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2019-11-13 第200回国会 衆議院 経済産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和元年十一月十三日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 大岡 敏孝君 理事 神山 佐市君    理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 淳司君    理事 武藤 容治君 理事 田嶋  要君    理事 山岡 達丸君 理事 鰐淵 洋子君       あきもと司君    秋本 真利君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       石川 昭政君    石崎  徹君       上杉謙太郎君    岡下 昌平君       神田  裕君    高村 正大君       國場幸之助君    高木  啓君       辻  清人君    冨樫 博之君       中曽根康隆君    西田 昭二君       野中  厚君    百武 公親君       福田 達夫君    穂坂  泰君       星野 剛士君    細田 健一君       堀内 詔子君    本田 太郎君       三原 朝彦君    宮澤 博行君       宗清 皇一君    山際志郎君       吉川  赳君    和田 義明君       浅野  哲君    落合 貴之君       柿沢 未途君    菅  直人君       斉木 武志君    宮川  伸君       山崎  誠君    中野 洋昌君       笠井  亮君    足立 康史君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    内閣官房副長官      西村 明宏君    内閣府副大臣       平  将明君    経済産業大臣政務官    中野 洋昌君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  船越 健裕君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 森  源二君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局電波部長)         田原 康生君    政府参考人    (公安調査庁総務部長)  横尾 洋一君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君    政府参考人    (経済産業省産業技術環境局長)          飯田 祐二君    政府参考人    (経済産業省商務情報政策局長)          西山 圭太君    政府参考人    (資源エネルギー庁資源燃料部長)        南   亮君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      村瀬 佳史君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君    政府参考人    (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 石川  武君    参考人    (一般社団法人電子情報技術産業協会会長)     遠藤 信博君    参考人    (東洋大学経営学部経営学科長教授)       野中  誠君    参考人    (慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科教授)      白坂 成功君    参考人    (中央大学総合政策学部教授)           実積 寿也君    経済産業委員会専門員   佐野圭以子君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十三日  辞任         補欠選任   石崎  徹君     秋本 真利君   神田  裕君     百武 公親君   高村 正大君     西田 昭二君   辻  清人君     本田 太郎君   福田 達夫君     上杉謙太郎君   山際志郎君     宗清 皇一君   吉川  赳君     高木  啓君 同日  辞任         補欠選任   秋本 真利君     堀内 詔子君   上杉謙太郎君     福田 達夫君   高木  啓君     吉川  赳君   西田 昭二君     中曽根康隆君   百武 公親君     神田  裕君   本田 太郎君     辻  清人君   宗清 皇一君     山際志郎君 同日  辞任         補欠選任   中曽根康隆君     高村 正大君   堀内 詔子君     石崎  徹君     ――――――――――――― 十一月十二日  原発再稼働をやめ、エネルギー基本計画を見直し、再生可能エネルギーの比率を大幅に増加させることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一六五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  情報処理促進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

  3. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 富田茂之

    富田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮澤博行君。
  5. 宮澤博行

    宮澤委員 自由民主党の宮澤博行でございます。  本日は、情報処理促進に関する法律の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  この法律審議に当たって、私もいろいろな専門家方々意見を伺いました。そういった中で、感触として一言でくくるとすれば、ここの法律に書かれていることは、それはそれでやればいいじゃないですか、それはそれでいいですよ、だけれどもそれだけでいいんですかという感触を多くの方々から私は受け取ったわけでございます。そういう視点で、今回の法律については質疑をさせていただきます。  まずは、法律概要については、こういった形で経済産業省さんも示してくださっているわけですが、ここに、デジタル技術の急速な発展に伴い、今後、あらゆる生産活動国民生活はリアルタイムに情報データが活用、共有されるデジタル社会ソサエティー五・〇社会に変貌するとあります。それはそうだと思います。  そして、次。デジタル社会においてイノベーション源泉となるデータデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルがGAFAなどを中心とした海外企業で誕生している、これもそうだと思います。  ところが、一方、多くの日本企業では、事業基盤となるITシステム技術的に陳腐化し、データデジタル技術を活用した経営の足かせとなるリスクを抱えている、二〇二五年の壁、とあります。この「一方」以降は、これでいいんですかね。やはり、論点の出発点が違うと方向性が違ってきてしまう、その典型じゃないかと私は思えてしようがないんです。  でありますから、私としては、この「一方」の後は、日本ではイノベーション源泉となるデータデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルを生み出すメガベンチャーが複数誕生しているわけではなく、それを基礎とした社会変革も米中に追いついておらず、かつ企業においてもITシステム陳腐化が目立ち始めた、このくらいの問題意識でもって、追いつく政策だけではなく、追い越す政策にまでこれを昇華していかなければならないと思うんですよ。  つまり、もう一遍言いますけれども、社会変革をもたらすほどのプラットフォーマーメガベンチャーがまずあって、それをもとにして新たなビジネスの創造が可能な環境をつくり、そして見てみれば、既存の大企業中小企業を問わずITシステムフォローアップがなされていないからそれが必要である、この三段階の問題の意識を持たないと私はいけないんじゃないのかなと思うんですね。そういう視点質問をさせていただきます。  でありますから、法律そのものに対する質疑もやりますけれども、それでいいんですかというところの質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず一点目、済みませんね、何度も。この概要案三つ視点で書かれています。一つは、企業デジタル経営改革。この言葉自体が狭いんですよ、だから。デジタルトランスフォーメーションDXによる競争力強化と書かないと。競争力強化なんです。  もう一遍言いますよ。日本プラットフォーマーが複数ない。それを基礎としたビジネスの創出が起こりにくい。デジタルを活用した企業経営が進んでいない。この三つ目しか触れていないじゃないですか。  では、その三つ目、まず触れますよ。企業デジタル経営改革デジタルガバナンス・コード、下の方に書いてありますけれども、これによって企業はどうやって変わっていくんですか。特に、IT投資中小企業皆さん方が、やはり二の足を踏んでしまう、必要なんだろうかということも思ってしまう。ここのところをどのように意識を変えてもらって投資をしてもらうか、これはすごく大事だと思うんですけれども、じゃ、どういうふうに大企業中小企業、アプローチしていくのか、どういう影響があると捉えていらっしゃるか、まずはここをお願いいたします。
  6. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  まず、今回、このデジタルガバナンス・コードで目指しているものを端的に表現しろということになりますと、今お示しの資料にも書いてございますが、デジタルトランスフォーメーションということになろうかと思います。  これは非常に広い意味を持ちますけれども、今先生がお使いになられた言葉を借用させていただければ、ある意味で、追いつき追い越すという側面がございます。  それは、まず、追いつくという側面から申しますと、その資料にもございますとおり、日本の場合、どうしても、特に、部門別特注品システムを使ってきたという、レガシーと呼んでおりますけれども、負の遺産がございます。これをやはり、まずは一掃しませんとその先に進めないという意味で、ある意味ではそれが追いつくための政策一つということになります。  追い越すための政策ということになりますと、これで全てということではございませんけれども、企業経営戦略をまさにデジタル戦略と一体化させるということが必要になります。この部分が、ある意味では攻めの、あるいは先生のお言葉をかりれば追い越すための政策ということになります。そのためには、やはり非常に大きな課題は、これは大企業中小企業を問いませんけれども、経営戦略デジタル戦略を一致させ、レガシーの処理のために大胆な投資をするということは、経営者自身が判断しないと進まないということでございます。  したがいまして、一言で申し上げれば、ここの大きな課題は、そうしたデジタルトランスフォーメーション必要性、攻め、守り、両方ございますけれども、を理解をし、その決断経営者に促せるかどうかということだというふうに考えております。  したがいまして、今御質問ございましたデジタルガバナンス・コードの役割、目的といたしましては、この指針において、特に経営者がみずから、みずからの経営の現状をデジタル的な観点から評価し、取り組むべき方向を理解し、決断ができるように促すような内容を盛り込むということを目指しております。  特に、中小企業についての御質問がございました。これは、意識を変えるだけではなかなか進まないという点がございますので、こうした中小企業経営者決断を促した上で、具体的には、そうしたデジタル投資促進するためのIT導入補助金などの各種補助金制度コネクテッド・インダストリー税制などの措置、あるいは人材育成のためのさまざまな講座認定制度等ございますので、こうした人材育成投資促進両面中小企業のお取組を具体的に後押しをしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  7. 宮澤博行

    宮澤委員 今私が使った追いつき追い越すという言葉を使って御答弁いただきましたが、そこの話は、全部追いつく政策、追いつく概念の中なんですよ。既存システムの中で企業改革をやっていって、よりよいものにしていく、それは、まだ追いつくもの、つまり既存世界の中のフォローアップでしかないというふうにちょっと捉え直していただけないでしょうか。これは、私が外部の方と話をして、そこをやはり一番突っ込まれたところなんですよ。  つまり、社会変革をもたらすようなプラットフォーマーメガベンチャー、そういった発想を持った経営者というものをいかに育てていくのか。これは、官ではできません、我々でもできません。そんな発想があるんだったら、我々はここにいないわけなんですね。我々は既存の中でいろいろなパイの配分をしている、それが我々の世界ですから。  だから、今、まず私が申し上げているのは、追いつく政策の中でどうですかということを、一点目、質問しているんだということを御理解ください。  では、このIT投資、国の政策IT投資支援、どういうふうに進展してきたんでしょうか。金額というものは本当に大きいものになってきたんでしょうか。  そして、もう一点、同時に質問させていただきますけれども、このデジタルトランスフォーメーション格付データ連携というものが実は企業経営にとって必要なんですね、これは社内だけじゃなく、社外においても。これは、次のアーキテクチャーと絡んでくるかもしれませんけれども、データ連携をしているかどうか、これも企業格付に指標として入れたらどうか、そういう御提案もいただきました。  この二点について、まとめて質問いたしますので、答弁をお願いいたします。
  8. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  まず、企業IT投資でございますが、簡単に要約をさせていただきますと、当然、一九八〇年代から現在に至るまで、内容に大きな変化がございます。  投資内容として、システムの開発という意味では、かつてはウオーターフォール型、つまり、最初要件定義を決めて、一から十まで全部設計してからつくるというやり方のものが、いわゆるアジャイルという方式に変わってまいりました。  また、今回御審議いただいている法案とも関連をいたしますけれども、かつてはオンプレミスと言っておりましたけれども、システムにしてもハードウエアにしても、基本的には企業が独自のものを持つという段階から、クラウドを利用する、共有化するということの段階に進んでまいりました。  そういうことの中で、今の先生の御質問とも関係をいたしますけれども、かつては部門別にそれぞれデータシステムを持っていた仕組みが、連携共通化をしないと企業経営がやっていけないという段階に至ってきております。  その中で、特に最近の現象としましては、まさにIoTビッグデータ、あるいはAIといったようなデジタル技術の発達が、結果として、いわゆるデータのあるサイバー空間と我々が直接見ることのできるフィジカル空間を融合することで、そうしたデータ連携必要性を更に増しているということになっております。  その上で、今、デジタルガバナンス・コード、あるいは、それに関係して、国が直接やるかどうかは別にいたしまして、格付制度が導入される場合のその評価内容という御質問だと理解しておりますけれども、その中ではさまざまな要素について勘案をすることにはなりますけれども、当然、今申し上げた大きな流れの中で、先生指摘のとおり、その企業データ連携をしているかどうかというのは一つの大きな判断要素になるというふうに考えております。  以上でございます。
  9. 宮澤博行

    宮澤委員 では、今までの話は追いつく政策質疑です。次に、追い越す政策についてであります。  先ほど申し上げましたとおり、私たちでは想像できないような世界がそこにはでき始めているわけですから、私たちがどうこう言うのではありません。だから、そういう人たちに自由にビジネスをやってもらえる環境をどうつくるかだと思うんです。そのためには、一点目は規制緩和、二点目は資金、この二つの柱によって新しいビジネスをどんどん民間で生んでもらう、これが必要だと思うんですね。  では、一点目、規制緩和について聞きます。  ITビジネスによって社会変革をもたらすようでなければならない。日本人というのは、技術は得意ですよ、改善というのは得意ですよ。だけれども、わかりやすく言うと、いいものをつくろうというのが、これが日本人なんです。いいものをつくろう。でも、やはり諸外国というのは、これをつくったら生活は変わるよね、こういう発想で来ているから、全然、もう今差がついちゃっているわけじゃないですか。だから、そこは、我々、政と官の人間ではわからないということを、もう何度も申し上げました。  だから、シェアリングエコノミー、我々の中でもいろいろ、いろいろな業界さんの御意見をいただいて、待ったをかけている分野もあります、このシェアリングエコノミーですとか、空飛ぶ車、ドローンによる配達、そういった、規制緩和を伴わないと実現しないようなビジネスがいっぱいあるわけじゃないですか。それらに対してどうやってこれから規制緩和で臨んでいくのか。  時間がないから、もう一点、お金の話。  これは、ベンチャーキャピタルですとかIPO、MアンドA、そして官から出す補助金、いろいろあるわけなんですけれども、とにかく世界に伍して戦えるようなメガベンチャーをつくっていかなくちゃいけない。お金をどうするのか、これもある。それについて、国家としてどういう政策を持っているのか。特に、失われた二十年、日本はそういった投資を向けてきませんでした。だからこそ今、国家そして社会全体で資金を集中的に投資していかなくちゃいけない。  そういう問題点から、このお金についても答弁をいただきたいと思います。  以上。
  10. 中原裕彦

    中原政府参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、規制改革によりまして新事業を創出できる環境整備を行うということは極めて重要であるというふうに認識をさせていただいております。とりわけ、第四次産業革命の中で生まれている新しい技術とかビジネスモデルといったものの潜在力が発揮されるような規制改革を推進していくことは、極めて重要であるというふうに認識をさせていただいております。  こうした中、昨年、こうした新しい技術等実証を行う環境を整備する、規制サンドボックス制度というものを創設していただきました。これまでに十三件、そして約百三十社の認定がされているところでございます。  このように、規制改革によりまして、既存規制の制約を受けない環境を整えることによりまして、AIとかIoTとかビッグデータブロックチェーンといった新技術等実用化に向けた実証を迅速に行いまして、スタートアップ成長につなげてまいりたいというふうに考えてございます。  また、規制改革に加えまして、さまざまな措置を組み合わせて、社会変革をもたらすようなベンチャーメガベンチャーの誕生ということについても最大限尽力をしてまいりたいというふうに存じます。  それから、二点目の、資金についての御指摘でございます。  これまた先生指摘のとおり、ベンチャーの、企業成長を後押しする意味で、資金面での多角的な支援が重要であるというふうには認識をさせていただいております。  これまでに、海外投資家からベンチャー投資を呼び込むために、日本ベンチャーキャピタル時価評価を国際的な方法で実施するためのガイドラインを策定させていただきました。  また、ことし、当省におきましては、オープンイノベーション促進するために、一定の要件を満たしたベンチャー企業への投資を行う企業を対象とした税制措置の創設も要望させていただいております。  それから、株式市場での資金調達環境におきまして、成長性の高い新興企業に対する、間口の広い資金調達環境を提供していくことですとか、あるいは、企業長期成長を支えるような市場構造への見直しを進めていくことも重要だというふうに思っております。  これらのさまざまな措置を組み合わせまして、先生指摘のような、資金面におきましても、その環境整備に全力で取り組んでまいりたいというふうに、かように考えてございます。  以上でございます。
  11. 宮澤博行

    宮澤委員 前半、ちょっと熱弁を振るい過ぎまして、時間がなくなりました。  では、二点目。  産業基盤づくりについても、やはりアーキテクチャーというところ、これをつくろうとしているんですが、ちょっとこれは割愛させていただきます。  ITインフラ整備について。  ここのところを国家お金を投じてきちんとやることでもって、ビジネス環境というのは上がってくる。ところが、余りにも日本はこれが小さ過ぎる、そんなふうに思えてなりません。アメリカオバマ大統領が本当に巨額を投じてやったからこそ、今のアメリカIT産業があるんだと思いたい。  ぜひ、ここのところは、どういう覚悟でITインフラをやっていくのか、しかも、お金のつくり方が問題です。建設国債というものがありますが、ITインフラだってインフラなんです、今後、そういったことも頭に入れながら、資金調達についても政府として考えていただきたい。  そして最後に、大臣に総括で質問させていただきます。  最初から使わせていただきました言葉、追いつき追い越す政策でなければならない。この法律は、追いつくというところには目が向いているけれども、追い越すためにメガベンチャーをどうつくっていくのか。そして、本当に、ITインフラ整備国家が責任を持ってきちんとやっていくということをやらないといけないんじゃないのか。そして最後安全性の確保についても、サイバーというのは、国家がやはり情報収集をして分析するべきだと私は思うんです。  その三点についても、やはり国家の関与は必要だと思いますが、最後、見解をお伺いします。以上、よろしくお願いします。
  12. 西山圭太

    西山政府参考人 今、御質問いただきましたとおり、新しく、我々はソサエティー五・〇と言っておりますけれども、そうした時代を迎える中で、国が取り組まなければいけない課題はたくさんあると思っております。そういう意味では、今回御提案をさせていただいているこの情報処理促進に関する法案に書いてあることが全てだということは、当然にございません。  ただ、我々としては、今、先生から御指摘のいただいた、特に今までの日本企業に比較的薄かった発想、例えば、メガベンチャーというふうにお呼びになっておりますけれども、まさに個々のサービスや物ではなくて、アーキテクチャーというふうに言っていますけれども、システム全体を提案できるような力のある企業を育てたいということで、今回、アーキテクチャーというようなことに関する施策も提案をさせていただいております。  また、さらに、国のインフラ基盤の一環としまして、政府も含めて安全なクラウドがきちんとつくれるような環境をつくりたいということで、クラウドサービスについての安全評価基準政府としてつくった上で、その運用を、あるいは監査をサポートする制度を今回の改正案の中で御提案をさせていただいているということでございます。
  13. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 宮澤委員がおっしゃるように、追いつき追い越せという形への意識は持っております。そういった中でも、今必要なことは、経営者自身がみずからが変革に向けた決断を実施することが必要ということで、まず、こうした我が国の企業が抱える問題を解決するための政策である、今回の法案はそういう政策であると思っております。  デジタル技術の活用を前提とした、企業デジタル経営改革の実現による我が国の企業の競争力の強化、今後、新たな産業サービスの創出の前提となる、異なる事業者間や社会全体のデータ連携、共有を容易にするための必要な共通の技術仕様であるアーキテクチャーの策定、こういったことによって、特にアーキテクチャーは、自動運転などの新しい分野で先生指摘プラットフォーマーメガベンチャーを創出するためにぜひ必要なものであるという認識であります。そして、これこそが追い越す政策であると思っております。  また、ネットワークの整備につきましても、生活インフラ産業の基盤インフラということで、しっかりとした整備を進める必要がある、認識は同じでございます。  また、資金の捻出についてはしっかりと考えてまいりたいと思っております。
  14. 宮澤博行

    宮澤委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  15. 富田茂之

    富田委員長 次に、鰐淵洋子君。
  16. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 おはようございます。公明党の鰐淵洋子でございます。  政府は、平成二十八年に閣議決定した第五期科学技術基本計画におきましてソサエティー五・〇社会の実現を掲げておりますが、この実現に向け今般提出されました情報処理促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  繰り返しになりますが、今回の法改正は、ソサエティー五・〇社会の実現に向けたものであると承知をしております。  そもそも、このソサエティー五・〇社会というのはどういった社会なのか。それは、サイバー空間、仮想空間とフィジカル空間、現実空間を高度に融合させることにより、多様なニーズにきめ細やかに対応した物やサービスを提供し、経済的発展と社会課題の解決を両立する人間中心の社会とございました。  私は先日、シーテックの方に行かせていただきまして、幾つかのブースを視察、見学させていただきました。その中で、ソサエティー五・〇社会、具体的にこういった社会を指すんだということで、自分の中でイメージを持つことができました。  今までもいろいろなところで話題にもなっておりますが、やはり一番わかりやすいのが交通の事例、自動走行かと思いますけれども、これからは、自動車というものは、自動走行だけではなくて、渋滞なく、また事故なく快適に移動できる、また、ただ単に移動するだけではなくて、趣味、天気、宿泊、飲食、健康など、そういったリアルタイムの情報、またニーズに合った情報を提供してもらいながら走行する、移動していくというものでございます。  また、その次の段階になりますと、先ほどもお話がございました空飛ぶ車、こういったものも実際に、展示というか、ございまして、それを実用化するためには、先ほどもお話ございました、さまざま規制があるということで、そういったお話も伺ってまいりました。  いずれにしましても、このソサエティー五・〇社会、ああ、こういった社会なんだなということも具体的にイメージを持てたわけでございますが、いずれにしましても、こういったソサエティー五・〇社会といいますのは、この日本社会において、また地域におきまして、さまざま課題があったとしましても、一人一人に夢また希望を与えることができる、そしてよりよい生き方、よりよい生活ができる、こういった社会を目指していかなければいけない、これが私たちの目指すソサエティー五・〇社会ではないかと実感をしたところでございます。  具体的に質問に入ります前に、改めまして、このソサエティー五・〇社会の実現に向けて、今般の法改正の趣旨と、それに取り組まれる大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。
  17. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 今委員がおっしゃったように、現在、世界では、あらゆる分野において、IoTビッグデータAIなどの新たなデジタル技術の活用が進んでおります。  こうした中、我が国は、デジタル技術データを活用して経済発展と社会課題の解決を両立するソサエティー五・〇の実現を目指しているところであります。  これまで、情報処理促進に関する法律は、これまでの法律ですけれども、情報社会の実現を目的としてきましたが、今般の改正によりまして、法律の目的規定を改め、より高度なソサエティー五・〇を実現することを明確にいたしました。  その上で、ソサエティー五・〇の実現に必要な社会横断的な基盤整備として、デジタル技術データの活用を前提とした企業デジタル経営改革の実現による我が国企業の競争力の強化、今後、新たな産業サービスの創出の前提となる、異なる事業者間や社会全体でのデータ連携、共有を容易にするための必要な共通の技術仕様であるアーキテクチャーの策定、官民におけるクラウドサービスの新たな技術サービスの活用を促すために必要な、どうしても安全ということも考えていかなければならないということであります、それらに対して必要な措置を講ずることとしております。  これらの措置を着実に実行することによって、あらゆる産業社会生活に先端的な技術の導入を加速化し、少子化や環境、エネルギー制約等の課題を乗り越えた持続的な社会を構築していきたい、そういう目的のもとに今回の法案の提出をさせていただきました。
  18. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  それでは、ちょっと具体的に質問に入らせていただきたいと思います。  まず現状、大企業を含む八割の企業技術的に陳腐化しているシステムが存在しているということで、こうした状況を放置しますと、管理コストの増大や新たなデジタル技術を活用した経営の足かせとなり、我が国の産業競争力の低迷につながりかねません。この課題が克服できない場合、二〇二五年以降、最大年十二兆円、現在の約三倍の経済損失が生じる可能性があるということで、この我が国における現状を見ましたときに、素人の私でさえも、早急にそして着実に対応しなければいけないと実感をしているところでございます。  こうした課題に対応すべく、今般の法改正では、国が企業経営における戦略的なシステムの利用のあり方を提示する指針を策定し、取組の状況が優良な企業認定することとしております。  この課題解決は、我が国の産業競争力強化の観点からも非常に重要なものであり、大企業はもちろんですけれども、中小企業にまで確実に実行されるよう取り組んでいかなければならないと考えますが、今回の措置を講じることで具体的にどのような効果を期待しているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  19. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今委員から御指摘のございましたとおり、我が国の、業種を超えて、企業が当面しております課題は、デジタル技術の活用を前提として経営のあり方を変革するデジタルトランスフォーメーションだということになります。  その際、一つには、これも今御指摘がございましたとおり、過去の企業ITシステムの多くが、過度に部門ごとにカスタマイズされた、特化されたシステムが多いものですから、その開発の仕方が、現代の共通の仕様を重んじるデジタル技術の導入を困難にさせている状況を生んでいるというふうに理解をしております。  そうしたいわば負の遺産の状況に対処しつつ、なおかつ経営戦略デジタル戦略を一体化する。すなわち、経営にとって大切な指標は、部門を超えて常に経営者デジタル的に把握をすることができ、なおかつ、みずからの会社の製品やサービスシステムを連動させるといったようなことが必要になってまいるわけでございますけれども、そうしたことを実現しようとしますと、当然これまでのITシステムとある意味で非連続に新しいシステムを導入する決断をすることが必要になります。それは、当然にある種のリスクと大きな投資の判断を伴いますので、私どももさまざまな業種の経営者の方、あるいはそれをサポートしている情報システム役員の方と議論をしてまいりましたけれども、そうした大きな決断経営者がするには、やはり何らかの後押しが必要であるという御意見を多く頂戴いたしました。  そうしたことの中で、私どもとしては、今委員から御質問のございました、デジタルガバナンス・コードと呼んでおりますけれども、この法律に基づく指針を策定して、特にこれを経営者向けに理解をしていただくことで、経営者のそうした判断をぜひ後押しをしたいというふうに考えております。  なお、さらに、こうした判断は大企業のみならず、中小企業にも幅広く広げてまいることが必要でございますので、それを支援すべく、この指針のみならず、IT導入補助金など各種の補助金制度や、コネクテッド・インダストリーズ税制等の措置、あるいはデジタル人材を幅広く、裾野広く育成するための仕組みを活用しながら、そうした中小企業の取組も実行できるように後押しをしてまいりたいというふうに考えております。
  20. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  今、御答弁の中にもございましたけれども、個々の企業の取組につきましては、指針の策定、また優良認定制度で推進していく、また中小企業につきましてもしっかりと具体的に支援をしていくことで御答弁がございましたけれども、一方で、我が国では、企業ごとに独自のシステムをつくり込んでいるため連携が困難になっているという課題もございまして、ソサエティー五・〇社会の実現を目指す上で、先ほどもございました、企業間、産業間における連携をどう促していくか、この促していく必要があると思っております。  この点につきまして、今般の法改正では、異なるシステム連携する上で必要なアーキテクチャーの策定を行うことを独立行政法人情報処理推進機構、IPAの業務に追加することとしております。  このアーキテクチャーとは具体的にどのようなものを指すのか、また、私たち国民の生活におきまして具体的にどのような分野で生かされるのか、お伺いをしたいと思います。
  21. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今御質問のございましたアーキテクチャーというのは、基本的には、複合的なサービスを実現する上で基盤となるシステムですとか、複数の事業者が共通に利用するようなシステムに関して定められる共通の技術仕様、あるいはその俯瞰図、見取り図のことを指しております。  なぜこういうことが必要になってきているかと申しますと、今まさに世界でさまざまなサービスが新しく生まれようとしております。まだ完成されたものはございませんけれども、例えば、スマートグリッド、あるいはMaaS、モビリティー・アズ・ア・サービスと言っておりますけれども、交通手段、運送手段を連携させる仕組みでございますが、さらに、スマートシティー、スマートホームといったようなものもございますが、このいずれも、個々の製品やサービスを売るというよりも、それを連動させてシステムとして提案ビジネスにしていくというところに共通の特徴がございます。  したがいまして、こうしたビジネスを我が国に根づかせるためには、こうした複合的なシステムの全体構造や、連携するシステム間、あるいは共有するデータのフォーマットなどについて定めました俯瞰図がそうしたシステム構築の前提となるということでございます。  したがいまして、こうしたアーキテクチャー整備の支援を行います機能を独立行政法人情報処理推進機構、通称IPAに置くということを今回の法案の中で御提案をしているということでございます。  その中で、では、具体的にどういうシステムがあるのか、アーキテクチャーを策定する対象になるようなものがあるのかということでございますが、基本的に三つあるというふうに考えてございます。  一つは、既に御説明をさせていただきました、新しい個々の物やサービスを超えたシステムを提供するような複合的なサービスの基盤というものでございます。これは、先ほど御説明しましたようなMaaSですとか、あるいはスマートシティーとか、そういうものが対象になろうかと思います。  二つ目は、既に存在するものも含めまして、公的部門のITシステムでありますが、これまでは個別の組織ごとにカスタマイズ、特化されたものが使われてきて、相互に連携ができないような分野でございます。例えば水道のような分野が典型でございますけれども、これは人口減少や熟練技術者の引退によって個々の自治体や事業体単独での事業の維持や管理が難しくなってきているわけでございますけれども、こうしたものの連携を進めるためには、当然それぞれの事業体で使っておりますITシステムが統一されないと連携が進まないという実態がございます。そうした仕様の統一を進めるための前提となる共通技術仕様の開発も、このIPAのアーキテクチャー設計支援の中で担おうとしております。  最後になりますけれども、三つ目として、こうしたデジタル技術の活用がふえていきますと、規制のスマート化の中でもさまざまなデータを使おうという動きがふえてまいるというふうに考えております。そうした場合に、関係事業者で共通して利用可能な制御管理システムや、そのリスクマネジメントのあり方を示すようなアーキテクチャーを設計するというのも新しいIPAの役割だというふうに考えております。
  22. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  このアーキテクチャー設計というのは、我が国の産業基盤の強化の観点からも大変に重要であると思っておりますが、その上でしっかりと着実に進めていかなければいけないと思っております。  このアーキテクチャー設計、できる人材ということで、どのような人材が必要なのかということと、また、この人材をこれからどのように育成、確保していくかということがまた大きなポイントに、重要な点になるかと思いますが、この取組についてどのようにお考えなのか、御見解をお伺いをしたいと思います。
  23. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今御質問ございましたとおり、こうしたアーキテクチャー設計というものを我が国において根づかせるための基盤になりますのが人材ということになります。この人材に求められる要素としては、おおむね二つございます。  一つは、当然そうしたことが可能な知識があるということで、分野で申し上げれば、システム工学やソフトウエア工学などの知識を有しているということが必要になります。  ただ、同時に、こうしたアーキテクチャー設計というのは非常に実践的な仕事でございますので、そうした相当規模の複雑なシステム開発を何回経験したかということを含めて、例えば、民間企業にかつてあるいは現在在籍していて、そうした経験の蓄積があるかないかということが非常に大きなメルクマールになります。  したがいまして、今回、IPAに、仮称でございますけれども、産業アーキテクチャ・デザインセンターというものをつくろうとしておりますけれども、そうした知識と経験の両方を備えた方々をここに集約することでIPAの組織を立ち上げることが必要だというふうに考えております。  また同時に、そうした中で、既にそうした経験をお持ちの方に限らず、そうした方々のいわば後継者として人数を育てていく、ふやしていく必要がございますので、新しいセンターにおいては、そうした人材育成の機能も担いたいと思っております。  最後に、当然こうした共通のシステム、複合的なシステム提案は我が国だけでできるものではございません。したがいまして、人材の育成や具体的なアーキテクチャー設計の両面において、海外のさまざまな機関、例えば米国ですと国立標準・技術研究所、NISTという組織がございますが、こうした組織などとも連携をしながら、人材育成あるいはアーキテクチャー設計を行ってまいりたいというふうに考えております。
  24. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  既に実績のある人、また経験のある人、そういった方を確保していくことも重要でありますし、また、本当にこれから先のことを考えたときに、例えば、先ほども申し上げましたシーテックとか、そういったものに触れていただく中で、子供たちが、子供の時点から見て、将来、自分もこういう仕事をしたいとか、こういう社会をつくりたいとか、そういった裾野をもうちょっと広げていくことも重要かと思いましたので、そういった観点は、ぜひまた文部科学省も含めて連携をとっていただいて、人材育成ということでしっかりと経産省としても取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  最後に、安全性の確保について質問させていただきたいと思います。  クラウドサービス等の新たなデジタル技術の活用が日本産業競争力強化のために必要であります。特に、政府情報システムに係る調達につきましては、クラウドサービスを第一候補とするクラウド・バイ・デフォルト原則を掲げており、今後は官民双方で活用を進めていくことがより一層重要でございます。  今般の法改正では、クラウドサービスを活用する際の安全性評価を行うことをIPAの業務に追加することで、このサービス安全性の面から信頼できることを担保しております。  この安全性の評価は、セキュリティー上の観点からも重要であり、IPAに確実に実施してもらう必要があると考えますが、IPAにおける実効性はきちんと担保されているのか、お伺いしたいと思います。
  25. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今の、クラウド安全性評価を行うに当たりましてのIPAの実効性、能力的な実効性という御質問でございますけれども、私どもとしては、基本的には、このセキュリティーの分野でIPAはさまざまな経験を既に有しているというふうに考えております。  まず第一に、IPAは、内閣サイバーセキュリティセンター、いわゆるNISCの委託を受けまして、既に独立行政法人や指定法人、公的な機関の情報システムのセキュリティー対策の評価を実施をしてきておりますので、そういう観点から、安全性評価の実務経験を持っております。  また、より広くサイバーセキュリティーという観点からは、そうしたサイバー攻撃に対します実践的な演習の実施ですとか、あるいは、既に発生しましたものでございますけれども、さまざまな、我が国のみならず、世界的なサイバー攻撃が起こりました際の注意喚起、企業や一般の方々に対する注意喚起ですとか、それについての技術評価の発出など、最新のサイバーセキュリティーに関する動向についての知見を蓄積しているというふうに考えてございます。  そうした実務経験を持つIPAが、特に、政府の求めに応じて、中立的な立場でクラウドサービス安全性評価制度の運営を行う能力を有しているというふうに考えております。  その上で、具体的な役割といたしましては、政府は、こうしたクラウドサービスを調達するに当たりまして、それに必要な基準を定めたり、最終的な評価、判断を行うのはあくまで政府の責任でございますが、IPAとしては、今のような実践的な経験を踏まえて、政府が定めた取決め、政府との取決め等々に従いまして、技術的な評価などの実務的な補助を行う役割を果たすものというふうに考えております。  以上でございます。
  26. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  今般の法改正は、法改正後も、詳細を定める事項、また法施行後の制度の運用に関する事項など、検討を行う必要があるところもございますので、経済産業省におかれましては、今後も不断の取組をしっかりとやっていただきたいということで要望を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  大変にありがとうございました。
  27. 富田茂之

    富田委員長 次に、山岡達丸君。
  28. 山岡達丸

    ○山岡委員 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  そして、大臣におかれましては、さまざま課題がある中で、お引き受けになって、新たなまたこうした大臣としてのお取組をされることに心からの敬意を表しながら、きょうは閣法がメーンの質問でありますが、関電の問題について、やはり事の重大性に鑑みて、少しまず伺わせていただければと思います。  大臣は、関電問題が社会的に発覚した時点で大臣ではあられなかったわけでありますから、最初のときには大臣としてかかわってはいないわけでありますけれども、あえて伺いたいんですけれども、関電がつくったといういわゆる第三者委員会、社内委員会じゃないかという指摘もあるわけでありますけれども、第三者委員会を日弁連のガイドラインに基づいてつくるのであれば、これは経済産業省がつくるべきだったんじゃないでしょうか。  いかがお考えでしょうか。
  29. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 まず、関西電力が社内委員会で昨年報告書をつくっておりました。それに関しては非常に不十分なものであったという認識に立つわけであります。  その上で、関西電力が国民からの信頼回復をするためには、まさに関西電力自身の努力が必要であると考えております。このため、関西電力がみずから襟を正し、第三者の目を入れて徹底的な全容解明を行い、経営問題も含めた再発防止などの措置を講じることが重要であると考えております。  これまで、企業不祥事でも、まず企業みずからが第三者委員会を設置をし、事実解明を進めているものと承知をしております。  経済産業省は、本件について報道があった九月二十七日、私の前任者でありますけれども、報告徴収命令を出しました。この命令は、虚偽の報告には罰則が科されるなど、捜査権がない中で最大限の措置であると思っております。さらに、九月三十日には、外部の独立した第三者のみから成る委員会で徹底的な事実解明を行った上で経産省に報告することを求めたところでありまして、第三者委員会は、関西電力が報告徴収命令を履行する上で前提となるものであります。  このため、まずは第三者委員会での徹底的な事実関係の調査と原因究明を進め、その上で関西電力には報告徴収命令に回答してほしい、これを踏まえた上で当省としては厳正に対処をしてまいりたいと考えております。
  30. 山岡達丸

