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2020-01-17 第200回国会 参議院 外交防衛委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年一月十七日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  一月十六日     辞任         補欠選任      山口那津男君     熊野 正士君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北村 経夫君     理 事                 宇都 隆史君                 中西  哲君                 羽田雄一郎君                 秋野 公造君                 井上 哲士君     委 員                 猪口 邦子君                 佐藤 正久君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 松川 るい君                 三宅 伸吾君                 山田  宏君                 小西 洋之君                 榛葉賀津也君                 白  眞勲君                 福山 哲郎君                 熊野 正士君                 浅田  均君                 鈴木 宗男君                 伊波 洋一君    国務大臣        外務大臣     茂木 敏充君        防衛大臣     河野 太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       中嶋浩一郎君        内閣法制局長官  近藤 正春君        外務省大臣官房        参事官      田村 政美君        外務省大臣官房        参事官      有馬  裕君        外務省総合外交        政策局長     山田 重夫君        外務省中東アフ        リカ局長     高橋 克彦君        外務省国際法局        長        岡野 正敬君        国土交通省大臣        官房技術審議官  宮武 宜史君        防衛省大臣官房        長        島田 和久君        防衛省大臣官房        公文書監理官   齋藤 雅一君        防衛省防衛政策        局長       槌道 明宏君        防衛省整備計画        局長       鈴木 敦夫君        防衛省統合幕僚        監部総括官    菅原 隆拓君        防衛装備庁長官  武田 博史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (中東地域における日本関係船舶安全確保に  関する政府取組に関する件)     ─────────────
  2. 北村経夫

    委員長北村経夫君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、山口那津男君が委員を辞任され、その補欠として熊野正士君が選任されました。     ─────────────
  3. 北村経夫

    委員長北村経夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官中嶋浩一郎君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北村経夫

    委員長北村経夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北村経夫

    委員長北村経夫君) 外交防衛等に関する調査のうち、中東地域における日本関係船舶安全確保に関する政府取組に関する件を議題といたします。  まず、政府から報告を聴取いたします。茂木外務大臣
  6. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 昨年十二月、「中東地域における日本関係船舶安全確保に関する政府取組について」の閣議決定がなされました。外務省としては、今回決定された政府方針の三つの柱の一つである中東緊張緩和情勢安定化に向けた更なる外交努力を継続していきます。  具体的には、米国イランを始めとする関係国に対し、引き続き様々なレベル緊張緩和情勢安定化のための働きかけを行っていきます。船舶の安全な航行に大きな役割を有する沿岸諸国に対しても、航行安全確保のための働きかけを引き続き実施します。また、中東地域における自衛隊情報収集活動については、これまでも、関係国に対し、その目的や内容の説明を行い、理解を得てきたところですが、今後ともこうした努力を継続していきます。  昨年六月の安倍総理イラン訪問や、十二月のローハニ大統領の訪日、そして、先週末から今週にかけての安倍総理湾岸諸国訪問といった活発な首脳レベルの往来も通じ、中東地域緊張緩和情勢安定化に向けた粘り強い外交努力を続けてきました。  私自身も今週米国を訪問し、ポンペオ国務長官中東情勢について意見交換を行いました。事態のエスカレーションは回避すべきであり、関係国と緊密に連携しつつ、引き続き外交努力を尽くすことの重要性ポンペオ長官と確認いたしました。  中東緊張緩和情勢安定化は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要です。引き続き、こうした外交努力を粘り強く行っていきます。  北村委員長始め、理事委員各位の御指導、御理解をよろしくお願い申し上げます。
  7. 北村経夫

  8. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 昨年十二月二十七日、国家安全保障会議及び閣議において決定した「中東地域における日本関係船舶安全確保に関する政府取組について」に関し、防衛大臣として御報告申し上げます。  世界における主要なエネルギー供給源である中東地域の平和と安定は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要であり、同地域において日本関係船舶航行の安全を確保することは非常に重要です。特に、我が国原油輸入の約九割を中東地域に依存しています。  今般の政府取組は、このように重要な地域の平和と安定及び日本関係船舶の安全の確保のため、我が国独自の取組として、中東緊張緩和情勢安定化に向けた更なる外交努力関係業界との綿密な情報共有を始めとする航行安全対策の徹底並びに情報収集態勢強化のための自衛隊の艦艇及び航空機の活用について、政府一体となった総合的な施策を関係省庁が連携して実施するものです。自衛隊による情報収集活動は、大きな意義を有するものと考えております。  防衛省自衛隊としては、昨年末の閣議決定を受け、これまで派遣に向けた所要の準備を進めてまいりました。去る一月十日、派遣準備完了の時期についてめどが立ったことから、私から中東地域における日本関係船舶安全確保に必要な情報収集活動実施に関する自衛隊一般命令を発出したところです。  今後、自衛艦一隻をもって編成される派遣情報収集活動水上部隊は、二月二日に出国し、二月下旬に活動を開始するとともに、一月十一日に出国した派遣海賊対処行動航空隊のP3Cは、一月二十日から情報収集活動を併せて開始する予定です。  防衛省自衛隊としては、関係省庁とも連携し、現地情勢の的確な把握に努めつつ、日本関係船舶安全確保のための情報収集活動に万全を期す所存です。  また、現地において隊員諸君が高い士気を維持してこの重要な任務に専念できるよう、御家族への万全の支援派遣隊員の処遇についてもしっかりと取り組みます。  委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  9. 北村経夫

