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2019-11-12 第200回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和元年十一月十二日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月十一日     辞任         補欠選任      宮崎 雅夫君     猪口 邦子君  十一月十二日     辞任         補欠選任      猪口 邦子君     宮崎 雅夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         江島  潔君     理 事                 高野光二郎君                 堂故  茂君                 舞立 昇治君                 徳永 エリ君                 宮沢 由佳君     委 員                 岩井 茂樹君                 野村 哲郎君                 藤木 眞也君                 宮崎 雅夫君                 山田 修路君                 山田 俊男君                 石垣のりこ君                 打越さく良君                 郡司  彰君                 森 ゆうこ君                 河野 義博君                 塩田 博昭君                 谷合 正明君                 石井 苗子君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   江藤  拓君    副大臣        農林水産大臣  加藤 寛治君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       藤木 眞也君    事務局側        常任委員会専門        員        大川 昭隆君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       大角  亨君        外務省中南米局        長        吉田 朋之君        財務省主計局次        長        角田  隆君        農林水産省大臣        官房総括審議官  浅川 京子君        農林水産省大臣        官房総括審議官  光吉  一君        農林水産省大臣        官房政策立案総        括審議官     岩濱 洋海君        農林水産省消費        ・安全局長    新井ゆたか君        農林水産省食料        産業局長     塩川 白良君        農林水産省生産        局長       水田 正和君        農林水産省経営        局長       横山  紳君        農林水産省農村        振興局長     牧元 幸司君        農林水産省政策        統括官      天羽  隆君        林野庁長官    本郷 浩二君        水産庁長官    山口 英彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (日米貿易協定に関する件)  (台風等による農林水産関係被害への対策に関  する件)  (家畜伝染病対策に関する件)  (収入保険及び農業共済に関する件)  (米政策に関する件)  (林業振興施策に関する件) ○農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 江島潔

    委員長江島潔君) ただいまから農林水産委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、宮崎雅夫君が委員辞任され、その補欠として猪口邦子君が選任をされました。  また、本日、猪口邦子君が委員辞任され、その補欠として宮崎雅夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 江島潔

    委員長江島潔君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官大角亨君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 江島潔

    委員長江島潔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 江島潔

    委員長江島潔君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 宮崎雅夫

    宮崎雅夫君 自由民主党の宮崎雅夫でございます。  先週の委員会で初めて質問をさせていただきましたけれども、先週に引き続いて二回目の質問機会をいただきまして、ありがとうございます。  先週の委員会では、私も含めまして多くの委員皆様方台風十九号を始めとした災害対応について質疑をされたわけでございますけれども、委員会後、政府一連災害に対する対策パッケージが取りまとめられ、発表されました。その中には、収穫後倉庫に保管されていた米が浸水により被害を受けた農家皆さんへの支援策を始め、現地のニーズを踏まえた追加対策がしっかり含まれておりましたし、私も質問の中で訴えさせていただきましたけれども、対策周知につきまして、昨日、宮城県を皮切りに、福島県、千葉県で現地説明会を開催をされるというふうに承知をしております。今日は台風十九号が上陸をして丸一か月ということでございます。このように、被災した皆さんに寄り添った対応を引き続きお願いをしたいというふうに思っております。  さて、先月八日に日米貿易協定署名をされたわけでございます。農林水産品に係る日本側関税につきましてはTPPの範囲内となり、特に米の関税削減、撤廃の除外を獲得するなど、日本農業をしっかり守る内容になったというふうに思っております。これまで粘り強く交渉された関係者の御尽力に敬意を表したいというふうに思っております。  しかしながら、農林漁業者を始め関係者皆さんは不安や懸念を持っておられるのも事実でございます。それを払拭をするためには、今日一時半からという予定のようでございますけれども、九州地区での説明会が開かれているようでございますけれども、関係者にその内容十分理解をしていただくということと併せて、農林水産業生産基盤強化ということが非常に重要でございます。  八日に総理から編成の指示がございました今年度の補正予算での必要な予算確保を含め、しっかりとした国内対策実施する必要があるというふうに考えます。  農業生産基盤強化には、土地改良事業による圃場の大区画化汎用化は欠かすことのできないものでございます。北海道で土地改良事業ででき上がった七ヘクタール近くある圃場を見ましたときには、私も三十年土地改良に携わっておりますけれども、もうその大きさがちょっとぴんとこないぐらい非常に大きいと、そういう広さでございました。そこで営農をされております方に聞きますと、でき上がる前は大き過ぎるかなというふうに思われたそうでございますけれども、やはり実際に使ってみるとその効率が全然違うということでございまして、まだ広くてもいいぐらいだというようにおっしゃっておりました。  また、スマート農業実現によりまして生産効率の飛躍的な向上も見込まれるわけでございます。スマート農業推進も含め、競争力強化に向けて土地改良による基盤整備を強力に進めていくことが必要だというふうに考えております。  そこで、競争力強化に向けたこれまでの取組成果でございますとか、今後の基盤整備をどのように進めていかれるのか、お伺いをいたします。
  7. 牧元幸司

    政府参考人牧元幸司君) お答えを申し上げます。  この農業農村基盤整備事業によりますTPP対策についてでございますが、平成二十七年度補正予算から始めまして、この農業体質強化を図るために、米の生産コスト低減あるいは高収益作物中心営農体系への転換といった成果目標を設定をいたしまして、先進的な取組が行われる地区を対象にいたしまして、委員から御指摘ございましたような農地の更なる大区画化汎用化、また、水田畑地化畑地樹園の高機能化などの基盤整備支援をしているところでございます。  本対策によりまして平成三十年度までに事業が完了し営農を開始した地区について見てみますと、米の生産コストは平均いたしまして六四%削減をされまして、六十キログラム当たり九千三百八十六円に低減をし、また、作物生産額に占める高収益作物の割合は平均して九二%となるなど、成果目標を達成して事業経過が発現しているものと承知をしております。  引き続きまして農地の大区画化による自動走行農機等を活用したスマート農業推進いたしますとともに、農地汎用化等による高収益作物導入、また、農地中間管理機構連携した基盤整備による担い手への農地集積集約等を図ることによりまして農業体質強化に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  8. 宮崎雅夫

    宮崎雅夫君 ありがとうございます。  局長答弁をいただきましたように、もう生産コストが相当減っていると。それだけではなくて、担い手への農地集積でございますとか高収益作物導入にも大きな成果が出ているということでございますので、しっかりこれからも進めていただきたいというふうに思っておりますし、江藤大臣加藤大臣、そして藤木政務官も、昨日、土地改良関係者の熱い思いというものを肌で感じ取っていただいたというふうに思っております。是非推進に向けて御尽力をお願いしたいというふうに思います。  農業だけではなく、林業、そして水産業体質強化を図っていかなければなりません。そのためには林業改革水産改革をしっかり進めていかなければなりませんけれども、これは、幾らすばらしい改革でも、それが現場でしっかり実践をされることが大変重要なことでございます。  戦後、大変な努力によって造成をされました一千万ヘクタールの人工林が本格的な利用期を迎えまして、林業成長産業化森林資源の適切な管理を図っていくことが重要でございます。森林経営管理制度でございますとか森林環境税創設など、新たな政策が次々に実施をされております。この実現に当たりましては、その実施を担う林業従事者をこれまで以上にいかに確保していくかということが大きなポイントであるというふうに思います。緑の雇用などによりまして林業従事者が若返り傾向にあるなど、成果が出ておりますけれども、林業従事者減少傾向というふうになっておりますし、山村の高齢化過疎化の進展を踏まえれば、まだまだ厳しい状況であるというふうに思います。  そこで、強い林業実現などに向けまして林業従事者をどのように確保していくのか、所得向上や労働安全の確保も含めまして、見解をお伺いをいたします。
  9. 加藤寛治

    ○副大臣加藤寛治君) 宮崎委員の御質問お答えをいたします。  林業従事者確保をするためには、林業従事者所得向上や労働安全の確保など、就業環境改善を図ることが最も重要であると考えておるところでございます。  このため、農林水産省では、林業従事者所得向上を図る観点から、まず、林業成長産業化による林業経営体収入の増大を図らなければならないと思いますし、そしてまた、一年を通じた複数の林業作業の習得を支援をする緑の雇用事業による通年雇用化促進等に取り組んでおるところでございます。  そしてまた、労働安全の確保を図る観点から、まず一つには、高性能林業機械導入作業無人化に向けた機械の開発も進めていかなければならないと思いますし、そしてまた、安全な職場を確保するための現場巡回指導安全教育等支援にも取り組んでおるところでございます。  さらに、本年九月から譲与が始まった森林環境譲与税の使途に担い手確保も位置付けられておるところでございます。市町村等において地域の実情に応じた取組を行ってもらいたいと考えておるところでございます。  今後とも、これらの施策を通じて林業従事者所得向上労働災害の防止を始めとした就業環境改善に努めて、林業従事者確保、育成を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  10. 宮崎雅夫

    宮崎雅夫君 副大臣、ありがとうございます。それぞれ御答弁をいただきました施策につきまして、しっかり着実に進めていただきたいというふうに思います。  水産でございますけれども、昨年、漁業法改正をされまして、今後、水産業成長産業化と適切な資源管理という改革が進められていくわけでございますけれども、改正漁業法実施に向けまして政省令改正でございますとか必要なガイドライン整備を進めていくことになるわけでございますけれども、これまで改正漁業法趣旨でございますとか基本的な枠組みにつきましては、水産庁でございますとか関係団体協力によりまして漁業者皆さん理解も進んできているというふうに思いますけれども、これからが水産改革現場での実施に向けて非常に大切な時期になってまいります。具体的な制度実施に当たっては、やはり浜の漁業者皆さんと十分に話合いを行っていただいて理解を得ることが大変重要なことでございます。  そこで、今後の水産改革制度運用に向けまして、現場への周知でございますとか意見の吸い上げも含めて、具体的な進め方についてお伺いをいたします。
  11. 加藤寛治

    ○副大臣加藤寛治君) お答えいたします。  水産改革につきましては、現場漁業を営む漁業者理解を得ながら進めていくことが必要不可欠であると認識をいたしておるところでございます。このため、農林水産省としては、これまで浜単位を含めた説明会に約二百回対応するなど、漁業者に対しまして丁寧に説明をしてまいったところでございます。  例えば、平成三十年十一月、漁業法閣議決定以降の実績といたしまして、改正漁業法趣旨について水産庁ブロック説明会を開催したほか、都道府県漁協等の求めに応じまして、都道府県団体漁協単位説明会対応を行ってまいったところでございます。その結果、改革の目的が浜で頑張る漁業者皆様をしっかりと後押しをして全国の浜を元気にするものであるとの趣旨が伝わりまして、安心をしたという声も数多く聞いておるところでございます。  今後、関係する政省令のほか、制度運用に関するガイドラインを定めていくことによりまして、漁業団体とも連携をしながら丁寧に対応してまいる所存でございます。
  12. 宮崎雅夫

    宮崎雅夫君 副大臣からお話をいただきましたように、是非丁寧に進めていただければというふうに思います。  そして、強い林業水産業をつくっていくためには、森林整備関係予算でございますとか、漁協、漁場の主要な予算確保が必要であるということも申し上げておきたいというふうに思います。一連災害に対する対応同様、是非関係者に寄り添った対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。  私、全国皆さんからいろんな、農家皆さんからいろんな御意見をお伺いをするわけでございますけれども、御意見の中では、強い農業競争力強化に向けた御意見だけではなくて、過疎化高齢化が進む中で、競争力強化の反対の側面となる地域農業でございますとか農村自体、これをいかに守っていくかということについてたくさんの御意見をお伺いをしているわけでございます。  江藤大臣は、棚田地域振興法の成立に大変御尽力をされたわけでございます。私も、これまで多くの棚田にお伺いをする機会がございまして、それぞれの棚田すばらしさということを感じておりますけれども、特に私の心に残っておりますのが大臣の御地元である宮崎県の高千穂棚田でございます。大変急峻な地形にもかかわらず、本当に手入れが行き届いた棚田を初めて見ましたときには、もう素直に感動いたしました。さすがに世界農業遺産だなというふうに思ったところでございます。  産業政策は大変重要でございますけれども、同時に地域政策も大変重要でございます。二つの政策をバランスよく組み合わせて進めていくことが大変重要だというふうに考えております。特に、条件不利などで農村を守っていくというために必要な地域政策への期待がこれまで以上に高まっているというふうに痛感をしておりますし、また、日米貿易協定署名をされまして、更にその期待が高まっているんじゃないかというふうに思うわけでございます。  農政基本となります食料農業農村基本計画の五年に一度の見直しに着手をされまして、今後本格的に検討が進められるわけでございますけれども、地域政策への期待を踏まえまして、基本計画策定に向けて地域政策についてのお考えについて大臣にお伺いをいたします。
  13. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) まさに地域政策、これが問われているというふうに思っております。日本の美しい伝統とか文化とか、日本人が失ってはならないものが地域にはたくさん残っております。農政の枠を超えて、日本国民の財産としてやはり地域を守っていかなきゃならないということを国民共通認識として持っていただきたいというふうに思っております。  食料農業農村基本計画、この計画は、策定に向けて今議論を始めておりますが、これはもうまさに農政のまさに背骨となるべきものでありますから、これを見たときに、決して産業政策に偏っていないと、やはり地域、それから九八%の農地家族経営によって成り立っているんだという現状も踏まえた農政方向性を示しているんだという内容にしなきゃならないというふうに思っています。  畜産クラスター産地パワーアップも、それから中間管理機構集積要件についても、中山間地域については要件緩和を行いましたけれども、これで十分だとは思っておりません。ですから、これから地域に人が残り、また移住してくれる、またデュアルライフというこれまた生き方もありますので、いろんな形で地域が守られるような基本計画策定に向けて努力をしていきたいと考えております。
  14. 宮崎雅夫

