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2019-11-05 第200回国会 参議院 国土交通委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和元年十一月五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月二十四日     辞任         補欠選任      高橋はるみ君     末松 信介君  十月二十八日     辞任         補欠選任      清水 真人君     中曽根弘文君  十月二十九日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     清水 真人君  十一月一日     辞任         補欠選任      金子原二郎君     山田 太郎君      末松 信介君     本田 顕子君  十一月五日     辞任         補欠選任      山田 太郎君     高橋はるみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田名部匡代君     理 事                 朝日健太郎君                 酒井 庸行君                 増子 輝彦君                 伊藤 孝江君                 武田 良介君     委 員                 足立 敏之君                 青木 一彦君                 岩本 剛人君                 清水 真人君                 高橋はるみ君                 鶴保 庸介君                 豊田 俊郎君                 本田 顕子君                 山田 太郎君                 和田 政宗君                 小沢 雅仁君                 長浜 博行君                 野田 国義君                 浜口  誠君                 森屋  隆君                 里見 隆治君                 宮崎  勝君                 室井 邦彦君                 木村 英子君    国務大臣        国土交通大臣   赤羽 一嘉君    副大臣        農林水産大臣  加藤 寛治君        経済産業大臣  松本 洋平君        国土交通大臣  青木 一彦君        国土交通大臣  御法川信英君        環境副大臣    石原 宏高君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        今井絵理子君        国土交通大臣政        務官       門  博文君        国土交通大臣政        務官       佐々木 紀君        国土交通大臣政        務官       和田 政宗君    事務局側        常任委員会専門        員        林  浩之君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      小平  卓君        消費者庁審議官  高島 竜祐君        文部科学省大臣        官房文教施設企        画・防災部技術        参事官      笠原  隆君        国土交通省大臣        官房長      野村 正史君        国土交通省大臣        官房技術審議官  東川 直正君        国土交通省総合        政策局長     蒲生 篤実君        国土交通省土地        ・建設産業局長  青木 由行君        国土交通省都市        局長       北村 知久君        国土交通省水管        理・国土保全局        長        五道 仁実君        国土交通省道路        局長       池田 豊人君        国土交通省住宅        局長       眞鍋  純君        国土交通省鉄道        局長       水嶋  智君        国土交通省自動        車局長      一見 勝之君        国土交通省港湾        局長       高田 昌行君        国土交通省航空        局長       和田 浩一君        国土交通省国際        統括官      岡西 康博君        観光庁長官    田端  浩君        気象庁長官    関田 康雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (気候変動対応した治水対策在り方に関す  る件)  (災害時における情報提供在り方に関する件  )  (令和元年台風第十九号等で被災した鉄道の復  旧・復興に関する件)  (九州新幹線西九州ルート整備に関する件)  (トラック運送業における取引適正化に関する  件)  (マイ・タイムライン普及促進に関する件)  (無電柱化推進に関する件)  (リニア中央新幹線中央アルプストンネルの土  砂崩落に関する件)  (多機能トイレ在り方に関する件)     ─────────────
  2. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一日までに、高橋はるみさん及び金子原二郎さんが委員辞任され、その補欠として山田太郎さん及び本田顕子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣大臣官房審議官小平卓さん外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 足立敏之

    足立敏之君 おはようございます。自由民主党の足立敏之でございます。  本日は質問の機会を与えていただきまして、田名部委員長始め各党の理事皆さん委員皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。  私は、建設省国土交通省で長らく勤務をいたしまして、インフラ整備防災災害対策、こういったことに取り組んでまいりました。本日は、その経験を踏まえまして、台風十九号による豪雨災害等につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、その前に、沖縄首里城が火災により焼け落ちてしまいました。テレビの映像を見て、私もとてもショックを受けました。世界遺産に登録されており、今回焼けた正殿などの施設国土交通省国営公園事業により整備が行われたもので、とても残念に思っております。是非とも国土交通省関係機関沖縄県としっかり連携して再建に向けて御尽力をいただきますよう、赤羽大臣を始め幹部の皆様お願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。  さて、昨年は、西日本豪雨災害によりまして、十一府県で大雨特別警報が出され、死者行方不明者が二百人を超える大災害となりました。今年も、台風十五号による千葉県を中心とする暴風被害に続きまして、台風十九号により十三都県大雨特別警報が出され、百人近い方々が犠牲になるという大きな被害発生をいたしました。さらに、続いて、台風二十一号の影響で活発化した低気圧によりまして、千葉県を中心死者行方不明者が十人を超える大きな被害発生をいたしております。  お亡くなりになられた皆様の御冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。  また、国土交通省におかれましては、赤羽大臣陣頭指揮により、所管する河川道路鉄道などの災害対応に全力を挙げて取り組まれるとともに、テックフォースの派遣災害対策用機械派遣などに御尽力をいただき、心から敬意を表しますとともに、感謝を申し上げたいというふうに思います。  私も、発災以降、東京都、神奈川県、長野県、福島県、宮城県などの被災現場に足を運びまして厳しい実情を見てまいりました。本日は、そうした現場での体験を踏まえまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、台風十九号による越水、破堤氾濫など河川関係被害について伺いたいと思います。  直轄管理区間の破堤というのは大変珍しい現象でありまして、昭和五十一年の長良川の破堤以来、平成十六年の兵庫県の円山川本川及び支川出石川の破堤、平成二十四年の九州北部豪雨の際の福岡県矢部川の破堤、昨年の西日本豪雨の際の高梁川支川の小田川の破堤など、数えるほどしかありません。  一方今年は、私が訪れました長野県、穂保地区千曲川や、宮城大崎市の吉田川を始め、直轄区間の十二か所で破堤が起こりました。お手元資料一に破堤箇所についてお示しをしてございます。さらに、県管理区間では百二十八か所の破堤が起こっております。このように、全国各地で同時多発的におびただしい数の河川越水、そして破堤氾濫発生をいたしました。  私が伺った現場資料をお手元に付けさせていただきました。資料二が千曲川資料三が阿武隈川、資料四が宮城県の丸森町と大崎市の吉田川資料五が多摩川沿川の被害状況でございます。  なお、皆さん御承知と思いますけれども、堤防は、表面にブロックが張ってある場合もありますけれども、基本的に土でできていまして、越水には非常に脆弱で、越水した水によりまして堤防が浸食されて決壊が起こると、越水だけによる被害内水による浸水被害とは大きく異なりまして、まるで津波のように押し寄せてくる水によって壊滅的な被害が起こります。それを防ぐために、先輩たちによりスーパー堤防が考案されるとともに、海岸堤防などでも、津波による越水に強い、粘り強い構造の堤防も考案されてまいりました。  今回の台風十九号等による河川被害状況と、堤防決壊により壊滅的な被害を生じさせないための今後の対策について、水管理国土保全局に伺います。
  7. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  台風第十九号は、十三都県大雨特別警報が発表されるなど、広い範囲で記録的な大雨をもたらし、先生指摘のとおり、国直轄で十二か所、合わせて百四十か所の河川堤防決壊等により甚大な被害が生じました。このような堤防決壊被害を踏まえるとともに、将来の気候変動影響により激甚化、頻発化する水害に備えるためにも、堤防の拡幅、かさ上げ等整備、仮に越水しても決壊までの時間を少しでも引き延ばすことを目的とした堤防天端裏のり尻の補強などによる堤防強化推進することが重要と考えております。  堤防決壊による壊滅的な被害を生じさせないためには、洪水時の水位を下げ、安全かつ確実に洪水を流すことが重要であります。このため、堤防整備強化に加えて、河道の掘削、ダム遊水地などの様々な手段を各河川の特性や流域状況に応じて組み合わせながら、治水対策を一層強力に推進してまいります。
  8. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございました。  なお、今回の災害復旧に当たりましては、特に県が管理している河川での甚大な被害、こういったものを踏まえまして、西日本豪雨のときと同様、道路河川の分野で直轄権限代行で国が代行して災害復旧が行われることになっております。県の対応能力では限界がありますので、大変有り難い対応だというふうに思っておりまして、感謝を申し上げたいと思います。  続きまして、今回の台風十九号でございますけれども、死者行方不明者が約千二百人を超えました昭和三十三年九月の狩野川台風に匹敵する台風というふうに言われました。気象庁がこのように分かりやすい表現で台風の脅威について御説明いただいたことにつきましては、敬意を表したいというふうに思います。その指摘のとおり、静岡県伊豆市の湯ケ島雨量観測所での総雨量は、狩野川台風のときには七百三十九ミリであったのに対しまして、台風十九号ではそれを上回る七百七十八ミリということでございました。  しかし、今回、幸いにして狩野川流域では大きな被害は出ませんでした。これは、狩野川台風により被害を受けた後の昭和四十年に完成したトンネル放水路であります狩野川放水路、これが毎秒千二百トン分派したというふうに聞きましたけれども、その効果が大きかったのではないかというふうに考えております。  資料六の方に狩野川放水路資料を準備させていただきました。今回の台風狩野川台風、大変驚くほどコースが似ているというのがお分かりいただけるのではないかというふうに思います。  狩野川台風台風十九号の被害比較と、狩野川放水路整備効果について、水管理国土保全局に伺います。
  9. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  狩野川流域における降雨被害については、現時点の速報値でございますけれども、先生指摘のとおり、昭和三十三年の狩野川台風よりも、今回の台風十九号の総雨量が七百七十八ミリを観測しておるところでございます。  今回、狩野川放水路の直上流にある伊豆の国市の千歳橋流量観測所で毎秒約二千六十立方メートルの流量を観測しましたが、このうち約毎秒一千立米を放水路で分派したことにより、分派地点下流の沼津市や三島市等を流れる本川水位を低下させることができました。  この結果として、狩野川台風では、狩野川流域において死者行方不明者八百五十三人、家屋浸水六千七百七十五戸の甚大な被害発生しましたが、今回の台風第十九号では、狩野川本川からの氾濫を防ぐことができ、人的な被害はゼロ、家屋浸水被害内水等による約九百戸に抑えることができました。
  10. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございました。  狩野川台風の際の被害を見ますと、狩野川流域内では八百五十人を超える死者行方不明者が出ておりました。しかし、実は、神奈川県でも死者行方不明者が九十四名、東京でも四十六名というふうに言われておりました。南関東でも当時大きな被害発生していましたけれども、今回、狩野川台風ということで伊豆半島被害ばかり考えていなかったかなという点が我々も反省していかなきゃいけない点だというふうに思っておりますし、気象庁水管理国土保全局で今後よくその辺の検証お願いしたいというふうに思います。  狩野川放水路のほかにも、これまで行われてきた河川改修が大きな効果を発揮しまして、被害が出なかった河川がたくさんあったというふうに思っております。被害が極めて広域的で甚大なため、国土交通省としてはなかなかその効果をアピールしづらい、そういったところがあるというふうに思いますけれども、例えば平成二十七年九月に関東東北豪雨堤防決壊により大きな被害を受けました鬼怒川でございますけれども、今回は、復旧工事と併せて行った改修工事が完成しており、前回のような大きな被害発生をいたしませんでした。また、利根川流域では、首都圏外郭放水路渡良瀬遊水地とその周辺遊水地群、こういったものが絶大な効果を発揮したというふうに思っております。  また、ワールドカップで話題になりましたけれども、日本対スコットランド戦が行われた横浜国際総合競技場周辺公園遊水地として機能して水没をいたしておりましたけれども、その川であります鶴見川なども事前整備した効果が大きかったというふうに言えるというふうに思います。  河川整備に当たりまして、事前防災事前防災でしっかり準備をしていくことがやはり重要ではないかというふうなことが認識されたというふうに思いますけれども、水管理国土保全局の見解をお願いしたいと思います。
  11. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  台風第十九号では、広範囲に多数の堤防決壊するなど甚大な浸水被害発生しました。こうした中でも、先ほどの狩野川放水路のように、過去に整備した治水施設効果を発揮し、人的被害家屋浸水被害軽減したところでございます。  土木学会が二〇一八年六月に公表した国難をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書では、三大都市圏巨大洪水に対し約九兆円の事前防災対策を行うことで、建築物資産に対する被害資産被害や、国民総生産の減少経済被害、また税収減少財政的被害による合計約九十兆を超える被害軽減させることが示されているところでございます。  一たび水害発生すると、生命、財産に甚大な被害発生するとともに、復旧復興に多大な時間と費用を要し、社会経済活動にも大きな影響を与えることから、被害防止軽減に向け、事前防災対策を着実に進めていくことが重要であると考えております。
  12. 足立敏之

    足立敏之君 水害発生いたしますと良くないことばかりがクローズアップされる傾向にありますけれども、こうした整備効果を踏まえた事前防災を着実に進めていく必要があるというふうに考えますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、ダムについて話題を変えたいと思います。  さて、今回も、西日本豪雨災害の際と同様、全国ダム洪水調節で大きな効果を上げたと聞きます。上流部にあるダムに一時的に出水をため込むわけですので、下流洪水軽減効果が必ずあります。東日本中心全国で百四十六のダム洪水調節を行い、洪水被害軽減に大きな効果を発揮しています。資料七の方に昨年との比較を載せてございますが、このようにたくさんのダム洪水調節が行われてきております。  しかし、その一方で、昨年の西日本豪雨で課題となりました、ダム洪水調節容量を使い切ってしまうおそれのある場合にダムからの放流量を増加させて徐々にダムへの流入量に擦り付けていく異常洪水防災操作、マスコミではよく緊急放流というふうに言われておりましたけれども、そうした操作を行うダムが生じました。資料八にございます。模式図で示しておりますけれども、上の方の図が通常の洪水調節であります。下がいわゆる緊急放流でございまして、計画を超える規模の流入があった場合に、ある時点から放流量計画放流量より増加させる、この斜めになっているところがそうなんですけれども、そういう操作に移行しているのが分かるかと思います。  なお、ダム湖への流入量より大きな放流をすることはこれを見ていただいてもありませんので、ダムがあることで事態を悪化させるようなことにはなっていない、そういうふうに思いますし、誤解がないようにお願いをしたいと思います。  この操作は、ダムが満杯になって越流してしまうのを防ぐためやむを得ない措置ではありますけれども、台風十九号では、昨年の教訓を踏まえて、そうした操作を行う際には早めに公表し、事前に沿川の皆さんにお知らせするなどきめ細かい対応が取られていたというふうに思います。その点についてはしっかり評価したいというふうに思います。  台風十九号の際のダム洪水調節実施状況緊急放流実施状況について、水管理国土保全局に伺います。
  13. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、台風第十九号では、東日本中心国土交通省が所管する百四十六のダムにおいて洪水を貯留すること、すなわち洪水調節により下流河川水位を低下させ、下流域被害防止軽減を図りました。  そのうち、記録的な豪雨に見舞われた六のダムでは洪水調節容量を使い切る見込みとなり、ダムへの流入量と同程度の放流量とする異常洪水防災操作に移行したところでございます。これらの六ダムでは、ダムからの最大放流量ダムへの最大流入量に対して約二四%から約九七%であったところでございます。
  14. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございました。  今回、緊急放流では、テレビでも城山ダム緊急放流を行う、相模川の城山ダムなんですけれども、その報道があったのを皆さんも御記憶にあるんじゃないかというふうに思います。下流相模川の流量がそれによって増加するのが懸念されたわけでございますけれども、実は、資料の九でございますけれども、この相模流域には城山ダム下流相模川に合流する中津川という支川がありまして、その中流部に私が建設省事務所長として建設に携わりました宮ケ瀬ダムというのがございます。若干手前みそになるかもしれませんが、お許しください。  この宮ケ瀬ダムというのは、ダム高が百五十六メーター首都圏最大でございます。貯水容量は一億九千三百万トンでございまして、芦ノ湖にたまっている水の量に匹敵する水量がたまります。城山ダムの約三倍の総貯水容量があります。洪水調節容量城山ダムの二倍の四千五百万トンあります。  宮ケ瀬ダムは、今回、いろんな情報を見ていると、ピーク流量で千九百トンたしか流入しておりましたけれども、その際にも毎秒百トンしか放流していなくて、ほとんどの水をダム湖にため込んで洪水調節を行っていました。この効果はとても大きかったと思います。  したがいまして、宮ケ瀬ダム、そして城山ダム効果によりまして相模下流部では大きな被害が出なかったのではないかというふうに考えております。こうしたダム効果についてもしっかりと検証をしていただき、評価していただければというふうに思います。  さて、昨年の緊急放流の問題を教訓にしまして、あらかじめ洪水調節機能を増強するため事前放流というのを実施したダムが複数あったというふうに聞きました。資料の十が事前放流模式図でございますけれども、台風が来る前にあらかじめ、本来利水のためにためておく容量の一部を放流することによりまして、水位を下げて洪水を貯留するための容量を所定のルールより多く確保しておく、その結果、洪水調節効果を高める、そうした事前放流を採用したダムがあったと聞きましたが、事前放流実施状況について、水管理国土保全局に伺います。
  15. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  ダム事前放流については、利水者協力の下、利水容量の一部を事前放流し、一時的に洪水調節容量を確保する操作でございます。このように、降雨が予想される場合には、ダムにおいてできる限り水位を下げ、洪水を調節するための容量を確保していくことは有効な手段であり、国土交通省といたしましても、事前放流取組推進しているところでございます。  台風第十九号においては、先ほどお話をさせていただきましたとおり、国土交通省が所管する百四十六のダムにおいて、洪水を貯留することにより下流河川水位を低下させ、下流域被害防止軽減を図ったところでございます。  事前放流には、洪水時に治水のために計画的に実施する予備放流利水者協力を得て実施する事前放流がありますが、このうち、事前放流を行って水位を下げたダムは、関東地方中心とした三十三ダムでございます。  このうち、利根川水系渡良瀬川草木ダムでは、予備放流で約三メーター事前放流で約十四メーター事前貯水位を低下させました。草木ダムでは、異常洪水防災操作に移行する可能性について十二日二十時に記者発表をしたところでございますが、その後回避をしており、この貯水位の低下がなければ異常洪水防災操作に移行していたと推測されるところでございます。  国土交通省といたしましては、今後も、関係利水者と調整を行い、事前放流取組推進することにより、洪水被害軽減に努めてまいります。
  16. 足立敏之

    足立敏之君 昨日の新聞にも発電ダムの活用というのが出ておりましたけれども、今後も、利水関係者などダムの共同事業者の理解を得て事前放流強化すべきと考えます。よろしくお願いしたいと思います。  次に、八ツ場ダムについてお聞きしたいと思います。  赤羽大臣も、十一月二日、現地を訪れられたと報道がありました。ありがとうございました。私は、建設省国土交通省で長らく勤務をし、ダム建設関連の仕事に長年携わる中で、再三八ツ場ダムにも関わらせていただきました。様々な誤解があるようですので、少々経緯についてお話をさせていただきたいと思います。  平成二十一年の政権交代に伴いまして、当時八ツ場ダムダム本体工事の発注手続の段階ではありましたけれども、前原大臣から、マニフェストに書いてあるので八ツ場ダムを中止する、全国八十三のダム事業についても一旦中止して検証を行うという方針が示されました。  その後、後任の馬淵大臣の際に、中止の方向性については言及しない、一切予断を持たずに検証する、少し方向転換がございまして、前田大臣が就任されてから、建設省出身の河川技術者でもあり実際に利根川の治水計画にも携わられたこともあったからだと思いますけれども、継続との対応方針を決定し、私が水管理国土保全局長の際にお仕えした羽田大臣もその方向性を継承され、その後、政権交代により就任された太田大臣が、前田大臣が継続を決定したことを尊重して早期完成を目指すとの方針を表明され、それを受けて八ツ場ダム建設に向けて再度動き出すことになりました。こうして振り返ると、大変感慨深いものがあります。  その八ツ場ダムが、本体工事が完了して十月一日から試験湛水を行っていましたけれども、約五百五十万トンたまっていた状態で今回の出水を迎え、約七千五百万トンの水を貯留をいたしました。資料十一、十二に写真とデータをお示しをいたしております。  実は、その当時、下流の埼玉県加須市で、今回の出水でピーク時には利根川の水位計画水位にあと三十センチというところまで迫っておりまして、越水のおそれがある旨を公表するなど、非常に切迫した状態だったというふうに聞いております。結果的に、八ツ場ダムや下久保ダムなど上流ダム群の効果下流の利根川の越水や破堤氾濫を防御する大きな効果を上げたというふうに考えています。  私も、十月の十七日に八ツ場ダムに伺わせていただきましたが、ほぼ満水状態のダム湖を見て大変頼もしく思ったところであります。  しかし、それに反論するような形で、八ツ場ダム洪水調節効果は全くなかったと主張する方々がいらっしゃるようであります。全く科学的ではありません。確かに、利根川の上流部には下久保ダムなど複数のダムがあり、これらが連携して洪水被害軽減を図っておりますので、一つ一つのダムが単体でこういう効果を発揮したというふうに表現するのはなかなか難しいんですけれども、あれだけの量の洪水を貯留したわけでございますので、明らかに大きな効果を発揮したと考えるのは当然のことだというふうに思います。  八ツ場ダム洪水被害軽減効果について、現地を視察された大臣の思いをお聞かせください。よろしくお願いします。
  17. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 今日、まず、初めての発言でございますので、改めまして、今般の台風十五号、十七号、十九号、そしてその後の大雨災害によりまして尊い犠牲となられました皆様に心から御冥福を送りたいと思います。また、被害を受けられた全ての皆様にお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧復興に全力を尽くしてまいることを表明させていただきます。  今お話のありましたこの八ツ場ダムの件につきましては、振り返りますと、台風十九号のその日の真夜中の一時半ぐらいに五道局長から相当深刻な電話が、連絡がありました。ひょっとすると、このままでいくと利根川が越水してしまうかもしれないと、大変な状況になるかもしれないという緊迫をした状況が続いたわけでございますが、結果としてその最悪な状況は免れたということでございます。  そのことを振り返りますと、今御質問の中にあったとおりでございますが、八ツ場ダムでは、この十月一日から試験湛水というオペレーションを始めていたということもありまして、結局、最終的には七千五百万立米の洪水を貯留することができたというふうに認識をしております。加えて、既設の六つのダムと試験湛水中の八ツ場ダムとで、合計約一億四千五百万立米の洪水を貯留することができました。  これら七つのダム洪水貯留による水位低下量につきましては、これは幾つかの仮定を置いて試算した速報値ではございますけれども、利根川における治水の基準点である八斗島地点において約一メートルと想定しておりまして、こうしたこれまでに整備をされてこられたダム群が一定の効果を発揮したものと考えておるところでございます。  私も、十一月二日に八ツ場ダム、実は初めて視察をさせていただいたときに思ったことは、あの大きなダムを造るに当たって四百七十世帯の方々がふるさとを離れなければいけなかったと、ある意味で大変な犠牲を払われて御協力をいただいたということに本当に心から敬意を表しますとともに、改めて、そうした先人の御苦労と関係者の皆さんの御尽力があって、今回こうした最悪の事態を免れたということは大変良かったというふうに思っております。  このことを更に新たな教訓として、更なる大きな災害が来ることも想定されるわけでありますから、気候変動による災害の甚大化、頻発化に耐え得る防災・減災対策をしっかり取らなければいけないと、こう決意を新たにしたところでございます。  以上です。
  18. 足立敏之

    足立敏之君 大臣、ありがとうございます。  政権交代により、現実的には四、五年工期が、工程が遅れたのは事実でございます。その苦しい状況を関係者が血のにじむような努力で克服して、何とか今回の出水に間に合わせたというのが私たち関係者の実感でございます。大臣にも是非その点をお酌み取りいただきたいというふうに思っております。  一方、八ツ場ダムは今回試験湛水中だったから空の状態で水をためることができたので大きな効果を発揮したもので、運用を開始した後ではこんな大きな効果はなかったのではないかというふうに指摘する方々がいらっしゃいます。ダム技術者の私としては非科学的な指摘で全く驚くばかりでございますけれども、資料の十二に八ツ場ダム洪水調節計画を載せてございますけれども、洪水調節容量が約六千五百万立方メートルあり、今回のような洪水ダム湖流入してきても、毎秒二百トンという一定量の放流を行いながら貯留をするという計画どおりの操作をすることにより、所定の効果を上げたということが明らかだというふうに私は思います。  八ツ場ダムは試験湛水中でたまたま大きな効果を発揮した、実際、運用後なら効果はなかったという指摘に対して、水管理国土保全局の見解をお願いいたします。
  19. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  今回の台風第十九号において、試験湛水中の八ツ場ダム流入量のほぼ全量を貯留し、結果として約七千五百万立方メートルの洪水を貯留したところでございます。  八ツ場ダム完成後は、洪水調節のルールを基に定める操作規則に従って運用する予定でございます。この予定されている運用によれば、御指摘のとおり、貯留しながら放流することとなり、その放流量は、流入量がピークに達するまでの間は毎秒二百立方メートルであり、その後は次第に増加させ、最大で毎秒一千立方メートルとなるところでございます。  台風第十九号における八ツ場ダムからの合計放流量は、試験湛水中には約六十万立方メートルでしたが、完成後に用いる予定の操作規則に従うと約二千四百万立方メートルになるところでございます。その結果、洪水の貯留量は、今回の貯留量約七千五百万立方メートルから放流することとなる約二千四百万立方メートルを差し引いた約五千百万立方メートルと想定されるため、計画上の洪水調節容量である六千五百万立方メートルの範囲内に収まるところでございます。
  20. 足立敏之

    足立敏之君 局長には詳しい御説明、ありがとうございました。安心をいたしました。  話題を変えまして、河川改修の方に参りますが、今回、おびただしい箇所で破堤や越水による被害発生しました。破堤箇所が百四十か所、越水内水による浸水箇所は二百八十五の河川に及ぶというふうに言われています。  平成二十四年の九州北部豪雨の際にも議論がありましたけれども、豪雨災害がこう頻発している状況を考えますと、被災箇所を元どおりに原形復旧するということでは不十分で、安全度を上げるために計画対象流量を増加させるなど、いわゆる改良復旧を行う必要があると考えますけれども、水管理国土保全局の見解を伺います。
  21. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、被災地をより災害に強く安心できる地域にしていくためには、原形復旧のみならず、例えば河川においては堤防のかさ上げや川幅を広げるなど、機能を強化する改良復旧事業を行うことは極めて重要であると認識しております。  国土交通省といたしましては、復旧計画の立案に当たり、原形復旧ではなく抜本的な対策が必要になる場合には、改修や管理の状況等も十分に踏まえつつ、改良復旧事業が適切かつ積極的に活用されるよう自治体の支援等を行ってまいります。
  22. 足立敏之

    足立敏之君 台風十九号により、東日本中心に床上浸水は約三万四千棟、床下浸水は約三万八千棟という大きな被害を受けています。一方、浸水被害発生に伴いまして、資料十四の方に準備をさせていただきましたけれども、佐賀県の水害の際に発生しました工場からの油の流出、郡山で発生したバスの大量水没、長野新幹線の車両基地の水没、武蔵小杉などのタワーマンションの電気設備等の水没や、医療機関、高齢者施設の水没など、様々な不測の事態が生じています。これらの被害は恐らくハザードマップの情報があれば未然に防ぐことができたのではないか、そういうふうに考えられる点が多々あります。  今後、地球温暖化の進展によりまして浸水被害の拡大も懸念されることから、浸水の予想されるエリアの被害の未然防止のために、浸水域管理というんでしょうか、場合によっては流域管理という言葉かもしれませんけれども、そうした考え方が必要ではないかというふうに感じております。  私も河川局時代にかつて都市局、住宅局ともそういった議論をしたことがございますけれども、こうした浸水域で多様な被害を生じたことを踏まえまして、まちづくりや土地利用の観点からどのような対策を講ずべきか、都市局に伺いたいと思います。
  23. 北村知久