    委員長北村経夫君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  私は、航行安全確保のための自衛隊派遣を含む政府取組には賛成の立場であります。  中東日本経済国民生活に不可欠な原油の約九割を依存している我が国が、他国の軍隊やタンカー乗組員に汗をかかせ高みの見物というわけにはいきません。自衛隊は行くな、だけどタンカーには行ってほしい、これは通用しない。対案もなく反対反対と言って日本経済国民生活が守れるなら、私も思いっ切り反対します。でも、現実反対だけでは守れない。電気がない生活、これは考えられません。ただ、派遣には国民理解も必要です。その意味で、国民が持つであろう素朴な疑問を確認したいと思います。  ペルシャ湾からインド洋マラッカ海峡、南シナ海、そして日本を結ぶ油の道、オイルシーレーンの上には、この瞬間も約九十隻の日本関連船舶が浮いています。ただ、そのタンカーにはほとんど日本人船員がいません。昨年の六月、損傷を受けた日本関連船舶、コクカ・カレイジャスの乗組員二十一名も全員がフィリピン人でした。本当に緊張が高まったら、外国人が命を懸けて日本に油を運んでくれるでしょうか。船の保険料も、あるいは用船料船員費も上がる、結果的にガソリンの値段や電気代にも跳ね返ります。また、株価にも影響します。日本は一日約六十万トンの油がなければこの現状の維持を保つことはできませんが、原油輸入量が減れば株価が下がったり、さらに、備蓄に手を付ければ更に株価は下がるでしょう。暴落する可能性だってあると思います。日本がこの一本の油の道に頼っている以上、このオイルシーレーン安全確保国益そのものだと思います。  それでは、防衛大臣に確認します。  昨年来、ペルシャ湾オマーン湾等タンカーに対するハラスメントが発生し、諸外国は艦船を出して自国関連船舶を守ろうとしております。日本の場合、海上自衛隊派遣をして日本関連船舶を守る海上警備行動ではなく、なぜ情報収集なのでしょうか。情勢が不安定なら海上警備行動をまず掛けておいて日本関連船舶を守りながら情報収集し、不測事態が発生したらそのまま権限に基づき対応すれば海上警備行動の発令の手間も掛からず、現場は迅速に対応できるメリットもあります。  海賊対処行動の場合は、当初、海上警備行動派遣をし、途中で特措法に切り替えました。海賊対処行動といっても、通常は海賊に対する情報収集活動、これを行っております。なぜ今回、情報収集のための調査研究派遣をし、不測事態が発生したら海上警備行動という二段階対応なのでしょうか。当初から海上警備行動という形で派遣しない、この理由をお聞かせください。
  11. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 中東地域における現在の情勢につきましては、日本関係船舶に対する侵害の兆候がある状況あるいは断続的に他国関係船舶への攻撃等が発生をしている状況にはありません。したがって、日本関係船舶への侵害行為が発生するおそれがあるとは考えておらず、日本関係船舶防護実施を直ちに要する状況にはありません。  他方、中東地域での緊張が高まっている状況を踏まえると、日本関係船舶安全確保に必要な情報収集態勢強化はこれは必要だというふうに考えており、今般、防衛省設置法に基づいて自衛隊による情報収集活動実施する、そういうふうに考えております。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 まだ直接日本関連船舶を守る情勢ではなく、海上警備行動の要件を満たす、そういう段階ではないという答弁だったと思います。実際に、船主協会からも派遣の歓迎の評価はあっても、海賊のときと違い警護要請までは来ていないという状況だと思います。  では、情報収集海警行動に区分して、その実効性の担保について確認をしていきたいと思います。  海上自衛隊情報収集活動地域、これは、これまで各国タンカーに対するハラスメントが発生したペルシャ湾内とかホルムズ海峡周辺ではなく、アデン湾アラビア北部オマーン湾となっております。なぜこの地域なのでしょうか、お答えください。
  13. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) この日本タンカーあるいは日本関係船舶の通るシーレーン、かなり広大な海域でございます。護衛艦を一隻派遣をすることになりますので、この情報収集活動を効率的にやらなければなりません。  そうした考え方の中で、このホルムズ海峡からペルシャ湾に至る海域におきまして、日本関係船舶航行が集中する分離航路帯と言われているところは、これはオマーンあるいはイラン領海でございます。この領海における航行の安全は、沿岸国が一義的には責任役割を有している。また、この領海内での情報収集活動沿岸国から無害通航に該当しないという主張をされ得る、そういうことがございます。また、ペルシャ湾ホルムズ海峡情報につきましては、沿岸国アメリカを含む関係各国との意思疎通を通じて一定の情報収集が可能である。こうしたことを総合的に勘案して、オマーン湾あるいはアラビア北部、そしてバブ・エル・マンデブ海峡東側アデン湾情報収集活動を行う、そうしたことでございます。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは国民に、やっぱりなぜこのペルシャ湾内とかホルムズ海峡ではなくこの周辺海域かという部分は丁寧に説明しないとなかなか理解が得にくい。直接守った方がいいんではないかという声はやっぱり国民にあるということは御理解いただきたいと思います。  ただ、この広大な海域情報収集を実効的に行うというのは、大臣答弁のとおり一国だけでは無理で、やはり他国との連携というのが必要なのは当然であります。  ただ、今回の派遣部隊の特性を見ますと、哨戒機のうちP3C、これを長期間派遣できるのは日本アメリカだけです。さらに、護衛艦哨戒ヘリ、これを二機搭載して、広い海域を見ることができる護衛艦を長期に派遣できるのも日本あるいはアメリカぐらいです。であれば、日本役割分担としてアデン湾からアラビア海、オマーン湾と広い海域航空機をもって情報収集をする、ペルシャ湾からホルムズ海峡はほかの部隊にお願いする、これはある意味理にかなった態勢ということも言えるかと思います。ほかの国は航空機がありませんから、あの広い海域見ることができない。ただし、大事なことは、その情報共有をいかに図るかということだと思います。  さらに、今回の日本関連船舶に対する脅威、これは海上からだけではなく、陸上からのドローン、あるいは陸上からの地対艦ミサイル、これも関連船舶に対する脅威であります。これは、残念ながら海上自衛隊では集めることができません。やはり米中央軍等からの情報が必要になります。  ゆえに、有志連合とかあるいは米中央軍とかいうものが取った情報を、米軍司令部派遣された連絡員、彼が入手をして、また一方では日本が集めた情報有志連合とかあるいは米軍等に与えるということによって情報共有を図ると。連絡員が集めた情報というものを官民連絡会議というものを通じて船主協会船員組合あるいは石油連盟等の方にこれを渡すということが今回極めて大事だと思います。  大臣答弁にあるように、今欲しいのは情報。多分、乗組員が一番欲しいのは脅威情報だと思います。そういう意味におきまして、この連絡員が取る情報、ドローンあるいは地対艦ミサイル情報、あるいはいろんな情勢の動きを含めて、やっぱり中央司令部に集まる、この部分が極めて大事だと思います。その意味で、この米中央軍司令部連絡員派遣体制、あるいはバックアップ体制、これについての検討状況をお聞かせください。
  15. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 今回の自衛隊のアセットの派遣日本独自の取組として行うものであって、有志連合に加わることは考えておりません。よって、有志連合との情報共有ということは今のところ考えておりません。  しかし、沿岸国との様々な意思疎通、あるいは米軍、特に米中央海軍司令部との情報共有というのは、これは円滑に行ってまいりたいというふうに考えております。現時点で、バーレーンの米中央海軍司令部海上自衛官一名を派遣をし、一月十六日から連絡員としての活動を開始したところでございます。中東地域において情報収集活動を行う自衛隊任務遂行に必要な連絡調整情報収集等従事をしていく、そういう予定になっているところでございます。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 確かに、これは有志連合に入っていないために、有志連合司令部、これには派遣しない。ただ一方で、米中央海軍司令部の方に派遣をすると。実際には、私も現場へ行きましたけれども、米中央海軍司令部の方には様々な情報が入ってきます。当然、周辺国軍事情報、あるいは有志連合が取った情報、あるいは実際今あるCTF150とか、そういうものの情報司令部に入ってきます。そういう意味においては、結果的に連絡員が得る情報というのは極めて大きいものがあるという中で、やはり一名というのは極めて私は問題だと思っています。  私もイラク派遣されたときに部下をバグダッドの司令部の方に置きましたけど、やっぱりオペレーションは二十四時間でやっています。シフトで組んでいます。となると、一名ではやっぱり継続的に情報収集というのはこれは無理で、実際タンカー海上自衛隊の船も二十四時間動いているとなれば、やっぱり一人ではこれは無理で、今私ちょっと風邪ぎみですけれども、風邪を引いたりしてもこれは対応できない。実際に今、同じ敷地内に別な形で、海賊対処連絡員として最低三名は今います。彼らにダブルキャップというものを掛けてもこれは対応できるし、これは閣議決定でなくて大臣の判断でこの連絡要員バックアップ体制、充実はできると思いますので、これについては引き続きの検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  17. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 連絡員につきましては、この業務の状況を見て、必要ならば委員のおっしゃったようなことも検討する余地はあろうかと思います。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 やっぱり情報収集が大事だというんであれば、連絡員の果たす役割は極めて大きいので、やっぱり船員にとって脅威情報が極めて必要で、海上自衛隊が取る情報だけでは不十分なんですよ。だから、是非検討の方をお願いしたいと思います。  それでは、資料一、これを見ていただきたいと思います。  これは今回の船舶航行安全確保海賊対処行動を端的に比較したものでありますけれども、海賊の場合はこれは犯罪であり、国連海洋法条約上、全ての国に管轄権を認めているので、海賊対処特措法によって日本籍以外の船舶でも武器使用が可能だったり強制力行使が認められております。しかし、今回は相手が海賊でないために、国連海洋法条約上、旗国排他的管轄権を認めているため、幾ら日本人が乗ったり、積荷が日本向け、あるいは日本の会社が運航していても、船籍外国であればその旗国排他的管轄権を越えて強制力を発揮することはできないということになっております。できるのは、外国籍の場合は海警行動を掛けても、近接あるいは呼びかけ、あるいは音、大音量の音を出す、あるいは割り込みぐらいであって、そういう状況になります。  一方、日本関連船舶、この九割が外国籍です。日本関連船舶のうち日本籍はたった一割です。そういう中で、どうやってこの日本関連船舶の安全をこの不測事態海警行動を掛けたときに担保していくのか、大臣のお考えをお聞かせください。
  19. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 公海上における外国船籍防護につきましては、国際法上、一般的には当該船舶への排他的管轄権を有する旗国がその責任の下に行うべきという旗国主義考えに基づいて対処する、これが基本になります。  自衛隊がいかなる措置をとることができるかにつきましては、その個別具体的な状況に即して判断する必要があって、一般的に、一概に一般論で論ずるのは困難でございますが、我が国が被る法益侵害と比例する形で、例えば呼びかけあるいは近接といった実力行使を伴わない措置をとることはできるというふうに考えております。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 実はこれは極めて大きな現実で、確かに日本籍船少ないんですよ。となると、国際法関係で、自衛隊不測事態実力行使ができるというのはこれは国際法現実で、すなわち、逆を言えば幾ら特措法を作ったとしてもこの問題は解決できない、国内法で対応できる問題ではない。ただし、やはりこの自衛隊派遣するということの意義、これは非常に大きいと私は思っています。  なぜならば、私、イラク派遣された二〇〇四年の四月、実はペルシャ湾日本タンカー高鈴武装勢力に襲われました。そのときに高鈴は損傷を受けました。でも、結果として、この高鈴を守ったアメリカ海軍の若者二名とコーストガード一名、三名が命を落としました。日本関連船舶に乗っている乗員は無事でした。でも、その後アメリカが言ってくれた言葉は、同じ活動をやっている仲間を守るのは当たり前だ、同じ活動をやっている仲間を守るのは当たり前だと言ってくれました。その理由は、当時、海上自衛隊インド洋テロ対策従事をし、航空自衛隊がクウェートで輸送支援、我々陸上自衛隊イラク人道支援をやっていた。つまり、みんなで汗をかいている、そこに部隊がいるということが、日本タンカー仲間と見てくれた。実際、現場は机上とは違います。それぞれいろんな枠組みで部隊派遣されている。でも、目的は同じ、みんなで助け合おうという気持ちはあります。  そういうときに、自衛隊派遣、船がいる、いないで、やっぱりほかの国の気持ちも変わってくる、これが一つの例でありますし、やはり近くに自衛隊の船がいて、何かあったら実力行使ができなくても近くに来てくれる、駆け付けてくれる、この安心感が極めて実は大きいと私は思っております。  外国船籍であっても、日本関連船舶であればできるだけのこの安全確保措置というものを自衛隊の方で個別の条件を合わせて検討し、対応していただきたいというふうに思います。  ただ、現場海上自衛隊の話を聞くと、中東護衛艦を更に一隻継続的に派遣するというのは容易でないという意見があります。これは大臣も聞いたことがあると思います。  それでは、現在整備に入っている護衛艦も含めて、ヘリコプター二機、これを搭載できる護衛艦は今海上自衛隊に何隻保有しているでしょうか。政府参考人でも結構ですので、お答えください。
  21. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) 一隻のものと二隻のものとございます。済みません、汎用護衛艦自体は全体で二十八隻でございます。済みません、そのうち一番古いものは一隻搭載だったと思いますが、残りは全て二機搭載タイプでございます。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは通告してありますのでしっかり答えていただきたいんですけれども、昨日の説明では約二十数隻と、二十隻強という話でありました。つまり、海賊対処の方に一隻、大臣、今回船舶航行に一隻となると、交代の時期になると二隻が同時に洋上で中東の方にいると。さらに、派遣準備考えると、中東だけで海賊合わせると約五ないし六隻がこの中東対応に当たるとなると、残り十七、八隻で日本周辺任務に当たらないといけない。実際に整備も相当な数が入りますので、実際に運用できるのは十数隻ということになるでしょう。となると、非常に現場の方に負担が大きいということが言えます。  実は、ある海上自衛隊の奥さんから、昨年、主人を家に帰してくださいという陳情を数人から受けました。あるイージス艦は、行動、帰港、すぐまた行動行動行動と、行動の連続でなかなか家に帰れないという状況もあったようです。  そういう中で、大臣ワシントンDCの方で、講演の中で、尖閣諸島を含む東シナ海情勢安定化というものについても言及されたというふうに聞いております。やはり、東シナ海情勢鎮静化というものを図れば、隊員負担中東への派遣という意味でも、これは大きな効果があると思います。  やはり、この東シナ海情勢緩和には外交当局だけではなく防衛当局の努力も極めて大事で、大臣が昨年十二月訪中して、向こうの国防大臣の方に直接この東シナ海問題含めて懸案をぶつけられたと、極めてこれは大事だと思います。さらに、ワシントンの講演の中では、この春の習近平国家主席の訪日をめぐって、尖閣諸島を含む東シナ海での状況改善が必要で、さもなくば訪問に向けた環境づくりは難しくなるかもしれないと述べられました。これは、防衛大臣として私は当然の発言だと思います。今この瞬間も、尖閣あるいは東シナ海で本当に緊張状態の中で汗をかいている隊員たちがいます。  やはり、習近平の訪日の前にこの東シナ海情勢安定化という環境醸成は政府一丸となって行うということが大事で、これは結果的に隊員負担の軽減というものにつながると思います。大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 中国は、継続してかなり高い水準でこの国防費を増加させてきております。軍事力の質、量共にかなり急速に強化しながら東シナ海を始めとする海空域で活動を活発化、拡大化させている。それが、この国防政策や軍事力の不透明性と相まって、我が国だけでなく国際社会の安全保障上の懸念となっているという現実があろうかと思います。こうしたことについて、先般訪中した際に、国防大臣にもお伝えをしたところでございます。  日中間、この習近平国家主席の国賓としての訪日を見据えて、こうした懸案を適切に処理しながら、この両国の関係を新たな段階に押し上げて日中新時代を切り開いていこうというのが政府考えでございますので、この国家主席の訪日を日本側としても多くの国民が歓迎できる雰囲気をつくるために、中国側にこの尖閣諸島周辺の海空域の事象を含め前向きな対応を求めていきたいというふうに考えております。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに今大臣言われたように、日本国民が、多くの国民がもろ手を挙げて歓迎できる環境をつくるのが望ましいと。ただ、外務大臣、今政府調査でも七五%ぐらいの方が中国にいい印象を持っていないと。言論NPOの調査になると八割を超えるという状況になります。やっぱり、そのうちの一番大きな懸念がこの尖閣の事象でありまして、これについてはやはり、まさに今一番大事な訪日前のある意味チャンスかもしれません。  外務大臣、やっぱりリーダーシップを取っていただきながら、この環境改善、これについてお願いしたいと思いますが、外務大臣の決意のほどをお願いしたいと思います。
  25. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 日中両国は、アジアそして世界の平和と繁栄に大きな責任を有しているわけであります。  中国の経済、私が初当選した二十六年前、世界のGDPの二%でした。それが今二〇%に近寄ると、こういう状況にあるわけでありまして、こういった大きな責任を中国にもしっかり果たしてほしいと思っております。今春の習近平国家主席の国賓訪日を、その責任を果たしていくとの意思を明確に内外に示していく機会にしたいと思っております。  中国との間には、佐藤委員御指摘のように、東シナ海の問題を含め様々な懸案というのが存在をしているわけであります。こうした懸案につきましては、昨今の日中のハイレベルの交流、直近でいいますと、昨年末に日中韓サミット出席するために訪中した際に、安倍総理、そして私からも中国側に直接提起をしたところであります。  懸案の改善というものが訪日環境にもプラスになるものでありまして、引き続き主張すべきはしっかりと主張して、中国側に前向きな対応を強く求めていくと、こういったことが求められていると思っております。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 やはり訪日が近づけば近づくほど、やっぱりこの環境がどういう状況になっているかと。改善が全然図れないとやっぱり国民世論というのは今よりも厳しく振れる可能性がありますので、やはりこれから一月、二月、三月が正念場だと思いますので、是非外務大臣のリーダーシップを発揮していただいて、結果を出していただきたいというふうに思います。  それでは、資料二、これを御覧ください。  これは防衛省からいただいた資料で、今回派遣される護衛艦「たかなみ」の仮装備等の概要であります。  今回、新たに防弾ガラスとか、あるいは大音量のLRAD、あるいは衛星通信装備、あるいは機関銃の銃架というものも付けるようですけれども、大臣、今回これを付けるだけで約千二百万円掛かると、帰ってきたときにこれを撤去し、そして全部洗ったりすると五千九百万円掛かります。実際、これを外すだけだと、やっぱり付けたものを外すと大体八百万円掛かると、つまり取り外しだけで約二千万掛かるんだと。私も実際向こうに行って驚いたのは、艦長に聞いたら、防弾ガラス付けたままで何か問題あるのかと、ないと艦長は言っていました。  実は、海警行動日本周辺でも起きます。実は、なぜ海上自衛隊海上保安庁と違って防弾ガラスにしていないかということは、ミサイル等には防弾ガラスが効かないからというのが説明なんです。だけど、海上保安庁の巡視船は防弾ガラスです、警察行動ですから。でも、自衛隊も警察行動をやる。今、各護衛隊群ありますけれども、中東海賊以外は一隻もこういう防弾ガラスになっていない。海警行動のときに相手が一番狙うのは艦橋ですから、だからそういう状況になっている。若干端の方が見えにくいということはあっても、そんなに影響はない。  ちょっと計算してみたんです。二〇〇九年の三月からこの海賊対処の方にずっと派遣されています。当初は二隻です。途中から一隻体制になりました。今まで六十隻以上の船が延べ行っています。そうすると、取り外すだけで、もう今までで十三億ぐらい掛かっています、取り外すだけで。付けて外すだけで十三億掛かっている。全部に付ければ二億で済みますから、さっき言った二十数隻しかないわけですから。これはどう考えても無駄が多過ぎる。これがずっと行けば行くほど取り外しにまたお金が掛かると。少なくとも各護衛隊群のところに一隻ぐらいは何かあったときに海警行動用にこういうのを付けておけば、場合によりそれも中東にも転用できますから、これは非常に無駄が多過ぎる。  実際、大音量のLRADが日本周辺海警行動にも役立ちますし、これはしっかり予算を付けて整備すべきだと私は思いますけれども、河野大臣のお考えをお聞かせください。
  27. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) この付ける費用、それから外す費用、私も見まして、これ一々外さなくてもいいんではないかなと思った次第でございます。  少し、この防弾ガラスの調達がどういうふうになっているのか、全部のものに一遍に付けてしまえば二億で済むじゃないかという、そういう議論も当然あると思います。少し、常設した方がいいものかどうか、しっかり検討して対応していきたいというふうに思います。
  28. 佐藤正久