    ○山岡委員 今、大臣の御発言で、捜査権がない中で最大の措置が報告徴収であるという話がありましたが、私は、経産省としてきちんと捜査を、そういった過去のことにとらわれずやっていただきたい案件だと思いますし、もし行政がそうしたことが整わないのであれば、やはり国会で、これは関西電力から直接話を聞きたいということで、参考人のお願いもさせていただいているところでもあります。ぜひ与党の皆様にも御理解いただいて、国会でもきちんと話を聞くということを進めさせていただきたいという思いでありますけれども。  今、虚偽には大きな罰則がかかるのであるというお話がありました。しかし、関西電力がいわゆる第三者委員会をつくると、十月九日の関西電力のプレスリリースにもあるんですけれども、説明を書いています。  この第三者委員会では、客観的かつ徹底的な調査を行っていただくとともに、原因究明、再発防止を審議の上、当社に報告いただくということを関西電力は発表しています。当然です。関西電力が第三者委員会に依頼したんですから、第三者委員会は関電に報告するわけであります。  関電から経済産業省へ報告をするわけでありますけれども、この中で、いわゆる第三者委員会のきちんとした中身、内容が、これは第三者委員会も関電に報告する以上、世間に公表するものでもないと思いますし、関電は、経産省に報告書をつくるにしても、第三者委員会のこの中身をきちんと正確に世間に公表するということをしない可能性もあるという懸念があるわけでありますけれども、そういう意味でも経産省がやるべきだったんじゃないかと思いますが、そうした懸念はありませんでしょうか、大臣
  31. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 先ほども申しましたように、社内の調査では不十分なものがあった、そして会社としてのコンプライアンス遵守ということで、これからやはり投資家やまた一般の消費者の方々からも疑惑の目が向けられる可能性がある、そういったものをしっかりと説明するためにも、まずは関西電力の第三者委員会でやるべきだと思っておりますし、今後、国会で議論するにしても、そのベースとなるものがやはり今現時点では曖昧なものでありますから、しっかりとしたその調査をベースに、また議論に資するものだと思っております。またさらに、これが不十分なものであれば、私どもは再度報告徴収命令を出させていただきます。
  32. 山岡達丸

    ○山岡委員 つまり、私が申し上げているのは、第三者委員会の中身をきちんと世間に確認できるのかということです。関電に報告があった後、関電が経産省に報告するに当たって、表現を丸めたり、あるいは意図的に排除することだって理屈の上では可能なわけであります。比べることができないわけであります。関電に任せるというのはそういうことになります。  もちろん、関電は、お話ありましたけれども、国民からの信頼を取り戻すというプロセスが大事なわけでありますが、そのプロセスに疑惑を持たれるそういうやり方は、やはり関電にとっても、これは今後にかかわる大きな話だと思います。  そこの第三者委員会の中身というのはきちんと明示されるんでしょうか。
  33. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 調査結果は速やかに公表もするものとされておりまして、第三者委員会の調査結果は、経産省のみならず、広く明らかにされるものだと思っております。
  34. 山岡達丸

    ○山岡委員 では、関電が報告を受けても、第三者委員会からもきちんと世間に対してその中身の報告があるという理解を大臣はされているということを私は今受けとめました。
  35. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 報告徴収の命令を出しておりますので、関電の調査の我々に対する報告とプラス、この調査書が出てくるものと思っております。ですから、あわせてその調査書はオープンにするということであります。
  36. 山岡達丸

    ○山岡委員 調査書の中にいわゆる第三者委員会と言われているものの中身も添付されるという理解を、今のお話の中で理解するわけでありますけれども、第三者委員会に関電が依頼している中身も、関電に対して資金が入ったことと関電から出てきたことの過去の類似事例などであります。  先週の委員会で今井委員質問されておりましたけれども、森山氏の資金のもとの原資、ここについては第三者委員会の中身に入ってこないおそれがあるんじゃないかということも指摘があり、大臣は、そこを受けとめていただいて、第三者委員会大臣みずからこれは申し入れることも検討したいということをおっしゃっておられましたが、これを検討して、その後どうなりましたか。
  37. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 今委員から御指摘ありましたように、先週の金曜日、八日の当委員会におきまして、今井委員とのやりとりがありました。  それを踏まえて、一昨日、十一日の月曜日ですけれども、私からの申入れとして、事務方から関西電力に対して、資金の流れを含めて徹底的な全容解明のための必要な事項が調査され、当省が報告徴収命令において求めている事項に対する回答内容が不十分なものにならないようにすること、二点目として、これらを踏まえて第三者委員会の調査スコープを適切に決定してほしいということ、三点目、徹底的な調査が前提ではあるものの、年内に調査報告書の取りまとめができるよう、調査体制の強化など必要な措置を講じてほしいということを申し入れさせていただきました。  同趣旨の内容については第三者委員会にも伝わっているものと認識をしております。  現在、第三者委員会において、但木委員長のリーダーシップのもとで、本事案の全容解明に向けて、原子力だけにとどまらない幅広い分野にわたって、過去にさかのぼって調査をしていると聞いております。  そして、四名の委員のほかに、事務局として、二十名の弁護士から成る事務局のチームもできております。さまざまな専門家を配置をして徹底的な調査をしているということで認識しております。
  38. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣から今、関電に対してそうしたことを伝えているという話もありました。  ぜひ経産省は、やはり電力事業を担っているわけでありまして、関電にいろいろ指導を、結果としてはできる立場だというふうに思っておりますので、これは引き続きさまざまなリーダーシップをとっていただいて、そして、このプロセスに疑義が持たれない、そうした結果を出していただきたいと思いますし、これは国会でもしっかり関電から話を聞くということをぜひやっていきたいという思いでありますので、これはまた理事会の中でも協議させていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。  閣法について質問をさせていただきたいと思います。  今回、情報処理促進ということで、社会企業全体に情報処理技術促進法律をもって促していこうというような、そういう中身なわけであります。  この前提となる情報として、二〇二五年の崖という言葉とともに、二五年ぐらいに、システムインフラの老朽化とか、あるいはサポートの終了とか、技術者の退職等も含めて、すごい人材不足で、さまざまそうした課題が重なって、年間最大十二兆円、そうした損失が生まれるという非常に大きな話として今社会に出ているわけであります。  この二〇二五年の崖という言葉の出典は、これはお答えはいいんですけれども、経産省ですよね。経済産業省がこの二〇二五年の崖という言葉をつくられて、そして世間に出されている。では、どうぞ。
  39. 西山圭太

    西山政府参考人 この二〇二五年の崖という直接の出典は、二〇一八年に民間事業者や学識経験者によって構成されましたデジタルトランスフォーメーションDXに向けた研究会というのを開催をいたしまして、同年九月、つまり昨年の九月にDXレポートというものを取りまとめて公表いたしましたが、そのレポートの表題及びその内容において、こういう二〇二五年の崖という言葉が使われているということでございます。(山岡委員「経産省の主催」と呼ぶ)それはそういうことです。
  40. 山岡達丸

    ○山岡委員 今、経済産業省の主催ということで、そういうお話で開かれて、その中の表題が二〇二五年の崖だと。この言葉をもっていろいろ我々は説明を受けているわけであります。二〇〇〇年問題とか、あるいは、アメリカのいわゆる景気後退の危機で、財政の崖とか、さまざま社会をあらわすワードが出てきて、そうしてその問題に対応しなきゃというのはこれまでもあったわけであります。  これは有識者の話を聞いたということでありますけれども、そのレポートを出した経産省が、自分たちの主催する委員会の中で出たものの表題として出された。  普通、システム更新とかさまざまなことというのは、民間企業は、自分たちの判断の中で、必要ならば行っていくし、社会にあわせてやっていく。きちんとアンテナを張っているのは民間企業自身であって、それはしっかりやればいいじゃないかということであるわけでありますけれども。  これは、経済産業省にまた改めて伺いますが、何で、国としてこのことを主導しなきゃいけないという考えになっているのでしょうか。
  41. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今の先生からの御質問お答えすると、三点になろうかと思います。  一つは、今、ソサエティー五・〇と言っておりますけれども、デジタル化が徹底をされ、サイバー空間フィジカル空間が一体化をする中で、企業デジタル経営基盤を相当強化しなければならない。これをまさにデジタルトランスフォーメーションと呼んでおりますけれども、その前提として、今先生から御質問のございました、我々、負の遺産とかレガシーと呼んでおりますけれども、そうしたことを処理しないと、まさにこうしたデジタルトランスフォーメーションという課題にチャレンジできない。それが大前提になっているというのが一点目でございます。  それから二点目は、今先生もお触れになりましたような研究会の報告あるいは試算があるわけでございますけれども、こうしたものを放置した場合においては、相当程度大きなマイナスの効果があり得るというふうに考えているというのが二点目でございます。  その上で三点目として、今委員もおっしゃいましたとおり、ITシステムの更新ですとか投資ですとか、それをどのようなものにするかというのは、基本的には、当然のことながら、個々の経営者の判断だというふうに理解しております。  ただ、同時に、この研究会も含めまして、さまざまな民間企業経営者あるいはそれをサポートするIT部門のトップの方々意見を聞く中で、この負の遺産の処理というのはリスクを伴うと。  二つに分けますと、一つは、これまで使ってきたシステムをある意味で一新して新しいシステムに入れかえますので、新しいシステムが順調にすぐ作動するかどうかという意味においてのリスクを抱えるということと、当然、これだけの大きなシステムの刷新ということになりますと、投資の額も大きなものになりますので、そうした二つの意味でのリスクをとって経営者が判断をする上では、ある種の後押しが必要になる、経営者決断をする上での後押しがある、あるいは自己評価をするきっかけがあった方がやりやすいといったようなお話がございましたもので、この法案の中で御提案をさせていただいておりますように、国が指針を定めて、経営者にそれを参照していただいた上で、仮に、それが、任意でございますけれども、御希望があれば、それにかなっているかどうかを認定するという制度提案しているということでございます。
  42. 山岡達丸

    ○山岡委員 この後大臣に伺いますけれども、今、経産省の西山局長からお話ありました。問題意識としては、次世代にチャレンジできなくなるとか、あるいは十二兆円という大きなマイナスがある、そして非常にリスクを伴うから後押しが必要だ、非常に大きな問題意識を経産省としては持っているんですと言う割には、この法案で担保されたメリット措置といいますか、いかにも小さいのではないかということが、私は強く思うわけであります。  同じように、経産省は最近いろいろな法律を出して計画をつくっていただいて、そして、計画をつくっていただいたら、それが認定されたらいろいろなメリット措置があるという手法で、中小企業経営強化法とか地域未来投資促進法とか生産性向上特別措置法とか、さまざま同じようなフォームであります。  これらは全部、税制も含めた、そうした法人税もそうですし、中には固定資産税までゼロにするよと。市町村の税ですから、市町村には後ろから、総務省から別の措置をして、それぐらいの大きなことをやって促進を促して、それで結果として参加企業も結構多くいるという状況でありますけれども、これは、中小企業庁の持つ、自分たちの所管する省庁の中で、いわゆる保険の特例、中小企業信用保険の特例、これが第三十七条に担保されているだけで、あと話を聞くと、いやいや、認定すれば投資が促されますとかいろいろおっしゃるわけでありますけれども、そこまでの問題意識を持って変えていかなきゃいけないというお話を持っておられるのであれば、税制とかも含めて、ほかの省庁も巻き込んで、もっと大胆なメリット措置を導入していくというのが筋なんじゃないでしょうか。  大臣、どのようにお考えでしょうか。
  43. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 先ほどから参考人が申しているように、我が国の多くの企業においてデジタルトランスフォーメーションが進まない主な原因の一つは、経営者の、デジタルトランスフォーメーション必要性を理解をしていない、必要な取組を進める決断ができないという点にあります。そういった基礎的なところで阻害要因をどう取り除いていくかということがまず第一であります。  今般の改正では、指針を踏まえて設定を行うことで、優良な取組を行っている企業を資本市場等に対して見える化して、企業の外部からデジタルトランスフォーメーションを促していくということであります。これにより、企業間でのデジタルトランスフォーメーションの推進を競争する環境を醸成をし、我が国企業経営の変革に向けた決断促進をしてまいりたいと思います。  支援措置ということでありますが、経営者決断に至った後の具体的な投資人材育成に関しましては、デジタル投資促進する各種補助金制度や、コネクテッド・インダストリーズ税制等の措置デジタル人材を育成するための第四次産業革命スキル習得講座認定制度など、施策を総動員することによって推進をしていきたいと思いますが、まずは企業決断、そして投資も当然企業の判断、決断ということになるわけでありますが、その中でいかに応援できるか。政策総動員で対応してまいりたいと思っております。
  44. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣今おっしゃいました各種補助金、施策を総動員というのは、既存の施策を総動員するという意味であります。それで、今、新しいものは、法律に担保されたのはあるわけでありますけれども、ただ、それが小さいんではないかということ。  そして、基本的には民間企業が自分で判断してやるものを、政府が主導してやるのであれば、やはり相当大きなものをつくっていかないとその意識は変わらないんじゃないかということを思うわけでありますので、この問題意識に基づいて進めるのであれば、今後、まずはこれをやっていくんだという話でありますけれども、その後もしっかりと、何ができるのか考えて進めていただきたいという思いであります。  経産省に伺いますが、十二兆円の損失というのがあるわけでありますけれども、大企業中小企業、これはどういう内訳になっているんでしょうか。そこの部分を御説明ください。
  45. 西山圭太

    西山政府参考人 お答え申し上げます。  先に申し上げれば、大企業中小企業の内訳というものはございません。  その中で、どのように試算をしたかということでございますけれども、これは、先ほど触れさせていただきました、昨年出しましたいわゆるDXレポートの中で、民間企業が公表しておりましたデータをもとに試算をしたものでございます。  どのような試算を行ったかというふうに申しますと、もともとの出発点は、民間企業が行いましたものをもとに、先ほどから出ておりますいわゆるIPA、独立行政法人情報処理推進機構が、二〇一四年の一年間のシステム障害によって生じた日本全体、国内全体の損失額を約四・九六兆円というふうに試算をしております。  それをもとに、そのシステム障害の中でどういうことが理由になっているかということがさまざまあるわけですけれども、そうしたことの中でレガシーシステムに起因したものと考えられるようなものの割合を算出し、またさらに、当然、二〇一四年と我々が言っております二〇二五年では時点が異なりますので、その二〇二五年に向かって更にシステムが老朽化する、刷新されないといったことを勘案して試算をしたものでございます。
  46. 山岡達丸

    ○山岡委員 済みません、局長、中小企業と大企業のことを聞いていますので、長くなってしまうと質問時間を圧縮してしまうので、ちょっとその辺を御配慮いただければと思います。  今のお話にもありましたけれども、やろうと言っているわけでありますが、例えば、施策は中小企業の保険措置なわけでありますけれども、大企業中小企業の割合も分析されていないとか、やはりいろいろ、進めようという意欲を掲げている割には、まだまだその状況としては整っていないんじゃないかということも懸念するわけであります。  大企業中小企業のこともそうですけれども、私は北海道から選出していただいていますが、やはり地方の状況というのも非常に気になるわけであります。  今回の法律情報処理安全確保支援士についてのさまざまな措置、更新制度等もあるわけでありますけれども、この地域別の内訳、これは調査室さんとかもまとめてくれているんですけれども、私の方で一言で言えば、全体の中で、関東が七〇・四%、一万三千六百人いるのに対して、北海道は二百三十八人で一・二%です。関東が七〇%ですから、ほとんど大都市にこのいわゆるセキュリティースペシャリスト、情報処理安全確保支援士というのがいるわけであります。  ここの中で、この部分をしっかりとまた質を高めていくというような目的にのっとっていくときに、地方というのが一番、やはりその情報処理促進というのが、期待しなきゃいけないし、これからの厳しい社会を乗り越えていく上で非常に重要な取組だと思うわけでありますが、そこの部分に行き渡らないんじゃないかという思いも持つわけであります。  大臣、地方に関しては、地域の、そういう大都市以外の部分について、どのようにお考えなんでしょうか。
  47. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 地方においても、中小企業も含めて、サイバー攻撃の脅威にさらされているのは同じことであります。  そして、今委員がおっしゃるように、比率が非常に少ないということですから、地方における登録者をふやす取組を強化をしてまいりたいと思っております。
  48. 山岡達丸

    ○山岡委員 思いとしてはそのとおりなんでありましょうけれども、現実の数字で本当に少ない中で施策が進んでいく中で、ぜひそういう部分こそ重要だという問題意識をまた大臣とも共有させていただきたいと思います。  このセキュリティースペシャリストというのも、三年に一度、今も講習制度はあるようでありますけれども、今度からこれを受けなければ免許が更新できなくなるということでありますけれども、十万円という費用がかかる、三年に一度受けるのに。それで、セキュリティースペシャリストとしては、独占業務でもない。セキュリティースペシャリストでい続けようというインセンティブも持たせながら、質も高めていかなければならない。  そういう意味でも、この制度の運用というのは、経済産業省はしっかり考えながら進めていただきたいと思います。これは質問はしませんが、思いとしてお伝えさせていただきたいと思います。  今回、社会全体でそういう情報処理促進するということで、そういうお話を経産省としてされているわけでありますけれども、少し経済産業省の足元の話を局長にお伺いしたいと思います。  職員の皆様はみんな働いておられますけれども、私も四十歳でありまして、同年代の友人たちも省庁にもおりますし、いろいろお話を伺うわけでありますけれども、経済産業省もそうですが、今、全体として出勤簿は判こを押している。休暇、休憩届は手書きで提出している。出勤時間の入力は、共有フォルダにエクセルが入っていて、それにみんな、毎日書いたり週末に書いたり、そういうことをしている。管理職の人は別に残業時間は関係ないから、出張したときだけ入力しているけれども、たまにシステムのふぐあいで使えなくなったり、大変重くて遅い。そういうようなさまざまな職場の環境が残っております。  エクセルで入力というのは、二十五年ぐらい前のウインドウズ95という時代だったら最先端かもしれませんけれども、こういうものこそまさにレガシーなんじゃないかと思うわけでありますけれども、局長、こういう実態は今でも残っているんでしょうか。まず答弁一言お願いします。
  49. 西山圭太

    西山政府参考人 お答え申し上げます。  今の出勤簿を含めて、まだまだ政府の中で電子化されていないものはさまざまあると思います。  同時に、経済産業省としては、やや手前みそでございますけれども、各省に先駆けて既に実施して各省に広げましたものとしては、例えば、職員の旅費の電子申請決裁システムですとか、あるいは、これは今取組中でございますけれども、補助金の申請、審査の仕組みについて、まずは経済産業省で電子化を進め、それを各省で共有していただくというような取組も進めております。また、出勤簿についても同じように取り組みたいというふうに思っております。
  50. 山岡達丸

    ○山岡委員 皆様、お話を聞いたと思いますけれども、電子化を先駆けてやっている、電子化というお話がありましたけれども、当然、民間企業は、もう平成も終わって令和を迎えているわけでありますけれども、まさに昭和から平成の段階で進めているような話が今残っているわけであります。  少し会場から笑う声もありましたけれども、笑い事でもあり、笑い事でもないと思いますのは、経済産業省として情報処理促進社会に訴えているわけでありますから、その足元の皆様の職場の環境が極めてアナログであるというのは本当に大きな問題だと思っておりますし、IPAが、各企業のさまざまな情報を出し合って、そして共通のシステムをつくっていくんだというお話もされていますけれども、どうもこの出退勤のシステムも、外務省とか防衛省とか微妙に違ったりとかして、いろいろあるんですみたいな話を別に聞きましたけれども。  こういう、企業も大事ですけれども、まず省庁間のこともIPAが主導権をとってやるべきだと思いますし、大臣、今お話を伺って、ちょっと話は法案のことではありませんが、ぜひこういう実態は、大臣のもとでもリーダーシップを図って、これはきちんと近代化するところは近代化していくんだというお考え、もしあれば伺わせてください。
  51. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 就任間もないので、まだ実態を私も知りませんでした。今聞きましたので、しっかりともう一回調査をさせて、実態を直していくような努力をしてまいりたいと思います。
  52. 山岡達丸

    ○山岡委員 本当に、全省庁そういう状況であります。ですから、ぜひ経産省にリーダーシップをとっていただきたいという思いをつけ加えさせていただきたいと思います。  きょうは閣法の質問ということでいただいているわけでありますけれども、私、所信質疑の時間はちょっと質問をする機会がなかったものですから、大臣の所信の中に触れていただいたことも少し質問をさせていただければと思います。  私は過去の経済産業委員会でも取り上げさせていただいたんですが、CCSという言葉があります。これは、カーボン、炭素です、キャプチャー・アンド・ストレージといって、CO2をつかまえて地中の中に埋めるということで、これは研究段階でありますけれども、具体的には、製油所とかから供給されるCO2の含有ガスからCO2だけを分離、回収して、地中千メートルよりも下でありますけれども、埋めるという試験ですが、これが北海道の苫小牧市というところでこれまで進められてきたものであります。  パリ協定で、二〇五〇年には、温室ガス、基準年から八〇%削減するという非常に高いレベルの国際協定の目標がありますが、このCO2を地中に埋めるという研究は、その達成のために非常に有力な手段の一つとして研究が進められているものでもあります。  これは経産省に、きょう、担当者の方をお願いしていますよね、伺いたいんですけれども、このCCSのまず現状といいますか、どのような状況だと理解されているか、経産省、御答弁をお願いします。
  53. 飯田祐二

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  先生指摘ございましたとおり、大変重要な技術だと思っておりまして、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略、これはことしの六月に閣議決定したものでございますが、この中でも、例えば、「石炭火力発電については、商用化を前提に、二〇三〇年までにCCSを導入することを検討する。」ということが明示的に位置づけられております。  また、経済産業省ではこれまでに、実用規模でのCCS実証を目的として、苫小牧市における日本初の大規模CCS実証試験、それから、低コスト化に向けたCO2分離回収技術安全性を評価する技術などの研究開発、CO2の貯留適地を確保するための調査などを実施しております。  とりわけ、苫小牧市におきますCCS実証試験におきましては、苫小牧市の地元の関係者の皆様の多大な御協力と御理解を得て進めておりますけれども、二〇一六年度からCO2の圧入を実施しておりまして、本年じゅうにも、当初目標としていた三十万トンの圧入を達成する見込みとなっております。
  54. 山岡達丸

    ○山岡委員 本年、実証実験、三十万トン圧入が終わるんだというお話がありました。ことしで終わるということでありますけれども、今もお話にありました、世界的にこのプロジェクトが行われる中で、実は、経済産業省としても相当な予算を組んでいただいている状況でもあります。  ここまでおおむね七百億円ぐらいこの研究のために予算を組み、そして、この苫小牧にある設備、いわゆるCO2の分離回収設備、当然、CO2を分離して地中に埋める前の段階にしなければなりませんので、それ一つ見ても、三百億円ぐらい設備投資で使っていただいている。  もうこれで、ことし、終わるということでありますけれども、三百億のこの設備は、研究が終わったら原則的にはその研究以外には使われないわけでありますけれども、しかし、大きな投資をしたこの設備がこのまま使われないまま、あるいは解体されてしまうというのは、非常に、俗な言葉で言えばもったいないわけであります。  ことし八月に、世耕大臣でありますけれども、大臣が苫小牧に視察に足を運んでいただいたわけでありますが、この施設を有効活用するんだ、その上で、いわゆるCCSという言葉と、あわせて、CR、カーボンリサイクル、カーボンをリサイクルするという、この実験の試験拠点にしたいんだということをお話しにもなってまいりました。  経産省にこの議会の場でも改めて伺いますが、いわゆるこのCCS、この実験終了後、カーボンリサイクルの拠点にしていくという世耕大臣の発言、ここも含めて、これを今後どうされていくのか。そのことを説明してください。
  55. 飯田祐二

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、目標を達成した後も、CO2の状況のモニタリングを継続していきたいと考えております。  加えまして、御指摘いただきましたけれども、実証試験で利用した分離回収設備を始めとした既存の設備を活用いたしまして、カーボンリサイクル、CO2を有効利用するわけですけれども、展開を進めてまいりたいと考えております。  具体的には、分離回収設備で回収したCO2を利用して化学品等を製造していくことを念頭に、来年度から技術的評価や将来のコストなどを検証するための実現可能性調査を開始すべく、来年度予算要求、七十五億円要求をしておりまして、御指摘いただいたとおり、既存設備のカーボンリサイクルへの展開ということを進めてまいりたいと考えております。
  56. 山岡達丸

    ○山岡委員 化学製品を使うもとに、CO2を、分離して地中に埋めるのではなくて、今度は別のものとくっつけて新しい製品をつくる、そういうCO2の利用の仕方の研究ということで、非常に大きなこれも世界的プロジェクトになるんだろうという思いでありますが、まさに三百億円設備投資をしていただいたその施設を有効活用してこれからやっていこうということで、来年度、調査要求をされているということでありました。  このカーボンリサイクルについては、大臣も所信で述べられました。そういうことから、経済産業省としては、今進めていこうという思いを持っておられるのはよく理解するところであります。  ぜひ大臣に幾つかお願いもあってきょうは質問するわけでありますけれども。  このCRという技術の展開を望めるのは、やはりCCSにおいて、苫小牧の地元の関係者、特に漁業関係者です、大きな理解と協力があって海中に埋めているわけでありますので、そうした方々には、ぜひ大臣としても、すごく恐縮な言い方でありますけれども、敬意を持っていただければと思いますし、今後もしっかりコミュニケーションを持って対応していただきたいという思いであります。  来年の予算要求というお話がありました。これは行政のならわしでもありますけれども、予算要求をして調査費がついて、そしてスタートをして、いろいろ調査してスタートするわけでありますから、来年の中盤か後半か、具体的に少しずつ見えてくるのかなというような今御答弁をいただいたわけであります。  北海道は、皆様御存じだと思いますけれども、来年の東京オリンピックのマラソンと競歩が北海道札幌で開くということで、これはいろいろな議論がありましたけれども、結果として、そういうことで北海道は来年の東京オリンピックの中に地域としても参画することになります。  この東京二〇二〇年大会のコンセプトは、成熟国家になった日本が、今後は世界にポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していく、ここのレガシーはいい意味で使われているわけでありますけれども、世界にポジティブな変革を促すのがこのオリンピックの大きなビジョンだということを二〇二〇年東京大会ではうたっております。  そこで、北海道でマラソンと競歩をやってほしいということでお話があった。私、非常にこれはいい機会だと思っておりまして、これはぜひ、もう来年のオリンピックが行われるころには、経済産業省としてのきちんとした動きが見えるようになってほしいと思っております。  そのためには、来年度の予算要求であるのは理解しているんですけれども、ぜひことしのうちに、ことしの予算の中でいろいろやれることもあると思うんです。ですから、ことし、ぜひ動きを始めていただいて、来年のオリンピックのころには、世界の方が北海道にも来ていただける、そのときに、北海道はもう世界プロジェクトでCO2をいろいろなものに活用しているというプロジェクトが動いていますということをしっかりと発信できるようになってほしいという思いであります。  大臣に、ぜひことしのうちからもやれることをやってほしいという思い、そしてあわせて、北海道の苫小牧というのはそういう場所でありますので、今回大臣が就任されて、今後いろいろな機会を見て、ぜひ苫小牧に足を直接運んでいただいて、そして、現地も見ていただきたいし、地域の方ともお話をしていただきたい、その思いであります。  ちょっといろいろお願いが長くなりましたが、大臣にぜひ御答弁をお願いします。
  57. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 CCSについていろいろお聞かせいただきました。  まず最初に、苫小牧におけるCCS実証試験事業の実施に当たりまして、地元関係者、漁業関係者の方も含めた地元関係者の皆様の御理解と御協力に感謝を申し上げる次第であります。  苫小牧、私は何度も伺ったことがありますけれども、工業都市で、CO2を排出するだけではなくて、さまざまな企業が張りついているということで、CO2を製造業の原料として利用する形で連携できるのではないかと感じております。将来的な展開が期待できる地域でもあると思っております。  福島でオリンピックをやって、再生可能エネルギー由来の水素をつくっていく。そして、それを東京に持ってきて自動車を走らせるという取組も、来年のオリンピックはありますけれども、まさに札幌でもマラソンと競歩が行われるということであり、今委員が御指摘のように、来年と言わずに、ことしじゅうに、予算の範囲内ということになりますけれども、さまざまな調査を開始をしてみたいと思っております。  CCS及びカーボンリサイクルは将来の脱炭素を実現する上で鍵となる技術でありまして、出さないということもありますけれども、それを貯留する、また再利用するということも、技術開発の中で日本がリードをしていけるようなものでありたいと思っておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  58. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。今年度中に予算の範囲内で調査をしたい、やれる調査をしたいというお話がありました。  済みません。質問に追加で恐縮なんですけれども、非常にありがたいお話でありまして、調査といってもいろいろあるわけでありますけれども、市場のこととか関係者のこととか、大臣の今のお考えで結構です、御答弁が難しければ仕方ないんですが、具体的な調査というのは、どういうような、中身も考えていただけるようなことになりますでしょうか。
  59. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 先ほど苫小牧にはいろいろなメーカーがあるということも申し上げました。どういったものに活用できるのか、どういった製造業と連携できるのかということも含めて、ヒアリング調査も含めて、そういった形で方向性を見出していければと思います。
  60. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  大臣は、大臣になられる前からも苫小牧に何度も足を運んでいただいているというお話もありまして、世界的プロジェクトでありますので、今お話もありましたけれども、非常にありがたく、福島のお話もいただきながら、北海道も意欲を持っていろいろ頑張っていきたいと思いますので、ぜひ地域も励ましていただきながら進めていただきたいという思いであります。  もう一つ、北海道の地域のことで、これも過去に質問をしたことがあるお話で恐縮なんですけれども、北海道は、室蘭という場所がありまして、JXTGが大きないわゆる製造所を持っていたんですけれども、この製造を終えてしまうということがあります。これまでずっとそのJXTGを支えてきた、けれども、大きな企業の都合でどうしても再編しなけりゃいけないという中で、地域としては当然、いろいろな影響があるので、なくなってほしくはない。企業としては、企業経営の判断もある。そういう中で、しかし、この室蘭という町の事例は、これから全国いろいろなところで起こってくる。  これまでものづくりで貢献してきたところが、そういう部分で、いろいろな経済合理性の中で切り捨てられていくんじゃないか、そういう問題が起こったときに、これは世耕大臣でありましたけれども、大臣は、いや、大きな企業には、当然、地域に今までお世話になってきて、社会的に責任を持って、必要がなくなったからその地域とさようならとするわけにはいかないんだという趣旨の御答弁をいただきまして、その後、経済産業省も非常にこの問題について心を砕いてくださって私は感謝しているのでありますけれども。  とはいえ、市と企業との話合いの中で、なかなかその先というのが見えないまま、ついにこの三月末には室蘭製造所の石油化学製品の生産を終えてしまって、物流拠点としては残るんですけれども、非常に規模が小さくなり、メンテナンスとかそういった方々も来なくなるので、心配された経済的影響というのが出始めてしまっているという中で、非常に住民の皆様にも不安が広がっています。  今、梶山大臣になられたわけでありますが、どうか、こうした住民の不安、広がっているという現状、なかなか決まらないのも理解しますけれども、しかし、こうした大企業が撤退していくという中で、このことについてやはり心を砕いていただきたいという思いであります。  現状をどうお考えになって、地元住民の状況も踏まえた中で、大臣のお考えを改めて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 JXTGの室蘭製造所、地域の理解を得ながら、これまでエネルギーの製造また活用のための役割を果たしてきたと思っています。  地域経済や雇用に大変大きな影響が出てくるものだと思っております。少しでもやはりそういった影響を緩和していく努力をしたいと思っておりますし、今、JXTGと室蘭市で話合いをしている最中と聞いておりますけれども、JXTGも、これまでの室蘭市の御厚情、住民の御厚情に対しまして感謝の念を持って取り組んでいると聞いております。できるだけ早く、地元の方の声を踏まえながら方向性を示していってもらいたいと思いますし、そうなった時点でできる限りの応援はしたいと思います。  やはり大企業が去るということは、あった雇用がなくなるということでありますし、にぎわいもなくなるということであります。御家族にも影響があるということであります。そういった地域の事情というものをしっかりと念頭に入れながら対応してまいりたいと思っております。
  62. 山岡達丸

    ○山岡委員 ありがとうございます。  大臣から、これはしっかりまた応援していきたいというお話をいただきまして、本当にありがたいと思っております。JXTGも真剣に向き合ってくださっているというのはよく理解しているところであります。  情報処理のこの促進法についても、あるいは、さまざま、先ほどのCCS、CR、そしてこの地域の大きな企業課題についても、やはり、日本世界をよい方向に変えていく、その中にあって、大都市だけじゃなくて、地域、地方も、あるいは中小企業もみんなでその豊かさを享受していける、そういうリーダーシップを経済産業省にはとっていただきたいと思いますので、そのことも含めてお願いさせていただきまして、本日の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  63. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  64. 笠井亮

    笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  今日、デジタル技術が急速に発展をしている。我が国の産業構造、そして働き方、社会の仕組みまで大きく変わろうとしているという状況であります。  AIや人工知能、そしてIoTなどの新しいデジタル技術やSNSなどを活用した双方向情報発信を活用することで、地域とか年齢、所得、それから身体的制約にとらわれない社会参加というのが可能な未来をつくり出せることにもつながると思うんです。  そこで、梶山大臣に伺いますが、今回の情報処理促進改正案の趣旨説明で、本法案デジタル社会に対応する社会横断的な基盤整備を行おうとするものだということを述べられました。  新たなデジタル技術は、一人一人の可能性を伸ばすために活用をして、それがひいては、やはり人類の社会進歩と福祉の向上に役立つことにつながる、こういう形で活用することが大事だと考えるんですが、まず大臣の基本認識を伺いたいと思います。
  65. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 今、デジタル時代における社会横断的な基盤整備ということで私が申し上げた言葉についての御質問がありました。  当然やはり新たな産業も興る、また社会的な課題の解決にもつながるものだと思っておりますが、それは日の当たる部分、正の部分でありまして、そこにアクセスできない人たちの負の部分というのもあるものだと思っております。できる限りそういったところに心を寄せながら、誰一人取り残さないような努力もあわせてするべきであると思っておりますし、そういった中で初めてデジタル社会の活用というもの、活用しながら社会課題をなくすということにつながっていくものだと思っております。
  66. 笠井亮

    笠井委員 誰一人取り残さないというのは非常に大事なことだと思うんです。  新たなデジタル技術は暮らしを便利にする。しかし、使いようによっては雇用や働き方に大きな影響を与えることにもなります。  ドイツでは、技術革新をどう良質な雇用に結びつけるか、それによって雇用破壊とかあるいは雇用の質の悪化を招かないようにするにはどうするかということで検討、分析もして対応しようとしていると、ドイツの連邦労働社会省がまとめた白書、労働四・〇というものに方針が示されております。  ところが、大臣日本では、生産性革命、人づくり革命のスローガンのもとに、いわゆる雇用によらない、そういう働き方を推奨している。企業のもとで働く個人をフリーランスとかあるいは請負にすることで、労働時間や最低賃金、残業代、有給休暇など、労働法制の対象から外すというものでありますけれども、そうした中で、インターネットの仲介サイトを介して仕事を請け負う、いわゆるギグワーカーというふうな形で働く人がふえているということであります。飲食店からの宅配を代行するウーバーイーツの配達員は一万五千人を超えておりますけれども、たとえ仕事中にけがをしても、ウーバーとの契約関係がないために労災保険が適用されずに、治療費も自己負担となるということであります。  梶山大臣に伺いますが、雇用によらない働き方を率先して進めているのは経済産業省ということになると思うんですけれども、その立場からごらんになって、働き手を保護する制度は相対的にはおくれているな、そういうふうな御認識があるか、そして、それはきちんと手当てすることが喫緊の課題であるというふうに考えていらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
  67. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 今委員おっしゃったように、フリーランスと一言でくくることのできないような多種多様性を持っていると思っております。なかなかそこの分類というのは今できていないのが現実だと思っておりますし、できるだけ待遇そして給与等はしっかりと保障できるような形が望ましいわけでありますけれども、まずはフリーランスについて速やかな実態把握、そして整理した上で、今後の方針についても検討していくことが重要であると思っております。
  68. 笠井亮

