますよ。  この間つくった宇宙作戦隊のように、一定のデブリの監視とかそういう機能をやって、少し技術を高めていくということに私は反対していませんよ。ただ、本格的に、この歴史のある名前を変えてまでこんなことをやるという話は本当に進んでいるんですか。やめた方がいいと思うんですけれども、私。
  84. 河野太郎

    河野国務大臣 新聞に出ていること全てが真実というわけではございません。そのような方針を固めたということは全くございません。
  85. 本多平直

    ○本多委員 やめていただきたいと思うんですね、新聞が事実かどうかという話は別にして。  最低限、きちんと隊員の声を聞いてもらえませんか。募集は大変なわけですよね。私ははっきり言って格好悪いと思うんですよ。航空自衛隊の方が格好いいですよ。  一部の、ちょっとやる仕事を、全部否定しませんよ。しかし、そういう名前に変えて、私、隊員が喜ぶと余り想像できないんですけれども、総理は前のめった発言を去年されているんですね、一回。航空宇宙自衛隊への進化も夢物語ではないと。  これは、河野大臣、ちょっととめていただきたいし、百歩譲って、ちゃんと隊員の声を聞いていただけないですか。
  86. 河野太郎

    河野国務大臣 とめるも何も、スタートしておりません。
  87. 本多平直

    ○本多委員 では、ぜひスタートをさせないでいただきたいと思います。きちんと航空自衛隊のまま、航空自衛隊皆さんに頑張っていただきたいと思いますし、行政改革とコストカットを旨とする河野大臣が、こんなことで名刺の印刷とか看板のかけかえに何億円かかるのかわかりませんが、いろいろな観点から、私はやめた方がいい。  そもそも、もっと本質的に言うと、宇宙で軍拡をすることは、アメリカに乗っかって軍拡をしていくということは、決して日本の国益じゃないと私は思います。ロシア中国でさえアメリカの暴走をとめようとしているわけですから、ここに、しっかりと軍縮に、宇宙での軍拡をとめていく、そのことをやっていただきたいと思います。  以上です。
  88. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、屋良朝博君。
  89. 屋良朝博

    ○屋良委員 立国社の屋良朝博です。よろしくお願いいたします。  まず一言、このたび、豪雨でお亡くなりになるなど被害に遭われました全ての方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、現地で頑張っていらっしゃる防衛省方々には頑張っていただきたいというふうにお願いを申し上げさせていただきたいと思います。  イージス・アショアなんですけれども、やはり検証が必要であるということは、みんな認識一つにしていると思います。既に払った金額を含む契約額、千八百億円でしょうか、そのうち支払い義務が生じているもの、あるいは今後請求される可能性のあるもの、損失額、賠償金、幾らなのか、現時点でわかっていれば教えてください。
  90. 河野太郎

    河野国務大臣 平成二十九年度から令和二年度までにおける、イージス・アショアにおける既に契約した金額は約千七百八十七億円、既に支払った金額は約百九十六億円でございます。
  91. 屋良朝博

    ○屋良委員 賠償金とか損害とかという、そういった、今後、既に払った以上にこれから払うものがあるのか、それとも契約済み金額以上に何らか支払い義務が生じることがあるのか、その辺を教えてください。
  92. 河野太郎

    河野国務大臣 今後の日米間の協議によってくるというふうに考えております。
  93. 屋良朝博

    ○屋良委員 算定がまだ整っていないということなのかということを思いますけれども、それは恐らく、契約を途中でとめてしまった以上、それは無傷ではいられないかというふうなことは思いますけれども、今回のそうした損害、損失が生じた場合の責任を誰が負い、防衛省はそれに対してどのように対応するのか、そういったことを明確にしていただくということは大変重要だというふうに思っております。  先ほども浜地議員もおっしゃっていましたけれども地元が混乱していた。そして、ブースターについての住民説明は余りにも不誠実であったということは、大臣も、今後、どのような認識の変化があったのか、ブースターの落下地点についてですね、そういったことも明らかにすべきだというふうなお考えを示していただきましたけれども、これだけのことなので、私は、外部に検証委員会を設置して、国民に対する説明責任をしっかりと果たしていただく、そうすることによってまた新たな取組が生まれてくるものだというふうに思うんです。  防衛というのは、国民の信頼を失うと成り立たないものですよ。ずっとそうです。第三者委員会でしっかりと調査をするとか、クリアな形で、私たちにもわかるような形で検証するというふうな取組はいかがでしょう。大臣、よろしくお願いします。
  94. 河野太郎

    河野国務大臣 そのつもりはございません。
  95. 屋良朝博

    ○屋良委員 そうすると、最初は、あれは二〇一八年の十月のことだったと思いますけれどもブースターは陸上に落ちるかもしれない、だけれども、それは弾道ミサイルが落ちてくることによる被害と比べたら比較できないよという、たしか課長さんの発言に対して、地元の町長さんが怒った。翌日、施設内に落ちると。一晩明けると性能がこれだけ向上するのかといった、そんなこともこれまでの経緯の中であったわけです。これは、やはり私たちが、みんなが納得するような、そんな検証をすべきだと思います。  大臣、重ねてお伺いしますけれども、その説明の仕方、あるいは検証の仕方、今どういうふうな方針を持たれているのか。もしお考えがあるならお願いします。
  96. 河野太郎

    河野国務大臣 今、私の責任で確認をしているところでございます。
  97. 屋良朝博

    ○屋良委員 どうも防衛省、この展開というか、この経緯とかを見てみると、疑問が多く持たれているという御認識を、やはり防衛省皆さんが持っていただきたいというふうに思います。  レーダーについても、その選定過程においてはいろいろ議論があったわけですけれども、今回、配備を予定していたSPY7レーダーの配備計画についてちょっとお伺いします。  今後、契約をどうするのか。また、架空の議論かもしれませんけれどもイージス艦に搭載するといった話も聞こえてくるわけです。SPY7、今後どうするおつもりでしょうか。大臣、お願いします。
  98. 河野太郎