    佐藤正久君 これ、付けるだけで千二百万だったら、私も何かやりたいぐらい結構いい調達だなと思います。結構高いですよね、これ。銃架付けるってそんなに難しくないと思いますけども、我々でもよくやりますから、このぐらいのやつは。  なので、ここは是非、やっぱり艦橋というのは一番弱点なので、これ海上保安庁の巡視船が防弾ガラスで海上自衛隊のが防弾ガラスじゃないと、これ旧軍からの伝統という部分もあるかもしれませんけれども、この辺りは、海警行動日本周辺でもやると。実際、今瀬取りやっていますよね、瀬取り対応の船、これは護衛艦だけでなく補給艦とか多用途艦も行っています。彼らも瀬取り対応のときに見ているだけですけれども、これも防弾ガラスじゃないんですよ。隊員気持ちはやっぱり不安ですよ。本当に向こうから、瀬取りの船から小銃撃たれたら貫通しますから。この部分含めて、時代に合ったお考えをお願いしたいと思います。  最後に、これ要望です。  今回、撤収の時期というのは当然まだ定まっておりませんけれども、これが長期にわたる場合、しかも海賊と違ってエスコートとかゾーンディフェンスではない、あの広いアラビア海、オマーン湾の方に一隻がいるということは、かなり場合によっては、隊員の士気を維持する、モメンタムを維持するって結構難しい任務になるかもしれません。実際に随伴するとかいうものであれば別ですけれども、オマーン湾ホルムズ海峡の出口にいるんだったらかなり行き来はあるでしょうけれども、あの広いアラビア海、そんなに航行があるわけでありませんから、この辺の士気の維持というのは、これは極めて実は現場指揮官にとっても大事なものだと思います。  ジブチの方でも、あそこに大臣行かれて、警備する隊員いたと思います。そんなに大きな事象がなくても、ずっと二十四時間三百六十五日体制で警備勤務をやっている。あれは、まさにこの前大臣が跳び出し塔から降りた、空挺隊員がやっています。だから、物すごく士気が高いという部隊なので、ああいう何にもないような状況でも対応はできますけれども、やはり何にもない海域でずっと長時間いるということの、この警戒監視、この厳しさというものは、これは相当なものがあると思います。しかも、さっき言ったように、帰ってきたらそれ以外の行動ですごく忙しい。本当に、奥様からうちの主人を帰してくださいと。  今、陸海空自衛隊、一番多分忙しいのが海上自衛隊で、弾道ミサイル防衛はやり、そして引き続きの周辺海域の警戒監視もやり、瀬取りもやり、そして尖閣におけるあの緊張の中での対応もやり、そして共同訓練、これもやらないといけない。そしてまた、今非常に海上自衛隊、募集が厳しいために、募集広報、これは募集広報においては、海上自衛隊の船がその港に、各地に入る、入らないと、これはかなり大きく違います。これも非常に募集広報というものも多分今の海上自衛隊からしたら軽視できない状況。  本当に、多分多忙感というものがもうマックス状態にあるという中での今回の新たな中東への派遣ですから、この辺りのやっぱり隊員の士気、そしてあるいはこの多忙感というものについては、これは海上幕僚監部が中心となって抜本的にこれ対応しないと本当に大きな事故が起きかねないと。どうしても、忙しくなると運用でやります。実際に、あのイージス艦「あたご」と清徳丸がぶつかったときに、実は乗組員の充足は七〇パーでした。七〇パーのゆえに、正規の手続ではなく応用でこういう監視業務をやってしまった結果としてああいう事故が起きたと当時の海上自衛隊は反省しました。  やはり今、航空機の場合は一二〇%いないと運用できませんけれども、船は七〇パーでも動いてしまうという現実。今、しわ寄せは航空部隊ではなくどうしても艦艇の方に行くという状況考えると、今回の派遣というのは中央考えている以上に現場の護衛隊群の方はかなり負担を感じておりますので、その辺りについては、これは要望ですけれども、是非大臣の方も現場の方に行っていただいて話を聞いていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  29. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) この中東のシーレーンというのは、日本原油の九割が通る非常に大事なところでございます。そういう意味で、ここの情報収集態勢強化というのは、日本の経済、その他国民生活に非常に重要な任務であるというふうに思っております。  ただ、今委員が御指摘をいただきましたように、この北朝鮮のミサイル防衛ですとかあるいは瀬取り対策、様々なことを同時に行っているのも現実でございますので、防衛大臣としてしっかりとそうしたことにも目配りをして、負担が、過重な負担がどこか特別なところに掛かることがないようにしっかりと見てまいりたいと思います。
  30. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非お願いします。  さらに、今日はあえて質問しませんけれども、やはり隊員の精神的なケア、あるいは何かあったときの医療・後送態勢、これもやっぱり日本と違いますから。しかも、非常に広い海域ですので、その辺りについても対応していただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  31. 小西洋之

    ○小西洋之君 立憲・国民.新緑風会・社民の小西洋之でございます。  午前中の衆議院からのこの議論を聞いておりますと、過去の無謀な戦争の過ち、在留邦人保護などを名目にして戦禍を発生させてしまった。あるいは、根幹の過ち、戦地に送られる兵士の命、尊厳、それに向き合う政治がなかった。そのようなことを感じているところでございます。  我が会派は、国民民主党の外交、安保の両副部門長である羽田理事、また立憲民主党の両副座長であります白先生などを先頭に、昨年の十月十八日の菅長官の基本方針の前から政府に対してヒアリングを重ねていたところでございますが、桜を見る会のような答弁拒否の連発に遭っておりました。両大臣にあっては決して答弁拒否をしないように、よろしくお願いを申し上げます。  では、質問をさせていただきます。  私は、この度の事態のその根本、それは一昨年五月のアメリカの突如のイラン核合意からの離脱であるというふうに思います。アメリカを始め経済制裁が行われ、そして一方でイランは核開発を進めるというようなことになってまいりました。そして、年明けの軍事衝突が起きました。  今、イランは核の濃縮を無制限に行うというふうに宣言をしております。中東の大国のこのイランが核保有国になることは、私も決してあってはならないと思います。しかし、この緊張関係を生んでいるこの問題、これを解決しない限りは、このペルシャ湾あるいはオマーン湾といった中東海域のこの安全と平和というのは確保できないのは明らかでございます。それに懸命の努力をするのが、平和憲法の、そして国際協調主義の下の、平和主義、国際協調主義の下の日本政府外交努力でございます。  では、茂木大臣に伺います。  先ほど報告の中で、安倍総理の活発な首脳レベルの往来という表現がございました。年明けのサウジアラビアなどに行き、また、この間、先進国の中でハメネイ師あるいはロウハニ大統領にこれだけお会いしている首脳というのは、安倍総理をおいてほかにいないでしょう。  では、この安倍総理が、このイラン首脳あるいはトランプ大統領あるいはかつて核合意のこの関係国の首脳に会ったときに、日本がこの今崩壊してしまった核合意を何とかして、日本努力して、日本が新たな構想を打ち出します、あるいは日本はこんな調整をします、あるいは日本はこんなリーダーシップをします、崩壊した核合意の再構築に向けて具体的な発言、提案というものを安倍総理はそれら首脳に一言でもしたことがあるんでしょうか。答弁をお願いいたします。
  32. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 中東をめぐります緊張の高まりと、これは確かにイランの核問題もありますが、歴史的にも様々な経緯をたどって今日の緊張関係にあるということでありまして、何か一つが原因になって今の事態になっているということではありませんが、イランの核問題、大きいことは事実であります。  そして、イランの核合意については、米国イランの間に立場に大きな隔たりがありまして、簡単な問題ではありませんが、粘り強い外交努力、継続をしておりまして、米国の立場は御案内のとおりでありますが、日本としてはその国際不拡散体制強化中東の安定に資する核合意を支持しておりまして、米国による核合意離脱は残念だと考えております。  同時に、米国とは、イランの核保有を認めず、地域の平和と安定を促進するという目標を共有をしておりまして、先般の日米外相会談でも引き続き緊密に連携していくことで一致をしたところであります。一方で、イランにつきましては、核合意に反する対抗措置をとっていることを強く懸念をいたしております。  引き続き、イランに対して核合意を遵守するよう働きかけるとともに、中東における緊張緩和に向けて関係国と連携しつつ、粘り強い外交努力を続けていきたいと思っております。
  33. 小西洋之

    ○小西洋之君 私は、核合意の再構築に対して安倍総理がどういう具体的な外交努力をやってきたか聞いたんですけど、全く答弁がございませんでした。  安倍総理は、昨年のG20にかこつけて、世界の真ん中で輝く日本というふうにおっしゃっておりますけれども、核合意の再構築、まさに世界のど真ん中で輝く、本当に世界が一番欲している外交努力ですよ。アメリカの同盟国でありイランの友好国である日本日本でないとこの努力、なかなかできないと思いますよ。  再度聞きますけど、安倍政権として核合意の再構築に向けて世界の真ん中で輝く、そういう決意はありますか。端的に答えてください。
  34. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 核合意と、イランがこれを守るということについては働きかけを行っております。今後の枠組みをどうするか。恐らく、今の緊張緩和の状態、これを安定化させつつ、核合意、さらにはその先をどう見ていくか、これは関係国意見もしっかりと集約をして、しかるべきタイミングに打ち出すべき課題であると思っております。
  35. 小西洋之