    宮崎雅夫君 大臣是非よろしくお願い申し上げます。  先ほど高千穂棚田すばらしさということについてお話をいたしましたけれども、それは五百キロにも及ぶ山際の水路がちゃんと維持管理をされて、必要なときに必要なかんがい用水、これが供給をされているからだということも併せて申し上げておきたいというふうに思います。  それを支えておりますのが土地改良区でございますし、地域皆さんにも御協力をいただいているわけでございます。土地改良区は、地域農業を支えるというだけではなくて、地域自身も支えていると私は思っております。組合員数減少でございますとか、やはり高齢化などの課題が深刻になってきておりまして、体質強化を、体制の強化を図っていく必要が早急にございます。  その方法の私一つは、基幹的な施設維持管理を行う土地改良区とそれから多面的機能支払活動組織など地域団体との連携を深めることだというふうに思います。昨年の土地改良法改正では、施設管理准組合員制度創設をされたところでございます。  そこで、施設管理准組合員制度導入状況でございますとか、今後、土地改良区と活動組織連携推進についてお伺いをいたします。
  15. 牧元幸司

    政府参考人牧元幸司君) お答え申し上げます。  御指摘いただきましたように、土地改良法改正によりまして新たに設けられた施設管理准組合員制度でございますけれども、導入状況につきましては、本年四月の施行から九月末までの六か月間で全国の三十土地改良区で導入されているというふうに承知をしております。  また、御指摘いただきました土地改良区と多面的機能支払活動組織との連携、これは大変重要だというふうに私ども考えているところでございまして、都道府県土地改良団体とも連携をいたしまして、地区内で多面的機能支払活動組織が活動している土地改良区に対しまして、施設管理准組合員制度を活用した活動組織との連携を働きかけることでありますとか、あるいは連携優良事例を取りまとめて周知するといったような取組について積極的に進めてまいりたいと考えております。
  16. 宮崎雅夫

    宮崎雅夫君 ありがとうございます。是非、積極的に連携について進めていただきたいというふうに思います。  時間もございますので、条件不利地域担い手確保について御質問させていただく予定でございましたけれども、またの機会がございましたらやらせていただきたいというふうに思います。  最後の質問でございますけれども、日米貿易協定、これで米はしっかり守っていただいたというふうに思っておりますけれども、米政策改革をやはり着実に実行していかないといけないというふうに思うわけでございます。  それには、やはり需要減少しております主食用米から作付け転換が比較的容易な飼料用米生産拡大を図っていくことが引き続き重要でございまして、食料自給率向上を図る観点畜産業経営安定化、そして水田として保たれることでの防災・減災観点から重要だというふうに考えております。  そのためには、水田の直接支払交付金飼料米への支援につきまして、現在の単価でしっかり支援をしていくべきだというふうに考えますけれども、一方で、それに批判的な御意見もございます。現場では不安を持っておられる方もいらっしゃるわけでございます。  そこで、水田フル活用のための今後の飼料米への支援につきまして、見解をお伺いをいたします。
  17. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) 水田活用の直接支払交付金についての御質問をいただきました。  主食用米需要が毎年減少する中におきまして、水田フル活用による食料自給率自給力向上を図るためには、水田活用の直接支払交付金による支援を安定的に実施していく必要があるというふうに考えております。  農林水産省といたしましては、今後とも、農業者方々飼料用米のほか、園芸作物、麦、大豆など主食用米以外の作物への生産に引き続き安心して取り組むことができるよう、必要な予算をしっかり確保していきたいと考えております。
  18. 江島潔

    委員長江島潔君) 時間が来ております。
  19. 宮崎雅夫

    宮崎雅夫君 はい。  しっかりと、これから本格的になりますので取り組んでいただきたいと思います。  質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  20. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 立憲・国民.新緑風会・社民会派石垣のりこと申します。  さきの参議院選挙で初めて議席を頂戴しまして、本日が初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、何よりもまず初めに申し上げたいのが、八月から十月にかけまして相次ぎました台風や豪雨によって亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げます。  また、今日で台風十九号の上陸からちょうど一か月でございます。いまだに避難所での生活を余儀なくされている方々を始め、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。  さらに、日々現場で復旧に携わっていらっしゃる行政関係者皆様工事関係者皆様、また全国各地からボランティアで参加してくださっている皆様にも心から感謝を申し上げます。  さて、この後の質問でも触れますが、台風十九号の発災直後、私は地元宮城県の被災地を自分の足で回りました。そこから改めて見えてきたことは、今回の風水害被害政府が見せた対応の遅さです。  その一方で、主に予算委員会で今展開されています桜を見る会問題、事実が明らかになればなるほど、この内閣の下品さ、下劣さにはあきれるばかりでございます。一国の首相が何とりんしょくなことをなさるんでしょうか。  この場でそうした憤りや疑義を問いただしたいところではございますが、ここは農政を議論する場でございます。そして、何より私は、アグリファースト、第一次産業こそ国の基本だということを訴えてこの議席を頂戴いたしましたので、この場では農政に集中して質疑をさせていただきます。  私は、消費税と農政に真剣です。真剣であるがゆえに、今日の質問も極めて細かい、かつ地味な話になろうかとは思います。この委員会内容を中継などで御覧になっている皆様の中には、石垣が切った張ったの質問をするだろうと期待をされている方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、そうした期待とは裏腹に、極めて静かなものになるであろうことを最初に申し上げておきます。  さて、さきの台風十九号の被害状況について、発災直後に地元宮城を視察に行ったという話は今いたしましたけれども、避難所となりました集会所、また役場もある町内中心部が広範囲にわたって浸水しました。また、集落への交通が寸断して支援がなかなか行き届かなかった丸森町、お隣角田市、さらには、吉田川を始めとした河川の氾濫などで被害を受けました大郷町、大和町、富谷市、大崎市は特に鹿島台地区。鹿島台においては、一九八六年八・五水害でも甚大な被害を受けた場所でございます。  それぞれ稲作が盛んな地域でございますが、救済措置について心配の声が上がっていたのは稲わら問題でございます。ぬれて泥まみれになって使えなくなった稲わら、大量に発生いたしました。稲わら、皆さんは御存じかとは思いますけれども、家畜の餌であるとか田んぼの肥料、また敷きわらなど、様々な用途がございます。稲作の副産物ではございますが、農作業には欠かせない材料です。  そこで、江藤大臣にお伺いいたします。稲わらについてなんですが、そもそも稲わらの統計というのは取っているんでしょうか。
  21. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 稲わらのみの統計というのはございません。
  22. 江島潔

    委員長江島潔君) 挙手をしてお願いします。石垣のりこ君。
  23. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 統計は全く取っていらっしゃらないんでしょうか。これだけ農作業に重要なものであるにもかかわらず、まして、今回被害を受けて、これは処理に関しても多大な費用も掛かる。さらには、牛の餌となるわらとしての供給も不足する。にもかかわらず、稲わらの生産量、全く把握されていないというのはいかがなものかと思いますが。
  24. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 稲わらについては、刈取りの形が様々ございます。コンバインで使えば、切り刻んでしまってそのまま圃場にまいて、基本的にすき込んで土壌改良に使うというやり方もございますし、敷料に使う場合もありますし、畜産農家にとって粗飼料として利用される場合もございます。  先ほどは全く統計がないと。いわゆる統計局で取っている統計はございませんが、聞き取りによって、各都道府県に対して聞き取りによって積み上げられた数字は六百五十万トンという、六百五十万トンという聞き取りの調査結果があるそうですが。
  25. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 ありがとうございます。  しかし、実際に稲わらの被害は出ております。この被害の想定として、実際に被害、把握されているものというのはございますか、稲わらの被害に関してです。
  26. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) これは広域に流れ出しておりまして、そして、例えば私のところの圃場から出た稲わらであるのか、藤木君のところから出たものであるのか、なかなか分からないということがあります。  私も丸森も行かせていただきましたし、いろんなところ行かせていただきましたけれども、水の流れによって、せき止められたところに集中的に堆積していたり、道の際で堆積していたりというふうになっておりますので、その数量については今懸命に集めておりますけど、これについては立米当たり幾らという支援策農林水産省で取りまとめはいたしましたが、その総量に対しては予算が不足しないようにしっかり対応いたしますので、余り御心配要らないと思います。
  27. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 心配は要らないというお言葉をいただきましたので、そのように対応していただきたいと切に願います。(発言する者あり)はい、そうですね。  見えない被害にどうしてもなりがちということで、今後、その稲わらの活用に関しても、まずは総量を把握していただくなりしていただいて、こういう被害災害も続いておりますので、是非迅速な救済措置をとることができるように御対応いただければと思います。  よろしいですか、続きまして、収穫後の米の補償についてお伺いします。  今回の水害で、収穫後、倉庫に保管されている米の被害、どのぐらい発生していますでしょうか、江藤大臣伺います。
  28. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) 収穫後、保管していたお米が水に流された若しくは水につかってぬれたという事例が今回の被災地で発生しておるのは承知をしておるところでございます。現在、農林省で各県、市町村に聞き取り調査をしておりますが、まだ正確な数字がつかめておりません。
  29. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 これは最終的にいつぐらいに把握できる予定でしょうか。
  30. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) できるだけ早く把握したいと考えております。
  31. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 まだ総額は把握されていないということですが、その補償についてはどのようにお考えですか。
  32. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 総量を把握することも、委員、大変大事だと思います。しかし、量の大小にかかわらず、しっかりとした金額をお示しをして、集めていた玄米に対して補償しなきゃいけない場合もありますし、地域担い手となる、地域の中心的な稲作農家の場合は、周辺の稲作農家の土地の分を全部自分で一括して引き受けて、その分が自分の家の倉庫に積んである場合もございます。そういったものについても、更に言うと、もう水害が出て国からの支援策が出る前にもう既に廃棄して捨ててしまったと、現物はないというのもあります。ですから、それの数量も把握するのはなかなか手間が掛かります、現物がないわけですから。しかし、それもちゃんと把握をさせていただいて、きちっとした七万円と単価を示させていただいて、常総並みに出させていただいて、量の大小にかかわらずしっかりと支援させていただくということでございます。
  33. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 さきに発表されました被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージの中に、今の浸水した米の被害の補償は組み込まれていますでしょうか。
  34. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) 保管していたお米が浸水被害を受けた農家営農再開に向けましては、土づくり、種苗等の資材の準備等として、四年前の常総と同じ水準の十アール当たり七万円を支援するという対策を行うこととしております。パッケージの中にも入ってございます。
  35. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 御説明いただいているものは被災農家営農再開緊急対策事業であると思われますけれども、保管していた倉庫などが浸水し、米が出荷できなかった農家営農を再開するために行う取組に対する経費を支援とございます。その対象となり得る取組は、土づくり、土壌診断、種苗等資材の準備、ごみ、瓦れきの除去等とございまして、十アール当たり七万円が上限となっております。こちらの事業のことでよろしかったでしょうか。
  36. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) そのとおりでございます。
  37. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 この中には、浸水した米そのものの被災に対する補償というのは書き込まれていないと思うのですが、いかがでしょうか。
  38. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) 浸水したお米そのものに対する補償は含まれておりません。
  39. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) しっかりパッケージを読んでいただいて感謝を申し上げます。  本当であれば、その米に対して直で出す方が分かりやすいと私も思いますよ。しかし、共済の関係とか収入保険関係とかナラシの関係とか様々ございます、様々。不公平感のないようにしっかり対応してほしいというのは、被災された都道府県知事それから市町村の方々からのもう共通した御意見でございます。  ですから、若干分かりづらいやり方をしているなと思われるかもしれません。思われるかもしれませんが、農家方々がどれだけの金額を十アール当たり受け取るかというところが実は一番のポイントであって、我々は工夫に工夫を重ねてこういうメニューにさせていただいたということでありますので、初当選されてしっかり読まれて、あれ、ちょっと分かりづらいなと思う気持ちは分かりますが、なかなかその理屈を付けて財務当局に納得させるのが大変なんですよ、もう正直言いますけど。知恵を絞った結果、これを何とか実現させたということでございます。
  40. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 御苦労をお察しいたします。  十アール当たり七万円上限ということになっておりますけれども、結局これは来年度の作付けに関しての補償ということで、実際に今この段階で収入となる収穫されたお米を現金に換えるためのものがないというところでの資金のブランクができることになります。  かなりの御苦労をされた上での御対応かとは思いますけれども、十アール当たり七万円ですと、今の相対取引価格の米価からすると大体半分ぐらいの補償になるかと思いますし、マックスで七万円で、実際農家の方にお伺いしますと、七万円の上限まではいろいろかき集めても、十アール当たり、これは至らないだろうということで、かなり、半分ぐらいの補償では少ないというようなお声も聞かれましたので、浸水したお米に関しても、是非農家の方が今後の作付けに不安を覚えないような対策をしっかりと講じていただければと思います。  さらに、よろしいでしょうか、これまでの台風被害に対して国が補償策として考えている内容を見ますと、どうしても気象状況、気象条件としまして、九月に集中する台風、今、今年何年か、ここ何年かは十月になってもまだ台風がやってくるような異常気象とも言われていますけれども、そのような収穫前のお米に対する補償のみならず、収穫後のお米に対して何らかのやっぱり被害があったときに補償していくということを考えていかなければ、実情に合っていないものに近年なっているというふうにこの数年の稲農家被害状況を見ても思いますので、是非ともその辺の御対応を御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
  41. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 足らざるところについては検討を重ねてまいりたいと思いますが、米政策は非常に長い歴史がございまして、これについては、共済もあったり、ナラシがあったり、今度は収入保険の対象になったり、いろんなことがございますので、やはり政策については現場方々にまずは知っていただいて利用していただくということがなければないのと同じですから、そういった周知も含めてしっかりやらせていただきたいと思います。
  42. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 農家皆様営農に未来を、希望を持てるような政策ということで、しっかりとお願い申し上げたいと思います。  さあ、続きまして、日米貿易協定について伺います。  基本的立場を申し上げますと、当然のことながら、我が党も私自身もですが、今回の日米貿易協定、日米FTAには反対でございます。当たり前ですね。こんな、売国的条約と言っても過言ではないかと思いますが、このような条約を是認するわけにはいかない。  しかし、与党の皆さんは、政府が勝手に結んできたであろうこの条約を何の批判もなしに数の力で押し通されるんだとは思うんですけれども、であれば、私としては、この条約で発生するであろう悪影響を最小限にとどめる措置を講じる必要があるわけです。  今回の日米貿易協定、この委員会で議論すべき分野でいいますと、主にアメリカの農林水産物を大量に、たくさん買いましょうという話になるかと思います。当然、国内の農家を始め、農林水産業従事者にとっては大打撃になることが容易に推測できます。  一方で、FTAなんだから、逆に言えば、日本農林水産物をアメリカに買ってもらうチャンスというふうに捉えることもできるのではないでしょうか。いや、逆にチャンスにしなければ日本は踏んだり蹴ったりになってしまう、そのように考えます。  そこで、江藤大臣伺います。日米貿易協定が我が国の一次産業に与える影響についてですが、日米貿易協定が動き出しましたら、アメリカからの農林水産物の輸入、金額として定量的に、最終的にはどれだけ増大すると想定していらっしゃいますか。
  43. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 影響については、例えば牛肉については、最終年度、十五年度です、十五年後ですけれども、九%まで下がることを想定して影響試算の数字は出してございますが、これは極めて機械的なものを出しておりますので、なかなかそのまま現実にこれは起こるということとイコールではまずありません。  かつても影響試算、たくさん出してまいりました。これまでの経済連携協定の流れの中で一兆三千億弱のTPP関連対策TPP等関連対策をかなり打ってまいりました。その結果、例えば北海道なんかでいっても、酪農業については上向きになってまいりました。そして、生産量も増えてまいっております。酪農、都府県はちょっと特殊な事情があって若干弱っておりますけれども、これは後継者問題等があって、ちょっと事情がまた違うと思います。  ですから、いつの時点でどれだけのものが入ってくるか、これは商取引の世界ですから、これはもう正直言って分かりません。全く入ってこないかもしれない、もしかしたらですよ。それはもう可能性の世界ですから、将来の可能性を、ここで私が予見的にこれだけの量、これだけの金額が入ってきますということを言うのは多分不可能だと思います。  SGも張らしていただいたので、二十四・二というSGですから、それを当然意識して輸入業者は輸入をされると思います。それを超える寸前では、もう一か月待てばまた低い関税で買えるんだからもう一か月待とうというブレーキが確実に掛かると思うんですよ。しかし、その判断をするのは私じゃなくて、商社であったり、いわゆる輸入をする主体の方々の商取引上の判断ですから、これをしっかりとした数字で答えることは難しいと思います。
  44. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 想定の話というのは、もちろん未来のことなのでどんなことでも想定の話になり得るとは思います。しかしながら、現状、予算を組んでいく上で、想定の数字を出さないことには話にならないわけですよね。  その上で、改めて聞きますけれども、最終的に日米貿易協定が動き出したら、輸入量どれだけ増えるというふうに試算していらっしゃるんでしょうか。
  45. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 繰り返しの答弁になって恐縮ですけれども、例えば日本と11との話が動き出しております。TPP11はもう既に非常に低い関税での輸入が始まっております。  じゃ、11が発効したら、がんと11からの輸入量が日本に増えてきたかという話になると、まだ四月から十月までの数字しかありませんが、過去三年間の伸び率からすると二%逆に落ちています。落ちているんですよ、関税が下がったにもかかわらず。  ですから、これを想像するのは非常に難しい。だけれども、将来定量的に下がっていくことは間違いないし、先ほど委員がおっしゃったように、FTAなんだからというところはちょっと私はイレーズさせていただきますけれども、日本も攻めていかなきゃなりませんので、例えば十四万九千トンしか日本の和牛は生産しておりません。六万五千五トン、アメリカに対しては出せるわけでありますから、その輸出環境に対応した国内の生産基盤を更に強化するということは大変重要な課題だと考えております。
  46. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 想定したものがないということでございますけれども、想定がないことには、何度も申し上げますけれども、予算を組むことはできないのではないかと。これは紛れもない事実でございまして、内閣官房作成の資料をお渡ししておりますけれども、こういうものも作っていらっしゃるわけですよね。十月二十九日にこれは公表されております。  たとえ農産物の輸入拡大金額、現時点で分からなかったとしても、政府政府支出をGDP内訳で〇・一%上がると想定していらっしゃいますよね。これ、GDP公式、YイコールCプラスIプラスGプラスNXのところのGの政府支出でございますが、この〇・一%というのは政府がどれくらい支出するのかという数字でございます。  政府内部でどれくらいの金額を日米貿易協定対策として予算支出するか、これ検討していなければ、こんなグラフ、資料なんか出せるわけはないと思うんですけれども、既に固い数字を、固い数字というか、今の時点で試算として数字をしっかりと持っていらっしゃるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  47. 大角亨