    河野国務大臣 NSCの議論も踏まえ、日米でしっかり協議していきたいと思います。
  99. 屋良朝博

    ○屋良委員 大事なことを決めるときにNSCが先に来てしまうということが、ここ最近、多く見られるわけです。例えば防衛大綱でも、ずっと防衛省が所管して、防衛省がリードしてきたんだけれども、突然、官邸がそれを最終決定をしてしまうというふうな、どうも防衛政策の中で防衛省が当事者じゃなくなったんじゃないか、そんな指摘もされておりますけれども、どうですか、NSCと防衛省との関係性において、その当事者であるのかというふうな疑問が持たれているということについて、大臣、御所見を伺えればお願いします。
  100. 河野太郎

    河野国務大臣 防衛については防衛省が責任を持ち、外交その他、政府一体として考えなければならないことについてNSCがコーディネートする、そういう体制に変わりはございません。
  101. 屋良朝博

    ○屋良委員 問題がどこでどのような形で検証されていくのかが、今のところ私たち、見えないわけです。  河野太郎大臣に一任するような形に今なっているというのが実は不思議で、そのような仕組みというのは本当にあってしかるべきなのかというのが、属人的な、人に任せるということなのか、それとも、一つの制度として、何か問題があったらそれを検証する仕組み、明らかにする仕組みがやはりあってしかるべきですよ。それをやらないでおくと、今のように、敵基地攻撃能力だのイージス艦にレーダーを搭載するだの、いろいろな、さまざまな声が聞こえてくる。  しかし、それはやはり問題があった。それをどのように検証して、どういうふうなプロセス説明し、明らかにし、次の失敗を繰り返さないような仕組みをつくっていくというふうな議論がやはり必要であると私は思っておりますが、日本はそんな議論をどうもどこかですっ飛ばしているような気がするんですね。  その最たるものが、ここから私の議論したい点なんですけれども、辺野古の埋立事業、これにどれだけの議論があったのか、そしてなぜこれが唯一の選択肢になったのかということがさっぱりわからない現状があります。工期が十二年、費用が約一兆円にも膨れ上がった辺野古の埋立事業こそ、私は中止すべきだと思います。  イージス・アショアのことが議論になって、ブースターの問題でとまることになったというこの外形的な事実というのは、なかなかそれだけですとんと落ちないんですよ。なぜそんな議論になったの、そもそもの見通しはどうだったのと。先ほど小熊筆頭理事もおっしゃっていましたけれども、それって防衛省の見立ての誤り、見立ての能力の欠如だったんじゃないかというふうな議論になってくるわけですね。  それは辺野古だって同じですよ。十二年、一兆円、これは本当に費用対効果としていいのかどうかです。事業の合理性が今も維持されているかどうか、検証する必要が私はあると思います。大臣の御所見をお伺いします。
  102. 河野太郎

    河野国務大臣 普天間飛行場の危険性の一日も早い除去というのは、これはもう沖縄の県民の皆さんと同じ方向を向いている。しっかりと移設をし、一日も早い普天間飛行場の返還を実現したいと思っております。
  103. 屋良朝博

    ○屋良委員 一日も早いという言葉と十二年という現実が余りにもミスマッチで、これを信じろと言われても、これは無理な話でございます。  抑止力を維持し続けるという議論についても、これから沖縄に残っていく兵力を見てみると、これは本当に抑止力たり得るか、実に疑問であるわけですね。  皆様に御提示させていただきました資料でございます。表と裏がありますけれども、右上に1と書いてある面には、海兵遠征隊の装備概要、そして主要な任務が書いてあります。  強襲揚陸艦三隻、これは長崎県の佐世保に配備されておって、沖縄にないんですね。だから、緊急展開するにしても、沖縄からでは出られない。しかも、オスプレイ十二機、F35戦闘機六機、CH53大型輸送ヘリ四機、AH1、攻撃ヘリ四機で、UH1、汎用ヘリが三機、そのぐらいのものですよ。それで運用されるのが約八百人の上陸大隊であるわけですね。  その裏面を見ていただきたいんですけれども、この遠征隊よりも一つギアアップした、一つ大きな遠征部隊、遠征旅団です。これは船が十五隻です。ないんですよ、日本に。  この遠征旅団がやる仕事はどういったものがあるかというと、地域で起きた局地的な紛争、小規模な紛争、それに対応するんですね。沖縄に残る海兵遠征隊は、紛争対応になっていないんです、紛争未満の事態に対応するような編成なんですね。  それをもって、日本防衛がとか、日米同盟がとか、抑止力という、そんな議論がこの場で行われている。実に不可解です。実におかしいと思う。ちゃんとした検証をやはり私はやるべきだと思います。  大臣、余りにも不合理な議論が沖縄の民意を顧みないような論理として使われていると私は思っているんですけれども、どうでしょう、大臣、もう一度お伺いしますけれども、こういった事実関係を、先ほどもおっしゃいました、全てテーブルの上にのっけてみて、今私たちが突き進もうとしている十二年、一兆円、それが本当に合理的なのかどうか、もう一度考え直す、あるいは考えてみる。考え直すとは言いません、少なくとも検証してみる、それをやってみようとはお思いにならないでしょうか。大臣、お願いします。
  104. 河野太郎

    河野国務大臣 しっかりと、この辺野古移設計画を進めてまいりたいと考えております。
  105. 屋良朝博

    ○屋良委員 いや、もうこれは一方的にしゃべるしかなくなってしまったんですけれども。  防衛省が言っている地理的優位性、この地理的優位性という言葉が防衛白書に出た。いつから出たかというと、一九九七年です。なぜかというと、一九九五年に少女暴行事件があった、だから、沖縄に過剰な負担を強いているということを政府として説明しないといけなくなった。だから、九七年から突然こんな言葉が出てきます。沖縄はアメリカ本国やハワイと比べて東アジアに近い、だから沖縄は地理的に優位なんだというふうな議論なんですね。  アメリカ本国とかハワイと比べて東アジアに近い。日本列島全て近いじゃないですか。なぜほかの県と比べないんですか。答弁お願いします。
  106. 河野太郎