    政府参考人(北村知久君) お答え申し上げます。  近年の自然災害を踏まえ、増大する災害リスクに対応するためには、ハード整備とともに、都市計画による立地誘導、開発規制等を効果的に組み合わせる必要があると考えているところでございます。  このため、都市計画法に基づく開発許可制度におきましては、土砂災害特別警戒区域等の開発に適さない区域内での分譲住宅等の開発を原則として禁止してございます。  また、いわゆるコンパクトシティーのための都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画におきましては、これは運用レベルでございますけれども、浸水想定区域内について災害リスクや警戒避難体制の整備状況等を総合的に勘案し、適当でないと判断される場合は原則として居住誘導区域に含まないといったような運用をしているところでございます。  ただ、今回、委員指摘のとおり、全国各地で多様な被害が相次いでいるところでございます。私ども、都市計画でどのような対応が可能なのか、コンパクトシティーの取組防災対策の一層の連携や開発規制の見直し、こういったことも含めて必要な対策を検討してまいりたいと思います。
  24. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございます。  最近、避難の情報について考えても、市町村単位で全域に避難勧告、避難指示が出されることが多いんですけれども、こういうハザードマップをベースにしたきめの細かい避難の呼びかけ、そういったものも必要ではないかというふうに感じておりまして、今のその浸水域の管理の中で是非御検討をいただきたいというふうに思います。  続きまして、最近、台風が来襲する前に鉄道計画運休だとか、デパートやスーパー、コンビニなどの計画休業、学校の計画休校などの対応が取られるようになってまいりました。台風十九号の際にもそうです。安全重視の視点からとても重要な取組と私自身評価しております。こうした取組タイムラインに基づく行動と考えることができます。  私が水管理国土保全局長をしていた二〇一二年、平成二十四年にアメリカをハリケーン・サンディが襲いました。この被害調査のために土木学会と連携して調査団を派遣をいたしましたけれども、その結果報告の中に、アメリカではタイムラインと言われる行動表を関係者が共同で作成し、それに基づいて対応を行うこととしており、ハリケーン・サンディの際にも大きな効果を発揮したというふうなことを聞きました。日本でも、国土交通省でこの考え方を導入することを、私の後任の水管理国土保全局長、森北さんでございましたけれども、決定しまして、関係者が協力してタイムラインを策定し、それに基づき対応する取組が始まっています。  資料十五でございますけれども、それがそれのモデルのようなものでございます。  今後、こうした取組を参考に、ハザードマップなども踏まえまして作成したタイムラインをしっかり普及させていくようにお願いをしたいというふうに思います。  なお、防災・減災には、公助のみならず、自助、共助も大事でありますが、鬼怒川の決壊の際の復旧復興を図る中で、マイ・タイムラインというのも今普及が進んでおります。個人レベルでタイムラインを作るというものでございますが、これも大変有効でありまして、ハザードマップなどの情報をベースに個人レベルで自ら考えマイ・タイムライン作りを進める、こういう実効性のある避難体制づくりを進めていく必要があるというふうに感じています。  今後、ハザードマップの活用を進めるとともに、タイムライン、マイ・タイムラインの普及を図るべきというふうに考えますが、水管理国土保全局の見解を伺います。
  25. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  タイムラインは、災害発生時の状況をあらかじめ想定し、共有した上で、いつ、誰が、何をするかに着目して、発信すべき情報や実施すべき行動などを時系列で整理したもので、防災行動の迅速化、円滑化に効果的であるというふうに考えてございます。そのため、国土交通省では、各地域の課題に応じて、公共交通機関やライフライン事業者など様々な関係機関が参加した、いわゆる多機関連携型タイムライン取組推進しており、本年十月末時点で四十二の地域で取組を実施中でございます。  一方、今般の台風第十九号等の記録的な大雨による河川氾濫では、ハザードマップで想定された浸水域と実際の浸水範囲の実績がおおむね重なるとの指摘もございます。このため、住民一人一人がハザードマップを活用して、どのタイミングで避難行動を取ればよいかを確認するマイ・タイムラインの作成を進めることが自助の観点から重要であります。  委員指摘のとおり、浸水による被害軽減するためには、ハザードマップの活用を推進するとともに、防災に関係する機関や国民一人一人が円滑かつ迅速に防災行動を取ることが重要であり、そのために有効なタイムラインの更なる普及や、ガイドラインの作成等によるマイ・タイムライン推進に積極的に取り組んでまいります。
  26. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございました。  特に、マイ・タイムラインというのは住民の皆様に意識をしていただく上でも大変重要な施策だというふうに思っておりますので、普及をよろしくお願いしたいと思います。  次に、被災者の救済についてお聞きします。  今回、大変たくさんの方々が被災をしたり、避難を余儀なくされています。多摩川沿川の被災地も伺いましたけれども、町工場や民間の車検場などが被災し、なりわいの再生に苦慮をされているのが実情でございました。箱根にも伺いましたが、観光面の打撃について懸念するお話も伺いました。  中小企業の被災にはグループ補助金が有効なんですけれども、単独で被災しているケースもあり、どう対応したらいいのか悩んでいる方々もたくさんおられ、そういう個々のケースにも支援の検討をお願いできたらというふうに思っています。  また、長野、福島、宮城に行くと、農地のみならず果樹園や農作物、林産物の生産工場など、地域の基幹産業が大きな被害を受けておりました。それらの方々への支援も不可欠で、あらゆる手段を講じて対応していただきたいというふうに思います。  なお、災害対応の大切な担い手である建設業の中にも、会社の社屋や事業所が浸水したり、工事現場の資材や重機が浸水しているところがありました。災害対応を担う建設業の皆さんのなりわいの再建にはやはり公的な支援も行うことも必要ではないかというふうに考えておりまして、是非とも検討をお願いしたいというふうに思います。  そうした状況を踏まえまして、安倍総理から、被災者対策をまとめるようにとの指示があったと聞きます。被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージについて、内閣府に伺います。
  27. 小平卓

    政府参考人小平卓君) お答え申し上げます。  ただいまお尋ねのありました対策パッケージの取りまとめにつきましては、十月二十日の非常災害対策本部における総理からの御指示を受けまして、現在、被災者生活再建支援チームが中心となって、生活、なりわいの再建に向けた対策パッケージの取りまとめを急いでいるところでございます。  地域ごとの特性も踏まえつつ、被災者向けの住まいの確保、廃棄物、瓦れき、土砂の処理、農林漁業者、中小・小規模事業者の事業再開に向けて、被災地からの要望を丁寧に伺いながら、政府一丸となって支援策の具体化に取り組み、今週中にも生活となりわいの再建に向けた対策パッケージの取りまとめを行いたいと考えてございます。
  28. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございました。しっかり対応お願いしたいというふうに思います。  さて、被災地に伺いますと、自衛隊、警察、消防などの皆さんの頑張りが目を引きます。実際に、真っ先に現場に駆け付け、流入してきた土砂の排除だとか傷んだ道路の修繕、崩れたのり面の補修、決壊した堤防復旧などを行っておりますのは、地域に精通しており、重機を使って機動力も有している地域の建設業の皆さんなんです。資料十七に彼らの活躍ぶりを写真でお示しをしてございますが。  地域の建設業の皆さんは、ここのところの公共事業予算の削減で、企業の数も大幅に減少し、弱体化をしており、体制の充実強化に向けて真剣に取り組まなきゃならないというふうに考えられます。資料十六には治水関係予算の推移を示しましたが、削減傾向が見て取れると思います。このために、彼らが安心して先を見通して事業を進めることができる規模の予算の確保、これが大事でございますし、仕事をすれば必ず利潤が上がる環境の整備が必要でございます。このため、さきの通常国会で品確法の改正など担い手三法などの改正を行いましたけれども、引き続き、被災地の復興係数、復興歩掛かりなどの対応を含めまして、きめの細かい対策を講じていく必要があるというふうに考えられます。  災害対応の担い手である建設業につきまして、地方の建設業についてよく御存じの青木大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  29. 青木一彦

    ○副大臣青木一彦君) お答えいたします。  地域の建設業は、社会資本整備の担い手であると同時に、災害時には最前線で地域社会の安全、安心の担保を担う地域の守り手として大変重要な存在であり、頻発する災害への対応が求められる中、その役割はますます増大いたしております。  今後もこれらの役割を果たしていただき、担い手を安定的に確保、育成するため、国土交通省といたしましては、中長期的な公共工事の発注の見通しを示すとともに、安定的、持続的な公共投資の確保に努めてまいります。  また、こうした地域の建設業者が持続的に活躍できる環境を整えるため、地域企業に配慮した工事発注に努めるとともに、災害時も含めて、企業が適正な利潤を確保し、担い手の処遇改善が進められるよう、予定価格の適正な設定やダンピング対策等に取り組んでおります。  加えて、適正な工期期間による週休二日制の推進など働き方改革を推進することを通じ、国土交通省としては、給与が良く、休暇が取れ、希望が持てる、新三Kの魅力的な産業となるよう、若者を始めとした建設業の担い手の中長期的な確保、育成に資する取組を更に加速していきたいと考えております。
  30. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございました。  一方、地域のコンサルタントや測量設計業の皆さんも、災害発生時には真っ先に被災現場に駆け付けて被災状況調査を行い、応急復旧のための調査、測量、設計を行い、さらには、その後の災害査定用の資料の作成支援、こういった重要な役割を担っておりますが、今の建設業と同様、大変厳しい状況下にあります。  この点につきましても青木大臣の見解をお願いしたいと思います。
  31. 青木一彦

    ○副大臣青木一彦君) 社会資本整備、管理を行う上で工事の上流に当たる測量や調査、設計の品質確保が重要であることから、本年六月の改正で新たに広く公共工事品確法の対象として位置付けられたところであり、建設業だけでなく、測量業や建設コンサルタント、地質調査業も重要な役割が求められております。建設業と同様の取組を行っているところです。  特にこれらの業種では、三月に納期が集中し、長時間労働となる傾向があることから、地方自治体では価格競争による調達が多いこと等が顕著な課題になっていることから、三月に集中する納期の分散化や地方自治体へのプロポーザル方式の更なる活用促進等に積極的に取り組んでいるところです。  いずれにいたしましても、魅力な産業となるよう、若者を始めとした担い手の中長期的な確保に資する取組を更に加速させてまいります。
  32. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございました。  トラック、バス、タクシーの体制確保についても伺いたいと思います。  今回の災害では、トラック、バス、タクシーが各地で浸水被害を受け、先ほどもお示ししましたが、郡山のバスの水没を始め多数浸水被害を受けるなど大きな被害が出ました。  一方、それにもかかわらず、トラック業界では、支援物資の輸送等で、国のプッシュ型支援の担い手として大いに活躍をしたと思います。また、バスについても、広域避難の際の貴重な輸送手段として、さらには鉄道の不通の際の代替輸送の担い手としても大きな役割を果たしています。また、タクシーについても、避難の際の有効な手段として、特に高齢者の避難所への貴重な移動手段として活躍をしています。災害対応の観点からも、これらの分野が持続的に発展することが、建設業やコンサルタント、測量設計業と同様、非常に大事なことであるというふうに思います。  トラックでは、昨年、貨物自動車運送業法の一部改正を行いまして標準運賃を定めるという措置を講じることができまして、一定の成果を上げたというふうに思いますけれども、一方、バスやタクシーについては深刻な運転手不足が問題となっておりまして、とりわけタクシーの分野では、運転者の賃金アップなどの労働環境の改善が不可欠であり、災害の際の支援という観点でも、運賃改定などを積極的に進める必要があるというふうに考えています。  トラック、バス、タクシー分野は災害対応上不可欠な分野でございまして、人員の確保やそのための処遇改善など環境整備が必要と考えますけれども、自動車局の見解を伺いたいと思います。
  33. 一見勝之

    政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。  バス、タクシー、トラックは非常に重要な公共輸送機関でございます。特に、台風十九号の被災地対応に関しましては、トラックでは食料約八万二千食を福島や長野に輸送しています。また、バスでは、被災、運休した鉄道十四路線の代行輸送を行いまして、通学や高齢者の通院の移動手段となっておりますし、タクシーでは、高齢者の輸送や鉄道が運休した空港での最後の輸送手段となっており、被災地や避難所の人々に希望を与えるなど、災害対応に大きく寄与しております。  一方、委員指摘のように、こうした業界では、他産業に比べまして労働時間が長く賃金が安いため、運転手不足が深刻な問題となっております。政府としては、昨年五月に政府行動計画を策定し、取引環境の適正化などの施策を推進しております。特にタクシーでは、地域における公共交通機関としての役割を十分に果たすため、タクシーの進化に向けたアプリの導入や、あるいは運転手の待遇改善などの原資を確保することが必要であると認識をしているところでございます。  このため、現在、全国四十八地域において申請がなされております運賃改定について、タクシー事業者の声もよく聞きつつ、関係省庁とも調整をし、経済への影響なども見極めながら、可能な限り早期に対応したいと考えておるところでございます。
  34. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございました。是非ともよろしくお願いします。  今回も、被災地では、全国から派遣されたテックフォースの姿を各地で見かけることができました。沖縄からも駆け付けてくださいました。ありがとうございます。また、排水ポンプ車も随所で活躍をしておる姿を見ました。資料十九にそういったテックフォースの活躍の状況をお示しをさせていただいております。  一方、国土交通省では、国家公務員全体の定員削減の流れの中で、特に地方で、インフラの整備、管理や災害対策を担っている整備局の人員が長年にわたりまして大幅削減を余儀なくされてきております。資料二十にお示しをしたとおりでございます。しかし、最近の災害の頻発の状況を見ますと、整備局の現場事務所と自治体が緊密に連携を取りまして、リエゾンを派遣したりテックフォースや災害対策用機械派遣するなどの対応が激増しています。さらには、権限代行復旧工事を担うケースも増えてきております。国土交通省も限界だというふうに思います。にもかかわらず、更に人員を削減しようという定員削減の取組が進んでいます。  今後の我が国の安全の確保の観点からも、是非とも国土交通省などの実動官庁の人員については削減というような乱暴なことは見送りまして、是非とも増員をするようにお願いをしたいと思いますが、大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
  35. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) テックフォースへの言及、大変ありがとうございます。  今回も、様々な、台風十九号だけではなくて、一連の台風被害対応におきましても、国管理河川等の応急復旧に加えまして、被災自治体に対しまして過去最大級のテックフォース隊員、七百名を超える隊員を派遣させていただいております。現地で二十四時間体制で緊急排水ですとか土砂撤去、また激甚災害の早期指定に向けた被災状況調査の支援、また技術的なアドバイス等々、さらには、今御指摘のように、国の権限代行によります復旧工事、実施させていただいているところでございます。  訪れた被災自治体の首長の皆様から、まず冒頭、異口同音にテックフォースの派遣を本当に感謝しているということで感謝を述べていただいて、本当に有り難い限りでございますが、一方、国土交通省発足以後、地方整備局及び北海道開発局におきまして、この十八年間で約二割の定員が純減しております。災害時の初動対応を始め現場の最前線を担う各地域の事務所、出張所の職員は大変大幅に減少しておりまして、現実的にもうかつかつ、大変厳しい定員状況にあるわけでございます。このままでいきますと、本当に、国民の生命、財産を守り、安全、安心を確保するという地方整備局の使命を果たすことが大変難しい状況にあるというふうにも考えております。  令和二年度の地方整備局、また北海道開発局も含めての定員要求におきましては、前年度より百名以上上積みした要求を行っているところでございます。こうした目標というか要求が実現できるように、それはひいては防災・減災、国土強靱化を実施していく上で欠くことのできない体制だと認識して頑張っていきたいと思いますので、是非応援もよろしくお願いしたいと思います。
  36. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございます。  私も整備局長を四国と中部でやらせていただきました。どんどん定員が減っていく中で、仕事をやりくりしていくのに大変苦労した思いがあります。是非とも、大臣の御尽力で何とか増員が可能になるようにお願いをしたいというふうに思っております。  最後の質問になります。  今回の被災を受けまして、短期的には災害復旧のための補正予算の編成が必要であるというふうに考えます。各地の被災者が安心できるような、大型できめの細かい補正予算が必要だというふうに考えています。  また、もう少し中期的な話ですけれども、令和二年度までの三か年の緊急対策防災・減災、国土強靱化の緊急対策の恐らく見直しが必要ではないのかというふうに考えておりまして、延長措置や規模の拡大、あるいは新たな緊急対策の策定なのかもしれませんけれども、そうした対応が必要になるのではないかというふうに考えています。  さらに、長期的には、地球温暖化に伴う気候変動影響などで災害のリスクが拡大している中で、防災・減災、国土強靱化の取組を大幅延長するなど、五か年あるいは十か年の長期的な計画に基づく大規模な公共事業予算の確保が必要ではないかというふうに考えています。  安倍総理も、十月十六日の参議院予算委員会で松山政司先生質問に答えて、三か年緊急対策を講じた後、後なんですけれども、国土強靱化基本計画に基づき、必要な予算を確保した上で、オールジャパンで国土強靱化を強力に進めるというふうに答弁をされておられます。  これを聞かせていただき私も大いに期待しているわけなんですけれども、大規模な公共事業予算の確保に向けて大臣の御決意を承りたいと思います。よろしくお願いします。
  37. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 私自身、阪神・淡路大震災で自ら被災を経験してから二十五年、様々な大災害現場で仕事をしてまいりました。  災害からの復旧復興において一番足かせとなるのは平常時のルールというのが私の認識でございまして、災害に対する、復旧復興に対する予算は、やっぱり相当踏み込んで被災者の側に立った施策を取るということが本当は一番大事だというふうに考えておりますので、しっかりと、この目前の補正も含めたそうした予算獲得にはしっかり、被災地の気持ちに合った予算編成を求めていきたいと、こう思っております。  また、三か年の緊急対策防災・減災、国土強靱化の緊急三か年対策については大変感謝もされておりますが、気候変動によってこれまでよりも災害が甚大化、頻発化していることによって、まさに、元に戻すのではなくて、抜本的な対策を立てなければいけないというのが被災自治体の首長さんの皆さん共通した思いでございます。そうした中から、三か年で終わらずに、中長期的にしっかりとした国土強靱化が組めるようにしっかりとした予算を獲得してほしいというのは、もうどの地域に行っても要望が出されておりますので、そうした地方自治体の首長の思いを受けてしっかりと予算獲得に取り組んでいきたいと、こう決意をしております。  以上です。
  38. 足立敏之

    足立敏之君 ありがとうございました。  被災した方々や、それから災害対応の担い手として頑張っている建設分野の皆様方を始め、たくさんの方々が大変力強い、頼りになる御発言をいただけたというふうに思っていると思います。  しっかりと大臣に頑張っていただきまして、私どももしっかり支えてまいりますので、大規模な補正予算を始め、しっかりとした公共事業予算の確保に向け、何とか夢がかなうようにお願いをして、私の方からの質問を終えさせていただきます。  ありがとうございました。
  39. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 国民民主党の増子輝彦でございます。  大臣所信と一連の台風大雨災害等についての質問をさせていただきたいと思います。  今日は大変晴天で、朝大変冷えました。今被災地の方では、厳しい環境の中で復旧に向けて全力を挙げて頑張っております。様々な課題がたくさん今出てきていることは大臣もよく御存じだと思います。  昨日も長野に出向いていただいた。この発災以来、各地に足を運んでいただいていることを大変御礼を申し上げると同時に、私も、地元福島を中心として時間のある限り一生懸命被災地をお邪魔をしてお見舞いを申し上げ、いろんな方々の要望を聞いてまいっておるところでございます。  先般、参議院予算委員会の中で、大臣にも、あるいは総理にも、激甚災害指定の早期の実現と、さらにその工事期間の猶予ということについてのお願いもして、これも大変、指定をしていただき、猶予についての明快な回答もいただいたこと、また御礼を申し上げたいと思います。  特に、今も最後の部分で話がありましたとおり、被災地に国交省国土整備各局からたくさんの方々に入っていただいていること、本当に私もうれしく思っています。一昨日も南相馬の真野ダムの近くとか、あるいは相馬市の小泉川の氾濫の地域のところとか、近畿整備局やあるいは中部整備局の職員の皆さんが一生懸命現地調査をしながら頑張っておられましたので、私からも御礼を申し上げながら、引き続きしっかり対応を頼むということもお願いをしてまいりました。いろんな課題があります。  そういう状況の中で、この災害がなぜ起きてしまったんだろう。もちろん自然災害ですから防ぎようがありません。しかしながら、本当に我が国が今日まで災害対応することについては様々な対策も取ってきたことも事実であります。しかし、自然の力は我々が考える以上の大きなものがあるということについて、私たちはもう一度しっかり考え直していかなければいけないんではないだろうかと。後でまた質問の中に入れてありますが、単なる国土強靱化とか、あるいは様々なインフラの整備のところにだけ力を入れて果たしていいんだろうかということも、我々に今回の一連のこの災害の中で私は突き付けられたんではないだろうかというふうに思っているんです。  特に、福島県を中心とした東北の方は、あの三・一一から八年八か月に入りまして、ようやく一つの方向性が見えてきたかなと。経産副大臣のときも、よく福島にも宮城やあるいは岩手にも足を運んでいただきました。そういう意味では、経産副大臣としてあの三・一一の現状もよく御存じの赤羽大臣、今後の防災対策も減災対策も含めていろんなことをやっていただかなければなりません。  そういう状況の中で、今回のこのような被害が甚大になったこと、やっぱり自然の力ということに対しての様々な対応も必要ですが、しっかりとここは検証していかなければいけないんではないだろうかと。具体的な対応策は、まずその原因をしっかりと我々が検証しなければ、これは対策もできないんではないかというふうに思っています。  初歩的なことで大変申し訳ありませんが、大臣、このような甚大な被害になった原因はどこにあるのか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  40. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) まず、増子先生からテックフォースに対して御評価の、激励の言葉をいただいたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。また、災害からの復旧復興は与党も野党もないと思っておりますので、是非現場からの貴重な御意見、御指導いただけますよう、よろしくお願いしたいと思います。  また、私も、九月十一日に就任以来、この台風十五号、十七号、十九号の一連の災害と、加えて近年の激甚災害の被災地、多分延べですと二十道府県に行かせていただきまして、認識は増子先生とほとんど一緒だと思いますが、やはり近年の気温の変化とか気候変動によってやっぱり災害激甚化そして頻発化し、その結果、被害が大変甚大化していると。これはもうそうした認識で考えなければいけないんではないかと。これまでも様々な防災・減災対策は取ってきたと思いますが、そうしたスピードが、この気候の変動により、災害の変化に追い付いていなかったんではないかというふうに思っております。  そうした観点から、昨年の四月に国土交通省内に気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会というのを設置させていただいて、将来の降雨量河川流量洪水発生頻度がどの程度増加するかについて有識者、専門家の皆さんに検討をいただいてまいりまして、先月の十月十八日に提言がひとまず取りまとめられました。この中には、ちょっと少しだけ御紹介しますと、気温が二度上昇した場合は、降雨量全国平均で一・一倍、河川流量全国平均で一・二倍と、洪水発生頻度が全国平均で二倍になるというような示され方をされております。  こうしたことを受けて、どうした防災対策、減災対策治水対策等々取らなければいけないかということで、同日、社会資本整備審議会に抜本的な防災・減災対策の見直しを諮問したところでございます。  私、思っているのは、そうした新しい災害の規模に合わせたハードの対策もやらなければいけないわけでありますが、これハードだけではなかなか十分じゃないと思います。やっぱりハード、加えてソフト、そしてできれば公助に加えて自助、共助、やっぱり自分の身は自分で守る、地域で守り合う。先ほどマイ・タイムラインというような御指摘も出ておりますが、いざというときのマイ・タイムラインをどう作っていくのかということも大変重要だと思いますし、また、これ、官の世界だけではなくて、やっぱり官民合わせてですね、力を合わせていかなければいけないと。数多くの企業の皆さんにビルの下に雨水の貯留施設等々を協力いただいたりしておりまして、大変今回も効果があったというふうに思っておりますので、こうしたことを踏まえた上でしっかりとした対策を取っていかなければいけないと。  ちょっと直接お答えになっていないかもしれませんが、なぜ起こったのかというと、整備は進めているものの、その途上でやられた箇所もありましたし、その整備をしたことによって守られた箇所もあって、私は一定のハードに対する効果というのはあったと思いますが、それを上回る災害であったということも事実であって、そうしたことを俯瞰して考えていかなければいけない、対策を取っていかなければいけないと、私はそう思っているところでございます。
  41. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 ありがとうございます。  温暖化対策が不十分だったということは我々の共通の認識だと思います。先般の予算委員会の中でも、私も総理にもお聞きしました。大変遅れてきたんではないかと。総理はその答弁の中で、非連続のイノベーションを起こすことで究極の脱炭素社会に向けて世界の取組をリードしてまいります。言葉はいいんですが、これ、具体的にどういうふうにしていくかということが我が国に求められていると思うんですね。  台風発生の場所が変わってきました。台風のコースが変わりました。従来は、沖縄や九州の皆さん台風銀座と言われるような形の中で常にこの台風災害に遭ってきたものが、近年は関東、いわゆる東海から関東、東北にこのコースが変わってきたということもあるわけであります。そういう意味では、是非、温暖化対策は、国交省はもちろん、国を挙げて全力でやっていかなければいけないと思っているわけです。  そういう状況の中で、まちづくりも問題だと思っているんです。私、先ほど話がありましたとおり、川幅を広げる、かさ上げをするということだけではなくて、やっぱり川の周辺に住むということについての意識の、やっぱり私は変えていくことが必要だろうし、土砂崩れが起きそうなところにどんどんどんどん団地が造成されていくというような、このことも今後改めていく必要があるんではないだろうかと。やはり水防対策というのは極めて今後の日本にとっても重要ですから、今いろんな御答弁いただきましたが、しっかりと対応していただきたいと思っています。  そして、治水対策、強靱化、これもやっぱり大事ではあるけれども、本当に、先ほど申し上げたとおり、堤防のかさ上げとか河川の川幅を広げるとか、そういういろんなインフラの整備だけではない、まさにハードとソフトを組み合わせた形の中で治水対策や強靱化というものをやっていかなければいけないんではないかと。国を守る、人の命を守る、そういう意味では、国土を守るということは、極めて国交省が一番やらなければいけない重要課題の一つですから、赤羽大臣を先頭にしっかりと進めていっていただきたいと思っています。  そこで、次に、今回の被害を受けた自治体との連絡体制は本当に十分だったんだろうかということが少し私心配になっています。県内各地を歩いていますと、やはり国と地方自治体と地域住民のこの連携が十分ではなかったような気がしているんです。  やはり、例えばダムの放出のときに、その知らせがいわゆる下流にいる方々に全く伝わってこないというようなことも、実は歩いていると言われました。警報は鳴るんですね。ダムの水を放出しますよと警報は鳴るんです。ところが、地域住民はそのことが分からないんです。テレビの中で、例えばダムがいわゆる放出を始めますということは知っても、一体それが自分たちのところにどういう影響があるかということがよく分かっていない。先日もそういう話を随分聞いてきました。  今回のこの災害を含めて、これからもそうですが、自治体と地域住民と、そして国交省を始め、そういう連絡体制をどのように改善していくのか、問題はなかったのか、このことについて、これは担当局長で結構ですから、お願いしたいと思います。
  42. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、災害対応においては、国、県、市、また住民が密接に連携し対応することが重要だというふうに考えてございます。  国土交通省では、台風第十九号の上陸の前日、十月十一日までに千葉県庁や横浜市を始めとした十八都県二十八市町にリエゾンを派遣し、情報連絡体制を構築いたしました。また、洪水の危険が高まり始めてからは、洪水予報や水位周知といった水防法に基づく情報提供に加え、河川事務所長から市町村長へのホットラインで直接、水位状況氾濫の危険性を説明するなど、自治体との綿密な情報共有に努めてきたところでございます。  しかしながら、先ほど御指摘ございましたように、水害時においては、気象や河川などに関する情報が自治体や住民に確実に伝わり、正しく理解されることが極めて重要であります。このような中で、先ほどダム放流等、今回の台風においても、情報の伝達において幾つかの課題もあったところでございます。  災害対応については、毎回の振り返りが重要だというふうに考えてございます。このような課題を次の災害対応に生かすことが重要であり、現場の実態をよく確認して要因を検証し、改善策をしっかり検討してまいりたいというふうに考えてございます。
  43. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 幾つかあったじゃなくて、たくさんあったんですよ。そこは五道さん、よく頭の中に入れておいてくださいね。やはり、国交省なり国が自治体に言っても、それが、自治体が地域住民によく伝わらないと、実はなかなか避難することもままならないということがあるんです。  今回で特徴的なことは、大雨がやんだその後に実は川の増水が一気に来たんですよ。それによって堤防決壊氾濫したということによって逃げ遅れた方々もたくさんおられる。雨がやんだから、私は自宅にいるからあなたたちは避難しなさいという高齢者が随分いました。その方々がたくさん亡くなりました。こういうことも含めて、これからのこの周知徹底、非常に重要なんですね。  このことを是非もう少しきめ細かく、今の千葉の例だけを挙げましたけれども、千葉だけではないんです、この話は。全国津々浦々、今後の防災対策も含めて、災害起きたときはしっかりとこのことをやっていただかなければなりません。よろしくお願いしたいと思います。まあハザードマップの問題も似たようなものですが、これらも含めてしっかり対応していただきたいと。  そこで、もう一つ重要なこと。我々がずっと歩いていると、大きな問題はやっぱり川底が全くしゅんせつされていない。あの川底さえもうちょっときれいにしてくれたら、かなりその水の量の、のみ込む量が多くなってあふれることもなかったろうし、場合によってはバックウオーターもなかったんではないかという声がたくさんあります。  特に福島県は、御案内のとおり、放射性廃棄物という形の中で川底にある様々な、そのいわゆる土や草木がなかなか今まで取り払うことができなかったという事例が、これは大きな川だけではなくて支流関係の中小河川にいっぱいありました。本当に言われました。増子さん、何で川底もっと早くしっかりと払ってくれなかったんだと。これさえやってもらえれば、こんな大災害にはならなかったという声が非常に実は聞こえてくるし、切実な話として実は来ているんですね。  ですから、この川底のしゅんせつの必要性、これ極めて、これは福島だけではなくて全国各地に大変重要だと思っています。大きな川、多少大きめの川でも、真ん中に島ができて、そこに草木がおうおうと茂っているという事例がたくさんあることはよく皆さん御存じだと思います。  この川底をしっかりと今後払って、しゅんせつをして、川がもっと生き生きと、水が大きく流れ込むような体制ができるかどうか大事だと思います。このことについての見解をお伺いしたいと思います。
  44. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  今回の出水では、河川堤防決壊河川からの越水によって広範囲で甚大な浸水被害発生したところでございます。治水対策においては河川水位を低下させることが最も重要でございまして、比較的早期に対策が可能である河道の掘削は重要な手法の一つであると認識しているところでございます。  このため、国土交通省では、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策等により、堤防強化等と併せて河道の掘削について推進をしているところでございます。河道掘削に当たりましては、上下流のバランスや橋脚等の構造物への影響等、そういうことにも考慮しつつ河道掘削についてしっかり進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  45. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 ちょっと不十分ですね。もっと具体的に、こういう計画でやっていきたいというものを早く作ってもらわないと。また来るか分かりませんよ。大体、自分の方としてはそのことの声は聞いていませんか、川底の問題について。もし聞いているなら、速やかにこの対応をしっかりやってもらわなければなりません。  大臣、私の今の質問についてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。
  46. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 今局長からも答弁させていただきましたが、河道掘削は大変有効だと。用地買収の必要も当然ありませんし、すぐできる話だと思います。  このいわゆる防災・減災、国土強靱化の三か年でも、河道掘削と、あと木の除去というのを中心に捉えているところでございますが、国管轄とか県管理については進んでいると思いますけど、それ以外の中小についても、なかなかやっぱり地方自治体の予算等との問題もあるかと思いますので、先ほどの質問に御答弁しましたが、大切な公共事業の予算を確保しながら、そうしたことが全国でしっかり進捗できるように取り組んでいきたいと、こう思っております。
  47. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 しっかりお願いしたいと思います。  外国人への災害周知の必要性というのも、これもお互い認識しておりますので、是非このことについても、今後、予算委員会でも申し上げましたが、来年は東京オリンピック・パラリンピックもありますし、何よりも国交省の最大の目標である四千万人インバウンドを受け入れるという形を含めて、極めて外国人の皆さんに対する災害対応というのは重要だと思っていますので、このことはよろしくお願いをして、答弁は結構でございます。  そこで次に、災害ごみ、いわゆる今回出た災害の廃棄物、通称ごみですが、これで地域が物すごく今困っていますね。依然としてボランティアも足りないということと同時に、予想以上のこの廃棄物が出ているということ、私の地元郡山では、残念ながら、一番大きな焼却炉が水につかってしまって機能しないということもあって、浪江の仮焼却炉を使うとか、そういう対応も緊急にしておりますけれども、この災害廃棄物の処理の状況、現時点でどういうふうになっているか、環境副大臣お願いしたいと思います。
  48. 石原宏高