    政府参考人大角亨君) 本試算につきましては、本経済効果分析につきましては、いわゆる一般的な経済分析モデルでございますGTAPを用いて計算したものでございまして、この分析は、輸入価格が下がることで実所得が増加、消費、投資が増加し、貿易投資が拡大することで生産性が高まり、それにより賃金も押し上げられ労働供給が増加、トータルでGDPが押し上げられると、このような試算を行っているものでございます。  これはこういったマクロ全体の分析モデルでございまして、今回の日米協定に基づく特定の対策による特定の政府支出、こういったことを主に想定しているものではなくて、いわゆる経済分析の中のマクロモデルの中で政府支出が全体的にどれだけ増加するというようなことを試算したものでございます。
  48. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 それですと、今回の日米貿易協定によってどのぐらい農林水産業に打撃が与えられて、それに対してどういう対策を打ったらいいのか、その予算組みというのはできないということになりませんか。
  49. 大角亨

    政府参考人大角亨君) 輸入増につきましては、当然農産物の輸入も含まれるものでございますけれども、一方で、工業品輸出が増加することに伴いまして、中間財の輸入増も見込まれているところでございます。  本経済効果分析につきましては、協定による経済成長メカニズムを明らかにし、それによって生み出されるマクロ全体の効果額を試算したものでございまして、産業別の内訳までの分析は行っておりません。
  50. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 分析を行っておりませんということなんですが、でも、日米貿易協定によって輸入が増える、それに対する国の農林水産業に携わる皆さんへの支援策というのは打っていかれるわけですよね。そのための予算組みというのをされるわけですよね。ということは、どれぐらい打撃を与えられるかということをやはり数として想定していなければ、今回のその〇・一%の政府支出ということ自体想定することができないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  51. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 農林水産大臣として発言をさせていただきますが、これは経済効果分析でありますので、分析でありますので、これを基にして全ての予算組みから何から組み立てられるというものではまずございません。  そして、私としては、これだけの打撃があるからそれに見合うだけの国内対策をするのだという立場には立っておりません。これからもっと、これから本格的な、経済連携協定はこれで終わりではないかもしれません、もしかしたら。RCEPも今頓挫しておりますけれども。そういうことを考えると、もっと農林水産業を魅力のある産業にするために、あらゆる機会をつかまえて国内対策を自分としてはやりたいんですよ。  先ほどもちょっと言いましたけど、一兆三千億に近い国内対策これまでやってまいりました。これによって我が宮崎県では、例えば繁殖母牛の数、雌がいないと和牛は生まれませんから、この数は確実に毎年増えています。自分でもう一回やろうという人、それから新たに和牛生産、繁殖に取り組んでみたいという若者も増えています。産地パワーアップ事業とか畜産クラスター事業によって生産性が上がって非常に経営が楽になって、周りにも、おまえ、もうサラリーマンなんか辞めて俺と一緒に農業やろうよというような声も宮崎では大分出ています。  ですから、影響をしっかり把握することはもちろん、委員、大事なんですよ。しかし、これだけの影響があるからこれと見合うものという考えは私は持っておりません。それをもっと見据えた、これも含んだ上で、将来につながるようなものをこのTPP等関連対策大綱で是非やらせていただきたいというふうに考えているということでございます。
  52. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 より大きな図を描いてというお話であったかとは思いますけれども、日米貿易協定において、午前中の衆議院農林水産委員会でも江藤大臣発言されていらっしゃいましたけれども、セーフガードを設けて米を除外したとしても日本農業に影響を認めざるを得ないというような御発言がございました。  その上で、やはりこの日米貿易協定に対して具体的に、個別にやはり結ぶわけですから、そこに対する対策を、今までやってきたこと、そのほかも含めての大きな対策の中に盛り込むというのはもちろんありだと思いますが、しかし、やはりピンポイントでここに対する対応策というのは、今回の日米貿易協定に関して法案を提出されているわけですから、承認を得るわけですから、やはりちゃんとした対策というのは取るべきなんじゃないでしょうか。
  53. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 午前中の佐々木委員との質疑だったろうと思いますけれども、特に北海道は、ホルスタインを肉専用種に回しますと、国産牛ではありますけれども、F1、黒毛に比べてはやはり非常に競争力が劣るということがあって、佐々木委員も大変心配をされていました。  TPP12の議論があったときには、ホルスはほぼほぼ駆逐されてしまうんじゃないかというような悲観的な意見も多数、北海道の方々からも聞かれましたけれども、今では、ホルスの例えばぬれ子の値段も昔とは比較にならないほど良くなっておりますし、それから初妊牛の値段も安定しておりますし、後継牛の数も増えてきておりますし、非常にいい感じに実は北海道はなってきているんですよ。  ですから、そういうことも考えながら、全体を見極めて対応させていただきたいと思います。
  54. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 一部功を奏している例というのは、全国を見ればもちろんあるんだとは思いますけれども、酪農に限らず、米の分野は、特に米は今、農家が本当に生産をしてきただけでは生活がしていけない、厳しいというお声を大変いただいております。  その上で、今回米は除外されているとはおっしゃいましたけれども、今後どうなっていくかも分からないという状況の中で、やはりこういう日米貿易協定、個別に結ばれる、そういう前提でお話をされるのであれば、やはり未来のことだから分からない、その数字を基に全ての予算が構成されるわけではないというのも、一種正論に聞こえるようで実は何も考えていないということと同義ではないかと思われるのですが、いかがでしょうか。
  55. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) いや、大変厳しいお言葉をいただきましたが、必死で考えております。とにかく、とにかく一生懸命考えております。あらゆる、あらゆる事態が、やっぱりその一番悪いケースを想定することもやはり政治の場面では大事だと思いますよ。決して、楽観主義に立って、こうなったらいいな、多分大丈夫だろうという感覚で物事には接しちゃいけないと思います。  やはり、国が条約をある国と結んで、そして農家にしてみればあるとき突然競争条件が変わるわけですから、それに対してはやはり国としてしかるべき対応を、予算も使ってやらせていただくということであります。
  56. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 いや、そのお話を聞いて、結局は一次産業に携わる皆さんが、ああ、大丈夫なんだというふうに思うかどうかということだと思うんです。それを聞いて、ああ、じゃ、たくさん対策してくれるから大丈夫なんだな、良かったというふうに思えるかといったら、全く思えないと思うんですね。  想定は分かりません、想定することができないので、そこからの対策も何となくもやっとしたものです、それで何とかやっていきますので皆さんよろしくお願いしますと言ったところで、農家皆さんは安心して営農することができないと思いますということを申し上げたいと思うんですが。  具体的に、今、じゃ、一次産業対策費の中で考えていらっしゃることを、非常にアバウトに考えていますというふうにはおっしゃったんですが、具体的にどんなことを考えていらっしゃるでしょうか。ちなみに、体質強化、コスト削減、あと経営安定化対策というのは大きな柱として二つあるということは存じておりますけれども、具体的にどのようなことを考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
  57. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) これは、ここで申し上げたいところはやまやまでございますが、まず金額を積み上げ、そして過去の政策との整合性も見極め、そして党内でもしっかり議論をして、そして財務とも交渉をし、その上で出さないと、今ここで私がこれやりますと言ったら、もう結局ぱんとはねられたでは、こんな無責任なことはないんで、これは申し上げられないということは御理解いただきたいと思います。
  58. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 これが、まだ目の前に条約批准が迫っているという、もう既にこの国会で決めるということが決定されているところの以前、もう何年も前だったらまだ分かるんですけれども、目の前にこう迫っていて決めますというときに、影響が出ますということもおっしゃっているときにですよ、今、対策はよく分かりません、ここでは申し上げられませんと言ったのを聞いて、じゃ、何でこの段階でここで決めなきゃいけないのかと、数の力で押し切られなきゃいけないのかということにならないでしょうかね。何の説明にもなっていない、何の安心材料にもなっていないというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  59. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 度々御指摘をいただいておりますが、これまでは対策と影響試算と関連対策大綱とセットで出されたので、これは包括的な議論ができたということは事実でございます。今回はこれまでに比べたらかなりイレギュラーな形であるということは私も認めておりますが、既に認めておりますが、しかし、非常に速いスピードで合意に至って、その内容について、私も、先生よりも大分長く政治家をやらせていただいておりますが、TPPも、最初の聖域なき関税撤廃ではなくて、もう全て投げ出すという関税撤廃の話のときから関わってまいりました。そういう、私としていろいろ悩み考えた中で、この内容であれば国内対策で十二分にやれるという自信を持つに至りました。  ですから、私のことはよく知らないでしょうけど、是非信頼もいただきたいと。ネットで見ていらっしゃる方も、なかなか江藤がそう言ったって心配だよと思われるかもしれませんが、しっかりやらせていただきたいと思います。
  60. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 その言葉を信じたいところですけれども、国内対策でしっかりやれるのその国内対策内容が全く分からないから、ここでいろいろ質問を申し上げているところでございます。  時間がやってまいりましたので、是非日米貿易協定、このように全く、影響があると言いながら、その影響がどのぐらいの規模であるかも、現在把握されていらっしゃらないのか、ここで公表できないのか分かりませんけれども、そのような状況の中で予算もどういうふうに組まれているのか。これ、試算だけは出ていますけれども、政府支出〇・一%は出すという数字だけは、どこかからの数字がちゃんと把握されていなければこういう数というのは出てこないはずなので、想定している数字があるものだと私は思いますけれども、現段階でここで公表していただけない。それにもかかわらずこの日米貿易協定が強硬に進められようとしていることに、本当に心から抵抗を申し上げたいというふうに思います。  さて、時間もやってまいりましたけれども、我が国は食料自給率向上を目指しているというところは皆さんも御了解いただいているかと思いますが、昨年、自給率、カロリーベースで最低を更新いたしました。三七%でございます。  極端な話をすれば、仮にどれだけ経済が疲弊しても、食料が自給できていれば取りあえずは生きていけると。本当、農業、農というのは国の基本であると、第一次産業が国の根幹であるというのはそういうところにあると思います。この命を支える食、農業が危機に立たされているのが今回の、今回に限ったことではございませんが、日米貿易協定ではないかと思います。  農業も国際競争にさらされざるを得ないという状況にあることは、江藤大臣もおっしゃっていましたように、これまで様々な交渉をされてきた、その御苦労を推察いたしますけれども、そうであるならば、我が国の農業を守るべく政府として積極的な対策を講じる必要があるというのは、これは言うまでもないことだと思います。その積極的な内容を伺っても、残念ながら、今日、日米貿易協定に関してのお話は具体的に伺うことができませんでした。本当に残念です。  日本が競争にさらされている先進国の農業産出額に対する政府農業予算の割合というのがございます。例えば、今回の日米貿易協定の相手国アメリカですが、アメリカは六五%が政府支出、政府農業予算ですね。スイスが六二%、これは農業産出額の年間総額に対して六割以上政府がお金を出していると。イギリスで四二%、フランスで四四%、四割以上でございます。それに比べて我が国日本が一体どういう状況にあるかというと、もう一度申し上げますけど、先進国の農業産出額に対する政府農業予算の割合、二七%でございます。二七%、これから国際競争にさらされていく諸外国が手厚く農業を保護しているにもかかわらず、日本支援策まだまだ手薄だということがこの数字を見ても分かるのではないでしょうか。これから諸外国と同様の競争にさらされていくということになりますけれども、我が国の農業が疲弊していくのは、今の数字を申し上げても本当に分かるところではないかと思います。  農業支援を手厚くするということは、何も一農家、個々の農家を守ることだけではなくて、我が国そのものを守っていく、言ってみればイージス・アショアを買うのと同じようなものですよね、守っていくことだと私は考えます。自由貿易を加速させていくのであれば、農家を資金的に援助をして、しっかり安全な農作物を作って、十分に生活をしていける環境を整えて、そこからこそ自由貿易、貿易に対しての競争力をアップしていくということになるのではないかと思います。  江藤大臣が何度もおっしゃられていますように、農家が希望を持って農業を続けられる環境をつくる、そのために、定量的な事実に基づいた資料を公開していただいて対策をしっかりと講じていただく。しっかりと情報公開していただく、それなしに何を言っても、大丈夫だと言っても、安心することはできません。しっかりとお願いしたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。
  61. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 皆さん、大変お疲れさまでございます。共同会派、国民民主党の徳永エリでございます。  豚コレラ、アフリカ豚コレラが発生し、そして感染拡大している中国で、今、豚肉の輸入量が急増しているそうであります。国内生産量が減少しているからということなんだと思いますが、米国からの豚肉の輸入量は過去最大に達したということであります。近年、アジアで豚肉の需要が高まっていまして、いずれ中国と、もし我が国の豚肉の依存を海外に高めていったときに、買い負けが起きるんじゃないかということもかつて言われていたような状況です。そして、日米貿易協定の影響で、豚肉は最大で約二百十七億円、生産額が減少すると試算されているわけでございますが、我が国も、この日米貿易協定対策、その前にやっぱりこの豚コレラの問題が大変に深刻な状況になっております。まさに今、養豚農家経営の危機に直面していると言っても過言ではないと私は思っております。  九日に、埼玉県深谷市内の養豚農場において、豚コレラの疑似患畜が新たに確認されました。新たに豚コレラ感染が確認されるまでの経緯について御説明をいただきたいと思います。
  62. 新井ゆたか