    笠井委員 去る九月に、アメリカのカリフォルニア州では、ライドシェアサービスの運転手らを従業員として扱うように企業に義務づける新法が成立をいたしました。海外では、いわゆるギグワーカーの待遇改善を求める動きが活発化している。  ギグワーカーは個人事業主になるわけですけれども、やはり経産省、中小企業庁自身が取り組むべき課題ではないか。自己責任の一言支援策の外に追いやってはならないので、今大臣から実態をつかんだ上でとお話がありましたけれども、厚生労働省とも連携して、しっかり対応していただきたいと考えております。強く求めておきます。  もう一つ日本のおくれといいますか、やはり中小企業デジタル化の支援の問題です。  先ほど来議論がありますけれども、この法案では、国が指針を策定をして、指針を踏まえた優良な取組を行う企業認定する仕組みをつくるというものであります。活用できる中小企業もあるんだと思うんですけれども、そこまでなかなか手が届かない企業がほとんどではないか。  日本商工会議所が中小企業庁の研究会で紹介した、「中小企業IT活用とセキュリティ対策の現状」という中でも挙げている、中小企業IT投資を行わない主な理由というのは何でしょうか、答えてください。
  69. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  平成三十年四月二十七日に中小企業庁が開催したスマートSME研究会、こういうものがございまして、日本商工会議所から、中小企業IT活用とセキュリティー対策の現状として、三つ中小企業ITIoT導入、活用における課題が述べられております。  具体的には、一つは、ITを導入できる人材がいない、二つ目には、導入効果がわからない、三つ目には、コストが負担できない、この三つが、中小企業IT投資に踏み切れない理由として挙げられているものでございます。
  70. 笠井亮

    笠井委員 経済産業省は、デジタル化のおくれが企業経営の足かせとなるというふうに言われたり、あるいは、既存システムの老朽化、複雑化、ブラックボックス化による二〇二五年の崖で最大年間十二兆円の損失が発生するとか、ある意味、危機感をあおっているという状況があると思うんですけれども、それだけじゃなくて、あおるだけじゃなく、中小企業は現状に見合ったデジタル化を進めるための具体策が必要だということを強く求めたいと思うんですね。  中小企業デジタル化のおくれへの支援という大事な対策抜きに、一足飛びにデータ利活用を進めようということではいけないので、それをやろうとしているのがやはり安倍政権だと率直に申し上げたいと思うので、やはりその問題はきちっと対応してもらいたいと思います。  その典型例が、やはり昨年制定した生産性革命特措法だと思うんです。安倍政権のもとで、ばあっと一気に進めようという。個人情報を含む公的データの利活用促進日本サンドボックス制度創設など、ある意味、異次元の規制緩和促進をするということで、今政府がやろうとしているのは、いずれも新技術を生産性向上の道具にしようとする大企業や経団連の要求に応えるものだと言わなければならないと思います。  そこで、そのデータ利活用についてはどうかという問題になってまいります。  生産性革命特措法の目玉の一つ産業データ共有促進事業でありますけれども、複数企業間で収集、活用しているデータを共有をして利活用しようというものであります。さらに、データの収集、活用を行う事業者を国が認定をして支援をする革新的データ産業活用計画も創設をされました。  そこで、主務大臣認定した革新的データ産業活用計画の実績なんですけれども、これはこの間、何件になっているか、そして、そのうち個人情報を用いる計画だとして内閣府外局の個人情報保護委員会と協議を行った計画というのは何件あるか、お答えください。
  71. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今委員から御質問のございました、生産性向上特別措置法に基づく革新的データ産業活用計画の十月末時点での認定総数は百九件であります。そのうち、個人情報保護委員会にこの法律に基づきまして協議を行いました件数は三十件になります。
  72. 笠井亮

    笠井委員 そこで、梶山大臣に伺いますが、経済産業省のホームページで公表されている実績のまとめを拝見いたしました。  認定計画の一つである、ことし六月に認定されたNTTドコモの計画でありますけれども、ここにありますけれども、この計画は、ドコモが提供する顧客の貸倒れ率を予測した信用スコア、これをドコモのシステムを利用している銀行が活用して審査を行うというものであります。これによって、個々人の状況に合わせた適切な金利、貸出枠を設定することが可能になるということで、与信精度が高まる、銀行は貸倒れ率を低下させることができるというものでありますが、利用者は、ドコモのスマホを便利に使っているだけのつもりが、実はこの利用状況をもとにスコアリングで格付されて、そしてそれが提供されるということになってくる。  サービス利用者個人をそういう意味では一方的に格付をして、個人情報ビジネスに利用するなどという計画なんですけれども、こういうのを認定していいのか。大臣はどういうふうにお考えになるでしょうか。
  73. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 今御指摘のあった件ですけれども、こうしたビジネスの中にはパーソナルデータを利活用するものが結構あるんですね。その中で、個人情報保護法上の問題が生じていないことを確認するために、個人情報保護委員会に協議をかけているものであります。  個人情報保護委員会は、個人情報保護法上の本人からの同意の取得など、個人情報の取扱いについて計画段階で不適切な点がないかという観点から計画を確認していると承知をしております。本人の同意ですね。  経産省としては、個人情報保護委員会との協議を通じて、こうした確認を行った上で計画を認定しており、問題はないと思っております。
  74. 笠井亮

    笠井委員 大臣はそう言われるんですけれども、今はそうやって計画認定されたものに基づいて、ドコモは金融機関向けにドコモレンディングプラットフォームということで、こういうものを具体的にもう売りにしているわけですね。  本日ということでこれを発表した二〇一九年八月二十九日木曜日から提供いたしますということで、結局、ドコモスコアリングというのは、金融機関への融資サービスのお申込みのときに、お客様の同意に基づいて、ドコモ契約者のサービス利用状況から分析した信用スコアを自動的に算出して、スコアリング結果を金融機関に提供すると。金融機関は、それを使って、ここには貸していいかなとかということをはかっていくことができるということ。  今、大臣の御答弁の中で、いや、それは利用者の同意があるんだというふうに言われたんですけれども、まず、ユーザーが貸付けしてくれと銀行に行った場合に、とにかく、同意する以前かどうかにかかわらず、とにかくそのユーザーにとっては、もう既にこの方についてはドコモのスマホを使っているだけでスコアリングがされているということになっている、格付をされているということになっていて、そこで同意して、じゃ、それに基づいてやるかというのは、そうで、私は同意しますとチェックしたら、いや、あなたはこうでというので、話がその先に行くということになるんですけれども。  その同意にかかわらず、とにかくもうスコアリングがされている、ドコモによって。それが利用できる状況になっているということになってきている。相手側、もうとにかくドコモの側が本人情報を全部持っている、全部格付になっているということ自体が私は非常に大きな問題だと思うんですね。  ことし九月に、就職情報サイトのリクナビを運営するリクルートキャリアが、内定辞退率の予測を顧客企業に販売していたことが明らかになって、厚生労働省から職安法違反だということで是正指導、行政指導を受けました。利用者の格付という点では、私はドコモも同じじゃないかと。しかも、そういう認定に対して個人情報保護委員会がお墨つきを与えているということになっている。  大臣、EUの場合は、個人情報保護規則ということでGDPRというのがある。これを制定して、個人がみずからの情報をコントロールできるようにするということになっていて、オプトアウトという条項ですけれども、個人情報保護強化の方向へ踏み出しているわけです。ところが、日本では、そういう保護規則もないまま、政府がGAFAの圧倒的優位を適切に規制することもなく、ひたすら膨大なデータを収集して、分析、解析することで生まれる新たなビジネス成長産業化することを推進しているということになっている。  本法案は、そのために、いわゆるIPAに新たな機能を付与するものであって、IPAが新たに設計するアーキテクチャーというのは、データ利活用ビジネスの基盤としてだけではなくて、ことし六月に安倍政権のもとで閣議決定した成長戦略フォローアップによれば、与信に関する消費者保護や安全確保分野などについて、今年度中に規制緩和を実施するために活用するということまで言っているわけですね。そういうことになっちゃうんじゃないかと。  これは本当に危ない方向に行くんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  75. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 これまでも、個人情報の活用、又はビッグデータとするときの匿名加工等のいろいろな議論がございました。  一般論として、事業者がパーソナルデータを利用したビジネスを行う上では、消費者等の十分な理解を得ながら進めることが最も重要であると考えておりまして、個人情報保護法の遵守はもとより、それぞれの事業者が消費者への適切な説明等を行いながらビジネスを進めていくべきであると考えております。
  76. 笠井亮

    笠井委員 EUのような保護規則がないもとでこういうことがどんどん進んでいくというのは非常に大きな問題だということを申し上げておきたいと思います。  もう一つクラウドサービスの導入にも大きな問題があります。  政府は、デジタルファースト方針を掲げて、二〇二〇年秋から全省庁のシステムクラウドに切りかえるとしているわけですが、大臣に伺いますけれども、この本法案というのは、政府調達におけるクラウドサービス安全性評価を行う機能をIPAに追加するものであります。そのクラウド導入に向けた採用基準には、日本の国内法を守ることと、あるいはサービスを安定的に続けること、これは当然だと思うんですけれども、あわせて、やはりデータセンターを国内に設けることという条件も設けるというのは、当然やるんですよね、これは。どうでしょうか。
  77. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 詳細な基準につきましては、現在、関係省庁で検討を進めているところであります。データセンターの国内設置が一律に求められるようなことにはならないと考えております。  一方で、セキュリティー対策に加えて、データセンター等の場所や準拠法令、裁判管轄権等についての情報政府に対して明らかにするよう、基準において求める方針でございます。こうした情報政府に提供されることにより、政府機関が個別の情報システムを調達する際に、リスクを勘案し、データセンターの設置場所も考慮しながら適切なクラウドサービスを選択できるようになると考えております。
  78. 笠井亮

    笠井委員 データセンターを一律に国内に求めることにはならないということまでははっきりおっしゃったわけですけれども、海外クラウド企業の本国でシステム障害が起きても日本政府システムに影響が出ないようにするためにも、やはりデータセンターの国内設置というのは、私は当然の最低限の条件じゃないかと思うんですよね。  それで、データセンターを日本国内に設けるとはっきり答弁されないのは、私、こういうことがあるのかと思うんですが、現在、国会承認案件になっておりますが、審査中の日米デジタル貿易協定で、個人情報の国境移転を自由にするために、データローカライゼーションの原則、つまりサーバーの設置場所の現地化要求がむしろ今度の協定では禁止されている、だから、今の話の流れの中でも、データセンターを一律に国内に求めることにはならない、そういうふうにおっしゃらざるを得なくなっているんじゃないかと思います。そういうことなんですか。
  79. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 それを補完する基準も含めて、今、詳細な基準については検討しているところであります。
  80. 笠井亮

    笠井委員 これは非常に重大な問題で、やはりクラウドをこういう形でやるということで、安全性評価を行っていく上でも、その導入に向けた採用基準ということでいうと、やはり、私も今申し上げましたけれども、海外クラウド企業の本国でシステム障害が起きたときに、日本政府の、結局、政府調達にかかわるわけですから、システムに影響が出ないようにするために万全の対策をとらなきゃいけないと思うんですね。  ところが、今、やはり、アメリカとの協定の関係がありますが、そういう問題があるんじゃないかということと、しかも、日米のデジタル貿易協定では、TPPの協定には盛り込まれている、締約国が公共政策の正当な目的を達成するために上記規定に適合しない措置を採用することを妨げないという規定がむしろ取り払われて、TPP超えの条文にまでなっている、こういう問題もあります。  データセンターの国内設置すら条件にできず、どうやって省庁クラウド安全性を担保するのか。これは本当に大問題だと言わざるを得ないと強く申し上げて、このことを指摘しながら、私の午前の質疑は終わりにします。
  81. 富田茂之

    富田委員長 次に、足立康史君。
  82. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  きょうは情報処理促進法ということで質問させていただきますが、今、ちょうど共産党の笠井委員の方から、私も同じような問題意識でおりますが、ただ、スタンスが真反対でありまして。笠井委員はどちらかというと、データセンター、サーバーはとにかく国内だという、まさに、何といいますか、共産党らしい極端な発想だと思うし、それから日米のデジタル協定についても、若干アメリカの陰謀説的な、陰謀説ではありません、陰謀説的な御質問であったと承りましたが、私、そういう極端なことは言いません。  やはりこれから国際社会の中で、先日も議論したTPPの成果とか、あるいは日米貿易協定の成果とか、そういうものは私は肯定的に捉えておりますが、事このクラウドサービスクラウドのセキュリティーについては、やはり大変重要なテーマだと思っています。  今回の法律の趣旨、これはよくわかるし、結構だと思います。例えばDXに係る認定制度とか、これは一定の役割はあると思うんですが、一方で、デジタルですから、クラウドですから、これは国境を越えていきます。だからやはり、ISOとかSOCとか、国際的な認証制度がもうあるわけですから、それをしっかりととっていただくということが基本だと思うんですが、この今回の法律と国際認証制度との関係をちょっと御説明いただければと思います。
  83. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 委員御承知のことと思いますが、今回創設されるのは、情報処理システムの運用及び管理に関する指針に基づいて、デジタル技術の活用を前提とした経営体制の強化に向けて優良な取組を行っている企業を認証する制度であります。優良な取組を行っている企業を資本市場等に対して見える化し、企業を外側からDXを促す動きを期待をするものであります。  現在のところ、委員の御指摘でありますけれども、各国において企業が行うデジタルトランスフォーメーションに関する評価について、これを標準化する動きは承知しておりません。  しかし、海外DXの事例もよく研究をして、制度がガラパゴス化しないように努めてまいりたいと思っております。
  84. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。しっかりお願いをしたいと思います。  さて、きょうは、参考人質疑もあればその後の質疑もあります。デジタル社会については、これまでもこの経済産業委員会で、私も、例えばマイナンバーの問題とか、あるいはインテリジェンス、こういう問題を取り上げてきていますが、それらはちょっと午後、夕方にしまして、この午前中は、平副大臣にお越しをいただいています。ありがとうございます。  私は、平副大臣は事実上の大臣である、大臣としての働きを今していただいていると敬意を表します。別に、大臣が問題があるとか言っているわけではありませんが、大変な御活躍をいただいているわけでありますが、きょうのこのデジタルクラウドということで言うと、私、この法律はいいと思うんです、だから賛成します。  そうなんだけれども、要は企業側の問題もちゃんとやったらいいんだけれども、日本デジタルの問題というのは、ユーザー接点のところが大変問題が多いんです。  きょうまた夕方やりますが、例えばマイナンバーカード、とにかく、何か番号を隠せというような仕様になっているんです。これはおかしいと思うんです。  だから、このおかしいことを政府としていろいろ言っているのはまさにおかしいということを常々申し上げていますが、それはちょっとおいておいて、総論として、そういう取組がとにかく足りない。  平副大臣、さっき、サーバー、私は共産党みたいに国内だとか言いません、だけれども、例えば中国にサーバーを置いているサービスは、一定のリスクがあると思います。では、消費者は、クラウドサービスを使うときに、どのサービスが中国のサーバー、データセンターを使っているかわかりますか。あるいは、それはどういうリスクにさらされているのかということを消費者は知っていますか。どうですか。わかりません、私は。  こういうところに課題があると思うんですが、平副大臣、どうでしょうか。
  85. 平将明

    ○平副大臣 今、足立委員の御指摘は、そういったリスクがあるという認識は共有をしております。  政府といたしましては、どこにサーバーが置いてあるかでそれぞれリスクが違いますので、例えば、政府機関であればしっかりとガイドラインでその旨注意喚起をしておりますし、重要インフラ事業者に対しても注意喚起をしているところであります。  今御指摘は、一般のユーザーだというふうに思います。実は、一般ユーザーの方にはハンドブックなどでその留意点をわかりやすく示す情報発信をしているというのが公式見解でありますが、私も見ましたけれども、どういうリスクがあるのかというのは、このハンドブックを見る限りではちょっと理解できませんので、ヨーロッパ、アメリカ、中国、それぞれいろいろな特性があっていろいろな懸念もあるところもありますので、わかりやすく伝えられるように、部局と協議をして改善をしたいと思っております。
  86. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  平副大臣に、政務の副大臣にお越しいただいたのは、まさにこういう御答弁をいただくためでありまして、ありがとうございます。  まさに、例えば中国であれば、中国の法律でごそっと持っていかれることだってあるわけです。だって、話が飛びますけれども、日本人が今十数人もスパイ容疑で拉致されているわけですから。何をする国かわかりません。  それからもう一つ。私がふだん一般国民というか生活者としてやっている、あるいは仕事でも若干使うことがありますが、正式は忘れたけれども、LINE社というのがありますね。使っていらっしゃるんでしょう、多少は。(発言する者あり)ああ、使っていない。なぜ使っていないんですか。ああ、質問を受けたらだめですね。  私も使っていると、後援会の皆さんとか友人が、国会議員なのにLINEなんか使ってはだめだよと言われるんですよ。だめですか、これ。ちょっと、どなたか。LINEは危ないかどうか、誰か。
  87. 平将明

    ○平副大臣 多分、サーバーの話とも関連するんだと思います。  御承知のとおり、中国と韓国は仕組みが違いますので。公開情報によれば、LINE社は、サーバーは主要なサーバーを日本国内に置いていて、その管理は日本国内の法令に準拠をしているということでありますので、特段問題があるというふうな認識はしておりません。
  88. 足立康史

    ○足立委員 私も、そう言われるものだから、調べてみました。これは経産省ももしかしたら調べていただいているかと思いますが、個社について政府がいろいろ言うのはちょっと言いにくいということもあるかもしれませんが、もし間違っていたら訂正していただきたいんですが。  LINE株式会社がいろいろなサービスを提供していますが、少なくとも日本人日本人がコミュニケーションをとっている、海外サービスもありますから、少なくとも日本国内で日本人日本人が、我々が普通に使っている限りにおいては、その処理は国内のサーバーで処理がなされている。  資本は、これはネイバーですね、これは韓国資本が大きな割合を占めています。すると、では韓国資本はリスクがあるのかということですが、これはいかがでしょうか。
  89. 西山圭太

    西山政府参考人 お答え申し上げます。  まず、一般論としては、今、平副大臣からも御答弁がありましたけれども、インターネットを利用したさまざまなサービスが存在する中で、そのサービスを利用するかどうかについては、そのサービスを提供する事業者がその自社のサービス内容などについて消費者に積極的に開示をする、それで消費者がその情報を踏まえながら選択するということが大前提だというふうに考えておりまして、今委員指摘の会社につきましては、先ほど平副大臣から御答弁のあったようなことが開示をされているというふうに認識をしております。  その上で、どの会社がということではございませんけれども、政府として取り組んでおりますのは、一つには、もちろんさまざまなサービスやアプリケーションでいわゆるセキュリティー的な障害あるいは問題事案が生ずることが世界的にございます、そういう場合については、それについての啓発のための情報発信ですとか、あるいは、技術的にそれについてどういう点を注意した方がいいかということの情報提供はIPAなどが行っておりますし、また、先ほど出ましたようなさまざまなデータの取扱いについての法制に関する情報についても、ジェトロなどを通じて発信をしているというところでございます。  さらに、今の委員の御質問に直接はお答えをしておりませんけれども、例えば、クラウドサービス一般について調達する場合にどういう点を評価すべきなのかという点については、まさに今、政府の中で新しく基準づくりをした上で、その運用、監査に当たって、今回、IPAがそれをサポートする体制を構築したいというふうに考えております。  以上でございます。
  90. 足立康史

    ○足立委員 まさに今局長から御答弁いただいたように、今回の法律にあっても、政府調達に係るクラウドサービス安全性評価を行うということでIPAの業務追加が行われているわけでありますから、問題意識は共有しているわけでありますが、要は、先ほどあった重要な何か事業とか、あるいは政府調達とか、そういうところで問題があるのは当然ちゃんとやってもらわないといけないんだけれども、でも、国民も今や大変こういう問題にコンシャスでありまして、先ほど平副大臣からも御答弁いただいたように、今の政府のそういう国民への情報提供は必ずしもわかりやすいようになっていないし、それはおじいちゃん、おばあちゃんにもわかった方がいいので、例えば災害のときに避難してくれという表示はわかりやすくする努力をずっとしてきています、それと同じぐらいのわかりやすさで、私は、政府においてぜひ改善を進めていただきたいと思っております。  きょうは、実は、午後、またインテリジェンスの話で内調とか、あるいは、今度新しく経済安全保障でNSSに経済班がつくられようとしていますがそういった問題、あるいはマイナンバーの問題も取り上げますが、全部、働き方改革ということで、もう極力この午前中は呼んでおりませんので、ほぼ午前中の質問は尽きましたので、あと二分ほどありますが終わりたいと思いますが、せっかく平副大臣もお越しで、もう一言何かしゃべりたいとかいうことは。ちょっと宣伝というか、御自分の何か後援会向けの宣伝でも結構ですので、ちょっとお願いします。
  91. 平将明

    ○平副大臣 では、せっかくお時間をいただきましたので。  今、足立委員の御指摘は、個人データの流通のルールの世界、いろいろな潮流が出てきて、それをどう消費者に伝えるかという問題だと思います。  例えば、中国はかなり個人情報政府や共産党が見ようと思えば見られる仕組みになってきておりまして、ここ数年の動きだと思います。  ですから、そういったこの数年の動きをちゃんとユーザーに伝えられる努力はしっかり部局としてしてまいりたいと思っております。
  92. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。終わります。
  93. 富田茂之

    富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  94. 富田茂之

    富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き、内閣提出情報処理促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、一般社団法人電子情報技術産業協会会長遠藤信博君、東洋大学経営学部経営学科長教授野中誠君、慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科教授白坂成功君、中央大学総合政策学部教授実積寿也君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑お答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず遠藤参考人にお願いいたします。
  95. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 JEITAの会長をさせていただいてございます遠藤でございます。  きょうは、ソサエティー五・〇実現のために、DXプラットフォームの整備による持続的価値創造とSDGsの達成に向けてという題でお話を申し上げます。  基本的には、ソサエティー五・〇を実現するためには、私ども、デジタルのプラットフォームの構築が必要でございまして、その観点で、デジタルプラットフォームの構築、これはどういう観点を意識することが必要なのかという観点できょうはお話を申し上げたいと思います。  まず最初に、ソサエティー五・〇の区分をお出ししてございますけれども、これは釈迦に説法でございまして、政府及び経団連も含めて、ソサエティー五・〇の世界を築こうというふうに考えてございます。  その中で、一番のポイントは、今までは情報社会というものの中に私どもがおりましたけれども、これが、データ社会の中に我々が入ってくる、ちょうど今過渡期にあるということでございます。そのデータ社会の中では、これらのデジタルプラットフォームを使うことによって、多くの方々がそのバリューチェーンに入り価値をつくり出すことができる世界、そしてまた、これらを使って人間社会課題解決をできる社会、さらには、これらの両方の価値創造というものを通して人間社会の持続性が可能になる社会、これらのことを目指しているのがソサエティー五・〇であるというふうに私どもは理解をしてございます。  その次のページが、世界デジタル・ガバメントランキング、二〇一八年のものでございます。  これはもう皆さん御存じのとおりでございますけれども、私自身の私見では、これらの、データを中心としたプラットフォームという観点から考えますと、やはり人口がやや少ない方が先にプラットフォームをつくりやすいということもあるのではないかなということでございます。現在は日本は七位に位置をしてございまして、まさにこれからデータ社会に入る中で、プラットフォームを積極的につくり上げることが非常に重要な時期に入ってきているということであろうと理解をしています。  その次のページ、価値創造、イノベーションに向けた各国の動きというページでございます。  各国、今まさに、ガバメントサイドでは今申し上げたようなランキングでございますけれども、本当に各国が、二〇二五年から二〇三〇年に向けて、AIデータ、それから5G、それから量子コンピューターというようなプラットフォームをイノベーションの核として整備しようとしてございます。アメリカ、中国、そしてEU、そして、今ブレグジットで話が出ておりますけれども、イギリス、ドイツ、そういう国が、非常に大きな、政府主導でリードしていこうという力が、動きが見えてございます。  そういう中で、その次のページでございますけれども、ICTの価値は一体どこにあるんだろうかということを少し、釈迦に説法ではございますけれども、お話を申し上げたいと思います。  まず、ICTのコンポーネンツは三つございます。それは、コンピューティングパワー。それからネットワーク。コミュニケーションネットワーク、ITネットワーク、両方のネットワークでございます。さらには、ソフトウエア、それとデータ。これらがコンポーネンツ、三つの大きなコンポーネンツというふうに考えられます。  これらのコンポーネンツを合わせると、非常に価値のある機能をつくり出すことができます。それがやはり三つございまして、一つはリアルタイム性。リアルタイムに処理できるという能力。二つ目がダイナミック性。ダイナミック性と申し上げているのは、データを集めると、そのデータから全く違う価値をつくり上げることができる、ダイナミカリーにつくり上げることができる、それがダイナミック性でございます。三番目はリモート性。一つの価値をある一カ所に提供するだけではなく、多くの箇所に同時に価値を提供できる能力を持つ。このリアルタイム、ダイナミック、リモートというのがICTの基本的な重要な機能でございまして、これらが本当にいろいろなサービスの中でどこまで取り込めているのか、それを検証する上でも、この機能からサービスの価値を評価するということができるのではないかというふうに考えてございます。  そういう意味で、価値創出のためのプラットフォーム構築において意識すべきことということで、若干迫ってございますけれども、ICTの能力の最大化と基本機能の最大限の入れ込み、今申し上げたリアルタイム、ダイナミック、リモートでございます、この機能を最大限入れ込むためには、どういうようなコンピューティングパワー、どのようなネットワーク、どのようなソフトウエア、これらを使い切れるプラットフォームを用意すべきなのかということであろうと思います。  次は、これらをつくり上げるのはサイバー空間でつくり上げるので、サイバーセキュリティーなくしてサイバー空間は守れません。そういう意味で、セキュリティーが非常に重要であるということ。  そして、電子政府という観点では、デジタル三原則、既におつくりいただいてございますけれども、デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップというような観点。これは、リアルタイム、ダイナミック、リモートの機能と同じような観点で、横軸で物を見る上で非常な重要な、プラットフォームの能力又はプラットフォームのレベルということを判断する上で重要であろうというふうに思います。  その次のページでございますけれども、では一体、今申し上げたコンピューティングパワー、ネットワークの能力、ソフトウエアの能力は一体前と比べてどう違うんだ、なぜ今なんだというようなお話が出るかと思いますが。一九九三年から一九九五年、ちょうどこのころ、私どもデジタルの携帯電話を手に入れました。ですから、そういう意味では我々にとっては非常に重要な年ですけれども、最近、私どもの会社の中でも二十五歳以下の者が入ってございますので、なかなかその話をしてもぴんとこないんですけれども、そのころから比べてどのぐらい能力が上がってきているかということでございます。  コンピューティングパワーから申し上げますと、一九九三年から二〇一八年、この二十五年の中で、コンピューティングパワーは二百五万倍になってございます。二百五万倍と申し上げましてもなかなかぴんとこないんですが、三百六十五日掛ける二十四時間掛ける六十分掛ける六十秒を二百五万で割ると、十五秒です。ということは、一九九三年のときに一年間かかっていたプロセッシングタイムが、今は十五秒でできます、簡単に言えば、それだけのリアルタイム性を人間社会は力として得ました。この力をどうやってうまく使って人間社会課題を解くのか、更に高い価値をつくり上げるのか、これがDXのポイントであろうと思います。  もう一つ、ネットワークで申し上げますと、モバイルのネットワークは約百万倍になってございます。これは当時、CD一枚読み込むのに百五十時間かかりました。今、5Gをこれから導入しようとしていますけれども、これだと〇・五秒で読めます。ということは、更に物すごいデータ量を一気に読み込む能力と一気に処理する能力を人間社会は今得ましたということであります。この二つの力を使ってどういう価値を出すプラットフォームをつくり上げることが重要なのか、これが、今いろいろな国が模索し、それをリードしていこうとしているということであろうと思います。  その次のページ、若干砕けた表でございますけれども、実はこれは、私自身が読み間違えましたということの意味合いで出しているんですが。  実は、二〇一〇年から私は社長になりました、六年間やらせていただきましたが、その間に将棋がAIに負けました。その将棋とオセロの間が、実は十の百六十八乗倍の数の差がございます。それが約三十年かかって克服された。  その次、当時出てきたのが囲碁でございますけれども、囲碁と将棋の間が十の百三十四乗倍の数が違います。だから、そういう意味では、三十年はかからないけれども十年ぐらいかかるんじゃないかというふうに私は踏んでいたのが、当時、私が社長のときのイメージでした。しかしながら、たった三年で囲碁がAIに負けてしまいました。  ということは、やはり、我々の思っている以上に、コンピューティングパワーを使い、AIというものがそれに伴って力をつけ、これらを使うことによって価値を創出できる能力が示されたということだと思うんですね。  ビッグデータというのも、三年から四年ぐらい前に突然答えが出ましたけれども、日本の中でも、喜連川先生を含め、ビッグデータの研究というのはずっと前からされていて、その証明もされています。  ただ、三年前にそのビッグデータという言葉が出てきたのは、ビッグデータそのものの価値もありますけれども、それはリアルタイム性の価値です。リアルタイムに処理できることによって、ビッグデータが物すごい価値を更に増している。それこそが価値であって、ICTの世界のいろいろなプラットフォームが重要であるという証拠であろうと思います。  その次のページは、先ほど申し上げた、情報社会からデータ社会に今移っている、まさに我々はそのはざまにいるんだということを申し上げました。  情報社会の中では、情報が価値の源泉でございます。ところが、データ社会に移りますと、私どものこれから入っていく世界は、データが価値の源泉になります。情報データからつくり上げているんですけれども、あるデータの部分集合から情報というものはつくり上げられます。ですから、その情報をベースに我々はいろいろなものを演繹的に考えて、ある原理原則みたいなものをイメージし、それをベースにして価値をつくり上げるということをいたします。  データ社会に入りますと、データをベースに、ぽんと、情報という段階を飛ばして、原理原則を探してしまいます。それがAIです。AIというのは、データから原理原則をぱんと探し出せる能力のことをいいます。そうであるとすると、データは、非常に広い範囲を扱える能力を今コンピューティングパワーは持ちましたから、データの範囲が広がれば広がるほど、広がった中での最適化を図ることができるということです。  ですから、今までは、情報社会であると部分最適に特化していたけれども、これからは全体最適の答えをつくれる可能性が出てきましたということですね。だから、非常に大きな価値を、AIを含め、又はデータをうまく、プラットフォームをつくり上げさえすれば、できる可能性があるということです。  その次は、これは私どもが既にやらせていただいているAIの価値です。セーフティー領域、それから医療の領域。そして、右の一番上の日配品の需要予測というのは、あるコンビニエンスストアで、次の日のおにぎりが何個必要だ、それからサンドイッチが何個必要だというようなことを推定して注文を、私どもがしました。この結果として、次の日に捨てる食材が四〇%減ったんです。これはフードロスをなくすという意味で非常に価値があります。いずれにしても、こういうAIがもう既に価値を出し始めているという状況が出てまいりました。  その次のページは、更にその全体最適というイメージをするというのはどういうことなのかということで、少し例を、一個だけ例を申し上げます。  御存じだと思いますけれども、実は、私、日本ロジスティクス協会の会長もやらせていただいていて、初めてこのデータに触れるわけですが、日本の一年間平均のトラックの積載率、運転手さんが足りないとおっしゃっていますけれども、実際は四〇%です。  もしこれが、いろいろなロジスティクスのデータを集めて、それにAIをかけてあげれば、先ほど申し上げた全体最適の答えがつくれるので、四〇%が六〇%になるかもしれない。もし六〇%になったとすると、一・五倍の能力を持ったことと等価なので、運転手さんをふやさないでも一・五倍の能力を持ったことになるかもしれない。  さらには、運転手さんのアレンジメントの中で、働き方改革ですね、今、九州から北海道へ行ってお帰りになられると、多分一週間、ほとんどおうちにはお帰りになられないんだと思うんですが、それを一日で行って帰ってくるような仕組みができるかもしれない、そうしたら働き方改革自体も大きく変えることができるかもしれない、これがSDGsにも結びついてくるんだろうと思います。  最後に、その価値を実現する上で、どういうところをもう一度意識しなきゃいけないかということを申し上げたいと思います。  ここに書いてある三角形は、人間社会、それから上の、サイバー空間というのがあるんですが、今申し上げたように、物理社会からデータを吸い上げてAIをかけてあげると、何らかの全体最適、最適解が得られます。しかしながら、その最適解を実際の物理社会に落とそうとすると、どうしてもインターフェースが必要ですね。サイバー空間でつくられた解答というのはアイデアルなわけですけれども、そのアイデアルなものを本当に物理社会に落とすためには、そこに物理社会とのインターフェースをつくる必要がある。  この物理社会のインターフェースというのがない限り答えが実現しないので、ここのところを含めた、サイバー空間の解とインターフェースの部分のアーキテクチャーをつくることがとても重要になります。ここのアーキテクチャーをつくるというのが、実は実際の物理社会の価値を実現する上でとても重要だということでございます。  二つ目に意識しなきゃいけないことということで、いろいろなプラットフォームをいろいろな企業さんがおつくりになられますが、最後、バリューチェーンを結んだりサプライチェーンを結んだりします。チェーンを結ぶということは、チェーン全体で価値をつくることになりますので、どこか、とても小さい、これは今小さい丸をつけていますけれども、デジタルトランスフォーメーションの、小さいプラットフォームインプリメンテーションがあったとすると、構築があったとすると、トータルで見ると一番小さいところに合ってしまうんですね。  サイバーセキュリティーでイメージするとわかりやすいと思いますけれども、サイバーセキュリティーが低いところに攻撃がかかります。ということは、ほかのところで高いレベルのアレンジをしたとしても、最後は一番低いところが、そのネットワークのチェーンの、バリューチェーンの又はサプライチェーンのレベルになってしまうんです。ですから、みんなシンクロナイズして上げていくということが非常に重要になってまいります。  最後は、まとめということで、今申し上げたこと全体のまとめということで、デジタルトランスフォーメーションによる価値創造を推進するためには、セキュリティーを含めたプラットフォーム能力の進化を常に意識して、シンクロナイズしたプラットフォームの構築が必要と。進化のレベル自体も我々意識をしなきゃいけないので、そういう意味で、企業の規模を問わずに、価値創造する上で、プラットフォームをつくるためには、経営者認識がとても重要だというふうに感じてございます。  それから、データ社会は、先ほど申し上げたように、全体最適の価値をつくり上げることができる世界でございますので、特にサイバー空間と物理空間のインターフェース、これがない限りは価値実現できません。そういう意味で、ここの部分のアーキテクチャーを明確にすることが重要であろうというふうに思います。  最後は、やはり、常にサイバーセキュリティーでも問題になりますけれども、人材でございます。人材育成をする機関、そういうものがあることが非常に望まれるということでございます。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
  96. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、野中参考人にお願いいたします。
  97. 野中誠