    ○小西洋之君 だから、それをやるのが、関係国のそういう同意ですね、せっかく中東三か国に行くんだったら。オマーンの亡くなった国王は、核合意のために汗をかき、リーダーシップを取られた方ですよ。安倍総理、私が手伝わさせていただきたい、やらせていただきたいと、そういうことを一言でも言えばいいんですけれども、言っておりません。  茂木大臣やあるいは河野防衛大臣も、例えば茂木大臣はエスパー国防長官との会見録、十五日発表しているのがありますけれども、非常に長い会見録ですが、この核合意について日本がどのような努力をするか、そのようなことは一言も述べられていないところでございます。  では、茂木大臣に伺いますけれども、この度の自衛隊派遣を決定した十二月二十七日の閣議決定ですけれども、柱は三本です。一つ外交努力一つ船舶関係との連携、そして三つが自衛隊派遣です。この外交努力ですね、茂木大臣、この外交努力の中にその核合意を戦略的に解決していく、その日本外交戦略というのはあるんですか。そういう外交戦略があってこの閣議決定をしているんでしょうか。
  36. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、私はエスパー長官とはお会いしておりません。私がお会いしたのはポンペオ国務長官とサンフランシスコにおいてお会いをしております。  閣議決定で明記されております中東地域緊張緩和情勢安定化に向けた更なる外交努力、今申し上げたような核問題の対応も含め緊張緩和情勢安定化に向けた幅広い外交努力を念頭に置いたものでありまして、引き続きそのような外交努力を続けてまいります。
  37. 小西洋之

    ○小西洋之君 もう全く何にも答えていないので、本当に外交努力もしないままに、自衛隊員をこの危険な海域に出す、こうした安倍政権の、かつての戦前の日本政府と重なるような姿勢に厳しい抗議をさせていただきたいというふうに思います。  では、実際にこの自衛隊が送られる地域がどういう今状態になっているのか、そうしたことについて質問をさせていただきたいと思います。  河野大臣に伺いますけれども、アメリカイランの軍司令官を暗殺して、殺害をいたしまして、そしてイランは報復でミサイルを撃ったわけでございますけれども、このアメリカによるイランの軍司令官の殺害後に、この度の中東派遣について政府としてイラン理解、同意を取っているんでしょうか。  大臣は、イランの国防軍需大臣に電話されていますけれども、そのときに理解、同意を明示に取っているのかどうか、イエスかノーかで、で、取っているのであれば、どういう内容で取っているかをお答えください。
  38. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) イランのハタミ国防軍需大臣と電話会談をいたしました。外交上のやり取りでございますから中身を詳細に申し上げるのは差し控えたいというふうに思いますが、年末にロウハニ大統領と安倍首相が会談をされたときの、日本緊張緩和に向けた外交努力を評価する、自らのイニシアチブによって航行安全確保に貢献する意図を理解をする、そうしたイラン側の基本的な立場に変わりはないというふうに私は理解をいたしました。
  39. 小西洋之

    ○小西洋之君 それ、何の根拠があって変わりがないというふうに言っているんですか。これ、自衛隊員の命が関わる問題ですよ、これ、イランがもし自衛隊のこの派遣について同意しない、あるいは必ずしも認め難い、そういう考えを持っているのでしたら。  重ねて、同じ趣旨のものを聞きますけれども、第五艦隊の司令部連絡要員を、幹部自衛官を派遣していますけれども、この第五艦隊への司令部への自衛官派遣についてもイランに同意を、このイラン司令官の殺害後に同意を取っていますか。
  40. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 外交上のやり取りを公にするのは差し控えたいと思いますが、年末の安倍総理とロウハニ大統領の間の会談のその状況に変わりはないというのが私の理解でございます。
  41. 小西洋之

    ○小西洋之君 河野大臣は、一月十二日の習志野第一空挺団の訓練に、視察に参加をされて、事前に十一メートルの高さから、河野太郎、頑張りますと叫びながら飛び降りました。そんなデモンストレーションをして自衛隊員の歓心を買うのが防衛大臣の仕事じゃないんですよ。自衛隊員の命や尊厳を体張って守り抜くのが防衛大臣の仕事なんですよ。  じゃ、確認しますけど、このイランの軍需産業相に、失礼しました、イランの国防軍需相に電話したときに、この自衛隊派遣についてイランの同意や理解、あるいはこのアメリカの軍の司令部への派遣について理解、同意を取っていないという理解でよろしいですか。取っているんだったら、自衛隊員の命や尊厳に懸けてちゃんと答弁してください。
  42. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 外交上のやり取りを公にするのは先方との関係もありますので差し控えますが、年末のロウハニ大統領、安倍首相の会談と状況は変わっていないというのが理解でございます。
  43. 小西洋之

    ○小西洋之君 これ、ちょっと私、二回答弁、聞いていますので、このイランに同意を取っているのか、理解を取っているのかどうかについて、この外交委員会に文書で提出していただきたいと思います。
  44. 北村経夫

    委員長北村経夫君) 後刻理事会で協議いたします。
  45. 小西洋之

    ○小西洋之君 委員長、ありがとうございました。  では、重ねて質問をしていきます。  恐ろしいことを本当に重ねているということだと思いますけれども、では更に質問をしますけれども、より具体的な質問ですけれども、今回の中東派遣について、このイランから、派遣されているその自衛隊に対して何らか危害をイランは与えることはない、そういう同意や理解を取っていますか。あのアメリカによるイラン軍司令官の後です。取っていますか。
  46. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 外交上のやり取りを公に申し上げるのは先方との関係もありますから差し控えますが、年末のロウハニ大統領と安倍首相の会談のその状況に変わりはないというのが理解である、そう申し上げます。
  47. 小西洋之

    ○小西洋之君 午前中の衆議院の答弁河野大臣はこう答えているんですね。特定の国家は、日本関係船舶であることを認識し侵害行為をすることは生じないと考えている、こういうふうにあなたは明確に答弁をされていますけれども、じゃ、もう一回聞きますよ。  イラン自衛隊に対して危害を及ぼさない、そういう理解や同意がイランからあるのかどうか、そのことについて答えてください。
  48. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 私の今の理解は、この地域の特定の国が日本船舶を特定をして武力行使をする、あるいは攻撃、侵害をする、そういう状況にはないというのが私の理解でございます。
  49. 小西洋之

    ○小西洋之君 イランの国防責任者と電話する機会があって自衛隊員の命や尊厳を真っ向から守ることを取り組まないような人に、そんな人の希望を、予想を語られて、これ自衛隊員救われませんよ。とんでもないことをしているということをまた厳しく指摘をさせていただきます。  では、重ねて質問をさせていただきます。  この度のこの自衛隊派遣なんですけれども、憲法上にも非常に大きな問題があるというふうに考えられるところでございます。  ちょっとその関係で聞きますけれども、河野防衛大臣、一月九日の記者会見で、アメリカイランの軍事衝突について、そんなことは起きないだろうというふうに答弁をしていますが、防衛大臣として、この閣議決定派遣期間一年ですね、一年以内の間にアメリカイランの軍事衝突は絶対に起きないという理解なんでしょうか。もしそういう理解であれば、その根拠もお示しください。
  50. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 何かが一〇〇%起きないということを断言することは、多分誰にもできないんだろうというふうに思います。  イランアメリカ双方が事態をエスカレートさせる意図はないということを明確にしておりますから、そういう段階で、一月九日の時点で、米国イランは軍事衝突が起きる、そういう状況にはないというふうに理解をしたものでございます。
  51. 小西洋之

    ○小西洋之君 後で追及を重ねますけど、実は先生方お分かりのとおり、もし軍事衝突が、自衛隊派遣された地域にもしも起きてはいけないので、もうそういうことがまず絶対におよそ起きないであろうといった非戦闘地域、あるいはPKO五原則といった法律のこの要件、自衛隊が紛争に巻き込まれない要件を今までは法律で作って自衛隊派遣していたわけです。そうした要件がこの閣議決定には丸裸、何にもないということでございます。後でまとめて論理的に追及しますけれども。  じゃ、重ねて質問をさせていただきます。  自衛隊調査研究ということで情報収集をすると言っていますが、その情報収集する情報の中にこのイラン軍の、イラン軍に関する情報というものは含まれているでしょうか。衆議院で特定の国の情報を排除することは考えていないというふうにもう答弁されていますので、イラン軍に関する情報自衛隊は収集する、そうした理解で、明確に答えてください。
  52. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 今般の情報収集活動は、レーダーですとか艦載のヘリコプターなどを利用して、沿岸海域航行する船舶の種類ですとか船籍、位置、針路、速力、そうしたものを確認することによって、この不審船の存在あるいは不測事態の兆候といった船舶航行の安全に影響を及ぼすことがあり得るような情報を確認したり、そのほかの航行の安全に必要な、安全確保に必要な情報を収集をする、それが目的でございます。  活動海域航行するあらゆる船舶がこの情報収集活動の対象になるわけでございますから、国籍によって特定の国の船舶をこの情報収集の対象から外すということは今考えておりません。
  53. 小西洋之

    ○小西洋之君 だから、イランの軍、イランの軍情報も把握するというふうにちゃんと言えばいいじゃないですか。なぜ言わないんですか、衆議院、参議院で聞かれて。  では、また重ねて聞きますけれども、今政府はこういうことを言っているんですね、自衛隊が収集した情報アメリカ軍に提供しますと、そのために連絡要員派遣しているわけですけれども。これ、河野大臣に伺いますけれども、よろしいですか。海上警備行動の要否やその実施の判断のための情報収集任務なんですね。その任務で得た情報をなぜ、どういう根拠でアメリカ軍に提供することができるんでしょうか。自衛隊ができることは全て法律で限定列挙をされています。アメリカ軍になぜ情報、できるのか、また、その根拠条文は何なんでしょうか。
  54. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 今般の情報収集活動は、日本関係船舶安全確保に必要な情報収集態勢強化目的としているわけでございます。この活動で収集した情報は、その不測の事態の発生など状況が変化する場合の対応として取り得る海上警備行動に関して、その要否に係る判断や発令時の円滑な実施に必要になってくる、そういうものでございます。  これらの情報は必要に応じて日本関係船舶米軍にも提供いたしますが、これは情報収集活動の一環として行うものであって、日本関係船舶米軍から海上警備行動に関してその要否に係る判断や発令時の円滑な実施に資する情報を得る、そういうことができるわけでございます。  ですから、今般の活動によって収集した情報日本関係船舶米軍に提供することにつきまして、その法的な根拠は、情報収集活動と同様に防衛省設置法第四条第一項十八号の「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと。」ということになります。
  55. 小西洋之

    ○小西洋之君 大臣が身ぶり手ぶりでお話ししていただきましたが、御理解された委員の先生方はほとんどいらっしゃらないと思うんですけど、どういうことかというと、自衛隊が集めた情報、この情報アメリカ軍に提供できる。この集めることと提供できること、別ですから、しかも自衛隊は専守防衛の実力組織ですから、いろんなところやイランとも既に自衛権を発動していると言っているアメリカ軍においそれと情報というのは渡せないんですね。  アメリカ日本の防衛のために一緒に行動しているときにアメリカ軍に情報を渡す、これは自衛隊任務の一環で設置法の中の条文で読めるでしょう。ところが、今回なぜ海上警備行動のために集めた情報をこのアメリカ軍においそれと渡せるのか。これ、政府から説明を受けたら、ギブ・アンド・テークだと言っているんですね。ミリタリー対ミリタリーで、自衛隊が集めた情報アメリカ軍にあげないとアメリカ軍から情報をもらえないと、だからギブ・アンド・テークのためにやるんですと。このギブ・アンド・テークなので、ここが非常に苦しいんですけれども、所掌事務の遂行に必要な、情報収集のために必要な提供だというようなことを一生懸命おっしゃっているんですけれども。  大臣、じゃ、重ねて聞きますけれども、午前中衆議院でも答えていますが、アメリカ軍に提供した情報アメリカ軍が独自の軍事活動あるいは有志連合活動に使うことはあり得ますか。絶対ないんだったら、ないという根拠をお示しください。簡潔に答えてください。
  56. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 自衛隊が提供するのは、これは一般的な情報でございます。それを米軍としては船舶航行の安全のために恐らく活用することになるというふうに考えております。自衛隊米軍に渡す情報を基に米軍が何か攻撃をしたりということではなくて、米軍が軍事行動を起こすのであるならばそれ以上に新たな情報を付け加えることが必要となってまいりますので、米軍が受け取った情報船舶航行の安全のために活用されると考えております。
  57. 小西洋之