    政府参考人新井ゆたか君) お答え申し上げます。  CSFにつきましては、国内二十六年ぶりとなります昨年九月岐阜県の発生以来、現在までに飼養豚での発生につきましては、岐阜、愛知、三重、福井、埼玉、長野県の六県で計四十八事例でございます。今月九日に埼玉県深谷市で発生いたしました四十八例目も含めまして、殺処分頭数は約十四万九千頭ということでございます。  また、野生イノシシでの発生県は、これらの県に加えまして富山、石川、滋賀、群馬、静岡、山梨の計十二県となっておりまして、発生経過から一年がたってもなお豚コレラの拡大が止められていないという状況は真摯に受け止めたいというふうに考えております。  CSFの対策につきましては、国際的手順にのっとりまして、飼養衛生管理の徹底や野生イノシシに対する対策、早期出荷対策、それから野生動物の侵入防止柵の設置支援等、それぞれ対応してきたところでございます。特に、今回のCSFの感染が、野生イノシシにおける感染が農場での主たる要因になっているという専門家の分析、それから関東地方での発生によりまして新しい局面になったということでございまして、専門家の意見も聞いた上で、野生イノシシのCSF発生地域におきまして予防的ワクチンの実施を追加したところであります。  今後とも、いろいろな対策を尽くし、万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  63. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 私は、新たに発生が確認されるまでの経緯について、今回のケースについて説明をしていただきたかったんですけれども。  あとまた、今もお話ありましたけれども、感染拡大の原因となっている野生のイノシシからは、直近で、十月三十一日には滋賀県で五例、十一月二日には静岡県で一例、十一月五日には岐阜県で七例、そして十一月七日には滋賀県で十六例のイノシシの抗体陽性が確認されています。  台風の際に皆さんもニュースで御覧になったと思いますけれども、群れを成してイノシシが移動するとか、川を泳いでいるとか、また、発生農家から百キロも離れたところで抗体陽性のイノシシが見付かったということで、これまでは五十キロぐらいしか移動しないなんて話も政府からの説明であったと思いますけれども、かなり広域にわたってイノシシが移動しているということが明らかになったわけであります。この野生のイノシシ対策強化しなければ、いつまでたっても豚コレラは撲滅しないと思うんですよね。  かつて宮崎県で発生した口蹄疫のときには、偶蹄類に感染すると言いながらも、野生の偶蹄類には感染しなかったので終息いたしましたけれども、これ、野生のイノシシに感染して、どんどんイノシシが移動して感染を拡大しているわけですから、このイノシシ対策しっかりやっていただきたいと思いますけれども、野生のイノシシ対策について改めてお伺いしたいと思います。
  64. 藤木眞也