    ○副大臣(石原宏高君) 増子委員にお答えいたします。  台風十九号の被災により発生した大量の災害廃棄物については、現在、宅地や路上からの速やかな撤去を進めているところであります。当面、年内をめどに身近な仮置場からの搬出完了を目指しているところであります。  環境省では、被災直後の十三日から環境省職員延べ六百三十名を十一都県九十七市区町村に派遣し、また全国の自治体や関係団体の協力を得て、応援職員やごみ収集車両の派遣、広域処理先の確保などを実施しているところであります。さらに、防衛省・自衛隊やボランティアとの連携により、宅地や路上からの撤去を加速しております。  生活圏からの災害廃棄物を早期に撤去できるように、今後も現場目線で必要な支援を実施してまいります。
  49. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 しっかりお願いしたいと思います。  企業再建、またこれ極めて重要です。経産省としても、グループ化補助金はもちろんのこと、緊急に三千万円対応の中小企業対策もするということも昨日、梶山大臣が福島に入って表明されました。これをしっかりやっていただかないと、長期にわたって営業できないところが、再開できないところがたくさんあります。  副大臣、このグループ化補助金始め三千万の緊急対応、しっかりやっていただけますね。簡単にお答えください。
  50. 松本洋平

    ○副大臣(松本洋平君) これまで経産省といたしましては、今般の災害救助法が適用された地域、また、並びに激甚災害指定等もあった関係で、これらに対しての様々な支援策というものを講じているところでありますが、加えて、現在、被災地の生活、なりわいを支援する施策パッケージを早急に取りまとめるように総理からの指示を受け、経産省におきましても中小企業対策などの検討を進めているところであります。  早急に、今先生からの御指摘や、また生の声というものもしっかりと受けまして、対応してまいりたいと思います。
  51. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 特にグループ化補助金は、東日本大震災のときに民主党政権がつくって、共産党さんにも大変お褒めをいただいている制度でございまして、熊本、西日本、各地で使われていますので、しっかりと対応を願いたいと思っております。  農林水産大臣、大変申し訳ありません、時間の関係でちょっとお答えはいただかないかもしれませんが、農業対策も大変重要ですので、しっかりとお願いを申し上げておきたいと思います。  さらに、JR東日本を始め、今回JRが大変打撃を受けたということ、これらについてもいろいろ支援を地方鉄道も含めて行われるということも聞いていますし、昨日、大臣長野で代替バスの支援もしていくということも表明されましたので、これらの交通機関に対する支援もしっかりとお願いをしておきたいと思っています。  また、放射性廃棄物の流出、これ、石原環境副大臣、大変地域住民の皆さん心配をしています。九十袋が流れて、見付からないものが約三十近くあるということですので、これもう以前にも実はこういうことがありました。これらの問題についてもしっかり対応していただきますよう強く要望しておきたいと思いますので、しっかりとお願いしたいと思います。  それで、災害関係は、大変御答弁いただかなかった関係者にも申し訳ありませんが、これで終わらさせていただきたいと思います。  大臣、ライドシェアとタクシー運賃引上げについて、質問を変えたいと思います。  ライドシェアについては、赤羽大臣も、あるいは前石井大臣、太田大臣、公明党関係の大臣も一貫して認めないと、こういう白タク行為は認めないということはずっと言っていただいております。もちろん、赤羽大臣も、その見解も先ほどの衆議院の国土交通委員会でおっしゃられていましたが、改めて私の方からもお願いしたいと思いますが、このライドシェア、あってはならない、適正にきちっとやっている業者ではないということも含めて、赤羽大臣のライドシェアに対する見解、これは認めることはできないということも含めて御答弁をお願いしたいと思います。
  52. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 交通の大前提は安全であります。ですから、このいわゆるライドシェアは、運行管理や車両整備等につきまして責任を負う主体を置かないままのビジネススタイルでありますので、こうしたことは認めるわけにはいかないと、全く変わっておりません。
  53. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 ありがとうございます。  と同時に、やっぱりタクシー業界にも自助努力をしっかりしていただかなければならないということも当然です。私たちも、そういう意味では、公明党、自民党の議連の皆さんとも連携をしながら、私も野党の議連の会長をさせていただいておりますので、しっかりと業界が健全な形でこれからも成長するように、そして国民の足に十分対応できるようにしっかりやっていただきたいということも強く申し上げておきたいと思っています。  それからもう一つ問題は、このタクシー引上げ運賃ですね。これについては、突然こんな結果が出たということも大変厳しい現状に業界はあるわけであります。大阪も、長年、実はこの問題については我慢に我慢を重ねて、自助努力をしながらやってきたという経緯もあります。札幌も同じであります。全国四十八ブロックそれぞれがしっかりとやってきたにもかかわらず、突然このような形になってきてしまったということ、我々も不可解でなりません。一部の民間議員が様々な会議でいろんな思惑を持って働きかけたのではないかという推測もあるわけでありますが、私どもとしては、しっかりと地域交通機関としてのこの足を確保する。今回の災害でも、タクシーが大変その大きな役割をしてくれたということも当然大臣も御存じだと思います。  四十八運賃ブロックに関わる地域において、運賃改定を短期間に二回行うことが利用者に負担や混乱を生じるおそれがあることから、地元運輸局と鋭意協議、調整の上、消費税を転嫁する運賃改定と通常の運賃改定を同時に実施する予定で取り進めてきて、十分話合いがあり、働き方改革も含め、地域住民、地域のためにもやるということであったわけですが、突然これがストップが掛かってしまったということ。  大臣、これは今後速やかにやはり協議をしっかりと更に進めて、一日も早く運賃の引上げということをする必要があるのではないかと思いますが、大臣の見解をお願いしたいと思います。
  54. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 高齢化社会がどの地域でも進んでおりまして、高齢者の皆さんが免許証を返還するといったことも増えております。そうした中で、受皿となるのは公共交通機関、その公共交通機関の支えたくても大変難しい問題でありまして、タクシー業界の皆様には様々な御貢献もいただかなければいけないと思いますし、今、増子先生お話ありましたように、今回の災害でも大変な御尽力もいただいたのも事実でございます。  そうした御苦労の中で、やっぱりタクシー業界、高齢化が進んでおりますし、若い人がしっかりとこの業界に入ってきて誇りが持てるような業界にしていかなければいけないというのはタクシー・ハイヤー業界の皆さん自身が思われているということだと思いますので、そうした思いとか、最近のアプリ化とかジャパンタクシー化とか、大変御努力もされていることは評価しながら、そうした思いに対して、そうしたことが継続できるようなバックアップ体制はしなければいけないと、こう考えております。
  55. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 しっかり今後、消費者庁も今日来ていただいていますが、変な形の、協議の持ち回りの結果というような形ではなくて、よく国民の皆さんにも理解されるような形を取っていただかなければなりませんので、それぞれ関係機関、よく話合いを進めながら、一日も早くタクシー運賃引上げ等についてもしっかりと対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  質問を変えます。  建設職人基本法について、これは二年前の実は議員立法で超党派で成立をさせていただいて、その上で基本計画が今しっかりと練られているところであります。  大事な点が一つだけございます。これについては、国土交通省直轄工事における足場における手すり先行工法の割合はどのぐらいあるのか。これは、ほぼ私は八〇%、九〇%あると認識をしております。一方で、民間はなかなかこのことについて対応ができていない。民間の関係の業者、いわゆる団体が言うのは、公共事業も十分なされていないということをよく最近おっしゃっていますが、国交省の方で、この直轄工事について手すり先行工法の割合はどのぐらいあるのか、お答え願いたいと思います。
  56. 東川直正

    政府参考人(東川直正君) お答え申し上げます。  国土交通省では、平成十五年度の土木工事共通仕様書におきまして、仮設工の施工に当たって適用すべき諸基準の一つとして、平成十五年に厚生労働省が策定いたしました手すり先行工法に関するガイドラインを位置付けているところでございます。このため、国土交通省直轄工事におきまして、積算に関する実績でございますけれども、調べましたところ、平成二十九年度発注工事におきまして、地面から立ち上げる足場の場合の約七割の箇所で手すり先行型枠組み足場を採用しております。  一方、残りの三割の箇所でございますけれども、足場の接地面が平たんでない場合、あるいは勾配のあるのり面である場合など、手すり先行工法の採用が困難と考えられる現場でございまして、この場合は単管足場又は単管傾斜足場の積算を採用しているところでございます。
  57. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 時間が参りましたので終わりますけれども、人の命の大切さというのは、このいわゆる手すり工法を設置することによって、年間二百五十人とも三百人とも言われる墜落死を防止するには極めて重要な、有効な私は工法だと思っていますし、超党派で議員立法で委員長提案で成立をさせたという重いこの法案でもありますから、しっかり大臣にも認識をしていただいて、このことについては更に民間業界にもこのことを勧めていただけるようお願い申し上げたいと思います。  質問できなかった関係者の皆さんにおわびを申し上げながら、今日の質問を終わります。  ありがとうございました。
  58. 長浜博行

    ○長浜博行君 先ほど来いろいろ名前が出ております千葉県の長浜博行でございます。  赤羽大臣大臣就任おめでとうございます。ラグビーで鍛えた強靱な肉体で頑張ってください。よろしくお願いします。  今日も国土交通行政と災害、これは本会議の総理への代表質問でもこの間やりましたけれども、やっぱり初動の遅れ、千葉県の場合はどうしても十五号なんですけれども、初動の遅れがあったのではないかという質問に対して、私は大変不十分な答えであったように思います。  これは、八日から九日、九月のですね、かけて十五号が房総半島の方にやってきて、そして大臣が組閣になったのが十一日ですから。ですから、まあ十日に内示があったのかどうかよく分かりませんけれども、九日、十日、十一と、こういう状況の中において、石井大臣から赤羽大臣、前大臣から赤羽さんにどういう申し渡しといいますかがあったのか。現実には、私は大変不可能な状態が想像できたんだと思いますけれども、大臣になられて、あるいはなる直前ですね、一日前の、この状況と十五号は大臣はどのようにお感じになったんでしょうか。
  59. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 私、大臣、自分がなるとは全く思っておりませんでしたし、実際、余り細かいことはあれですけど、前日の夕刻にその話がございまして、十一日はその就任の様々な手続が行われて、夜十二時ぐらいまで記者会見で一日を終えたということでございます。  石井さんからもその引継ぎの中で様々な話はありましたが、私も、先ほどから申し上げておりますように、阪神・淡路大震災以来、災害が起こったら現場に行かなければいけないということを指示しまして、十一日の夜、最終が終わる以前に、ちょっと現場台風十五号の被災地に行かないと実態がよく分からない部分があるということで、十二日は、横浜の本牧の橋がやられていましたのでそこに行き、そして、翌々日の十四日に、千葉県の館山市ですとか、千葉市内にまず行って、館山市に行き、袖ケ浦に行きという、あと君津市ですか、そういう現場に行かせていただきました。  私自身は、就任直後から全力でやりながら、その現場に行って改めて認識したのは、地方整備局、関東整備局が従前から被災自治体とのホットラインというのを結ばれていて、台風が来るという見通しの中で、来る前からそれぞれの首長と地方整備局の局長が連絡を取り合っていたということについては、大変有り難く、感謝をされました。また、そうしたことの中からそれなりに、私も、そうしたことがされているというのは就任してから認識したところもあって、そうしたことのリエゾン体制とかホットライン体制ができているということには、随分、前からの体制とは随分改善されているなということは認識をしたところでございます。  以降は、やっぱり現場に行きながら、当初は停電ということが一番大きな話だというような受け止め方がありましたが、私自身は、館山等々を回っていて、やはり一部損壊というか、住宅の損壊が結構広範囲に広がっているということは目視して分かりましたので、倒木によって電線が支障して電柱が倒れるといったことも国土交通省の所管では大変大きなテーマでありましたが、同時に、やっぱり次は住宅に対しての支援をしなければいけないということで、内閣府の防災部局にも連絡をして、この一部損壊の扱いについてやっぱり相当特段のことをやらないと。屋根がやられたところは、一五%で一部損壊という話のままだと具体的な支援が行われないというようなこともあって、様々な検討をさせていただいて、準半壊ということで災害救助法の家屋の修理の対象にさせていただいたり、また、山形県の鶴岡市ですとか新潟県の村上市で取ったように、被災自治体が独自で修理制度を出せば、実質的には国土交通省が二分の一、残りの二分の一は総務省の特別交付金でやるというような体制も取らせていただいたところでございます。  しかし、災害についての初動がどうだったかということは、私は不断に見直しというか総括をしなければいけないと思っておりますので、長浜さん、地元で、地元選出の議員さんでありますので、地元の皆さんから見て初動体制具体的にこうだったという御指摘があればしっかりそれは受け止めて、次なる災害に対して改善をしていかなければいけないと思っておりますので、また引き続き御指導をよろしくお願いしたいと思います。
  60. 長浜博行

    ○長浜博行君 内閣防災担当ともよく連絡を取り合いながら、いつ起きるか分からない災害に備えていただければというふうに思うわけでございます。  先ほど来お話がありましているとおり、やっぱり異常気象は地球温暖化と随分関係がするということは立証されているところでありますので、大臣自身も地球温暖化対策推進本部の一員でありまして、今開催されているかどうかは分かりませんけれども、この全内閣で取り組む大変大事な課題だというふうに思っておりますので、特に、事業官庁である経産はもちろんですけど、国土交通や農水、これは、別に地球温暖化は外務省と環境省がやっていることではありませんので、是非積極的に御関与をお願いをしたいというふうにも思っております。  地元の問題としては、気象庁について伺いたいというふうに思います。  気象大学校は私の柏にあるものですから、石井前大臣と私も出席をしている入学式で、大変有為な人材がどんどん入っていっている気象庁でありますけれども、まさに、気象を予想して、一体この後何が起きるのかという役割を果たす意味では大変重要だというふうにも思っております。  平均気温が三度以上高くなると、海面水温の上昇などにより日本の南海上を猛烈な台風が通る頻度が増発をするということを気象庁の気象研究所が予測をしております。また、平均気温が一度上昇すると大気に含まれる水蒸気量が七%増えるというふうにも言われております。ですから、三度上がるとどういった状況になるのか。  今回の、もう十五、十九、二十一、あるいは低気圧の接近に伴って雨台風であったり風台風であったりというような状況の変化があったわけでありますけれども、去年の、去年も西日本中心豪雨があったわけでありますが、八月に気象庁で開催した異常気象分析検討会において、同年夏の顕著な高温及び豪雨の背景には地球温暖化の影響があったとの見解を公表されているところでございます。  そこで、気象庁が行っている観測データを分析していくと、今後、去年あるいは今年起きたようなこういう異常気象に伴うところの甚大な災害がどのように起こるというふうに認識をされているのか、気象庁長官にも来ていただいておりますので、御答弁をいただければと思います。
  61. 関田康雄

    政府参考人(関田康雄君) ただいま地球温暖化と豪雨あるいは台風についての御質問というふうに理解させていただきました。  近年、豪雨災害をもたらすような短時間強雨は、もう既に増加の傾向が見られます。一時間当たり五十ミリ以上の短時間強雨、これは一九七六年から一九八五年の十年間と、それから二〇〇九年から二〇一八年の十年間を比較しますと、発生頻度は約一・四倍に増加しております。  また、台風につきましては、これまでのところ、実は発生数やそれから日本への上陸数については特に傾向は見られないということでございますが、気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告書によりますと、地球温暖化の進行に伴い、台風などの熱帯低気圧の強さが増す可能性指摘されているところでございます。  また、短時間強雨につきましても、気象庁が発表しております地球温暖化予測情報第九巻によりますと、温室効果ガスの排出が高いレベルで続く場合、今世紀末には二十世紀末と比較して一時間当たり五十ミリ以上の短時間強雨の発生頻度が二倍以上になるという予測が出ているところでございます。  このようなことから、地球温暖化への対策が喫緊の課題であるというふうに認識しており、気象庁では今後とも、地球温暖化の対策に資する気候変動の監視、予測情報の充実強化を行い、その情報発信に努めてまいりたいと考えております。
  62. 長浜博行

    ○長浜博行君 今年三月二十五日以降に、気象庁では緊急記者会見を開催する際に手話通訳者を試行的に配置することとされていると思います。これは、聴覚障害をお持ちの方が地震などの防災資源に接する際のアクセシビリティーの向上を図ることが目的とされておりますが、一部の放送で、せっかく手話通話が試験的に実行されながら放映されていなかったというようなことも伺いますけれども、この本格導入に向けての対応はどのようにお考えでしょうか。
  63. 関田康雄

    政府参考人(関田康雄君) ただいま御質問いただきましたとおり、この三月から、気象庁が行います緊急の記者会見、これ、災害発生した場合、あるいはするおそれがあるような場合に行うものですが、こういった場合に聴覚の障害をお持ちの方にお伝えするために全日本ろうあ連盟の御協力を得て手話通訳者を配置しているところでございます。  今御質問いただきましたような事情についても承知はしておりますので、これからテレビ局等に働きを掛けて、できるだけ手話通訳の模様が放送されるように努めてまいりたいと思っています。  あわせまして、今後も、全日本ろうあ連盟、報道機関の皆様と御協力し、聴覚障害者の御意見も伺いながら、聴覚障害の方に即時的に我々の情報が伝えられるよう努めてまいりたいと考えております。
  64. 長浜博行

    ○長浜博行君 よろしくお願いします。災害のときは特に社会的弱者に対する配慮が一番重要な部分だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。  台風十九号の大雨のときに、テレビでよく出る北陸新幹線の車両が水につかった事例があります。全国にある新幹線の車両基地と留置線、計二十八か所のうち十六か所で、全てかあるいは一部がハザードマップ等に示された浸水想定区域内にあることも今言われているわけでございます。  浸水の影響の大きさとか対策の有効性などについて、国交省は鉄道事業者に検証をさせているというふうに伺っておりますが、どのような問題意識を持っておられますか。
  65. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 今回、長野新幹線車両センターにおいて列車十編成が浸水したことによりまして、長期間にわたりまして北陸新幹線が途絶してしまったことに対し、まず心からおわびを申し上げたいと思います。  私も、昨日、現地視察をしてまいりました。当時も、低い、どうしても駅の近くの相当広大な土地で見付けなければいけない、山の上にそういった車両センターを置くということはなかなか難しいということもあって、土地を、今の現状のところをやったときに、やはり浸水想定をされて、二メートル、約二メートルの盛土を上げてやられていたというのは、現場も見させていただいたわけでございますが、それを今回ははるかに上回る形で、新幹線の中も入りましたが、大体座席のところぐらいまで水が入っているというような状況でございまして、一番この事案について大切だったと思うのは、なるべくこの予報を見ながら、予報が出たときに、早期に車両の撤退というかをどうしてできなかったのかということが一番の大きな課題だと思っておりますので、そうしたことを踏まえて、これ、マイ・タイムラインということでそれなりに作っていたんですけど、マイ・タイムラインは乗客の皆さんをどう誘導するかとかというようなことの中身であって、その待機している車両の退避云々ということは言及されていなかったので、そのことについても含めてもう一度見直すようにということを全国鉄道事業者に指示をしたところでございます。  以上です。
  66. 長浜博行

    ○長浜博行君 今おっしゃられたように、昨日は長野、御苦労さまでございました。  実は、千葉県でも、小湊鉄道というのがございまして、上総牛久から上総中野までが現在運休をして、まさにバスによる代行輸送を行っているところなんでございますが、この千葉県の鉄道にも御配慮はいただけますのでしょうか。
  67. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 千葉の、小湊鉄道ではありませんが、もう一つのJRの現場も視察、一番最初に行かせていただきました。やはり地方の鉄道は、特に高校生の通学の足になっていることが多かったり、高齢者の皆さんにとっても大変重要な足でございます。  残念ながら鉄橋が落ちたところについてはそれなりに時間が掛かってしまいますが、それ以外の事案については、そのことについても一日も早い復旧復興を目指すとともに、今、代替の輸送のバス、随分出していただいて、昨日も、具体的に随分費用も掛かるということでございますので、国としてできる限りの支援を踏み込んでするということはお約束させていただいたところでございまして、千葉県の小湊鉄道も、ちょっと今、私、具体的な資料持っておりませんが、そうした事案に当たれば同様のことはしっかりとさせていただきたいと思っております。
  68. 長浜博行

    ○長浜博行君 千葉県は、警戒区域の指定率が全国で突出して低くて、本年二月時点での国交省による指定状況調査によりますと、都道府県が危険と判断した対象地域のうち土砂災害警戒区域に指定した割合、これを指定率と呼んでいるらしいんですが、全国平均の八三・九六%に対して千葉県は三三・〇七%と、豊田さん、最下位、最下位となっておるんであります。  一般論としてですけれども、全国平均より低い地域というのをどのようにお考えになっておられますか。
  69. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) この千葉の件につきましても、なぜこのように進んでいないのかということを確認させていただきました。これなかなか、土砂災害警戒区域の指定というのは、その地元の住民にとっていろんな御意見があって、なかなかそこを取りまとめるというのは簡単ではないということも私たちも承知をしております。  千葉県からの説明は、地元住民とか関係者の皆さんに、より丁寧な説明をされているんだということでございますが、こうした災害が大きくなる中で、この指定を速やかに進めていただかなければなかなか今後の新しい対策も取れないのではないか、いろんな影響、支障を生じるのではないかと思いますので、是非、長浜先生からも県に督促をしていただければ大変有り難いと思います。
  70. 長浜博行