    河野国務大臣 沖縄は、東アジアの各地域に近いと同時に、周辺諸国との間で軍事的緊張を高めない程度の一定の距離を置いています。また、南西諸島に位置し、特に沖縄本島は、南西諸島全体を包摂する範囲のほぼ中心部にあり、さらには我が国のシーレーンにも近いなど、安全保障上極めて重要な位置にあります。  南西諸島及びシーレーンの防衛を全うしつつ、東アジアの各地域の緊急事態に万全の体制を確保する見地からは、このような沖縄県の地理的特徴は他の都道府県では代替できるものではないと考えます。  例えば、海兵隊が九州や本州に駐留した場合、沖縄と比較して朝鮮半島に近くなる場合がある一方、台湾、東南アジアといった地域から遠ざかることとなると認識しております。  その上で、すぐれた機動性、即応性を有する海兵隊が、安全保障上極めて重要な位置にある沖縄を拠点として、そのプレゼンスを維持し、さらに、大規模作戦が必要となる場合には、来援する部隊の基盤となることによって、あらゆる事態に対して迅速かつ柔軟な対応が可能となる、このことが日米同盟の抑止力の中核となっています。
  107. 屋良朝博

    ○屋良委員 距離的な話を、今、朝鮮半島と台湾海峡でしょうかね、台湾海峡をおっしゃいましたか、朝鮮半島でしたかね。その距離、台湾海峡と朝鮮半島、防衛白書はその二つの距離をよく出されるんですけれども、これは三角形の二辺なんですよ。その二辺の和を比較してみると、福岡の方が小さいし、佐賀の方が小さいし、わかりますか、言っている意味。  台湾海峡から沖縄の距離というのは近いじゃないですか。しかし、沖縄から朝鮮半島というのは遠いですよね。九州の北の方というのは、朝鮮半島からは近いけれども、台湾海峡からは遠い。だから、これは二辺の和を比べてみたらすぐわかります。これはグーグルアースを使わなくたってすぐわかることなんですよ。  これは本当に、そうした具体的な、実態的な議論をしていない。メルカトル図法の地図を広げて見て、ああ、こっちがいいなと、そういう観念的な話で、印象論で私たち刷り込まれているんじゃないでしょうか。  海兵隊が沖縄からどこか本土に移転したにしても、沖縄には嘉手納基地が残ります。嘉手納基地と嘉手納弾薬庫の面積を二つ合わせてみると、今現在本土にある主要なアメリカ基地の面積を全部合計しても、沖縄の負担が大きいんです。そのぐらいの、安全保障上の責任を負うぐらい、与党は誰か言うべきですよ。  そんな負担を一方に押しつけて知らぬふりする。そして、政権が飛行訓練を佐賀に持っていこうとしたときに、佐賀の人たちが反対したからやめますと。佐賀の民意は尊重し、沖縄の民意は無視していいんですかという議論なんですよ。そういう実態論、具体論、もうそこに徹していこうじゃありませんか。  私たちが沖縄の海兵隊、この31MEUのためだけにあの辺野古を埋め立てる。あり得ないですよ。あそこは自然の宝庫、たくさんのサンゴ礁が生息している。今、防衛省は七万四千体のサンゴ礁を移転しようとしています。埋め立てるとこれが死んじゃうから、移転しないとだめなんだよ、それがサンゴ礁の保護なんだと言っておりますけれども、実は、サンゴ礁の移植というのは非常に難しいものだというのが、調べてみるとだんだんわかってきました。  防衛省の辺野古環境等監視委員会第十二回会合、平成三十年二月八日ですけれども、移植後三年後の生存率が四〇%以上を目指すべきであり、それが不可能であれば移植自体が避難措置として適切でないというふうな発言が、専門家の発言が議事録に残っております。  水産庁にお伺いしますけれども、平成二十六年から平成二十八年まで沖ノ鳥島で行ったサンゴ礁の移植実験で、移植後三年後の生存率は何%だったか教えてください。
  108. 山本竜太郎

    山本政府参考人 水産庁では、沖ノ鳥島を対象とし、有性生殖を活用してサンゴを増殖させる技術開発事業を行っております。  この事業において、平成二十六年から三年間にわたって沖ノ鳥島で成長したサンゴの種苗を天然の岩礁に移植を行った結果、その平均生残率は、移植後一年で四四%、移植後二年で三四%、移植後三年で一七%となっております。  なお、平成二十八年から平成二十九年の間に、海水が高温となり多くのサンゴが死滅したところであり、この影響を除外すると、平均生残率は、移植後一年で五八%、移植後二年で四六%となっております。
  109. 屋良朝博

