○藤野
委員 別に天下りがだめとかというわけではなくて、少子高齢化になってくる、人手不足だとおっしゃっているもとで、ちゃんとしっかりと
透明性を持って働けるような仕組みをつくる上で、
役員の
報酬の個別
開示が必要じゃないかということでありますから、そのプライバシーとか、全くかみ合わない答弁はやめていただいて、しっかり
検討していただきたいというふうに思います。
次に、私は、全体として今回の
会社法を一体どういうふうに考えるべきかということも御
質問をさせていただきたいと思うんですね。
安倍政権は、この間、企業が世界で一番活動しやすい国というものを目指してきたと思うんです。この
会社法改正案もその一環だというふうに思います。
配付資料の五を見ていただきたいと思うんですが、これは調査室の資料にも紹介されておりました、この法案にかかわる政府の大きな
方針、二〇一四年の六月二十四日に閣議
決定された
日本再興戦略二〇一四であります。
ここの冒頭で、「コーポレートガバナンスの強化」というのがありまして、こういう文言があります。「
日本企業の「稼ぐ力」、すなわち中長期的な収益性・生産性を高め、その果実を広く国民(家計)に均てんさせるには何が必要か。まずは、コーポレートガバナンスの強化により、
経営者のマインドを変革し、グローバル水準のROEの達成等を一つの目安に、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営
判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要である。」こういう考え方といいますか、論立てといいますか、こういう発想でいわゆるコーポレートガバナンスの強化が位置づけられているということであります。
余談なんですけれども、ここにある、広く国民に均てんさせるというんですけれども、この均てんというのは、辞書によりますと、等しく
利益に潤うことということらしいんですね。均てんのテンというのは霑で、難しいんですけれども、これも辞書で引くと、湿るとかぬれるとか、そして恩恵を及ぼすという意味もあるんですね。
経済の世界では、トリクルダウン論と均てん理論はほぼ同じ意味だというふうに言われております。
安倍総理は、アベノミクスはトリクルダウンだと言われるのは嫌われるんですね。違うと否定されるんですけれども、御自身は、二〇一二年、ちょっと国
会議事録を調べてみましたら、政権復活以降、この均てんという言葉、最近も含めて五十回使われております。均てんしていくということは安倍総理自身がもう何度も使われているんですね、予算
委員会も含め、本
会議も含め。
ですから、こういう均てん理論というのが根本にあった上で、コーポレートガバナンスのまず第一として
経営者のマインドを変えるんだ、だからコーポレートガバナンスだというわけですが、ただ、そこで挙げられているマインドを変える指標が私は問題だと思うんです。
ROEというのが挙がっておりまして、これはリターン・オン・エクイティー、いわゆる自己資本
利益率であります。しかし、これは私はもう時代おくれだというふうに思うんですね。
ちょっと時間の
関係で、配付資料を見ていただきたいと思うんですが、配付資料の六に、日経新聞を紹介させていただいております。
ことしの八月に、
アメリカの経済団体、これは
日本の経団連に当たりますけれども、ビジネス・ラウンドテーブルというところが、
株主第一主義を見直すという宣言を発表いたしました。
私もちょっと驚いたんです。一九九七年以降、毎年必ずこのビジネス・ラウンドテーブルは、
株主第一主義を掲げた宣言を二十年以上掲げてきたところなんですね。そこが今回初めてこれを見直しました。
株主だけではなくて、顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、
株主という五つ、この五つの
利害関係者全てに
利益をもたらすことを企業の
目的に据えました。これはどうしてかという
理由については、時代に合わせて長期的視点に立った
方針に転換したというふうに述べているんですね。
つまり、今法案が根本にあるといいますか、ROEですよね、
株主、株価、こういうものを
経営者のマインドとして優先させるんだ、こういう発想から、ROE、これを優先してやれとずっと二十年以上旗を振ってきた
アメリカの財界がここにもう転換をして、そうじゃないんだ、五つのステークホルダー全部に
利益をもたらす、それが経営なんだというふうに転換しているというのは、私は非常に重要だというふうに思っております。
この点で幾つかちょっと確認したいんですけれども、経産省に聞きたいんですが、二〇一七年三月に公表された調査で、
日本企業と欧州企業で、いわゆるSDGsについての認知度あるいは定着度というのはどういうふうになっているでしょうか。