    ○長浜博行君 全くおっしゃるとおりで、そういう見方もありますけれども、逆に言えば、住民への危険性の周知が不十分な地域であるということも言わざるを得ないというふうにも思うんですね。  ですから、大変今回の、温暖で安心な地域千葉県が今回の台風によって被害を受けている状況の中において、基本的な問題意識から変えていかなければいけないというふうに思っておりますので、これもまさにタイムラインの先ほどの例で、資料十五というのを、自民党さんの議員の、参考にするわけではありませんけれども、やっぱりここで都道府県がこの図からいえば抜けているわけですね。国があって市町村があって関係機関がありますけれども、やっぱり三層構造で自治体、日本国成り立っておりますので、この部分は是非国土交通省からも御指導を賜ればというふうにも思っております。  そして、日本国の表玄関であります成田空港が存在をしております。成田空港も台風十五号直撃で、いわゆる飛行機は到着をできるんですと、ただ、到着をしたはいいけれども、そこから東京に向かうJR、あるいは京成、それからバスですね、こういった交通手段が閉ざされて、一時は一万三千三百人も空港内で一夜を明かされたという状況でありますので、確かに、民間の航空会社、民間の鉄道と言ったらいいんでしょうか、国がやっているという意味じゃないところにおいても、やっぱり国交省がある程度この間に入って指導していくという体制も必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  71. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 本年のあの成田空港の事案もしかりですし、昨年の関西国際空港連絡橋が途絶したときも大変な多くの利用者の皆さんが滞留した、それもなかなか情報がよく分からないような状況で、連絡橋が途絶したことによってその脱出も大変だったということがありました。  こうした反省を踏まえまして、空港管理者等を中心として、空港全体の総合対策本部、こうしたものを、航空会社も何社もありますし、空港会社もあって、我々も関与し、地元もある、そうしたところで同じテーブルをつくらなければいけないということで、総合対策本部を早期から設置をしまして、アクセス交通事業者を含んで空港関係者との情報共有を図るということをさせていただいております。ですから、今回のときは、着陸を禁止するとか、成田に着いてもそこから動けませんよというようなことは、前回うまくいかなかったので、そうしたことは初めて取り組んだりとかしております。  加えまして、訪日外国人のお客さんにとりまして、まあ日本人でも災害情報というのは大変不安であるわけでございますので、SNS等を最大限に利用して、多言語で皆さんにその情報が共有できることもしっかり進めなければいけないと。これなかなか、今一生懸命やっていまして、SNSも、JNTOが立ち上げたSNSが実は一年間余りフォロワーが少なかったんですけど、この十月のいわゆる台風の一連の中で三倍に増えるような形で実質的な利用をしていただいているケースもございますので、こうしたことも基に、関係者集めて、先日、観光庁で災害時における……
  72. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 申合せの時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
  73. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 済みません、申し訳ない。  情報共有をどうするかという検討会も立ち上げたところでございまして、しっかりとした答申を作れるように頑張りたいと思っております。
  74. 長浜博行

    ○長浜博行君 来年はパラリンピック、オリンピックございますので、ひとつよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  75. 野田国義

    ○野田国義君 野田国義です。どうぞよろしくお願いいたします。  私からも、今質疑があっておりますけれども、八月、九月、十月と、本当に日本列島が豪雨、暴風に見舞われて甚大な被害が出たということでございまして、被災者の皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、また、一刻も早い復旧復興に向けて与野党なしに努力をしていかなくてはいけないと思うところでございます。  地域を回っておりますと、今回本当に大きな被害がたくさん出たんで、今後の我が国の予算は大丈夫かと、お金は大丈夫かと、そんなことをよくお聞きするわけであります。  そしてまた、もう一つの感想といたしましては、九州、今回も被害ありましたけれども、東日本の方に被害が多くあったということでございまして、慣れていない地域に今回そういった豪雨、暴風が来たということでございまして、そういった対策等もしっかりやっていかなくてはならないという教訓ではなかろうかということを最初に申し上げたいと思うところでございます。  それで、ライドシェア導入をめぐる問題についてということで、増子議連の会長の方からも話がございました。私からも、政府・規制改革会議等で検討されているライドシェアはまさに白タク行為であり、断じて容認することはできないと、また、責任の所在もはっきりしないわけでございますので、断固として私自身も反対をするということを表明させていただき、また、大臣からも先ほど御答弁いただきましたのでこれは割愛させていただきたいと思うところで、答弁はもう結構でございます。  それから、鉄道、今回の災害におきましても、鉄道、大きな被害が出ております。福岡の方におきましては、御承知のとおり、日田彦山線、これをどうするかということで、地元の自治体とJRとで県も巻き込んでいろいろな論議がなされているということでございます。  また、そこで感じますのは、昨年の通常国会において鉄道軌道整備法が成立し、従前の赤字事業者の赤字路線に加え、黒字事業者の赤字路線を対象としたと、なったと。国が四分の一、地方自治体が四分の一であるということでございますけれども、これ、第三セクター等も多いわけでございますんで、そうしますと、ある意味では、国が四分の一出していただくわけでありますけれども、四分の三はある意味でのその事業者というか地元の方になっていくということでございまして、非常にそういう意味からいたしますと、その事業者がなかなかこれ復旧復興をする、また、路線を維持していくということが厳しい状況にあるのも事実でございますので、国の更なる支援をお願いをしたいと思っているところでございますが、いかがでしょうか、大臣
  76. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 御質問ありがとうございました。  先ほどから申し上げておりますが、地方にとって鉄道はやはり毎日の生活の足そのものであって、昨日も上田電鉄としなの電鉄の事業者の皆さん、また、地方自治体の首長の皆さんともお話しさせていただきました。  今先生指摘のように確かに三セクになっているところが多くて、言われているように、地方自治体の、結局は鉄道事業者のところが地方自治体の負担になるということも事実かと思いますので、今はこの法改正をしたばかりでございますが、これにのっとりながら、やりながら、全体のパッケージで復旧復興がどう進むのか、ぎりぎりのところで知恵を絞れたらいいなというふうに思っております。今の御質問をしっかり重く受け止めて検討したいと思います。
  77. 野田国義

    ○野田国義君 どうもありがとうございます。しっかりとした支援を、更なる支援をよろしくお願いしたいと思います。  それから、鉄道でございますけれども、新幹線問題、私、福岡でございますんで、この長崎ルート、御案内のとおり、いろいろ、フリーゲージトレインですか、これが断念に追い込まれたということでございまして、いろいろな動きがある中で、先日ですか、二十八日ですか、十月、山口佐賀県知事と赤羽国交大臣が面談をされたと、会談をされたということでございますが、その中身についてよかったらお聞きしたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
  78. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 二人の対談、二人きりで会おうということでしたので、余りつまびらかにということはありませんが、実態はちょっと短時間で、私、初めて、その前に佐賀の六角川の災害対策の件でお邪魔したときは、国としての支援ができることという、そのやり取りはありましたが、このいわゆる九州新幹線についてお話しするのは初めてでございまして、地元の御理解をまず得なければいけない、その前に地元の佐賀県の知事が何を思っているのかということもまだ聞いたこともありませんでしたので、虚心坦懐に、率直にお話を聞かせていただきたいということで話をさせていただいたところでございます。  それについて、私は一つ一つについては何も申し上げませんでしたが、私から申し上げたのは、やはり国交省の立場としては、高規格ネットワークをしっかりとやっぱり張るということが非常に国益に、また国民益にも沿うものだというふうに考えているということと、やはり佐賀県知事も若いんだから、これから長期に県知事を行うんだと思いますので、しっかりと中長期的なことの視野に立って結論を出していただけないでしょうかというような話をし、最終的には、こうした率直な議論、佐賀県の思いというのは今までちょっとよく分かりかねたところがありますので、こうしたことを繰り返しながらお互いいい知恵を出していきましょうということで終わったのがこの前の会談でございました。
  79. 野田国義

    ○野田国義君 それから、私、いろいろこのことに関しましては、市長時代も佐賀の首長さんといろいろ親交もあったものですから、いろいろなことをおっしゃっておった意見を聞いてまいったところでございます。  そういう中にあって、いわゆる新幹線が大動脈、いわゆる今、九州新幹線ができておりますけれども、そして今度は横断になるわけですね、長崎ルートになりますと。これをどうしていくかというような中で、読まれたかと思いますけれども、JRの初代社長でございました石井社長がこの間から、十月二十日ですか、西日本新聞に自分の意見を述べられたということでございまして、このことを非常に私は示唆に富む意見ではなかろうかなということで読ませていただいたところでございます。  そこで、私もフル規格でやらなくてはいけないと、そのように思っているところでございますけれども、しかしながら、山口知事を始め地元の自治体が反対いたしております理由というものは二つあるかと思っております。  一つは、もう今の、いわゆる博多に行くにしても、今の在来線でいいんだということなんですね。これを強く思っておられるということなんです。確かに、佐賀市辺りから博多に出る時間というのはもう短時間なんですね。ですから、そんなに新幹線まで使う必要はないということをおっしゃっているところでございます。それから、あとは予算の問題ですよね、そこまで使ってしなくてはいけないのかということの。この二点の問題。そして、新幹線ができたら、いわゆる在来線になって、それがまた大変になるんじゃないかとか、そういうことも思っておられるということでございます。  そこで、この石井いわゆる初代JR九州の社長でございますけれども、この方が提案されておりますのは、私もまさしく思っておったことでございましたので、非常に、ああそうだったんだと思ったんですが、いわゆる佐賀空港問題がこれは国交省としても大きくのしかかっていると思うんですが、ここは広い敷地があります。御承知のとおり、オスプレイ問題などでも今いろいろな論議が交わされているところでございますが、私は、オスプレイ問題よりも、やはり何といいましても、ここをハブ空港にしていくということ、このことが、私、福岡空港、昨日も福岡空港を利用して上京いたしましたけれども、しかし本当に超過密空港ということでございますので、その佐賀空港を拠点に北部九州の九州全体のハブ空港としての認識を持つということを思っているわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  80. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 石井さんのその記事は承知しておりますが、必ずしも現在のJR九州を代表する意見ではないわけでございますし、ちょっと地盤の問題等々もあってなかなか難しいんではないかと。もちろん佐賀空港をしっかり支えていきたいというのは私も思っておりますが、なかなかそんなに簡単に私が、はい分かりましたというわけにはいきません。先生の貴重な御提言として承りたいと思いますが、関係者の皆さんがしっかりとした意見を腹蔵なく言いながら、しっかりとした結論を導かなければいけないというふうに思っております。  佐賀空港をハブ化というのは、私の知る限り、まだ佐賀県知事も、少なくともこの前お会いしたときにはその話題も出ませんでしたので、そうした主張もちょっとまだあるのかないのかもまたもう一回確認をさせていただきたいと、こう思っております。
  81. 野田国義

    ○野田国義君 それから、ここにつなぐということは、いわゆるどこかにまた今の九州新幹線につないでいかなくちゃいけないわけで、そうなりますと、船小屋、筑後船小屋駅があるということでございまして、石井この初代社長の提言としてはそこにつなげと、そうすると、途中に柳川もあるじゃないかと、いわゆる西鉄も通っていますので、西鉄に乗り換えることもできると、そうすると、福岡空港で降りた方が一時間で佐賀空港にも行けるというような提言でございまして、まさしくこのことは、新幹線をフル活用して佐賀や長崎、そして福岡を浮揚させる大きなメリットが出てくるのではないかと。  この提言、非常に私は大局的な提言だと思うんですね。本当にこれから、いわゆるフル規格で造るならば、予算、お金をどうしていくかということが大きなテーマになろうと思いますけれども、そういった大局的な考えでこの新幹線問題やっていかなくてはいけないのではないかと、このことを述べさせていただきたいと。大臣もしっかり覚えていただきたいと思うところでございます。  それから、私ちょっと、六月だったでしょうか、最後の質問になったかと思いますけれども、前期のときですね、地元の方に国道三号線の八女―広川バイパスができるということですね。もう地元の議員は、国会議員、もうできたかのような発言をされておりまして、もう来年に線を引いて再来年には着工するんだと、そんなことが何か言われておりまして、私は非常にこれ危機感を感じております。恐らく、これ何百億と掛かるような事業になるのではないかと思っております。  それで、皆さんのお手元にお配りしておりますけれども、ルート的には、主要地方道久留米立花線、一般県道藤山国分一丁田線整備状況、上のライン、何と言いますか、しま模様の、これは皆さんが地元の方で予想されるようなことをおっしゃっておりますので、国交省に聞くとまだ全然決まっていないとか言うものですから、私がちょっと勝手にこれは入れさせていただいたような線でございます。  それで、大臣、見ていただければ分かりますように、この久留米立花線というのが今ちょうど整備しているんですね。ですから、この久留米立花線がまさしく三号線のいわゆるバイパス的役目を果たすと。私も八女市長を十六年間務めましたから、それでずっと陳情をしておったわけであります。  そして、もう一つ見てもらえれば分かりますように、その下ですね、いわゆる縦貫道、高速道路も通っております。そして、もっと西に行きますと国道二〇九号線も通っておりまして、まさしくもう現在で四本がこう、ですからバイパス的なこの久留米立花線が完成すれば私はこれで十分ではないのかなと、そのように思っているところであります。  それで、混雑度を数字で拾ってみたところでありますけれども、八女のところ、本村北ですか、それが一・五三、広川で一・四九ですね。そうすると、久留米の方がいわゆる二・一五、一丁田のところでございますけれども、そして諏訪野町のところが一・七五ということで、こちらは四車線化を計画をされておって、この八女、広川のところをバイパスをということで、これ逆じゃないのかなと思うんですね。そうでしょう。一番造らなくちゃいけないのは広川インターから久留米方面なんですよ、だから、この混雑度が、しっかり数字が示しておりますようにですね。ですから、このことをしっかり御認識いただきたいと思います。  こういうふうに見渡しますと、ああ、本田議員辺りは地理的なものがお分かりになるかと思いますが、御承知のとおり、これは福岡から熊本に抜ける幹線でございますけれども、人口はどんどんどんどんこの周りは減っておるということでございまして、私は全く必要ないと思っておりますし、また、昨日、おとといですか、この辺春地区という地区なんですが、熊本に抜ける手前にありますけれども、そこでイベントがあっていましたので、私も飛び込みで行ってまいりまして、いろいろ地元の方々にもお話を聞きましたところ、地元の要望は、こんなバイパスとかは言っていないと、言っているのはいわゆる三号線。御承知のとおり、三号線は基幹道路でありますのでトラックとかが本当に多いんです。だから、この舗装の見直し、し直しをですね、舗装をやり直してくれ、凸凹が、もう寝れないと、夜も。そんな要望が非常に強いんでありますけれども。  ですから、もう一回言いますと、この久留米立花線、まだ、図面で見ていただけるように、完成していないんですよ。完成してからでいいじゃないですか。完成して、どうしても必要であるというなら造らなくちゃいけないですよ。しかし、完成していないときからまた新たな道路、それも何百億というような掛かる道路を造るとか、こんなことを許していったら、先ほどから災害の問題も出ておりますけれども、どれだけ予算があっても日本国では足らないということになりゃせぬかと、私は非常に地元の一人として心配をしているところでございますが、大臣、いかがでしょうか。
  82. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) まず、今御指摘のルートについては、概略のルートですとか構造について現在検討を進めている最中でおりまして、まだ全く決定もしておりませんし、公表もしておりません。これはまず先に申し上げておきたいと思います。  また、県道の久留米立花線につきましては、福岡県において一車線の道路を二車線に改良する事業を実施されておりまして、釈迦に説法かと思いますが、全体の約十二キロのうち六割程度が完成して、交通量は多いところで一日当たり約一万五千台というふうに承知をしておるところでございます。  ただ、このように県道整備が進んでいる現状におきましても、国道三号の広川から八女間については一日当たりの交通量が約二万四千台になりまして、交通容量不足による速度低下ですとか交通渋滞が発生しているというふうな認識でございます。  ですから、それと、あと地元からも、ちょっと私、内容を直接伺っているわけじゃありませんが、二十九年十一月から本年の十月三十日まで本省に対しても、一般国道三号改良促進期成会ですとか八女市長さんですとか広川町長さんですとか、そうした方からも御要望も出ているということでございますので、しかし、他方、先生からのそうした御意見もあるということも今承りましたので、しっかりと私なりに検討していきたいと、こう考えております。
  83. 野田国義

    ○野田国義君 これ、ある程度この三号線なんかも車が流れませんと、ここに書いておりますように、三号線の交通量が激減すれば、沿線の商店街の売上げも減り、経営が成り立たなくなる可能性もこれあるんですよ、減ったら。そうでしょう。  それと、私が言いたいのは、この間、アンケート調査していただいておりました。それで、私も現地に行きました、アンケート調査やっているところに。そうしますと、全くこのルートも、今大臣おっしゃったように決まっていない、予算も決まっていない中で、例えば、いわゆる救急のときはどうしますかと、緊急交通路としての信頼性がどうでしょうかとか、いわゆる産物を運ぶときにはどうするんですかとか、運送するのはどうするんですかとか、そういうことが言われておりまして、まさしくこんなことをアンケート調査しても誘導尋問になるだけでありまして、全く分からないじゃないですか、ルートも分からない、金額も分からない中でしてもですね。  だから、そういうものを示した中でちゃんとアンケート調査をするように是非ともお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  84. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  85. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、山田太郎さんが委員辞任され、その補欠として高橋はるみさんが選任されました。     ─────────────
  86. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 浜口誠

    ○浜口誠君 皆さん、どうもこんにちは。私は、立憲・国民.新緑風会・社民の浜口誠でございます。午前中に引き続きまして御質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、災害についてですけれども、今回の一連の台風被害等でお亡くなりになられた皆様に心からお悔やみ申し上げるとともに、被災をされた全ての皆様にお見舞い申し上げたいというふうに思います。  午前中も、災害関係でいろんな議論ありました。非常に重要な議論もなされたというふうに思っております。今後の治水計画については、気候変動等を踏まえた治水に係る技術検討会から提言された、新たな、今後、将来想定される雨水に基づいて、降雨量に基づいてしっかりとした治水計画防災計画を立案すべきと。これも本当にしっかりやっていただきたいなというふうに思いますし、あと、地方の鉄道、私鉄に対して、あるいはローカル線に対しても、大臣からも代替輸送の費用等については踏み込んだ対応を政府としてもしていくという御答弁ありましたけれども、是非、地方の皆さんにとっては、地方の私鉄、ローカル線は重要な移動手段の一つだというふうに思っておりますので、しっかりとした政府としての対応を求めていきたいというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  私からは、被災された地域の高速道路の無料化支援についてお伺いしたいと思います。  今でも、被災された地域については、救助車両ですとかあるいはボランティアの方が行かれるときには、そういった方に限定しての高速道路の無料というのは行われております。しかしながら、やはり被災地の復興をしっかりバックアップしていく、支援していくという点においては、やはり物流網の確保というのは極めて重要だというふうに思っております。実際、その被災された地域、一般道が非常に渋滞していて支援の輪が広がっていかない、そういった地域も現実問題あります。地元からは、やはり一般道だけの物流では復興復旧の足かせになると。やっぱり高速道路を全ての人に、期間限定でもいいし、あるいは地域限定でもいいから、全ての人に高速道路無料化して、なおかつ出口を開放してくれないかと、こういった要望もあるのは事実でございます。  政府として、やはり復旧復興に向けてその地域を最大限バックアップするという観点から、高速道路について、今の一部だけの無料化ではなくて、もっと多くの方に復旧復興により積極的に関わっていただく観点からも、高速道路の無料化について、期間限定でもいいと思います、地域限定でもいいですから、そういった一歩踏み込んだ高速道路についても対応お願いしたいというふうに思っておりますが、大臣としての御見解をお伺いしたいと思います。
  88. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 今般の被災地の復旧支援のために、今、御承知だと思いますが、被災自治体からの要請を踏まえまして、高速道路会社等において、道路整備特別措置法等に基づきまして、重機等の災害救助車両への無料措置及び災害ボランティアの方の車両への無料措置を行っているところでございます。今般の台風十五号、十九号による被災地においても、現在、十二の都県においてこの無料措置を実施しております。  ですから、これをフリーハンドにということはなかなかやっぱりそんな簡単ではないので、物流で必要な方があれば、その被災自治体に申請をされれば証明書取れますので、その証明書を取っていただいてこの無料措置の対象にしていただくというのが現実的なのではないかなと現時点では思います。  また引き続きまして、我々の立場、被災地の復旧復興に向けましてしっかりと取り組んでいきたいと思いますし、そうした今の先生の御指摘がより深刻になるようであれば、これまでの大規模災害時の事例も踏まえて検討していきたいとは思います。
  89. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非被災地の皆さんの意見も声も聞いていただいて、一般道だけではやはり十分な物流網としては確保できていないという地域も甚大な災害が起こっている地域によってはあると思いますので、そういった被災地に寄り添う、そして、政府も最大限の支援をしているんだという姿勢を被災地の皆さんに知ってもらうという意味でも、こういった高速道路の無料化の適用を拡大していくというのは非常に意味があるというふうに思っておりますので、引き続き被災地の声も聞いて検討を進めていただきたいというふうに思っております。  続きまして、午前中も少し議論ありましたけれども、浸水リスクエリア、浸水ハザードマップでこの地域は浸水の可能性があると、既にそういうエリアに家が建ったり工場が建ったりするところは事後の対策をしっかり取っていくということが必要だと思いますけれども、事前にそういう浸水ハザードマップで浸水のリスクがあるというようなところに新たに住宅等の開発をする場合は、やはり行政としても一定の規制を掛けていく、あるいは建設を認めるに当たっても、十分なかさ上げをするだとかの浸水対策防災対策をした上で開発の許可を出すといったようなことをやっていく必要があるのではないかなと。  これだけ広範囲に浸水の被害が出ているということを考えたときには今後の対応としては非常に重要ではないかなというふうに思っておりますが、その点、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  90. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 今御指摘の浸水想定区域につきましては、現在の水防法上、住宅や建築物の建築等を規制するものではないことから、開発許可制度上も開発が可能となっております。しかしながら、今回の台風十九号、また昨年の西日本豪雨、この一連の災害では、浸水想定区域において例えば高齢者施設等が被災したりとか様々な事例が発生をしているところでございます。  なかなかもう既存で住まわれている方もたくさんいらっしゃっているような現状の中でどういうふうに変えていくのかというのは、様々な専門家の皆さんの御意見を聞きながらしなければいけないと思いますが、午前中も幾たびか御答弁させていただきましたが、近年の気候変動による災害の甚大化、頻発化、被害の甚大化ということをしっかり捉まえて、できるだけ未然に防げるような事前防災という観点からは、こうした浸水想定区域での宅地についてどのように制限をしていくのかというのは大変重要な重いテーマだと思っておりますので、これはしっかりと検討していかなければいけないと、こう思っております。
  91. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、未然防止という観点からは、今大臣も最後に御答弁いただきましたけれども、しっかりと研究をして結論を出していくべき、私、項目だというふうに思っておりますので、是非今後、専門家の皆さんの意見も聞きながら、より国民の皆さんが安全な地域に住める、そのための体制づくりを進めていただきたいというふうに思っております。  じゃ、続きまして、災害からちょっと離れまして、物流分野の諸課題について大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。  まず最初は、トラック等の大型のドライバーの不足問題です。さらに、若手の、若い人たちがドライバーにならないものですからどんどん高齢化も進んでいるという今実態にあろうかというふうに思います。そんな中で、ドライバーの確保の観点から働き方改革も非常に重要な視点であるというふうに思っております。  今、自動車運転者の方については、労働基準法の時間外の上限規制、五年間の適用猶予になっておりますが、五年後は時間外労働は年間九百六十時間というのが適用になります。昨年も参議院の厚生労働委員会で働き方改革の法案を議論したときに附帯決議が四十七付きまして、その附帯決議の七項目めに、実効性あるトラックドライバー等の自動車運転者の実労働時間、さらには拘束時間の削減策について講ずることということも、附帯決議にも明記をされております。  こうした状況の中で、トラックドライバーの今の現状をどのように認識されているのかどうか。それと、そういったトラックドライバーの確保に向けた働き方改革への取組、現状どのような取組を進めておられるのか、大臣からお伺いしたいと思います。
  92. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) トラック業界の特にドライバーが大変人手が不足して高齢化が進んでしまっている大変危機的な状況だというふうに、私もそう認識をしております。  物流は経済にとっては一番大動脈であって、物流の成立なしに経済の成長というのはないと思っております。そうした観点から、このトラックドライバーの諸問題を克服するためには、やっぱり荷主の理解というのがなければ成り立たないと。働き方改革もまあ大変な状況なので五年間猶予して法制定されましたが、これも荷主の方々の理解がなくては、これは現実には実現していかないのではないかということを大変心配をしております。  そうしたことで、一昨年の十一月だったと思いますが、標準運送約款の見直しをして、いわゆる輸送以外の業務、荷物を運んでも、トラックで運んで、その荷降ろしをしたりとか待ち時間とか、そうしたことも全部ひっくるめて運賃ということでやっていたような慣習をやっぱりしっかりちょっと整理しなければいけないと。運賃は運賃、それ以外は料金というようなことの標準約款の見直しをしたところであります。  ただ、これも荷主の合意がなければなかなか進まないという状況がありまして、私も部会長でこうした仕事も関わりながら経済産業大臣もやっておりましたので、経済産業省のみならず、やっぱり荷主というと農林水産省ですとかほかの関係省庁にも協力をいただいて進めなければいけないと。  そうした意味で、今年の、今年だったかな、議員立法されまして、初めて、法律の中に国交省のみならず経済産業省、農林水産省とした、明記されたことが法律としてでき上がりましたので、こうしたこともしっかりと実現していくように国交省としてしっかり取組を進めていきたいと、こう考えておるところでございます。
  93. 浜口誠

    ○浜口誠君 働き方改革、やはりこれは非常に重要なんですよね。トラックドライバーにとっては、ドライバーの皆さんの魅力を高めるという観点からもこの働き方改革しっかり取り組んでいかないと、若い皆さんがドライバーになろうという、そういう意欲につながっていかないというふうに思っておりますので、是非これしっかり進めていただきたいと。  その中でも、改善基準告示というドライバーの方の労働時間に関する改善の基準というのがあるんですけれども、この改善基準告示もちゃんと見直しをタイムリーにやって、それを今後の働き方改革につなげていくということが非常に重要だというふうに思っておりますので、この改善基準告示に対しての取組、今どのような現状になっているんでしょうか。これは国交省さん、お伺いしたいと思います。
  94. 一見勝之

    政府参考人(一見勝之君) 先ほどお話しいただきましたように、令和六年度から労働時間がトラックについても年間九百六十時間という時間外労働で規制が参ります。それと併せまして、今、厚生労働省さんと話をさせていただいておりますが、改善基準告示、これも併せて検討が必要ということでございますので、よく調整をさせていただきまして、トラック事業、働き方改革が実現できるようにやらせていただきたいと思っております。
  95. 浜口誠

    ○浜口誠君 早く進めてくださいね。これ、五年といってもすぐ来ますよ。あっという間に五年なんてたちますからね。その間にできることはもうしっかり厚労省とも連携取ってやっていく。附帯決議にもちゃんとそれは明記されていますから。しっかりとこの猶予期間五年というのをうまく使って、働き方の改革、魅力アップを是非やっていただきたいなと、このように思っております。  あと、先ほど大臣から約款の見直しのお話ございました。確かにいい方向に行っていると思います。より適正な運賃を支払っていただく、荷主の方に意識していただくという観点で、本来の物流に掛かる費用と附帯費用とを切り分けて、待機時間ですとか積卸し、積込み、こういった時間もそれぞれで運賃を出して示していくというのが非常に有効な約款の見直しだというふうに思っておりますけれども、現実、物流業界から聞こえてくるのは、それがまだまだちゃんと浸透していない、もっと浸透させてくれと。単に絵に描いた餅でこういう約款の見直ししましょうということにとどまっていてはこれ実態が良くなっていきませんので、是非今後、今のその約款の見直しが現状どのような実態にあると大臣として認識されているのか、そして、その現状を改善するために、よりこういった切り分けを徹底していくためにどのような取組を今後やろうとされているのか、是非お話を今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。
  96. 一見勝之