    野中参考人 東洋大学の野中と申します。  きょう、このような場で意見を述べさせていただくことを非常に光栄に存じておりますとともに、責任を感じて今この場に立っております。きょう、こういった形で十五分ほどお時間をいただいて、意見を述べさせていただきたいと思います。  お手元に御用意した資料、一枚のものがございますが、あわせて、こちらの、緑色の参考資料も随時触れながら意見を述べたいと思っております。  まず、私のバックグラウンドをちょっと簡単に御紹介した上でお話をしたいと思いますけれども、ソフトウエアエンジニアリング、中でもソフトウエアの品質のマネジメントということを中心にやっておりまして、さらには、経営とソフトウエアを中心としたITシステムの利活用ということを専ら研究及び教育しているというのがバックグラウンドになっております。  そういった過程で、どちらかというと、かなりソフトウエア開発の現場にいらっしゃる方と長らくコミュニケーションしながら今に至ってきているということで、そういった特に現場の方々との交流も含めた上でお話をしていきたいというふうに思っております。  まず一つ目ですけれども、お手元にございますように、私は、今回の法律の目的の改正のところに非常に賛同しております。何かと申し上げますと、情報処理システムの良好な状態を維持することでその高度利用を促進していく、良好な状態を維持するというこの一言が私は非常に重要な意味を持っているというふうに認識しております。その理由については、後ほど、二番、三番でお話をしていきたいと思っております。  そのようなことを通じて、戦略的な利用、さらには高度な情報社会の実現ということを目指しているということで、この目的に関して賛同しているということをまず申し上げたいと思っております。  では、なぜ良好な状態が必要であるかということなんですけれども、二番目に書きましたけれども、ソフトウエアのシステムというのは技術的に負債になりやすいというふうに書かせていただいております。  当然ながら、ソフトウエア、コンピューターのプログラムを中心としておりますので、物理的に何か劣化するということは当然あり得ないわけですけれども、ただし非常に複雑な論理的な構築物である。例えば、実際のシステムでは、何千万行ですとか、大量なシステムとして実現されている。ソフトウエアのアーキテクチャー意味ですね、社会全体のアーキテクチャーではなくて。  ソフトウエアのアーキテクチャーを適切な状態にして、またプログラムの内部の状態の品質を維持していかないと、あっという間に維持管理が極めて困難なシステムになっていく、こういった性質を持っているということになっております。  特に、昨今のシステムですと、非常に大規模、複雑化が進んでおりますので、こういったものに対して、残念ながら、現実の世界を見ておりますと、必ずしもきちっとしたトレーニングを受け切れないまま、あるいはシステムの全体像が見えないまま、部分的な修正を、改修を繰り返して、本人は悪意があってやっているわけでは全然ないんですけれども、ただ、全体のアーキテクチャーが見えない中でその場の課題を修正すると、実は思わぬところで副作用が出る。こういった問題が非常に負担になっておりまして、そういったことで、品質の問題ですとか、あるいは、システムの健全な状態を維持管理するために、非常に多大な、コストだけではなく、精神的にも負担を感じて現場のエンジニアの方が取り組んでいるというのが現状と私は認識しております。  そのように、論理的に劣化していくわけですけれども、したがって、二番目に書いておりますけれども、改修の費用が当然かかるだけではなくて、それによるふぐあいのリスクというものも出てくるわけです。  なかなかちゃんとしたデータはないんですけれども、やはりこういった大規模なもので、手を入れて、システムを変えて新しいビジネスに合わせていきたいと思っていても、今までのシステムが足かせとなってしまって、では、これを直していこうにも、今動いているものをとめるわけにいかないというような状況で、なかなか手が出せないという状況になっていたりするというのが多々あります。  いろいろ、悪い話だけではなくて、うまくいっている企業さんの話を見ておりますと、やはりアーキテクチャー、ソフトウエアのアーキテクチャーをどう変えていくのか、そういったことをしっかりと考えて、先を見据えた、システムの全体構造を見直して、また時には一旦つくり直してということをしながら、システムの健康な、健全な、良好な状態を維持するということに取り組んでいらっしゃるところももちろんあるんですけれども、私の主観的なイメージでは、全体を見ますと、そういったところの方が少ないケースかなというふうに思っております。  現場で、そういった技術的な負債に対処しようと思って、いろいろな技術的な工夫に取り組んでいます、あるいは開発のプロジェクトの単位でのマネジメントをいろいろやっているんですけれども、やはり根っこの部分は、その利用企業情報システムあるいはソフトウエアの利用企業の利用の仕方というところを、この企業がこのシステムをどのような考え方で使っていくのか、そういったところがなかなか経営層と十分にコミュニケーションができていないというようなことがありまして、そうしますと、現場で何とか工夫をしようとするんですけれども、そもそも、もうそのシステムを別のものに変えた方がはるかに効率がいいこともあるんですけれども、なかなかそこのコミュニケーションがとれていないというような話が実態としては多いのではないかということを考えております。  そういった背景の中で、昨今非常に話題になっているDXの話ですけれども、これを進める上で、三番目に書いておりますが、二〇二五年の崖と呼んでいるような、ここの克服と、さらには、デジタルガバナンスというふうな言い方で呼んでおりますが、この二点が大事だろうというふうに考えております。  DXの話の中で、二〇二五年の崖という言葉は、お手元のこの緑色の資料ですと十六ページから出てまいりますが、昨年、これは私がかかわったわけじゃないんですが、DXレポートが出まして、非常に産業界で大きなインパクトを持って見られている資料になっております。  何かといいますと、この中では、技術的負債に対して克服するべきということを書いております。ですので、先ほども申し上げておりましたような、特に現場のシステム開発にかかわっているエンジニアの方々が非常に、そういった取組に関心を持っている。  諸外国のDXに関する研究等を見ますと、余りここの、二〇二五年の崖といいますか、技術的な負債というところはさほど重視しておりませんで、むしろ、経営層がどのような考え方でDXを推進するか、そういった組織的な観点ですとか戦略的な観点が非常に多く議論されているんですけれども、ここでは、こういった技術的負債から抜けていくことの重要性を述べているということになっています。  それを示す資料も、お手元の方に御用意いただいているので、こちらを参考にしたいと思いますが、ページは飛びまして、六十八ページになりますけれども、六十八ページの左上のグラフが、八割の企業レガシーシステムを抱えているというような形で、多くの企業がこういった、単に時間的に古ければ悪いということではないんですけれども、そういった、時間がたってしまって、結果的に維持管理が難しい状態になっているシステムが多いということが問題なわけですね。古いから問題というわけではありません。また、今の六十八ページの右側の真ん中になりますが、七割の企業レガシーシステムDXの足かせとなっているというようなことを言っているわけです。  今、DXは非常に関心が寄せられておりまして、新たな取組をしていこうにも、既存システム、例えば顧客のデータを維持管理しているシステムが、昔から使っているシステムで、そことの連携をするときに、なかなかうまく、新たなシステムを導入して、既存システム連携させながらサービスを加えていこう、高度化していこうということがなかなかしづらいという状況がこういったところにも示されているかと思います。  そういった形で、諸外国の研究論文等を見ていますと、余りこの技術的負債ということには着目されていないんですけれども。  とはいえ、実際に、例えば、諸外国の例で申し上げると、シンガポールのDBS銀行ですとか、こちらはDXを推進して、昨年、世界一位の銀行として評価された銀行なんですけれども、こちらも、今取り組んでいる事例はさまざまな新しいデジタルサービスの例が出てくるんですけれども、実態は、大分前にこういった基盤となるシステムを刷新していて、こういったレガシーシステムの問題を克服した上で新たなサービスを展開しているということがあります。  また、レゴというおもちゃの会社もありますけれども、あちらも、いっとき経営危機を迎えたんですけれども、やはり基盤となるシステム、ものづくりのシステムを刷新していて、そういったことを通じて新たなサービスを提供していて、おもちゃの収益だけではなくて、デジタル面からの収益の流れもつくっていった。こういうような事例も多々ありますので、やはり技術的負債の克服というところに目を向けていくことは必要ではないかというふうに思っています。  もちろん、技術的負債の話をずっとしておりますが、ここだけが重要というわけではございませんで、お手元、またページは飛びまして、二十二ページに戻りますけれども、こちら、ことしの春から夏にかけて私が座長を務めさせていただいた有識者会議の中で、デジタルガバナンス・コードを考えていこうというような形で図にまとめたものがございますけれども、このようなものをさまざまな実業界の方と一緒に検討したというものが出ております。  何かといいますと、先ほど申し上げましたように、経営者が、みずから、自社のITがどのような位置づけになっているのか、こういったことを投資家を含むステークホルダーに説明をしていくんだ、そのときに、では、どのような原則を説明するのかということをまとめたわけですが、この場で詳細は割愛いたしますけれども。やはり、狙いは、もともと一つ参考にしたものとしましては、コーポレートガバナンス・コードというものがございますけれども、上場企業が守るべき原則といったものがございます。  こちらと同じように、デジタルガバナンスということで、先ほどの、繰り返しております技術的負債の問題ですとか、あるいは、企業としてデジタル技術をどのようなビジョンでどのように活用していこうと考えているのか、そのために、では、既存システムの何をどう変えていく必要性があるのか、その結果はちゃんとモニタリングできているのだろうか、こういったことを表明してステークホルダーに説明していく、こういったことを求めていくべきではないかというような形で、デジタルガバナンス・コードというふうなものをまとめた次第になっております。  こういった形で、技術的な負債から脱却をした上で今のようなデジタル戦略を考えていくということをステークホルダーに伝えていく、こういった枠組みを考えていこう、このようなことに取り組んでいる企業に対して認定制度を設けるべきではないかというようなことが、今回の骨子の一つかと認識しております。  最後、お手元に用意した資料の四番目ですけれども、では、果たしてそこに国が関与すべきかどうかということですが、こちらは正直、賛否両論いろいろあろうかと思っております。なんですけれども、私としては、国からこういったものを後押しするということが、非常にメリットの方が大きく上回っておりまして、また、今このタイミングを逃すと、またより一層、諸外国からおくれることになってしまうのではないかというふうに考えております。  一つには、こうした認定というものが、デジタルガバナンスの取組がすぐれた企業を認めるという認定制度ができた場合に、その認定を取ることを目的にしてしまうような、どうしてもこういった副作用といいますか取組が出てしまったりですとか、あるいは、優良認定をしたはずの事業者がセキュリティー事故を起こしたというときに、では、果たしてこの制度そのものの信頼が揺らぐことにならないかなどなど、さまざまな懸念があろうかと思います。  また、そもそも、DXを進めるのは企業、それぞれ事業体の責任であって、国が本当にこれをデジタルガバナンス・コードとして求めるべきなのかというところも議論はあろうかと思っております。  しかし、今まで私もIPAの委員を幾つかやったりですとか、あるいはさまざまなレポートを書いたりして、IPAからいろいろな、テクニカルレポートなり出すんですけれども、なかなか、そういったガイドラインのとおりに、ガイドラインが普及していくというのは非常に難しくて、その意味では、このような形で、DXの取組をデジタルガバナンス・コードというものに基づいてステークホルダーに表明していくことを法案として求めていく、さらには、そういったことが、それぞれの企業が自分たち企業DXのロードマップを考えることにつながりまして、また市場との対話が促進される。  これは先ほどの有識者会議の中でも、投資家の方からの御意見があったんですけれども、やはり企業の中のITというのが非常に見えないと。見えないんですけれども、物すごく大きなリスクになりますし、また費用負担というのも非常に大きなもので、投資の観点から見ても非常に、企業ITの状況というものは重要な要素なんだけれども見えないというところが大きな懸念だということも御意見がありました。  そういったことを全て、全部細かく出すのはちょっとどうかと思いますけれども、一定の取組について、企業ITの資産の状況等をきちっと説明していく、このようなことが促進されることが、結果的には、産業界のDX促進、全体の底上げ、あるいはトップの企業をまたつくっていくということになるのではないかなというふうに思っております。  ということで、以上で意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  98. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、白坂参考人にお願いいたします。
  99. 白坂成功

    ○白坂参考人 慶應大学の白坂と申します。  本日は、このような場にお呼びいただき、ありがとうございます。  私の方は、きょう、システムアーキテクチャーという、ちょっとわかりづらい言葉資料がタイトルになっているものですが、先ほど遠藤会長ですとか野中先生からも、部分ではなくて全体を見なければいけない、部分最適ではなくて全体最適という言葉とつながってアーキテクチャーという言葉が紹介されましたが、このアーキテクチャーというのは、そういった全体を見ようとするときにどうしても持たなければいけない考え方というものになります。この前にシステムというのをつけています。  先ほど野中先生が、ソフトウエアアーキテクチャーという言葉システムアーキテクチャーという言葉を使い分けていらっしゃったんですが。ある分野に限って使うと、例えばソフトウエアの分野に限って使うときにはソフトウエアアーキテクチャーといいます。システムアーキテクチャーと使うときには、すごく幅広い意味で使いまして、いわゆるITシステムシステムのときもありますけれども、社会システムと言われる、これもまたシステムですので、社会システムアーキテクチャーも入ります。あるいは、組織も、組織システムと呼ぶ方もいらっしゃいます。  ですので、システムアーキテクチャーというと、ある小さい分野に限らず、幅広く捉えるときのアーキテクチャーというときにシステムアーキテクチャーという言葉を使います。  では、ページをめくっていただきまして、最初の「アーキテクチャとは」。  アーキテクチャーという言葉自体が、片仮名で、これは何を言っているんだという話を実はよく言われる言葉でして、ここにISOの定義とかいろいろ書いているんですが、すごく簡単に言いますと、どういったものとどういったものがどう関係しているか、たったこれだけなんです、アーキテクチャーというのは。なので、何と何とをどう関係させたかということ、これがアーキテクチャーだと思ってください。  そうしたときに、下に、ホワイトなボックスと、中に十字架が描いてあるボックスがありますが、例えばある範囲の町のアーキテクチャーを考えるときに、例えば、暮らしやすい町にしようというときに、みんなが自由にできる町がいいよね、自由に移動できて、何でも自由に移動しやすい町にしようというので、例えば左側の、何も要素をつくらないアーキテクチャー、つまり、みんな自由に自転車に乗っていい、バイクに乗っていい、車に乗っていいというアーキテクチャー、町もできますし。例えば右側、これは、十字架のところは例えば車しか通れない道路としますと、暮らしやすいというのは、けがをしない、事故に遭わない、なので、車だけは道路をちゃんとつくろうよ、ほかの白いところは車以外は自由に動けるようにしようと。これも一つアーキテクチャーなんです。なので、右側になりますと、車の通る道というところとそうじゃないところという二つの要素を、今回はたまたま、真ん中に十字架、四つの隅に自由に動けるところという要素で構成したアーキテクチャーという形になります。  もちろん違う形もできまして、ここには描いていませんが、縁取りで、四角の周りに車が動ける、真ん中は自由に動けるというアーキテクチャーをつくることもできます。  これは、どういった目的のために何がいいんだろうというその全体的なイメージを持った人が、こういう町がいいんじゃないかというのをアーキテクチャーという形にあらわしてくるというものになっております。ですので、要素要素間の関係を何らかの目的のためにつくり出す、これがアーキテクチャーという概念になります。  次のページに行きます。  アーキテクチャーの役割です。  今話をしましたとおり、全体構想を考える、これが実はアーキテクチャーの最も大きな役割になります。ですので、要素として何をするのか、要素間の関係性をどうするのか。先ほどの自動車道をどうするのか、そうじゃないところをどうするのか、これがまさにアーキテクチャーということになるんですが、これをやろうとすると、範囲が広くなればなるほど、利害関係者、先ほども野中先生がステークホルダーという言葉を使っていましたが、利害関係者がふえてきます。例えば町ですと、そこに住んでいる人、働く人、移動する人はみんな利害関係者になります。  そのときに、例えば先ほどの四角の中でいうと、右隅の右下に住んでいる人が、自分が車をいっぱい使うので道路はなるべく近くがいいよねというので、すごく自分の近いところに道路をつくると、反対の隅に住んでいる方からすると道路が遠くなる。いやいやいや、それはちょっと自分にとってはという話がもちろん出るわけです。  というふうに、いろいろな人たちが絡んでくるので、じゃ、みんなで合意できるアーキテクチャーとは何だろう。それを議論する場が要る、あるいは議論する土台が要る。そのために、このアーキテクチャーというものを使いながら、全体の構想はこういうものであるということを見せていくという形になります。これが一つ目です。  もう一つは、相互接続性を高めるというのがあります。まさに、ソサエティー五・〇というのは、これまでつながっていなかったもの、サイバーとフィジカルも含め、全然違う分野も含め、これをつなげていくと。つなげていくことによって、データを活用し、人にとって人間中心の新たな価値をつくっていく。これがソサエティー五・〇のベースだと理解しております。  このときに、民間とここに書いておりますが、何か一部の人たちだけが考えてつくると、どうしてもその部分の部分最適、最初に遠藤会長がおっしゃったみたいに、やはり部分最適についついなってしまう。それはまあ仕方がない。その範囲しか見ていなくて、自分たちにとってはこれが全体なので、そこが最適になるようにすると。でも、今までと違うところとつながるとなった瞬間に、もしかするとそれは最適じゃないかもしれないということが起きます。  例えば先ほどの町の例でいうと、車をみんながたくさん乗る町だと、いかに車が走りやすい町にするかが最適になります。一方で、隣の町は実は自転車をすごく乗る町だとしましょう。そうしたら、自転車で移動するのが最適な町になります。これをつなげようという話になったときに、左から右、右から左に行くのがすごく行きづらくなる。車に乗った人、自転車に乗った人はその間をどう行き来するかというのをやろうとすると、これは相互接続性が低いという言い方をするんですが、うまくはつながらなくなる。  そういったときに、じゃ、どういうふうにつなげやすくしていこうか。こういうルールをつくっておいて、じゃ、まあ車の道路はこういうふうな感じでつなげていこうとか、自転車の道路は必ずこういうふうに入れるようにしておこうというルールさえ決めておけば、それに従った人たちの町はどんどんつながっていくことができる。そうすると、今までつながっていなかったものもつなげるためのアプローチをつくることができるようになります。  この一つ一つの独立したものをシステムと呼んだときに、複数の今までとは違うシステムをつなぐと、システム・オブ・システムズという言い方で専門的には言うんですが、自分たちの範囲をちょっとこう広げると、今までとは全然違う同士でつながなきゃいけなくなる、そのときに使うようなアプローチとなっています。  このときに、では何を考えるか。さっきの、車の道を考えなきゃいけない、あとは自転車の道を考えなきゃいけない。ほかに何を考えなきゃいけないんだろう。これは、考える要素がどれだけあるんだろう。これが最初から抜けているとうまくいかないので、じゃ、考える要素を決めてあげましょう、これだけ考えましょうという、これが実はリファレンスアーキテクチャーというものでして、リファレンスとして、相互接続性のためには、これとこれとこれを考えましょうみたいなことが決まっているものがあります。  それをうまくやっている例が幾つかありまして、右下にちょっとだけ図を書いていますが、これはRAMI四・〇というものなんですが、ドイツ政府がインダストリー四・〇、インダストリー四・〇というのは工場をつなげていきますので、それがつなぎやすくするためにリファレンスにする、参考の、先ほど何を考えなきゃいけないかをまとめたものとして用意したものです。これは、リファレンスアーキテクチャーモデル、インダストリー四・〇という名前でついておりまして、こういう立体構造になっているんですが。  実は、こういったもの、これのベースとなったのがスマートグリッドのリファレンスアーキテクチャーというので、最初には、ドイツとフランス、CEN、CENELECという標準化団体が提案してきたものがあるんですが、こちらも同じようにスマートグリッド、高圧系から配電して低圧に入って車がつながるときに、みんながどんどんつなげやすくするために何を考えておかなければいけないかを参考につくったものなんです。そういったものを使っていくと、後から来た人たちがどんどんつながって、今までつながっていなかったものをつなげていくことができる、そういったもののベースになる、これもアーキテクチャーの役割になります。  次のページ、引き続きアーキテクチャーの役割なんですが、人の行動を促すということにも実は使うことができます。これは、ハーバード大学のレッシグ教授という方が言ってすごく有名になったんですが、アーキテクチャーによって人の行動を促すことができる。  これは例えばの例で書きましたが、道路を無断で渡ったら危ない、もちろん車のところをどんどん渡ったりしたら危ないので、信号というものを用意して普通は渡るようにする。でも、信号も、信号無視をして渡る人たちも出てくるわけです。だったら、最初から、もし仮に、道路に全て壁をつくってしまえば渡りようがないわけですね。つまり、最初からできない設計にする、できないアーキテクチャーにするということもできます。  これをうまくやったのが、新幹線がまさにそうですけれども、新幹線は最初から人が渡れなくすることによって事故が起きにくいということを実現した例です。ああいった、実際に、最初から起きないように、人の行動を促してそういうのができないようにすることによって、嫌なことが起きないようにする、あるいはいいことが起きるようにするということをアーキテクチャーで実現することもできます。  次ですが、全体像の可視化というのがあります。  これはまさに全体俯瞰というときに、全体を見るときに、全体の構図がどうなっているんだろう、何と何がどんなふうに関係しているんだろう、要素は何があるんだろうというものが、やはり自分たちの経験だけだとついつい自分の知っているところしかわからない。それが、いろいろなものがつながったときに、知らないところとどういう関係になっているのか。先ほど野中先生が、自分がいいと思ってやったら全然違うところに影響が出るみたいな話がありましたが、これがまさに、起きるときにこういう全体像があると、ああ、自分にとっていいと思ってやったけれども全体を見たら悪い方になっちゃった。こんなことがやはりあるわけなんで、そうならないように、全体の構想図とか見取り図とかそういう言い方をしますが、こういうものに使います。  これは、先ほどの道路の例ですと、実際、道路は見えるのでわかりやすいんですが、デジタルは残念ながら見えない。これがやはりすごく大きくて、デジタルで何がどうなっているかというのは、誰かがそれを意図的に見える形にしてあげないとわからないということになります。  ですので、まさにソサエティー五・〇でサイバーとフィジカルが融合してくると、フィジカル側は見えるんですけれどもサイバー側が全くわからない。こちらをあわせて見せることによって、サイバーとフィジカルはこうつながっている、だから、ここをこうすれば全体はこうなる、ここをこうすると全体はこうなってしまうということがわかる。このためには、どうしてもこの見える化が必要である。  あとは、幅が広くなればなるほど、関係するステークホルダーがふえてきます。そうすると、先ほどの話みたいに、自分の専門の部分もあれば、自分たちにとってみると余り知らないところもある。でも、これは知らないからといってほっておくと、さっきのような、わからないからというのでやってしまってよくないことが起きたりするので、わからないところをなるべくみんなでわかるようにする。そのために可視化をしてあげて、全体がこうなっているんだ、なのでどうするかという議論を多くのステークホルダーを交えてやっていく。これが重要になりますので、その土台としてこのアーキテクチャーを使うという形になります。  最後の、アーキテクチャーの役割としてはイノベーション源泉ということで、先ほど申しましたとおり、どうつなげていくかの標準的なものを用意しておいてあげると、新たに参入する人たちが、ああ、ここはこうやったらつながる、こうやったらデータが使えるということがわかりますので、今までやってきた人しかだめというのではなく、暗黙的なのではなく、新たにスタートする人たちが新たな知見を持って、例えば新しいAIを持ってきて新しいサービスを始める、そのためには、やはり新しく入ってくる参入者、これをしやすくする必要がありますので、このベースとなってくる。なので、これがクローズでつくってしまうと使えませんが、これをオープンにしながらやっていくというので、アーキテクチャーの役割となっているという形になります。  では、そのようなアーキテクチャーに関して世界はどういう動向かというのを次のページに書きました。網羅的に書いているわけではなくて、抜き出し的に書いているんですが。  緑の冊子にも書いてありましたが、最も有名なのが、NIST、アメリカの標準化を行っている研究所なんですが、こちらが、スマートグリッドのフレームワークというもので、まさに先ほど申しましたとおり、スマートグリッドというのは、一社が電力をつくって使うところまで全部を見ることはもちろんなくて、いろいろな会社、いろいろな企業、いろいろな分野の人たちが参入するということで、この全体のアーキテクチャーをどうするかというのを、リファレンスをつくりました。それをもとに、いろいろな分野に今は展開しているんですが、こういった活動をやっています。  ほかにも、MIT、大学ですけれども、MITはエンジニアリングシステムズという、今はデパートメント名が変わりまして、IDSSとそこに書きましたが、データシステムソサエティーのインスティテュートという名前になりましたが、プロダクト、例えば、電気自動車を単独でつくるのではなくて、電気自動車とインフラとそれを使うルールとを同時に設計する。つまり、ここはハードウエアでやる、ここはソフトウエアでやろう、ここはルールにしてしまおうみたいな形のことを同時に考えていくということを研究とか教育しているデパートメントなんですが、そういったところも出ている。こういったところでアーキテクチャーという概念を教えているという形になります。  欧州の方ですと、先ほど少し言いましたCEN、CENELEC、ドイツとフランスの標準化団体ですが、スマートグリッドでリファレンスアーキテクチャーというのも出しましたし、インダストリー四・〇では産学官が連携しながら、先ほどのRAMI四・〇を始めとしていろいろなアーキテクチャーにかかわる活動をやっていると。教育もやり、人材育成もやっているという形になります。  日本ではどういう形になっているかといいますと、先ほど野中先生がソフトウエアアーキテクチャーという話をしましたが、分野ごとにはアーキテクチャー専門家というのは実はいらっしゃいます。例えば、まちづくりももちろん専門家がいらっしゃいます。ですので、スマートシティーの分野でもスマートシティーのアーキテクチャーをやっている方々がいらっしゃいます。  ですので、分野ごとのこういった知見というのは実はたまっているんですが、これは、いろいろとつなげていこうということはどういうことかといいますと、分野で閉じないということになりますので、いかに分野を超える人をつくっていくかというのが重要になってきます。これはやはりなかなか簡単ではない。  ですが、この知見というものを横に使えるようにしていく。そういったところがないといけないんですが、残念ながら、今、日本ではそれがない。アメリカではNISTというところがそれをやっているわけですが、日本ではそういったところは現状ありません。  大学での教育ですと、私がいます慶應のSDMというところですが、こちらではもちろんそういったところを研究科として全体として教えているんですが、しょせん小さな大学院ですので人数も限られています。我々は社会人が中心の大学院なので、働いている人たちが実際に仕事に使うということもできるんですが、日本ではまだまだそういった大学院も限定的ですので、分野ごとに教えている先生方はいらっしゃるんですが、なかなか分野横断で、例えば、ソサエティー五・〇を支えるように新しい価値を生み出すための分野横断をやるようなところ、これは残念ながらまだまだ少ないという形になります。  最後のページになります。  日本でのアーキテクチャーの活用なんですが、まさにこのデジタルというところ、これを活用し始めると、どうしても可視化をしなければいけない。ですので、デジタル技術を活用した新産業あるいは分野横断的な産業、こういったものには必ず必要になってきます。  あと、既存産業でのDX化、これは今までサイバーを使っていないところをどんどんサイバーにしていくということですので、見えなくしていきます。ですので、これを見えるようにする形にすることによって、実際に全体の俯瞰ができるようになっていくという形になりますので、こういったところはデジタル技術の理解ですとか活用が重要になってきますが、こういった分野で必要になります。  もう一つは、アーキテクチャーを描くと、じゃ、どこを標準にしようか、どこは標準にするのをやめよう、つまり、どこが自由に参入できるようにしようか、そういった議論のベースになりますし、ここは新しいからちょっと実証をやってみる必要があるよねという話もできます。あるいは、ここはルールでこうできないようにしないといけないよねという議論のベースにもなりますので、そういったベースとしてなっていくという形になります。  こういったことをやっていく組織として、ある産業に特化しますと、そこの、狭い範囲の議論になりますので、産業界から中立で、しかしながら産業界もステークホルダーですので、そことちゃんと協創ができる、そういった組織が必要になります。ここでは、いろいろな専門家を巻き込んで、多様な利害関係者で議論をしながら全体を決めていく場が必要になってくることになります。  人材面なんですが、残念ながらなかなか人がいないというのが現在この分野でして、とにかくどこかに場をつくり、今まで個の経験者はいますので、これを横にちゃんとトランスファーする場所がないと、何か知見をためる場所がないといけないということで、そこが一番の課題かなと思っていまして、今後は、ソサエティー五・〇を進めるためには、ここの分野の人材、全体を俯瞰してどういうふうなアーキテクチャーにするかを決める人、これをつくっていくというのが大変重要だというふうに認識しております。  以上になります。ありがとうございます。(拍手)
  100. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  次に、実積参考人にお願いいたします。
  101. 実積寿也