    ○小西洋之君 要するに、これ法律で、厳しい条件を法律で付けないと、こういう情報提供って、自衛隊の、設置法上や自衛隊法上は全く読めないんですね。  ちょっと時間が参りましたので、この派遣の中のもう最重要の問題について質問をさせていただきます。憲法九条との関係でございます。ちょっとフリップをお願いできますでしょうか。(資料提示)  委員の先生方、お手元に配付させていただいている資料でございますけれども、これ、まず防衛省から共に、政府からいただいた資料ですけれども、自衛隊派遣すると、オマーン湾を始め三つの公海に派遣すると。このオマーン湾の中に自衛隊護衛艦がまさに浮かんでおります。いや、ホルムズ海峡ペルシャ湾のような大変なところではない。しかし、このオマーン湾でまさに昨年の六月、イランタンカーへの攻撃が起きているんですけれども、決して安全なところではないんだけれども、政府としてはまあ安全なところに、武力紛争が生じないようなところに送ったというようなことを言っているわけでございます。  ところが、この護衛艦が浮かんでいるこのオマーン湾の向かいにチャーバハルというイランの港、これ、ちょっと小さくなったんですけれども、チャーバハルというこれイランの都市が書いてあります。じゃ、このチャーバハルがどういう都市なのかといいますと、やはり政府からいただいた資料でございますけれども、このチャーバハルというのはイランの正規軍の、海軍の、もう三つ、四つしか拠点がない、その大拠点の一つなわけですね。さらに、向かって左側を御覧いただきますと、このジャスクという、やはりオマーン湾に面してイラン軍の海軍基地があるわけでございます。  一方、委員の先生方、お手元の資料の三枚目を御覧いただきたいんですけれども、特に年明けにそのアメリカ軍がイラン軍の司令官を殺害してから、アメリカ軍、その中東域に大軍事力を今展開をしています。その中核になるのがトルーマン、空母ハリー・トルーマンという空母打撃群です。じゃ、この空母打撃群が今どこにいるかというと、このアラビア海の北部、ここにいるんですね、今、空母打撃群。オマーン湾のまさに入口に空母打撃群が今展開をしています。また、同時に、このアメリカの海兵隊ですね、アメリカの海兵隊の強襲揚陸艦がこのアデン湾のところに今浮かんでいると。  つまり、自衛隊が送られる海というのは、中東の最大の軍事力も有するその大国イランイランのその軍事基地、軍事力と、そして世界最大の軍事力、攻撃力を持つアメリカ軍がいるちょうど真ん中にこの自衛隊が送られるわけでございます。  じゃ、ここで政府参考人に聞きますけれども、政府参考人、よろしいですか。自衛隊の歴史において、かつてこの武力紛争、まあ武力紛争というか、武力、お互いが、アメリカイランが武力を交じ合ったというのは両方とも認めていますから、武力を交え合った国ですね、また今後武力を交え合う可能性があるようなその地域自衛隊を法律によらずして出したことがあるでしょうか。もうイエスかノーかで。
  58. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) これまで自衛隊を海外に派遣するに当たりましては、自衛隊による活動の内容や活動する状況等を踏まえ、自衛隊が憲法第九条の禁じる武力の行使を行わないことや、自衛隊による活動他国による武力の行使の一体化を回避することについて、枠組みとして担保する必要がある場合には当該枠組みを法定したところでございます。(発言する者あり)  いや、先ほど言いましたように、これまでの例でいいますと、自衛隊活動が武力の行使を行うことがないようにする必要がある、あるいは武力の行使の一体化を回避する必要がある、そういう場合について枠組みとして担保する、そういう枠組みを設けてきたところでございます。
  59. 小西洋之

    ○小西洋之君 そうなんですね。自衛隊がその紛争に巻き込まれるような可能性が絶対生じないような、そういう法律の枠組みを設けていたんですね。  河野大臣に伺いますよ。その枠組みの一つ、PKOのあの五原則の初めの原則ですね。紛争当事国に停戦合意が成立している。アメリカイランは今ツイッターでお互いの見解を明らかにしているだけですよ。両国首脳が会ってもいない、停戦合意文書もない。停戦合意は成立しているとは言えないと思います。また、日本自衛隊がそこに参加することについて、二つ目の要件ですね、紛争当事国が同意をしている。先ほど、同意したのかどうか、同意を取ったのかどうか聞きましたけれども、全く答えていただけませんでした。で、三つ目、そのそこでの自衛隊活動、この場合PKOですけど、中立の立場で行われる。今回、自衛隊が行うことは、アメリカの軍司令部派遣、自衛官を、幹部自衛官を派遣し、そしてイラン軍の情報も取るわけですね。全く中立でないわけです。  こうしたこの三つの今私が申した条件、状況に照らして、この度のこの自衛隊派遣は、自衛隊が紛争に巻き込まれる可能性があるという意味において憲法九条に抵触するものとは考えませんか。論理的に答えてください。
  60. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 現時点においてアメリカイランの間で武力の行使が行われている状況にあるとは考えておりません。  現時点で自衛隊が何らかの武力紛争に巻き込まれるような危険があるとは認識しておりません。
  61. 小西洋之

    ○小西洋之君 現時点のことなんか聞いていない。  先ほどあなた、一〇〇%起きない断言なんてできないと言ったじゃないですか。そういうことが起きないように、一〇〇%起きないような仕組みを設けているのが過去のPKO、あるいは今から質問しますけれどもイラク特措法なんですよ。  イラク特措法の要件申し上げますね。自衛隊活動期間においてその地域で武力紛争が起きない。これ、法律の要件ですよ。そうした確信がありますか、重ねて聞きますけど。現在はお互いドンパチはしていないということを今答弁されましたけれども、この派遣一年間の間にこの海域アメリカ軍とイラン軍が絶対に戦争をしない、そうした確信、理解はありますか。
  62. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 少なくとも現時点ではアメリカイランが武力紛争を、武力の行使をしている状況にはない、自衛隊が紛争に巻き込まれるおそれはないというのが認識でございます。  状況が大きく変わるようなことがあれば国家安全保障会議を開いて対応をしっかりと検討する、そういうことでございます。
  63. 小西洋之

    ○小西洋之君 現在のこと聞いていませんよ。将来、自衛隊、今あなたの命令によってつい先日派遣されたわけですから。何をおっしゃっているんですか。  結局、もう時間なのでやむなくまとめに入りますけれども、今回の自衛隊中東派遣というのは今から申し上げているような面で憲法に抵触するわけでございます。一つは、紛争可能性のある地域自衛隊を送る。もう一つは、これ質問はできませんでしたけれども、海上警備行動、あっ、これ質問しましょうか。河野大臣イランを相手に海上警備行動を行うことを想定していますか。
  64. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) イランを含めて特定の国家が、日本関係船舶であることを認識し、これらの船舶に武器等を使用した侵害行為を行うことは基本的にないと考えております。
  65. 小西洋之

    ○小西洋之君 イラン日本自衛隊侵害行為を行うことがないというその根拠を具体的に答弁してください。
  66. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 年末のロウハニ大統領と安倍首相の会談の、おける状況と現時点で変わりはない、そう理解をしております。
  67. 小西洋之

    ○小西洋之君 今、もうまとめますけれども、紛争可能性のある地域にこの自衛隊閣議決定派遣する、これまでは法律の枠組みを講じてきました。しかも、その派遣の名目に、イラン相手に海上警備行動、これ武力用いたら、これ軍事衝突でございますから、これ憲法違反になります。そうした趣旨の過去の法制局宮崎長官の答弁もございますけれども、できないことを名目にして、そして自衛隊を出している。そうすると、出した先でもし海上警備行動自衛隊が強いられるようなことになれば、まさに軍事のエスカレート。自衛隊員の命は奪われ、そして日本が戦争状態に巻き込まれて、そして武力によって日本の船を守るんだというおかしなことを言っている方もいらっしゃいますけれども、エネルギー関係、ほかの船舶も含めて五千八百の船が通っております。  先ほど申し上げたように、核合意といった根本問題に日本が汗をかく、そのことによってイランを始めとする湾岸諸国からの信頼を得る、そのこと以外に私はこの航行の安全、日本のエネルギー確保をするすべはないというふうに思います。そうした道と全く逆の、そしてやるべきことをやっていない安倍政権の取組に強く抗議をいたしまして、追及の決意を申し上げまして、質疑を終わります。  ありがとうございました。
  68. 秋野公造

    ○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。お役に立てるように質疑をしたいと思います。  私は、ちょっと基本的なところからお話を聞いてまいりたいと思います。  まず一つ目、中東地域への自衛隊派遣に関して、我が国にとって中東地域重要性に係る認識、ここについてまずお伺いをしたいと思います。
  69. 高橋克彦

    政府参考人(高橋克彦君) お答えいたします。  中東地域は、地政学上の要衝に位置するとともに、原油、天然ガス等のエネルギー資源を世界に供給する大変重要な地域であります。したがいまして、この地域の平和と安定は世界の安定に直結しているということが言えると思います。  特に、日本原油の約九割を中東地域から輸入していることもあり、同地域の平和と安定は極めて重要であると考えます。
  70. 秋野公造

    ○秋野公造君 これも基本的なところをお伺いしたいと思いますが、イランの発表によりますと、イラン革命ガードがイラク米軍基地に対して弾道ミサイルを発射して攻撃を行いました。これについての日本政府の受け止め、これについても確認をしておきたいと思います。
  71. 高橋克彦

    政府参考人(高橋克彦君) お答えいたします。  委員御指摘の攻撃は、日本政府として全ての関係者に緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求めていた中で行われたものであり、この攻撃により事態がエスカレートしかねない状況になったことを深く憂慮しております。同時に、その後、関係国の自制的な対応が見られたことについては評価をしております。  事態の更なるエスカレーションは避けるべきであり、日本政府として中東情勢を引き続き高い緊張感を持って注視していくとともに、関係国と緊密に連携しつつ、中東地域緊張緩和情勢安定化に向けて外交努力を継続してまいりたいと考えます。
  72. 秋野公造

    ○秋野公造君 政府はこれまでも外交努力航行安全対策は行ってきたはずでありますけれども、今回、それに加え、なぜ自衛隊派遣して情報収集活動を行う必要があると判断をしたのか、防衛大臣にお伺いしたいと思います。
  73. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 我が国原油輸入の約九割を依存している中東地域において、緊張の高まりを踏まえて、日本関係船舶安全確保に必要な情報収集態勢強化することは極めて重要と考えております。  そのため、我が国から中東地域までの距離、この地域における活動実績及び情報収集に際して行う各国との連携、意思疎通重要性などを勘案した結果、情報収集態勢強化のため、自衛隊の艦艇及び航空機の活用が必要であるとの判断に至ったわけでございます。  政府としては、更なる外交努力航行安全対策の徹底、自衛隊による情報収集活動について、政府一体となった総合的な施策を関係省庁が連携して実施することにより、中東地域における平和と安定及び日本関係船舶の安全の確保にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
  74. 秋野公造

    ○秋野公造君 政府の判断に、支持したいと思いますが、今回の派遣の法律上の根拠、これは防衛省設置法上の調査研究ということでありまして、防衛大臣の命令のみで派遣を行うことができるというスキームであります。  他方、調査研究をいつでもどこでも自衛隊派遣できる先例にすべきではないという問題意識の下で、公明党は、中東地域という、今大臣もおっしゃっていただきましたけれども、日本から遠く離れた緊張感のある地域派遣に当たっては閣議決定等をするべきであるということを申し上げてきたところであります。  特に、国会の関与が重要であると、その考えから、国会への報告を義務付けて国会がチェックをすることができるようにするべきであると、こういった主張も公明党は行ってきたところでありまして、これを受けて政府の対応につきまして御説明をお願いしたいと思います。
  75. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 中東地域における平和と安定及び日本関係船舶の安全の確保のため、我が国独自の取組として、中東緊張緩和情勢安定化に向けた更なる外交努力関係業界との綿密な情報共有を始めとする航行安全対策の徹底並びに情報収集態勢強化のための自衛隊のアセットの活用について、政府一体となった総合的な施策を関係省庁が連携して実施することに加え、今般、自衛隊を海外に派遣することの重要性国民の皆様に対する説明責任の明確化という観点から、閣議決定、国会報告をすることといたしましたが、この際、公明党からいただいた御意見も踏まえて判断したところでございます。
  76. 秋野公造