    政府参考人(一見勝之君) 現状などにつきまして私の方からお答えを申し上げます。  二十九年に、先ほど大臣から御答弁いただきましたけれども、料金、運賃の範囲の明確化を図るなどの標準運送約款の改正を行ったところでございます。  アンケートを私どもいたしておりますけれども、一般の貨物自動車運送事業者、約五万七千者おりますけれども、その九割がこの改正後の標準運送約款を使っているということ、それから、そのうちの八三%が改正後の標準約款に沿って運賃、料金の届出をしているというのが実態でございます。  ただし、約款に基づいて適正に運賃、料金が収受できていないというふうに言っておられるトラック事業者の方もおられますので、先ほど大臣もおっしゃいましたけど、荷主の理解がこれ非常に重要でございます。私ども、今、荷主を所管している農水省それから経産省などと合同で、年に二回は中央協議会ということで荷主の団体も集まっていただいてこれを周知する活動もしておりますし、今年の十月十日からは全国にある十のブロックで関係者を集めまして説明会をやっておるところでございます。皮切りの十月十日、東京でやりましたときには、御法川副大臣にも出席をいただきまして、皆さんに説明をさせていただいたところでございます。
  97. 浜口誠

    ○浜口誠君 現状は理解いたしましたけれども、更にその切り分け、明確化を徹底させるためにどのような取組をしていくのか、まだ不十分だという受け止めが業界の見方だと私は受け止めていますので、今後更にその新たな約款を広げていく、多くの荷主さんにそういった切り分けたそれぞれの金額を明示する契約をしていただくというのは必要だというふうに思っていますので、それに向けて大臣としてどのように取り組んでいくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  98. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) これ、ちょっと少し横に外れるかもしれませんけど、景気が悪いときにはやっぱり荷主の方が圧倒的に強くて、言い値で持っていかざるを得ないみたいな実態があったと思います。ですから、トラック事業者からは運賃を言い出せないような実態があったというふうに、私は地元のトラック業者と話していると、そうだと。また、今局長からの答弁で随分改善されたと言いながら、先生からはまだまだそうではないというような話は、多分ちょっと下請構造みたいなところの地元の業者なんというのはまだなかなか浸透していないというような声もあるのも、私自身もそう聞いております。  それをどうしていくのかということについては、何というかな、やっぱり荷主が自分自身の首を絞めることになりかねないので、これ、今後景気が良くなってきて、物流の不足というのの中で、ちゃんとした荷主しか物流を確保できないみたいな逆の状況になることもあり得るわけで、そうしたことというのは私は決して望ましいことではないというふうに思っているんです。  ですから、先ほど、済みません、失礼しました、貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案、今年じゃなくて去年の秋の臨時国会で成立させたものですけど、その中にも、例えば標準的な運賃の告示制度の導入ですとか、やはり荷主も物流業者も両方ともウイン・ウインで成り立っていくような制度というのが大事だということが法定化されたということは意味があると思いますし、先ほど言われましたような料金と運賃の立て分けというのも、やっぱりこうした法律ができる中で、やっぱりちゃんとしなければいけないという、襟を正していただくということは、不断の見直し、何というのかな、フォローというか、状況を認識していくということが大事ですので、なかなか荷主のことを全て国交省でカバーできないので、国交省だけではなくて、国交省と経済産業省、また農林水産省とか関係省庁にも御協力お願いしながら状況の改善に努力をしていきたいと、こう思っております。
  99. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非実態の把握、届出は出ているけれども、ちゃんとそれどおりにやっているかどうかも見てくださいよ。それやっていなかったら何の意味もありませんから。届出出しただけで実態は変わっていないということ、あります、これは。現実問題ありますから、それをちゃんと把握して、徹底を是非、国交省、リーダーシップ取ってやっていただきたいなというふうに思います。  あと、先ほど大臣が、標準的な運賃の告示制度が今度法改正でできるようになったというお話ありましたけれども、これも業界からは、非常に、標準的な運賃が告示される、そういうのは有効だというふうに感じていますけれども、やっぱり実効性あるものにしてほしいと。単に数字だけ出されたって、それが実効性あるものになっていなけりゃ何の意味もないという声も、これ聞いております。  現時点でまだその標準的な運賃の告示はされていない。これ五年の時限立法ですからね、これも早くやらないと検討している間に法律の期限を迎えてしまうということにもなりかねないので、この標準的な運賃の告示をするための今議論状況、そして実効的なものにしていくためにどのような対応を政府としてやろうと考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  100. 一見勝之

    政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。  先ほど大臣からお話がございましたけれども、昨年の十二月に成立しました改正貨物自動車運送事業法に基づきまして、標準的な運賃について告示をするということで今作業を進めておるところでございます。  現在、各地の事業者の年度決算などのデータを基にしましてトラック運送業に関する原価を算出をしたりしておりまして、集計、分析を進めておるところでございます。  関係者の意見も聞きながら、丁寧に、まさに委員指摘のように実効性のある運賃にする必要があると思っておりますので、成立後も、成立した後の荷主への働きかけやその浸透策なども含めて、どういうやり方があるのかというのを今検討をさせていただいているところでございます。
  101. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、しっかりとした検討をしていただいて、早くこれも出してください。これ出さないと意味ありませんから。法律はそう改正はされていますけれども、是非実効性あるものにすると同時にスピード感も大事なので、その点も併せて要望しておきたいと思います。  続きまして、特殊車両の通行許可申請に関してお伺いしたいと思います。  今、特殊車両が通行許可の申請出すと、国交省さんが示している標準的なこれリードタイムがありまして、更新の場合だと二週間で出しますよと、新設だとか変更の場合は三週間というのが標準的な許可申請が出るまでのリードタイムと言われていますけれども、実態はかなり遅い、遅れるケースが結構あるというふうに伺っております。やはり事業者からすると、許可が出ないとそのルートで車両を走らせることはできないということなので、大きな機会損失になります。やっぱりタイムリーに許可申請を出していただくことが非常に重要だというふうに思っております。  現状、どのような許可申請のリードタイムになっているのかどうか、そしてさらに、そのリードタイムを短縮するためにどういった取組をされているのか。  大臣、この許可申請、もう抜本的に見直していただいて、申請出たらもう即日許可を出すと、それぐらいのスピード感を持ってやってもらうことがこれ大事だと思います。根本的にこの許可申請の仕組みを見直すことを是非考えていただきたいというふうに思っておりますが、今後の許可申請の大改革に向けての基本スタンス等あれば、お伺いしたいと思います。
  102. 池田豊人

    政府参考人(池田豊人君) 現在、特殊車両通行許可の審査に要する平均日数は、直近の令和元年度上半期の実績で約二十九日ということになっております。この日数について、短縮に向け様々な取組を現在進めております。  一つは、この日数が長くなる要因が複数の道路管理者にまたがる場合に協議をしておるということで、この協議をなくすために道路管理者にまたがっての道路構造のデータを電子データ化を行いまして、地方管理道路についても国で一括して審査ができるように進めております。  また、今年四月からは、許可期間、同じルートで同じ車両が通行する場合の許可期間を二年から四年に延長をいたしました。さらに、国際海上コンテナ車については、荷が厳重に、厳格に管理されることから、重要物流道路について道路構造の支障がない場合は特殊車両通行許可を不要にする措置も今年の七月から開始したところでありまして、いろいろな取組について今後進めてまいりたいと考えております。
  103. 浜口誠

    ○浜口誠君 今いろいろな改善にも取り組んでいただいているという御答弁ありましたけれども、大臣、やっぱり抜本的な改革やってほしいと思います。  国土交通省の中でもそういう取組を始めようという話があるというのは聞いておりますので、是非、大臣のリーダーシップで、即日もう出すぐらいの、そういう大改革やるぞというのを先頭を切ってリードしていただきたいと思いますが、その点いかがですか。
  104. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 先ほどタクシーのときに答弁をしました、安全が第一なので、安全を毀損しないような制度改革にしなければいけないことは言わずもがなでございます。  ただ、大変日数が掛かっているというのも事実でございますので、今役所の中でも、ICTをフル活用したりですとか、通行前の許可手続を簡素化して経路や重量について通行後に確認する新たな制度を検討しているところでございまして、しっかりと前に進めていきたいと考えています。
  105. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  是非今の検討を加速させていただいて、確かに安全は大前提ですから、それを損なってまでということは私申し上げておりませんけれども、是非、やれる改善は、改革は是非実行していただきたいというふうに思います。  続きまして、大型の車両の新車を運ぶときの高速道路の利用に関してお伺いしたいと思います。  今、トラックとかバスとか大型の車両は、新車で運ぶときには、重量が重いとか非常に大きいものですから、いわゆる乗用車を運ぶような積載車、キャリアカーでは運べないということで、自走で回送します。それも、仮ナンバー付けて運ばざるを得ないと、そういう特殊性がございます。  こうした新車の大型車両を運ぶときに高速道路を利用しようとしたときに、この仮ナンバーだとETC二・〇の割引が受けられないという今実態がございまして、業界の方からは、仮ナンバーであっても、高速道路を利用したときにはETC付いていなくても割引措置がほかの車両と同じように受けることはできないのかと、こういう要望もいただいております。  実際何が起こっているかというと、やっぱり高速使えないから割引が利かない、費用が高くなる、じゃ、高速を使わずに一般道を走ろうと。そうすると、ドライバーの方の長時間労働にもつながってしまいますし、効率的な運送ができない、物流ができないと、こういう弊害も発生しているということですので、是非、新車で仮ナンバーで高速を使ったときにも割引料金の適用をする、そういう仕組みを是非御検討いただけないかなというふうに思っておりますけれども、御見解をお聞かせください。
  106. 池田豊人

    政府参考人(池田豊人君) 現在の制度においては、ETCの車載器を装備するときに、車種区分の不正入力や誤入力を防ぐために、この車載器をセットアップするときに車検証情報の入力を条件にしております。したがいまして、現時点においては仮ナンバーの車両の回送車に割引を適用するということが難しいということになっております。  一方、利用者の御意見がいろいろあることを聞いております。そういった御意見をお聞きして必要な改善は行いたいと考えておりまして、不正の防止を確保しつつ、仮ナンバーのETC搭載の実施方法や課題についても調べてまいりたいと考えております。
  107. 浜口誠

    ○浜口誠君 大臣はどうですかね。大臣、どういう御見解をお持ちですか。やっぱり、仮ナンバーだと割引が受けられないというのは不公平だと思いませんか。
  108. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) そういう制度だということを言われていて、その利用者の方の御意見を聞きながらどう改善するのかということを知恵を出すという局長の答弁と私も一緒でございます。
  109. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非よろしくお願いをしたいというふうに思っております。  では、続きまして、ちょっと話題変えまして、お手元資料に、ちょっと資料の一番を見ていただきたいなと思います。  これは、自動車ユーザーが支払った自賠責保険料が原資になっている自動車安全特別会計というのがございまして、この会計から一般会計の方に過去繰入れがなされております。トータルで一兆一千二百億円と、すごい額が一般会計が厳しいということで繰入れされているんですけれども、これまで繰戻しも少しずつはやっていただいているんですけれども、実際、まだ六千百億円ぐらいの繰入れが残っていると、返してもらっていないという今実態にあります。  この自賠責の保険料は交通事故に遭われた被害者の方の救済保護事業の大切な財源になっております。こういった事業を今後継続していくためにも、一般会計に貸してあるこの六千百億円というのを早く特別会計の方に繰り戻していただく必要があるというふうに思います。  ここ数年、二年間ですね、この資料にあるとおり、二十三億円、三十七億円ということで、すごい微々たるものなんですけれども二年連続では繰戻しが実施されておりますが、この積立金の中から救済事業というのをやっているんですけれども、現実問題、まだその積立金が、返していただいている額が少ないものですから、どんどん取崩しが行われているという今実態にあるというふうに認識をしております。  現状の、この自動車安全特別会計の積立金が、ここ数年の繰戻し額、二十三億円、三十七億円で取り崩しが止まっているのかどうか。今後、大臣として、今年度の交渉において来年以降も一般会計から特別会計への繰戻しをやっていただく必要があるというふうに思っておりますが、今後に向けての基本的な考え方がありましたらお伺いしたいと思います。
  110. 一見勝之

    政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。  最初に、繰戻しがあることによって取崩し額が止まっているのかどうかという点について事実関係をお答えします。  三十年度に、委員指摘のように、二十三・二億円、令和元年度に三十七億円と二年連続での繰戻しは実現はしております。その結果、繰戻しがなかった平成二十九年度末の取崩し額が約八十八億円であったのに対して、平成三十年度の取崩し額は約八十一億円、それから令和元年度末の取崩し額は約七十九億円と、一定の歯止めは掛かっているのではないかとは考えておりますが、平成二十九年度末に約千七百九十四億円でした積立金の残高は、平成三十年度末に約千七百二十九億円と減少しておりますし、令和元年度末には約千六百五十億円というふうに減少する予定でございます。
  111. 浜口誠

    ○浜口誠君 やっぱり取崩しが止まっていないんですね。だんだん積立額も減ってきていると、こういう実態にあるというふうに思っています。したがって、来年度に向けてもこの繰戻し、しっかりやっていただきたいと思いますね。  私は応援しているんです、国交省さんは頑張ってほしいと。貸したものですからね、返してもらって当然だというふうに思っておりますし、過去には、ここにあるように二千億円規模の単年度で繰戻しも行っているわけなんで、ここ数年の二十三億、三十七億、平均三十億円だったら、六千百億円返してもらうには二百年掛かりますからね。  これじゃもう話にならないと正直思っておりますので、是非、来年度に向けて、今年の予算の交渉において財務省としっかりと向き合っていただいて、被災者の方、被害者の方の今後のやっぱり救済事業を安心して継続させるという観点からも非常に重要だというふうに思っておりますので、是非、大臣、今年度どう取り組んでいくのか、御決意も含めてお話しいただきたいと思います。
  112. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 私も以前、公明党として、千葉県の専門のこの病院、視察をさせていただいたことがございます。被災者の救済事業の継続とか安定性に対する交通事故の被害者及びその御家族の皆様から大変不安の声も出ているというふうに承知しておりますので、これをしっかり継続できるように、石井前大臣と麻生財務大臣の間にはこの償還について約束事はあるというふうに承知をしておりますが、私自身、麻生財務大臣とまだ話をしたことはありませんので、このことをしっかりと申し上げて、肝腎の被害者の皆さんの救済事業に支障がないようにしっかりと取り組んでいきたいと、こうお約束をしたいと思います。
  113. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、大臣お願いしたいと思います。本当、御家族の方も安心して今後の対応を考える上では、この繰戻し額というのは非常に重要なものになってくるというふうに思っておりますので、是非、国土交通省としてしっかりとした取組を重ねてお願い申し上げたいというふうに思います。  では、続きまして、ちょっと話題変えまして、高速道路料金の見直しについてお話をしたいと思います。  高速道路、日本の場合、非常に全国各地に張り巡らされておりまして、非常に、国民の皆さんの生活の基盤にもなっていると思いますし、産業活動、経済活動においても重要な役割を高速道路は担っているというふうに思っております。まさに国民みんなの共有の財産が高速道路ではないかなというふうに思っておりますが、まず大臣に、その高速道路の重要性、必要性についてどのような御認識を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  114. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 今委員お話にもありましたように、高速道路は、物流の効率化による国際競争力の強化のみならず、国民の皆様方の安全、安心の確保、また地域の観光や産業を支える生活の基盤として現実に重要な役割を担っているというふうに思っております。このため、他の道路とも同様に、極めて公共性が高い国民共有の財産であるとともに、最も根幹的なインフラであるというふうに認識をしております。
  115. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  同じ認識に大臣にも立っていただいているというふうに受け止めましたけれども、でも、この高速道路が日本の場合、やはりまだまだ利活用がされていないんじゃないかなというふうに感じております。  これ、国際的に、高速道路をどれだけ使っているのかという指標の一つとして分担率という考え方がございます。この分担率を、日本は今二割ぐらい、二〇%ぐらいなんですけれども、欧州あるいは米国においては高速道路の分担率は三割を超えています、三〇%超えと。要は、それだけこの数字が上がれば上がるほど高速道路が活用されているということなんですけれども、日本よりも一・五倍ぐらい分担率が高いと、こういう実態にあります。  その一方で、日本の高速道路はやっぱり料金高いというふうに感じております。世界の中で高速道路を無料化にしているところも多いですし、一方で、有料化の、料金を課しているところにおいても、日本と料金比較すると、日本は一キロメートル当たり二十四・六円、それに百五十円のターミナルチャージが掛かります。一方で、アメリカは一キロ当たり八・一円、フランスにおいては一キロ当たり十一円と。これは明らかに日本の高速道路高いというふうに感じます。  大臣として、どうですかね、日本の高速道路高いという認識を持たれているのかどうか。そして、日本の高速道路をより活用していただく、国民の皆さんに使っていただくためには、やっぱり料金の見直し、料金の引下げというのは非常に大きな要素になるんではないかというふうに思っておりますけれども、大臣の御見解をお聞かせください。
  116. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 我が国の高速道路は、その建設、また維持管理に要する費用は利用者からの料金収入で賄うという、そういう仕組みになっているわけです。  また、その建設につきまして、日本は地形が大変山が多いため非常にフラットじゃない、橋梁やトンネルの割合が極めて高いということ、また、地震が多いわけで、当然耐震対策も必要だということで、かなり諸外国と比較して、その結果ですけど、料金が高くなっているというのは事実でございます。  同時に、高速道路の分担率についても、議員御指摘のとおり、欧米が約三割であるのに対し日本は約二割であるということであります。多分、その要因の一つは料金の問題もあると思いますが、それだけではなくて、やはり、例えばミッシングリンクが存在するとか、全体の約四割が暫定の二車線であるとか、また、インターチェンジの設置間隔が欧米諸国に比べて二倍程度と長いと。様々な要因があるというふうに思っておりますので、そうしたことを、特に私は、物流を担っているトラックなんかは、環境面でも考慮すると高速道路を利用してもらえるような施策が必要であるなというふうには思っております。
  117. 浜口誠

    ○浜口誠君 時間がもうなくなってきているんで。  大臣がおっしゃるとおり、高速道路を使うことによって様々なメリットがあると思います。環境にも優しいですし、事故も少ないですし、産業という面からも高速道路を使って物流コストがより安くなれば有効に活用できると。  そういう観点からデータを、今後の議論を進めていくためにもいろんなデータを提供していただきたいと思います。お手元資料三に欲しいデータの一覧を付けてありますので、是非ここを埋めていただいてデータ提供をお願いしたいと思います。  是非委員長にこのデータのお取り計らいをお願いしたいと思いますが、まず答弁いただいて、その後、よろしくお願いします。
  118. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) ちょっと済みません、今にわかに提出されたもので、これ、どれだけできるか分かりませんが、道路局に確認して、できるものはしっかり出していきたいと、こう思います。
  119. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 後刻理事会で協議させていただきます。
  120. 浜口誠

    ○浜口誠君 では、終わります。質問できなかったところは次回させていただきますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  121. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 公明党の宮崎勝でございます。  本委員会では初めて質問をさせていただきますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  さて、最初に、台風十五号、十九号、その後の二十一号による豪雨災害でお亡くなりになられた皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。  また、不眠不休で被災者の救出、救援、また被災地の復旧作業に当たられております国土交通省を始めとする関係者の皆様敬意感謝を申し上げたいと思います。  赤羽大臣におかれましては、就任以来、今般の台風のほか、近年発生した激甚災害被災現場を精力的に視察されております。所信でも述べられましたように、阪神・淡路大震災で自ら被災された際、被災現場の声を受け止め、従来の制度の壁を破る被災者再建支援制度の創設など、生活再建や復旧復興に全身全霊を傾けられたことは私もよく存じているところでございます。さらに、経済産業大臣時代には、原子力災害現地対策本部長として、原子力災害に苦しむ福島の被災者の支援、また復興の柱となる福島イノベーション・コースト構想の実現などに尽力をされてまいりました。  こうした経験、知見を基に、近年の様々な自然災害におきましても、どこまでも被災者、被災地に寄り添い、復旧復興のリーダーシップを発揮されますよう私からもお願い申し上げ、質問に入らせていただきたいと思います。  まず、台風十九号の対応について伺いたいと思います。  未曽有の豪雨災害をもたらした台風十九号に対しまして、我が党は、台風が上陸する前の十月十一日に対策本部を立ち上げ情報収集に当たるとともに、発災後は国会議員や地方議員が被災地に入り、被災者や被災地の様々な要望を伺い、これまでに七回開催された対策本部の会合などを通じて政府に緊急の対策を求めてまいりました。また、発災から二週間が経過した先月二十五日には、それまでの被災現場の実態調査等を踏まえ、政府に対し第一弾の要望を行わせていただいたところでございます。本日は、こうした我が党の現地調査や政府への申入れを基に質問をさせていただきたいと思っております。  最初に、先ほど来出ておりますけれども、ハード、ソフト両面ございますけれども、ソフト面の防災対策について伺いたいと思います。  豪雨災害による犠牲者を減らすための防災対策の一つに防災情報があります。今回、気象庁は、大雨特別警報を十三都県に発表し、自治体はそれらの情報を参考にして避難情報を発令いたしました。そうした中で、情報を求める人たちのアクセスが集中して、例えば国土交通省のサイトである川の防災情報がつながりにくくなったということもありました。また、大雨が広範囲に降ったことによりまして多くの河川氾濫発生をして、地方整備局などがその対応に追われる中で、例えば茨城県の那珂川では氾濫発生情報を自治体に伝達するのが大幅に遅れると、そうした事態も発生をいたしました。  こうした事態を受けまして赤羽大臣は、十月二十五日の記者会見におきまして、河川情報の伝達方法を見直す方針を示されておりますけれども、具体的にはどういった点を見直す方針なのか、これは国土交通省としての見解をお伺いしたいと思います。
  122. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  水害時において気象や河川などに関する情報が自治体や住民に確実に伝わり、正しく理解されることが極めて重要であります。一方、今回の台風では、委員指摘の点も含め、情報発信、情報伝達におきまして課題があったことも事実でございます。  現時点で考えられる要因といたしましては、今回の台風第十九号では非常に広範囲で同時に多発的に浸水被害発生したことから、職員が多くの作業を並行して実施することが必要であったことや、ホームページへのアクセスが集中したことなどが挙げられると考えております。  このため、このような広域で同時多発的な災害にも対応できるよう、短期的、中期的な視野を持って、災害時の体制の在り方、効率的な作業手順、それを支えるシステムの見直し等を検討することが必要であると考えてございます。  災害対応は毎回の振り返りが大事であり、これらの課題を次の災害対応に生かすことが重要でございます。現場の実態をよく確認して、改善策についてしっかり検討してまいります。
  123. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 是非、中長期的ということですけれども、見直しの方もよろしくお願いをしたいと思います。  次に、ハザードマップの改定について伺いたいと思います。  水害から身を守るため、浸水想定区域や浸水した場合に想定される水深などを表示した洪水ハザードマップが重要な役割を果たしております。台風十九号や先月二十五日の低気圧による大雨では、浸水想定区域ではない場所で浸水による被害発生をいたしましたり、あるいは、浸水想定区域内にある施設を避難所として開設した結果、そこが浸水をして別の施設への避難を余儀なくされたという事態も発生をいたしました。  水防法では、想定し得る最大規模の降雨などに対応したハザードマップを新たに作成することが関係市町村に求められておりますけれども、想定を超える豪雨が今頻発する中で、ハザードマップの改定は小規模な自治体にとっては予算や人材などが限られて難しい面があると思います。また、ハザードマップに対する住民の認知度や活用度を上げるために、住民に分かりやすいハザードマップにする工夫も必要であるというふうに考えているところでございます。  ハザードマップの改定について、国交省としてどのように自治体を支援していくのか、伺いたいと思います。
  124. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  市区町村は、国又は都道府県が指定する洪水浸水想定区域においてハザードマップを作成することとされております。平成二十七年の水防法の改正により、浸水区域を想定する際の前提とする降雨を引き上げたことから、国又は都道府県において順次区域指定の見直しを進めており、本年三月末時点で、国管理河川は四百四十八河川のうち全ての河川で指定済みであり、都道府県管理河川では千六百二十七河川のうち八百八十三河川で指定済みとなっているところでございます。  この区域指定の見直しを受けて、市区町村は洪水ハザードマップを順次作成、改定して公表してきており、本年三月末時点で作成対象の千四百三十七市区町村のうち四百四十七市区町村で公表されているところでございます。  国土交通省では、想定最大規模降雨対応した洪水浸水想定区域の指定が進むよう、都道府県に対しまして防災・安全交付金による財政的な支援を行っているところでございます。また、洪水ハザードマップを作成する市区町村に対しては、交付金による財政的な支援に加え、水害ハザードマップ作成の手引きの周知、ハザードマップ作成や活用に関する相談窓口の設置、ハザードマップ作成支援ツールの提供などを実施しているところでございます。
  125. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 次に、先ほどもありましたけれども、マイ・タイムラインの普及について伺いたいと思います。  災害から身を守るには、自助、共助、公助のうち自助が大きなウエートを占めると言われております。大雨が降ったら、自分の家は浸水をするのかどうか、何を持って逃げるのか、どこへいつ逃げるのか、住民一人一人がいざというときにどう避難するか、時系列で整理した自分自身の防災行動計画がマイ・タイムラインであります。  平成二十七年九月の関東東北豪雨で鬼怒川が氾濫をいたしまして甚大な被害を受けた茨城県常総市などでマイ・タイムラインを作成、普及する取組が進んでおります。  また、私も、今回、久慈川が氾濫をいたしました茨城県の常陸大宮市などに視察に行かせていただきました。住民の方からも意見を伺いましたけれども、やはり避難行動をしっかりと常日頃からやっておくことが大事だということが言われていたところでございます。  このマイ・タイムラインを作成する意義や自治体の取組状況、また普及に向けた国の支援策についてお伺いしたいと思います。
  126. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  マイ・タイムラインは、住民一人一人がハザードマップを活用してどのタイミングで避難行動を取ればよいかを確認するものであるため、自助の観点から、住民の防災意識を喚起し、平素より水害リスクへの認識を深める意義があると考えております。  マイ・タイムラインは、平成二十九年五月にマイ・タイムライン検討の手引きを公表し、取組を開始しているところでございます。今年三月末時点でタイムラインを作成する取組を行っている市区町村は五十五自治体であり、更なる普及が必要であるというふうに考えてございます。  このため、国土交通省では、市区町村の取組を支援するため、マイ・タイムライン検討の手引き等の公表、小中学校で行う防災学習への教材の提供、住民参加型のワークショップの運営の指導などを行っているところでございます。さらに、市区町村が住民のマイ・タイムラインの作成を促していけるよう、有識者等の知見を踏まえながら、より実践的なガイドラインの作成を進めているところでございます。  引き続き、関係市区町村を始め教育関係者やメディアなどと連携して、ハザードマップの活用したマイ・タイムライン普及促進に努めてまいります。
  127. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 ありがとうございます。  是非、一度水害があった地域というところは、やはりこうした取組により積極的に取り組まれると思いますので、引き続きの普及啓発をお願いを申し上げたいと思います。  次に、同じくソフト対策でございますけれども、高齢者や障害者など要配慮者利用施設の避難ということについて伺いたいと思います。  今回の台風十九号により、私の地元でもある川越市の特別養護老人ホームでは、近くを流れる越辺川の堤防決壊をいたしまして、一階部分が浸水をして入所者など百数十人が孤立をいたしました。幸い、消防や警察、自衛隊などがボートで全員を救出をしてくださったところで、事なきを得たということでございます。  私も救出活動を見守らせていただきましたけれども、この施設では過去の水害の経験を教訓に避難訓練などを行っていたために、出水後にいち早く入所者を二階に避難させたこともあり、犠牲者を出さないで済んだということでございます。  そこで伺いますけれども、水防法では要配慮者利用施設について避難確保計画の作成と避難訓練の実施が義務化されておりますけれども、進捗状況はどうなっているのか、伺いたいと思います。また、職員の少ない小規模施設では避難計画作成が難しい面があるかと思いますけれども、これをどのようにサポートしていくのか、国交省の見解を伺いたいと思います。
  128. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、水害によるリスクから要配慮者の方々の命を守るため、平成二十九年五月に水防法が改正され、浸水想定区域内に位置し、市町村地域防災計画に定められた要配慮者利用施設の管理者等は、避難確保計画の作成及び訓練の実施が義務付けられたところでございます。  平成三十一年三月末時点で、避難確保計画の作成が必要な六万七千九百一施設のうち二万四千二百三十四施設計画が作成されており、そのうち八千五百八十七施設で訓練を実施しているところでございます。  国土交通省では、文部科学省及び厚生労働省と連携して、都道府県を通じて施設管理者等に対して計画作成等を促しているところでございます。また、計画作成事務の負担を軽減するため、簡易な入力フォームを備えた計画作成の手引きを作成し周知をしており、特に小規模施設における計画策定の促進に寄与しているものと考えてございます。さらに、昨年度からは、施設管理者等を対象に、計画の作り方に関する講習会を全国で開催をしております。  令和三年度中に全施設において計画が作成されるよう、関係者一丸となって取組を進めてまいります。
  129. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 まだ現状では道半ばというところかと思いますので、引き続きの取組お願いをしたいと思います。  次に、ハード面の防災対策についてお伺いしたいと思います。  まず最初に、中小河川治水対策について大臣にお尋ねしたいと思います。  台風十九号では、県管理河川のうち百二十八か所の堤防決壊をいたしました。国交省は、近年の豪雨災害の特徴を踏まえて中小河川緊急治水対策プロジェクトを策定するとともに、その後の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策におきまして、令和二年度までの目標を定めて中小河川治水対策を進めているところでございますが、これを是非強力に進めていただきたいというふうに思います。  さらに、今回の台風等による甚大な被害を考えますと、先ほども御質問でありましたけれども、三か年の緊急対策だけでは決して十分とは言えず、計画終了後も引き続き必要な予算を確保して対策を進めることが不可欠であるというふうに考えているところであります。  また、今回の台風におきまして、本川の水量が増加をして支川の水が合流地点でせき止められてあふれ出すバックウオーター現象や、下流の川幅が狭くなり、その影響によって上流部分で水があふれるという地形的な問題などが指摘されているところであります。災害復旧においては、原形復旧だけでなく、地域の実情に応じて、堤防の改良など改良復旧事業を積極的に推進すべきであるというふうに考えております。  こうした中小河川治水対策について、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  130. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 今回の台風十九号では、国管轄のうち七河川十二か所が決壊したと同時に、今、宮崎委員指摘のように、百二十八か所の中小河川決壊をしたわけでございます。  この中小河川につきましては、九州北部の豪雨を受けまして、越水等による度重なる浸水被害発生が大変重要な課題だとそのときに認識をしたわけです。重要水防区間のうち、近年洪水により被災した履歴がある、かつ再度の氾濫により多数の家屋や市役所、役場等の重要な施設浸水被害が想定される区間において河道の掘削等の対策を緊急的に実施することといたしたわけでございます。  この河道の掘削の対策につきましては、中小河川緊急治水対策プロジェクト、また、今の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策として、令和二年度までの完了を目指して強力に推進してまいりたいと考えております。  今回の台風十九号では中小河川で甚大な被害発生をしたということを踏まえて、今御指摘ございましたように、水位を低下させるための遊水地整備ですとか河道掘削をしっかり進めると同時に、バックウオーター現象への対策として堤防強化ですとか水門の整備、また、あと、やっぱり国だけではなくて、国と県と、また市、町ですね、やっぱり本流だけとか支流だけのそういった対策ではなくて、水系、系統全体の安全性に立った対策をしなければ意味がないというふうに思っておりますので、そうしたことも踏まえながら、必要な予算は、これは先ほど御答弁させていただきましたが、三か年ではとてもじゃないけど対策ができないという被災自治体の首長の皆さんの声もしっかり受け止めておりますので、これは継続をしながら頑張っていきたいと。  加えて、原形復旧では、やはりまた同じものを造っては、結局は次の災害対策にならないということがやっぱり多く散見されておりますので、必要なところでは抜本的な機能を強化する改良復旧ですとか、また、あるところでは本川の付け替えとか、大変費用の掛かる事業でありますが、そうしたことも取り組んで今現在行っているところでございまして、そうしたことも含めてしっかりとした防災・減災対策を取っていきたいと、こう決意しております。
  131. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 ありがとうございます。  さらに、今の中小河川対策の一つでもあるんですけれども、今回もいろいろなところからこういう要望がありましたのでお聞きしたいと思いますが、今回の台風ですけれども、自治体が避難情報を出す目安となる水位計が設置されていない河川氾濫発生をして多くの住宅が浸水したというケースがございました。  国交省では現在、中小河川を対象に、機能を限定した低コストの水位計や河川監視カメラの設置を進めておりますけれども、住民への的確な情報提供を図るため、水位計や監視カメラの増設、また夜間の監視能力の向上などを促進していくべきだと考えておりますけれども、国交省の見解を伺いたいと思います。
  132. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  国土交通省では、平成二十九年七月の九州北部豪雨平成三十年七月豪雨において、中小河川において洪水時に河川状況をリアルタイムに把握する手段がなく、住民の避難行動を強く促す情報を発信できなかったことなどから、水位計や河川監視カメラの増設を進めているところでございます。  水位計につきましては、堤防の高さや川幅などの状況から氾濫の危険度の高い箇所などに危機管理型水位計の設置を進めており、都道府県等が管理する中小河川において、この台風期までに約三千五百か所の設置が完了したところでございます。引き続き設置を進め、令和二年度末までに約五千八百か所を設置する予定としております。  また、河川監視カメラにつきましては、洪水の切迫性をリアリティーを持って伝えることができることから、氾濫の危険性が高く、人家や重要施設のある箇所などに、月明かり程度の明るさでも静止画の撮影が可能な簡易型カメラの設置を今年度から開始をしているところでございます。令和二年度末までに中小河川約二千か所でカメラを設置することとしており、令和二年の出水期から住民の皆様に適切な避難判断に活用していただけるよう、今年度末までに画像の閲覧に必要なシステムの構築を完了させる予定でございます。  これらの整備推進するとともに、台風第十九号を始めとした今年度の災害での課題を踏まえ、住民の主体的な避難を一層促すよう、水位計やカメラなどの河川情報の更なる充実について検討してまいります。
  133. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 ありがとうございます。  次の質問はちょっと時間の関係もありまして飛ばさせてもらいますけれども、答弁は結構でございますが、是非、今回の台風におきましても調整地であるとか貯留施設河川氾濫防止効果を発揮したということもございますので、こうした施設推進ということを是非お願いをしたいと思っております。  次に、被災者支援について伺いたいと思います。  被災者の生活再建を支援する仕組みについては、災害救助法に基づく応急修理や、被災者生活再建支援法、国の交付金の活用など、趣旨の異なる支援制度が存在するため、被災者にとって分かりやすく、不公平感を招かない制度運用が行うことが重要であると思っております。これは知事会においても同様の要望を承っているところでございますけれども、特に、台風十五号による被害を踏まえて、新たに損害割合が一〇%から二〇%の準半壊が災害救助法に基づく応急修理の対象になったことなども踏まえまして、災害割合の認定等が不公平にならないよう丁寧な対応が必要だと思います。  これについては、内閣府の見解を伺いたいと思います。
  134. 小平卓