    大臣政務官藤木眞也君) お答えいたします。  徳永委員御指摘のとおり、今般のCSFは野生イノシシの媒介によりまして感染拡大が行われているということが特徴であり、野生イノシシに対する対策は非常に重要と考えております。  農場への侵入対策としては農場防護柵の設置を進めており、その事業費として国から二分の一を補助するとともに、地方負担分の八割を特別交付税として支援をしているところでございます。  野生イノシシに対する対策としては、本年三月から経口ワクチンの散布を開始し、また、CSFの全国への拡散を防ぐため、関係省庁と連携しながら経口ワクチンベルトの構築を行ってきているところであり、見直しをしながら進めていく考えでございます。  現在、防衛省とも協力を行い、空中散布といった効率的な散布方法についても検討を進めているところでありますし、また、野生イノシシの捕獲についても、CSF陽性の野生イノシシが確認されている県及びその周辺の二十一都府県において捕獲重点エリアを設定し、捕獲の強化に取り組んでいるところであります。  引き続き、野生イノシシ対策に万全を期してまいりたいと考えてございます。
  65. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 防衛省と連携して経口ワクチンを空中散布すると。これ、本当に効果あるんですか、大丈夫なんですか。
  66. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 防衛省の人間とそれから農林水産省の人間と、アメリカに出張させました。アメリカでは、狂犬病を撲滅すると、大分長いスパンを考えていらっしゃるようですけれども、空中散布をかなり大々的に行っております。そして、金曜日に出張から帰ってきまして、その効果について確認をいたしました。実際に今月の末ぐらいから散布を始めさせていただきたいと思います。  日本の山は極めて急峻なところがあって、人間が持っていくのがいいんですけれども、本当は、枝に引っかかることもありますから。しかし、山に入れないところもあるものですから、そういうところは中心的にやっぱり、政務官から御説明ありましたけど、ベルトにしないと、抜け道があっては意味がないので、ここから先についてはなかなか、どこで線を引くのかで今すごく悩んでおりますけれども、今月末からはもう実行に移させていただきたいと思います。
  67. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 効果をしっかり検証していただいて、また御報告もいただきたいと思います。  資料を配付させていただきましたけれども、予防的ワクチン接種を要望している地域ということであります。  赤いところがワクチン接種推奨地域、十二地域でありますね。そして、黄色いところが、政府では五つの自治体から要望があったというふうにおっしゃっていたみたいですけれども、自治体や農家からワクチン接種を要望する声が上がっている地域団体がまとめたものをお配りをさせていただきました。  これ、もうこのワクチン接種推奨地域に隣接しているところは、やっぱりイノシシの抗体陽性が次々と見付かっておりますから、大変に心配しておられるんですね。これ、近接、隣接地域に関しては、大臣、早急にワクチン接種を検討して実施した方がいいんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  68. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 委員のお気持ちもよく分かりますし、近接されている都府県におかれましては特に非常にセンシティブになっていらっしゃるお気持ちもよく分かります。養豚農家方々の御心配もいかばかりかと思います。  しかし、これを全部足し上げると五百万ぐらいになるんですよ、五百万ドーズぐらいに。現実に推奨地域にしましたと。推奨地域にすると、ワクチン接種プログラムを作っていただかなければなりません。当プログラムを作る段階でその地区の養豚農家方々と話合いをして決めるわけですが、できました、プログラムできましたと、じゃワクチン下さいといったときに、すごく申し訳ないんですが、百五十万ドーズでもう百三十万ドーズ配っちゃっていますので、なかなか、その現実と真正面から向き合うのも政治の現実じゃないですか。推奨地域にした、推奨地域だけにはしますけど、あげるものはありませんよというわけにもいかなくて、非常に苦しんでおります、私自身も。  ですから、十二月の半ばには追加の二百五十万ドーズが届きますので、その段階で、この希望されているところ、まだイノシシからは発見されていないところについてどういう対応をするかについては、追って検討させていただくということにさせていただきたいと思います。
  69. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 発生してはワクチンを打つ、抗体陽性のイノシシが見付かってはワクチンを打つ、それでは遅いんだと思うんです、予防的ワクチン接種ですから。だから、ワクチンも早く増産してください。よろしくお願いしたいと思います。  それから、その野生のイノシシの問題だけではなくて、豚コレラ防疫指針では、ワクチン接種地域から発生していない、非発生地域ですね、ここへ種豚とか子豚、あるいは精液などの出荷、移動ができません。そのことによって非発生地域の養豚農家がワクチン接種地域からの種豚や子豚を仕入れられないという問題が起きているんです。  特に、静岡に大変に大きな、種豚を生産したりAIセンターを持っているところがあったんですが、そこと取引をしている非発生地域の養豚農家が本当に今困っている状況なんですね。これ、市場取引ではないので、長い間相対でやってきたわけです。ですから、仕入先が見付からないところに対してしっかり情報提供などをしていただくワンストップの窓口をつくっていただきたいと思うんです。  養豚農家から聞いた話では、せっかくその仕入先が見付かっても、足下を見られて、今まで仕入れていたときの値段の倍、三倍要求されたと、そういう話も出てきておりますので、しっかりとマッチングを図っていただきたいということもお願いしたいと思います。  それから、逆に、非発生地域からワクチン接種地域の養豚農家は種豚などの移動はできますけれども、交差感染などの懸念があって実際には大変厳しいと。農水省でガイドライン作っておられますけれども、中間地点みたいなところにトラックで運んでいって、それをワクチン接種推進地域からまた別のトラックで来て受け取って、なかなかこれ、説明はできますけど、実際にやるとなると経費も手間も掛かって大変なんだと思うんです。この辺ももっと実効性のある方策を考えていただきたいと思います。  それから、もう一つは、ワクチン接種後、抗体ができるまでの二十日間、ワクチン接種農家は豚の出荷ができないんですけれども、その間、収入はありませんよね。しかし、餌代、人件費、経費が掛かるわけですね。豚が大きくなってしまうと、規格外になると価格も下がるということも聞きました。  そういう中で、是非とも無利子の融資、こういったものを検討していただいて、餌代あるいは人件費、ここをしっかりと支払ができる環境を整備していただきたいと思うんですけれども、幾つか御質問させていただきましたが、大臣、いかがでしょうか。
  70. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 肥育素豚の移動については、業界の方から、これについては例外的に認めてほしいと。実は、私の宮崎県も静岡から引いていまして、私の地元の養豚農家からも例外的に認めてよと言われましたが、しかし、もう既に十四万頭以上の殺処分をいたしました。もう生体の移動は認めないということで、とにかく広げないことにまずは全力を尽くさなければなりません。ですから、よく話をして、いや、それは駄目だと、なかなかそれは認められないよという話もさせていただいています。  精液についても、これはやりようがあるかもしれません。今ちょっと検討させております。精液についてはやりようがあるような感じですけれども、今、断定的に精液についてはいいですよということを言うのはちょっと御勘弁をいただきたいと思います。  それで、二倍、三倍という話については、これはもう優越的地位の濫用のおそれがありますから、どう見たって、それは農林水産省の方からしかるべき指導をしっかりとさせていただきたいと思います。そういうことは、やはり困っているときに付け込むようなことをするやつは駄目ですよ。それはもう、日本の養豚業界は仲間だという認識でやっていただきたいと思います。  積替えについては、御指摘のとおりなんですが、何とかしてやっぱり清浄化を保つためにどうしてもやらなければならないことでありますので、御理解をいただければなと思いますが。  それから二十日間の、このワクチン接種について、打って二十日間はまず出せないという、これはもう基本的なことがありますし、その資金については家畜疾病病経営維持資金というのがございます。これについては、〇・六七五%ですけれども、国が二分の一補助をいたしておりますが、これの残った部分の金利について都道府県が見るということであれば、それについては特別交付税でまた更に国が見るということになりますので、実質無利子で資金が調達できますので、そちらを御利用いただくのがいいのではないかというふうに考えております。
  71. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 これまでこの豚コレラの問題は、感染が拡大された地域あるいは周辺地域、そこに限られた問題のように思っていたんですけれども、防疫指針の改定によってワクチン接種地域から非接種地域にこの種豚とか子豚とか精液が移動できなくなったことによって、これ北海道から沖縄まで全国的な問題になっているんだということをしっかり大臣に受け止めていただきたい。  本当に、体質強化とか生産基盤強化とかとおっしゃっていますけれども、本当に日米貿易協定以前の問題で、今目の前にある危機にしっかり対応していかなければこれ本当に大変なことになりますので、非常事態だという危機感を持っていただいて、是非とも対応していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  それから、そういう状況の中で、先日、この委員会で紙委員江藤大臣質問をいたしました。日米貿易協定日本の農民の勝利だと言える内容だと思いますかという質問でございました。大臣はこの質問に対しまして、私としては、いいところに収まってくれてほっとしておりますと、正直な気持ちです、これであれば政治家としても農林水産大臣としてもしっかり受け止められる内容に収まったと思っていると、我々は負けたというような認識は持っていませんというふうにおっしゃいました。  TPP12の内容がそのままTPP11の中に譲歩された、そして、更に日米貿易協定でもって牛肉、豚肉、ホエー、こういったセーフガード、アメリカ分が新たに設けられた、米は除外された、あるいは輸出量も増えるかもしれない、そういう、おっしゃっておりますけれども、これはどう考えても、農林水産大臣農業者の立場に立たなければいけない、そういう役目でありますので、大臣のこの発言はどうしても承服できません。  大臣がほっとしたと、いいところに収まってくれたと言っていらっしゃる根拠はどこにあるのか、御説明いただけないでしょうか。
  72. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 言った瞬間に、失言に近かったなと実は自分でも思いました、正直申しまして。  しかし、私は余り楽観的なものを見る人間ではなくて、この二国間が始まったときに、これは大変だと、中国とかいろんな国との米国の態度を見ていて、何を言うてくるか分からぬぞと、これは大変だと、それこそバッジ懸けてやらにゃいかぬときがいよいよ来たかなと思ったんですよ。  この間、紙先生から御質問いただいて、いいところというのはこれは非常に不適切な発言だったと思いますが、内容としては、政治家として私は地元で、小選挙区で選ばれているわけですから、地元方々に会って、こういう内容でこういうようなマイナスのインパクトも考えられるけど、こういうことをすればちゃんとフォローアップできると。私はTPPのときにも地元の方に言ったんですよ、無傷じゃ済まないと、TPP12に合意すれば。しかし、国内対策をしっかりやれば傷口がかえって塞がって強くなるということもあるから、それを目指してやらせてくれという話をしていたんですが、そういう歴史もずっとあってこういう発言をしてしまったということでありまして、なかなか、あなたの信条を聞かせてくれという話じゃないんでしょうけれども、あえて聞かれたので、そんなところ、そういう感じの話でございます。
  73. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今後、自動車の関税撤廃に向けて新たな交渉が始まります。そういう中で、やはりカードになるのは農業だと思っています。  TPP12でアメリカの米七万トンはもう約束されていますから、やっぱり約束したものを要求してくるというのは普通の考え方だと思うんですね。  しかも、協定の附属書には、アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇、特恵的な待遇を追求するとなっているわけですね。これは私たちにとっては本当に脅威だと思っています。  大臣、どうか農林水産業農業者あるいは林業者あるいは漁業者の立場に立ってしっかり、農業という業だけではなくて、その地域をしっかり守るという観点も持っていただきながら、厳しい要求を政府に対してしていただきたいというふうに思います。  先ほど、牛肉に関しましても、黒毛和牛という話もありました。海外展開も期待できるかもしれません。収益性も高いかもしれません。でも、北海道のホル雄、単純にホル雄と考えていただいたら困るんです。例えば十勝の清水町、これ、十勝若牛というブランドを確立しているんですね。十四か月で出荷する、癖のない、サシの入った牛肉。地域で餌もいろいろと研究をして、同じ餌を与えている。地域ブランドなんですよ。こういった地域ブランドが壊れてしまう、このこともしっかり考えていただかなければいけない。  それから、酪農、生乳生産にしても、ホエーの関税が撤廃される、あるいはチーズの価格が下がっていく。こういう中で、北海道の生乳生産は九八%加工原料乳に仕向けられたわけであります。これ、価格が下がっていくということになる。乳価が下がるとなれば、飲用乳に仕向けられる。そっちの乳価は下がらないかもしれない、北海道の酪農はいいかもしれない。でも、じゃ、本州の酪農家はどうなるんですか。飲用乳を生産していた、今非常に生産基盤が弱体化していると言われている本州の酪農家方々に大きな影響が出るんです。  また、全国で黒毛を作り出せば、あるいはこの生乳の問題もそうです。海外との競争じゃなくて、国内の競争の中で淘汰されていく農家も出てくる。このこともしっかり考えていただきながら、数字からは見えない様々な影響に関して、農林水産大臣として是非とも心を向けていただきたい。いかがでしょうか。
  74. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) しっかりやらせていただきたいと思います。  北海道のブランドについても、自分も存じ上げていますし、更新される予定の牛を飼い直ししているようなものもあるということも存じ上げて、食べにも行かせていただきました。  チーズについては、ハードについてはあれですけれども、ソフトについては守らさせていただいたということでありますし、一番、先生の方から言っていただいたのは有り難いなと思いますけど、これから畜産物価格がいよいよ時期が、季節が近づいてまいりましたけれども、まさに北海道の方々が加工原料乳の方に回していただいているおかげで、本州の方の酪農家は飲用の方に回すということで、すみ分けという言い方が正しいかどうか分かりませんが、それぞれ、本当は北海道の方でも飲用に回したい方はもっとおられると思うんですよ、一部入ってきてはいますけれども。  ですから、そういう今の長い歴史の中で、いろんな先人の知恵の中で守られてきたこの制度自体が壊れていくようなことがないように、それで、最初におっしゃったように、農林水産大臣はどんなことがあっても農林水産業者の味方の立場に立って仕事をしろということについては肝に銘じてやらせていただきたいと思います。
  75. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 時間ですので終わります。ありがとうございました。
  76. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。  先週の初質問に引き続きまして、今日、二回目の質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  初めに、九月の日米首脳会談で合意をいたしました日米貿易協定について伺います。  言うまでもなく、農林水産業は国の基でございます。TPP11、日EU・EPA協定に続きまして、十月八日に署名をされた日米貿易協定の最終合意によりまして、我が国は名実共に新たな国際環境、国際マーケットにおきまして勝負をすることになるわけであります。  そこで、本日の私の質問では、農林水産委員会ですから、日米貿易協定の合意の中から農畜産物の分野に限って、どのような影響や課題、そしてそれらに対する対策があるのか、確認をさせていただきたいと思います。  まず、この度の日米貿易協定について、安倍総理は、十月七日、衆院本会議の答弁におきまして国益にかなう結果を得ることができた、また、十五日の参院予算委員会では取るべきものは取ったと述べられ、さらに茂木外務大臣は、今回のような経済連携協定はパッケージ合意であり、個々の品目ではなく農産品や工業品など全体で合意する、バランスの中でウイン・ウインの結果になっていると、その意義を強調をされました。  その一方で、一部の評論家やマスコミの中には、二〇一八年度の日本食料自給率、カロリーベースで過去最低の三七%に落ち、食料生産額は二年前に比べ二ポイント減の六六%、田畑が縮小して農業所得減少している、また、日米貿易協定合意がそれに拍車を掛けるなどと、今回の合意が更に農業所得減少食料自給率の低下につながるのではないかというような指摘もあります。  そこで、日米貿易協定による農林水産物生産額への影響につきまして、試算された資料によりますと、国内の農業生産額は減少するとのことでありますが、そのことについて伺います。  今回の試算によりますと、生産減少額は約六百億円から約千百億円とのことであります。この数字だけを見ますと、これで本当に相互利益なのかと心配になってしまいます。また、日米貿易協定におけるGDP全体の押し上げは約〇・八%、四兆円の経済効果という数字もある中で、国内農業生産額の減少に対する分析と国内対策につきまして農林水産省がどのようにお考えなのか、まず見解をお伺いしたいと思います。
  77. 浅川京子