    ○実積参考人 中央大学の実積と申します。  思い起こせば、三十年ぐらい前に、官僚の一年生だったときにそちらの方に座っていまして、三十年かかってここまで来るんだと、ちょっと感慨深いところがあるんですけれども。  もう四人目で、DXという言葉とかさまざま出てきているんですけれども、私は、今までのお三方と違いまして、主として大学で教えている経済学というものの観点から、少し今回の法律案について考えてみようというふうに思っております。レジュメは一枚になります。  まず、初めに考えなきゃいけないのは、今回考えていることがデジタル技術に関する投資ということであります。  デジタル技術とかICTとか、昔はITとかと言ったものですけれども、これに関しては経済効果があるというような、さまざまな形でいろいろ言われているわけで、いわく、日本IT投資というのはアメリカより低いので何とかふやすべきだとか、ICTを投資をすることによってGDPの押し上げ効果があるとか、今後の少子高齢化社会を考えるとICTを使って生産性を上げていくことが重要であるというふうな形で言われております。  実際に、さまざまなところでその研究結果というのが出ているわけなんですけれども、大事なことは、ICTをただ投資するだけじゃだめだということです。ICTをただ投資するだけでは単純に資産が積み上がるだけで、先ほどレガシー資産の問題とかが出てきましたけれども、大事なのは、それにあわせてビジネスモデルというか仕事のやり方、産業構造自体を変えないと、ICTの潜在能力が単純に発揮されない。単純というのは、要らない資産をどんどん買ってきて、それを倉庫に積み上げておく、かつてケインズの話がありましたけれども、穴を掘って埋めるだけでも経済は大きくなるんだという話がありましたけれども、全く同じことになってしまう。  ちゃんと投資する必要がある。きちんと考える。そのためには、投資目的に関して、きちんと、私がやったところでは、投資目的については、のべつ幕なしというか、単純にコスト削減のために投資するのは余り効果がなくて、お客さんに向けて新しいサービスとか価値を生み出すためにつくる、それで初めて効果が出るというふうな効果とか、あるいは、業務改革とか合理化の施策というのは、ちゃんと企業の中でもICTを使えるように構造改革をしていただかないと十分な効果が出ないというふうな結果が出ています。  もう一つ言えば、技術。新しい技術がどんどんどんどん日進月歩の形で、技術者の人は提案していただけるんですけれども、技術を見ただけでは、それをどういうふうに使うかが実はよくわからないものが多いです。  例えば情報投資。インターネットとかクラウドを使うことによって企業内あるいは市場との会話、コミュニケーションの効率は非常に上がっております。そのことによって企業に何が起きたかというと、非常に巨大な、グーグルとかフェイスブックというような超巨大な企業ができる反面で、すごく小さな企業、パパママショップといいますけれども、例えば、私がここに持っているスマートフォンがそのまま世界とつながって商売できる、そういうふうな大きな企業も小さな企業も両方できるということになります。そういうことを考えますと、技術があるからそれに対し何をすべきかというのを決めるというのはなかなか難しい。要は、使い方、どこに使うか、何の目的で使うかが大事だということになります。  さらに、そういった経済分析をするためにはどうしても過去のデータに基づいて分析しなきゃいけないんですけれども、過去のデータがだんだんだんだん使いにくくなってきている。例えばICTとかDXで使うクラウドベースのことを考えますと、かつては、各企業投資をしていって、それがBSの中にちゃんと反映されて、投資収益率という形で分析できました。ただ、最近はクラウドベースなので費用になっています。費用になってくると考え方が当然違いますので、投資の収益率をどう計算するのか、今のデータを過去のデータとどう接続して分析するのかというのが非常に難しい状況になってきています。  なので、ここで言いたいことは、今我々が持っている知見、今の知見というのはもう過去のことです、過去のことをそのまま未来に当てはめるというのは、かなり注意しないと、我々はとんでもないところに連れていかれるのではないかというところが一つ目です。  二つ目になりますが、その中で、最近出てきたプラットフォームと言われている人たちです。GAFAと言われるのがその代表になりますけれども、GAFAはこれまでの我々が考えているような企業と行動原理がかなり違います。  ここにいろいろと、ムーアの法則とか規模の経済とかネットワーク効果とかさまざま書かせていただいておりますが、短期的には、特定の市場において一つ企業がそれを総取りするという状況になります。大きければ大きいほど強い。マーケットでお客さんを集めるほどそのサービスが価値がある。しかも、AIを使って、AIデータをベースにアルゴリズムをよくしていきますので、一旦アルゴリズムがよくなるとどんどんどんどんよくなって、加速度的にその性能を増していくということになりますから、なかなか、先行事業者に追いつく、それを追い抜かすというのが難しいような市場になってきています。  ただし、技術は進歩していきます。ムーアの法則、先ほど遠藤会長の方からありますけれども、十年で百倍、二十年で一万倍、三十年で百万倍の性能アップがあります。そうすると、どこかの段階で市場はごっそりと入れかわります。その入れかわり方も、競争事業者が切磋琢磨してだんだんだんだんマーケットシェアが逆転するという方法ではなくて、全く今まで考えもしなかったところから新しいプレーヤーがやってきてその市場をごそっと入れかえる。マーケットティッピングという言い方をしますけれども、そういったことになります。  そうすると、均衡点というか、今の現状では、誰が勝っているかというと一番の事業者が勝っている、ほかの二番手以降というのは余り意味がないという状況になりかねない。ただ、じゃ、それが次のヘゲモニーをどうやって狙っていくかと考えると、そのヘゲモニーはどこから来るかというのは、恐らく、我々は過去の経験にとらわれてしまいますから、そうそうなかなか新しい、ここが勝ち筋なのでここに投資すればいいとなかなか言えないということがあると思います。  なので、プラットフォームで、技術進歩のスピードを考えますとなかなか将来というのは考えられないし、一旦勝つと、しばらくはその市場支配力が続いて十分な超過利潤を得られるというのが今のマーケットの状況になります。  さらに、三点目ですけれども、問題があるので、じゃ、政府が何らかのサポートをしていきましょうというのが今回の法律の趣旨だというふうに理解しておりますが、何でもかんでもサポートしてもいいというものではない。我が国の市場メカニズムというものの効率性というのをある程度信じていきましょうというふうな社会だと私は信じておりますが、そうすると、産業政策というものが本当に価値が出るというためには、一定の条件というのがあるというふうに工学的には言われております。  今回は、特定の事業者に対して政府の保証をつけていくことによってサポートするということですけれども、場合によっては、特定の事業者じゃなくして、そこにお金を供給する金融市場、ベンチャーキャピタル市場の育成といいますか、そういった方向の方がより効率的だったりするということになります。  あるいは、十分な情報政府が特定の産業に関してサポートを行うということは、政府として、特定の産業が今後のヘゲモニーを握っていただけるんだ、将来的に、現在のその市場を支配しているところに成りかわって、新しい産業構造をつくっていくキープレーヤーになるんだという確信が必要なわけですけれども、なかなかそれを、どこの事業者が今後勝っていく、どこの産業セクターが今後キープレーヤーになっていくのかというのはなかなか難しいし、それは、政府だからというわけじゃなくして、新しい情報というのは基本的に我々が知らないところから出てくるという、冷淡な事実からによるわけであります。そういったさまざまな条件を満たさずにやみくもに政府が関与するというのは基本的に避けるべきであるというのが経済学の結論になります。  その上で、裏面になりますけれども、今回の法律内容について、少し、詳細といいますかポイントを絞って議論させていただきますと、まず、改正目的に関しまして、デジタル技術の進展のもと我が国の産業競争力を維持するためというのは非常に大切なことなので、この点に関しては心から賛成しております。  ただし、神は細部に宿るといいますが、実際にこの法律を運用していくときというのは、細心の注意が必要である。下手にというか不用意に介入すると、かえって市場の効率的な資源配分を損ないかねないというのが私の懸念するところです。  そのためには、少なくとも三つ、どこに支援するのか、具体的にどの企業にどのタイミングで支援するのか、しかも、その支援のときに、本当に政府政府保証をつけるのが望ましいのか、あるいは場合によっては情報提供にとどめた方がよくはないか、あるいは資本市場、ベンチャーキャピタルのマーケットを育成する方に注意して、もっと幅広い観点で見た方がよくないかということを常に考えないと、かえって効率性を損なうのではないかというのを懸念します。  各論にいきますと、改正法の第三章に「情報処理システムの運用及び管理に関する指針等」というところがあります。ここにはポイントが恐らく二つありまして、政府がきちんとした指針を策定できるかというところがあります。これは経産省の能力が低いと言っているわけでは全くなくて、経産省は一生懸命やっていただけるんですけれども、やはり最先端の技術というのは霞が関じゃないところから出てくる。大学の研究室だったり、海外とか、あるいは我々が今まで考えていない途上国の研究者、途上国のガレージで生まれるかもしれないという状況で、我々がどういった正しい将来見込みを持てるかというのは、ここは大きなクエスチョンマークが出る。  僕らが持っているデータというのは、例えばGAFAがすごいという話で皆さん議論されることが多いと思うんですけれども、GAFAが勝っていたのは今までであります。今後、GAFAにかわるプレーヤーというのがどういうところから出てくるか、我々は何の知識も持っていない。AIとも言われています。先ほど言ったように、AI技術です。どういうふうに使ったらどういう形で産業にどう役立つのかということを、我々は何ら知識を持っていないということになります。  今回、DXとかデジタルガバナンスという言葉が使われています。緑色の資料でいきますと、十五ページに、DXの定義というものが載っております。経産省さんの定義だと、企業ビジネス環境の激しい変化に対応し、データデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに製品やサービスビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位を確立すること。これは、定義ではないと僕は思います。  デジタル技術を使ってうまくいったところ、競争上の優位を確立というのは、要はマーケットシェアをとるということなので、マーケットシェアを確立するのがいいということなので、実際にこれを適用するためには一体何をすればDX、ここで言うDXは成功するデジタル投資になるのかという情報は、十分な制度運用はできないというふうに私は思います。  もちろん、これは経産省だけではなくて、その前のスウェーデンの大学のエリック・ストルターマンの定義も同じようになっていまして、ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に進化させること。ICTを活用するということはもちろん生活をよくするためなので、これは定義ではなく、単にトートロジーの話です。  そうすると、実際の制度の運用に当たっては、では、どういう技術をどういう形で運用したら一番望ましいのかという指針がないと、この制度は運用不可能であるというふうに思っています。  もう一方、将来の話なので、では、曖昧に書くことが考えられるんですが、曖昧に書くと今度はその解釈が問題になります。  今回の指針というのは、後で述べますけれども、一定の経済的インセンティブが伴っております。経済的インセンティブが伴うときに自由裁量の余地があるということは、各企業投資をよくするということにも当然リソースを使うんですけれども、その自由裁量、解釈を自分の企業に都合のよいようにしようというふうに行動する可能性があります。レントシーキングといいます。これは、経済的には完全に資源の無駄遣いというふうになります。しかもそれは、企業経営にとってみたら将来の不確実性というか企業のリスクをふやすことにしかつながりません。  という意味で、指針は大事だし、今回の法目的は非常に大事なんだけれども、その運用に当たっては、もう少し具体的で明確な、企業にとってきちんと信頼できるというか、自分のやっていることが後でひっくり返されないといいますか、そういった不確実性をなくすような制度づくりが必要であるというふうに考えます。  さらに、指針というのがありますけれども、これはボランタリーだと認識しておりますが、政府がボランタリーと言うのは民間企業にとってボランタリーかどうかというのは、大きなクエスチョンマークがつくというふうに思います。  基本的には義務づけになるかもしれない。特に今回は経済的なメリット、政府の保証がつきますので、政府の保証がつくためにはこのDXの指針というものに乗らなければそのメリットが得られないということであれば、企業としては当然、それに最適化して企業コードを変えてきます。  先ほど遠藤会長の方から、シンクロナイゼーションという言葉がありました。各企業はそれぞれの意思決定をするというのが市場メカニズムですけれども、各企業がさまざまな方向を向いていったら、日本全体としては非効率なことになりかねない。そういうときに政府が、これが大事なんだ、ここにみんな注力しろ、この方向に頑張りましょうと言うのは、フォーカルポイントといいますけれども、日本全体のパワーを結集するために非常に重要な情報になります。ただ、その情報が曖昧なものであったり、あるいは実際に実行不可能な、解釈によっては非常にあるものであるということになると、想定する効果というのはなかなか難しいだろうなというふうに考えるところです。  そのほか、政府保証をつけるというのは、金融市場における価格を変えるということに等しくなります。価格を変えるということは、それ以外の、今回はDXの対象、特定の事業者、特定の産業を対象にしている可能性はありますけれども、それ以外のところに影響が出ます。価格に対する操作をするのはできるだけ少なくした方がいいというのは、経済学的な知見になります。  例えば、そこに書いていますけれども、認定というものを入札参加条件にして政府がキーテナントになるとか、そういうことをすれば、価格に影響を及ぼさず、実際には、ネットワーク効果とか、参入の障壁のためになかなかうまく市場でサービスをテークオフできないような企業に対しては実際的なサポートができるようになるかもしれないといったこともあります。  なので、認定の指針というのを具体的に考える、プラス、その開示の方法というのをできるだけマーケットのメカニズムを損なわないようにするというのが必要かなというふうに思います。  さらに、今回の認定の業務に関しましては、情報処理を推進するIPAの方に業務としてお願いするというふうなスキームになっているというふうに理解しております。基本的には、IPAがやっても霞が関がやっても、それほど変わりはないというふうに僕は認識しております。  大事なのは、IPAが決める、決めるというか、IPAが運用する指針の認定、あるいは経産省でつくられる指針に関して、民間の知恵というか、できるだけ多くのステークホルダーから自由な意見を入れていただきたい。  そのためには、改正法の五十一条の一項の八号に、調査研究という、IPAで調査研究を行いますというところがあるんですけれども、そこをできるだけ活用していただいて、今回、白坂先生野中先生のような詳しい学術の方がいらっしゃいますから、そういった方も呼んで、できるだけ広い目で指針というものをつくっていく。更に言えば、一つのこの方針が成功するんだという確信は残念ながら学術界はできないというふうに僕は思っています。  なので、複数の指針、Aという指針だけではなく、AもBもAダッシュもBダッシュもありますよというふうな複数のトラックというものを追求するようにしないと、なかなか変化が激しくて、実際の担当者も、担当者というか実際のキープレーヤーも、次の競争者はどこから来るんだという、戦々恐々としてというような、このプラットフォーム主導型経済の中で、意味のある目的というか、民間の努力の結集ポイントというのを見つけるのが難しいだろうというふうに思います。  ただ、繰り返しになりますけれども、今回、少子高齢化を迎えて、産業競争力を維持するためにこういった法案が必要だという趣旨には賛成であります。  以上です。ありがとうございます。(拍手)
  102. 富田茂之

    富田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  103. 富田茂之

    富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。星野剛士君。
  104. 星野剛士

    ○星野委員 自民党の星野剛士でございます。  四人の参考人の方におかれましては、まことに意義深い、また率直な御意見をいただきましてありがとうございました。  それでは、時間も限られておりますので、順次質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず遠藤参考人野中参考人にお伺いをしたいというふうに思いますが、デジタル化を進めていくことで、世界での競争力を高めることが可能になっていく、また、自然環境にも優しい、今SDGsとよく言われておりますが、持続可能なビジネスモデルをつくることもできると。ただ、企業側の思い切ったビジネスモデルの変革、思い切った投資が必要となると思うんですが、きょうも御説明、また意見も言っていただきましたけれども、どうも企業は取組が全体としておくれているのではないのかなという認識に我々は立っております。  そこで、政府の思い切った後押し、環境づくりと言いかえてもいいと思いますが、後押しというものが必要なのではないかという問題意識を持っているんですけれども、それぞれお考えを御開陳していただければ幸いでございます。
  105. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 先生、ありがとうございました。  確かに、ビジネスモデルの変革という観点では、まだ本当にデータ社会に入った入り口に我々はおりまして、どういう領域にどういう価値を出していくのか、それを、いろいろ自分たち企業の特徴を生かしてやっていこうという最中だと思います。そういう意味では、ビジネスモデルがまだまだでき上がっていないというのは、現状そのとおりかもしれません。  ただ、私が思いますに、やはりデジタルトランスフォーメーションで重要なのは、先ほど申し上げたように、我々、インフォメーションの、情報社会からデータ社会に入りましたという観点で申し上げますと、データ社会に入ったときのキーは、価値源泉データにありますということであります。そうであるとすると、我々企業側も価値を出そうとしたときに、そのデータがしっかりとどこかにプールされている、又は使えるプラットフォームがある、又は集めるプラットフォームがある、そういうことがしっかりとでき上がることがとても重要で、そういう観点では、企業単体でそれができるわけではなく、政府を含めた、プラットフォームを構築するための後押しというものは絶対的に必要であろうと思います。  例えば、先ほど申し上げたロジスティクスの問題、それからヘルスケアの問題、こういうところも含めて考えますと、大きなデータプラットフォームをつくればつくるほど、高い価値のヘルスケアができるし、高い価値のロジスティクスができるということにほかなりませんので、そういう意味での後押しはぜひお願いをしたいなというふうに思います。  それから、シンクロナイゼーションというふうに私申し上げました。それは、バリューチェーンの中に入るためには、あるレベルを自分の中に、企業の中に持たないと、プラットフォームのレベルの力を持たないと、中には入れないんですね。  そういう観点からも、今経産省さんや何かでは、サイバーセキュリティーの観点で、中小企業さんに対して、いろいろな助言をする仕組みであるとか、又は保険の仕組みであるとか、そういうことの手当てをしていただいています。そういう観点で、中小企業さんも含めたバリューチェーンに入るための後押し、これもとても重要なポイントであろうと思います。  ぜひそういう部分を後押しいただいて、日本全体がレベルを上げていくという努力が必要かと思います。  御質問ありがとうございました。
  106. 野中誠

    野中参考人 御質問ありがとうございました。  まさにおっしゃるとおり、後押しが非常に大事であろうというふうに考えておりまして、先ほども最後のところで、国の後押しが非常に大事であろうと。先ほどの御意見にありましたように、注意深い設計をしないと問題が起き得るというのは重々承知した上なんですけれども、やはり今回は後押しというものが必要になるだろうというふうに考えています。  先ほど申し上げたデジタルガバナンス・コードの有識者会議の中でも、いろいろな議論があったんです。  やはり現場で今いろいろな取組をされているんですけれども、例えば、では、AIを使って何かできないかですとか、いろいろな技術を試すということの取組がなされているんですけれども、取り組んでいるんだけれどもそれが実際のサービスの高度化につながっていかないですとか、あるいは、何のためにこのAIを使って試していたんだろうというのがよくわからないままプロジェクトが終わってしまうですとか、もちろん悪い例だけではないんですけれども、そういったことが実際に起きているというふうな話を多々聞いております。  やはり経営層に、ビジョンを持って、それでどうこのデジタル改革の中でビジネスを変えていくのかというようなところをつなげていくためには、やはり国の後押しというものが入っていかないとなかなか進んでいかないのではないか。進める上では十分に副作用が出ないような配慮が必要というのはあるかと思いますけれども、やはり、現場でいろいろな取組があったりですとか、あるいは経営層の指示として新しい技術を試してみようということはあるんですけれども、それがどうもまだ有効につながっていない。  今、取り組んでいないということが言えない状況になってきているかと思うので、いろいろな取組はされているんですけれども、では、果たしてそれが本当に各事業者のロードマップに乗った形になっているかというところで、そういったことを求めるような今回の法案で後押しをすることで、より経営層と現場なり、事業者あるいはIT部門が三位一体となった形でDXがちゃんと進んでいく、そういったことに今回の法案というのは大きな後押しになるんじゃないかというふうに考えております。  以上です。     〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕
  107. 星野剛士

    ○星野委員 ありがとうございます。  次の質問に移りたいと思いますが、アーキテクチャー設計の必要性について、白坂参考人にお伺いをしたいというふうに思います。  最初、私もこのアーキテクチャーを聞いたときに、何のこっちゃという感じでありまして、非常に概念的に難しいのかなと思ったんですが、先生の御説明で、概略ですね、概略理解をさせていただいた。大きな意味での全体を俯瞰した設計図であるというふうな捉え方をさせていただいているんですが、実際にアーキテクチャーの設計はどのような主体が行っていくことが重要なのかという点についてお伺いをしたいと思います。  アーキテクチャーがしっかりと構築されていればどういうメリットが生じるのか。また、NISTの例も出していただいておりますが、海外の先行事例で参考にすべきところがあれば教えていただきたいなというふうに思っております。  先生も説明の中で、全体像の可視化、そして大きな方向性を産官学で議論可能とする土台というふうに言及をしていただいておりますので、またその観点でも御教示をいただければ大変ありがたいなというふうに思います。
  108. 白坂成功

    ○白坂参考人 御質問ありがとうございます。  まさに、今回のアーキテクチャーというものが対象の範囲がすごく広いものになっています。  ソフトウエアアーキテクチャーとか、例えば、アーキテクチャーというのはもともと建築用語なので、建物というふうにやると、すごい専門家専門家だけで議論すればいいんですが、今回は、どちらかというと、新しい産業の構造をどうしようかとか社会の構造をどうしようかという話になりますので、その場合には、とにかくいろいろなステークホルダーがどうしても、参加するというか、生活にかかわってくるといいますか、アーキテクチャーにかかわってきます。  そうすると、誰か特定の人にすごく利害が及ぶところがやってしまうと、どうしても、まあ、その人はそのつもりがないかもしれないですが、知識があるものですから、そこがどうしても詳しくなって決まってしまうというのが出てしまいますので、なるべくいろいろな利害関係者から中立性を保ったところ、ここがアーキテクチャーの設計を、リードすると言った方がいいかもしれないです。  残念ながら、一人で全部の分野がわかる人なんて、そんなスーパーマンはいませんので、やはり専門家、いろいろな分野の専門家を束ねて、ファシリテートしながらアーキテクチャーを一緒に決めていく、議論しながら決めていく、そういったような場が必要だなと。なので、そういった場を用意して、そこに人を集めてやるような感じであるかなというふうには思っていますので、そういった組織系、そういった人たちのいる場所ができればいいかなというふうには思っています。そうすることによって、自分の分野に特化しない、部分最適にならない形で、全体のメリットになるような方向性がつくっていける。  これが多分アメリカがNISTを使った理由だとは思うんですが、NISTというものが研究機関でありながら標準化というものをリードする研究機関なんですが、この全体、いろいろなものがかかわるところを設計しますと、アーキテクチャーを決めますと、どこを標準化にしてみんなが参加しやすくするかですとか、逆に、どこは標準化しないで強みを中に入れておくか、こういった議論ができますので、多分、そういった、概念から全体を決めて、新しい産業を生み出すのに役立つところを標準化に決めていこうというので、中立的なNISTというところにやったのかなというふうに思います。  もう一つは、研究所にしたという理由は、多分、実際にやる人と、あとは、研究としてこういったことをやはり進めていきながら、新たな考え方ですとか新たなアプローチをつくっていくということも多分念頭にあって研究所に置いたのではないかなというふうに思っていますが、それがうまくいっているのがまさにアメリカの例だというふうには認識しております。  以上になります。ありがとうございます。
  109. 星野剛士

    ○星野委員 ありがとうございます。  また、最近、この秋も大変大きな台風の被害とかがございました。  その点について、また、災害におけるIT化の必要性、もう少し言うと、ICT化なんだというふうに思いますけれども、遠藤参考人にお伺いをしたいなというふうに思っておるんですが、今回の台風十五号では、特に千葉県で復旧見通しの甘さなどが指摘をされております。これは、ITを、システムを使えば改善することも見込まれるのではないのかなというふうに思っています。  特に、電力のシステム、ちょっと調べさせていただいたんですが、比較的早期にシステムをつくり出していますので、過去からの情報システムが分野分野でそのまま残ってしまっているというところも散見がされます。  そして、まさに、言いかえれば、レガシーシステムの問題が内在をしているというふうに捉えてもいいのかなというふうに思いますが、ここでは、災害時に被災者や自治体に対して、地図情報システムなどを活用して迅速に情報を提供することができなくて、現状をそのまま放置しておくとまた被害が拡大する可能性すらあるなというふうに思っております。  電力に関しては、スマートメーターの活用など進展している面もありますけれども、さらに、ドローンを活用したり、携帯、スマホの写真情報などを地図のアプリに落とし込んでいく。残念ながら、地図アプリもうまく使えていなかったんですね、今回は。ここら辺も改善をしていかなければならないというふうに思うんですが、これに限らず、全体の災害対応も含めて、DXデジタルトランスフォーメーションをどう進めていくべきか、御教授願えれば大変ありがたいなというふうに思っています。     〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 御質問ありがとうございます。  私のきょうの発表の中に、ICTの特徴という観点から、三つの機能が重要だということで、こう申し上げました。それは、リアルタイム性、それからダイナミック性、それとリモート性でございます。  今先生から、災害時のICTの使い方、可能性があるのではないか、さらには、いいソリューションを提供できるんじゃないかという御質問でございました。  まさに、先生がおっしゃられたことは、データをリアルタイムに集め、そのリアルタイムに集めたデータから、ダイナミックにソリューションをつくり上げ、そのソリューションをベースに、リモートも含めて、何らかの形でソリューションを提供するということであろうと思います。  その間には、ドローンというようなセンサーもあろうし、又は、最近ではスマホを使った、いろいろなコメントを集めることによって状況を認識し、どこにどういうソリューションを提供することこそが、災害の対応で一番いい、効果的なもの、プライオリタイズをしたらいいのかというようなことも答えが出ると思うんですね。まさに先生おっしゃっていただいたような形で、そのICTのいろいろな仕組みを災害時の対応のために使うということは、非常に高い可能性もございますし、高い価値を生むというふうに私は考えます。  ただ、そのときにどういうツールを使ったらいいのか、又はどういうソリューションをあらかじめ用意しておいたらいいのか、その辺も含めた災害ソリューション、ICTソリューションというのがあり得るというふうに理解をいたします。
  111. 星野剛士

    ○星野委員 ありがとうございます。  次に、IT人材の必要性についてお伺いをしたいと思いますが、この質問野中参考人と白坂参考人にお伺いをしたいと思います。  時間が限られておりますけれども、ここが大事だ、人材育成でここが大事だというポイントに絞ってお答えをいただければ大変ありがたいというふうに思います。  まず、デジタル化の進展に伴いまして、AIIoTなどさまざまな技術が登場をしております。それらに対応できる知見を持ったIT人材のニーズは高まる一方だというふうに思っていますし、特に、今回の法改正でも、DX推進やアーキテクチャー設計等に対応した人材の確保、育成についても同様のことが言えるんだと思います。  DX推進に必要な人材、人材育成策について、どのようなものが考えられるでしょうか。また、特に白坂先生に聞きたいんですが、アーキテクチャー設計についての人材育成、こういう点が必要なんだというところ、ほかのIT人材と少し違うのかなというふうにも理解しておりますので、その点についてもお答え願えればというふうに思います。よろしくお願いいたします。
  112. 野中誠

    野中参考人 御質問ありがとうございます。  ポイントを絞ってということですので。  やはり、固有技術の面とそれからビジネスの観点、さらには、先ほど実積先生がおっしゃったような、経済学的な観点で、何をするとどういった副作用があり得るのかというような、こういうことを、なかなか全てを深く理解するのは難しいと思うんですけれども、少なくともそういった視点を持った教育というのが必要になってくるかと思っております。  一つだけ申し上げると、実は文科省の方でenPiT―Proという社会人向けの人材育成のプログラムがありまして、私も早稲田大学と連携でやっているんですけれども、まさにそこが、今のAIのテクノロジーですとか、さらにはビジネスモデルを考えるですとか、こういった取組をしておりますので、なかなかスケールしづらい面ではあるんですけれども、そういったことをやはり着実にやっていくということで、固有技術ビジネスの観点、さらには経済学的な観点で、何をするとどういった副作用が起き得るのか、そういう幅広い目で見られるような人材をいかに育成していくのか、そういったところが大事なのではないかというふうに思っております。  以上です。
  113. 白坂成功

    ○白坂参考人 御質問ありがとうございます。  ポイントでいいますと、知識と経験の二つなんです。  知識は、新卒、いわゆる学生の人たちに植え込む知識だと実はうまくいかないんです。経験を持った人に知識をもう一度教えるというのがすごく重要でして、我々の研究科は、実は八割ぐらいが社会人学生で、二割ぐらいが新卒と言われている学生で、同じ授業をやるんですが、やはり社会経験をした人は学ぶ量が全く違う、身につける量が全く違いますので、知識と経験の、知識は、いかに社会人に理論的な知識をつけていくかというところが一つ重要になります。  経験の方は、今回のアーキテクチャーでいいますと、違う分野のアーキテクチャーの設計経験、これをいかに積ませるか。同じ分野ですとやはりその分野に特化したやり方になるんですが、分野を超えて違うのをやる、経験させる、これが重要かなというふうに思っています。  以上になります。ありがとうございます。
  114. 星野剛士

    ○星野委員 ありがとうございます。  大変参考になりました。特に、知識と経験の分野でいいますと、一定の社会人経験があって、社会で活動した経験がある方が知識をもう一回持つ、それが非常に効果的だというお答えもありました。これは年齢はないのかなというふうに思いますが。  しっかりと、これは常にIT人材の場合、不足をしている、どんどんITまたICTも世界が変わっていきますから、それになかなか追いついていかないというところがあるんだと思いますが、ここが一番重要な部分だと思いますので、ぜひとも、きょういただいた御意見を参考にしながら、しっかりと政策を前に進めてまいりたいというふうに思いますので、今後とも御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  115. 富田茂之

    富田委員長 次に、鰐淵洋子君。
  116. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。  参考人の皆様、本日は、お忙しい中、国会までお越しいただきまして、大変にありがとうございました。  今回、それぞれのお立場また視点から、我が国のデジタルの現状とまた課題とをお伺いすることができました。本当に私、全く素人でございましたが、何となくイメージが湧いてきまして、大変に参考になりました。ありがとうございました。  早速質問をさせていただきたいと思いますが、まず、遠藤参考人にお伺いをしたいと思っております。  御承知のとおり、今回の法改正の一つの大きな目的といたしまして、ソサエティー五・〇社会の実現ということが掲げられております。  日本におきましては、特にIT分野のデジタル化は進んでいると思っておりまして、例えばPASMOやLINEペイなどを始めとするキャッシュレスの決済、こういったものも浸透してきておりますし、また、ちょっと前の話になりますが、無人掃除機ルンバ、こういったものも登場してきておりまして、私たちの日々の生活の中で新たな技術の活用が進んできていると実感をしております。  そういった中で、先日、シーテックを視察させていただきまして、遠藤会長からも、空飛ぶ車ということで御説明もしていただきました。ありがとうございました。実際にこういったものを見せていただきまして、いろいろ、日本社会、地域でも課題はありますけれども、そういった中で、このソサエティー五・〇社会というのは、私たち一人一人が、夢だったり希望を与えられることができたり、また一人一人がよりよい生き方、生活をするということで、やはり人を中心とする社会をつくっていくということを大目的に、それを一番大事にしながら進めていかなければいけない課題だと私も思っております。  そういった中で、改めて、遠藤参考人に、このソサエティー五・〇社会につきまして、どのようなお考えというか、こういうものだということをぜひともお伺いしたいと思いますし、また、私たち生活にどういう変化をもたらしていくのか、その点をまずお伺いをしたいと思っております。
  117. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 鰐淵先生、ありがとうございました。また、シーテックにもおいでいただきまして、大変ありがとうございました。  私どもが考えるソサエティー五・〇の世界、それは、ICTというプラットフォームを構築することによって、またそれにアクセスできる人たちが価値をつくりやすい世界ということがまずポイントなのではないかというふうに思います。  それは、実は、私、APECのABACという委員もやらせていただいてございますが、その中でも議論になっていて、零細中小企業方々が価値をつくるためにはやはりICTプラットフォームが絶対的に必要だろう、又は、バリューチェーンに加わることこそが価値全体のレベルを上げていくのではないかという議論がされてございます。  まさにソサエティー五・〇というのはそういう世界を目指しておりまして、ICTのプラットフォームをつくることによって、多くの方がバリューチェーンの中に入り、価値を創出し、その価値の創出というものが人間社会課題を解くためのソリューションにもなり、最終的には、そういう活動全体が人間社会のサステーナビリティー、持続性をサポートする、又は持続性に大きな貢献をするものなんだということだと思います。  先ほども全体最適というお話も申し上げましたけれども、プラットフォームをつくることによって、より多くのデータにアクセスすることができます。それによって、我々が今まで意識していなかったレベルの高い価値をつくり上げることができるということであります。  そういうプラットフォームをつくることこそが、人間社会の、例えば、医療の問題を含めても、医療というものの非常に高いレベルの価値、それは、将来的には、未病というような、お薬をいただいて何らかの病気をなくすという以前に、何らかの活動、行動をすることによって病気にならない仕組みをつくることができるかもしれない。そういうものは、まさにそのICTの領域のデータプラットフォームを含めたものをうまくつくり上げることこそがそれに大きな貢献をするというふうに私ども考えてございまして、そういう世界をつくり上げることがソサエティー五・〇であろうというふうに私どもは考えてございます。
  118. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  繰り返しになりますけれども、やはり国民の皆様一人一人のよりよい生活、生き方というところで、ぜひともこういった社会の実現に取り組んでいく必要があると思っておりまして、その上で、皆様にまた繰り返しの質問になるかもしれませんが、やはりより一層デジタル化を進めていくことが重要になってくるかと思っております。  しかし、やはりまだまだ進んでいないではないかということで、なぜ、まだまだ日本では進んでいないのか、このデジタル化が進んでいないのか、その課題、そこをぜひ改めて教えていただきたいのと、これを更に進めていく上で、どのような具体的な取組をしていけばいいのか。それぞれ、四人の参考人の皆様に、改めて御意見を伺いたいと思います。
  119. 実積寿也

    ○実積参考人 御質問ありがとうございます。  なかなか壮大な質問なので、一言では答えにくくて。  なぜ進んでいないかというところですけれども、投資を行って、効果が出ているというところまでは、実証分析、まあ、過去のデータを使ってやるんですけれども、投資後の効果は出ているというのがあります。つまり、生産性が上がったり、あるいは品質がよくなったりというところまでは分析すれば出るんですけれども、それが顧客に対する価値として歓迎されていないというところは、かつてやった研究では出ております。  あとは、一昨年にやった研究だと、投資の目的が十分にされていない。つまり、コストを下げたり価格を下げたりという方向投資を行いますと少しずつシュリンクしていくというか、あと、顧客に対して、フリンジベネフィットといいますか、無料なんだけれどもその価値が上がっている、同じものを買うんだけれども使い勝手がよくなっている、同じものを買うんだけれども何となくフィーリングがいいもの、サービスが提供されるというふうに、お金に換算されないようなサービス的なものが提供される場合には、それはなかなか経済効果として把握することができない。把握することができないということは、投資効果が十分に出ない。投資効果というのが十分に出ないと、今度は投資の収益率が上がってこないので、その分で投資に関して十分に押し上げ効果が働かないということはあるのかなというふうに考えております。  あとは、プラットフォームの状況なので、十分にマーケットの超過利潤というかおいしい部分というものが日本企業に落ちてこない。どちらかというと、巨大なプラットフォーマーのところが市場支配力を持っていますので、日本企業はそれに対して価格をたたかれてしまって、品質は非常にいい物やサービスを提供するんだけれども、それが十分な、より高い価格、マーケットメカニズムが働くと、いい物に関してはより高い価格で訴求できるというのはベースにあるわけなんですけれども、競争がどうしても激しくなってしまう。ここがもうけ口だというので皆さんそこに企業努力を集中されますと、あっという間にそこがレッドオーシャン化するといいますか、価格競争が激しくなってしまって十分な超過利潤を得られないというふうな状況が出ているのかなというふうな分析をしております。  ただ、これも今までの不十分なデータアセットをもとに分析したものなので、今後もう少し詳しく見ていく必要があると思いますけれども、今のところの感触はそうなっております。  今後どうすればいいかという話なんですけれども、やはりこれはトライアル・エラーを進めていって、勝ちパターンを見つけるしかないなというふうに思います。  特に考えているのは、今回のDXの定義にもあるんですけれども、うまくいったものを皆さん注目しようとされるんですけれども、実際は、我々が考えているのは、失敗したものにも価値があるんじゃないか、こうやったら失敗している、こうやったらだめだと。成功するというのは、たまたまうまくいったというのもあったりするんですけれども、失敗することを避けていけば、おのずから成功につながるんじゃないかというような分析をしておりまして、今データとして集めたいと思っていますけれども、なぜこの企業が失敗したのかというところのデータを集めて、それを知見というか、こういうところはやっちゃだめだ、こういうところはだめだというところが出てくればおのずから成功パターンは見えてきて、皆さんのお役に立てるのではないかというふうに考えております。  以上です。ありがとうございます。
  120. 白坂成功

    ○白坂参考人 御質問ありがとうございます。  まず、なぜ進んでいないのかなんですが、一つは、これまで日本がいろいろな面でやはり、ハードウエアの面でうまくいき過ぎていたというところもあるかと思っています。うまくいっていたので、その延長でどうしても考えてしまうんですが、今の世の中は、どちらかというと周りが変わっている状況なので、周りと自分たちがやっていることとの整合性が合わなくなってきた。  なので、周りが変わった分だけ自分たちが本当は変わらなきゃいけないんですが、本質的に自分たちが何か悪いわけではなくて、周りとのギャップが出てきたというところが、なかなかこれは気づきにくいことです。なので、そこがやはり変わりにくい、自分たちが変わらなきゃいけないというモチベーションになりにくいことだと思います。  何か失敗すれば、自分たちがだめだったんだということに気がつくので変われるんですが、失敗まで行ってしまうともう失敗ですので、本当はその前に気がつかなきゃいけない。それは、前提条件、周りの状態が変わっているということを先に気がついて、やり方を変える方向に本当は行かなきゃいけないんですが、ここがすごくわかりにくい、気づきにくいところだなというふうに思っています。  もう一つは、実は先ほどの件と同じで、やはり人がきついです。  新しいことがどんどん起きていますので、みんなどんどん新しいことをやはり学び続けないといけないんですが、日本は、正直、やはり大学を出てから学ぶチャンスが余りない。もっと言うと、やはりみんな忙し過ぎるんですかね、仕事の方でみんな経験値的には学ぶんですが、新しく出てきたやり方とか方法論ですとか、そういうのを学ぶチャンスがなかなかないところになっています。  我々の研究科は一応、社会人学生は多いんですけれども、ある一定数の学生たちに言われるのは、MBA以外にほかに行くところがなかったですというふうに実は言われます。つまり、働きながら学べるチャンスが日本はやはりすごく少ない。少ない選択肢の中でうちを選んでくれる学生たちが一定数いるということを気づいています。  ではどうすればいいかなんですが、これは難しいんですが、やはり、先ほどの失敗の例もありますが、もう一つは、私は目立つ成功例が要るんだと思っています。小さな成功例というのは、やはり余り注目を浴びないですよね。なので、重要なところでの成功例もやはりつくらないといけない。  そうすると、例えば、今回のIPAの機能強化の中では、産業デザインアーキテクチャーセンターというのがございますが、もしそれをやるのであれば、そこに本当に重要な案件を入れてやる。そうすると、アーキテクチャーをやるとこんなにいいことができるんだとか、この人がこれをやったんだというのがわかれば、では、次の案件がまたあるかもしれないときに、例えば、企業も一緒にやりたいですとか、俺たちもやらせてほしいですとか、そういう自分に自信がある人たちが集まってくるとか、それがあると、そこでまた次の成功が生まれる。もちろん、失敗があると失敗を反映するんですが、成功すれば、やはりそこで話題になれば、更にまた次が来る。  こういった、スターではないんですけれども、この人がスーパーアーキテクトだみたいなものが見えてくると、そこを目指す人たちというのが出てきて、そういう人たちは、やはり努力もするでしょうし、いろいろな経験も積もうとするという、自助努力で回る仕組み、何か支え続けないと回らないのではなくて、自助努力で回る仕組みというところに持っていくと、より早く変化するのではないかなというふうに考えております。  以上です。
  121. 野中誠