    政府参考人小平卓君) お答えいたします。  内閣府では、市町村が被害認定調査を迅速かつ的確に実施できるように、災害に係る住家の被害認定基準運用指針というのを定めてございます。これによりまして、客観的かつ公平に判定を行うことが可能となっております。  具体的には、罹災証明書の早期交付のために、第一次調査では浸水深等の外観により簡易に判定を行うこととしておりますけれども、被災者の申請によりまして詳細な内部立入調査を実施することとしておりまして、この点につきまして、内閣府から被災市町村にも周知を徹底してございます。  今お話をいただきました制度も変わってございますので、改正後の制度の周知を図るために、被災地等におきまして、住家の被災認定調査及び罹災証明書の交付に関する説明会、これは職員が実際に出向いて説明会をやったり、なかなか時間的に合わない場合にはテレビ会議システム等を活用した災害救助法現地説明会などを開催いたしておりまして、改正後の制度が適切に運用できるよう、改めて周知を図っているところでございます。  今後も引き続き、被災者に寄り添いながら災害対応に努めてまいりたいと考えてございます。
  135. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 是非丁寧な対応お願いしたいと思います。  次に、観光支援策について伺いたいと思います。  秋の観光シーズンを迎えまして、被害を受けた観光地への影響が懸念されております。旅館、ホテル等に対して必要な支援策を柔軟に行うとともに、道路や交通機関の運行状況なども含めた正確な情報発信や風評被害防止に努めていただきたいと思っております。  また、これまでの大規模な自然災害の際に実施されてきました旅行商品や宿泊料金の割引等についても必要な支援を講じていただきたいと思います。  被災地の観光支援にどう取り組まれるのか、観光庁長官の見解を伺いたいと思います。
  136. 田端浩

    政府参考人(田端浩君) 被災地域におきましては、多くの宿泊施設等に物理的に被害が生じていると承知をしております。一日も早く営業再開、復旧できますよう、各運輸局に設置しました特別相談窓口等を通じて被災した事業者の方々から被害状況やあるいは御要望を丁寧にお伺いをし、中小企業庁等の関係省庁と連携して設備復旧資金や運転資金等についてしっかりと支援策を講じてまいります。  また、被災地域においては相当程度の宿泊予約のキャンセルが生じているものと承知をしております。被災地域への旅行需要の喚起が重要であると考えております。このため、旅行者に地域を安心して訪れていただけるよう、観光庁、またJNTO、日本政府観光局のホームページやSNSにおいて交通アクセスを含めた観光地の状況について情報発信を行うほか、旅行業界と共同での地域への誘客プロモーションや、また、海外メディアを活用しました地域の魅力の戦略的な対外発信にも取り組んでまいります。  委員指摘の旅行商品、宿泊料金の割引への支援につきましても、宿泊予約のキャンセル状況や各地域の御要望も踏まえつつ、現在検討を進めております。  秋の行楽シーズンに向けて、旅行の手控えや観光需要の落ち込み等によって被災地への影響が深刻化しないよう、旅行需要の喚起にしっかりと取り組んでまいります。
  137. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 是非よろしくお願い申し上げます。  続きまして、話題を変えまして、先ほど来出ておりますけれども、足立先生、増子先生からもお話がありましたが、タクシーについてお伺いしたいと思います。  近年、高齢者や訪日外国人、そして車椅子利用者などの多様な方が利用できるユニバーサルデザインタクシーの導入が進んでおります。政府は、ユニバーサルデザインタクシーを含む福祉タクシーの導入目標を二〇二〇年までに四万四千台と定めて、導入に向けた支援を講じるなど取組を加速させているところでございます。また、タクシー事業者におきましては、車椅子のままで乗降するためのスロープの設置方法など、実際の乗降についての実車研修を各社が実施しているところです。このように、タクシー事業者においては、タクシーを進化させるために設備投資などが必要となっていると承知しております。  こうした中、昨年六月以降、全国四十八地域におきましてタクシー運賃の実質改定について申請がなされましたが、今般、国土交通省において本年十月一日の消費税率改定と同時には実施をしないという判断がなされたところであります。  そこで伺いますけれども、タクシー運賃の実質改定の早期実施とタクシーの進化に向けた支援について、国交省の見解を伺いたいと思います。
  138. 一見勝之

    政府参考人(一見勝之君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、タクシーはドア・ツー・ドアの移送ニーズに応えられる唯一の公共交通機関でございますし、障害者だけではなくて高齢者にとっても利便性の高い交通機関でございます。平成三十年のいわゆるバリアフリー法の御審議におきましても、UDタクシーを使いやすいものにするようにという御質問もございました。それに応えまして、自動車メーカーにおいては改善を行っているところでございます。  国において、私どもにおきましても、上限六十万円の補助制度を設けてUDタクシーの普及を促進しているところでございますし、運転手に車椅子乗降研修をその補助金の際に条件というふうにもさせていただいております。  タクシーにつきましては、こういう車両更新費、また利用者利便増進のためのアプリの導入などのコストがかさんでございます。さらに、運転者の処遇改善のための賃金アップ、この原資なども必要になっているところでございます。現在、四十八地域において申請がなされております運賃改定については継続審査となっておりますが、関係省庁とも調整をし、経済への影響なども見極めながら可能な限り早期に対応したいと考えております。  また、御指摘をいただきました財政的な支援につきましても、例えばUDタクシーの、ユニバーサルデザインタクシーの導入などにつきまして、事業者の声も聞きながら、できるだけの対応を検討してまいります。
  139. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 ありがとうございます。  続きまして、バリアフリーの推進について伺いたいと思います。  最初に、駅のホームドア等の整備促進についてでございますが、今年の十月一日、京成立石駅で視覚障害者がホームに転落後、電車に接触して亡くなるという痛ましい事故が発生をいたしました。同駅にはホームドアが整備されていなかったということでございます。ホームドアがあれば防ぐことができた同様の事故が毎年のように繰り返される現状を何とか変えていかなければならないと考える次第でございます。  本年七月、国交省のホームドア整備に関するワーキンググループがまとめたホームドアの更なる整備促進に向けた提言では、ホームドアを全ての利用者の安全性向上を図るための施設とした上で、更なる整備の必要性、設置費用等を低減させる軽量型ホームドアの整備促進等が盛り込まれております。  そこで、この提言を踏まえまして、ホームドアの整備促進をどう進めていくのか、また、整備促進には十分な予算の確保が必要であり、これは私たちも応援しなければなりませんけれども、そうした予算の確保も含めて、国交省としてどう取り組んでいくのか、御見解を伺いたいと思います。
  140. 水嶋智

    政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。  ホームドアにつきましては、国土交通省では交通政策基本計画に基づきまして、利用者数十万人以上の駅を優先しつつ、二〇二〇年度までに全国八百駅に整備する目標を掲げて取り組んでおるところでございまして、二〇一八年度末時点で七百八十三駅まで整備が進んでいるところでございます。  これまで、駅ホームにおける安全性につきましては、駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置し議論を行ってきたところでございますが、さらに本年三月に、委員指摘のとおり、視覚障害者団体を含めた有識者などによりますホームドア整備に関するワーキンググループを設置いたしまして、更なるホームドア整備促進に向けた具体的な検討を進めているところでございます。  本年七月にはこのワーキンググループより提言が出されておるところでございまして、具体的には、ホームドアは視覚障害者のみならず全ての利用者の安全性の向上を図るための施設でもあることを認識した上で、ホームドアの更なる整備を促進すること、また駅のみならず番線ごとの整備状況にも着目して計画的なホームドアの整備を促進すること、また設置費用などの低減効果のある軽量型ホームドアの整備を促進することなどが提言されておるところでございます。  国土交通省といたしましては、今後、この提言を踏まえまして、二〇二一年度以降の新たな目標設定に向けて、優先整備を行う番線の考え方や軽量型ホームドアの普及促進、ホームドアの設置状況などに関する視覚障害者に対する情報提供在り方などにつきまして検討を深めてまいりたいと考えておるところでございます。  引き続き、ホームドアの整備促進に向けて必要な予算の確保に努めますとともに、ハード、ソフト両面から駅ホームの安全性確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  141. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 ありがとうございます。  続きまして、心のバリアフリーということについて大臣にお伺いしたいと思っております。  ホームドアといったハード面の対策とともに、駅員の方や駅利用者からの声掛けなどのソフト面の取組というのが心のバリアフリーを推進していくということで重要であると考えております。  先日、地元の障害者団体と懇談した際に、例えば視覚障害者福祉協会の方からは、駅構内での歩きスマホは非常に危険だと、絶対にしないでもらいたいと。また、脊髄損傷者連合会という方からは、ハード面でのバリアフリー化が進んでいるようでも、健常者も多機能トイレを使用するため長時間待たなければいけないことも多い、車椅子で生活している者にとって多機能トイレは極めて重要であり、本当に必要な人の専用にしてもらいたいと、そういった強い要望をお受けいたしました。こうした指摘はごもっともなことだと思っております。  赤羽大臣は、バリアフリーを社会の常識に変えたいという強い思いから、これまでバリアフリー関連の法整備や予算の確保に取り組んでこられていますけれども、来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての対応はもとより、共生社会の実現に向けて心のバリアフリー施策を更に推進していっていただきたいと考えておりますけれども、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  142. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 共生社会の実現に向けてバリアフリーの社会づくりというか世の中づくりをしていこうと、私もこの二十年来取り組んでまいりました。  二十年前というのは、バリアフリーでない駅が当たり前、エレベーターがある駅をわざわざ視察に行ったりというような状況でございましたし、行った駅では、何というかな、一番端っこのところにエレベーターがぽつんとあって、それも小さくて車椅子の方が十分乗り切れないとか回転できないような、それが現状でした。  こうしたことを何とか変えていかなければいけないと私は思って、その最初、大前提として、これは福祉政策でやっては駄目だと、福祉政策で、施しみたいな政策でではなくて、そのことが当たり前の世の中にしなければ恥ずかしいんだというような世の中に、国にしたいと、そう考えて交通バリアフリー法を二十年前に作らせていただき、法律ができるだけではなかなか共生的なことが実現できませんので、予算の在り方、国が三分の一、また地方が三分の一、鉄道事業者が三分の一という新しい仕組みをつくって進めました。  なかなか簡単にはいかなかったわけでありますが、今、二十年たった今、首都圏、まあ関西もそうですけど、一日三千名以上のという条件は付いておりますが、そうした駅については、今やバリアフリー化が当たり前という世の中になったと思います。  しかし、障害を持たれている方と、いろいろ御指導いただく中で、そのハードの面だけでは全くそういう共生社会が達成されているわけではなくて、やっぱり駅を一歩出ると段差だらけだとか、そうした現実でありますので、そうしたときに、ソフトの、やっぱり自然にサポートするというようなことを、本当はこれは、まあ何というかな、法定化するようなことではないんじゃないかと思いますが、実は昨年の法改正の中でそうしたソフト面でのバリアフリーのことが法定化したわけでございますし、また、その中で私、大事だと思うのは、当事者、当事者というか障害を持たれている方たちもその地域のバリアフリー協議会のようなメンバーに入っていただいて、フィードバックというか、皆さん方の意見も聞けるような仕組みをつくったということも大変大事だったのではないかと思います。  共生社会という大きな理想を掲げてやっぱり一歩ずつ進んでいくということが大事だと思いますので、そうしたことは不断なく前を向いて進めていきたいと思いますし、これは国交省だけではなくて文科省、学校の教育ですとか様々なことが必要だと思いますので、関係省庁とも連携を取りながら、政府一丸となってバリアフリー、共生社会の実現目指して進まなければいけないと、こう決意をしております。
  143. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 ありがとうございます。  これで最後の質問とさせていただきますけれども、消費税率の引上げに伴う住宅支援策について、最後伺いたいと思います。  消費税率引上げから一か月が経過をいたしました。国土交通省では、消費税率引上げ後の住宅の購入等にメリットが出るよう、住宅ローン減税の拡充やすまい給付金の拡充、次世代住宅ポイント制度の創設という三つの支援策を実施しております。これらの対策は、消費税増税前の駆け込み需要や引上げ後の反動減を抑え、需要を平準化させるために行われておりますけれども、現時点での政策効果についてどう見ているか、伺いたいと思います。  また、この次世代住宅ポイント制度についてですけれども、この制度については、他の二つの制度、支援策に比べて認知度が低い、理解度が低いという調査結果もございます。さらに、この制度は来年三月末までに着工することがポイント発行の要件となっておりますけれども、戸建て注文住宅の場合は請負契約の締結から着工までおおむね三か月程度が掛かるとされるため、ポイント発行の対象となる戸建て注文住宅は年末までに契約を締結したものにおおむね限定され、年明け以降は政策効果が薄れるというふうに指摘されております。  こうしたポイント制度が最大限に活用されるよう取り組んでもらいたいと思いますけれども、国交省の見解を伺いたいと思います。
  144. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 時間が来ておりますので、簡潔に御答弁願います。
  145. 眞鍋純

    政府参考人眞鍋純君) 消費税引上げ対策についての御質問についてお答え申し上げます。  今、宮崎先生から御指摘いただきましたような種々の支援策による政策効果もございまして、本年九月までの住宅着工戸数の推移を見る限り、前回消費税率引上げ時の状況より反動減の影響は大幅に小さくなっていると認識してございます。また、先月中旬に住宅事業者から現場状況についてヒアリングをしたことがございましたけれども、その結果におきましても、総じて前回消費税率引上げ時のような大幅な駆け込みは起きておらず、反動減は少ないというようなことを聞いております。  引き続き、経済の状況を含め、今後の住宅着工の動向についてしっかりと注視してまいりたいと思います。  また、御指摘をいただきました次世代住宅ポイントでございますが、九月末時点で、新築は一万八千六百戸余り、リフォームは三千百戸余りの申請を受け付けまして、これまでに約五十三億円に相当するポイントを発行してございます。申請は原則工事が終了した後に行うこととしておりますが、工期の長い新築住宅や大規模なリフォーム工事については工事完了前の申請も可能としております。今申し上げました数字は主に完了前に申請をいただいたものということで、今後、完了後の申請が税率引上げ後、つまり十月以降に本格化するというふうに見ておりますので、今後申請は増えてくるものと考えてございます。  さらに、着工の要件についても御指摘をいただきました。
  146. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 時間が来ておりますので、答弁はおまとめください。
  147. 眞鍋純

    政府参考人眞鍋純君) はい、分かりました。  この消費税率が引き上げました十月以降、次世代住宅ポイント制度が一般の方に知っていただけるよう、ラジオのCM、新聞の突き出し広告、ウエブ広告など多様なメディアを用いて周知、広報をしてございます。また、住宅事業者の方の最大限の御協力をいただきまして、この制度の要件など、御指摘いただいたことについても周知徹底に努めてまいりたいと考えてございます。
  148. 宮崎勝

    ○宮崎勝君 済みません。終わります。
  149. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 日本維新の会の室井邦彦でございます。  まず、この度の台風十五、十九号、また集中豪雨で多くの方々が犠牲になられました。亡くなられた方々に心から哀悼の意を表する次第であります。また、被災を受けた方々に心からのお見舞いを申し上げ、我々も一日でも早く復旧復興が成るように頑張っていきたい、頑張っていくことをお誓いを申し上げます。よろしくお願い申し上げます。  それでは、私も災害の関係の質問から入らせていただきたいと思いますが、赤羽国土交通大臣に、就任されまして、私も同じ兵庫県の出身の議員として心強く思っておりまして、赤羽議員が一期目の当選のときに阪神・淡路大震災があり、私は県会議員二期目でありまして、あの恐ろしさと、私も家が半壊しまして、半壊と全壊とどう違うのかなと、結局建て替えましたけれども、まあいろんな問題を抱え、私も自らいろいろと経験をし、自然の恐ろしさ、力というものは本当に身にしみて感じております。  阪神・淡路大震災は、水害とか風、そういう土砂災害というものではなくて、全て六千五百人余りが押し潰されたということで亡くなられたという直下地震でありまして、私も尼崎の自宅から三宮、元町の県庁まで行くのに、旧国道四十三号線、国道二号線が遮断されておりますので、北回りで伊丹の中部方面部隊の自衛隊のところからヘリコプターで王子競技場まで行って、王子競技場から徒歩で県庁に通ったと、そういう経験もしておりまして、この教訓を今後生かしていかなくちゃいけないという気持ちで、毎日、こういう災害対策特別委員会国土交通委員会では精いっぱい対応し、二度とああいうことが起きないということはありません。  今回も、私は大臣質問したいのは、要するに、順番にさせていただきますけれども、今回のこの想定をはるかに超える自然災害、この長期にわたるテーマで、想定外の自然災害が起き得る、これはもう想定外のことが起きるということは、次の年、次の年、これは想像ができません。しかし、想定外以上の震災、またそういう台風、集中豪雨はあると考えていかなくちゃいけないと。そういうときに、長期のスパンでどのような、国土交通として、またこれから大臣に就任されてどう見解というか考え方をお持ちなのか、少しお聞かせをいただければ、お願いをしたいと思います。
  150. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 御質問ありがとうございます。  近年の激甚災害の頻度を見ておりますと、百年に一度の大災害が今後我が国のどの地域でいつ起こっても不思議ではないと言っても言い過ぎではないような状況になっているものだというふうに認識を新たにする必要があると思います。  そうした中で、昨年四月に、国交省の中に気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会というものを設置させていただきまして、この十月十八日まで、将来の降雨量河川流量洪水発生頻度がどの程度増加するか等について御検討いただき、提言をまとめてもらったところでございます。  この提言の中には、猛烈な台風の出現頻度の増加や台風の通過経路が北上するということに加えまして、気温が二度上昇した場合には降雨量全国平均で一・一倍、河川流量全国平均で一・二倍と、洪水発生頻度が全国平均で二倍になるというようなことが示されておるところでございます。  こうした提言を踏まえまして、まさに新しい想定をつくらなければいけないということで、将来の気候変動影響によるものを考慮した抜本的な治水計画への転換を進める必要があるということで、同日、社会資本整備審議会に諮問をさせていただいたところでございます。  これからその審議会では、降雨量の増加などを考慮した治水施設整備、これはハード面の整備に加えまして、自助、共助の取組として、実効性のあるマイ・タイムラインなどの避難体制づくりですとか、企業の方々にも御協力をいただいて建物内の貯留施設整備をするなど、まさにハード、ソフト一体となった整備が必要なのではないかと。  特に、やっぱり国民の皆様防災意識を何よりも高めていくということが非常に重要であるということも考えながら、本当に国民の皆様の命と暮らしを守れる安全、安心な社会づくり、防災・減災が主流となるような社会づくりに向けて全力で取り組んでいきたいと、こう決意をしておるところでございます。
  151. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  この間のこの十九号では、半日で一か月分の雨量を上回る、記録的な、そういう豪雨であったと。日本の国は、御承知のとおり、面積の三分の二が山地でありますので、こういうことが起きるとどうなるのか、想像しただけでも恐ろしい思いも、三年、四年前ですか、広島でも土砂災害があり、多くの広島の町の、一つの町が崩れたという、ああいうこともありましたけれども、この点を考えてやはり対応を是非していただきたいというふうに、少しでも国民が安心してこの国内で、国で暮らせるように、ひとつ御努力を是非お願いを申し上げたいと思います。  ここで、私も何度もこの無電柱化の件について御質問をさせていただきました。これは、観光立国に関して、京都の町とか大阪へ行くともう電線、電柱がやたらにあって、これで観光立国を、本当に冠たる観光立国にするんだと言って大丈夫なのかという、そういう感覚で質問もさせていただいていたんですが、今回の千葉県でこれ停電が起きて、もう経済的な、大きな経済損失が出たということから考えると、ただ観光だけではなく、やはり国の安心、安全、国民の、そういう災害に対してこの無電柱化というのは非常にクローズアップ、注目を受けていると。その点について少しいろいろとお聞きしたいんですけれども。  これは大臣皆さん方、先生方も当然もう聞いたことのある数字であります。ロンドン、パリ、香港、これは無電柱化は一〇〇%、台北はちょっと下がって無電柱化九五%、東京二十三区は七%、大阪は五%と。この数字について、大臣、率直にどう思われますか。
  152. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 今、室井委員指摘のように、この無電柱化というのは結構古くからある話でして、ちょっと正確な年は忘れましたが、景観法という新しい法律を作ったときに、この無電柱化を進めようということで法律ができましたが、現実には大変な莫大な費用が掛かり、その費用を誰が負担するのかというようなことが主な原因となってなかなか前に進んでこなかった。  今この数字、私ちょっと承知しておりませんでしたが、改めて並べられるのが少し恥ずかしいというか、かなり恥ずかしい数字だというふうに思っております。その数字の感想だけでよろしいですか。(発言する者あり)何とか改善しなければいけないと思っております。
  153. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 そういう現状であります。  私、次の後の質問でするつもりでいたんですけれども、この無電柱化に関しては、もう国策として進めていかないと、国土交通省だけではこれ到底無理な話でもありますし、日本全国どこからどこまで無電柱化するかという問題もありますし、やはりその点はよく研究して進めていかないといけないと思うんですよね。  そこで、私も質問させていただいたんですけれども、二〇一八年四月、無電柱化推進計画が策定され、二〇一八年度から三年間で約千四百キロメートルの新たな無電柱化に着手したと。これはちょっと私よく分からないんだけれども、千四百キロメートルの新たな無電柱化に着手したというのは、その千四百キロメートルの距離の間に、その無電柱化の、これはどういうふうに解釈したらいいんでしょうかね。
  154. 池田豊人

