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参考人(
小脇一朗君) 情
報サービス産業協会の
小脇でございます。
まずもって、本日はこうした
意見を述べる機会をいただきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
資料に沿って御報告を申し上げます。
まず、開けていただきますと、二ページでございますが、私
ども情
報サービス産業は、情報
システムをつくる、あるいはソフトウエアの
開発を行う、そういう
事業者で構成をされております。まずもって、情
報サービス産業の現況を御報告申し上げますとともに、私
どもから見た環境
認識、さらには、情
報サービス産業が
DX時代どういう方向を目指しているのか、それについて御報告を申し上げた上で
法律案についての
意見を申し述べたい、このように思っております。
次の三ページが、まず、私
ども情
報サービス産業の
現状でございます。
この業界はちょうど五十年が経過をいたしました。
日本には、百年を超える
企業、業界も多数存在をいたしておりまして、我が業界もまだ道半ばという
状況にございます。百年
産業に向け邁進しているというのが
現状でございます。この五十年の間、リーマン・ショック等々、規模が縮小した時期もございましたけれ
ども、現在では、ここにございますとおり、売上高で二十四兆円、従業員数で百八万人と、
日本の基幹
産業の一角を占めるに至っているところでございます。
次の四ページが最近の業況でございます。
経済産業省の月次の調査でございますけれ
ども、このグラフを見てお分かりのとおり、昨年の十月以降、一年連続して売上高は前年同月を上回って推移をいたしております。それまではプラスとマイナスが入り交じり、ほぼ前年並みということで推移をしておりましたけれ
ども、昨年の秋から、伸び率、それも五%程度と高い伸びとなっているところでございます。目下、足下の
システム需要は大変旺盛というのが
現状でございます。
ただ、他方で、来年、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック以降後退してくるのではないかと、あるいはさらには、経産省の
DX研究会の
レポート、
青山先生が座長を務められましたけれ
ども、そこで言う二〇二五年の崖、これも顕在化してくるのではないかと、そういう懸念も一方で持っているというのが
現状でございます。
五ページは、私
ども協会が四半期ごとに行っているDI調査、景況感を見たものでございます。
左側の売上げの将来見通し、さきの経産省の調査と同様、上昇すると見る向きが極めて高い水準で推移をいたしております。右側は雇用
判断でございますけれ
ども、従業員の不足感は過去最高の水準にあるということで、過剰と見る割合はほぼゼロという
状況でございます。業界はかつてない
人手不足の状態にあると、こういうところでございます。
六ページが私
どもの環境
認識でございます。
変化の潮流として、
ITでいろいろな課題、とりわけ
社会課題を
解決していこうと、こういう考えが重要だとの
認識が広がってきております。申すまでもなく、
デジタル技術あるいは
データの活用は
世界的潮流でございます。そういう中で、
我が国においてもこの
DXの機運が高まってきたということであるというふうに私
ども感じております。
他方で、二〇二五年の崖の懸念もあるところでございますけれ
ども、
DXの考えが浸透しつつありまして、私
どもの先端のお客様、先端
ユーザーは、
AIを使ったり、あるいは
IoT、ビッグ
データの活用、さらにはフィンテックといった革新的な
取組を開始しておるところがございます。そしてまた、好況期の今こそ
DXに向け手を打たなければならないというのが多くの
ユーザーの共通
認識でございます。
ただ、
ユーザーの多くは、ここに挙げておきましたとおり、
DX推進力の不足を懸念されておられまして、
DXといっても何をどうすればいいのか分からないと悩んでいる
企業も多数あるところでございます。私
どもベンダーに積極的な提案を求める、そういう姿勢も鮮明になっているところでございます。さらには、
ユーザー企業自ら
人材を採用する向きというのも出てきているところでございます。
そして、
技術、サービス、これも大変大きく変化をしております。そして、変化のスピードも増しているということで、最近我が業界でのキーワードはCAMBRICということでございます。ここにありますとおり、
クラウド、
AI、モビリティー等々、その頭文字を取ったものでございますけれ
ども、こうした先端
技術あるいはサービスへの対応、これが大変重要な課題になっているというのが
現状でございます。
そして、
人材面でございますけれ
ども、先ほど述べましたとおり、
人手不足、新卒の採用も深刻化しておりますし、さらには、この
DX人材と申しましょうか、
デジタル技術とデザイン思考を持つ
IT人材、これが求められておりまして、それへの対応が大変急務となっております。さらに、
世界で通用するトップガンの輩出、あるいはシニア
人材が活躍できる
仕組みづくり等々、我が業界、
人材面では課題山積というのが
現状でございます。
次に、七ページ。私
ども情
報サービス産業がどういう方向を目指しているのかという点について御報告を申し上げたいと思います。
私
ども情
報サービス産業協会では、ちょうど四年前になりますけれ
ども、この
資料の真ん中にございますJISAスピリットという業界宣言を制定、公表をいたしました。ソフトウエアで革命をというのがそのキャッチフレーズでございまして、ともすれば、
日本の
社会、ハードウエア
中心の
社会でございまして、ソフトウエアの
重要性が十分
認識されていないというふうに私
ども考えております。そういった中で、ソフトウエアは全ての
産業の基盤であると、その
重要性を私
ども訴えつつ、自ら先頭に立ってソフトウエアで世の中を変えていこうと強い意思表明を行ったところでございます。