    野中参考人 御質問ありがとうございます。  先ほどの私の資料でも申し上げたところでいきますと、やはり技術的負債というところが一つネックになっているという面はあろうかと思います。  うまくいっているところといっていないところと、いろいろ見比べますと、やはり技術的負債の問題を克服した上で、よりいい人材、ITの予算というものを新しい方へ、攻めのIT投資というところへ回しやすくなっていく、そういったところが、うまくいっているところはサイクルが回っていると思うんですけれども、なかなかうまく回っていないところは、どうしても既存システムを維持管理するのに多くの予算を費やしてしまって、新しいところになかなか投資が行けないというような、こういったところで、一つには、そういった技術的負債というところにまだ対処できていないというところが、企業単位で見ると一つ課題かなというふうに思っております。  さらには、ではそこでそういったことを、繰り返しになるんですけれども、やはり経営者のリーダーシップのもとで進めていくというところが大きな鍵になっているかと思っていまして、ということは、さんざん、ずっと言われているんだと思うんですけれども、なかなか変わっていかないので、今回、こういった法案ということでより後押しをしていくということになると、やりながら、トライ・アンド・エラーになっていく面もあろうかと思いますけれども、まずはこういった大きな国としての後押しが入るということで、今まで進まなかったところが一歩進んでいく、大きな一歩になるのではないかなというふうに考えております。  以上です。
  122. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 ありがとうございます。  まず、私ども企業の観点から申し上げますと、技術がないわけではないということは事実だと思います。  例えば、AIの、WIPOがまとめた特許の数から申し上げますと、AIの特許で、日本のある企業さんは三位にポジションがございますし、私どもの会社も五位に位置づけてございます。そういう意味では、AIを含めてICT領域で、価値を出すという領域で技術は持っているということであろうと思います。  その中で、先ほども申し上げましたけれども、価値の源泉データに移ってまいってございまして、では、データをどのように集め、どのように使える状況をつくり上げていくのかというのがとても大切なところだと思います。ここのプラットフォームの構築がまずとても大切だ、日本の中ではそれが少しおくれているかもしれないということであります。  それともう一つは、先ほど先生からお話もございましたけれども、日本の文化というものが、白坂先生おっしゃったように、やはりハードウエアが中心の文化で、それが非常にうまく回ってしまっている。例えば、現金というものに対する日本の信頼性は物すごく高い。だけれども、ほかの国では、にせ札も含めて非常に横行している。そういう状況の中で、キャッシュが信頼されずにEマネーが逆に信頼性が高い、そのためにそちら側に一気に移っていく、そういう全体のムーブメントといいますか動きがある、そういうところもあるのではないかと思います。  いずれにしても、ポイントは、データをしっかりとつくり上げる、データのプラットフォームをつくり上げるという観点、それから、先ほどもお話ございましたけれども、ICT人材をしっかりと育てるという観点、そういう観点でのある意味での後押しをしていただきながら、企業も一緒に文化をつくり上げていくということが重要であろうかというふうに思います。
  123. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 ありがとうございました。  ちょっと大きなテーマになりましたけれども、それぞれの皆様から貴重な御意見をいただきまして、大変にありがとうございました。  次に、具体的な法律につきまして質問させていただきたいと思います。  まず遠藤参考人にお伺いしたいのが、今回の法改正の中で、企業デジタル経営改革を進めるために、国が企業経営における戦略的なシステムの利用のあり方を提示する指針を策定し、この取組の状況が優良な企業認定することとしています。これにつきまして、この効果をどのように考えるかということをまず遠藤参考人にお伺いしたいと思います。  この指針のことにつきましては、先ほど野中参考人にも少し触れていただいて、実積参考人からも詳しくございました。もしよろしければ、野中参考人からももう少し詳しく、どのような指針にすればいいかというポイントをぜひ教えていただきたいのと、さらに、実積参考人、もし追加があればお伺いをしたいと思います。ちょっと時間が限られておりますが、よろしくお願いいたします。
  124. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 私は、評価という観点で申し上げますと、先ほど申し上げたシンクロナイゼーション、要は、バリューチェーンに入る又はサプライチェーンのチェーンに入る、そのためには、おのおのの企業がどういうものを備えていないと、セキュリティーの観点から又はいろいろなデータを処理する能力の観点から、プラットフォームを持っていないといけないのか、そういう観点を認識する必要があろうと思います。  それが不十分であると、チェーンの中に、場合によっては入れないかもしれない。そうすると、自分たちの持っているもの又はプラットフォームというものがそういうものにたえられるものなのかどうか、又は、サイバーセキュリティー等の観点からは、十分それを満たされた形での我々のオペレーションになっているのかどうか、そういうものを認識していただく、又は、評価をみずからなかなかできないものですから、その評価をしていただくことによって我々が何が足りないのかを認識する、そういう観点がまず一番最初に重要かと思います。  経済効果というようなお話もございましたけれども、私はまずその一点、チェーンの中で我々企業一つ一つが、そういう中に入り込めて本当に価値を出せる能力があるものを持っているのかどうか、それを理解するという観点で評価というものが重要であろうというふうに思ってございます。
  125. 野中誠

    野中参考人 御質問ありがとうございます。  先ほど、この緑色の資料の、ちょっとお手元になくて恐縮ですが、二十二ページを後でごらんいただければと思いますが、今、デジタルガバナンス・コードの策定に向けた検討ということで考えた枠組みが出ているんですけれども、現段階ではこういった枠組みを考えておりますが、一言で言うと、これはDXに向けた準備ができているような企業として認定してはどうかというのが今一つの考え方になっております。  議論の過程では、よりパフォーマンスとして、実際の経営成果としてどのぐらい利益が出たのかですとか、あるいは新たな顧客がどれだけふえたのかですとか、いろいろなそういった定量的なものも含めて見るべきではないかという話もあったんですけれども、なかなか業種によっても随分違ってきますし、あるいは、そういったものを何か一義的に決められるものかということがやはり議論になりまして、正直決め切れなかったというところがあります。  今、このガイドとして、ガイドといいますかガバナンス・コードの枠組みというのは、DXを進めるに当たって、準備状況として、こういったことができていればDXをやりやすい、取り組めるだろうというところをまず表明していこうというのが一つの考え方です。  もう一つだけつけ足しますと、基本的には、コーポレートガバナンス・コードと同じような考え方で、コンプライ・オア・エクスプレーンという言い方で言っていますけれども、そのとおりに全て従うか、あるいは、従わないのであれば、自分たちがこれに従わない理由はこうなんだということを説明できればいいだろうということで、項目を全部、全てに対応しなきゃいけないというのではなくて、対応しなくていいという理由がちゃんとステークホルダーに説明できるのであればそれで構わないということで、枠組みとしては、今、お手元の二十二ページのようなものと、そのときに、準備状況をまず評価していく、その中でも個々の項目については、従うか説明するかというような、こういった形で今後その指針ができていくとよろしいのではないかというふうに考えております。  以上です。
  126. 実積寿也

    ○実積参考人 御質問ありがとうございます。  私は、指針についてよりも、指針をつくるプロセスの方が重要だと思っております。  先ほど、シンクロナイゼーションという話がありましたけれども、DXとかデジタル化については、個々の企業だけがデジタル化が進んだところで経済全体に与えるインパクトは余りなくて、むしろ、個々の企業だけではなく業界全体として、あるいは業界をまたがってDX化が進んで、それらの企業がネットワークでつながって情報を自由にやりとりして付加価値を生んでいくということが大事だと思っております。  その場合、何が問題になるのかというと、先に投資した企業というのはなかなかその成果が出るまでに時間がかかるので、誰も最初の一歩を踏み出さない。なぜ踏み出さないのかというと、ほかの企業が何を考えているかわからないということがあります。  その意味で、今回指針で何らかの目標値が定まる、それに向かってみんな努力していきましょうというならいいですけれども、それより先立って、指針をつくる過程において、関係者間の、ステークホルダー間の意見交換で、僕はこんなことを考えている、こういうことをやりたいんだというようなビジョンを共有して、それを経産省も含めて一つのものとしていくことによって全体の努力が集約するというプロセスが大事だというふうに思っていますので、指針に関してはそこのプロセスを非常に期待しております。  以上です。
  127. 鰐淵洋子

    ○鰐淵委員 以上で終わります。大変にありがとうございました。
  128. 富田茂之

    富田委員長 次に、落合貴之君。
  129. 落合貴之

    ○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。  このたびは、それぞれの専門的なお立場からの御意見、御見解、まことにありがとうございます。  まず伺いたいのですが、先ほど実積先生からGAFAについての言及がありました。これというのは、百五十年前の黒船と同じぐらい産業界にとっては大変なことが今起こっていると私は思います。  したがって、これへの対応をどうするかということが、こういう問題をどうするかにつながっていくと思うんですが、先ほど実積先生からは言及がありましたので、お三方からそれぞれ、このGAFAの評価、それから日本産業界がこれに対してどう対応するべきだと思っているか、これについてお三方から伺えればと思います。
  130. 白坂成功

    ○白坂参考人 御質問ありがとうございます。  大変難しい質問ではあるんですが、まず、GAFAがなぜ今強いかといいますと、もちろんデータをたくさん持っているというところがあるかと思います。  そういった意味では、今、世の中的に言われていますのは、日本は実はハードに関連したデータはすごくたくさん持っていると。まだ残念ながらそれが自由に使えるような状態にはなっていないんですが、実際に今GAFAが持っているデータ量というのは、生活の中で生み出されるであろうデータ量のごく一部でしかないというのが専門家意見になります。例えば東大の越塚先生らはそうおっしゃっています。  ですので、もし仮に今GAFAがまだ持っていないデータの方を、日本ハードウエアが強いということで、優先的に自分たちで活用する構造、アーキテクチャーですが、構造をつくることができればまだまだ逆転ができるはずだというのが、越塚先生を始め言われていることになります。  では、そういったことをやろうとしたらできるのかというところが次のステップになるわけですが、ここは、先ほどから遠藤会長もおっしゃっていましたが、今まで日本という国がハードウエアで勝ってきてなかなかIT、ICTの方に踏み出せていない現状を踏まえますと、個人的には急がないとそういった状況はつくれないというふうに思っていますので、いかに早く、このハードオリエンテッドな経済を回してきた我々が、いわゆるサイバーフィジカルという、ハードウエアと、フィジカルとサイバーを融合させた、デジタルを融合したところに転換できるかというところ、ここにいかに早くみんなが踏み込めるかというところがキーとなってくると思います。それさえできれば、まず一つ、大きな、まだGAFAにとられていないデータの領域はとることができるというふうに思っています。  もう一つは、今、デジタルプラットフォーマーの、まさにGAFA対策という言われ方もしていますが、きのうも会議がありましたが、あの会議の中でも、では、実際データというものをどう扱っていくか、取引の透明性をどうやっていくか、これは独占禁止法にも関連しながらプラットフォーマー対策というものが議論されていますが、あの議論もかなり重要だと思っていまして、あれは、現在は何となく規制法のように皆さん捉えているんですが、その先があるというふうに思っています。  データ企業から乖離させて、もう一度個人の方に戻してあげると、つまり、今はある会社が取引の中でデータをとっているという形になるわけですが、本来、では、データは誰のものかというものを考えたときに、今まで、何となくデータが個人のものという概念が余りなかったんですが、それをもう一度取り返すような形まで持っていくことができるとすると、新たなサービスを生む人たちが、個人の使っている、生活におけるデータをより自由に使える枠組み、産業構造ができると、全く全然違う戦い方ができると思っています。  ですので、一つは、我々が今やっている、ハードからソフト化、サイバー化というのがポイント。もう一つは、そのデータの扱いの構造、アーキテクチャーそのものをもう一度変換して、全く違う世界をつくるというのは、ソサエティー五・〇の示唆ではあるかなというふうに感じています。  以上です。
  131. 野中誠

    野中参考人 御質問ありがとうございます。  ほとんど同じような見解になって恐縮なんですけれども、やはり、今の段階で、GAFAと全く真正面で同じようなサービスで向き合えるかというと、もうそれだけでとても勝てないようなぐらいに大きな差がついているなというのは正直思っております。  一方で、日本のやはり強みとしては、物が、ハードウエアがうまく回ってきたという面もあるんでしょうけれども、実際にそのハードウエアとうまく連携した中で新たなサービスを手がける事例というのは多々出ているかと思っています。  例えばコマツのスマートコンストラクションというふうな形でも、もともとは建設機械単独のICT化というところから、建設機械を利用する現場のオペレーションを全てITでサポートしていくというような形で、うまく物の強みとITを組み合わせることで、まだまだサービスを広げていく、サービスの価値を高めていくということはあるんだろうと思っていますが、基本的には、そういった中で得られるデータを、より高度にどう使っていくのか。  ある意味では、もともとコマツのコムトラックスの中では、エンジンですとか機械の状態をデータで見て、それで壊れる前に予防保守をしていくというようなことで、大分早い段階から、二〇〇〇年始まったころからやっていました。  そのような、データをどう活用していくのかというところにより高度化をしていく、物とITの組合せのところでデータをどう活用していくのか、まだまだそこは道があると思うので、そういった取組が進んでいくと、勝てるかどうかはちょっとわかりませんけれども、少なくともサービスのレベルを高めていくことにはつながっていくのではないかというふうに考えています。  以上です。
  132. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 御質問、大変ありがとうございます。  GAFAに対抗するというよりも、先ほども少し申し上げましたけれども、日本の中の技術力そのものは非常に高いものを持ってございます。先ほど、特許の、WIPOが発表している中で、繰り返しますが、日本企業が三位におり、我々自身も五位にありということで、非常に高いランキングの中に日本企業が入ってございます。  それは、結局どういうことかというと、AIというのは価値を創出する手段を持っているということでございますので、いかに、まさにGAFAがやっているようなデータのところとリンクをする、又は日本の中でそういうデータのプラットフォームをつくり上げる、それによって、我々の持っているAIが価値を更に発揮できる領域だというふうに理解をしています。  私どもも、少し違う観点で努力をしているところがございまして、私どもの顔認証というのは、実は世界で一番の認識をしていただいてございます。これは、ある意味AIのソリューションなんですね。  AIの力というものは、やはり日本の中にはほかにもたくさんあって、それを、いかにデータプラットフォームをつくり上げてそれとリンクさせていくかという努力が必要であって、GAFAと真っ正面から何かを戦ってそれに勝つものをつくり上げていくというよりも、我々が持っている技術力そのものと、我々がこれからつくり上げていくデータプラットフォーム、それをいかに生かして世界で勝てる価値にしていくかということが重要ではないかというふうに考えてございます。  ありがとうございました。
  133. 落合貴之

    ○落合委員 これは、世界史を見ても、例えば地中海に限定して見ても、古代はローマで、その後、中世はアラブが力を盛り上げて、それが逆転したレパントの戦いというのは、やはり船の技術ですとか大砲の技術でやっと逆転して、ヨーロッパ中心の世の中がその後うわっと来た。それと同じぐらい、やはりITの分野というか、サイバー上の、ネットワーク上の分野の力によって経済的な覇権が全くがらっと変わってしまうことになると思います。やはりこれへの対応は、官も民も政治も、あと国民も挙げて対応していかなければならない問題だと思いますので、これからもいろいろなアドバイスもいただければと思います。  先ほど鰐淵理事からもありましたけれども、何で進まないのかなという問題があると思います。そもそも、この補足の、緑の資料の四十九ページにもありますけれども、浸透度、DXデジタルトランスフォーメーションの浸透度ということで、デルテクノロジーズが実施した調査、二〇一六年は十六カ国中最下位、二〇一八年は四十二カ国中最下位というようなことで、そもそも、これは危機意識もほとんどないんですよね。だから、どうやって進めようかというよりも、進めようともしていないというところが今問題だと思います。  きょういらしてくださっている皆様は意識が高いんですけれども、これは恐らく意識の壁がありまして、意識を持っている方と持っていない方で非常に差がある。しかも、経営者で持っていない方々が恐らくたくさんいる。もしかしたら、ほとんどの経営者が危機意識を持っていないから、こういう結果が出ているんだと思います。  意識の壁をどうすれば越えられるか。これは恐らく意識の壁を越えないと、全く何も、国が仕組みをつくっても難しい、前に進まないと思います。これもそれぞれの立場、見解があると思いますので、四人の皆様から伺えればと思います。
  134. 実積寿也

    ○実積参考人 御質問ありがとうございます。  意識の問題というのはやはりかなり難しい問題で、経営者方々は失敗を嫌がるという部分はどうしてもあるというふうに認識しております。その意味で、自分だけ、一人だけ先に進むということは非常に難しい。  先ほどDXのところでも申し上げましたけれども、デジタル化というのは、自分の企業だけがやるとコストカットの方に使えるんだけれども、新しいビジネスとか事業活動を効率化するには、周りの、例えば企業であればその納入事業者から仕入れ先から販売先まで、全部の情報が一括で流れて初めてデータが集まって、それが使えて、自分の企業の効率もよくなって新しいサービスもできるというふうになります。  その意味で、意識の差、意識が足りないというのは、個々の企業に訴えても多分無理なんだろうなと。個々の企業が頑張っても結局それをうまく十分に使えなくて、レガシーじゃないですけれども、新しいんだけれども使えない、眠ってしまうような資産になるというのをやはり恐れているんじゃないかなと思います。  その意味で、やはり具体策は余りここで出ないんですけれども、先ほど言いましたように、指針をつくる段階意見を交換して、うちの企業はこうやりたいんだけれどもここができない、こうやるためには取引先もこうしてもらわなきゃだめだというような問題点を出し合った上で、まあ、日本人特有かもしれませんが、みんなで一緒になって前へ進んでいくというふうな雰囲気を盛り上げないと、個々の企業に、あなたのところはデジタル化が足りないから何とかしろというのはなかなか難しいと思います。  更に言えば、デジタル化をしないということが必ずしも間違ったこととは言えないかもしれないというのは考えています。つまり、自分の企業以外の取引先とか顧客がデジタル化を進めない状況であれば、自分の企業だけ先に進めるというのはそれほどそのメリットが出ることはないだろうと。周りが進めて自分もやって初めてその価値が出る。  先ほど、何回も繰り返しになりますけれども、つながったそのリンクの中で一番弱いところのそのリンケージが全体の効率を決めるんだというシンクロナイゼーションの話がありましたけれども、そのシンクロナイゼーション、みんなが一緒に努力して、同じ目標へ向かうんだという努力の結集というのがやはり大事なんだろうなと思います。  その意味で、何回か苦言というか疑問点を申し上げましたけれども、今回、指針をつくって、こういうふうに進むんだというような目標提示というのは、そういった意味での、自分だけが先に進んで失敗を自分一人でかぶるんだというふうな危険性というか、不確実性を下げるという意味で、非常に重要な取組だというふうに考えております。  以上です。
  135. 白坂成功

    ○白坂参考人 ありがとうございます。  多分、簡単な一つの方法ではいかないと正直思っています。  意識の壁というのも多分何段階かあると思っていまして、そもそも興味といったものすらないような状態から、興味を持っているんだけれども、その先、何か一歩やろうに行かないですとか、やり始めようとは思うんだけれどもまだ動いていないとか、幾つかの段階が正直あるかなと思っています。  やはり一番難しいのは、全く興味も、DXという言葉は何といいますか、DXという言葉を見てもそこに反応しないような人たち、この人たちがもし多いとすると、ここを越えるのはやはりかなり大変だなというふうに思っていまして、それは多分単一なやり方では到達できないんだと私は正直思います。  いろいろな企業さん、いろいろな経営層がいて、その人たちごとにやはり情報のとり方とか興味の持ち方のチャンネルが全く違うのを考えますと、複合的にやっていくしか正直ないんだろうなと思います。  ただ、個人的に思っていますのは、産業分野ごとといいますか、ジャンルごとに多分ポイントが違ってくるので、そういった意味では、そういったジャンルごとの団体のようなところ、特に中小みたいなところからスタートして、そのチャンネルにちゃんと差し込んでいくようなことを地道に正直、やっていかないといけないかなというのは一つ思っています。  もう一つ気になっていますのは、少し動き始めたときに、それが継続的にちゃんと動くようなエコシステムになるかというところも気になっています。  何か単体でちょっとお金をつけます、そこから何かやりましたといったときに、そのときだけ何か腰が動くんだけれども、その後続かないとなると、結局それは成果にはつながらなくなりますので。何か始めた人たちがその先ちゃんと回る、やり続けるようなエコシステムも一緒につくってあげないと、結局は成果まで行かず、成果まで行かないと、日本全体として、先ほどからお話出ていますとおり、もう一社とか二社がやっても仕方がない問題なので、全体でやっていかなきゃいけないときに、その全体が回り続けるようなエコシステム的なものをやはりつくっていくしかない。  そうすると、もう、一つの組織とかがどこかに打ち込むというよりは、本当に多面的に手を打っていく、こういったことを学んでいったり試していったり、成功例、失敗例を共有したり、そういった本当に複合的な手を打っていくしかないんではないかなというふうに個人的には感じております。  以上です。
  136. 野中誠

    野中参考人 御質問ありがとうございます。  非常に難しい御質問だなと思って聞いておったんですけれども、やはりDXにかかわるような情報をとにかく受け取ってもらうということがまず最初の一歩だと思うんですけれども、なかなか届いていないなというのは実感としてはあります。  例えば、AIというフレーズであれば、もうこれだけ浸透していて伝わっているんですけれども、では、同じレベルでDXの話が伝わるかというと、なかなかそうはならないと思いますので、これはもう社会的な制度として、まさに今回のような法案として変えていかない限り、情報をそもそも受け取ってもらえないということになってしまうのかなと思っていますので、御質問のように、どこまで国の制度が実効性を持つかというのはこれからの議論になると思うんですけれども、まずは法制度ということで、情報をとにかく届けるということがまず第一歩かなというふうに思っております。  一方で、情報を受け取って、では、本当に自分事として高いレベルで物事につなげていけるかとなると、これはまた一つ大きな壁があるかと思っておりまして、そこは先ほどから先生方から出ていますように、成功事例、失敗事例などを共有していきながらやっていくということでなるんだと思うんですね。  実際に、国内でもかなりDXの取組は、中小企業でも、ついこの間までは一つの国内の小さな製造業の企業だったんですけれども、今はそれが、アメリカにも工場を持って、デザインのデータを受け取って、物づくりは現場の工場にデータを流してということで、非常に強みを持っているような企業というのもあったりするので、そういったものをよりわかりやすく伝えていくなど、いろいろないい事例があると思いますので、それを複合的に共有していくという、そういう地道な努力をしていかないとなかなか進んでいかないのかなというふうに思っております。  以上です。
  137. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 大変難しい質問でございます。  やはり一つの答えはないのかなというふうに思います。  ICTでAIを使って価値が出る、これを実際に体験をしていただく又は理解をいただくということがまずとても大切で、その成功例を積み重ねていくことによって意識を高めていただくということがまず必要なのかなというふうに思うのと、先ほど申し上げましたように、AIが使える領域では、部分最適以上に全体最適で物すごく大きな価値ができるんですね。  そうすると、そこで必要なデータ量又はデータの範囲というのは、一企業ではとても扱えるレベルではございません。ここのプールの中にみんなが入ってそのデータを集めようよ、そのためにはどういう価値を出そうよということをある意味で宣言をするようなことも必要なのではないか。  要は、私、よく申し上げているんですけれども、KPIで答えをつくっちゃうと、非常に小さいソリューションがたくさんでき上がります。でも、大きな、医療のソリューションをつくりたいという、キー・ゴール・インディケーター、KGIという非常に高い目標をつくって、そのためにはどうしたらいいんだろうかというふうに考えると、皆さんの意識がそれに向かって、このためには我々はこういうふうにしていかなくてはいけないんだというような物の見方ができるかもしれません。  そういうような方法論を幾つか積み上げることによってその意識が高まっていくということではないかなというふうに思います。  大変貴重な御質問なんですけれども、なかなかいい答えがないので、大変申しわけございません。
  138. 落合貴之

    ○落合委員 国の役割もやはり大きいということを理解ができました。  本日は、ありがとうございます。
  139. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  140. 笠井亮

    笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  四人の参考人の皆さんには、大変御多忙の中、貴重な御意見ありがとうございました。大変勉強になりました。  それで、幾つか伺っていきたいんですが、まず、野中参考人、それから白坂参考人、実積参考人に伺いたいと思います。  私、午前中の大臣質疑でも取り上げたのですが、中小企業ITの活用の問題、IoT活用の現状というのは、これはなかなかやはり踏み切れていないというところにあるのだと思うんですね。  日本商工会議所が中小企業庁の研究会で紹介をした、中小企業IT活用とセキュリティー対策の現状というのがあるわけです。これによれば、その理由というのが幾つかあるんですが、主に、一番多い順番からいうと、ITを導入できる人材がいない、それから二つ目に、導入効果がわからない、評価できない、そして三つ目に、コストが負担できないということなどが挙げられております。  そこで、お三方に伺いたいんですが、中小企業デジタル化を支援するということでいえば、どうやってこれを進めていったらいいのか、そして政府にはどんな施策が求められるかということで、それぞれのお立場からで結構ですが、伺えればと思います。よろしくお願いします。
  141. 野中誠

    野中参考人 御質問ありがとうございました。  おっしゃるとおり、中小企業IT化というのはなかなか難しいというのは全体として言えるかと思っておりますが、ただ、私自身、幾つかの企業さんを回って、非常にうまく取り組んでいるところもやはりありまして、例えば、自社でIT人材を抱え込んでしまって、それでフットワーク軽く次から次とサービスをつくっていくようなやり方をするようなところもあったりしまして、中の人たちを育てるというよりは、むしろそういう人を雇ってしまってということで、逆に、中小企業だからこそフットワーク軽くいろいろ変えていけるというような、そういった面もあるのかなというふうに思っています。  ただ、そうはいっても、やはりコストの面というのがありますので、以前、経済産業省さんの方で、中小企業IT経営力大賞というような、こういう施策も以前やっていらっしゃったかと思いますけれども、やはりああいった取組で、何か表彰制度というもので熱心な方々はそれに向けて取り組んでいく、あるいは取り組んだ成果をそこに示していってということで、私はあれはかなり広がりを持っていたんじゃないかなというふうに思っていまして。  DXの話だと、どうしても比較的大企業向けの話に捉えられがちかと思うんですけれども、そういった、よりきめ細やかな支援というものができてくると、またそれを目標にしていこうですとか、そちらでもかなり成功事例がわかりやすい形で示されていますので、そういう取組をぜひ継続いただけるといいのではないかなというふうに思っております。  以上です。
  142. 白坂成功

    ○白坂参考人 御質問ありがとうございます。  今、野中先生がかなりしっかりとした回答をしていただいたので、少し違った切り口のお話をしてみたいと思います。  一つは人材の面なんですが、多分、中小企業とかを考え始めますと、IT人材に限らず、地方とかも考えると、いろいろな人材が足りていないんだと思うんです。  そういったことを考えますと、人を雇うという概念をやはりもう、少し変えていかなきゃいけないかなと思っていまして、最近、副業を勧めているようなところもたくさん出てきていますので、まさにきょうも遠藤会長がいらっしゃっていますが、NECのようなところには実際たくさん人材はいるわけですね。  であれば、そういった人たちが、地元の中小企業をサポートするために副業的に戻っていくですとか、自分が今住んでいる近くの会社を助けるために副業的にやるですとか、本当はプロボノみたいなものもあるんですが、そういった形で、専門家というものを会社で囲うのではなく、日本の経済界全体でこの専門家を持つみたいなイメージでちょっと変えていって効率化をしていかないと、多分あらゆるところでいろいろな技術的な人材が足りていないので、もうそれを個別個別持つというのは、私は個人的には厳しいのではないかなと正直思っております。なので、そういったアプローチが一つあるのじゃないかなと思います。  コストの面もそうなんですが、基本的には、今の物売りの体系が少しやはり古いかなと思っていまして、ここまでテクノロジーが進んできて、特にITの話になりますと、ネットワークでもつながっているわけですから、買うときにお金を払うのではなくて、価値を生んだときにお金を払う仕組みにしてあげれば、価値を生んでいますから、その価値を生んだ、もうけた分からその一部を対価として払う形になりますので、価値を生まなければお金を払う必要はないわけですよね。  そう考えると、つくる側も必ず価値を生む設計をしなければいけないですし、価値を生み続けてくれるような形で運営を支援していかなければいけない。その中からもらえる額が決まってくるということになれば、ちゃんと価値を生むような形での提案になるという形で、やはり、売って幾ら、保守で定額幾らでやっていると、多分もう回らないところがたくさん出るということを考えると、ちょっと今までのアプローチではなく、まあ日本では昔からある富山の薬売りがそうですけれども、価値を生んだときに価値と金銭を交換するというアプローチで全体を構成していくと、もう少し違う経済の回し方ができるんじゃないかなというふうに感じています。  以上です。
  143. 実積寿也

    ○実積参考人 御質問ありがとうございます。  私は、野中先生と白坂先生のように、具体的な企業と密にやっているというよりも、どちらかというと、もっと文献とかモデルを使って分析しているもので、なかなかその確とした回答というのは難しいんですけれども、一般論的に言うと、中小企業というのは恐らく一つ企業で全部が完結しているということは多分ないんだと思います。  日本的に考えると、大企業があって、下請があったり孫請があったりする。縦の系列というか、系列が古いという言い方もされることは多々あるんですけれども、中小企業というのは一人で立っているわけではなくて、ネットワークの一部として立っている。つまり、中小企業DXとかデジタル化を進めるということは、大企業全体というか、そのバリューチェーン全体にとって価値があるというふうに、まず認識を変えてあげるのが大事かなと思います。  今、白坂先生の方から、人材の流動化というか、大企業の人材というのを中小企業にも活用しましょうというのは非常にいい考えだと私は思っていまして、これは、つまり、中小企業というのは一つ企業、もちろん一つ企業なんですけれども、独立している企業というよりも、大きな中のパーツの一つであるという認識で全体として進めていくということでリスクを下げてあげる工夫というのが必要かなと。  その意味では、金融市場というか、先ほどお金が借りにくいというか、多分担保がないのでなかなかお金が借りられないというふうなところも、全体のシステムの一部なので、ここがないと全体が回らないので、逆に言えば、ここに投資をしてあげることで大企業を含めた全体の投資効率が上がるんだというふうな、金融の、人のフレームワークというか、物の見方というのを少し変えるように情報を提供していくということが大事かなと思います。  海外と比べると、海外の場合は中小企業というのはイノベーションをつくるところであって、日本とは大分様相が違う。何でならないかなというふうに思うと、恐らく金融市場とか人材の流動化が大分違うんだというふうに思います。  その意味で、中小企業というものがおくれている、確かに現状おくれているという認識はあるんですけれども、ここを伸ばせば全体が伸びるんだというふうに少しポジティブに捉えて、各施策というのを政府に頑張っていただければというふうに考えております。  以上です。
  144. 笠井亮

    笠井委員 ありがとうございました。  関連して遠藤参考人に伺いたいんですが、ちょうど今、大企業との関係はあるよねというお話もあったんですが。遠藤参考人が、中小企業がそのグローバルサプライチェーンからはじき出されることになると我が国の経済価値が大きく損なわれるということをおっしゃっているのを拝見したんですけれども。そういう意味では、デジタル化を進めるに当たっては、サプライチェーンの末端までその影響がないように配慮していくということが本当に大事なのかなというふうに思うんですけれども。  JEITAの会長として、またNECの会長としてもいろいろ御苦労されていると思うんですが、やはりこのデジタル化を進めていく、そしてサプライチェーン全体、中小と、それから下請ということもあるんでしょうが、現場にはどんな課題があるのかということと、それから、親会社に求められる子会社支援や対策にはどんなものがあって、必要になってくるかということについてはいかがでしょうか。
  145. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 おっしゃっていただいたとおりに、まず、チェーンを組もうとすると、あるレベルの能力というものが必要でございます。先ほど人材のお話もございましたけれども、私も、プラットフォームは持たないといけないんですが、人材を持つというよりも、そのプラットフォームを動かすサービスをうまく受ける体制というものを国全体としてつくり上げるというようなことが必要なのではないか。  先ほどもちょっと触れましたけれども、中小さんもネットワークをお持ちになっていて、そのネットワークがチェーンの中に入りつつありますが、やはりサイバーセキュリティーとなると、実は私どももサイバーセキュリティー人材をしっかりと会社の中に確保するというのは今非常に大変になってきてございます。  そういう観点では、ある企業が提供するサイバーセキュリティーのサービスというものが、中小企業さんに合ったサービスがつくられ、それを受けるという形で補強をしていくということがとても大事ですし、今私どもも参加させていただいているのは、中小企業さんへのサポートサービスというのを地方で展開してございまして、中小さんが必要であれば我々はサポートする、又は御支援するというような仕組みをつくっています。これは経産省さんも大分お力をいただいてございますけれども、そういうような国全体としての仕組みをつくることによって中小さんの力を高めていくということが私はとても大切なのではないかなという気がいたします。  もう一つは、私どもの中でというお話がございましたけれども、いずれにしても、ある部分、スマートシティーや何かも考えていただくとおわかりになるんですが、ある都市でスマートシティーというものをつくり上げて価値を出すというのもあるんですが、スマートシティー間がデータをお互い使い合いながら更に価値を高めていくという方法もあるわけですね。  そういう意味では、中小企業さんの間で連携ということで、あるボリューム感をつくって価値を共有するというような可能性も私はあるのではないか。そういう意味では、今までが一つ一つ企業が価値をつくり上げるというところから、もう少し連携ということが価値を生むようになってきてございますので、その連携を含めてどういう形で日本全体で価値をつくり上げていく仕組みをつくるのかということに注力をしていくことが必要なのではないかという気がいたします。
  146. 笠井亮

    笠井委員 ありがとうございました。  では、もう一点ですが、個人情報保護との関係で、実積参考人と遠藤参考人に伺いたいと思います。  EUでいいますと、圧倒的市場シェア力を持つGAFAなどの巨大デジタル企業に対して、個人情報の保護規制ということで、GDPRで個人が個人データのコントロール権を確保して保護を強化する道が整備されております。  一方でいうと、日本はある意味、個人情報保護規制というのはあるんですけれども、まだ弱いまま、個人情報を含むデータの利活用をどんどん進めている、こうなっている。例えば生産性革命特措法などがそうですけれども、そういう形で、どんどん進める方が先に行っているという感じがするんですが。  今回の法案で、今かかっている法案も、アーキテクチャーの構築などでさらなるデータ利活用を促していくと。しかし、そのときに個人情報保護という課題はどうするんだということはやはり大きな問題としてあるのだろうと思っていて、日本でもやはりEUのようにしっかりとした個人情報保護規制が必要だと思うんですけれども、その点で実積参考人に御意見をいただければということ。  それから、遠藤参考人には、EUの域内でビジネスをするというには、やはり個人情報保護規制ということでGDPRを遵守することが求められてくることになるわけでありますが、JEITAの会長として、会員企業に対して、EUのGDPRに適合するためにどんな対応が要るよねというようなことでアドバイスされているのか、あるいはJEITAとして方針を持っていらっしゃるのか。  それから、会長を務めておられるNECの場合について言うと、本社自身もEUとの関係で対応が必要になると思うんですね。それから、欧州にある海外拠点の現地法人も対応が必要になると思うんですけれども、どんな対応が必要で、どんな御苦労をされているか、努力されているかということで、お二方にそれぞれ伺えればと思います。
  147. 実積寿也

    ○実積参考人 ありがとうございます。  GDPRというか、個人情報に関してはなかなか難しい問題であるというふうに考えています。  なぜかというと、最近出ているさまざまなサービスDXを含めさまざまなサービスというのは、できるだけ大きなデータ、きめ細かなデータをとる、それによってサービスを高度化して、より使いやすくするというのが基本になっています。  その中で、個人情報に関して、例えば、個人情報を完全に守ります、個人情報に関しては個別の同意がないと一切利用を許しませんというふうな制度が、果たして、長期的な、国民というか我々の便益につながるのかどうかというのを私はかなり疑問に思っておりまして、何か物を使うときというのは、リスクというのをある程度甘受しないと、その先にある成果がないだろうと。車に関しても、交通事故が怖い、本当に怖いのであれば車に乗るなという極論もあるわけで、そうすると、車がもたらす便益というのを我々は失うことになるわけです。  それは、何事も、ベネフィットとコストというか、リスクのバランスというのが大事だろうというふうに思うわけで、その中で、個人情報の保護の水準というのもある程度決まっていくだろうというふうに考えております。  それで、ヨーロッパのGDPR並みというのはよく言われるんですけれども、GDPRがなぜ成立するかというのは、私が考えるには、ヨーロッパは市場が今後非常に伸びていって、大きな市場であるというのが一つの要因になるというふうに考えています。つまり、各巨大企業というのはヨーロッパの市場を失うわけにはいかないので、そのためにも、エントリーのための条件としてGDPRを守るのであろうという側面がある。アメリカもそうだと思います。  日本が、GDPR並みというか、あるいは、そのGDPRを超える、もっとよりすばらしい個人情報規制をしたときに、果たしてその場合、海外企業というかが日本市場に関してきちんとエントリーし続けてくれるかどうかというのは、そこは厳密に考えていかないと、GDPRは個人情報保護法をきつくした余りに、海外企業あるいは新しいプラットフォーマーといいますかそういう大企業にとって非常に厳しい市場環境になった場合に、日本市場においてサービスを提供し続けてくれるのか、特定のサービスを提供してくれるようになったことによって、最終的に、我々は個人情報は守られるんだけれども新しいサービスも利用できないという状況に陥りやしないかというのが、少し、長期的には気になるところです。  その意味で、どの程度の個人情報保護、個人情報保護は必要だと思っているんですけれども、どこのレベルか、GDPRのレベルなのか、もう少し緩いレベルなのか、さまざまなレベルがあると思いますけれども、そのレベル感に関しては今後しっかりと議論して、経済に与える影響というのを考える必要があるというふうに思います。  その中で、普通の人が、一般の、我々も含めまして、きちんと自分の個人情報の価値というか、そのベネフィットを認識しているかどうかはちょっと問題でして、プライバシーパラドックスというんですけれども、実際我々がサービスを使うときというのは、どんどんどんどん個人情報を余り気にせずに使っているんですけれども、一旦個人情報は大事ですよというふうな情報を与えると、過度にサービスの利用を制限するということがあります。  なので、個別個別の同意というのはもちろん重要なんですけれども、その前に、我々の一人一人の個人情報のリテラシーのレベルを上げていく、このサービスを利用するにはこの程度の個人情報が使われてしまう、この程度の個人情報を出すとこういったリスクがありますよというような教育がまず一番大事だろうなというふうに考えているところです。  以上です。
  148. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 ありがとうございました。  GDPR、これは非常に厳しい、ある意味での個人情報の扱い方に対する定義でございます。  私どもも、ヨーロッパで事業をさせていただいてございますけれども、そのデータ日本に持ち込むことはできません。その観点でいいますと、実際に事業をするのは、ヨーロッパに事業所を置かない限りは非常に難しい、難しいというかややこしいルートをつくらないといけないので、その観点からは、向こうでやった方がいいと。そういう意味で、今までの、本来、データというのがフリーフローで持ち込めれば日本側でつくれるんだけれども、それができないというのが現状でございまして、そのために、ある意味で、向こうに会社を起こすというようなことも、私どもの中では、実際してございます。  実際には、ヨーロッパと日本との間で既にこのGDPRというのは認められてございますので、我々がビジネスしていく上では、これはマンダトリーであるということでございますけれども、その観点では、JEITAも含めて、各企業はそれを認識をしている。それを守ろうということに関しての、みんなで理解は進んでいるというふうに理解をしてございます。  ただ、ヨーロッパの方々にお伺いしても、GDPRを定義するがために、例えば、日本で物すごくいい医療の仕組みがあります、それで、ヨーロッパからデータをお持ちいただければ日本の中でその医療に対するいいソリューションを御提供できますというのが、できないわけですね。だから、そうであるとすると、彼らの中の、まさに先生がおっしゃっていたように、GDPRという価値はあるものの、一方で、ヨーロッパの中でも、それでサービスを受けるという制約をつくってしまっています。  それを今検証している最中なんだというようなお話もお伺いしていて、まずは厳しく一旦決めてみて、それから本当のデータの価値というのを取り込もうとしたときに、どういうふうにGDPRを変更していったらいいのかということを今研究し始めているんだというふうにお伺いしています。多分、そういう動きが今後出てくるのではないかというふうに私は思ってございます。  いずれにしても、データという個人情報と価値というもののバランスがとても大切なので、最終的にはどこかでバランスをとった形で答えがつくられてくるのではないかなという気がいたします。  以上です。
  149. 笠井亮