    ○屋良委員 今、後半でおっしゃった数字は、無菌室で、高温にならないようなところ、ちゃんと守られたところで育てたら五五%とか何%とかになったということなんだけれども、天然でやったら一七%だったということですよね。それは、そういうことだと理解、まあいいです、一七%だったという数字をいただきましたので、それはそれでもう結構なんですけれども。  それはやはり、一般的に言ってそうなんですよ。二〇%を超えるということはなかなかない。沖縄県が一番多くサンゴの移植実験をやっているんですよ、この日本の中で。それでも移植の成功率はさほど高くない。ということは、緊急避難だから移植するよと言っているんだけれども、移植して死んでしまったら、全く緊急避難じゃなくて、これは自然破壊ですよ。それを伴うような、こういった自然破壊のコストもこの辺野古には含まれているということです。  だから、沖縄の民意のコスト、これを無視することの民主主義のコスト、そして、ちゃんと防衛議論しないことのはかり知れないコスト、自然破壊のコスト、さまざまなコストを考えた上で、なお、この31MEUを日本に駐留させないと本当に日本は生きていけないのかどうか、しっかりと議論すべきだと私は思います。  サンゴ礁というのは、やはり生命の揺りかごと言われているぐらい、私たち人類にとってとても大事なものですよ。それが、今、沿岸開発などで世界で六割のサンゴ礁が危機に瀕していると言われておりますし、これから更に激しくなるであろう地球温暖化、自然破壊、人為的な破壊によって、二〇五〇年までには実に世界の九五%のサンゴが死滅するというふうな予測も専門家の中から上がっているんですね。  そういったサンゴを破壊しないでも、今なら間に合う、今なら、海兵隊の機能をもう一回検証して、地理的優位性ばかりに寄り添う議論はもうやめて、嘉手納だけでも十分な負担なんですから、安全保障議論するのであれば、責任を持って、そうしたコストも含めて議論すべきだと私は思います。今ならまだ間に合うと思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  110. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほど答弁申し上げたとおりでございます。
  111. 屋良朝博

    ○屋良委員 サンゴが壊れることについては、大臣、どうでしょう。生存率はそれほど高くないんですよ。高くないんだけれども防衛省は、サンゴ礁を移せと、採捕許可を玉城デニー知事に申請している。沖縄県に申請している。沖縄県はちょっと保留にしているんですけれどもね。そうしたら、農水省が勧告だの指示だの出して、これは国が地方にやる物すごく強い権限ですよ。地方自治も無視したようなやり方ですよ。そういったことを強権的にやっているというのが今の政府じゃないですか。  具体的な議論はやらない、地理的優位性だの抑止力だの、先ほどイージス・アショアの話でも抑止力議論がありました。抑止力って、本当にこの31MEUでどれだけ維持されるのか。今ある多くの部隊がグアムやハワイやオーストラリアに行く。抑止力と兵力というのは無関係なんでしょうか。全くわからない議論がどんどんどんどん既成事実として積み重ねられて、どんどんどんどん沖縄の意思は、民意は無視されている。それが本当に先進国の防衛だと、大臣、胸を張っておっしゃることができるでしょうか。お願いします。
  112. 河野太郎

    河野国務大臣 胸を張って申し上げております。
  113. 屋良朝博

    ○屋良委員 それなら、この日本防衛というのは激しく病んでいますよ。  海兵隊が沖縄に来たのは一九五六年です。一九五六年といえば、朝鮮半島で有事があって、この地域が、北東アジアが物すごく緊張していた、その真っただ中に南へ下がったんですね。何でですか。地域の反対運動があったからですよ。五〇年代から六〇年代にかけて安保闘争があった。その安保闘争の中で基地に対する感情が激しくなっていく。政治的な判断なんですよ、政治的な打算です。そこに、地理的優位性も、抑止力議論も、恐らくなかったでしょう。あるはずがないです。  アメリカが決めて、アメリカが持ってきて、それで、少女暴行事件があって、慌てて防衛白書に沖縄の地理的優位性を書き込んだんです。それが実態であります。  これからも、沖縄の、辺野古の問題は恐らく、県内ではもちろん、私たちも、その合理性とか、本当にこれが必要なのかという議論をしていきますけれども、どうか大臣、その議論に真摯に向き合っていただきたい。そうじゃないと、日本防衛政策はおかしくなっていきます。  ブースターが落ちる地点が一晩にして確定できるような、そんな議論の中で、何を信じろとおっしゃるのか。それを説明していく責任は、私は政府にあると思います。それを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  114. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、赤嶺政賢君
  115. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。  イージス・アショアの配備断念と新たな安保戦略について質問をいたします。  政府は、六月二十四日の国家安全保障会議で、山口、秋田両県へのイージス・アショアの配備を断念することを決めました。ところが、それにかわる方策として、敵基地攻撃能力保有を含めた新たな安保戦略について、この夏、徹底的に議論し、実行に移すとしています。年内には国家安全保障戦略と防衛大綱、中期防の見直しを行う方針と伝えられております。  秋田県の地元紙、秋田魁新報は、六月二十七日付の社説でこのように書いています。  政府・自民党内では敵基地攻撃能力保有に前向きな声がある。しかし、代替策の議論よりも地上イージスをめぐる経緯をしっかりと検証し、責任の所在を明らかにするのが先ではないのか。反省すべき点を洗い出して今後の教訓にすることが、過ちを繰り返さないためには不可欠だ。本県と山口の住民や自治体を振り回し、巨額の予算を投じた末に二年半という時間を無駄にした政府の責任は極めて重い。政府はこの点にどう対応するかを明らかにすべきだ。  地元紙の新聞は、このように書いております。二年半もの間、この問題に翻弄されてきた地元の率直な思いがここにあらわれていると感じました。  政府が今やるべきことは、なぜ今回の事態が起こったのか、どこに問題があったのかをしっかりと検証し、責任の所在と再発防止策を、地元住民と自治体、納税者である国民の前に明らかにすることではありませんか。大臣はこの点をどのように認識しておられますか。
  116. 河野太郎