    ○秋野公造君 ありがとうございます。  この閣議決定、なされた閣議決定におきましては、海上警備行動の発令についても言及をされております。  この海上警備行動の発令については、今般行われた閣議決定とは別の新たな閣議決定が必要と、こういう理解でよろしいか、確認をしておきたいと思います。
  77. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) 今般の閣議決定に示されましたとおり、現時点において直ちに自衛隊による日本関係船舶防護が必要とされる状況にはなく、自衛隊実施するのは情報収集活動でございます。その上で、このような状況が変化し、自衛隊による更なる措置が必要と認められる場合には、自衛隊法第八十二条に規定する海上警備行動を発令して対応することとしております。  この海上警備行動は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合に、防衛大臣が内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊部隊海上において必要な行動を取ることができるものであります。防衛大臣が内閣総理大臣の承認を得るに際しましては、御指摘のとおり、そのための閣議決定が必要となります。
  78. 秋野公造

    ○秋野公造君 ちょっと全体像についてお伺いをしておきたいと思いますけれども、派遣をする哨戒機はどこを拠点としますか、あるいは艦艇はどこを寄港地としますか。お伺いをしておきたいと思います。
  79. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 海賊対処行動部隊のP3Cは、これまで同様、ジブチを拠点として活動してまいります。  今般の情報収集活動におきまして、艦艇が補給を行う場合は、この情報収集活動海域に面しているいずれかの港に寄港するということを考えておりますが、相手国との関係で、今対外的にどの港というのを明確に明示できる状況にございません。安全性が確認をされ、地理的条件を満たしている港の中から、これまでの入港実績などを考慮し、不可欠な燃料補給あるいは生鮮食料品の入手の可否といったことを判断材料にして、適切な港に寄港するようにしたいというふうに思っております。
  80. 秋野公造

    ○秋野公造君 隊員のことをお考えになった判断も含めまして支持したいと思います。  イランの核合意、こういった問題を含めまして中東情勢が緊迫をする中で、総理が中東三か国を訪問した意義、これは私は非常に高いものがあると思っております。  ただ、核合意についてちょっと先に一言申し上げさせていただくならば、私は長崎の人間でもあります、核不拡散を含めてこの核兵器の問題は注目をしているところでありまして、核拡散が行われるようなそういうことが絶対にあってはならないと思っているところであります。  この核合意を含めて、中東地域全体の情勢が緊迫する中、改めて総理がサウジアラビア、それからアラブ首長国連邦、オマーンを訪問をされました。これは世界にとっても非常に時宜を得たものだと思っておりまして、なぜならば、この三か国がイランとの間で独自の関係を持っておりまして、独自の関係を持っているその三か国に対して総理が訪問をして対話をしたということは大変有意義だったと思っておりますが、残念ながらその成果というものがまだまだ国民の中に共有をされていない状況だということも残念に思っております。  政府として、安倍総理中東三か国訪問にどういった意義があったのかということにつきまして、日本外交当局の責任者である外務大臣にお伺いをしたいと思います。
  81. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 中東地域は、先ほども答弁させていただいたように、地政学上の要衝に位置しまして、世界のエネルギーの供給源であります。ここが不安定化すれば、世界経済、世界の繁栄にも大きな影響をもたらす。かつて一九七〇年代、オイルショックが起こりました。日本経済に大きなマイナスが生まれ、そしてトイレットペーパーの買占めであったりと、国民生活にも大きな影響が出て、油断という言葉が注目を集めたと、油を断つというふうに書かれるわけであります。  このような中東情勢、今緊迫化している中で、総理は事態の更なるエスカレーション、これを避けるべく、我が国による外交努力の一環として、今月の十一日から十五日まで、地域緊張緩和情勢安定化に重要な役割を果たす、どちらかといいますとイランとは立場の違うサウジアラビアであったりUAE、そしてオマーンを訪問したと。  もちろん、イランに対しても日本は伝統的に友好関係を持っておりまして、これまでも首脳レベルの往来であったり、私も外務大臣との会談等を行ってきているところでありますが、今回の訪問、総理は各国で、首脳レベルで全ての関係者が自制的に対応しあらゆる外交努力を尽くすべきと、このように申し上げ、相手も同じ認識だということで一致をしたということは極めて大きいんだと思っているところであります。  また、日本関係船舶航行の安全の確保目的とした自衛隊による情報収集活動、これを行っていきますということを説明して、各国から理解と支持を得たということも大きいと思っております。  委員御指摘の核問題につきまして、核の不拡散、これを進めていかなきゃならないと、まさにおっしゃったとおりだと思っておりまして、我が国としてイランによります累次にわたります核合意へのコミットメントの低減、懸念をいたしております。昨年十二月のロウハニ大統領訪日の際にも、安倍総理からイランによります一連の核合意の履行停止措置について深刻な懸念を伝えて、核合意を損なう措置を控えるように強く求めたところであります。  御案内のように、この件につきましてはイギリス、フランス、ドイツと、これも懸念を表明しているわけでありまして、日本としてこうした関係国とも連携して、核合意の履行と、これを引き続き働きかけていきたいと思っております。
  82. 秋野公造

    ○秋野公造君 機動的でかつ透明性の高い仕組みの中で対応をどうぞよろしくお願いします。  終わります。
  83. 浅田均

    ○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  まず、日本へ運ばれてくるオイルについてお尋ねいたします。  経済産業省の石油統計によりますと、日本が輸入する原油中東依存度が約八七%、大臣は約九〇%と御答弁になっておりますが、そのほとんどがペルシャ湾からホルムズ海峡を通過して、オマーン湾そしてインド洋を経由して日本に運ばれるということであります。  この点に関しまず事実の確認をさせていただきたいと思いますが、それらの原油を運ぶタンカー船籍ですね、日本船籍あるいはその他の国の船籍、この割合を教えてください。
  84. 宮武宜史

    政府参考人宮武宜史君) 事実関係についてお答えいたします。  国土交通省が所管いたします我が国海運事業者が運航する原油などを輸送するタンカーについて見てみますと、ホルムズ海峡を通過するものは、二〇一八年の実績ベースで、東行き、西行き、ですからペルシャ湾から出る方、入る方、両方合わせて延べ千七百隻となっております。この千七百隻を国籍別で見ますと、約三百五十隻、割合でいえば約二割が日本籍、残る八割がパナマなど外国籍となっております。
  85. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございます。  今の御答弁ですと、ホルムズ海峡を出たり入ったりする船が千七百隻あって、そのうちの三百五十隻が日本船籍であると。逆に言いますと、八割がいわゆる便宜置籍船、日本の旗を付けていない船ということになります。  私も、これまで議論になっております、佐藤委員と、それから先ほど、どなたでしたかね、秋野委員も、ほかの委員の先生方も質問されておりますけれども、根拠法ですね、派遣に、中東派遣する根拠法をどこに求めるかということが非常に重要になってきたんだろうと思います。  佐藤先生の方からは、なぜ海上警備行動ではなくて自衛隊設置法による派遣なのかという御質問がありました。私は、それに加えて海賊対処法とか、新たにまたイラクのときのように特措法が必要になるのではないかなというふうにも思っていたんですけれども、結局、自衛隊設置法の調査研究を根拠に派遣ということになりました。  ここで、日本関係船舶の安全を守るというときに、これももう質問されておりますけれども、そういう場合はこの旗国主義に従うという理解でよいのか。つまり、防衛省設置法を根拠にした中東派遣であるならば旗国主義に従うということになると思うんですが、この点について確認いたします。
  86. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) この日本関係船舶につきましては、日本船籍それから日本人が乗船する外国船籍我が国船舶運航業者が運航する外国船籍又は我が国の積荷を運航する外国船籍であって我が国国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶、これを日本関係船舶と言っておりまして、これが保護の対象ということになりますので、日本船籍以外の外国船籍も保護の対象にはなります。  ただ、公海上における外国船籍の保護につきましては、国際法上、一般的には当該船舶への排他的管轄権を有する旗国がその責任の下に行うべきとの旗国主義考えに基づき対処することが基本になります。これは設置法に基づくものだからというわけではなくて、これは国際法上のそういう考え方に従うということでございます。
  87. 浅田均

    ○浅田均君 それでは、もう一度確認なんですが、普通の私たちの理解ですと、防衛省設置法による派遣だと、自分の国の旗、日本のフラッグを掲げている船しか対象にならないけれども、国際法上、そういう日本に船、オイルを運ぶタンカーですよね、日本以外のフラッグを掲げているいわゆる便宜置籍船に対しても対象になるという理解でいいんですね。
  88. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) 情報を提供する、情報を収集するという観点におきまして、先ほど言いましたように、その防護対象となる日本関係船舶は先ほど言いましたとおりでございますので、日本船籍には限らず、先ほど言いましたような類型において日本関係する外国船籍も含むということでございます。
  89. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございます。  それで、日本船籍のほか、いわゆる便宜置籍船も対象に含まれるという御答弁でありますが、次に、船舶の安全を守るというときに何をどう守るのかということが問題になろうかと思います。  そこで、守り方についてお尋ねしたいと思うんですが、想定されているのは不審船であります。不審船に関する情報を提供する、あるいは安全なところを教えるなどが考えられると思うんですけれども、現在その守るということに関しましてどのようなことを想定されているのか、お尋ねいたします。
  90. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) 中東地域におきましては、現在日本関係船舶防護実施そのものを直ちに要するという状況にはないということから、一方で、こうした緊張の高まりを踏まえまして、日本関係船舶が講ずる安全確保、これに必要な情報収集態勢強化するということで、今回自衛隊の艦船、航空機派遣するわけでございます。  したがいまして、我々の行うことといいますのは、そうした得られた情報収集を提供するということによってその安全確保に資するということだと考えております。
  91. 浅田均

    ○浅田均君 その情報を収集するというところなんですけれども、どういう情報なんですかと。ここにこういう不審船がいますよという情報を提供するのか、あるいはもっと進んで、ここへ寄港すると、この海域に行くと安全ですよというふうな情報までを提供するのか、その辺をもう少し詳しく説明してください。
  92. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) まず、一般的に、そもそも危険があるのかないのかということは重要な情報でございます。危険がある場合だけではなくて、そういった情報がないということも情報としては重要だというふうに考えますので、そうした情報は平素から関係省庁を通じて共有してまいるということでございますし、また、その判断に当たっては、今まさに先生御指摘あったように、不審な船舶がいるのかどうか、速度やそうしたものから判断して、いるのかどうか、あるいはそのほかの状況を含めて、この危険な海域となるのかどうか、そうしたものを把握して、そういうのがあればまさにそれを提供するということでございますし、より具体的に切迫した危険な情報があるということであればそれを提供するということもあるということだと思います。
  93. 浅田均

    ○浅田均君 これ、またややこしいんですが、不審の定義ですね。例えば、道路上で蛇行運転をしている、これは危険な運転をしている車というふうに直ちに判断できるわけですけれども、そういう海上でこれは不審であるというふうな判定はどういうふうになさるんでしょうか。
  94. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) これは具体的な状況によりますので一概に申し上げることは困難でございますけれども、その船の素性といいますか国籍や所属が明確であるかどうかであったり、あるいはその活動の方法が通常の想定されるような態様であるかどうかであったり、あるいは船の外形であったり、そうしたものを総合的に判断するということになろうかと思います。
  95. 浅田均