    政府参考人(浅川京子君) お答え申し上げます。  今回の影響試算については、これまでTPP12、TPP11、日EU・EPAで行ってきた算出方法と同様の方法で実施をしながら、日米貿易協定の合意内容を踏まえ、直近の生産額や価格を当てはめて算出したものでございます。  具体的には、現行関税率一〇%以上かつ国内生産額十億円以上の品目三十三品目を対象とし、個別品目ごとに、国産品及び輸入品の価格を出発点とし、原則として、内外価格差や品質格差等の観点から、国産品について輸入品と競合する部分と競合しない部分に分け、価格について、競合する部分は関税削減相当分の価格が低下する、競合しない部分は競合する国産品の価格低下率の二分の一の割合で価格が低下する、品目によっては品質向上や高付加価値化を進める効果を勘案し、それぞれ価格の低下幅を二分の一とするなどの考え方に基づき、品目ごとに生産減少額を計算して積み上げたものでございます。  国内対策の効果については、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきこれまでも国内対策を行ってきているところでありますが、産地の競争力強化、畜産、酪農の競争力強化、牛・豚マルキンの補填率を八割から九割に引き上げる等の経営安定対策の充実などにより確実に再生産が可能となり、国内生産量が維持されると見込んだものです。  日米貿易協定による生産者の懸念や不安を払拭するため、今回の結果についても丁寧に説明していくとともに、政府一体となって万全の国内対策を講ずることでしっかりと生産基盤強化を図ってまいりたいと考えております。
  78. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 ありがとうございます。国として、不安を払拭するようしっかり対策をお願いをしたいと思います。  次に、先ほどの生産減少額で最も減少が見込まれる農産物が牛肉ですが、一方、輸出に目を転じますと、牛肉の輸出について、米国向けの低関税枠二百トンと複数国枠を合体し、合わせて六万五千五トンへのアクセスを確保したことによって、バランスの取れた合意内容だと見ることができます。  高品質でおいしい和牛の輸出を始め、他の農産物についても、いわゆる攻めの農政について、生産者の皆様が安心をできるような今後の展望について、大臣にお伺いしたいと思います。
  79. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 攻めを展開するべきだという御指摘だったというふうに受け止めさせていただきます。  もうまさに和牛については、来年はオリンピックもございますし、インバウンドの数も順調に増えておりますし、非常に和牛に対する引きはこれから強くなっていくと思います。  私の宮崎県でも、EUに対する輸出が始まりました。そして、今度、衆議院の方だけですけれども、輸出に対する法案も通させていただいて、もし国会で御承認がいただければ、私が本部長となっていろんなことをやらせていただく。内容について触れるとちょっと支障がありますから、もう今日は言いませんけれども。  ですから、もう日米、今回の貿易協定では、四十二品目については関税削減であったり、それから撤廃であったり、もうこれも獲得しておりますし、六万五千五トン、ニカラグアが利用している部分が大体七割、八割ですから、彼らは米国とのFTAがありますから、多分そっちの方に移動しますので、スポット空きますので、日本がそこを、マーケットを取るのは非常に有望だというふうにも考えておりますので、そのためには国内の生産基盤もきちっと整備しながら、来るべき攻めの農業にも対応してまいりたいと考えております。
  80. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 ありがとうございます。しっかり、今大臣から御決意、御答弁いただいたように、攻めの農政をお願いをしたいというふうに思います。  次に、冒頭指摘をさせていただいたように、まさに我が国の農政は一大転機に直面をしており、新たな段階というか、新たなステージに立って船出をするわけでございます。競争力強化と強い農林水産業の構築が求められております。  この秋、日米貿易協定を反映をしたTPP等関連政策大綱が改訂をされるとのことであります。大臣、その改訂のポイントと意義について、言える範囲で結構でございますので、我が国の農林漁業者を始め、国民の漠然とした懸念を払拭するような分かりやすい丁寧な御説明をお伺いしたいと思います。
  81. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 先ほどから大変苦労しているところでございますが、とにかく、省議メンバーに申し上げていることは、既存の考え方からなるべく脱却した方がいいよという話をさせていただいている。役人の方々は、官僚の方々は非常に真面目ですから、どちらかというと抑制的な考え方をしますけれども、今回、牛肉でいうと十五年先の九%まで下がるということも見据えて考えると。ステージングが変わっていくと。それで、世界のマーケットはすさまじい勢いで拡大をしていく、日本は縮小するかもしれないけど、世界のマーケットはすさまじい勢いで拡大していくということも考えて、日本農地を守っていくということは、これ基本です。やっぱり日本の自給率の向上も図らなければなりませんし、それからそのためには農業者の人口も一定数は確保しなきゃなりませんし、それから農地確保することもとても大切です。  ですから、基盤整備であるとか、生産効率向上であったり、いろんなことも総合的にやらせていただいて、最終的なものをお示ししたときに、農家方々が、ああ、ここまで踏み込んだのかと言っていただけるようなところを目指して努力をさせていただきます。
  82. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 次に、十一月八日に閣議決定をされました被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージの中から、質問というか、幾つか確認をさせていただきたいと思います。  先週七日、本委員会におきまして私が、収穫後の倉庫に保管をしていた米に対して何らかの支援策をと質問をさせていただいた際、江藤大臣からは、自らの判断で既に廃棄をした米に対しても支援をするとの力強い前向きな御答弁をいただきました。  そこで、私は、委員会終了後にすぐさま、十月末に調査に伺った栃木県佐野市の米農家の方にお電話をしました。その方は、倉庫に積み重ねてあった米袋のうち、確実に浸水をしていない上段三段だけを出荷をして、最下段の米袋がもう破れているものと、その上の段、泥まみれの二段目の一部だけを残して、あとの大半の米は既にもう廃棄をされている方でございました。大臣からこんな前向きな御答弁がありましたよとお伝えをいたしますと、その方、ありがとうございます、一筋の光が見えたと、このように胸をなで下ろされておりました。  先ほど石垣委員質問をされておりましたけれども、大臣対策パッケージは正式にもう発表されておりますので、先ほどもありましたが、文字としての表現は難しい部分も当然あると思いますけれども、いま一度、被災された農家方々に対して営農再開に向けた後押しのメッセージをお願いをしたいと思います。
  83. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 国がどんなに支援を講じたとしても、やはりマイナスです、現実にはですね、ゼロにはなりません。そして、物的なものだけじゃなくて、自分の農地が荒れてしまったこと、今までの努力が、例えば樹園地であれば、丹精込めたリンゴの木やラ・フランスの木や、それから桃の木が駄目になってしまったことに対する心の痛みとか、そういったものもたくさんあります。  しかし、国が一歩、二歩踏み出して、そして地方の自治体の方々も、それからJAの方々も、みんな一緒になってもう一回頑張ってくれと、具体的に支援策はこれだよと。先ほど御質問あったように、七万円じゃ足りないという御指摘もありましたけれども、米は単収によって違いますけれども、十万とか十一万ぐらいは取れますよ、確かに。  それに比べれば七万円が薄いという御指摘も、当たらないとは申しませんが、しかし、財政民主主義の下で我々のやれる限界というのがやっぱりありまして、政治は万能ではなくて、全てのことについて我々が十二分な対応というところまでは至らないかもしれませんが、これからこの対策を見ていただいて、使っていただいて、足らざることがあれば更に御指摘をいただいて、そしてさらに、我々でできることがあるのであれば、みんなで知恵を出して、この委員会でも是非御指摘をいただいて対応していきたいというふうに考えております。
  84. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 今大臣から御答弁いただきましたとおり、被災者に寄り添った支援の充実をお願いをしたいというふうに思っております。  今回の災害では、果樹農家にも深刻な被害が及びまして、大変な被害が出ております。長野県を中心としたリンゴ農家方々への支援として、今回の対策パッケージでは、被災した園地においては、省力樹形への植え替えなどで成園化を図りながら、収入がなくなる間、別の園地において葉物栽培などを支援するとありますが、果たして一面が浸水被害に遭ったような被災地域でそのような代替農地確保できるのでしょうか。また、農家の方の栽培したい作物農地のマッチングなど、どのように取り組まれるのか、教えていただきたいと思います。  あわせて、今回の対策パッケージの細部に至るまで、現場から申請を待ってからとかではなく、どうか積極的なプッシュ型の情報の周知徹底をお願いをしたいと思います。  農林水産省取組についてお伺いしたいと思います。
  85. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  今お尋ねのありました果樹の対策におきます代替農地確保でございますけれども、今後具体的な調整を進めていくこととなるわけでございますが、現時点で大規模な改植が見込まれる長野県と福島県に聞いてみたところでございますが、農業者高齢化などによりまして管理できなくなっている農地、あるいは水田で裏作を行っていないところもございます。こういった被災園地の周辺にございます未利用の農地をマッチングしていく、被災農業者の方にマッチングしていくことが、これが非常に重要だというふうに考えているところでございます。  また、対策につきまして現場への周知ということでございます。  今後、果樹を始めとする支援対策全般につきまして、被災農業者方々に知ってもらった上で御活用いただくということが非常に大事だと思っております。農林水産省といたしましても、十一月八日金曜日に長野県で早速説明会をいたしたところでございますが、支援対策周知を図っているところでございます。  引き続き、県や市町村、JA等の関係者連携いたしまして、支援対策周知徹底と早期の執行というものを進めてまいりたいというふうに考えております。
  86. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 今御答弁いただきましたが、様々対策はありますけれども、情報が行き渡らないということで使えないというようなこともよくございまして、そういう意味での様々な対策について、現場への、どれほど情報が早くきちっと伝わっていくかということが大事だというふうに思っていますので、是非そこの部分、制度はつくった、だけど、その対策農家に行き渡っていない、それが一番やはり対策が遅れてしまうということであろうというふうに思っていますので、是非そこの部分、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、収入保険農業共済など類似の制度について、今後の方向性について質問をさせていただきたいと思います。  収入保険、そして農業共済は、農家の方の生活を支える大きな二本柱であることは間違いのないことだと私も思います。農業共済は、一方で、七十年を超える長い歴史がある一方で、収入保険というのはまだまだ始まったばかりの制度でございます。その影響もあるのか、収入保険の加入実績、先週も質問をさせていただきましたけれども、やはり驚くほど加入実績が低いということが実態でございます。  そういう意味でも、収入保険の加入促進についての具体的な取組とともに、収入保険、そして農業共済、ナラシ対策、そして野菜価格安定制度の四つの類似性のある制度、これが今選択制になっていることの分かりづらさ、分かりにくいのではないか、そういうものがあるように思っています。さらに、窓口もそれぞれ違うと。こういう現状について、今後の議論の方向性など、農林水産省見解をお聞かせいただきたいと思います。
  87. 横山紳

    政府参考人(横山紳君) 御説明申し上げます。  収入保険に関しまして二点御質問をいただきました。一点目が、具体的な加入推進、これからどう進めていくのかという点でございます。  令和二年に向けての加入推進でございますけれども、農業者方々から保険料の負担というのが少し大きいという御指摘もいただきましたので、令和二年におきましては、新たに補償の下限を設けまして、保険料を抑えたタイプというのを設けてございます。また、本省からも担当職員を現場へ派遣いたしまして、農業共済組合はもちろんでございますけれども、都道府県、市町村、それからJAの皆さん方にも御協力をいただいて、その周知の徹底をしているというところでございます。    〔委員長退席、理事堂故茂君着席〕  あともう一点、収入保険について、類似制度との関係をどうするのか、窓口が違って混乱するんじゃないかという御指摘だったと思います。  収入保険につきましては、収入保険導入に係る国会での法案審議時におきまして、当農林水産委員会におきましても附帯決議をいただいております。その中におきましては、農業経営収入安定事業収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策でございますが、等の収入減少を補填する機能を持つ同趣旨制度など関連政策全体の検証を行い、総合的かつ効果的な農業経営安定対策の在り方について検証し、その結果に基づき必要な措置を講ずることということをいただいているところでございます。  セーフティーネットの在り方につきましては、やはり農業者の方に使っていただくというのが一番重要なポイントかと思います。これから、農業者方々の声ですとか、その他関連政策、御指摘のありました関連政策実施状況なども踏まえまして、必要な検証、検討をしっかりやってまいりたいと思います。
  88. 塩田博昭

    ○塩田博昭君 今御答弁いただきましたが、農家の方が分かりやすい制度の在り方の御検討をこれからもしっかりお願いをしたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  89. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございます。日本維新の会の石井苗子です。  維新は本協定について基本的に賛成の立場を取っておりますが、本日は、私が政府側の説明の仕方がおかしいと思うところについて質問させていただきます。  十月の二十四日、衆議院の本会議で江藤大臣が、牛肉のセーフガードはTPPの範囲内とすることができたものと考えておりますと答弁されていますが、この説明の仕方はおかしいと思います。範囲内に収まることができた計算方法がおかしいと言っているのではありません。  資料を見ていただきますと、このグラフが並んでおります。二〇一八年のアメリカからの輸入量三十六万四千トン、これ黄色の部分で、米印二のところです。それに、二〇一九年のセーフガード数量二十四万二千トン、これ米印の一のところです。これを足しますと六十万六千トンになります。二〇二〇年を見てください。二〇二〇年の発動基準総量六十一万四千トンとこれを足し算したものを比べますと八千トンの差がありますので、全体的に見ればセーフガードはTPPの範囲内とすることができたものと考えますということなんですが、計算は分かります。しかし、この計算方法をもって、だからTPPの範囲内とすることができたものと考えますと説明していいのでしょうかということを申し上げたいと思います。  グラフから、見かけ上は超えています。でも、現実的にはこれから協議をして下げていきますので、範囲内とすることができたと考えておりますと言ってはいけないんじゃないかと思うんですね。  どうしてかといいますと、このグラフを見ていただきますと、TPPの発動基準とアメリカの発動基準、これはグラフを見ますと、二つが併存していることは一目瞭然です。二〇二〇年は二つを合計すれば、テクニカルな話になりますが、事実上八十五万六千トンという大きな低関税の牛肉輸入枠が存続していることになります。TPPの範囲内だと、そう言うのであれば、TPPの発動基準数量のみで考えるべきで、アメリカの牛肉の輸入もその枠内で考えるのが本来の考え方。  もしアメリカの発動基準数量がゼロならば、範囲内で収まったと言ってもよいかと思います、論理的には。いや、私は、アメリカの牛肉をゼロにしろと言っているわけでもないし、計算の方法が分からないと言っているんでもないんです。間違っているとも言っておりません。範囲内とすることができたと考えますと、宣伝するように政府側が説明しない方がいいんじゃないかと思っているんですね。    〔理事堂故茂君退席、委員長着席〕  というのが、牛肉のセーフガード発動基準数量には、一旦TPPの範囲内に抑えていないが、しかし、今後、十一か国との協議によっておいおい下げていきますと説明するべきだと思うんですが、どうしてそう言わないのかというところを大臣にお聞きしたいと思います。
  90. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 12の数字にアメリカの二十四万二千を足すと八十五万六千になるという理解でよろしいんでしょうか。という理解でよろしいんでしょうか。
  91. 石井苗子

    ○石井苗子君 冒頭、テクニカルな問題だと申し上げたんですけれども、私も非常によく勉強して、やっと分かったんですけれども、全体足すと八十五万以上になるんだけれども、グラフから見ると、足し算すればそうなんだけれども、おいおい下げていきます、これから協議していきますというふうにどうして言わないのかな、説明の仕方がそっちの方がいいんじゃないかと思うんですが。  じゃ、次の質問に。  なぜその枠内に収まったと宣伝するように言うのかなと、なぜそういうふうに言うのかなと。私は、悪いと言っているんじゃなくて、範囲内とすることができたものと考えますというふうな言い方をするのはおかしいんじゃないかと。  いいですか。当面の間は現実には牛肉の輸入は増えないと、政府はこのように説明しているんです。当面はそうだとしても、二〇三三年までのセーフガード発動基準数量を示して当面は増えないと言っているんですが、それまでの輸入数量等の見通しがあるのかどうかなんです。全くないんでしょうか。今の前段の説明が分からないとこちらの質問が分からないかもしれないんですけれども、セーフガード発動基準数量を示しているのが、それまでの輸入数量の見通しがあるのか、全く分からないということなのか。これは政府参考人の方、お答えできますか。
  92. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) まず、アメリカに枠を与えたということではないということを申し上げさせていただきたいと思います。SGの発動水準を二十四万二千というところで切らせていただいて、そのSGによって輸入は抑制的になるように防衛ラインを引いたということであって、枠をがんと与えたという、そういうものではまずないということでございます。  どれぐらいその輸入数量が増えるかについては、過去の最高実績が二十五万五千トン、現在の市場における在庫量も、通常三か月ぐらい持つのが商社さんは普通らしいんですけれども、今四か月分持っていらっしゃるということで、若干やっぱり昨年は頑張り過ぎたというのが在庫の量から見ても分かるのかなと客観的な数字として思います。  ですから、来年どういうふうな数字になるかについては、これはもう正直、商社とかそういう方々が買うわけですから、私がもう確定的にこういう数字になりますというのは申し上げづらいんですけれども、枠ではなくてSGを引いたことによって頭を抑えられて、二〇二〇年度ではTPP12を合わせた水準の六十一万四千に比べると八千トンダウンになって枠の中に収まったという説明をさせていただいているところでございます。
  93. 石井苗子