    河野国務大臣 繰り返し申し上げておりますように、ブースターの落下地点を、演習場の中に確実に落とせる、防衛省として当初そう認識をしておったのは事実でございます。それが、アメリカとの協議の中で、ソフトウエア改修のみならず、ハードウエア改修が必要になるということが明らかになり、このイージス・アショアの配備を断念するということに至りました。  私としては、なぜ、最初、ソフトウエア改修でこれができる、そう認識をしたか、そして、それが協議の中でどのように変遷をしたか、これはしっかり確認をしなければならないというふうに思っております。
  117. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 大臣検証していくというお立場なんですが、これまでの説明を聞いている限り、防衛省の対応のどこに問題があったか、同じ過ちを繰り返さないためにどうするのかというのは全く示されていないわけですね。大臣自身もこれからの検証だとおっしゃっていますから。  イラクの日報問題を始め、これまでの防衛省にかかわる不祥事では、事案発生の原因や再発防止策を報告書にまとめて公表するという対応をとってきました。今回の事案は、地元に与えた影響、財政支出の大きさからいっても、同様の対応が私は不可欠だと思います。  防衛省に対し、イージス・アショア配備計画の決定から断念に至る経緯検証、責任の所在と再発防止策を取りまとめた報告書、これは先ほどから小熊筆頭も理事会で述べ、質問でも要求しておられ、各委員も、与党の方からも、公明党の方からも同じような要望が出ておりましたが、そういうのをまとめて本委員会に提出するよう強く求めていきたいと思います。  委員長、よろしくお取り計らいお願いします。
  118. 西銘恒三郎

    西銘委員長 後刻、理事会で協議いたします。
  119. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 防衛大臣は、六月二十六日の記者会見で、新たな安保戦略の議論にかかわって、イージス・アショアにかわるオプションを、一つずつ長所、短所を含めて国民にわかりやすく情報を発信していく考えを示しております。  大臣の言うオプションとは、具体的にどういうものを想定しておるんですか。
  120. 河野太郎

    河野国務大臣 与党議論を受けとめながら、国家安全保障会議での議論を含め、しっかり議論していきたいと思います。
  121. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 そのオプションの中身について、大臣、示していく、説明していくというおつもりはないですか。
  122. 河野太郎

    河野国務大臣 今申し上げたとおり、まず、与党議論をしっかりと受けとめ、国家安全保障会議での議論をしながらしっかり進めてまいりたいと思っております。
  123. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 今の態度は大変不安をあおるような、先ほど本多議員も要求しておりましたが、そういう議論じゃないかと思います。  総理は、国会閉会後の記者会見で、敵基地攻撃能力保有について、当然この議論をしていくと明言しています。しかし、敵基地攻撃能力保有に踏み込むことは、政府がこの二年半、国会国民に対して行ってきた説明を根底から覆すものであります。  政府は、イージス・アショア導入を決めたのと同じ二〇一七年十二月に、自衛隊に長距離巡航ミサイル導入することを決めました。敵基地攻撃能力保有に踏み込むものではないかと国会で私たちも問うたわけですが、そのとき政府はどういう説明をしてきましたか。
  124. 槌道明宏

    槌道政府参考人 スタンドオフミサイルのことだと思いますけれども、これはあくまでも脅威圏外から隊員が安全に対応する、そのための装備ということでございます。
  125. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 脅威の圏外から対処する装備と。  その長射程の巡航ミサイル導入敵基地攻撃能力保有に踏み込むものではないかという疑念の声は、当時、野党はもちろん、与党の中からも上がっておりました。これに対して政府は、隊員の安全を確保するためだ、このような説明をしてきました。  にもかかわらず、敵基地攻撃能力論に踏み込むということは、一体これまでの説明は何だったのか、うその説明をしていたのではないかということになりますが、その点、いかがですか。
  126. 槌道明宏

    槌道政府参考人 まず、スタンドオフミサイルにつきましては、今御説明したように、我が国を攻撃する相手に対して自衛隊員の安全を確保しつつ我が国防衛を全うするため、このために不可欠な装備ということで導入したものでございます。この点については全く誤りのないところであると考えております。
  127. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 説明は変えないということですけれども。  それでは、政府は、「いずも」型護衛艦改修しF35Bステルス戦闘機の離発着を可能にすると決めたときにも、広い太平洋でトラブルが発生した戦闘機が緊急着陸できるようにする、隊員の安全を確保するためだと説明しました。この説明も覆して、「いずも」から飛び立つF35Bが他国への爆撃に参加することを可能にするということになっていくんですか。それも今後、敵基地攻撃能力議論の対象にしていくんですか。
  128. 槌道明宏

    槌道政府参考人 まず、委員敵基地攻撃能力政府保有することを決めたということを前提にお尋ねかもしれませんが、そういうわけではございませんので、まずそのことを申し上げておきたいと思います。  STOVL機を搭載する「いずも」の改修についてでございますが、これは、広大な空域を有する一方で飛行場が少ない太平洋側を始めとして、空における対処能力を強化する、そのために必要なものとして導入するものでございます。
  129. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 あなたが敵基地攻撃能力を前提にした議論とかなんとかということを答弁で言うべきじゃないですよ。何ですか。首相が言っているんでしょう、こういうのも議論していきたいということを前のめりに。この首相が言っていることを否定するんですか。  その首相の議論に即して言えば、F35Bステルス戦闘機あるいは護衛艦「いずも」、そういうのも、それからスタンドオフミサイル敵基地攻撃能力にかかわってくるのではないか、このように聞いているんです。大臣、いかがですか、その点。
  130. 河野太郎

    河野国務大臣 敵基地攻撃能力保有すると決めているわけではございませんので、そうした前提の御質問にはお答えを差し控えます。
  131. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 今までの説明は、絶対に敵基地攻撃能力にならないんだという、隊員の安全を守るためだという説明が、今後、敵基地攻撃能力議論と重なった場合にどんな進み方になっていくかというのは、みんな不安と懸念を持っております。  今の答弁だと、これまでの経緯はまるでなかったかのように、敵基地攻撃能力という言葉が政府の側から出てくること自体があり得ない話ですよ。国会国民に対する説明を安倍政権がどれほど軽々しく扱っているかを象徴的に示すものであります。一片の閣議決定で集団的自衛権行使を容認したのに続いて、憲法九条をなきものにする危険な動きは、私たちは断じて容認できるものではありません。  朝鮮半島をめぐっては、二〇一八年に歴史的な米朝首脳会談が行われ、朝鮮半島の非核化と恒久的な平和体制の構築に合意をしました。戦後の東アジアの対立構造そのものを転換し、日本安全保障環境を一変させる可能性を持った合意であります。今問われているのは、現在の膠着状態を脱して、そして合意の実現に向けた交渉をどう前進させるのか、そのために日本政府は何ができるのかという点だと思います。  きょうは若宮外務副大臣になっておりますが、我々は外務大臣出席を求めたわけですが、現時点で、二〇一八年の米朝合意、これをどのように評価しているのか、今後どのように取り組んでいくのか、この点を伺いたいと思います。
  132. 若宮健嗣