    笠井委員 ありがとうございました。  サービスの高度化に伴って便益とリスクという話がありました。そういう点ではいろいろな面を考えなきゃいけないと思うんですが、やはり、GDPRを見ていると、個人が個人データのコントロール権を確保して、そしてそれがしっかり保護されるというところが本当に肝心で、そこは、ヨーロッパでいうと歴史的にはいろいろな教訓があった、ナチスの時代のこともあるというようなことも踏まえたということがあると思うので、そういう点でいうと、日本の場合は余りに弱いという現状にあることは確かだと思いますので、そこは大いにまた国会でも議論してまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  150. 富田茂之

    富田委員長 次に、足立康史君。
  151. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  先生方、参考人の皆様、きょうはありがとうございます。  きょうは、一応法律の関係で、デジタルアーキテクチャークラウドということでありますが、ちょっと法律の具体的な話はもう、私も賛成でありまして、余り伺うつもりはありません。もう少し大きな話を。  この後も時間がありまして、政府に対する質疑もあります。私がこのクラウドあるいはデータ、そうした議論をするときに、やはり政府側から、政府側からというか国会側から一番今力を入れているのがマイナンバーなんですね。  ちなみに、皆様、マイナンバーカードは、会長はお持ちでいらっしゃいますか。先生はお持ちじゃない。お持ち。お持ちじゃない。二分の一ですね。これは大変貴重な情報をきょうは承ったわけでありますが。  まさに、きょうあった医療とかいろいろなことを考える、あるいは日本という国の強み、こういうことを考えると、私はマイナンバーをフル活用することが実は一番力になると思っています。共産党さんは、今あった個人情報、プライバシーの観点から猛反対をされておられますが、それはおいておいて。  例えば、今、政府のマイナンバーの活用の中で一番取組が進みつつあるのは、実は医療なんです。要すれば保険証のかわりに、医療IDというややこしい議論はあるんですが、保険証のかわりにマイナンバーカードを使うようにする、そして、パスワードもいいんだけれども顔認証する、そういう議論が進んでいます。それが一番私が注目している、一番最右翼ですね。  一番おくれているのが外国人の在留管理です。在留カードというひどいカードがありまして。法務省、いないですよね、法務省がいたら怒られるんですが。在留カードは偽造されまくりです、偽造されまくり。そして、この四月から外国人労働者の受入れを拡大をしていますが、もう何千人というのが毎年失踪して、どこへ行ったかわからない。だから、私は、ちゃんとマイナンバーカードを義務づけて、マイナンバーをフル活用して在留管理をしたらいいじゃないかと言っているわけです。  きょう、JEITAの遠藤会長も先ほど顔認証のお話もされていまして、大変お得意の分野だと思いますし、野中先生は医療の関係……(野中参考人「余り医療はないです」と呼ぶ)余りないですか。ちょっと御専門から離れるかもしれませんので御無理は申し上げません。俺は発言しないという方は結構ですから。  やはり日本の強みとしてマイナンバーをフル活用して、例えば、今度、総務省がポイント還元もマイナンバーカードでやるとかいうことも言っています。こういう流れについて、そういうマイナンバーを活用するという大きな流れについて、ちょっと、もしお気づきの点があったら、こんな貴重な機会ですので、御開陳をいただけたらありがたいと思います。可能な範囲でよろしくお願いします。
  152. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 ありがとうございます。  私も、マイナンバーは最大活用が必要だろうというふうに思います。  マイナンバー、個人と結びつけるカードであるということの観点からプライバシーイシューの話は少し出るかもしれませんけれども、マイナンバーが、例えば、我々、ドライバーのライセンスのカードも持っているわけだし、保険証も持っているわけだし、同じようにカードをたくさん持っていて、それで、私を認識するのに顔がないといけないというので、ドライバーライセンスを必ず持ってきてくださいとか、二種類ぐらい持ってきてくださいみたいなことを言われます。  そういうことを考えると、一つのカードでメリットを出すということは、国民の方々全体に非常に大きなメリットを与えることにもなるし、一つのマイナンバーがドライバーライセンスも意味をし、場合によってはパスポートも意味をするというようなことになれば、一枚で済むわけですね。  そういうメリットをより一層何か出していただくような施策をお考えいただいて、それが国民にとってはとても利便性が高いものなんだということを再認識いただくことが、五〇%ではなく一〇〇%に近づいていくんじゃないかというふうに思いますので、ぜひいろいろ御支援を賜れればと。  私どももマイナンバーにかかわっておる企業でございますので、ぜひいろいろな観点で御指導を賜れればというふうに思います。
  153. 野中誠

    野中参考人 ちょっとだけ。まさか、このような形でマイナンバーを持っていないことが出るとは、夢にも思っていなかったんですけれども。  私自身、申しわけありません、本当に、正直、余りマイナンバーを活用しようという場面になかなか出くわしてなくて、どうこれを活用すればいいんだろうかというところが、なかなかこう、ストーリーが描けていないというのが正直なところでして。  というのも、保険証もありますし免許証もあってということで、自分の身近な範囲で、代替するサービスで大体いけてしまう、対応できてしまっているので。そうすると、よほど大きなジャンプがいかないと、じゃ、私もちょっと使ってみようとなかなかいかないかなと思うんですけれども。  そのあたりの、既に類似のものがある程度浸透している中で、どれだけ大きな価値として提供できるかというところが一つ大きな鍵なのかなということで、そのぐらいしかちょっと申し上げられなくて済みませんけれども。(足立委員委員長、ちょっと先に補足していいですか」と呼ぶ)
  154. 富田茂之

    富田委員長 どうぞ。
  155. 足立康史

    ○足立委員 今、マイナンバーの利用価値がわからないというのは、実は、国民みんなそう思っています。今は大したことはないですね。例えば、この間も、私、印鑑証明をとるときに、コンビニに行って、これでピッとやると、もう日本じゅうどこのコンビニでも印鑑証明がとれる。そういうぐらいの便利さはありますが。  これからは、例えば、収入とか資産を全部ひもづけするんです。そうすれば、徴税漏れ、お金持ちの方は徴税漏れしてほしい方もいらっしゃるかもしれませんが、取るべきところからしっかり取る。それから、例えば、生活保護でも不正受給がいっぱいあります。本当に困っている方が、どの方が本当に困っているかを当局が捕捉して、そして手を差し伸べるべきところに手を差し伸べる。そういう社会ができる、私たちはこう思っているわけでありまして、ぜひ、先生、御認識を改めていただいて。  特に、お願いできますか。
  156. 白坂成功

    ○白坂参考人 御質問ありがとうございます。  私も、マイナンバーはすごくいいと思っています。  マイナンバーじゃないといけないかというと、もともとの概念上は違うとは思っているんですけれども、これからデータ活用社会になってきたときに、今までと何が違うかといいますと、ある人が生活の中でどういう、経験価値とよく言われますが、を得るかということを考えていくと、この人が何をやってきたかという、この人にひもづく履歴というデータが重要になってきます。  そのときには、この人にひもづくということを何かでつくらなければいけなくて、それを使う、キーになるのが今マイナンバーだと思っていますので、そういった意味では、マイナンバーはすごくこの先の利用価値が高いと思っていまして、いかに経験価値をうまくつなげていくためにそれを生かしていくかなんだと思います。  セキュリティー上の問題は私はテクノロジーの問題だと実は思っていまして、セキュリティーは何とか別にやれると思っていますので、これをいかに、今は、先ほどのGAFAもそうですが、企業内にある瞬間の経験が閉じられている。これを、企業を超えてその経験をつなげていくと、この人がこうしてこうしてこうしたから、次にこういう経験価値を提供すると価値になるということがわかってくるようにするためには、やはりこのキーとしてのマイナンバーというのはこれから先の利用価値はすごく高いと思っていまして、そこが一つ進んでいくというのは、この先のデータ活用の社会につながっていくというふうに私は感じています。  以上です。
  157. 実積寿也

    ○実積参考人 一点だけなんですけれども、マイナンバーがなぜ使われないか。  一つ大きな目標は、私の子供のときだと、近所のおばちゃんが僕のことを全部知っていたので、何もしなくても、ぐあいが悪そうだったら風邪ぎみとかといって、いろいろなサービスが得られたというのはあるんですけれども、最近になると、社会はどんどん大きくなったので、我々の活動範囲が大きくなったので、個人情報を安易にシェアすることが怖くなったというのはあります。  マイナンバーはメリットがないとかってあるんですけれども、振り返ってみれば、フェイスブックの情報というのは、我々はどんどんどんどんシェアしていまして、例えば、駅でWiFiを使うときに、SNS認証でぴっと押しちゃったりするわけなんですよね。  それを考えると、誰がその情報をアップして、どういったメリットを返してくれるのかというのと同時に、その主体が信用できるのか。我々がフェイスブックを信用できるのかどうかというのは大きな問題になるかもしれませんけれども、マイナンバーを預けてそれを使う、その事業者の方々に関するトラストというものがやはりないと、なかなか広がりにくいなと。  今、ないというわけじゃなくて、ある状況が認識できていないというのが現状で、メリットはありますけれども、この情報がどういうふうに使われて、それが信用できる主体であるのかというのがきちんと理解できると使おうかなというふうに、私自身思うかなと思っております。  以上です。
  158. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  ちょっとマイナンバーにのせて恐縮ですが、マイナンバーカードを、まあクレジットカードも使っていますが、マイナンバーカードは4PINのパスワードが一定の役割、あと顔認証ですね、そういうことでやっているんですが、今はもうパスワードは、おじいちゃん、おばあちゃんはマイナンバーカードを入れるここにパスワードを書いちゃったりしますからね。だから、パスワードは私は余り、この後、また内閣府を呼んで議論しますが、やはりパスワードというのはちょっと限界があるなと思っていまして、そういう意味で、私は、やはり顔認証とかそういうものが実は大変重要な役割を果たしてくる。  そういう中で、今、マイナンバーの仕組みの中に顔認証は入っていないんですが、マイナンバーのチップの中には顔が入っています、会長よく御存じのとおり。  だから、保険証のかわりの部分は顔認証の議論を入れるみたいですが、マイナンバー全体を、マイナンバーカードの利活用の方は、プロセスの中に顔認証そのものを入れちゃったらどうかということを、私は個人的には思っています。  もうNECの技術で全部やったらいいと思うんですが、会長、いかがですか。
  159. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 いろいろな認証をする中で、コードを入れるというのもございますけれども、バイオメトリクスで認証するというのが非常に精度が高くなってきてございます。  例えば、その顔、ございますけれども、虹彩も同時に撮れる、非常にリアルタイムに撮れるというような技術が開発をされ始めていて、私どもも、人が動きながら虹彩を撮るというような技術もできてきた。そういう意味だと、非常に簡単に各人の認識ができるということになるので、顔認証を含めたバイオメトリクスの認証というのは非常に重要な領域になってきていると思います。  私ども、実は二時間後のお子さんの指紋がとれるようになりました。これは実はアフリカにお納めしていて、仕事していて、これはGAVIという、国連の下にある仕組みですけれども、アフリカや何かは、お子さんがお生まれになっても、実はレジスターされないお子さんもおいでになられたり、そうすると、何回予防接種を受けたのか、何を受けたのかという管理が実はできないんですね、そういう仕組みがないものですから。それを、その指紋の認証でやりましょうと。そうすると、お子さんのときに指紋をとらないといけないので、今、二時間児で答えをつくれるようになりました。  そういうことが、バイオメトリクスが非常に価値を生むような時代になってまいりましたので、それの利用はあると思います。  以上でございます。
  160. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。  私は別にNECから献金をいただいていませんので、くれぐれも誤解なきようにお願いしたいんですが。  きょう、こういう話を申し上げたのは、今回議論になっている情促法、もちろんこれは大事。企業のそういうデジタル経営を推進することも大事。IPAの事業も私は大事だと思いますが、結局、政府全体としてちょっと弱いというか、弱い。経産省だけではありません。やはり、今のマイナンバーの議論も、今あったように、技術的にはやれることはいっぱいあるし、さっきの、データが何か芋づる式に流出するんじゃないかという一部の政党が喧伝しているのは全然うそで、本当に、世界の中でもたまたま番号制度を入れてきたのが遅いものだから、だから最新のテクノロジーでマイナンバーの仕組みは組まれていますから、相当高い安全性。要は、少なくとも、今でも健康保険の情報は健康保険としてあり、信用情報は信用情報としてあり、いろいろな情報がいろいろなところにあるわけです。  それを、分散型集中管理。集中管理、集めません。分散しているんだけれどもそのままひもづけて、芋づる式には出てこないけれども有効活用するという分散型集中管理の仕組みですから、これはぜひ与党の皆様も、このマイナンバーの活用は日本が新しい公正で透明な社会をつくる上で唯一最大の希望であると私は思っているわけですが、とにかく遅いです。  国会で、例えば、この四月から外国人労働者の皆さんがたくさん入ってくる。それにあわせて、在留カードは廃止をして、マイナンバーカードを義務づけて、日本人の方は共産党さんとか反対されているのですぐに導入できなくても、外国人労働者は有権者じゃありませんから、今は。だから、外国人労働者だけでもマイナンバーの活用を、フル活用を義務化して、テストで一回やってみたらいいじゃないか。別に悪いことをするんじゃなくて。それは悪いことをするんじゃないんです。  要すれば、外国人労働者の皆様の在留管理をより高度化して、彼らが日本社会で生きていく上で役に立つ情報提供とか役に立つサービスを提供する基盤になるわけですから、いいことしかない。悪いことゼロですよ。それを、とにかく臨時国会から、通常国会から、この臨時国会から言い続けているんだけれども、日本政府はやらない。  参考人の皆様も、そういう今の政府・与党のスピード感、いろいろな、そこに権威とか利権とか、悪い意味でいうと、いろいろ要はしがらみがあると思うんですよ。でも、これからグローバルな社会日本が繁栄していこうと思ったら、もっとスピーディーに、デジタルクラウドアーキテクチャー、こういうところをやっていかなあかぬと、私は危機感を持っています。  あともうちょっといいのかな、二、三分ありますか。ぜひ参考人の皆様方に、政府・与党に対する不満、これをちょっと、忌憚なくお願いできればと思います。スピードということで。
  161. 実積寿也

    ○実積参考人 不満ですか。不満といいますか、私は、実はOECDの方でCDEPで副議長をやっているんですけれども、そこでレポートが毎回つくられているんですけれども、最近入ったレポートの中で、レギュラトリーサンドボックスという、いわゆる規制のサンドボックスというのがあります。規制のサンドボックスを使っていって、OECDの各国において新しい規制を早目に導入して、その効果を見て検証して、直すべき部分は直し、それを全体に広めましょうという考え方があります。  日本政府というか、ほかの政府もそうなんですけれども、どこの官僚組織もかなり真面目で、一つやったらそれは変えちゃだめだと、完璧なものを目指そうとしている。それでそのスピードがおくれている部分があるのかなというのは感じております。  その意味で、やってみて、だめだったら戻すというふうな、実験室じゃないですけれども、サンドボックスの考え方をもう少し使っていただければ、特にDXみたいなものであれば進みも早いのかなというふうに考えております。  以上です。
  162. 白坂成功

    ○白坂参考人 ありがとうございます。  不満というと難しいんですけれども、実は、システムアーキテクチャーの件でいいますと、私、もともと三菱電機で働いていまして、人工衛星の宇宙開発をやっておりました。二〇〇〇年から二〇〇二年までエアバスの方に実は行って、ヨーロッパ・スペース・エージェンシー向けの開発をしていまして、そのときにこのシステムアーキテクチャーの概念を知ったというのが私の今の礎になっています。  それを考えますと、実は、システムアーキテクチャーが最近急激に、IPAさんの中でという話が出てきたんですが、私からすると、二〇〇〇年から二〇一八年ぐらいまで、十八年間誰も見向きもしてもらえなかったものがたった一年でここに来た方が実はびっくりをしていまして、この件でいいますと、スピード感が遅いというよりは、スピード感があってちょっと逆にびっくりしている方の状態です。申しわけございません。
  163. 野中誠

    野中参考人 不満になるかどうかはわからないんですけれども、実は、スピード感ということで、私の直近のは、デジタルガバナンス・コードにかかわったんですけれども、正直、驚くほど早いと思いました。  DXレポートが昨年出て、まさかこのタイミングで法案の話になるとは全く思っておりませんでしたので、これだけスピード感を持ってやられるんだなということで、そこは非常に、遅いというふうにこれに関しては思っていなくて……(足立委員「経産省は早いということね」と呼ぶ)かもしれません。(足立委員「総務省と法務省が……」と呼ぶ)ちょっと私、不勉強で、発言は控えますけれども。  ただ、検討していくプロセスを見ていますと、もっと、多分、経産省さん、更にリーダーシップを発揮してやることもできたのかなというふうな思いがありまして、私たちもいろいろな意見をしながら、より強くリーダーシップを発揮いただけるともっとよくなるんじゃないかなと思います。  以上です。
  164. 遠藤信博

    ○遠藤参考人 私も、唯一日本に残っている力を発揮する部分はスピードだと思います。人口では一億しかございません。それから、リソースの観点でも、日本にはリソースはそんなにございません。唯一あるのは人材とスピード感、これがとても重要であろうと思います。ぜひこの辺を、今後とも、私どもも含めて頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
  165. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  166. 富田茂之

    富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  参考人方々は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  167. 富田茂之

    富田委員長 引き続き、内閣提出情報処理促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。落合貴之君。
  168. 落合貴之

    ○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。  質疑に入らせていただきます。  まず、法案の前に、冒頭、経産大臣、経済政策の司令塔の一人ですので、今の景気状況についての御認識を伺えればと思います。  内閣府が出している景気ウオッチャー調査、景気のDIが、十月は、びっくりしたんですが、全項目マイナスになりました。これは家計もそうですし、企業の動向も、それから雇用関連も全部マイナスになったという珍しい数字が出ております。それから、東京商工リサーチが出している倒産件数も、件数が十月はふえていて、かなり高水準でございます。  もともとことしは貿易戦争の影響もありました。そういう先行きが不透明な中で、十月一日に消費税の増税が行われた。完全にこの消費税増税というのが国内では引き金になってしまったのではないかとも思うんですが、大臣、いかがですか。
  169. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 消費税引上げにつきましては、前回、八%への引上げの際に、予想以上に消費が低迷をいたしました。その後、景気回復に力強さを欠いたのも事実でございます。  このため、今回の思い切ったポイント還元に加えて、教育の無償化や軽減税率、プレミアムつき商品券、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十二分な対応策を講じたところでもあります。  特に、中小・小規模事業者との関係では、中小・小規模事業者に限ってキャッシュレス決済で支払った消費者へのポイント還元、インバウンドや観光などの新たな需要を取り込もうとする商店街の取組を支援するなど、中小・小規模事業者に対する需要をしっかりと喚起する施策を講じたところでもあります。  中小・小規模事業者の方々からは、駆け込み需要の反動減により一部で売上げが伸び悩んでいるという声もあります。台風十九号の影響により予約のキャンセルが相次いだといった声、これは観光地ですけれども、そういった声がある一方で、前回の消費税率引上げのときは駆け込み需要で忙しかったが、今回は駆け込み需要が全く発生をしていない、これは平準化しているということでもあろうかと思いますけれども、消費税引上げの影響よりもキャッシュレス決済によるポイント還元の効果の方が強くなりそうだという声などもあります。全体として、消費税率引上げ前後の需要の変動は前回と比べて大きくないという声が多いと承知をしているところであります。  御指摘の景気ウオッチャー調査では、前回の消費税率引上げ時の景気の現状判断DIの低下幅は一五・七ポイントでありますけれども、今回は一〇ポイントと低下幅は減少している数値であります。先月の台風十九号等の影響の下押し要因も考え合わせますと、前回と比べて消費税率引上げ後の落ち込みは抑えられていることが感じられます。  堅調な内需と消費税引上げに伴う各種政策の効果もあり、日本経済は緩やかに引き続き回復するものと見込んでおります。ただ、消費税を導入をしたという時点ですから、注意深く見守っていきたいと思いますし、何かしら顕著な動向がありましたらすぐに対策をしていかなければならないということも考えております。  今後とも、経済の下振れリスクを確実に乗り越えて、民需主導の持続的な経済成長の実現につながるよう、引き続き、ポイント還元事業に少しでも多くの中小店舗や消費者に参加いただくなど、施策の効果を最大限に発揮できるようきめ細やかな取組をしてまいりたいということと、先般総理から指示のありました経済対策をしっかりと検討してまいりたいと考えております。
  170. 落合貴之

    ○落合委員 今、民需という言葉もありましたが、前回やはりがくんと残念ながら下がってしまった、民需や家計の部分が。やっと前の水準にもうすぐで戻るかなというときにまた増税をしたわけでございます。  これは、九〇年代後半に三%から五%に上げたときもがくんと下がってしまった、その十年後にリーマン・ショックも起こってしまったということで、消費税を上げるたびに民需ですとか家計の部分はどんどん先細りになってきておりますので、やはりここは、このままこの路線を進んでいいのかということも含めて、ぜひ大臣にも発信を、検証して発信をいただければと思います。  それでは、法案の方に入らせていただきます。  今回いろいろと資料も見させていただきまして、デジタルトランスフォーメーションへの企業意識、先ほど参考人方々にも聞いたんですけれども、これは何回調査しても世界で一番最下位なんですよね、この企業経営者意識ですとか対応ですとか。これはもう、ちょっとしたことで改善するようなものでないような数字が出ていると思います。  実際に、もうすぐで二〇二〇年が始まるという今、いきなり二〇二五年に崖が来ます、システムの六割が老朽化してしまいますというようなことが、五年前の今になって法案として出てきたわけでございます。  何でこんなに遅くなっちゃったのかなといいますと、やはり、先ほどの意識調査と同じように、経営者決断力ですとか判断力ですとか、そもそも意識がないので決断も判断もできないですけれども、こういうことが分析をされているわけでございます。これは、引っ張っていく役割は経産省に、今までもありましたし、これから本当に引っ張っていかないと、産業全体がどんどんどんどん衰退が早まってしまうというような状況でございます。こういう危機的な状況がもう何年も前からわかっていたにもかかわらず、経産省はちゃんとやってきたのかなという問題があると思います。  例えば、前世耕大臣も、やりますやりますと言っていましたけれども、所信にも片仮名語がいっぱいあって、インダストリー四・〇ですとか、ソサエティー五・〇とか、コネクテッド・インダストリーとか、わあっと並んでいる、そういう所信でしたけれども、今回も、経産省の資料を見てみると、DXがバズワードになっているというような説明も書いてあるんですが、それを経営者が読んで意味がわかるのかなと。世耕大臣の所信もそうですし、DXがバズワードだという資料を読んで、経営者はどう思うんだろうというのが正直、私の感想です。これは経産省が、格好つけてばかりで、本来やるべき仕事をやってこなかったのではないか。  ちょうど、梶山大臣日本の大企業経営者とも年代も近いですし、梶山大臣の最も大きな仕事は、今の日本経営者に現状をわかってもらう、片仮名語を読むのではなくて、大臣言葉で、今の危機的な状況、それから経営者が何をやらなければならないのかということをわかってもらうことが、最も梶山大臣大臣としてやらなければならない仕事ではないかと私は思っています。  そのことについて、今までのIT関係の姿勢、どうだったのか、そして大臣はどうしようと思っているのか、お聞かせください。
  171. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 大企業のみならず、多くの企業に理解をしてもらって取り組んでいかなければならないと思っております。  今委員の御指摘がありました。片仮名が多い、確かにそうだと思います。このかいわいでは通じても、地元に戻ったり、また多くの人に説明するときに、はてなマークが頭から出ているような気がするんですね。  ですから、そういったものをしっかりと説明をしていかなければならないと思いますけれども、このIT分野の用語は、デジタルトランスフォーメーションを始めとして、国際的にも用いられている用語なので、経済産業省としても日本語訳せずに用いているところでありますけれども、平易な言葉での説明というのも必要であると思っております。しっかりとその意識を高めるための説明に心がけたいと思っているところであります。  DXレポートについても、地方の事業者向けの説明会を行い、DX必要性を具体的に説明するなど、理解してもらうための取組を行っているんですけれども、更にこの件をもう一度私も検証した上で、わかりやすく、その必要性の意義というものをわかってもらう努力をしてまいりたいと思っております。
  172. 落合貴之

    ○落合委員 ぜひ、大臣の役割は大きいと思います。  いろいろと認識を共有させていただければと思うんですが、先ほど、参考人質疑でも、GAFAをどう捉えるかということを聞かせていただきました。私は、もしかするとこれは、百五十年前の黒船と同じような、決定的に日本の経済を変えてしまう可能性がある問題だと思っています。それについて、しっかり重要な問題だと認識されているということでよろしいですね。
  173. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 大変大きな課題であると思っております。  デジタルプラットフォーム企業は、イノベーションの担い手として、中小企業等に国内外の新規顧客の開拓機会を提供するなど、さまざまなメリットをもたらしている一方で、一部の市場で寡占化が進む中で、不公正な取引実態、今よく取り上げられているわけでありますけれども、これらについてはルールの整備をしていくことが必要だと感じております。  経済産業省としましては、イノベーションを阻害しないように配慮しつつも、デジタルプラットフォーム企業と取引先企業等との取引の透明性、公平性を高めるための法案について、次期通常国会に提出するべく、今検討を進め、調整をしているところであります。  こうしたルール整備とあわせて、デジタル化が著しいスピードで社会に広がる中、我が国の産業デジタルトランスフォーメーションを進めていくことは、やはりインフラの整備といいますか、環境の整備をしっかりしていくことも必要だと思っておりますので、今回の法案において、企業デジタル経営改革の実現による我が国の企業の競争力の強化、そして、新たな産業サービスの前提となります、異なる事業者間や社会全体でのデータ連携、共有を容易にするために必要な共通の技術仕様でありますアーキテクチャーの策定等に必要な措置を講ずることとしているわけであります。
  174. 落合貴之

    ○落合委員 これは、一部で寡占という答弁でしたが、例えば、あるデジタルプラットフォームを使えば全ての買物も全部できてしまう、なので、データも流通もそれから商取引も全部、その一つのプラットフォームに全部とられてしまう可能性もあるということをしっかり認識する必要があると思います。  それからまた、今、アベノミクスの弱点というのは賃金である、それから、中長期的に見ても、少子高齢化で、働く人の人数が減ってきてしまう、この今の日本経済の弱点を見ている中で、その二つを解決するには生産性を上げていくしかない。  去年の経済財政白書にも、IT人材は生産性が二割も平均すると高いんだというようなことも書かれているわけでございます。それから、去年入管法を改正して外国人材を入れることにしましたけれども、そこの入管法の説明にもしっかり、外国人労働者を入れる前にIT化などで生産性を上げる努力をするんだということを明記しているわけでございます。  やはりこれは、何をとって考えても、ITで生産性を上げるしか、健全な経済成長をしていくにはそれしか方法がないというような状況ですが、それも御理解いただいていますでしょうか。
  175. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 御指摘のように、この四月からスタートしました新たな在留資格による外国人の受入れにつきましては、IT化などによる生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお労働力が不足する分野に限り認めるものと承知をしております。委員指摘のとおり、まずは生産性向上などに取り組むことが重要であると考えております。  経済産業省としましては、中小企業の生産性向上に向けて、IT導入補助金やものづくり補助金などの施策を総動員をして、しっかりとこういった制度についても説明をし、実施ができるように、しやすいようにしてまいりたいと思っております。
  176. 落合貴之

    ○落合委員 大臣は、前、地方創生大臣もされていましたが、この法案に載っているクラウド化というのは、どこの場所にいても仕事にアクセスができるということで、地方創生、それから最近の課題である働き方改革、子供を抱えながらも近くでなるべく働きたいですとか、そういった働き方改革、地方創生の面からも、やはりITを活用するというのは重要な問題であると思います。  どこの切り口からやっても、DXはやらなきゃいけないというわけなんですが、一方、現状なんですが、私、世耕大臣最後質問で取り上げたんですけれども、総務省がデータを出していて、日米のIT投資、ICT投資の推移というので、日本はほとんどふえていないというか、ネット社会の前のときの投資額より微減ぐらい下がってしまっているんですよね。一方、アメリカはどんどんどんどん投資額がふえていって、ワニの口のように日米で投資額が開いていってしまう。これだけやらなきゃいけないと言って経産省が旗を振っているにもかかわらず、全然実際にはふえていないわけでございます。  きのう会社法の質問でも取り上げたんですけれども、売上げが二十年間でほとんど、財務省の企業統計で足し算をしても、上がっていません。人件費はちょっと下がっていて、設備投資はほぼ横ばい、利益はちょっとふえていまして、配当金は六・二倍。要は、設備投資を抑えて、人件費を抑えて、利益が上がった分、配当金は、今までよりも配当性向を上げて、ばんばんしていますというお金の流れができてしまっているわけです。  産業の健全な発展という点から考えれば、人件費ももちろんなんですけれども、設備投資を的確に積み上げていかなければ、どんどんどんどん、どんな設備も老朽化してしまい、産業競争力が落ちていき、経済の健全な発展はできない。なので、一番ふえた配当よりも、経産省としては設備投資をふやしていかなければならない。  大臣、御認識はこれでよろしいですね。
  177. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 先ほどの地方創生もそのとおりだと思いますし、テレワークとかIT環境、ネットの環境と物流さえそろえば、日本の至るところで仕事ができるものだと思っています。  今の御質問に対しましては、御指摘のとおり、総務省の情報通信白書などによれば、日本企業IT投資は横ばいの傾向にあるということを認識をしております。  企業ITへの積極的な投資を進めるためには、企業経営のあり方を改革をすることが必要。このために、コーポレートガバナンス改革の一環として、昨年、コーポレートガバナンス・コードが改訂をされました。適切な設備投資等による経営資源の最適配分を原則化したところであります。  さらに、これを受けて経産省としても、ことし六月に、グループガバナンスのあり方を示した実務指針を策定をしまして、その中で、グループ本社が全社的な経営課題としてのIT投資戦略を策定することを提言をしております。  この法律でもそれを進めていくところでありますが、やはり、経営者意識を変えていただく、そして投資をしていただくことは非常に重要なことであると思っておりますし、まず、企業の活動の基盤となる部分への投資ということになりますので、しっかりと投資を促してまいりたいと思っております。
  178. 落合貴之

    ○落合委員 これは、設備投資がふえていなくて、内部留保がどんどんふえていて、要は、今までこういうふうにやってきましたとおっしゃっても、残念ながら結果がほぼ出ていないわけです。  これは、しっかり本当に反省を踏まえないといけないと思いますが、やはり、これは新しい分野で、しかも弱い分野をやっていくわけですから、かなりリーダーシップが必要だと思います。  今までのやってきたやり方の反省をしっかり踏まえて、リーダーシップをとってやるんだということでよろしいですね。
  179. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 内部留保は、この分野の投資だけではなくて、やはり、将来、企業が取り組むべき課題という、先行きが見えない部分もありますし、また、米中摩擦を始めとする通商摩擦などもあり、そういったところで様子見のところもあるのかなと思いますけれども、それらの投資は別にして、産業の基盤、また、それぞれの企業の活動の基盤である今回の投資に関してはしっかりと促してまいりたいと思っております。
  180. 落合貴之

    ○落合委員 これはまた取り上げさせていただきますが、システム全体の六割があと五年で老朽化してしまう。だから、今の内部留保を全部そっちに使っても、別に、もし使わなかったら商売がやっていけなくなっちゃうわけですよね。それぐらいの状況にあるわけですので、どこに投資するべきかというのははっきりしているわけですから、ぜひこれはやらなければ、五年後の経済がどうなっているか、大変危機的な状況であると思います。  これは、実際にやっていくに当たってやはり一番ネックになるのかなと思いますのは、人材の問題です。  これはもういろいろ、特に日経新聞がよく書いていますけれども、IT人材はどんどんアメリカが吸収していってしまっている、最近は中国もそうかもしれないですけれども、日本からIT人材がどんどん流出していると。ただでさえ、今の現状でさえもIT人材がいない中で、DXを達成するにはどうすればいいのか。これは、人材のところがネックになって、非常に課題になると思うんですが、大臣、いかがですか。これはどうやって解決しますか。
  181. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 人材の不足につきましては、二〇一八年時点で約二十二万人のIT人材の不足があると言われておりますが、このままシステムを変えずに、また二〇三〇年になった場合には、四十五万人になる可能性もあるということも言われております。  現状、過度に部門ごとにカスタマイズしたことなどにより、新たなデジタル技術の導入が困難なシステムの保守、運用に従事しているIT人材も多くて、またこれに多くの時間が浪費されていることが日本IT人材の不足の一因になっているとも考えております。  こうした観点からも、国内のレガシーシステムの刷新を促していくことが重要でありまして、次のシステムで思う存分能力を発揮してもらうためにも、しっかりとした雇用を進めていくこと。どちらが先かということはありますけれども、IT人材の育成というのも非常に重要な課題だと思っております。しっかり取り組んでまいりたいと思います。
  182. 落合貴之

