○落合
委員 これは一般に、教科書的に言えば、
株式会社というのは
株主のものであるということでございます。
しかし、
大臣、私は本
会議の質問でも取り上げさせていただいたんですが、やはり、いろいろな
株式会社を取り巻くステークホルダー、このバランスが崩れているから、この今の
日本の
経済もうまく回っていないのではないかということを申し上げさせていただきました。
私も、学校を卒業した後に、金融機関に就職をしました。そのときに、
会社というのは従業員とお客様と
株主のものである、そのバランスを忘れてはいけないということを教わったわけでございます。
歴史を振り返ってみても、一番有名なのは近江商人、売り手よし、買い手よし、世間よし、三方よしということが言われて、戦前もそういう商売が行われてきて、この
日本の
社会が成り立ってきた。これは、
株式会社は教科書的には
株主のものであるといっても、偏った政策が行われることで、この
日本が今までうまくバランスがとれて、うまくお金が回ってきたのが、どんどんどんどん崩れていってしまっている。
これは本
会議でも取り上げましたが、
株主のものだということを強調し過ぎた結果、この二十年間で
日本経済というのは、売上げは上がっていない、従業員給与は上がっていない、設備投資は上がっていない。これは、法人
企業統計、財務省が数字を出しています。私の計算が間違っていないかどうか、ほかの第三者のところにも確かめ算をしてもらいまして、やはり二十年間でほぼ上がっていないことは確かでございます。でも、経常
利益はなぜか上がっているんですよね。要は、
コストカット、経費を削減して、従業員のお給料も余り上げないようにして、設備投資も節約して、
利益は上げて、配当金は六・二倍になっている。
問題だと思うのはそれだけではないんです。法人税の税収もどんどんどんどん取れなくなっている。配当金はふえているのに、国にもお金が入ってこない、国民にもお金が入ってこない。これを解決しなければアベノミクスはうまくいかない。
この状況であるのに、また今回、
会社法改正で、
会社は
株主のものです、だから
株主にどんどんもっと還元していくんです、これは国益にかなっているんですか。しかも、今やるべきことなのか。これは、この国をめちゃくちゃにしちゃうかもしれない大変な法案を今このタイミングで出してきていると私は考えています。これは、変な方向に向かっているのにエンジンを吹かすわけですから、大変危険なものであると思います。
今回、これを機に、
会社法についていろいろな専門家の意見を聞いてきました。それから、専門家の文書も読んでみました。二〇〇〇年代初めに
会社法が成立した。アメリカの要求で
会社法はできたとはっきり言っている、結構権威があるそういう専門家もいるわけです。
この方はいろいろアメリカの会計にも詳しくて、一九六〇年、アメリカでは、最高経営責任者、CEOと労働者、平均的な給与の比率というのは二十五倍でした、でも、今は三百五十倍以上になっている、これが米国でも問題になっているということをしっかりと問うています。
それで、米国でも問題になっているのに、なぜここからまた米国の問題になっている部分をまねして、
日本に取り入れましょう、それが
日本のためになるんですということを言っている、これは全く私は正しいことだとは思いません。
二〇一四年に伊藤レポートを経産省のもとで出されました。これは
コーポレートガバナンスの分野で大旋風を起こしたと一定の人からは
評価されているんですけれども、ここではっきりと打ち出したのは、自己資本
利益率、ROEを八%にします、
日本の
企業はROEが低いのでそれを高めます、成長戦略にはっきりと入れますということをこの伊藤レポートが出しました。
ROE重視というのは、純
利益を資本で割るわけですから、そうすると、先ほど申し上げたように、
利益は上がるけれども、
利益以外の分野は下がる、配当金は上げやすくなるということを更に進めますということをこの経産省の伊藤レポートは出して、これをもとに
コーポレートガバナンス改革が進んでいるわけでございます。
大臣、この路線に乗って
法務省が
会社法改正を進めていったら、
日本社会、
日本経済はおかしくなっちゃうんじゃないですか。
大臣、どうでしょうか。