    ○若宮副大臣 お答えさせていただきたいと思います。  今委員が御指摘になりました二〇一八年六月の歴史的な米朝首脳会談、トランプ大統領と金正恩委員長が朝鮮半島の非核化に合意をいたしました。そして、共同声明に署名をした意義、これは非常に大きいものだというふうに思っております。  重要なことは、やはり米朝首脳共同声明にありますとおり、朝鮮半島の完全な非核化に向けた北朝鮮のコミットメントを含みます両首脳の合意が完全かつ迅速に履行されることであろう、このように考えております。  米国との間では、これまでも、日米首脳会談あるいは外相会談を含めまして、さまざまな機会を捉えて北朝鮮の問題については意見交換を行ってございます。完全な非核化の実現に向けまして、日米で緊密に連携をしていくことを確認をしているところでもございます。私どもといたしましては、引き続き米朝プロセスを後押ししていく考えでございます。  今後とも、日米日米韓で緊密に連携をいたしまして、中国ロシアを始めとする国際社会とも協調しながら、北朝鮮の完全な、そして検証可能な、かつ不可逆的な方法での全ての大量兵器、大量核兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄の実現に向けて、関連します国連安保理決議の完全な履行も含めまして、北朝鮮の完全な非核化を目指してまいる、このような決意でございます。
  133. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 米朝プロセスを後押ししていく、大事な答弁だと思いますよ。  ところが、今政府がやっているのは、F35ステルス戦闘機や長距離巡航ミサイル導入、「いずも」の空母化に加えて、米中ロが開発競争にしのぎを削る長射程の高速滑空弾、これを日本導入しようと研究に着手しているわけですね。アメリカはINFから離脱したもとで、米軍の中距離ミサイル日本配備も取り沙汰されております。際限のない軍拡競争に陥ってはならない、このように思います。  先ほどの秋田魁新報の社説は、こう結んでいます。防衛政策とは、防衛装備のあり方を論じることに尽きるものではない。外交、通商なども含む多様な政策の中に位置づけられてこそ意味がある。そうした大局に立った多角的な議論が欠かせない。日本を取り巻く緊張関係を緩和し、武力行使を未然に防ぐ外交努力が何よりも重要だ。このように結んでおります。  私は、本当にこの指摘のとおりだと思います。日本政府がやるべきことは、東アジアに平和的な環境をつくるための外交努力であって、軍事力強化に突き進むことではありません。敵基地攻撃能力保有に向けた議論、これは直ちに中止すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。  それから次に、辺野古の問題です。  まず、辺野古側の土砂投入の現状について確認をしますが、埋立申請願書の添付図書では、辺野古側の埋立てに使用する土砂の総量を三百十九万立米としております。辺野古側の土砂投入については複数の契約に分けて進めてきていますが、これまでに契約しているのは、二〇二二年三月末を期限に、全体で百五十二万立米までだと聞いております。  改めて、これまでに契約した辺野古側の土砂投入の総量と工期、その時点での進捗率を示していただけますか。
  134. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 現在、キャンプ・シュワブ南側の海域におきまして進めている辺野古側でございますけれども、埋立工事の契約土量は約百五十三万立方メートルというふうになってございます。  また、御指摘がございました工事でございますが、シュワブの令和元年度埋立追加工事、一工区から三工区までの、これの履行期限は二〇二二年、令和四年の三月三十一日というふうになってございます。  埋立工事全体の進捗につきましては、護岸の構築、埋立て等のさまざまな工事が含まれ、施工時期についてもそれぞれ異なることから、これを一くくりにして全体の進捗率をお示しすることは困難でございますけれども、この埋立追加工事が完了した時点での埋立土量は、埋立承認願書に記載されているキャンプ・シュワブ南側の海域への埋立土量、御指摘がございました三百十九万立方メートルに対して約五割ということになってございます。
  135. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 約五割。しかし、さっき百五十二万立米と言っておりましたから、私の計算では五割に届かず四七・六%ですが、そういう状況であるわけですね。二〇二二年三月末までの話です。  これまで防衛省は、埋立区域ごとに所要の高さまでの進捗率を示してきています。この所要の高さというのは、その時点の契約で求めている高さまでの進捗率、これを示したものという理解でいいわけですね。  具体的に言うと、最終的には海面から最大で十メートルの高さまで埋立てを行う必要がありますが、現在進行中の工事契約では三メートル、最大で四メートルまでとなっています。この最大四メートルまでの埋立てに対する進捗率と理解していいわけですね。
  136. 辰己昌良

    辰己政府参考人 お答えします。  現在進めている工事につきましては、三・一メーターまでの工事でございます。これについて、我々、二の一の方では約九割、それから二については約三割ということを申し上げております。  三・一メーターから四メーターにつきましては、今後着手する予定にしておりまして、これについてまだ進捗を示しておりません。
  137. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 埋立申請願書の工程表では、辺野古側の埋立ては半年余り、六カ月と十日で完了する計画でありました。ところが、現実には、二〇一八年十二月に埋立土砂の投入を開始してから二〇二二年三月までの三年四カ月を経た時点でも、全体の、私の計算で四七・五%、皆さんの計算で五割と言っておりましたが、半分ですね、皆さんの立場で言っても、進捗率が。  それは六カ月と十日で終わると言っていたんですよ、始めたのが二〇一八年十二月ですから。軟弱地盤が確認されていない辺野古側で、何でこれほどのおくれが生じているんですか。
  138. 辰己昌良