私
どもは、このJISAスピリット、これを全ての活動の基点といたしておりまして、
社会課題の
解決、そして、JISAドリームと申しましょうか、強い思いと夢を持って新たな
価値創造に向け行動を起こしていくということが私
どもの基本方針でございます。とりわけ、この
DXの時代、新たな
価値創造ということが極めて重要でございまして、情
報サービス産業がお客様に新たなサービスあるいは新たな
価値を提供できるか、これが大きく問われている、そういう時代であるというふうに強く
認識をしているところでございます。
今までは、私
どもは、受託
開発と申しましょうか、お客様の要望どおりに
システムをきちんとつくり上げるというのが基本的ミッションでございましたけれ
ども、今や、今後、
DXの時代は、お客様と一緒になって、一緒に考え、そしてお互いの強みを融合させて新たな
価値を創造していくと、そういう時代になったと
認識しているところでございまして、私
どものビジネスモデルも、この
DXの時代、大きな
変革が求められているというのが
現状でございます。
そして、具体的に、八ページ目になりますけれ
ども、情
報サービス産業自体が
DXに対応するため具体的に何をやっているのか。一言で申し上げますれば、ここにございますとおり、
人材、
技術、そして
経営と、
三位一体での革新、これが重要であると考えております。その中でも鍵を握るのは
人材、人でございまして、私
ども、
人材革新に注力をして、
技術、
経営もそれを支えるためにどうすべきかと、そういうスタンスでアクションを起こしているところでございます。とりわけ、
経営者も自らの発想とマインドを変える必要がある、こういうのが共通
認識でございます。
そして、その
人材革新でございますけれ
ども、九ページでございます。一言で申しますと、私
ども、
ITエンジニアから
ITアスリートと申しましょうか、プロのエンジニアに転換をしていこうという考えでございます。
ITエンジニアを現在の
既存の情報
システムの
開発、運用からプロの
技術者、提案型の
技術者に転換させていこうと、こういう考えでございます。御案内のとおり、今、スポーツ界では多くの若いアスリートが
世界で活躍をされています。
ITの分野でも、この
ITアスリートとも呼ぶべき、そういうプロの意識を持って
世界で活躍できる、そういう
人材を育てることが大変重要だと思っております。
ただ、大変難しい課題でございます。私
ども、業界百万人の
IT人材、これを徐々にこの
DXの担い手に移行させていくということが重要であると考えております。私
ども協会では、来月から新しい
技術者研修、マインドシフト研修と申しますか、そういう新しい研修もスタートさせる予定でございます。
そして、十ページ。幸い
人材面では、私
どもにとって大変明るい材料がございます。これはソニー生命の調査ですけれ
ども、男子高校生の将来なりたい職業の第一位は
ITエンジニア、プログラマーということでございます。さらに、三位にはユーチューバー、四位にはゲームクリエーターと、
IT関連
産業への思いが非常に強いと、こういう調査結果が出ております。
実に、この率を足し上げますと、男子高校生の四六%、半分近くが
IT産業を目指していると、こういう
現状があるところでございまして、こうした
若者の皆さんにどのような道筋をつくって情
報サービス産業で活躍してもらうか、輝いてもらうか、もっと大きく言えば、情
報サービス産業をより魅力ある
産業にどうしていくか、私
どもにとっての最大のミッションであると、このように思っているところでございます。
十一ページ、
最後になりますけれ
ども、法案への
意見を申し述べたいと思います。
御報告申し上げましたとおり、
ITあるいは
デジタルで課題を
解決していこうという
DXの考えが浸透しつつございます。そういう中で、この
法律案は大変時宜を得たものというふうに考えております。具体的に申し上げれば、この法案は
DXの
推進を加速する、言わば
DX加速法であると私
どもは考えております。
DX、
デジタルを使ってビジネスを変えていこうということでございますけれ
ども、
DXは、
技術的側面もございますけれ
ども、本質的には
経営課題、
経営問題でございます。
経営者の
判断、
リーダーシップが極めて重要でございます。この法案は、とりわけ指針の策定あるいは優良
企業の認定というのが盛り込まれておりますけれ
ども、
経営者に刺激と申しますか気付きを与え、
経営者を後押しして
DXを加速するものと大変大いに期待をしているところでございます。
具体的に申し上げますれば、
DXというのは
世界の潮流だ、
経営の根幹だという点、そして他方で、
日本においては二〇二五年の崖が迫っている、この二点を
経営者に気付いてもらう、そして行動に移してもらう、そういうのに大変効果的な法案であると、このように思っております。
この法
改正を機に、私
どもシステム企業あるいはソフトウエア
企業も
DXを自ら
推進しますとともに、
ユーザー企業と一緒になって、協業と申しましょうか、互いの強みを融合させて新たな
価値創造につなげたいと、このように強く思っているところでございます。
そしてまた、
DXに積極的な
企業の認定は、優良な
人材の確保、あるいは市場から評価されて
投資の拡大にもつながるものと大変期待をしているところでございます。
さらに、組織を超えての
データの活用でございますけれ
ども、個々の
企業は多くの
データを持っておりますけれ
ども、それが統合化、共通化されていないという
現状にございます。これを打破し、新たな
価値創造につなげていくということを期待しているところでございます。
さらには、
安全性の確保、
クラウドでございますけれ
ども、
クラウドサービスはもう今や
DXを実現する重要な構成要素になっておりまして、この面でも大変評価できる、そういう法案と考えております。
以上、私
どもの
現状と課題、さらに法案に対する
意見を申し述べました。ありがとうございました。