    ○石井苗子君 そうじゃないんですよ。  TPPの範囲内に収まることができたと考えるものとしておりますという言い方ではなくて、一旦TPPの範囲内には収まっていないけれども、これから十一か国と協議をしてだんだん下げていきますからというような説明の仕方が正しいのではないかと。  実際には、TPP発効後の今年の一月から八月でオーストラリアからの牛肉輸入が前年度の九四%に止まっているので、セーフガードの発動基準が高くても輸入は増えないというお考えなのかもしれません。それで、TPPの発動基準数量を修正協議するということなんでしょうけれど、現実的に影響がなくても、なくても、TPP日米貿易協定を併せた枠組みとして高い発動基準数量が設定されているということ自体は、これは早く見直すべきだと思うんですが、これちょっと、数字として勝ち取るということが外交の交渉であるので、ほかのTPPの国と修正協議をするということが約束できているのかどうかと、ここをお伺いしたいんですが、これ内閣官房、政府参考人の方にお伺いいたします。
  94. 大角亨

    政府参考人大角亨君) お答え申し上げます。  セーフガードの考え方につきましては先ほど江藤大臣もおっしゃられたとおりでございまして、枠といいますよりも発動の抑制という考え方でございますけれども、お尋ねにつきましては、今回の日米貿易協定の合意内容について、十月上旬にニュージーランドで開催されました第二回のTPP委員会の場で、TPP参加国に我が国から説明したところでございます。  本件につきましては、いずれかの時点でTPP関係国と協議を開始する必要があると考えておりますけれども、TPP11も発効から間もないこともございまして、日米貿易協定の発効後の実際の輸入状況などを見極めつつ、適切なタイミングで関係国と相談を行うこととしていきたいと考えております。また、その旨も関係国に伝えているところでございます。
  95. 石井苗子

    ○石井苗子君 もしこのまま輸入が増えないんだったら、協議をする必要もないんですよ。必ずこれは協議をして、その発動をこれから協議して抑えていきますと、そういうふうに説明した方が論理的には正しいと思う。今御説明があったように、これからやっていくわけですね。ですから、今安心しているわけにはいかないということなんです。一旦、一旦TPPの範囲内に収まったよとしますが、しかしという説明の方が正確であるという、説明の仕方がおかしいと言っているわけで、先ほど塩田議員からも質問がありましたが、やっぱり説明の仕方がおかしいという、二枚目の資料を見てください。  日米貿易協定による農林水産物生産額の影響についての試算、暫定版というところですけれども、牛肉のところ、かなり幅があります。二百三十七億円から四百七十四億円という、間が二百三十七億円もの開きがあります。これで、これまでと同様に生産数量が変わらないように対策を打ち出すということでよいのですか。これ、理解としていかがでしょうか、これでよいのでしょうか。
  96. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) この試算の暫定版というところの根拠の中に、その生産数量が変わらないということは前提としてはこれは入っているわけでありますけれども、私としては、先ほども何度か答弁させていただきましたが、十四万九千トンでは足りないと。国産牛が三十三万トンではその数量としてそもそも足りないと。もうちょっと、やはりこれは攻めの農業という視点からも増やしていきたいというふうに考えておりますので、そういうふうになってくると、この幅が二百三十七から四百七十四というふうにありますけれども、これが国内への影響ができる限りゼロに近づくようにすることが私の仕事でありますから、それについてはしっかり取り組ませていただきたいと思っております。
  97. 石井苗子

    ○石井苗子君 具体例として、二百三十七億円、生産減量額をそうするのか、四百七十四億円という場合にするのかでこれ生産数量に影響が出ないように対策を立てるということになりますと、中身、対策の中身が違ってくるのではないですか。どの額に合わせて対策を取っているのですか。
  98. 藤木眞也

    大臣政務官藤木眞也君) お答えいたします。  先般公表された日米貿易協定の影響試算は、これまでTPPなどで行ってきた試算の算出方法、すなわち、関税削減に伴い国内牛肉の価格が一定程度低下する、また、国内対策の効果を考慮するという算出方法に直近の価格や生産量を当てはめ、機械的に算出したものでございます。  したがって、本試算の影響額は、国内対策を考慮した影響額として機械的に算出されたものであり、この算出による影響額によって国内対策を検討するというようなものではございません。
  99. 石井苗子

    ○石井苗子君 こういうお答えだからきっと御不安が出ていらっしゃるんだろうと思うんです。これは、多分農家皆さん生産の方はすごく心配だと思いますよ、その取り分がどのくらいになっていくのかというのは。価格が下がるのを見て対策を取っているのかということになりますよね。  これ、生産数量に影響が出ないように対策を立てるということは、大綱を作る時点で生産減少額の影響についてある程度、これくらい低くなればこれくらいの影響があるということで、ある程度確定的な試算ができてからではないのかと思うんですけれども、これ、どういうふうに考えて対策を考えているんでしょうか。具体的な数字を出していただきたい。
  100. 藤木眞也

    大臣政務官藤木眞也君) お答えをいたします。  品目ごとの生産減少額の試算については、衆議院外務委員会や衆議院農林水産委員会での御指摘を受け、直近の生産額や単価を当てはめたものでありまして、十月二十九日にお示しをしたところでございます。  なお、TPP12の大筋合意後、日EU・EPA、日米貿易協定に至るまで、関連対策として産地パワーアップ事業畜産クラスター事業を始めとする一兆二千九百三十四億円の体質強化策を講じてまいりました。  また、今回の日米貿易協定農林水産品関税撤廃率は、TPPの八二%に対し日米貿易協定では三七%であり、TPPの範囲内とすることができたものとなっております。  今後は、これまでの対策の実績等について検証をしっかり行い、国内生産量の減少が生じないように万全の対策を検討してまいる考えでございます。
  101. 石井苗子

    ○石井苗子君 今のような御説明というのは、定性的という説明なんでしょうね。定量的な説明ではなくて定性的な説明で、次の私の質問につながってくるわけですけれども、幾ら減るかを考えないで大綱を作っていると、私はそこを指摘しているわけです、説明の仕方が悪いと。生産数量の減少額が分からないで、それで大綱を作るというのは、普通あり得ないと思うんですね。私、頭が良くないのかもしれませんけど、生産減少数が推定で幾ら幾らだから生産数量を維持できるような対策を考えるというのが普通だと思うんですね。日米の協定を承認してから大綱を作って、それから生産減少の計算しますって、それ逆じゃないかと。なぜ逆にやっているのかということなんですけれども、本気で、本気で生産数量を維持しようとしていないのではないかというような感じすらあるんですね、今のお答えだと。  次の資料を見ていただきたいんです。資料の三番目、これは財政審の歳出改革部門に提出された資料でございます。  TPP対策ではと書いてあります。TPPです。事業目標と支援対象が十分に結び付いていない。これ、左側の産地パワーアップ事業、先ほどの、出ていらっしゃいましたね、お言葉に。あるいは、直接結び付いていない事例があること、これは右側の畜産クラスター事業です。また、補正予算が使い切れず、かなりの不用額が発生していることが指摘されています。これは十一月十日の日曜日の農業新聞にも載りましたから、結構有名な話だと思います。  この資料を出された財務省にお聞きいたしますが、結び付いていないとはどのような状況で、また多額の不用額が発生するという問題点は何なのか、お聞きいたします。
  102. 角田隆

    政府参考人(角田隆君) お答え申し上げます。  まず、資料の趣旨は今御説明いただいたとおりでございまして、お尋ねの点について例えば申し上げますと、産地パワーアップ事業、こちらは生産性を上げようということを目標にしております。生産額が分子、分母が投入時間量と。その実際の支援対象となっております乾燥施設というのは、分母の労働時間を減らす効果を高めるものでございますが、実際上、様々な努力によって労働力が下がっているのでございますが、この乾燥機の導入によります低減効果というのはそれほど大きくないのではないかと。ただ、これは一つの事例として申し上げたので、全体の制度がおかしいということでは必ずしもないということを付け加えさせていただきたいと思います。  それから、国内生産に比べて輸入が少ないというのは、これは恐らく制度上、特定の品目を排除するのが難しいということなんだろうとは思いますけれども、指摘としてはさせていただいた次第でございます。  いずれにいたしましても、強化対策につきましては、実績の検証等を踏まえた見直しを行った上で必要な施策実施するということが大綱上定められておりますので、今後、農林水産省とよく御相談してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  103. 石井苗子

    ○石井苗子君 これ、少なくとも税金を使う要件でありますので、ちょっと真剣に考える必要があると思うんですが、財務省がお出しになった資料なので、農林水産省の方にお伺いしますけれども、レタス、コマツナの国内生産と輸入、これは幾らぐらいありますか。なぜ国内生産に比べて輸入の少ない作物TPP対策として支援しているのか、多額の不用額がどうして発生しているのか、その背景、理由をお伺いします。農水の方に。
  104. 江島潔

    委員長江島潔君) 申合せの時間が来ているので、答弁は簡潔にお願いします。
  105. 水田正和

    政府参考人水田正和君) お答えいたします。  レタスとコマツナということでございますが、レタスにつきましては、産出額が一千十八億円、輸入額が二十億円となっております。コマツナにつきましては、産出額三百二十二億円、輸入額が一億円でございます。  産地パワーアップ事業支援対象品目でございますが、これにつきましては、この事業趣旨が、国際環境が変化する中でも意欲ある農業者が安心して経営に取り組めるようにするとともに、農業の国際競争力の強化に向けて、高収益作物への転換も含めて、産地や担い手の創意工夫を後押しする観点から実施するものでございまして、こういう観点から品目を限定せず支援の対象としているということでございます。
  106. 石井苗子

    ○石井苗子君 時間があれですけれども、定性的な説明です、定量的な説明ではありません。TPP対策と言っている以上は、TPPの関連が薄い事業に補助金を支給するのは、税金と、使い道としてどうかと思いますし、平成二十七年から産地パワーアップ畜産クラスター事業補正予算を毎年組んでいるんですから、日頃から準備していればそれなりに適正な額の予算を組めたのではないかと思います。  暫定版と過去の、これ平成三十一年、TPP大綱を参考にして日米貿易協定を承認するかどうか考えろというのは、これはちょっと国会の在り方を軽視しているんじゃないかというふうに私は感じるんですけれども、国会は農林水産業国民の生活の影響を勘案して承認の可否を議論するところでありますので、どうかこれは、国会は単なる通過、追認機関だとならないようにお願いして、私の質問を終わります。
  107. 江島潔

    委員長江島潔君) 先ほどの石垣のりこ君の発言中に不穏当な言辞があるとの御指摘がありました。  委員長といたしましては、後刻速記録を調査の上、適当な処置をとることといたします。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今年九月の日米貿易交渉の合意を受けて、安倍総理は、日米双方にウイン・ウインの結果を得たと言いました。一方、トランプ大統領は記者会見の会場で、カウボーイハットをかぶったアメリカの農業団体を集めて、アメリカの農家にとって巨大な勝利だと言いました。日米貿易交渉の合意がどういう合意だったのかを象徴する場面だと思います。  そこで、今回の合意について北海道新聞が書いているんですが、日本車への追加関税を突き付けられて二国間交渉に応じ、来年の大統領再選に向けたトランプ氏に成果をお膳立てしようとしたかにしか見えない、脅しに屈し妥協を重ねるのでは通商交渉とは呼べないというふうに報じたんです。  この選挙のお膳立て、通商交渉とは言えない、この指摘を大臣はどう受け止めますか。
  109. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) トランプ大統領がどのような御発言されたかについては私の立場で申し上げることは避けさせていただきますが、どのような御発言をされるかはトランプ大統領の御自由、トランプ大統領の評価ですから、それは御自由にやっていただければいいと思います。それについて我々がセンシティブになる必要もないのではないかというふうに思っております。  ウイン・ウインかどうかについては、全体を見なければ評価ができませんので申し上げませんが、しかし、農林水産品について言えば、先ほど藤木政務官からもだったかな、ありましたけど、12のときに八二%の自由化率だったのが三七%に抑えられ、それから六万五千五トンとか、ハードは譲りましたけれども、ハードについては撤廃ですけれども、ソフトについては、チーズについて守ったとか、それから四十二品目については撤廃若しくは関税削減成果を得たとか、いろいろ我々としても農林水産分野だけ見ても評価できる部分はあるので、決してアメリカさんのためにやりましたというものではないと思っております。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 今年五月の連休の後に、トランプ大統領が日本に来ました。日米首脳会談のときに、トランプ大統領は安倍総理と二人並んでいるときに、二国間の交渉では私はTPP水準には縛られないというふうにおっしゃっておりました。さらに、七月の参議院選挙の後に大きな成果を発表できる、成果を発表することができると思うと述べたんですね。  この間の経過見ますと、安倍総理はトランプ大統領に交渉内容の発表を参議院選挙の前じゃなくて後にしてくれと先送りしてもらって、選挙が終わったら今度は安倍総理がトランプ大統領の再選に協力するという流れじゃないかと。北海道新聞が通商交渉とは言えないというふうに言ったわけですけれども、この指摘というのは、実は多くの農家の人たちがそういうふうに思っているんじゃないかというふうに思うわけです。  そこで、ちょっと米についてお聞きします。  政府は、今回の交渉において米は除外されたということを成果として言っています。しかし、日米の米の交渉というのはそんな簡単なものなんだろうかというふうに思うんですね。  ちょっと配付した資料を見てほしいんですけれども、これはTPP農林水産物市場アクセス交渉結果と題する資料のうちの米の交渉の結果です。TPPの合意の際に、日本が国別のTPP枠七万トンを受け入れると同時にSBSの運用ルールを見直したんですね。  この資料の大きな括弧のくくりのところの(注)の米印の一を見てください。我が国は、既存のWTO枠のミニマムアクセスの運用について見直すこととし、既存の一般輸入の一部について、中粒種・加工用に限定したSBS方式を六万トンに変更する予定というふうに書いてあります。  予定はこれ実際運用で見直しされているわけですけれども、このSBSの運用ルールの見直しというのは今回の日米合意ではなくなっているんでしょうか。これは農水統括官
  111. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) 御質問いただきました米の既存の七十七万トンのWTO枠の中に、中粒種であって加工用に限定した六万トンのSBS枠を設定するというこの運用の見直しにつきましては、国内の需要動向に即した輸入や実需者との実質的な直接取引を促進するために我が国の自主的な措置として実施することとして、TPP、いわゆるTPP12の大筋合意の際に公表したものでございます。  今回の日米合意では、先生御指摘のとおり、米は除外を確保したところでございまして、この措置についてアメリカとの間では何ら具体的な協議を行っておらず、約束もしておりません。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 つまり、ここの表で見ると、ここの下の部分はなくなっているんですけれども、上のここの部分というのは残っているということですよね。何ら協議していないわけだから、残っているということですよね。
  113. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) 済みません、ちょっと上のところというところの……(発言する者あり)先ほど申し上げたとおり、この中粒種・加工用の六万トンの輸入をする、SBS枠に、SBSに変えるということについては何ら具体的な協議も行っておらず、約束もしてございません。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 ですから、協議も行っていないし約束もしていないから、そのままそっくり残っているという意味だと思うんですよ。つまり、SBSの運用の見直しというのは残っていると、生きているということですよね。あっ、いいですか。
  115. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 統括官が申し上げたことで全てでございますが、この委員御指摘の部分についてはTPP12のときに入っていたものだというふうに理解をしております。その中で、条約の中に当然これ入るようなものではありませんし、それからサイドレターの中にも入ってはございません。ということですから、文章の中で正確にそれコミットしたものではありませんけれども、しかし、国として見直しを行うということを発表しておりますので、12の段階ではそれは生きておりますが、今回は日米の交渉で、米については調製品についても全部除外ということで最終合意に至っておりますので、御指摘はちょっと当たらないのではないかなというふうに思っておりますが。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 いや、交渉して、要するに、今回米は除外したんだと言っているわけだけれども、これTPPのときの合意で、これについてもなくなっているんですか、そうしたら、今回の交渉で。除外になったんですか、これ。そうじゃないでしょう。
  117. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) 約束はしていないということでございます。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 約束していないと言うんだけど、協議の中ではこれは入っていないわけですよ。だから、これは残っているということでいいんですよね。
  119. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 私の理解度が低いのかもしれませんが、協議をしておりませんので、何もお約束をした事実もございませんので、そういうことでございます。
  120. 紙智子