    政府参考人(池田豊人君) 今委員指摘ありました無電柱化推進法に基づく計画で、千四百キロの無電柱化を三年間で、令和二年度までで進めるというふうに位置付けておりまして、これは、その千四百キロの道路延長の中の電柱をなくして電線を無電柱化するという、そういう趣旨でございます。(発言する者あり)
  155. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 室井邦彦さん、室井邦彦さん、お願いします。
  156. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 委員長、ごめんなさい。失礼いたしました。お許しください。  もう余り細かいことはもうやめておきましょう。  そうしたら、この三年間でまた、ここですね、千キロメートルを追加整備していると。緊急対策により千キロメートルを追加整備していると聞いておるんですけれども、この新たな千キロメートルもそういう感覚で理解すればいいのかな。ちょっと質問します。
  157. 池田豊人

    政府参考人(池田豊人君) 今御指摘ありました防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策、これは、昨年の関西の豪雨によりましていろんな被害があったことを契機にいろんな防災対策をまとめたものですけれども、無電柱も、昨年の関西の被害において電柱の倒壊での停電があったということで無電柱化が入りました。その延長が約千キロメートルということで、先ほどの千四百キロに追加することで千キロメートルを追加をして令和二年度までに無電柱化を進めていくという、そういう内容でございます。
  158. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 じゃ、これで大分無電柱化になったということですか。そういうこと。
  159. 池田豊人

    政府参考人(池田豊人君) その前に、その二千四百、千四百キロと千キロと計画入れましたけれども、その前のペースに比べると倍のペースにしたんですけれども、まだまだたくさんやらなきゃ駄目なところがございますので、抜本的なものには至っていないという認識でおります。
  160. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 御努力は認めさせていただきます。  そこで、最後のこの無電柱化質問になりますけれども、この景観形成、また観光振興の観点から無電柱化推進してきた、他方で、宅地化が進み、新たに電柱が設置され、むしろ減るどころか年間七万本の電柱が増えておるというような、ちょっと仄聞しているんですが、この数字とこの実態はちょっと確認しておきたいんですが。
  161. 池田豊人

    政府参考人(池田豊人君) 今御指摘ございました点でございますが、平成二十九年度末の時点において、全国で約三千六百万本の電柱がございます。で、近年、今指摘ありましたように、約七万本ずつ増加しているという状況でございまして、このようなことを踏まえて、無電柱化を進めるのに合わせて、新設電柱の占用の制限を進めなければならないという、こういう認識でおります。
  162. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 増えているということを聞いてもうがっくりしているんですが。  先ほどの、都市局長とか住宅局長が答弁されていましたけれども、やはりこれから造成地とかそういうところで電柱を立てていくのか、また、そういう新たに、もう既に無電柱化をしないといけないよと、許可下りないよというような、新たな政策とかそういう制度を考えられたらどうかなと。まだ七万本ずつ毎年増えているというのは、ちょっとこれはどうなのかなと、まあそんな思いもありますので、大臣皆さん方、よろしく御検討をお願いをしたいと思います。  では、次に進みます。  次の質問は、もう大臣、これ国策として無電柱化はやっていただいたらどうですかということで、大臣お願いをしておきます。  ちょっと災害から離れますが、インフラシステムの海外への展開についてお聞きしたいんですけれども、その新興国を中心とする世界のインフラ需要は膨大なマーケットであります。我が国の経済成長のためにも是非この世界のインフラ需要、需要を積極的に取り組んでいく必要があると。既にもう一歩も二歩も先へ韓国も中国ももう進んでおりますけれども、何とかそういう方向で進めていただきたいということで、国土交通省もいろいろと御努力をされていることは私も知っているところでありますが、赤羽大臣もこのことについては、インフラシステムの海外展開を積極的に推進していくと、そういう発言をされておりますし、心強く感じております。  今までのトップセールスの実績はどのようになっているのか、ちょっとお聞かせいただけませんか。
  163. 岡西康博

    政府参考人(岡西康博君) お答え申し上げます。  お尋ねの政務三役のトップセールスにつきましては、昨年、平成三十年の一年間に六十九件の実績がございます。(発言する者あり)はい。
  164. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 まあ内容も聞きたいところでありますけれども、今日は件数だけで結構ですが。  そこで、JASMOCについてもお聞きしたいんですけれども、またこの平成三十年五月、海外社会資本事業への我が国の事業者の参入を促進させるために法律が成立しております。中堅・中小建設業者が海外にどんどん展開しやすいような、こういう制度でありますけれども、国交省として取組においてどのような成果が上げられているのか、この点をお聞かせをください。
  165. 岡西康博

    政府参考人(岡西康博君) お答え申し上げます。  お尋ねの中堅・中小建設業海外展開推進協議会、JASMOCは、現在会員数が二百十七まで拡大してございます。当協議会では、中堅・中小企業ならではの課題の解消に向けて、海外進出に必要な情報の共有、国内セミナー開催、現地へのミッション団派遣などの取組を行っております。行って、その結果、我が国ODAの受注や現地法人の設立などの成果を上げております。  またさらに、お尋ねの海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律につきましては、昨年八月に施行され、専門的な技術やノウハウを保有する独立行政法人等が積極的に海外業務を展開してございます。  例えば、昨年十二月には阪神国際港湾株式会社がカンボジアのシハヌークビル港湾公社の一部株式を取得し、シハヌークビル港の運営に参画しているところでございます。また、都市再生機構、URは、オーストラリアの西シドニー新空港周辺地区開発について、昨年十一月にニューサウスウェールズ州との間で技術支援等に関する覚書を交換し、本年十月には州開発公社との間でアドバイザリー契約を締結したところでございます。
  166. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 もう少し成果を上げていただきたいと思いますけれども、そういう成果が現れてきているということで、一応は、まあ安心をするというレベルではありませんけれども、しっかりとトップセールスを積極的に進めていっていただいて、中国、韓国の一歩先行くような、やはりそのくらいの馬力で進めていっていただきたいなというふうに希望いたします。  そして、またもう一度災害に関して御質問しますが、バックウオーターについてお聞きをしたいと思います。  先ほど来先生方からいろいろと御質問があるように、本川支川水位が高い時間が重なってという、そして支川洪水が流れにくくなる、降水が流れにくくなるという、これが、バックウオーター現象が原因となって中小河川氾濫発生させると、甚大な人命被害等が発生につながってきたという、今回がそのような現象であったと聞いておりますが。  この七月の西日本豪雨では、高梁川水系小田川及びその支川である末政川においてバックウオーター現象が起こったと、越水等による堤防破壊につながったと聞いておりますが、この今回の台風十九号では十三都道府県の広い範囲で記録的な大雨をもたらしたと。河川堤防決壊が百三十か所以上で発生し、甚大な被害をもたらしました。  我が国の河川のうち、バックウオーター現象の影響堤防決壊につながる可能性の高い箇所の点検、これをどのように進めていくのか、お聞きをしたいと思います。
  167. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、台風第十九号では全国で百四十か所の堤防決壊するということでございました。  この堤防決壊の中にも、本川水位が上昇することで支川の水が本川に流れにくくなって対流することによって水位が高くなるバックウオーター現象が影響したのではないかという指摘があることは承知しているところでございます。  国土交通省では、現在、国土技術政策総合研究所等の専門家と連携して、堤防決壊にバックウオーター現象が影響していないかどうか調査、分析を進めているところでございます。そのようなバックウオーター現象の影響が考えられた、そういう箇所につきましては、本川水位を下げるための河道掘削などの対策を進めていくとともに、支川においても、本川からのバックウオーター現象を考慮して、本川堤防と同じ高さ、幅の堤防整備を行うことや、水門の整備等のハード対策を強力に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  168. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  私も国土交通委員会は長いんですけれども、こういうバックウオーター現象とか、近年新しい言葉で私も勉強させていただいているんですけれども。二番目の質問も同時に答えてくれはったよね、ね。はい、分かりました。じゃ、一つ次に進めます。  この河川氾濫に伴う止水対策ですね。もういつまでも水面に、町に水が行かないという、これの応急処置というのがこれは非常に大切だなと、いろんなところの、千葉にいたしましても感じました。  そこで、これ、排水ポンプ車が優秀なんでしょう。しかし、二百台しかないとか、これについて少し触れたいんですけれども、堤防が、氾濫して水浸しになった、じゃ、すぐにそういう、優秀なポンプが日本にはある。一度タイにも送ったことがあるんですよね、このポンプを、ちょっと工場地帯に。非常にタイの国々から感謝されて喜ばれたんですけれども、そういうポンプだと思いますけれども、これ、これから今、日本にこの排水ポンプ車はどのくらい、二百台って、今回は二百台近いポンプ車で体制を、排水を行ったとありますが、二百台というと、単純にこういうことは計算はしていいのかどうか分からないけれども、四十七都道府県に二百台で割ると、一つの県に四・四台ぐらいの、そういう計算は成り立たないかも分からないけれども、すぐ対応できるような、そういう体制は取れないのか、現実的にそれは可能なのかどうか、ちょっとこの辺に、浸水対策についての対策強化についてのお考えをお示しいただけませんか。
  169. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答えを申し上げます。  今、ポンプ排水の件でございます。台風十九号、それに続く大雨ということで浸水が多く発生したということで、国土交通省では全国から約二百台のポンプ車を被災地に派遣して排水作業を行ったところでございます。全国には国土交通省の所有しているものは三百五十台を超える台数を持ってございまして、今回は二百台を集めたということになってございます。  この排水ポンプ車というのは、このような地域の浸水解消を図るために排水活動を行うということでございますとともに、堤防決壊した付近にも次の降雨に備えて事前に配備をしていくというようなことも行いました。また、下水道で被災したポンプ場の代わりにその排水を行うというような、そういう対応もしたところでございます。このようなことで、これらの結果、排水ポンプ車は七十四市町村、延べ四千台を超えるような活動を行っているところでございます。  今般の激甚な水害浸水被害等を踏まえまして、排水ポンプ車の適正な規模での配置等の体制強化についても検討を行い、引き続き迅速な災害対応に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  170. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 分かりました。心強くというか、そういう配置をされておるということは有り難く思う次第であります。  それに、局長、頭の片隅に入れておいてほしいのは、想定外のことが絶対に起きるということだから、その点は頭の片隅に入れていただいて行動するように、今のままでいいはずはないので、よろしくお願いを申し上げます。  五十三分までということでありますので、もう一つ質問をさせていただきますが、これはパイロットの飲酒の問題をちょっと取り上げさせてもらいます。  これも、私、国土交通委員会でずっと委員させてもらっていますけれども、何回質問して何回国交省の指導を、またお願いをしたか分かりません。まあ一々もう取り上げるのはやめておきますけれども、これは国交省として、これいわゆる所管の監督省庁の信頼までを失ってしまうようなことになるんじゃないのかなという、国交省のその厳しい規制、そういう、にしても全く航空パイロットは言うことを聞かないと、陰で隠れてやっておると。これは、交通省は甘く見られているのかという、そういう、言葉は悪いですけどね、問題につながるんじゃないかと。この点について担当の、お願いいたします。
  171. 和田浩一

    政府参考人和田浩一君) お答えいたします。  パイロットの飲酒対策につきましては、乗務前後にアルコール検査を義務付けるなど本年四月から実施した飲酒基準の強化や、本年七月八日から施行されました罰則の強化にもかかわらず、アルコール検知事案が続いております。これらの事案につきましては、検査における検知により飛行機への乗務には至っておりませんけれども、国土交通省としては、極めて遺憾であり、飲酒問題に関する意識を徹底させる必要があると考えております。  このため、罰則強化後に発生した六件の事案のうち、日本航空に対しましては、十月八日に航空法に基づく事業改善命令を再度発出いたしました。また、このほかの航空会社及び運航乗務員に対しても、再発防止を徹底するべく厳格な行政処分等の措置を検討しているところでございます。また、全ての航空会社に対しまして、飛行勤務に支障を及ぼす過度な飲酒を禁止するとともに、出勤前のアルコール検査を徹底させるほか、運航乗務員の自己管理の強化を指示したところでございます。  国土交通省といたしましては、航空会社に対する飲酒基準の遵守の徹底と個人に対する規律の強化の双方に取り組むことによりまして、航空の安全に対する信頼をできる限り早急に回復できるよう、全力で取り組んでまいります。
  172. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 これで終わりますが、局長、くれぐれもまた同じような質問をさせないようにひとつ努力をして、人命を預かる大切なことでありますので、よろしくお願いをしたいと思います。  高田局長、済みません、質問を飛んでしまいまして。次の委員会のときにまた質問させていただきたいと思います。  終わります。
  173. 武田良介

    ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  私も、今年災害がずっと多発をしております。台風十五号や十九号を始め、またその後の大雨も含めて、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、亡くなられた皆さんに哀悼の意を表したいというふうに思います。  この間の十九号を始めとした豪雨によって、甚大な被害発生をしております。どれだけの被害発生をしているのか、現在取りまとめている到達で構いませんので国土交通省から御説明をいただきたいと思いますけれども、全国の国の管理河川、また千曲川ではどうなのか、決壊箇所と浸水面積で概要を説明いただけるでしょうか。
  174. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  この度の台風第十九号では、全国の国管理河川のうち六水系七河川において十二か所で堤防決壊するとともに、これらを含みます十四水系二十九河川決壊越水、排水不良等により約二万五千ヘクタールの浸水被害発生いたしたところでございます。  このうち、長野県内を流れる信濃川水系千曲川では、長野市穂保地先の堤防が約七十メートル決壊するなど、千曲川の沿川で、決壊越水、排水不良等により約二千二百ヘクタールの浸水被害発生したところでございます。
  175. 武田良介

    ○武田良介君 千曲川についていいますと、一か所二千二百ヘクタール、約ですね、ということでありました。本当に大きな被害発生しているわけです。私の地元長野市でそれだけの被害発生をいたしました。千曲川に注ぐ支川内水氾濫とともに、今御説明がありました千曲川決壊被害を非常に大きくしたというふうに言われております。  この決壊の原因究明というのはまだまだこれからだというふうに思いますけれども、被災地で声を聞きますと、たとえ越水しても決壊しなければ被害はもっと小さく済んだのではないかと、こういった声もあるわけであります。  これまでの治水対策をもっとしっかりしておけば今回の被害はもっと小さくすることができたんじゃないだろうか。大臣、どのようにお考えになるでしょうか。
  176. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 私、大臣就任後、今回国直轄決壊をした七河川十二か所は全て被災地に足を運びました。千曲川だけではなくて、全て被害が、大変大きな被害が起きたところばかりでございますので、全ての地点でいま一度これまでの治水対策はどうだったのかということをしっかりと検証しなければいけないと、こう思っております。
  177. 武田良介

    ○武田良介君 しっかりと検証しなければならないと、検証なくして今後の対策ということはやはり出てこないというふうに思います。  長野市には千曲川支川であります浅川という川がありまして、この浅川をめぐって浅川ダム建設という歴史的な問題があります。今回浸水した長野市の長沼地域あるいは豊野の地域というのは、この浅川の水が千曲川に流し切れずに起こる内水氾濫の常襲地域でありました。それだけに、ダムを造って上流流量を減らせば内水氾濫も防げると、こういうことで浅川ダム推進をされてきたわけでありまして、現在はこのダムは造られております。完成しているわけです。しかし、今回の災害では、浅川ダム流量を減らす役割を果たしていないのではないかというふうに指摘をされておられます。被災された皆さんがそういう指摘をされておられます。  浅川ダムはそもそも穴空きダムというふうに言われまして、流量を十分調整し切れないダムだという指摘もあるわけですけれども、何より今回の雨が多く降ったのは、ダムより上流域ではなくて、むしろ下流域でたくさん降っているということでありました。ダムで川の水を減らしたという状況ではないんじゃないだろうか。すると、この河川流量を減らすという意味ではやはり自然の保水力が必要になってくるんじゃないかと。これは皆さん一致すると思うんです。  そこで、国交省に確認をさせていただきたいと思うんですが、信濃川水系河川整備計画、これ見ますと、中には遊水機能の保全というところがありまして、上流部中流部においては、河川からの洪水を一時的に貯留する遊水機能について、その効果や必要性についてこの中で触れられているというふうに思うんですけれども、遊水機能の保全、そのためにどんな具体化がなされているのか、御説明いただけますか。
  178. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、信濃川水系河川整備計画においては、遊水機能の保全として、河川からの洪水を一時的に貯留する遊水機能を持つ沿川の農地が保全されるようにすることを主に想定をしているところでございます。  河川整備計画が策定された平成二十六年一月以降におけます流域の土地利用を見てみますと、沿川の市町の市街化調整区域の面積には大きな変化はなく、また遊水機能を持ち得る沿川の農地において大規模開発も確認されておりません。そのために、河川整備計画に記載されている遊水機能について、その保全、向上のための具体的な対策を要する状況とはなっていないものと認識しておりますけれども、引き続き沿川の土地利用状況について注視をしてまいりたいというふうに思います。  また、先ほどの質問の中での長野県内の浸水の関係でございますけれども、穂保地区だけではなく、全体で二千二百ヘクタールということでございます。
  179. 武田良介

    ○武田良介君 ちょっと若干はっきりしない答弁だったんですけど、具体化を図ると言われているわけですよね、平成二十六年の整備計画で。どういう具体化がされているのかと聞いたんですけど、何か具体化されているんですか。何も具体化されていないということなんじゃないですか。
  180. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  沿川の遊水機能を持ち得る農地が他の用途へ転用されるとその遊水機能が低下するおそれがあるため、自治体の計画などで工業団地の誘致といった土地利用の転換を計画しているような場合には、遊水機能の保全等のための方策を具体化する必要が生じるというふうに考えられます。その方策としては、例えば、自治体と連携、調整をして必要に応じて災害危険区域の指定等による土地利用の規制等を行うことなどが考えられます。  先ほど申し上げたとおり、農地の面積、大規模開発等が考えられていないというようなことから、まだ具体化している状況ではないということでございます。
  181. 武田良介

    ○武田良介君 農地の保水力が失われないから何もやっていないんだという御説明だというふうに思います。特にその遊水機能の保全について対策を打ってきたわけじゃないと、取り立てて、いうことだと思うんですよ。それで、これ私はとんでもない話だと思うんです。ただ、これ遊水機能の保全に、その具体化を図ってこなかったというだけではなくて、むしろ遊水機能を持っていたところを開発によって奪ってきた、遊水能力を、そういう歴史があるんじゃないかと。今のは平成二十六年からの話ですけれども、その最たるものが長野市の車両基地なんですね。  この車両基地は、千曲川洪水が起こったら浸水するということが分かっていたところです。先ほどの午前中の質疑にもありました。しかし、平らなところが余りない。やっぱりここで造りたい、でも浸水する。それで、何とか造らなきゃいけないということで浸水対策をされていると思いますけど、どういう浸水対策されたんでしたっけ。
  182. 水嶋智

    政府参考人(水嶋智君) お答え申し上げます。  まず、この長野の新幹線車両センターの位置の選定でございますけれども、これは、当時の建設主体でございます鉄道運輸機構、建設当時は日本鉄道建設公団でございましたが、これが環境影響評価を行う際に、一つは本線、長野駅に近いこと、また、広い平たん地があること……(発言する者あり)はい。また、人家の支障が少ないことなどを考慮して現在の位置を選定したということでございます。  この車両センターを建設するときですが、この車両センターは平成九年の十月に供用を開始をしておりましたが、当時はまだ水防法に基づく浸水想定区域の指定制度はございませんでした。このため、当時は、過去の浸水被害を考慮いたしまして、周辺の地盤よりも約二メートル高く盛土をした上でこの車両センターを建設したものと承知をしているところでございます。
  183. 武田良介

    ○武田良介君 二メートル盛土をしたというんですよね。私、現地で聞きましたら、この車両基地の面積は大体三万五千平米だというんですね。それで、二メートル盛土をしたということは、単純に計算すると、大体七万立方メートルの分は元々あったところから水がためられなくなっているわけでありますから、浸水被害をひどくしているのではないかというふうになると思うんですね。  これ、大臣、いかがですか。どのようにお考えですか。
  184. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 同時に、その当該車両センターの建設に当たりましては、県の基準に基づいて約一万立方メートルの防災調整池を設置をしておりまして、こういう意味で、敷地内の降雨による河川への流出量を抑制しているほか、先ほど言いました盛土によりまして周囲の水の流れが阻害されることを防ぐための排水路の整備を行うなど、車両センター周辺の浸水対策は行ったものと承知をしております。
  185. 武田良介

    ○武田良介君 そういう対策をやったというふうに承知しているということでしたけど、私が勝手に言っているんじゃなくて、地元の方たちが、あそこに車両基地を造るときに、ここはつかるから、そこに車両基地を置いてもらったら浸水被害がひどくなるという声が実際にあったという歴史的事実があるわけですね。そういうことを心配していて、今回、実際、内水氾濫とともに千曲川決壊をして、これだけの大きな被害発生してしまったという実態があるわけなんです。  そうすると、先ほどは水防法の関係でまだ改正の前だったからという話もありましたけれども、そういうことじゃないと思うんですね。ここに車両基地を置くという判断自身がやはり誤りだったのではないかと。それが今回の被害を更に大きくしてしまったということだというふうに私は思うんですけれども、大臣、もう一度、いかがでしょうか。
  186. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 委員の御意見は御意見としてしっかり受け止めたいと思いますが、当時、先ほど局長からも答弁ありましたが、この車両センターの選定に当たっては、建設主体である鉄道運輸機構、当時は日本鉄道建設公団が環境影響評価云々、それぞれプロセスを踏んでやったわけでありますし、ちょっと、全然違う角度ですが、このことによって北陸新幹線ができたことのメリットというのも相当享受をされたと思いますし、様々なことを考える中で、今回のことは、私、午前中に申し上げましたが、今回のこの台風十九号の予報をもう少し早く見て、車両の、どう退避させるかとか、またタイムラインも、利用者の皆様をどう避難させるかというタイムラインは書かれておりますが、車両についての言及はなかったというようなことをしっかりとやるようにということを指示したところでございます。
  187. 武田良介

    ○武田良介君 今、その車両の退避ということを答弁されましたけれども、私はそこにとどまってはいけないと思うんですね。最初に聞きましたように、今回の被害がどうして発生したのかだとか、どうして被害が拡大してしまったのか、これまでの河川整備についてしっかりと検証しなければいけないと、大臣御自身も御答弁になったと思うんですが、車両を退避させればいいというだけではなくて、あそこはやっぱり農地で、つかるところだったんです。そこに車両基地を置いたと、その反省をしっかりすると、検証するということがなければ私はならないんじゃないかというふうに思うんです。  先ほど浅川ダムの話、若干しましたけれども、浅川ダムの反対運動をされていた方もいろいろ調べていく中で突き当たったというんですね。それは、やっぱり千曲川そのものの河川整備をしなければならないと、浅川だけではなくて千曲川河川整備やらなければならない。それはダム建設推進している方も反対している方も一致していたというんですね。それだけに、千曲川河川整備ということで、堤防強化だとかあるいは河川整備、しゅんせつなどですね、遊水地、こういうものを設けていく、そして浸水被害を小さくしていこうと、こういうことをずっと提案されてきたわけですけれども、そういったことが十分されてこなかった、その責任を私は厳しく指摘をさせていただきたいというふうに思います。  ちょっと時間がなくなってきておりますのであれですけれども、あっ、いえいえ、結構です。堤防整備についてちょっとお願いをしたいと思います。  簡潔に説明いただきたいと思うんですけれども、この千曲川堤防整備計画堤防、暫定堤防、暫暫定の堤防、それから未施工、整備計画を作った二〇一四年からどれだけ整備されているのか、簡潔で結構です、御説明ください。
  188. 五道仁実

    政府参考人(五道仁実君) お答え申し上げます。  平成二十六年一月の河川整備計画策定以降、千曲川において必要な高さと幅を満足する完成堤防というものにつきましては、約五・六キロメートル完成しているところでございます。平成三十一年三月末現在の完成堤防整備率は約六四・三%でございます。また、完成堤防でない堤防も含めれば整備率は約九五・二%となっており、堤防のない区間は千曲川の二百二十六・五キロメートルのうち約十一キロメートルでございます。  なお、千曲川の完成堤防整備率は五年間で約二・五%上昇しておりますけれども、これは国管理河川全体約二・八%の上昇とおおむね同程度となっているところでございます。
  189. 武田良介

    ○武田良介君 計画堤防整備率は二・五%伸びたということなんですけれども、二・五%伸びただけといえば伸びただけ。いつも私、聞きますけれども、河川整備計画に基づいて、三十年掛けて、限られた予算の範囲で少しずつやっていくんだという話されておられますけれども、河川整備はすぐになかなかできないということを国交省の側だってある意味悩んでおられるんだと思うんです。私は、しっかりとこの河川整備をやっていく必要があるというふうに思いますし、国の治水対策そのものの検証が必要だと、今後の重要なテーマになっていくということを指摘させていただきたいというふうに思います。  ちょっとテーマ変わりまして、リニアについて質問させていただきたいというふうに思います。  本年四月に発生しました中央アルプス山口トンネル、これ岐阜県にありますけれども、その崩落事故に関して岐阜県の環境影響評価審査会地盤委員会というところで検証が行われてきました。九月三十日に審査会が意見書を出し、十月七日に知事が意見書を出されて、それに応える形でJR東海が報告書を公表しております。  まず、大臣にお伺いしたいと思うんですが、JR東海が報告書出したということなんですけれども、これで事故原因の究明がされたという御認識になられるでしょうか。
  190. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) これは今御質問にありましたが、リニア中央新幹線の中央アルプストンネル山口工区で、非常口トンネルの工事作業中の本年四月八日に、トンネル入口から二百メートル付近の地上部において土砂崩落発生したということでございます。  崩落事故直後に、建設主体であるJR東海及びJR東海から当該工区の建設工事を受託している鉄道・運輸機構に対しまして、原因を徹底的に究明し、再発防止策を講じるよう指示をしたところでございます。  この崩落事故以後、JR東海と鉄道・運輸機構は、追加の地質調査を実施した上で、専門家の知見も得ながら原因究明と再発防止策の検討を行い、その結果を五月二十八日に公表したわけでございます。  この結果について、岐阜県は、専門家から成る岐阜県環境影響評価審査会での審議を経て、JR東海に対し、今後の工事に当たってはより慎重な工法で施工することなどの知事意見書が出されました。これを受けて、JR東海はより慎重に施工するなどを回答し、その回答内容は同審査会において確認されたところでございます。  このように、JR東海及び鉄道・運輸機構が行った事故の原因究明及び再発防止策につきましては、専門家から成る同審査会での審議を経た上で岐阜県も了解されており、特に問題はなかったものと考えております。  国交省としましては、リニア中央新幹線の工事実施計画認可の際に、本事業の推進に当たりましては、難度の高いと想定される工事については専門家の助言等を得ながら適切な施工方法を採用し、安全かつ着実な施工に努めるよう指示をしたところでございます。  JR東海及び鉄道・運輸機構には、今後ともこのような事故が発生することのないようにしっかりと求めてまいりたいと思います。
  191. 武田良介