    辰己政府参考人 二十五年十二月にいただいた埋立承認当時と現在の辺野古側の埋立ての工事のやり方が違っておりまして、一概に比較することはできないと思っております。
  139. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 いや、一概に比較することはできないというよりも、おくれた理由を聞いているんですよ。
  140. 辰己昌良

    辰己政府参考人 繰り返しになりますが、二十五年当時は、先に大浦湾から埋立てを開始して辺野古側というような工程でございました。したがって、現在は辺野古側の方からやっておりますので、埋立ての順序も違っておりますので、それを一概に比較することはできないと申し上げております。
  141. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 辺野古側から先にやろうと大浦湾から先にやろうと、辺野古の埋立ては六カ月と十日で終わるという工程表が申請書にはなっているんですよ。それが、工事のやり方が変わるわけがないじゃないですか。  軟弱地盤が確認されていない辺野古側でも、当初の計画から大きなおくれが生じています。仮に今のペースでいくと、辺野古側の埋立てだけで、全体で七年の期間を要する計算になります。当初の計画が六カ月と十日ですから、十三倍の期間を要することになります。  政府は、設計変更申請の承認を得た時点から数えて九年三カ月で埋立てが完了すると説明していますが、これだけでは到底終わらないと思います。今後の工事は計画どおりに進むという……
  142. 西銘恒三郎

    西銘委員長 赤嶺委員、まとめてください。
  143. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 何か今までと違う具体的な根拠があるんですか。
  144. 辰己昌良

    辰己政府参考人 まず、辺野古側について、今、着実に埋立工事を進めているところでございます。また、今後の、九年三カ月につきましては、これは技術検討会において合理的に十分可能だということで評価をいただいた上で我々は示しておりますので、この計画に基づいて工事を進めることが可能だと考えております。
  145. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 私たちは、その技術検討会も疑っているんですよ。  終わります。
  146. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、串田誠一君。
  147. 串田誠一

    ○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。  今、この豪雨災害で救助に当たられている自衛隊方々には大変感謝を申し上げたいと思います。  国家安全保障会議においても、新型コロナ対策も入っておりますし、救助に対してコロナ対策をもあわせながら行っているということをお聞きしておりまして、前回そういう質問もさせていただいたわけですが、そういう意味で、一問だけ新型コロナ関係質問をさせていただきたいと思うんです。  現在、感染者もまた三桁、ここ東京で続いている中で、この調査の内容として、日本人と在留外国人の感染割合あるいは重篤化の割合等の調査というのは行われているんでしょうか。
  148. 吉永和生

    吉永政府参考人 お答え申し上げます。  新型コロナ感染症につきましては、日本に在留する方につきまして、どのような形で感染しているかということ、例えば、年齢でありますとか、重症者であるかというような形のものについては集計等をしてございますが、国籍別の集計というものはいたしていないところでございます。
  149. 串田誠一

    ○串田委員 これから第二波ということもあるんですけれども日本人が感染が非常に低いということで、ミラクルというようなことも言われているんですが、それが果たして日本人の何らかの特質性なのか、あるいは、日本国内の新型コロナウイルス、これは毎日、変異がなされているわけですから、この違いなのかというのは、例えば、日本の場合に、在留外国人は今二百八十万人、東京だけでも五十七万人ぐらい、新宿区では一二%が在留外国人、この在留外国人も恐らく感染しているだろうと思うんですが、国内の日本人と在留外国人の感染割合というものを調べて、確かに日本人の感染割合は低いねというのであれば、これは日本人が何か特殊性があるのか。そうじゃなくて、在留外国人も同じように日本人と同じ感染率であるなら、これは、日本人の特性というよりも、今、国内である新型コロナウイルスの、何か欧米とは違った特異性があるのかもしれないという意味で、ファクターXの一つの手がかりになるのではないかと私は思いますので。ぜひ、調べてはいるけれども統計的にとっていないということですが、こういったようなことを統計的に出して、山中教授等研究されている方に提案をされれば、ファクターXがよりわかりやすくなるのではないかと思いますので、提案をさせていただきたいと思います。  次に、イージス・アショアの件についてお聞きをしたいと思うんですが、大臣冒頭、現在、極超音速ミサイルがあると。これは低滑空するということで、なおかつ、蛇行していくんですね。アバンガルドというのが代表的に言われていて、マッハ二十七。イージス・アショアはマッハ十三ということでありますので、このアバンガルドを開発しているロシアは迎撃は絶対にされないというようなことで言っているわけでございます。  そうなりますと、イージス・アショアブースターの件で取りやめということになったとしても、このような極超音速ミサイルに対する何らかの抑止力を備えるためには、イージス・アショアだけでは足りないのではないかというようなことも考えられ得るわけですけれども、そういう意味では、イージス・アショアブースターの件で中止にならなかったとしても、別の形での抑止力というものを検討しなければならなかったのだろうかというふうに思うんですが、この点についてはどのようなお考えだったんでしょうか。
  150. 槌道明宏

    槌道政府参考人 今御指摘のありましたような極超音速兵器、マッハ五以上で飛ぶもの、特にその中でも、滑空をする、あるいは巡航ミサイルである、そうしたもの、新しい経空脅威が出現しつつある中で、弾道ミサイルだけではなくて多数の複合的な経空脅威にも同時対処しなければならない、そういう総合ミサイル防空能力を強化すること、その課題というのはあるということでございます。  そうした将来的な経空脅威に備えるためにも、ミサイル防衛のあり方についてしっかりと議論を行っていく必要があるというふうに考えております。
  151. 串田誠一