    ○浅田均君 その不審船の発見ということでもう一点お尋ねしておきたいんですが、例えば今ネットなんかで今どこにどういう飛行機が飛んでいるかというのはアプリがあって、実際どこ発のどこ行きの何という飛行機であるというところまで確認できるんですけれども、海上において今どこにどういう船舶があって、どこからどこに向かっているという、そういう情報は得ることができるんですか。
  96. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) 海上における船舶情報につきましては、AISという仕組みがございます。これは、その機器を搭載して外航、航行する場合は、その機器を搭載して運航することが期待されているわけでございますけれども、ただし実際にはAISを切断をして運航するケースもございます。  また、我が国周辺の場合であれば、我が国は、周辺にいる、周辺というか近海ですね、まさに近海であればリアルタイムでその位置情報を把握できるんでありますけれども、それ以外の場合につきましては一定期間、一定の時間を経てまとめて更新されていくということでございますので、リアルタイムでその全ての海域状況を把握できるものではないというふうには理解しております。
  97. 浅田均

    ○浅田均君 リアルタイムでなくてもいいんですけど、だから、AISというのはインマルサットに通信するんですか。
  98. 宮武宜史

    政府参考人宮武宜史君) AISの搭載は国際条約で定められておりまして、一定の大きさ以上の船につきましては搭載義務化されておりまして、通信手段、衛星を通信、衛星を介すのではなくて沿岸の方で情報を取るような形になっております。
  99. 浅田均

    ○浅田均君 だから、インマルサットですよね。違うんですか。
  100. 宮武宜史

    政府参考人宮武宜史君) インマルサット衛星は、例えば船が遭難した際に出す信号を受けてやり取りするような形でありまして、AISとまたちょっと仕組みが違っております。
  101. 浅田均

    ○浅田均君 また後で詳しく教えていただけたら幸いであります。  それで、その収集した情報を提供することについてお尋ねしたいんですが、不審船を発見したら国土交通省を通じて船舶会社に連絡するというふうに報道されておるんですが、これ、対象となる船舶への連絡経路ですね、現場にこういう不審船がいますよという連絡をキャッチして、それから国交省を通じてということでありますが、船舶会社に連絡するということでありますが、何か直接は連絡できないんですか。
  102. 中嶋浩一郎

    政府参考人中嶋浩一郎君) 関係省庁幾つかにまたがりますので、内閣官房からお答えさせていただきます。  情報収集活動実施している自衛隊部隊船舶航行の安全に直接影響を及ぼす情報を入手した場合には、部隊から防衛本省を通じて迅速に国土交通省を含む政府内に共有いたします。その上で、国土交通省海事局から日本船主協会、運航事業者、これを通じまして現場船舶共有することが基本となります。  一方で、関係省庁関係業界間の中央における情報共有、今申し上げたもののほか、事案発生時などにおいて必要に応じて現地自衛隊部隊日本関係船舶の間で直接やり取りすることもあろうかと思っております。
  103. 浅田均

    ○浅田均君 別に発見した自衛隊部隊から関係船舶に直接連絡することもありだという理解でいいんですね。
  104. 中嶋浩一郎

    政府参考人中嶋浩一郎君) おっしゃるとおりでございます。
  105. 浅田均

    ○浅田均君 それで、この質問ももう出たかなとは思うんですけれども、アメリカ中心に有志連合という動きがあって、その有志連合日本部隊が得た情報というのはすべからく提供されるんですか。
  106. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) 我々の取組というのは、あくまで日本独自の取組でございます。米国が提案している海洋安全保障イニシアティブ、いわゆるIMSCには参加をいたしません。このため、IMSCとの間で直接情報共有を行うということはございません。
  107. 浅田均

    ○浅田均君 国際法上、こういう情報を得たというのは有志連合とは関わりなく関係船舶に連絡するということで、その中にアメリカ船籍の船というのも当然含まれているでしょうから、そういうそのアメリカ船籍を持っているから連絡をしないということはないわけですよね。
  108. 槌道明宏

    政府参考人槌道明宏君) 通常の情報収集で得られた情報というものではなくて、今先生おっしゃったのは、緊急時に具体に危難が迫っていて、それを知らせる必要があるのではないかという御質問であるとすれば、それはそういうこともあろうかというふうに思います。
  109. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございました。  時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
  110. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  米国による国際法違反のイラン革命防衛隊の司令官の殺害、そして、これに対してイランによるイラク国内の米軍基地への攻撃と一気に緊迫した情勢になりましたけれども、その後当面の危機は回避をされましたが、トランプ政権は経済制裁の強化を明言をしているなど、衝突の危機は何ら消えておりません。  茂木大臣は、先日ポンペオ国務長官と会談をされまして、米国イランからのミサイル攻撃に対して軍事的報復を控えていることについて、自制的な対応を評価すると述べたと報道されております。  しかし、元々今回の事態の引き金を引いたのは、この自制的な対応どころか米国によるイラン高官の殺害なわけですね。アメリカ側は、このスレイマニ氏の殺害は差し迫った攻撃を防ぐ自衛措置だったと説明をしております。  そして、トランプ氏は十日、このスレイマニ氏が四つの米大使館の攻撃を計画していたと思うというふうに述べております。しかし、エスパー国防長官は、それについて証拠は見付かっていないと述べて、政権の中でも食い違いが露呈をしているわけですね。  こういう、このスレイマニ氏の殺害に至る事実関係や法的な根拠について、訪米をされてきちっとアメリカ側から納得のいく説明を聞かれたんでしょうか。
  111. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、年初来の緊張中東地域での緊張の高まりに対しまして、日本として全ての関係者に自制的な対応を求め、事態のエスカレーションは回避すべきだ、このような呼びかけを行っておりまして、アメリカだけではなくてイランが自制的な対応をしていると、このことについても評価をしているところでありまして、改めてポンペオ長官との間でも、これ以上のエスカレーションは回避することが重要だということで意見の一致を見たところであります。  そして、今回の三日の攻撃についてということでありますが、我が国は直接の当事者ではなく、詳細な事実関係を把握する立場にないことから確定的なことを申し上げることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、米国が安保理議長宛てに提出した書簡におきましては、最近数か月のイラン・イスラム共和国とイランによって支援されている民兵による米国又は米国の利益に対するエスカレーションしている一連の武力攻撃に対して行ったものである旨説明をしておりまして、今委員の方から、もしかしますと先制攻撃的にやったのではないかと、こういう趣旨で発言いただいたのかどうか分かりませんが、既に発生した武力攻撃に対する自衛権の行使として説明していると、このように考えております。  英語の文書等必要でありましたら、後で解説させていただきます。
  112. 井上哲士

    ○井上哲士君 私、先ほど述べたように、トランプ氏自身が、四つのアメリカ大使館の攻撃を計画していたと思うとツイッターでも述べているんですね。差し迫った攻撃を防ぐ自衛と言ってきたわけですよ。  しかも、これ米議会の中でも、このスレイマニ氏の殺害の根拠について様々な批判や疑問の声が上がっております。これに対してもトランプ氏はツイッターで、この差し迫った脅威について、彼のひどい過去を踏まえればそれはどうでもよいことだと、こういうふうに述べたんですね。どうでもよいことだと言っているんですよ、根拠について。  私は、こういうきちっとした事実関係についてまともな説明も求めずに自衛隊派遣を進めるならば、結局こういう根拠などどうでもいいというトランプ氏の姿勢を私は追認をするということになると思います。  そもそも、このトランプ政権がこの間イランとの関係で進めてきたこと、およそ自制的対応というものではありません。先ほども議論ありましたけれども、今回の事態の一番の出発点はイラン核合意からのアメリカの一方的な離脱であります。このイラン核合意は安保理決議二二三一でアメリカを含む全会一致で承認をされたものですね。ところが、トランプ政権は、これが欠陥があるということで一方的に離脱を表明をいたしました。  当時、ポンペオ国務長官はこれについて、イラン経済への最大限の圧力を活用してイランに合意の再交渉を強制し、かつイランに引き続き戦略的な能力を発達させる若しくは地域へ介入させるための歳入を与えさせないようにする、こういうふうにその目的について述べているわけですね。  日本政府は、このイランの核合意の履行に当たっての外相談話でも、国際不拡散体制強化中東地域の安定のためには最終合意が今後も継続して遵守されることが不可欠だと、履行を積極的に支援していくと、こういうふうに述べました。ところが、このアメリカの離脱の際の当時の外務大臣の談話は、大きな影響が出るとすれば残念と腰の引けたものであります。先ほども、茂木大臣も残念だと言われました。  しかし、これ安保理で承認されたものを一方的に離脱をしたと、これは安保理決議違反じゃありませんか。そこをきちっと正面から言うべきじゃありませんか。
  113. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、中東地域、これは歴史的に見ても様々な経緯がありまして、また多くの国や関係者が関与しておりまして現在の状況に至っておりまして、特定の国とか主体の行動若しくは特定の問題によって現在の状況が生まれていると、このように評価するのは困難なのではないかなと思っております。核合意の前をたどっていっても様々な経緯というのがあるわけであります。遡れば十字軍の時代だって、いろんな形であの地域においては紛争というのが起こっているわけであります。  その上で、核合意の話でありますが、我が国として国連安保理決議の有権的解釈を行う、これは安保理でありまして、安保理において本件米国の離脱と安保理決議の関係において一致した見解はないものと承知をしております。  いずれにせよ、我が国は国際不拡散体制強化中東の安定に資する核合意を支持しておりまして、米国による核合意離脱は残念であると考えております。同時に、米国とは、イランの核保有を認めず、地域の平和と安定を促進するという目標を共有しておりまして、引き続き緊密に連携していきたいと思います。
  114. 井上哲士

    ○井上哲士君 まあ十字軍まで言われましたけどね、いろんなことがあったけども、その解決に資したのがイランの核合意じゃないですか。それを一方的に破ったと、明らかにこれは今回の事態の引き金を引いているんですよ。そんな十字軍なんてとんでもないこと言わないでください。  そして、先ほどイランには核合意の遵守を求めていると言われました、イランに対しては。じゃ、ちゃんと、もう一回聞きますけどね、アメリカに対して核合意復帰しろと、そういうことは日本求めたことはあるんですか。
  115. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 核合意も含めてイランと直接アメリカが対話することが重要であり、そしてこのイランの核保有を認めない、それによって地域の平和と安定を促進していこうと、このことについては累次にわたってアメリカ働きかけを行っております。
  116. 井上哲士

    ○井上哲士君 結局、復帰求めていないんですよ。残念だと言うだけなんですね。  そして、これ離脱だけじゃないんですよ。一月六日に発表されたアメリカ議会調査局のレポートでも、トランプ政権が核合意離脱後、最大限の圧力を掛ける政策を追求しているために二国間の緊張は著しくエスカレートしたと。アメリカのやり方がこれエスカレートをもたらしたと、こういうふうに言っているんですよ。  いろいろ列挙しておりますけど、冒頭に、二〇一九年四月にイラン革命防衛隊を公式の軍隊として初めて外国テロ組織に指定をしたということが挙げられております。一国の軍隊をテロ組織だと指定をすると、こういうことについて日本はどういうふうな見解を持っているんでしょうか。通告していますよ、ちゃんと。
  117. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) 米国アメリカ国内法に基づいてイランの革命ガードを外国テロ組織に指定したことの妥当性について答える立場にはございませんが、中東情勢については引き続きしっかり注視していきたいと思います。
  118. 井上哲士

