○松平
委員 我が国の経済に貢献すると。非常にその
メリットは進めるべきだと思います。ただ、やはり私、今回の
改正を見ていて、当然、進めたのは評価できるんですが、まだまだ甘いというふうに思っています。
事前レクでいただいた
資料で、
仲裁の年間の回数、
シンガポールが約四百件、それで
日本が十件ということなんですけれども、
件数だけじゃないんですね、実は。
仲裁で圧倒的にプレゼンスが大きいもの、大きな
事件というのはどの
分野か御存じでしょうか、
大臣。これは、自分で言いますけれども、インフラ投資のコンストラクションアービトレーション、それからエネルギー、エナジーアービトレーション、それからあと海事
仲裁、これらがもう圧倒的なんです、
仲裁事件というのは。
ただ、この大きな、本当に圧倒的に大きな
分野というのは、残念ながらイギリス法がもう
スタンダードになっちゃっています。もう入っていく余地はないんじゃないかなと思います。いろいろ頑張っていますけれども、もう相当難しい。幾ら
当事者に
日本の大
企業、商社とかが入っていても、これはもう間違いなくイギリス法になっちゃっています。
それで、イギリス法が
スタンダードになっているということは、これに関する権益というものがあるわけですね。かかわる
法律事務所、それからそれを解釈する人間ですとか、それの参考
資料とか、何かいろいろなものがあるんですけれども、この辺が権益ということになっていて、まず、そもそもイギリス法となっているので、
法律事務所自体が、イギリスのマジックサークルと呼ばれる
法律事務所がもう独占しているという
状況になっているんです。
それで、先ほど、
シンガポールの
件数が多いということで言いましたけれども、他の
分野で
シンガポールの
仲裁が多いということなんですけれども、実務でどうなっているかといいますと、やはり、
仲裁地が
シンガポールとなると
準拠法も
シンガポールにしようということに大体なってきます。
仲裁地は
シンガポールだけれども
準拠法はUSのカリフォルニア州法にしようとか、そういうのもたまにあるんですけれども、普通、こういうことはしません、ややこしいので。大抵、
仲裁地を
シンガポールにしたら
準拠法も
シンガポールにしましょうと。
そうしたら、ちょっとさっきの話にも関連する、同じような話になるんですけれども、やはり
シンガポール法を学ぶ人がふえてきます。そうすると、やはり大学もふえます。大学の学生もふえる。留学生もふえます。それで、当然、
シンガポール法を扱う
法律事務所もふえ、そうしたら、やはり先ほど言った、事業に利益が落ちていく。これはどういうことかというと、法律を輸出しているというふうにも見えると思いますね。法律を
シンガポールは輸出産業と考えているんですよね。
ことしの初めぐらいに、
日本経済新聞で記事がありました。世界の法律サービスの収入、売上げですね、売上げの占める割合、英米が六割で、何と
日本は〇・五%しかないという衝撃的なデータもあります。これは、つまり、
日本の法律的
分野に関する資金を
日本企業は吸い上げられてしまっているという
状況になっている。GDPが本当にこの分失われてしまっているという
状況になっています。
というわけで、私は先ほど
メリットを
大臣に言っていただきましたけれども、この程度の改革じゃ、僕はやはり甘いというふうに思います。
では、これはどう甘いか、具体的に見ていきたいと思います。
UNCITRAL、国際商事
仲裁の
モデル法というのを出しています。UNCITRALとは国連の
国際取引の
委員会ですね、そこがモデルを出しているんですね。このモデルでは
国際仲裁の
範囲はどうなっているかというと、もちろん原文は英文なんですけれども、
日本語で簡単に言うと、例えば、
仲裁合意の
当事者が、その
合意時に異なる国に
営業所を有する場合、又は、例えば
紛争の
対象事項と最も密接に関連を有する地が国外の場合、こういった場合には、
国際仲裁になるんですね、できるということになっているんです。
日本では、先ほど
冒頭で定義を申し上げました、非常に狭い定義になっています。今回広げましたと。今回広げて、五〇%を超える
親会社ですとか、
準拠法ですとか、何かいろいろ条件を加えていますけれども、もうそんなの
関係ないんです。非常に広い、国連が定めた
モデル法はもっともっと広い。
そして、では、
シンガポールはどうしているかというと、更にこの要件を緩めているんです。
当事者に、
シンガポール以外に事業所があったらもう
国際仲裁としているんです。例えば、
当事者の持っている事業所の一部が
日本にあります、若しくは全部が
日本にあります、そういうのでももう
国際仲裁になっている。
外国との何らかの
関連性という非常に緩い条件で
国際仲裁ということにしているんです。
私、ちょっと、本当に恐縮なんですけれども、このぐらいやらなきゃもう巻き返しというのは難しいんじゃないかなと思っているんです。少なくとも
国際仲裁の定義を、UNCITRALの
モデル法、国連が決めた
モデル法の程度、それが国際的
スタンダードと言っていいんだと思います、その程度に合わせてほしいと僕は思います。
先ほど、
仲裁を
活性化させて
日本の経済のためにしようとおっしゃいましたので、このぐらいやってほしいと思いますけれども、
大臣、いかがでしょうか。