    ○串田委員 本当に必要もないのであれば、わざわざ貴重な税金を使って行うことはないんでしょうけれども、二〇一七年のときには、北朝鮮ミサイル日本上空を通過していったわけですね。そのときには、五回目ということでありまして、私もちょっと覚えているんですが、アラームが鳴ったときには、国民が大変怖がって建物に避難する、あるいは地下鉄の階段をおりていくというような形で大変怖い思いをしたというのが報道をされたわけであります。そういうような状況を何とかしようということで迎撃ミサイル等の配備というものが充実化されていったんだと思うわけでございますので、そういう意味では、もともと、そういう発射をさせないというような抑止力というものがこれは本来必要なんだろう。  二〇一七年のときには、落下しないという蓋然性が高いので迎撃しなかったということでありますけれども、意図しない形でミサイルが落下する可能性もあるわけですし、とにかく、発射をさせるということ自体が行われないようにするというのは、私は国民が一番願っていることだと思うんです。  そういう意味で、迎撃をするということではなくて発射をさせないという抑止力、これに関して一番効果的な方法というのは、政府としてはどのようなことを考えているんでしょうか。
  152. 槌道明宏

    槌道政府参考人 まず、イージス・アショア導入の当時の話でございますけれども、このイージス・アショア導入の当時、頻繁に我が国上空を越える、あるいは我が国近くまで撃つ、そういったミサイル発射されておりました。そうしたことから、我が国全土を二十四時間三百六十五日、常時、持続的に守らなきゃならない、こういう議論があったわけでございます。その場合には、イージス艦八隻体制にはなりますけれども、それでもなかなか厳しいのではないかということがあり、イージス・アショアを配備する。あわせまして、ロフテッド軌道であったりとか、あるいは複数のミサイルが撃たれる飽和攻撃、北朝鮮はそうしたロフテッド軌道の撃ち方もしておりましたし、また、飽和攻撃、多数のミサイル保有しております。それにどう対応するかというところも課題でございました。  依然として、北朝鮮はノドン、スカッドを始め、我が国を射程におさめるミサイルについては、先ほど御指摘のあったような新型のミサイルというよりは、通常、もともとの弾道ミサイル、こういったものを保有しておるわけでございまして、こうしたものに対処する必要性というのは変わっていないんだというふうに考えます。  したがいまして、こうしたミサイルできちんと撃ち落とすということによる拒否的抑止、これはこれで必要な話であろうというふうに考えているものでございます。(発言する者あり)
  153. 西銘恒三郎

    西銘委員長 質疑中、御静粛にお願いします。
  154. 串田誠一

    ○串田委員 迎撃というのも一つの大きな抑止力ですけれども、撃たせないという意味では、敵基地反撃能力というものを備えるというのも、これは議論としては私はあっていいのかなというふうには思っているんです。  ただ、迎撃というのが非常に困難であるのと同時に、今度、敵基地反撃能力を備えるということは、どの段階で反撃をしていいのかという、先ほどちょっと、静止している状況が非常に攻撃しやすいという話でしたが、静止しているということはまだ発射していない状況で反撃をするわけでございますので、この見きわめというのが非常に難しいことになるのかと思うんですけれども、国際法上、実行の着手というのは今どのように考えられているでしょうか。
  155. 槌道明宏

    槌道政府参考人 今、国際法上というお尋ねがございましたが、まず憲法との関係から御説明させていただきたいんですけれども、いわゆる敵基地攻撃についてであります。これは、憲法との関係については、政府としては、あくまで一般論ではございますけれども、誘導弾による攻撃が行われた場合、このような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度措置をとること、例えば、誘導弾等による攻撃を防御するのに他の手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理的には自衛範囲に含まれ、可能と考えている、このように説明してきているものでございます。  一方で、武力攻撃の発生した後に、発生した場合に我々は自衛権を行使するわけでございますけれども、その発生の時期につきまして、他国から我が国に対して武力攻撃に着手したとき、このように説明をしてございます。これについては、かつてより、例えば一例として、弾道ミサイルへの燃料注入云々といった説明をしているところではございますが、あくまで一例でございますので、その発生の時期については、その時点国際情勢相手方の明示された意図や攻撃の手段、態様等、そうした個別具体的な状況に即して判断する必要があるものというふうに考えております。  武力攻撃の発生を前提として自衛権を行使する、こうした考え方については国際法上も変わりはないものというふうに考えております。
  156. 串田誠一

    ○串田委員 そういう総合的な判断も含めまして、何か行おうとするのであれば、例えば日本の上空を通過させる、あるいは日本の方に向かって発射させるような状況をした場合には、場合によっては攻撃をされるんだというようなことがまさに抑止力になっていくのかと思いますので、そこの部分の今の説明という部分でも、あながち具体性に欠けているとは私は思わないんですが、そういう意味での十分な議論、今、国民としても、先ほどから政府敵基地攻撃ではなくて反撃という言葉になっているわけですけれども、私は、まさにそういう意味で、英語で言うと今まではアタックだったのがカウンターアタックということで、カウンターアタックだったら、攻撃をされたから反撃するしかなかったということで世界的にも理解しやすくなるのかなとは思っているわけでありまして、とにかく、やろうとすることに対して初めて何かをするんだ、こちらから先制的に何かをするわけではないんだということを、もう少し国民に明確に表明されていくということが必要だと思います。  最後に大臣に、こういうイージス・アショアが中止になったことによる抑止力低下というのは現実に起きているということは素直に認めなければならないですし、二〇一七年、あのころ上空を通過されたときの国民の恐怖感というのを忘れてはいけないんだろうというふうに思いますので、今後の展望をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  157. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、空からの脅威というのが複雑化多様化する中で我が国領土をしっかり守っていく、防衛省としてもその責任は果たさなければならぬと思っております。現行の憲法のもと、しっかりと検討してまいりたいと考えております。
  158. 串田誠一

    ○串田委員 国民にわかりやすい説明を続けながら、防衛に尽力していただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  159. 西銘恒三郎

    西銘委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時一分散会