    ○武田良介君 事故原因の究明がされたという認識かということをお伺いしたんですが、その点については御答弁をいただけませんでした。  私、原因究明は全くされていないと思うんですね。あの崩落事故の今回の原因究明するためには地質調査を行うのは当然だと思います。先ほどの答弁の中にも追加の調査という話はありました。  そこで、必要なデータというのは当然あると思うんですね。例えば、計画段階のボーリングの位置、柱状図、事故発生後のボーリングの位置だとか柱状図、あるいはその切り羽の観察記録だとか、こういったものは常識的に必要だというふうに、こう言われております。  資料の方にも付けましたけれども、例えば、過去の同様の崩落事故に関わって資料は出されております。例えば資料の二、それから三などは、福岡の博多で起こりました七隈線の延伸工事、このときに陥没事故が発生して出されてきた資料でありますし、それから四番と五番などは、これは、二〇一七年九月に北陸新幹線の柿原トンネルの陥没事故というのがありましたけれども、そのときに出された地質調査の結果、切り羽の観察記録などであります。事故原因の究明にはこういう資料が出されてくるというのがやはりこれ必要だというふうに思うんです。  国交省に基本的な認識、認識というか確認をしておきたいと思うんですが、今回の山口トンネルの崩落事故で、岐阜県のこの地盤委員会にこうした資料、基礎的な資料は提出されているんでしょうか。
  192. 水嶋智

    政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。  崩落事故の原因究明及び再発防止策を検討するためには、委員が議論されておられますようなボーリング柱状図などの地質に関するデータは不可欠な情報であるというふうに考えております。  本件の崩落事故につきましても、岐阜県の環境影響評価審査会地盤委員会におきまして、崩落箇所周辺の事故前、事故後のボーリングの位置、柱状図等につきまして、JR東海や鉄道・運輸機構から、配付はされていないものの、その会議の場でスクリーンに映写をして説明が行われて同審査会の専門家との間で議論が行われたと、そういう報告を受けている次第でございます。
  193. 武田良介

    ○武田良介君 配付されていないんですよね。映像で流されて、この辺ボーリングしましたと言っているだけだということを私もお聞きをしております。  国交省の資料、六番と七番に付けましたけれども、国交省からいただいた資料を見ますと、例えばボーリングの位置も全然示されていないんですね。この赤い点線で囲まれて、崩落箇所はここですと。ただ、この辺でボーリングを何か所かやりましたということが書かれているだけなんです。  私も今回の崩落事故に関わって、事前と事後のボーリングの調査のデータ、出してくれということを何度も言いましたけれども、いまだに私、いただいておりません。先ほど、こういう資料は必要だというふうに答弁されました。基本的に必要なんですよね。必要だと言われた。そうだと思うんです。  資料の八番、それから九番もそうですけれども、今紹介しました岐阜県の地盤委員会というところで、その委員の専門家の方が指摘されています。専門家が撮影すれば、接写、その岩石や粘土の接写、破砕帯の接写を見せると思うのですが、今回は提示されなかったので細かい判断ができません、スケールを入れるのが基本ですが、なぜ専門家がいながら入れなかったのかと。資料の九番の方にも、出された資料は私たちが判断するには科学的にいまいちだというふうに指摘をされているわけであります。  JR東海が、じゃ、この公表を拒否している理由は何なのかということなんですが、資料の十番にも付けましたけれども、私が出してくれと言っていただいた資料によりますと、そこにも付けましたけれども、大体二つなんですね。ボーリング調査を実施した箇所には個人の所有地が含まれており、土地の価格に影響を及ぼすというのが一つ、それからもう一つは、公表していない資料のためということがよく言われております。  ここで国交省に確認したいと思うんですが、ボーリング調査の結果、それを公表したことが原因で地価が下がったという事例は過去にあるのかどうか、それともう一つ、七隈線の延伸陥没事故、先ほど若干紹介しましたけれども、実際の地価は事故の当時と現在でどう変化しているのか、御説明いただけますか。
  194. 青木由行

    政府参考人青木由行君) お答え申し上げます。  一般的に、不動産の価格は、自然的、社会的、経済的、行政的な要因など多数の要因の相互作用の結果として形成されるものでございまして、不動産鑑定評価基準におきましては、こうした価格形成要因の例示といたしまして、地質、地盤の状態、あるいは土壌、土層の状態等を掲げているところでございます。  お話がございました公共工事に係るボーリング調査結果の公表により地価が下落、変動した事例につきまして、私ども、把握するようなことはいたしておりません。大変恐縮ですけれども、御理解いただきたいと存じます。  それから、もう一点御質問ございました、福岡市営地下鉄七隈線延伸工事の崩落事故の現場状況の地価動向という御質問でございました。  この点につきましては、平成二十八年十一月に発生した福岡市営地下鉄七隈線延伸工事における崩落事故のありました道路に近接をいたしました地価公示の標準地のこれは毎年一月一日の調査結果、出させていただいておりますけれども、平成二十八年が平米当たり百七十二万円、二十九年が二百十七万円、三十年が二百五十九万円、三十一年が三百四万円と上昇してございますけれども、このエリアにつきましては、景気回復、それから訪日観光客の増加などを背景に、オフィスビル、ホテルの建設に対する需要が堅調であることが地価上昇の要因というふうに分析しているところでございます。  以上でございます。
  195. 武田良介

    ○武田良介君 私、一つ目に聞きましたボーリング調査の結果を公表して地価が下がったという事例、過去にあるのかと聞いたら、今そういうものをつかむ立場にないというふうにおっしゃられましたが、私、事前に聞いた話と違うんですね。事前には、事例はありませんとはっきりおっしゃいましたよ。何で質疑当日になって答弁変わるのか。JR東海をかばっているとしか思えないようなこういう答弁、私は本当に許されないというふうに思いますし、それから地価は、博多ですね、地価は上がっているわけです。約一・五倍になっていると。  ということになりますと、これ、JR東海が資料を提出する、拒否する理由、それはないんじゃないだろうかと。これ、是非資料を出していただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  196. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 済みません、このJR東海が資料を出せない理由というのの中に、個人の所有地が含まれているということがあるんじゃないかと思うんです。しかし、そこを含めた上で、委員御提言ですから、私の立場からJR東海に話はさせていただきます。
  197. 武田良介

    ○武田良介君 JR東海の山口トンネルのこの工事のための資料というのは、これ、鉄道・運輸機構も持っているということを確認を私、させていただきました。そうであれば、これ、公文書管理法上の公文書になるんじゃないかというふうに思いますけれども。これ、確認です。
  198. 水嶋智

    政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。  委員指摘資料鉄道・運輸機構が保有しているものにつきましては、公文書管理法第二条第五項の法人文書に当たりますことから、同法第二条第八項の公文書等に該当することとなると承知をしております。
  199. 武田良介

    ○武田良介君 これ、公文書に該当するということですので、そうであれば、やはりその資料を全て出していただきたい。先ほど大臣も私の方からという話がありましたけれども、是非出していただきたい。大臣、もう一度改めてよろしくお願いします。
  200. 水嶋智

    政府参考人(水嶋智君) お答えを申し上げます。  公文書等の情報公開につきましては、それぞれの規定がございますので、その手続にのっとって情報公開をさせていただくということになろうかと思います。現に、このボーリング調査につきましては、鉄道・運輸機構に対して情報の開示の請求が行われたというふうに承知をしております。
  201. 武田良介

    ○武田良介君 開示の請求というのは何人もできると、法文上もたしかそうなっておりますよね。だから、誰でも開示の請求はできる。で、これは公文書ですから、私も是非出していただきたいと、この場でも改めてお願いをさせていただきたいと思います。  この委員会に是非、リニアの工事という大事な問題ですから、この委員会に是非提出いただきたいと思いますけれども、委員長、取り計らいをお願いしたいと思います。
  202. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 後刻理事会で協議させていただきます。
  203. 武田良介

    ○武田良介君 本当に今回の事故に対するJR東海の対応というのは不十分なものがある、不誠実な対応をされていると、これはもう沿線住民の方、どこでお話聞いても同じようにこの話をされておられます。これではやはり沿線住民の皆さんの不安だとか不信というのは一層大きくなっていくということだというふうに思います。  こうしたJR東海の対応を容認する国土交通省も私は非常に責任が問われていると、無責任だということを指摘させていただきたいというふうに思います。国が責任を持って事故原因を究明すること、それを抜きに工事の再開をすべきではないと、このことを厳しく指摘をさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  204. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 答弁いいですか。──はい。
  205. 木村英子

    ○木村英子君 れいわ新選組、木村英子です。会派れいわ新選組を代表いたしまして、質問いたします。  私は、これまで重度の障害を持ちながら施設ではなく地域で自立生活を行ってきました。障害者が地域で当たり前に生活するには、就労、就学、住宅、交通機関、防災など様々なバリアがたくさんあります。私が議員になって初めて取り組む国土交通省委員会においては、まだまだ進まぬ合理的配慮を改善するために障害者の立場から質問させていただきます。  ここ数年、日本では災害が大変多く、今回も台風による豪雨などで被災された方も多くいらっしゃると思います。亡くなられた方々及びその御遺族の方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。  今や日本のどの地域においてもいつ災害がやってくるのか分からない状況です。障害者の人たちは、社会参加の制度が整っていない現状において、困難を強いられた生活の中で災害時は特に困難を極めます。日頃から誰かの手助けを必要としている障害者の人たちにとって、災害時には自分の住んでいる地域の防災計画が命を左右します。障害者の介助をしている支援者に聞いた話によれば、災害の際、陸前高田や大阪の避難所では障害者を余り見かけなかったと聞いています。  避難所に行っても、車椅子トイレがない、医療機器を使うための電源があるのか分からないなど、かえって体調や命が危険にさらされ、また、知的障害を持つ子供を抱えた親が周りに迷惑を掛けたくなくて避難所へ行くことを諦めてしまうといった人が多いのです。  障害者にとっては避難するにも誰かの手助けが必要で、そもそも災害情報を適切に得られない状況にあります。例えば聴覚障害者の方の場合、防災無線による避難勧告が聞こえず、適切な避難情報を得られなかったために、避難所に行けずに亡くなる方もいます。震災や水害などでは、瓦れき等で道を塞がれて車椅子では移動できず、避難所には行けないことが多いのです。  東日本大震災では、障害者の方の亡くなった方の割合は健常者の方の二倍とも報道もありました。災害時の障害者への対応はいまだに一向に進んでいません。  ほかにも、避難時に配慮が必要な人のために福祉避難所等の二次避難所が設定されていますが、現実には、二次避難所は、一次避難所に避難できない人には情報が行き渡りませんし、二次避難所自体の受入れ体制が整備されていないという実態があるのです。災害によってこのように障害者が亡くなる状況は、まさに天災ではなく人災と言っても過言ではありません。  今井政務官にお尋ねいたします。  障害者が避難をできるようにするためには合理的配慮を踏まえた避難計画が必要ですが、現在、国ではどのような対策を取っているのでしょうか。
  206. 今井絵理子

    大臣政務官今井絵理子君) お答えいたします。  平成二十五年六月の災害対策基本法の改正により、災害が起きたときに一人で避難することが難しい高齢者や障害者の方々などがスムーズに避難できるようにするため、それらの方々をあらかじめ記録しておく避難行動要支援者名簿の作成が市町村長に義務付けられたところであります。  この法改正を踏まえ、内閣府が平成二十五年八月に作成した取組指針において、名簿を活用した避難支援ができるように、市町村に対し、要支援者ごとに個別の避難計画を策定するよう促しているところであります。  個別の避難計画を策定しておくことは、要支援者の避難支援のためにも最も重要であると考えており、政府としても、その具体的な作成方法等を示した取組指針を周知し、引き続き、市町村における取組の促進を図ってまいりたいと思っております。
  207. 木村英子

    ○木村英子君 では、配付資料一を御覧ください。これは、消防庁が出している避難行動要支援者名簿の作成等に係る取組状況調査結果等の資料です。  今後、災害は、いつ、どこで起こるか分かりません。しかし、配付資料一を見ていただくと分かるとおり、個別計画を策定している自治体は全体の一四%しかいなく、ほとんどの自治体が個別計画の策定をしていない状況です。  実際、西日本豪雨の際に、倉敷市真備町では、国による災害対策基本法で自治体に義務付けられている避難行動要支援者名簿に名前が記載されていたにもかかわらず、きちんと個別避難計画を立てていなかったために五十一人の方が亡くなってしまいました。別の自治体では、個別計画を策定していたことによって、一人も死者が出なかったと聞いております。  これで分かるとおり、個別計画がきちんと立てられていれば助かった命がたくさんあったはずです。このような事態を解決していくために、各自治体が障害者に配慮した個別計画を策定するに当たって、行政だけでなく、地域と一体となって問題について話し合える場である、例えば地域の防災協議会のようなものを立ち上げて取り組むということが早急に求められていると思います。国としてこのような協議会の設置を法律で義務化することも検討してください。  再び今井政務官にお尋ねします。  各自治体に対して個別計画の策定に早急に取り組むように働きかけていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  208. 今井絵理子

    大臣政務官今井絵理子君) お答えいたします。  議員御指摘のように、自治体によって個別の避難計画の策定には状況にばらつきがあることは承知しております。内閣府としては、市町村における個別計画の策定が進むよう、事例集であったり又はリーフレットを作成し、制度の趣旨やそのメリットについて周知しているところであります。  また、個別計画取組以外にも、例えば、愛媛県大洲市の三善地区というところでは、行政機関から提供された避難行動要支援者名簿の情報を活用し、避難場所や避難経路を記したカードを作成の上、避難訓練を重ねてきたと承知しております。平成三十年七月豪雨の際には、地域住民が適切な避難行動を取った結果、犠牲者が発生しなかったと伺っており、これも参考事例として周知を図っているところであります。
  209. 木村英子

    ○木村英子君 まだ全体ではないと思うので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、通称バリアフリー法について国交大臣にお尋ねします。  バリアフリー法の目的のとおり、バリアフリー化が進んでいれば、災害が起こるたびに災害弱者である障害者や高齢者の命が奪われることは繰り返されなかったと思います。  そもそもバリアフリー法の対象の中には学校が入っているのでしょうか。
  210. 眞鍋純

    政府参考人眞鍋純君) バリアフリー法における学校の位置付けについてお尋ねをいただきまして、お答え申し上げます。  一般に、学校は、多数の者が利用する建築物である特定建築物として政令で位置付けられておりまして、建築主などは、学校の建築などを行う際に、バリアフリー基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないと定められております。
  211. 木村英子

    ○木村英子君 ありがとうございます。  では、文部科学大臣にお尋ねします。  学校の体育館のスロープやトイレのバリアフリー化の状況はどうなっていますでしょうか。
  212. 笠原隆

    政府参考人(笠原隆君) お答えいたします。  公立学校の体育館の多目的トイレ、スロープの設置状況のお尋ねがございました。  避難所に指定されている公立の小中学校、高等学校、特別支援学校等のうち、要配慮者の利用が想定される学校について、平成三十一年四月一日現在の調査によりますと、合計で、体育館の多目的トイレは三七・三%、スロープ等は六三・八%の学校に設置されております。
  213. 木村英子

    ○木村英子君 学校のバリアフリーについては、文科省でもインクルーシブ教育を推進していて、障害者基本法第一条に、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現すると書いてあります。  ということは、災害時だけではなく、ふだんからバリアフリー化を進め、車椅子用トイレや手すりの設置、段差解消などの合理的配慮を国交省でも積極的に推進しなければならない義務を負っていると思います。  もしこのバリアフリー化がきちんと進められていれば、突然の災害時において障害者や高齢者が避難所を安心して利用でき、失われていく命を救うことができるのではないかと考えます。しかし、段差の解消についてはいまだに体育館の六割ほどしかバリアフリー化されていないということですし、多機能トイレに至っては約三七%しか設置されていないということですから、障害者は避難所の三つに一つしか自分たちが使えるトイレがないということになります。このような現状を打開する方法は、日頃から避難所となる場所のバリアフリー化を進めていくことだと思います。  国交大臣にお尋ねします。バリアフリー化を進めて体育館に車椅子用トイレを設置すれば、障害児と健常児を分け隔てることなく学び合えるインクルーシブ教育にもつながっていくと私は思いますし、突然の災害が起こったときに避難所として即対応できる環境をつくれると思いますので、内閣府、文科省と協力してバリアフリーの推進を国交省が進めていただけませんか。
  214. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 学校の施設の直接の所掌は文科大臣かと思いますが、私も二十年来バリアフリーの社会づくりを目指してきた政治家として、少しお答えをさせていただきたいと思います。  学校のバリアフリー化というのは、もちろん災害、いざというときの災害対応において大変意味のある、またやらなければいけないことだというふうに思っておりますが、それにも増して、小学生、中学生の頃からバリアフリーの教育をするということ、身をもって、身近なところに多機能トイレがある、その使い方を自然に学ぶとか、そうしたことが大変教育的な意味で重要なのではないかと。  ハード整備をこの二十年間、我が国ではバリアフリー化は進めてまいりましたが、本年の、あっ、昨年ですか、法改正で、ソフト面、バリアフリーのソフト面の法改正も法律の中に入れたところでございまして、そうしたことというのは本来法律で定めるようなことでは私自身はないと思っていたのですが、そうしたことを法律の定め、有無にかかわらず、幼い頃からバリアフリーの在り方というものを学ぶことが社会としては大変重要だと思っております。  そうした意味で、私も、国交大臣として所掌のところもありますが、それに加えて文科大臣を始め関係の省庁とも連携を取って、しっかり進む、バリアフリー化、バリアフリーの社会が前進するように努めていきたいと、こう思っております。
  215. 木村英子

    ○木村英子君 ありがとうございます。では、今後ともよろしくお願いいたします。  続きまして、バリアフリー法の中にある多機能トイレについて、国交大臣にまたお尋ねします。  多機能トイレは学校内に限らず様々な公共施設などに設置されておりますが、国交大臣は多機能トイレを利用されたことはありますか。
  216. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 私、視察はもちろんあります。そして、一回もないかと言われると、多分一度ぐらいはあったんじゃないかと思いますが、障害者団体の皆様といろいろ勉強会をさせていただく中で、多機能トイレを一般の方々、健常者が利用することによって大変利用しづらいという御指導をいただきましたので、そうしたことは本当にしっかりと学ばせていただいて、そうしたことはしっかり守らなければいけないなということで、それは随分前に一度利用したことはありますが、それ以後は多機能トイレは利用しないようにしております。
  217. 木村英子

    ○木村英子君 それは助かります。今後もそれでお願いいたします。  昔は、公共施設とか駅に一般トイレしかなかったために、車椅子のマークの付いた障害者用トイレが造られていました。車椅子用トイレと言われた時代は、一般の方が利用することはほとんどありませんでした。しかし、その後、車椅子トイレにいろいろな機能を追加していったことで多機能トイレと呼ばれるようになり、多くの方が使えるようになった結果、一般のトイレを利用できない車椅子の人が使えなくて困ってしまっているという状況が生まれています。  資料二を御覧ください。このポスターは、一般のトイレを利用できる方が多機能トイレを長時間利用することにより、真に設備や機能を必要とする方が利用できないという声があり、同時に心のバリアフリー化も進めていくということで、国交省が注意喚起のために作ったものです。  例えば私の経験では、あるデパートでは、今まで入れていたトイレが、多機能トイレとしてたくさんの機能を入れてしまったためにスペースが狭くなり車椅子が入れず、また多機能トイレがいつも誰かに使われていて、一階から七階までの多機能トイレを回っても入れなくて、ほかのデパートまで探し回ったということが何度もあります。  国交省に、国交大臣にお尋ねします。現在は、誰でもトイレ、多機能トイレ、多目的トイレなどと呼び名は様々ですが、オストメイト、介護用ベッド、乳幼児用おむつ交換台、ベビーチェア、着替え台、着替え用ステップなど、一つのトイレにこんなにもいろいろな機能をまとめたのはなぜなのでしょうか。
  218. 蒲生篤実

    政府参考人(蒲生篤実君) お答え申し上げます。  一九九〇年代以前に整備されました車椅子用の使用者用トイレにつきましては、目的外の使用やそれを防止するため施錠する必要があるなど等、車椅子使用者が必要なときに使いにくいという課題がございました。この課題に対応するため、施錠ではなく車椅子トイレを多機能にすることで利用者を増やし、目的外使用を防ぐという多機能トイレという考え方が生まれまして、一部の地方自治体、例えば平成七年の東京都の福祉のまちづくり条例などにも取り込まれたところでございます。  平成十二年に制定されました交通バリアフリー法体系におきましても、ガイドラインを検討する際に、有識者、障害当事者等が参画する身体障害者用トイレに関する分科会を設置し、トイレの在り方についての検討を行いました。そこでの検討結果なども踏まえまして、障害者の皆さんなどの社会参加の促進や少子化対策、子育て支援といった観点からも、車椅子使用者、オストメイトなどの様々な身体機能上の制約を受ける方や乳幼児連れの方が利用可能な機能を有するトイレを設置することが必要と考えられ、多機能トイレの設置を推奨することとしたところでございます。  以上でございます。
  219. 木村英子

    ○木村英子君 そういう歴史があって変わってきたとは思いますけれども、多機能トイレがあることでどんどん車椅子の人が入れなくなっている状況があります。  車椅子用トイレに様々な機能が追加されてきたのは、未就学児のいる子育て世代やオストメイトの方など、通常のトイレとは異なる機能を持ったトイレの需要が高まったことの表れだと思います。  国勢調査によると、未就学児のいる世帯は四百万世帯以上で、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会の調査によると、オストメイトの方々は二十一万人いるとのことですから、車椅子利用者以外にも多機能トイレの需要があることは数字上からも明らかと言えます。しかし、それだけの需要がある一方で、多機能トイレという一つのトイレを取り合うことになり、本当にそのトイレを必要としている人が使えない状況があります。  障害者にとって社会的バリアが地域の中にはたくさんありますが、その大きなバリアの一つがこのトイレの問題です。社会のバリアがなくならないと障害者は社会参加ができません。来年のパラリンピック、オリンピック開催時には障害者のアスリートや障害を持った観客の方がたくさん海外からも来ますし、多くの障害者の人が安心して参加できる設備を整えなくてはならないと思います。  国交大臣にお尋ねします。車椅子用トイレに多くの機能をまとめるのではなく、障害や子供を連れた親など、それぞれのニーズに合わせたトイレを用途別に複数造るべきと考えますが、いかがでしょうか。
  220. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 貴重な御意見、御提言ありがとうございます。  今のお話を聞いていて、いろいろバリアフリーの施策をするときに良かれと思ってしたことが、結果として障害を持たれている方にとって余り良くない結果をもたらされるということはよくあったというふうに振り返りました。また、障害者といっても、障害の実態というのはいろいろであって、ある障害を持たれている方には効果的なバリアフリーの施策も、別の障害を持たれている方にはそれがかえってバリアになるというようなこともあったと思います。  この多機能トイレにつきまして、確かに今お話出て、多機能トイレという名前にした瞬間に、何か健常者も使えるのではないかというような思いを持たれている方もいらっしゃるかと思いますが、様々なそうした御指摘というのはこれまでも障害者の皆様から御意見をいただいておりまして、実は平成二十九年から三十年にかけまして交通バリアフリーの基準のガイドラインの改正等々を行ってまいりまして、今、トイレの中に、車椅子の使用をされている方が利用できる広さのトイレを確保した上で、一般用トイレにオストメイトを使われる方の設備を付けたり、また乳幼児を連れた方のための設備を設置するなど、ニーズに合わせた機能分散の取組を推奨し始めたところでございますので、しっかり鉄道事業者にもプッシュして推進できるようにしていきたいと、こう考えております。
  221. 木村英子

    ○木村英子君 細かいようですが、多機能トイレのスペースについて今度はお聞きします。  資料の三を御覧ください。これは、国土交通省の作成した高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準です。それにある車椅子トイレの設計標準によれば、現在、車椅子用トイレは二百掛ける二百の大きさの標準となっています。資料三のように標準的な車椅子の利用者であれば二百掛ける二百でも入ることができますが、私のような電動車椅子で介助を受けながらリクライニングを倒した状態でトイレをする場合は、狭くて使用することが難しいのが現状です。まして二百掛ける二百のスペースが確保されていない車椅子用トイレが多いのが現状であり、電動車椅子ではトイレに入ることはできません。  さらに、資料四の赤枠の中には多機能トイレの設計標準が書かれています。元々狭いトイレにオストメイト、乳幼児用おむつ交換台、ベビーチェア、着替え用ステップなど、あらゆるものを設置し、標準的な車椅子の利用者の場合でも、介助者が付くと更に広いスペースが必要となります。  資料三や四のように、標準的な車椅子だけを設定して設計標準が作られています。私のような電動車椅子でリクライニング機能の付いた車椅子にも対応できるような大きなスペースを確保したトイレとなるような設計標準を作成していただきたいと思います。これは事前質問と異なりますが、再び大臣、いかがでしょうか。
  222. 眞鍋純

    政府参考人眞鍋純君) 今御質問いただいたとおり、介助をする方、あるいはその介助をする方が同伴した場合に多様な動作が可能なスペースを確保することは大変重要だというふうに考えてございます。  私どものガイドライン、これは建築設計標準でございますけれども、そちらの方でも、そういった考え方を推奨するというようなことが位置付けられてございます。更にこの考え方が普及できるように努めてまいりたいというふうに考えます。
  223. 木村英子

    ○木村英子君 ありがとうございます。  障害者や高齢者の社会参加を促進するためにも、そして、来年のオリンピック、パラリンピックが近づいているところでありますので、トイレが多分障害者の方がたくさん来て混雑すると思います。そういう状況を打開していくためにも、それぞれの省庁が縦割りではなく、連携して、このバリアフリー法に基づいた学校の体育館のトイレの設置や、機能別のトイレの設置、そして、どのような車椅子にも対応できる十分なスペースのあるトイレの設置を早急に推し進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上です。  あっ、答えますか。
  224. 赤羽一嘉

    ○国務大臣赤羽一嘉君) 済みません。  今日は本当に貴重な御提言、ありがとうございました。  バリアフリーを始めたときに、エレベーターができたときにも、最初は端にあって、すごい小さなエレベーターがそもそも始まりでございました。私、そのときに思ったことは、福祉政策としてこのバリアフリーの政策を進めてはいかぬと、やっぱりバリアフリーが当たり前の世の中を、まさに共生社会をどうつくるのかという視点でやっていかなければいけないということでございますので、先ほど国交省の建築設計基準については、省内のことでありますので、局長も答弁していますが、しっかり見直すように指示したいと思います。  大変ありがとうございました。
  225. 木村英子

    ○木村英子君 ありがとうございます。  以上です。
  226. 田名部匡代

    委員長田名部匡代君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十一分散会