    ○井上哲士君 当時、米国内、政権の中でもこういうことに対して様々、中東に駐留する米軍の安全性の懸念からの反対論もあったというふうに報じられております。これがやっぱり大きな、更にエスカレートになるんですね。  さらに、米議会のレポートは、緊張を高めた出来事として、昨年五月、去年の五月に、イランの石油輸出をゼロとすることを目指して同国からの石油を購入する国へも制裁を科すことにした、それから精密誘導弾のサウジアラビアとUAEへの売却を含め、恐らく八十億ドル以上に上る訓練、装備品及び兵器の売却を通知をしたと、こういうことを挙げておるわけです。  ポンペオ国務長官茂木大臣との会談で、事態のエスカレーションは回避すべきと確認したと、こういうふうに書いてありますけれども、この間のやっぱり事態のエスカレーションをつくってきたのは、こういうアメリカのやり方なんですね。それを政府は、日本アメリカイラン双方に友好関係を持っているから外交的な役割を担うと繰り返されておりますけど、事態をエスカレートさせてきた、そのことに対してきちっと正面から物を言わないで、そんな外交的な効果なんかないわけですよ。  そういうのであれば、今日の中東情勢緊張をつくり出してきた張本人であるトランプ政権にしっかり物を言うべきじゃありませんか。そして、イランに自制を強く求めていく上でも、こういうことをアメリカ・トランプ政権にしっかり物を言うし、そして、こういう事態の中で自衛隊派遣をするということは、結局私は地域の軍事的緊張関係を高めて一層事態を困難にすると思います。  そういう意味でのちゃんとアメリカに対して物を言う外交努力をするべきだと考えますけれども、茂木大臣、改めてどうでしょうか。
  119. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 全くそのとおりだと思います。  ですから、ポンペオ長官に対して直接、事態のエスカレーション、関係国全てが避けるべきだと明確に私から申し上げております。
  120. 井上哲士

    ○井上哲士君 一番の大本になったイランの核合意の離脱について、それに復帰をすることも正面から言わないし、そして今回のこの殺害についても、国際法上の極めて疑義の多い問題について事実関係も確かめない、まともに。  そんなことをやっていて、口だけでエスカレーションを回避すべきだと言ったって、それは何の事態にもならないし、改めて申し上げますけれども、そういう中で自衛隊派遣をするということは一層地域緊張を高めるということになりますから、その中止を強く求めまして、質問を終わります。
  121. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  自衛隊中東派遣について伺います。  米国トランプ政権が二〇一八年五月にイラン核合意からの一方的な離脱と経済制裁の再適用を宣言して以来、中東緊張が高まっています。  トランプ政権は一九年七月に対イラン有志連合への参加を呼びかけましたが、安倍政権はイランとの友好的な外交関係にも配慮し、昨年十二月二十七日、有志連合とは別の形で中東地域への自衛隊派遣閣議決定しました。  しかし、今年一月三日にトランプ政権は、突如として、国内法国際法的な根拠を欠く形で、イラク領内においてイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を爆撃して殺害しました。これに対してイランは、一月八日に、在イラク米軍基地に対し計十六発のミサイルで報復しました。双方が戦争は望まないことを表明し、一旦は鎮静化するかに見えました。しかし、同日発生したウクライナ旅客機の墜落事件について十一日にイラン革命防衛隊が誤射を認め、イラン指導部や革命防衛隊に対する批判にまでエスカレートしています。  こうした中、革命防衛隊や親イラン周辺国武装組織などによる米国米国側の国に対するテロも含めた攻撃が発生するリスクは格段に高まっています。前提が大きく変化し、自衛隊員の生命のリスクが高まり、米国の戦争に巻き込まれる危険すら生じているにもかかわらず、何としても自衛隊派遣しようとする安倍政権の姿勢は全く容認できません。閣議決定を白紙に戻して自衛隊を撤収し、どのように中東地域の安定を図るかについて国民的議論を行うべきです。  一月十四日の河野大臣との会談で米国エスパー国防長官は、自衛隊派遣に感謝する、中東における情報共有と作戦協力を継続すると述べています。一方、政府日本国民に対して、自衛隊派遣はそもそも有志連合には参加しない、全く無関係だと説明してきております。エスパー長官の謝意や情報共有、作戦協力などの発言は日本政府の立場とは相入れないもので、公式に説明を尽くして誤解を解かなければならないはずです。  河野大臣は、このエスパー長官の誤解をその場で解消する努力をされましたか。
  122. 河野太郎

    国務大臣河野太郎君) エスパー長官と一月十四日に会談をし、中東情勢を始め様々な地域情勢について意見交換をしてきたところでございます。  中東情勢に関しては、事態の更なるエスカレーションを全ての国が避けるべきだという認識でエスパー長官と一致をしたところでございますし、自衛隊のこの中東での情報収集取組について説明を申し上げたところでございます。
  123. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 トランプ大統領は、一九年九月、中東原油は必要がなくなったと表明しています。一方、日本中東地域のエネルギーに依存しており、地域の安定、航行の安全を求めるのであれば、同じく中東のエネルギーへの依存度の高い同じ立場にある中国や韓国、ASEAN諸国やインドなどと協力、協調して、どのように航行の安全を確保するかを検討しなければなりません。  米国中東地域においては立場が異なっており、エルサレムへの米大使館移転など、むしろ不安定要因となっているという現実を直視すべきです。米国に追従するような自衛隊中東派遣について、閣議決定を一旦白紙に戻し撤収すべきであると強調したいと思います。  米国追従は、沖縄の辺野古新基地建設強行にも共通するものです。沖縄県民の民意を無視して、国民の世論にも反して、現在、辺野古新基地建設工事が強行され、軟弱地盤が広範に広がる大浦湾側での設計変更が検討されています。  昨年九月に発足した技術検討会では、十二月二十五日で第三回となりました。これを踏まえて防衛省は、十二月二十五日に、埋立承認申請当時、工事期間五年、総予算三千五百億円としていたが、新たに工事期間を少なくとも九・五年、総工費は九千三百億円という試算を公表しました。  辺野古工事に固執し、辺野古が普天間の危険性除去の唯一の解決策と繰り返す安倍政権は、今後十年以上も普天間の危険性を放置するのでしょうか。一九九六年の返還合意から実に三十五年以上です。  第三回技術検討会で明らかになったのは、建設費は一兆円近くになったのに、配付資料に示されているように、軟弱地盤の沈下は克服されていません。辺野古新基地の滑走路は、ずっと続く不同沈下に対応するためにジャッキアップできる構造でなければなりません。こんな滑走路は事例がありません。戦略輸送機の着地に耐えるとは思えませんし、複雑な構造は有事の滑走路爆撃で補修対応ができそうにもありません。飛行場を二十個も造れる一兆円掛けて欠陥のある滑走路しかできないということを直視すべきです。  第二回検討会においては軽量盛土を使用するSGM工法、第三回においてはペーパードレーン工法が全く新しい工法として提案されています。沖縄県の埋立承認撤回に対する防衛省の行政不服審査の唯一かつ最大の根拠となった、昨年一月に作成された地盤に係る設計・施工の検討結果報告書では、これらの工法には一切言及されていません。  そこで、質問します。技術検討会では、SGM工法やPD工法など昨年一月の検討結果報告書にはない全く新たな工法が提案されているという理解で間違いありませんね。
  124. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 御指摘の昨年一月の報告書におきましては、検討対象となったキャンプ・シュワブ北側の護岸等が安定性を満足して施工が可能であるということの確認を行ったものでございます。  この段階におきましては、御指摘のその軽量盛土工法でありますところのSGM工法、スーパー・ジオ・マテリアル工法でございますが、これを用いることを前提としておらず、また陸上施工で行う地盤改良としてはペーパードレーン工法ではなくてサンドドレーン工法を行うこととしておりました。  ただ、その上で、現在沖縄防衛局において、昨年一月のこの報告書を踏まえつつ地盤改良等の具体的な設計等の検討を進めておりまして、これまでの土質調査等の結果をより詳細に整理、分析した上で、有識者の知見も得ながら、より合理的な設計、施工を追求しているところでございます。  この結果といたしまして、一部の護岸の背後の埋立てにおきましては軽量盛土を用いることで作用する荷重が低減して、サンド・コンパクション・パイル工法によりますところの地盤改良の幅が小さくなるなどのより合理的な設計、施工となることでございますので、こうしたSGM工法を採用することとしております。また、水深が浅い区域の埋立て後の地盤改良工法としては、環境に配慮して自然由来の生分解性プラスチックを使用するペーパードレーン工法、これを採用することとしたところでございます。  こうしたSGM工法やペーパードレーン工法は特殊な工法ではございませんで、沖縄県でも施工実績のある一般的な工法となっておりますところでございます。
  125. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 このように、技術検討会においては防衛省は新たな工法を提案しています。国土交通省の行政不服審査すらだますような極めて不当、不誠実なもので、行政不服審査制度を悪用し行政権を濫用するものであって、許されないと考えます。  また、こうした新たな工法の採用もあって、壁体や地盤に関する安定性照査という本件工事において最重要の数値が検討結果報告書と異なっているという理解で間違いありませんね。お答えください。
  126. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 繰り返しになりますけれども、昨年一月の報告書においては、対象の護岸等が安定性を満足して施工が可能であるということの確認のために、それまでのボーリング調査の結果を踏まえまして、護岸ごとに代表的な土の層のモデルを作成して、護岸の安定性の照査等を行いました。  その上で、現在、沖縄防衛局において地盤改良の具体的な設計等の検討におきましては、より合理的な設計、施工とするため、これまでの調査結果を、土の層の三次元モデルを作成するですとか、より詳細に整理、分析した上で、海底地形、地層構成などを基にそれぞれの護岸においてより細かく設計工区を設定して、護岸の安定性の照査等を行っているところでございます。  このようなことから、これらを昨年一月の報告書と一概に比較することは困難でございますが、いずれにいたしましても、このキャンプ・シュワブ北側の護岸等が安定性を満足し施工が可能であるという結論に変わりはないというふうに考えてございます。
  127. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 第三回においては、軟弱地盤の埋立地の上に整備される滑走路沈下対策のための舗装構造、補修工法が検討されています。強度や平たん性など一定の性能を要する舗装構造及び補修工法の資料には、前例のないことを示す「事例なし」などの文言が散見されます。  防衛省は、国会答弁において、沖縄県の埋立承認撤回に対する行政不服審査においても、一般的で施工実績が豊富な工法で工事は可能と繰り返し説明してきましたが、これがもはや成り立たないということは技術検討会の検討結果を見ても明らかです。  お手元にA3の資料を提出しておりますけれども、この埋立ては軟弱地盤、さらに多層におかしな形で褶曲した地層があるために不同沈下が起きます。そして、これは、この図でいうと一ページ目の図は、七十年後までの沈下がずっと続く、それは五十二センチとされておりますけれども、その内容は次のページ見れば分かりますけれども、このような形で滑走路上が不同に沈下するんですね。普通の、関空だとか羽田はみんな均等に沈下します。それが予測できなくて関空では水が入ったわけですけれども、ここは不均等に沈下します。というのは、中央部は陸地ですから沈下しません。一方では何メートルも沈下するところがある。  こういう中で選択されているのが一番最後のページの滑走路です。これはジャッキアップできる滑走路です。こんな滑走路は見たことないです。ここにも書いてあるように、前例はないと。皆さん、あの軍事用滑走路がこんなジャッキアップできるような滑走路で実現できると思いますか。こういうものが今一兆円掛けて、五百億だったら二十個も造れるような飛行場、この欠陥の滑走路を持つ飛行場を造ろうとしているのが今の防衛省取組なんです。  そこで、質問します。防衛省としては、一番重要な滑走路の沈下対策、安定的な整備が困難であることを認めて、辺野古新基地建設から撤退すべきであると考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  128. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) まず、技術的なことでございますので。  この海上埋立空港におきましては、例えば関西空港ですとか羽田空港など、長い年月を経て沈下が起こるということは一般的でございまして、これについては設計、施工、維持管理の各々の段階で沈下対策を行っていくことで十分対応可能なものだというふうに考えてございます。  このため、普天間、この飛行場代替施設におきましても、例えば沈下量をあらかじめ考慮した造成後の高さの設定ですとか、サンドドレーン工法等、圧密沈下を促進することで施設供用後の沈下量を抑える工法の採用をする、それから施工段階におきまして地盤挙動のモニタリングを行う、それから維持管理段階でのかさ上げ、こうした対策が講じられることによりまして、安全性に問題なく、飛行場として問題なく運用可能であるというものが提供できるものと考えてございます。
  129. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 本日はこの程度にとどめますが、民意に背き、技術的にも不可能であり、税金の使い方としても不適切な辺野古新基地建設の早期の見直しを求めて、質問を終わります。
  130. 北村経夫

    委員長北村経夫君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二分散会