    ○紙智子君 この表で見ると、ここの白い部分の国別枠はなくなったんだけど、この黄色い部分については、あっ、色付いていないか、まあいいや、これはそのままなんですよ、交渉していないので。そういうことなんですよね。つまり、SBSの運用の見直しについては引き続き残っているということだと思うんですよ。  アメリカのライス協会は元々十六万五千トンを日本に受け入れるように求めていましたから、これTPP枠の、当時ですよ、七万トンと、SBSの運用ルールの見直しが六万トンということだったので、輸入が可能になったので、最大で十三万トンの輸入が可能になったんです、当時、TPPのときはね。今回の交渉において、TPP枠七万トン、この別枠という七万トンは除外されたと。アメリカは、SBS米として輸出することは、しかし、この上の部分がある以上は可能なんじゃないですか。
  121. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) SBS方式での輸入、WTOの枠内でのSBS方式での輸入は既存のSBS枠十万トンを輸入をするということでやっておりまして、こちらの今先生から御指摘のある六万トンについて輸入をするということにはしておりません。
  122. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) なかなかお答えが難しいなと思ってちょっと悩んでおりますが、例えば、今回、林野部門、それから水産部門については全くアメリカに譲許いたしておりません。ということであれば、これも全部残っているというような先生の御理解なんでしょうか。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 米について言っているんですよ。今回、米は除外したという話はどこの話かというと、この国別枠で五万トンから七万トンというのがありますよね。これはオーストラリアはあるんだけれども。これについては今回は除外するってなったのは確かだと思うんですよ。だけど、元々WTO枠であったこれについては見直しの措置をとって、それは今回アメリカとは何の交渉もしていないので残ったままということだというふうに私何回もこの間やり取りしているんですから、そういうことですよ。  それで、ちょっと時間なくなっちゃうから言うんだけれども、表向き米を除外したというふうに言っているんだけれども、既にSBS米という形で加工用の輸入の窓口は開けている、開いているということなんです。アメリカは、TPP枠のような形をつくらなくても、このSBSという形で使えば日本への米の輸入を増やすことはできるというふうに思っているんじゃないかと。日米合意で米は除外したというのであれば、それだったらこのSBSの運用の見直しもやめるべきじゃありませんか。
  124. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) 先生御指摘の中粒種・加工用のSBSの運用でございますけれども、現在の情勢を踏まえますと、実施すべき状況であるというふうには考えておりません。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 どういう意味ですか。ちょっと分かるように言ってください。
  126. 天羽隆

    政府参考人天羽隆君) 実施すべき状況とは考えておりません。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 擦れ違っているんですよ。実施すべき状況であるかないかって聞いていないんです。要するに、これは消えていないので、使う気になったら、日本が自主的に、そういうことが必要だとなったときは使えるものとして窓口が開いているんじゃないかということを言っているわけです。  それで、このSBSの運用のルールの見直しがやっぱりTPP農林水産市場アクセス交渉の結果の一つとして公表されているというのが肝腎なところで、アメリカの要求というのは決して米の関税削減じゃないんですよ。アメリカの要求というのは輸入枠を拡大したいという要求なんです。日本がSBS米の運用ルールを見直したということは、今後、アメリカに言ってみれば付け入る余地を与えるというか、アメリカが要求しようと思ったらするんじゃないかというふうに思うわけです。  それで、日米貿易協定の附属書のⅠについて聞くんですけれども、附属書のⅠで日本の国の関税及び関税に関する規定、第B節日本関税に係る約束というところに、アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産物に関する特恵的な待遇を追求することを定めています。この規定の意味について説明してください。
  128. 大角亨

    政府参考人大角亨君) 御指摘の規定につきましては、TPP等においても一般的に置かれているものでございまして、特に新しいものとは考えておりません。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 ちゃんと答えてくださいよ。意味聞いたんですよ。どういう意味ですかと聞いたんですよ。
  130. 大角亨

    政府参考人大角亨君) 附属書Ⅰ、第B節第一款五は、アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する、ウイル・ビー・シーキングでございますので追求する旨規定しておりまして、将来の交渉において米国にそのような意図があるという認識を単に記載したものであると考えております。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 単に記載したものだと言うんだけれども、附属書Ⅰというのは日本関税などに関する規定なわけですよね。アメリカは農産物に関する特恵的な待遇を追求すると。主語はアメリカ合衆国、アメリカが追求すると。これはアメリカの意思を表したものですよね。
  132. 大角亨

    政府参考人大角亨君) アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する旨規定しておりまして、将来の交渉において米国にそのような意図があるという認識を単に記載したものでございます。  本規定は協議の開始や結果を予断しているものではございませんで、これをもって日米合意がTPPより後退しているとの指摘は当たらないものと考えております。  いずれにしましても、我が国の国益に反するような合意を行う考えはございません。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 アメリカの意思、特恵的な待遇を追求するという、こういう規定というのはほかの協定にあるんでしょうか。余り見たことないんですけど。
  134. 大角亨

    政府参考人大角亨君) 他の経済連携協定は、一般的に協定の中で日本と契約国の間で再協議を行うと明確に規定されておりまして、TPPや日EU・EPAなどでは再協議を行う時期についても明記されております。  他方、今回の日米貿易協定では、日米両国が再協議を行うという規定ではなく、米国側の姿勢として、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求すると規定しているものでございまして、日本に対して何ら義務を課すものではございません。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 追求するという相当きつい言葉ですよ。こういう言葉を使っているのはほかの協定にあるかと聞いたんですよ。
  136. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 手元に物がございませんけれども、私の知っている範囲では、日EUの中にもこのような同様の表現が入っているというふうに記憶しております。
  137. 紙智子

    ○紙智子君 じゃ、ちょっとそれは後日、資料は出していただきたいと思います。EUだけですか。まあいいや。ちょっと次に行きます、ちょっと時間が迫っているので。  それで、私、非常に高圧的な規定だというふうに思うんですけれども、大臣、そう思われませんか。
  138. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 日本も、外交交渉は国益と国益のぶつかり合いですから、アメリカとしても追求するでしょうけれども、我々も追求させていただきたいと思っています。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 日本のやつが、英文になっているやつにはそれが、そういうことを書いているんでしょうかね。まあちょっとそれは今日は答弁求めませんけれども、そこを是非後でいただきたいと思います。  それで、要するに、これ追求するという言葉の意味は、調べてみると、目的を達成するまでどこまでも追い求めるという意味なんですね。つまり、アメリカに、アメリカはこれ手に入れるまではどこまでも追求するという権利を与えることになるんじゃないですか。こんな規定を日本はよしとしたと、約束したということになるわけですけれども、何でそんなアメリカに対して権利を与えるんでしょうか。
  140. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 私は交渉を直接担当してはおりませんが、英文で見るとウイル・ビー・シーキングということになっておりますので、将来に向かって追い求めていく。でも、どこまでも追求して、最後まで諦めないぞという意味はあのシークには入っていないのではないかというふうに思います。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 いずれにしても、こういう表現でもって対等、平等と言えるのかなというふうに思うわけです。非常にそういう意味では強烈な、そういうことを日本に対して迫ってきている協定を日本はよしとして書き込んだと。  で、アメリカは米を諦めるとは言っていないんですね。米は除外されたという言い方で問題にならないようにしているんだけれども、これは一時しのぎにすぎないんじゃないかというふうに思うわけです。  TPP対策室の澁谷政策調整統括官は、九月の二十五日の記者会見で、マスコミから今後の交渉を進めるに当たって農産品のカードはあるのかと聞かれて、農産品のカードがないということはないというふうに言っていると。で、今後の交渉で七万トンが復活するかもしれない。日本政府は、これTPP水準まではのむと言っているわけだから、協定発効直後に、もし発効直後に米のTPP枠を求めてきたら、これ拒否する理屈というのはあるんでしょうか。
  142. 大角亨

    政府参考人大角亨君) 今回の共同声明では、今後どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議することとしておりまして、今後の交渉の内容はこの協議の中で決まっていくこととなるものでございます。  このうち、関税に関する事項については、協定に更なる交渉による関税撤廃で合意しております自動車、自動車部品を想定しており、それ以外は農林水産品を含め想定してはございません。
  143. 江島潔

    委員長江島潔君) 時間ですのでおまとめください。
  144. 紙智子

    ○紙智子君 はい。  自動車という話があるんだけれども、これは分からないですよね。何をその交渉対象にするかということも含めてやっていくわけですし、やっぱりこのWTO以来、日本はアメリカの要求に応じて米の輸入をやってきたわけで、これ本当に、輸入機会の提供であったミニマムアクセス米にしても七十七万トンとなっていますけれども、そのうちの三十六万トンはアメリカ枠で固定されていて、で、何で固定化しているのかということも含めてよく分からない、どういう交渉を今までやってきてこういうふうになってきているのかってよく分からないので、そういうことを経過も含めてしっかりと説明していただきたいということを最後に申し上げて、質問といたします。
  145. 江島潔

    委員長江島潔君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  146. 江島潔

    委員長江島潔君) 次に、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。江藤農林水産大臣
  147. 江藤拓

    国務大臣江藤拓君) 農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国の農林水産物・食品の輸出については、日本食への世界的な関心の高まりや日本農林水産物・食品に対する高い信頼等を背景に急増しているところでありますが、輸出を更に増大させていくためには、輸出先国との協議により輸出可能な国や農林水産物・食品の幅を広げるとともに、輸出先国の規制等に適合した農林水産物・食品の生産を拡大していく必要があります。このため、農林水産物・食品の輸出の促進政府が一体となって戦略的に取り組むための体制を整備するとともに、輸出証明書の発行などの手続の整備や、輸出のための取組を行う事業者の支援を行っていくことが重要であります。  こうした観点から、農林水産省農林水産物・食品輸出本部を設置し、同本部において農林水産物・食品の輸出の促進に関する実行計画を作成するとともに、輸出を円滑化するための措置や、輸出事業計画の認定等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、農林水産物・食品輸出本部の設置についてであります。  農林水産大臣を本部長とする農林水産物・食品輸出本部を設置し、輸出の促進に関する基本的な政策の企画立案及び推進や、関係行政機関の事務の調整を行うこととしております。また、本部は、輸出の促進に関する基本方針や、具体的な対応を明らかにした実行計画を作成し、進捗状況管理することとしております。  第二に、国等が講ずる輸出を円滑化するための措置についてであります。  主務大臣及び都道府県知事等は、輸出証明書の発行、輸出先国が定める要件に適合する生産区域の指定及び加工施設の認定をすることができることとしております。また、加工施設の認定については、主務大臣の登録を受けた民間の専門能力のある機関も行うことができることとしております。  第三に、輸出事業計画の認定についてであります。  事業者が輸出の拡大のため生産の合理化等を図る輸出事業計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けた場合には、日本政策金融公庫による長期低利融資等の支援措置を受けられることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようよろしくお願い申し上げます。
  148. 江島潔

    委員長江島潔君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会