    ○落合委員 そのIT人材の育成というのは、どうすればいいですかね。これは、IT人材が出てこなければ、枠組みをつくっても前に進まないわけですが、経産大臣としてどのようにお考えですか。
  183. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 AIIoTなどの新たな技術に対応した人材の育成も重要でありまして、経済産業省としましては、ITデータ分野における社会人の学び直しを促進するため、リカレントですね、第四次産業革命スキル習得講座認定制度を、これもちょっと仰々しい名前なんですけれども、平成二十九年七月に創設をいたしました。  これまでに計七十七講座を認定しているところでありますが、引き続き、認定講座の拡充などを通じて、リカレント教育の充実にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  また、ITを利活用する全ての社会人が備えておくべきITに関する基礎的な知識を習得するために、ITパスポート試験を実施をしております。ことし四月から、AIIoTなど、第四次産業革命に対応した試験内容に拡充したところであります。  経産省としては、これらの取組も通じて、引き続き、関係省庁や産業界とも連携しつつ、IT人材の不足に向けて対応をしてまいりたいと思います。知識を身につけることと、あとは、しっかりとした、新たな局面を迎えられるような環境づくりをすることということであると思っております。
  184. 落合貴之

    ○落合委員 この分野の参考人を登録しなかったので、実際にどれぐらい使われているかというのが今聞けないんですけれども、大臣、これは御存じですか。こういう仕組みはありますけれども、実際に使われているんでしょうか。
  185. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 現時点の認定講座は、先ほど申しましたように七十七講座。そして、AIが二十五講座、IoTが二講座、クラウドが七講座、データサイエンスが二十二講座、セキュリティーが十五講座、ネットワークが一講座、自動車、生産システムが五講座ということで用意をしております。
  186. 落合貴之

    ○落合委員 これは、ぜひ大臣、今もう始まっているものについては調べていただきたいんです。  なぜかというと、省エネ法というのがありまして、そのころは、経済にとって省エネというのが、オイルショックの時代はネックになっていたわけですよね、今で言うIT化と同じぐらい。こういう講座というか、補助金がもう物すごくたくさんつくられていまして、それから、信用保証協会の枠とかも、省エネに関するものというのは物すごくたくさんあって、私、全部調べたんですけれども、実際に今どれぐらい使われているのかといったら、余りにも複雑過ぎてほとんど使われていないというのを去年かおととし取り上げたんです。  やはり、これは枠をつくっても使われていなかったら意味がありませんので、これは喫緊の課題ですので、ぜひ大臣、聞いていただいて、調べていただいて、もしただ枠をつくっただけで終わっているものがあるのであれば、どうするべきかということの対応をいただければと思います。  それでは、こういう情報化というか情報技術をどんどん使うことで、最も今の問題が解決できるわかりやすい部分というのは、私は電力の分野であると思います。  今、電力の発電比率をどうするかとかいろいろな議論がありますが、結局ネックになっているのは送電線の使い方。しかも、出力制限をしたけれども出力制限し過ぎてまた足りなくなっちゃったですとか、これは、スマートグリッドがちゃんとついて、しかも発電側の予測も需要側の予測も正しくできるようになれば、今の送電線の問題もばしっと解決ができて、もっと、今言われている問題がどんどん前に、目に見えて進んでいくわけでございます。  多機能分散型にもなりますし、省エネもより進むので、発電量も少なくて済む。エネルギーが多機能分散化すれば地方創生にもつながるということで、これは、電力の分野、しっかりアーキテクチャー、新しいものをつくって、最優先で、政府の成果としてわかりやすい部分でやっていく必要はあると思います。  この電力に対して前向きである、この法案の具体例として、ということでよろしいですね。
  187. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 今委員から御指摘あったように、電力系統分野というのは、IT化はより効率的な電力システム構築や再エネの最大限活用といったことに活用できると思っております。  特に、太陽光発電設備のオンライン化で出力制御量の削減ができるのではないか、今はとめるという形ですけれども、これをオンライン化した上でAIに操作をさせるということも可能になることと思いますし、また、蓄電池やEVといった需要家サイドのリソースの有効活用ということで、タイムリーで効果的な需給調整や省エネの実現もできると思っております。  さらには、日本版コネクト・アンド・マネージ、既存系統を最大限有効に活用することの具体化というものもできるはずだと思っておりまして、今の電力の問題、ネットワークの問題がありますし、分散化、災害時の対応というものもあります。そういったことにも対応できるものと思っておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  188. 落合貴之

    ○落合委員 これをしっかりやれば、送電線の容量もそんなにふやさなくてよくなりますし、それから発電量も減らすことができるので、かなり劇的に前進すると思います。  それで、追加でちょっと伺いたいんですが、それだけ、もうこれをやれば再エネにとってもより参入しやすくなる状況がつくれると。政府の目標は再エネを最大限導入するという中で、前、山崎委員も伺いましたが、新しい託送料金をつくろうということで、設備容量に対して発電側がお金を払ってくださいと、新しい仕組みを今経産省が考えているところです。  これは、電力自由化になって、しかもFITが終わって、完全に自由競争の中に元FIT電源が入っていく中で、電気の量を基準にするんじゃなくて設備容量を基準に料金を決めたら、再エネが一番払うお金が高くなってしまう。これは再エネに明らかにブレーキがかかる。こういう仕組みを、課金する仕組みを今経産省がつくろうとしているわけです。  こうやってイノベーションを役所が阻害して、イノベーションがおくれてきた。同じ間違いを絶対にやっちゃいけないと思うんですね。これは、大臣、新しくかわったんですから、絶対変えていただきたいと思います。これは、この法案を通して一番結果が出るのは電力なんですから、ぜひやっていただきたい。大臣、いかがでしょうか。
  189. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 今御指摘いただいた制度は、二〇二三年の実施に向けて今検討をしているものであります。その一部がまた発表にはなっているわけでありますけれども、二三年に向けて妥当性のある制度につくり上げていきたい、今の委員の御意見も参考にしながら考えてまいりたいと思います。
  190. 落合貴之

    ○落合委員 ぜひ、かなり前向きに、二〇二三年ということは、もう二〇二五年の崖の二年前です。だから、この電力マーケットぐらいは大きく変わっているはずなんです。  何で設備容量に課金をするのかといえば、予測ができないから、最大限発電した場合はこれぐらいだからこれぐらいかけますというふうな課金の仕方をするわけで、これもIT化されて、情報化されれば、別に発電量でも、平均発電量で課金できるわけですね。  これは絶対に重要だと思いますので、大臣、またこれは改めて取り上げます。年末にもしかしたら答えが出てしまうかもしれないので、ぜひお願いしたいと思います。  まだ大丈夫ですね。じゃ、最後に一問。  今回の法案を見ていまして、結局、一番ポイントになるのはIPA、この独立行政法人の機関が問題になると思います。  それで、一番重要なのは、これは指針も決めますので、人材の量の確保も、先ほどのあれもあるんですけれども、一番レベルの高い人材をここに集められるのかという問題があると思います。  これは、アメリカも国が主導してこういう改革をしてきたわけですけれども、アメリカの場合は、公務員でも結構高いお給料をもらう人はもらうわけで、そういう仕組みができるわけですけれども、日本の役所が主導して、このIPAをうまく回して、今やろうとするDXが達成できるんでしょうか。大臣、いかがですか。
  191. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 今の御質問ですけれども、これらを担える人材を確保することは大変重要な課題であると思っております。特にアーキテクチャー設計については、多様な産業分野の方に参画していただくことが重要であると思っています。  このため、アーキテクチャー設計を担える人材を集約するハブとして、IPAに設置予定の産業アーキテクチャ・デザインセンターの設立に当たっては、組織理念として定める憲章の中で、幅広い人材に機動的かつ円滑に参加していただけるよう、常勤だけではなくて非常勤としての雇用も認めるなど、柔軟な組織運営の方針を定める予定であります。  そういったことも含めて、今委員がおっしゃるように、能力のある人材を集めてまいりたいと思っております。
  192. 落合貴之

    ○落合委員 具体的なこういう問題は非常に重要ですので、また改めて追いかけていきたいと思います。  本日は、ありがとうございました。
  193. 富田茂之

    富田委員長 次に、浅野哲君。
  194. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日は、よろしくお願いいたします。  情報処理促進に関する法律の一部を改正する法律案ということで、本日午前中からさまざまな観点で委員の皆様が御質疑をされてこられましたが、やはり私も、同じような課題意識を持ってこの法律案を見させていただいておりました。  これまでの間の質疑内容を聞いて、改めて、サイバーセキュリティーの重要性ですとか人材確保の重要性というところは再確認をさせていただき、また同時に、政府の皆様に対してもさまざまな要請があったものと思いますので、その部分については質疑からは省略をさせていただきまして、少し細かな点で確認をさせていただきたいところがございます。  先ほどの参考人質疑の中でも、ある方が、神は細部に宿るという言葉を使われておりました。私もそのとおりだと思います。  今回、デジタル経営改革ですとか、IPAの機能強化、そして情報処理安全確保支援制度の見直しといったものが大きなポイントになっているというふうに認識をしていますが、最初にちょっと大臣にお伺いしたいのは、先ほどもございましたが、DXレポートが出されてから約一年でのこの法案提出というのは非常にスピード感があるというような御発言が参考人の方からもありましたけれども、私の捉え方としては、このDXレポートが出ること、時期自身が遅かったんじゃないかというふうに思うんですね。  最初質問は、今回の法改正がなぜこのタイミングになったのか、やはり遅いのではないかという課題意識がございまして、その部分について御見解をお伺いしたいと思います。
  195. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 きょうの議論の中でも皆さんからありましたように、企業経営のあり方を変革するDXの推進が不可欠だということは共通認識であると思っております。  経産省でもDXの重要性は以前から認識をしておりまして、昨年度から、IoT投資の抜本強化を支援するための税制措置、コネクテッド・インダストリーズ税制や、昨年九月には、我が国のDX課題と展望を示したDXレポートを取りまとめ、問題意識を明確化することで民間企業に対応を促す等、DX推進に向けた各種措置を講じてきたところであります。  加えて、近年、インターネット上で完結するバーチャルなデータの活用から、リアル空間のデータを活用したビジネスに移行が急速に進んでおりまして、海外を中心にデータデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルが登場をしてきております。この変化に対応するために、社会全体のデータ連携、共有やクラウドサービス等の新たなデジタル技術安全性評価を実施することが急務となってきているわけであります。  本改正は、本年六月にIT本部が決定をされたデジタル時代の新たなIT政策大綱において、デジタル技術データの活用を前提とした企業デジタル経営改革の実現による我が国企業の競争力の強化、今後、新たな産業サービスの創出の前提となる、異なる事業者間や社会全体でのデータ連携、共有を容易にするために必要な共通の技術仕様であるアーキテクチャーの策定、官民におけるクラウドサービス等の新たな技術サービスの活用を促すために必要なセキュリティーの確保等を講ずることが示され、それに対応したものであります。  これらの措置によって我が国全体のDXを更に加速をし、新たな技術データの活用をより強力に進めることで、ソサエティー五・〇を実現をし、我が国の持続的な成長を促してまいりたいと思います。  委員がおっしゃるように、遅過ぎるんじゃないかということを言われますけれども、ここでしっかりと取り組んで、早いうちにその産業の基盤を整えていくという必要性が、DXレポートが出た後の現時点だと思っております。
  196. 浅野哲

    ○浅野委員 どうもありがとうございます。  大臣おっしゃるように、DXレポートあるいはそれに準ずるさまざまな検討結果が出てからこの法案提出までの時間というのは、確かに、一年というのはスピード感があると言う方がいらっしゃるのもわかります。そこは私も率直に評価をしているところでありますが、例えて言うなら、徒競走でスタートが少しおくれてしまった状態からのスタートになっておりますので、ここからのレース運びであったりといった部分については相当緊張感を持って取り組まなければいけないというふうに思っております。  経済同友会の発行している雑誌の中には、例えばこんな表現がございます。世界データ管理は大半がクラウド化しているのにもかかわらず、多くの日本企業はいまだに自前のサーバーを所有し、独自システムデータを管理していると。汎用性の低いシステムを利用してきた結果、日本企業のセキュリティーシステムは三世代前のレベルにとどまっているというようなことも言われております。  本当に緊張感を持って、これから、今回議論いたします法案については実行していただきたいというのを、まず冒頭申し上げたいと思います。  それでは、具体的な法案の中身についても二、三、確認をさせていただきます。  まず、デジタル経営改革の項目について、主に認定制度の導入に関して質問をさせていただきたいと思います。  産業の現場から私も少しヒアリングをさせていただいたところ、この認定制度をいかに効果的に運用できるかというのが重要な鍵だと感じていると。ただ、誰がどのように認定をするのか、そこに認定内容の公平さ、公正さをどのように担保するのかという部分についてまず御答弁をいただきたいのと、加えて、具体的な観点として、レガシーシステムを既に有している歴史のある企業よりも、デジタルネーティブと呼ばれているスタートアップ企業の方が高評価を得る可能性というのがあるのではないかというような懸念の声も出ておりますので、こういった部分を払拭していただけるような答弁をいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
  197. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今御質問のございましたまさにデジタル経営改革に当たって、私どもが申し上げております、仮称でございますけれどもデジタルガバナンス・コードあるいは法律上の指針の認定についての考え方、あるいは公平性をどのように確保するかということでございます。  まずは、指針の認定に当たりましてまず第一歩になりますのは、当然、指針そのものをどういうふうにつくるかということが非常に大事になってまいります。  この指針につきましては、我々がデジタルガバナンス・コードという言い方をしておりますのは、先ほどの参考人の御質疑でもあったかと思いますけれども、それそのものではございませんけれども、今でいいますとコーポレートガバナンス・コードというのがございますけれども、ある意味ではそれと似たような位置づけとしてつくりたいというふうに考えております。  それは、逆に申し上げますと、コーポレートガバナンス・コードと同様、デジタルガバナンス・コード、指針をつくるには、当然、現在の企業経営の実態、特にデジタルに関する経営の実態、あるいは経営者が自己評価をするときにどういう観点が重要だと思うか、あるいは、特に、ずっと本日の御質疑にもございましたとおり、経営者がある意味ではリスクをとった判断に踏み込むためにどういう要素が必要になるかということが非常に鍵になってまいります。そのことにつきましては、企業経営の第一線の方あるいは有識者の方といろいろ議論を積み重ねて判断をしていきたい、策定をしていきたいというふうに考えております。  それから、認定のある意味での公平性というのでしょうか、についての考え方でございますが、このデジタル経営改革に関する指針についての認定は、基本的には、いわゆる技術的負債、負の遺産の処理も含めて、その企業デジタル的な経営の健全性をきちんと満たしているかどうかということが非常に大きな判断のポイントになります。その中でも、特に、そうした攻めや守りについて、経営的に、経営者がリードして改革を進める体制が整っているかどうかということが非常に大きな判断要素になってまいります。  したがいまして、その企業が例えばどういう業種で仕事をしているかとか、そのビジネスそのものがデジタル的に非常に新しい内容を含んでいるかというよりも、まさに個別の事業部門に今までは閉じこもっていたITシステムを全社大に拡大し、その企業の業種、事業内容に見合った攻めの改革をしているかどうかというのがポイントになってまいりますので、その企業が取り込んでいるビジネスの中身そのものの新規性とは独立した判断、あくまでも、先ほどコーポレートガバナンス・コードと申し上げましたけれども、経営としてのデジタル的な意味での健全性が攻め、守り両面できちんと満たされているかということを軸に判断をしたいというふうに考えております。
  198. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  やはり、事業者が事業を起こした時期が、長い事業者もいれば最近起こしたばかりの事業者もいて、そういった環境の中で、DXを実践しやすい環境にあるかどうかというのは、それぞれ、さまざまなお立場があると思いますので、そこはぜひ産業現場の立場に十分配慮した運営をしていただきたいと思います。  続いて、IPA、独立行政法人情報処理推進機構の機能強化をするということなので、ここに関して質問させていただきたいと思います。  アーキテクチャーを設計したり、あるいはサイバーセキュリティーの安全性基準を検討するという部分が今回新たに追加されるということなんですけれども、実は既に、金融や通信、電力、交通、食品などの各業界の中では、業界、同業者がサイバーセキュリティーに関する情報共有、分析、連携を行うための組織というものを既に立ち上げているということを知りました、ISACという通称らしいんですけれども。  民間が自立的に既に始めているサイバーセキュリティー対策ですとか、こうした取組を阻害するようなものであってはいけないと思うんですが、このIPAの機能強化の際にどのような配慮をするおつもりか、そのあたりの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  199. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  まず、今回、IPAの機能強化は、大きく分けますと二点、クラウド安全性評価という観点とアーキテクチャーに関係する部分がございますが、今先生質問の点は主としてセキュリティーに関することでございましたので、そちらの、クラウド安全性評価のことを中心にお答えをさせていただきます。  まず、私ども、ついつい、ふだん、今先生指摘の、ISACと呼んでいるんですけれども、分野別に、サイバーセキュリティーの問題について、同業者の間で、さまざまな対策あるいは最新の脅威についての意見交換が行われている場が既にさまざま活動しているのは承知しておりますし、私ども経済産業省も広い意味連携をして活動をさせていただいております。  そうした中で、今回の改正内容は、特に、クラウドを利用するのかしないのかということに特化をした上で、特に政府機関が、クラウド・バイ・デフォルトと言っておりますけれども、そのクラウドの利用を原則とするということを決めたことを背景として行われているものでございます。  したがいまして、念のための確認でございますけれども、IPAの機能について改めて申し上げますと、クラウド安全性評価基準そのものは政府で策定をいたしますけれども、実際にその評価基準に基づきまして各政府機関が調達をする際に、そのクラウドサービスが安全かどうかというのを監査する必要がございますけれども、その監査機関が行います監査を、最終的には当然、これは政府機関の責任で、その監査が妥当なものだということを受け入れる必要がございますけれども、その監査結果の受入れに際して、政府機関の判断をサポートするものとして活動する予定にしております。  したがいまして、新しくIPAで行われますこのクラウド安全性評価、あるいは政府安全性評価基準をサポートする仕組みそのものは、先ほど例えば先生から御指摘のあった、電力などなど、各分野で行われておりますISACの活動を踏まえて、それと矛盾しない形で行われるものだというふうに認識しております。  また、念のために申し上げれば、もう一つ追加することになっておりますアーキテクチャーの設計に関しましては、まさに、今のIPAの中にいる人材というよりも、むしろ民間の中で活躍しておられる方を糾合する、そうした風土をつくり上げることで、今実際に民間で行われている動きとまさに連動しながら、しかし、あくまでも中立的な立場で専門家に活動していただく、あるいは人材を育成するということを主軸にしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  200. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  今、サイバーセキュリティーの方で御回答いただきましたけれども、もう一方、アーキテクチャーの方も、産業現場の企業側の立場からすれば、アーキテクチャー共通化されるというイメージを今持っている方もいらっしゃいまして、アーキテクチャー共通化されると、それだけビジネス上の競合他社との差別化要素一つなくなってしまうというところもありまして、ハードルが高いんじゃないかという声も聞かれていますが、こうした部分でどう対応していくのか。  更に加えれば、これから、やはりこういうビジネスがどんどんグローバル化していったときに、海外とのアーキテクチャー共通化というものも意識しなければいけないんですけれども、そういったところに対する政府の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
  201. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今委員から御質問のございました部分、私なりに言いかえますと、特に新しくシステムをつくる上で、いわゆる競争領域と非競争領域、あるいは独自領域と共通領域をどういうふうに分けるかという話になってまいります。  これも先ほど参考人の御質疑の中でもあったというふうに理解しておりますけれども、今提案されている多くのいわゆるシステム、あるいはシステム・オブ・システムズと言われておりますようなもの、例えば自動走行ですとかスマートホームですとかスマートシティーというのは、単独の事業者で全てをカバーすることはどうしてもできない、複数の事業者が何らかの形で結合してトータルのサービスが提供されるという形になってまいります。そうしますと、もちろんその程度問題はさまざまございますが、少なくとも、いわゆる共通領域が全くなし、完全に各社独自のやり方というのでは、どの仕組みも実現できないということではないかというふうに思います。  そういう意味では、これもやや雑な言い方で恐縮でございますが、日本企業はどちらかというと、これまで、どうしても基本的には独自領域を全ての会社が持ち、なかなか共通領域を持たないということが起こってきたのも、今、オープンイノベーション課題になっているということと同じことだと思いますけれども、事実であろうかと思います。  そうした中で、もちろん全てを共通領域にすれば、それはもう競争する場がなくなる、独自性を発揮する場がなくなりますので、一体どの部分を共通化することが最も公平、フェアなのか、あるいは実効性が上がるのかというのを中立的な立場で誰かが判断をしませんと、その仕組みができないということになりますので、そうした役割を担うものとして、このIPAの、仮称でございますけれども、産業アーキテクチャ・デザインセンターというものを考えておるということでございます。  また同時に、これも二点目に委員から御指摘がございましたとおり、今挙げましたどの仕組みも、自動走行であれスマートシティーであれ、これは日本の独自な仕組みだけでは全く機能はしないと思います。  したがいまして、ここで申し上げているのは二つございまして、それをするにしても、グローバルに個別企業でなかなか案を提案しても、これはなかなかグローバルな議論の中に反映されませんので、日本として何らかの案を発信し、海外とさまざまな議論をしていく上の土台をつくるのがこのセンターの役割だというふうに考えておりますし、それを実現する上で、人材の上でもぜひ海外のさまざまな機関との交流を図って、活動してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  202. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  続きまして、情報処理安全確保支援制度についてもお伺いしたいと思います。  この制度が始まったのが二〇一七年ということで、まだそんなに月日がたっておりません。当初、三年間ごとに講習を受けるという制度でスタートをしたものですが、今回、その最初の講習タイミングを迎える前に更新制の導入という提案がされているわけですけれども、一般論からすれば、ちょっと早いんじゃないかという印象を受けるわけでありますが、なぜ初めからやらずにこのタイミングになったのかという部分について少し経緯を御説明いただきたいのと、時間の関係でちょっと先回りしてしまいますが、やはり日進月歩でこのサイバーセキュリティー技術というのは進歩をしておりますので、やはり定期的な講習、スキルアップというのが非常に大事になるんですが、この講習内容をいかに高度化していけるかというのが肝になると思いますが、そのあたり、対応していく方針についてお伺いをしたいと思います。
  203. 西山圭太

    西山政府参考人 お答えを申し上げます。  今御質問のございましたいわゆる支援制度につきまして、まず、当初からなぜ同じ制度にしなかったかという御質問でございますが、それについては、おおむね二点、背景がございます。  一つは、実務上の点でございます。  今御提案している今の現行法に基づくこの情報処理安全確保支援制度も、基本的には講習の受講が義務づけられているんですが、その義務に違反した場合には、IPAの側が主体的に取り消すということをしないと資格を取り消すことができないという制度になっておりました。  したがいまして、この制度をつくりました際にはそれで十分できるんだというふうに考えておりましたものが、なかなか、実務面で、それではうまくいかないのではないかということもございまして、今回は、原則として、三年間で講習を受けなければ登録が抹消される、そういう、ある意味ではわかりやすい更新制に変えたということでございます。  もう一つは、二点目の先生の御質問ともかかわりますけれども、まさに知識が日進月歩でございますので、これは、今後も三年更新制とはしておりますけれども、講習そのものは三年に一回というやり方はしない予定にしております。既に着手をしておりますけれども、毎年少なくとも一回のオンライン講習による知識の、技能の確認をするということをした上で、三年に一回は更に、ある意味で集中的、グループでの研修、取組として、更新に当たっての講習を義務づけるということを予定をしております。  以上でございます。
  204. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  残り時間もわずかになってきましたので、最後質問させていただきたいと思うんですが。  やはり、これまでの本日の議論でもありましたように、制度自体をしっかりつくり込むことに加えて、いかに多くの企業にこの取組に参加してもらうかというのが非常に重要なんですけれども、企業経営者の立場からすれば、生産性が上がるとか、世の中のビジネスにリアルタイムに対応しやすくなるとかというのも一つメリットなんですが、それ以上に動機づけになるのは投資家の評価なんですね。やはりこのDXの取組を推進することが投資家の評価につながるという部分が非常に重要だと思うんですけれども、そのあたりをどう認識されているのか。  逆に、それを政府が盛り上げていかなければいけないと思うんですけれども。そうしないと経営者に振り向いてもらえませんから。その点を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  205. 西山圭太

    西山政府参考人 お答え申し上げます。  今委員から御質問ございましたとおり、この指針による認定を実効あらしめるためには、単に国が認定するのみならず、そのことについて、さまざまなステークホルダー、経営者は当然でございますけれども、経営者及びステークホルダーに関心を持っていただくということが非常に重要だというふうに思っております。  そういう意味では、今回、このデジタルガバナンス・コード、指針というのを示させていただくのも、これを通じて、そういうこともございまして、やや不正確なところはございますけれどもコーポレートガバナンス・コードと関係づけているところがございますが、これを通じて、経営者自身投資家を含めたステークホルダーにみずからのデジタル経営についての方針、考え方を説明し、それが投資家を含めたステークホルダーの評価につながるということを、そういう意味での好循環をぜひ実現をしたいというふうに考えております。  また、これは既にある制度でございますが、端的に、今ございます制度として、経済産業省と東京証券取引所で攻めのIT経営銘柄というものをつくりまして、ある意味IT経営についての市場の評価を促すような仕組みを持っておりますが、今御議論いただいておりますようなデジタルガバナンス・コード、この法律が成立しました暁には、こうしたデジタルガバナンス・コードを通じた取組についても、こうした資本市場における評価に反映させることで、また、今御指摘のございましたような資本市場において、こういうものの認定を受ければ評価をされるような好循環を生み出したいというふうに考えております。
  206. 浅野哲

    ○浅野委員 終わります。ありがとうございました。
  207. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  208. 笠井亮

    笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  午前中に続いて質問します。  今回の法案では、政府機関等へのサイバー攻撃が発生する事態への備えとして、政府調達におけるクラウドサービス安全性評価を行う機能をIPAに付加するとしております。  二〇一六年の法改正では、IPAは、内閣サイバーセキュリティ戦略本部から委託を受けて、独立行政法人と指定法人に対する監視を行うことになりました。  まず、梶山大臣に伺います。  政府機関を監視している内閣サイバーセキュリティセンター、NISCとIPAはどのように連携して監視活動を行っているんでしょうか。
  209. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 平成二十八年のサイバーセキュリティ基本法の一部改正によって、情報システムに対する国による監視等の対象範囲について、国の行政機関から、独立行政法人及びサイバーセキュリティ戦略本部が指定する特殊法人、認可法人に拡大をされました。  これを受けて、IPAは、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCの監督のもとで、独立行政法人等に対する不正な通信の横断的な監視等を行うなどの連携を行っているところであります。
  210. 笠井亮

    笠井委員 NISCが第一GSOCということで情報セキュリティ横断監視・即応調整チーム、IPAが第二GSOCという形で、相互連携しながらサイバー上の監視活動を行っている。さらに、サイバーセキュリティー上の障害、事故等が発生した際の対処でも、NISCとIPAは一体として情報連携の結節点に位置づけられております。  内閣府に伺います。  二〇一八年のサイバーセキュリティ基本法改正を受けて内閣官房に設置されたサイバーセキュリティ協議会は、官民が参加する構成員に情報提供義務と秘守義務を課すことで、従来の枠を超えた情報共有、連携体制を構築することを目標にしております。  最も積極的に情報を持ち寄る第一類の構成員は、まだ確証を得るに至っていない専門的な分析内容を内々に持ち寄るとされていますけれども、この第一類の構成員として参加している国の行政機関はどこですか。
  211. 山内智生

    山内政府参考人 お答え申し上げます。  独立行政法人等を含む国の関係行政機関において、協議会の第一類構成員になっているものは、私ども内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター及び独立行政法人情報処理推進機構、この二つでございます。
  212. 笠井亮

    笠井委員 NISCはこの協議会の事務局を務めますが、この協議会は、会議を開かずにバーチャルで行えるもので、会議体ではありません。提供された情報をどのように扱うかを含めて、NISCが大きな権限を持つ情報収集、管理の仕組みであります。IPAは、そのNISCと専門的な分析内容を内々に持ち寄る関係となって、サイバー上の監視活動、情報集約を担っている。  内閣府に引き続き伺いますが、二〇一八年の七月に閣議決定されたサイバーセキュリティ戦略では、同盟国、有志国との連携をどう位置づけているでしょうか、端的にお願いします。
  213. 山内智生

    山内政府参考人 お答え申し上げます。  サイバーセキュリティ戦略の中では、特に国際連携それから安全保障というパートを設けております。  サイバー空間を取り巻くリスクが深刻化をする中で、サイバー攻撃に迅速的確に対応するために、同盟国それから有志国との連携が非常に重要であるというふうに感じておりまして、二国間それから多国間、共通した連携の強化というのを行っております。  我が国は、多様な主体が連携、協働してサイバーセキュリティーの確保に取り組むことによって、サイバー空間の安全を確保することを目指しておりまして、このような考え方を、例えば国連、それから多国間の協議の、国際場裏というふうに言っておりますが、こういうところで情報の発信をすること、それから、サイバー空間の発展を妨げるような国際ルールの変更を目指すような取組もあります。こういうものに対して、同盟国、有志国と連携をして対抗していくということをこの戦略の中でうたっております。  関係国との連携を深めるとともに、多国間の議論にも積極的に貢献してまいります。
  214. 笠井亮

    笠井委員 関係国ですが、同盟国、有志国との連携を重視されていて、サイバーセキュリティーと日米同盟の安全保障を一体的に位置づけております。  ことし内閣府が発表したサイバーセキュリティ二〇一九の二〇一九年度年次計画では、米国との連携について、インシデント情報の交換等を推進して、同盟国である米国とのサイバー空間に関する幅広い連携を強化するとされております。  米国とのインシデント情報の交換等、サイバー空間に関する幅広い連携に、IPAが収集した情報サイバーセキュリティ協議会で共有した情報が含まれるんでしょうか。含まれるかどうか、端的に答えてください。
  215. 山内智生

    山内政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどのサイバーセキュリティ協議会の中で、秘密を有する情報をまず得た場合に、情報の提供者、これがIPA若しくはそのIPAの前に実際に情報を得た方がいらっしゃるとすると、その方の許諾もなく、これは米国といえども出すことはできません。  ですので、まず、これは、その規定上でそういうことは許されませんので、私どもが特段、事務局としてそういう情報を自由に扱う若しくはIPAが扱うという構造にはなってございません。
  216. 笠井亮

    笠井委員 昨年十二月四日、内閣委員会で当時の櫻田大臣答弁しておりますけれども、協議会は、官民の多様な主体がお互いに情報を提供し合い、また必要に応じて海外の行政機関とも連携しつつ民間等を含め国内全体としてサイバー攻撃による被害の拡大を防ぐことを目的としている、連携すると言って、具体的にやると言っているんですよ。  IPAが収集して内閣官房、NISCと共有した情報が米国政府にも共有されている。IPAは、米国のサイバーセキュリティー戦略、日米同盟に密接に関与しているということになります。  そこで、防衛省に伺います。  米国国防総省が二〇一八年九月に発表した国家サイバー戦略は、サイバー攻撃の脅威としてロシア、中国、イラン、北朝鮮を名指しして、サイバー軍の能力構築の加速や同盟国との協力促進を掲げました。  これを受けて、ことし四月の日米安全保障協議委員会、2プラス2において、これが質問ですが、サイバー攻撃への対処を確認しておりますけれども、今年度版の防衛白書にはこの2プラス2での確認についてどう記されていますか。その中身、端的にお願いします。
  217. 石川武

    石川政府参考人 お答え申し上げます。  本年四月の日米2プラス2会合では、日米両国がサイバー分野における協力を強化していくことで一致し、国際法がサイバー空間に適用されるとともに、一定の場合にはサイバー攻撃が日米安全保障条約に言う武力攻撃に当たり得ることを確認しました。  以上でございます。
  218. 笠井亮

    笠井委員 サイバー攻撃が日米安保条約に言う武力攻撃に当たり得るということで言っているわけです。  ことし四月二十五日の参議院の外交防衛委員会で、我が党の井上哲士議員の質問に、当時の岩屋大臣はこう答弁しております。  サイバー攻撃であっても、物理的手段による攻撃と同様の極めて深刻な被害が発生し、これが相手方により組織的、計画的に行われていると判断される場合には武力攻撃に当たり得る、自衛隊は必要な武力を行使することができる、必要な武力の行使として物理的な手段を講ずることが排除されているというわけではありませんと。  ここまではっきり答弁したんですが、間違いありませんね。
  219. 石川武

    石川政府参考人 お答え申し上げます。  そのように御答弁されていると承知しております。
  220. 笠井亮

    笠井委員 極めて重大なことだと私は思うんですが。  IPAは、既に米国政府サイバー軍と密接な関係にあります。  経産省に伺いますけれども、IPAの産業サイバーセキュリティセンターが二〇一八年から中核人材育成プログラムを実施しておりますけれども、その初年の二〇一八年に特別講義として米国から招いた講師は誰ですか。肩書とともに紹介してください。
  221. 西山圭太

    西山政府参考人 お答え申し上げます。  先生お尋ねの、平成二十九年十月に実施をいたしましたIPA産業サイバーセキュリティセンターの中核人材育成プログラムにおいて特別講義に招聘いたしました海外専門家はお二方ございまして、お一方は、元米国国家安全保障局長官兼サイバー軍司令官のキース・アレキサンダー氏、もう一方は、元米国国家情報長官のデニス・ブレア氏の二名ということで、サイバーセキュリティーにおいて高い知見を有しておられる方ということで招聘をしております。
  222. 笠井亮

    笠井委員 今、二名ありました。キース・B・アレキサンダー将軍とデニス・ブレア提督ということであります。  米国政府、軍関係者が講師となっているということで、経産省が二〇一八年に実施をしたASEAN等向け日米サイバー共同演習に日本から参加した受講生は、IPAの中核人材育成プログラムの八十三名でありますけれども、これは米国国土安全保障省、DHSが持ち込んだプログラムで、このことについては日米首脳会談でもインド太平洋構想の重要な取組というふうに称賛をされているということであります。  これはなかなか大変なことだと私は思うんですが、梶山大臣に伺います。  米国は、先ほど言った、新たな国家サイバー戦略ということを打ち出して、そしてそれを前方防衛と形容し、先制攻撃でより決定的な打撃力を持つ戦力を構築するということで、同盟国と協力促進をするということを掲げているんですね。  このもとで、先ほど来答弁がありましたけれども、本法案によってクラウド安全性を評価する新たな機能をIPAに付与することになれば、米国のサイバー戦略に一層深く組み込まれるということになるんじゃないでしょうか。それはまた、その場合には、さっきもあったみたいに、防衛省の答弁を確認しましたけれども、武力攻撃に当たるということで、武力行使もするということがあるんだということも言っているわけですが、こういう点では、この法案のもとでIPAにこういう機能を付与することで米国のサイバー戦略に一層深く組み込まれると大変なことになるんじゃないかと思うんですが、大臣、率直にいかがでしょうか。
  223. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 米国が昨年九月に発表いたしました国家サイバー戦略は、サイバー空間を介した脅威が増大しているとの認識のもとに、サイバー空間における国際法や行動規範に基づく国家の行動の促進や、悪質なサイバー活動の抑止に向けた国際協力等を重視する考え方を示したものと承知しております。  今回の法改正の趣旨は、政府情報システムの調達においてクラウドサービスの導入を第一に検討するという方針が昨年定められたことを受けて、各省庁が適切なクラウドサービスを選択できるよう、政府として安全性評価を行う体制を構築するものであります。  クラウド・バイ・デフォルト原則、クラウドの導入を第一に考えていくという原則は、米国のみならず欧州等でも広く取り入れられており、国際的な潮流を踏まえたものであります。  また、安全性評価については、国際規格であるISOの基準をベースに日本政府として求める事項を独自に策定しているものでありまして、米国の国家サイバー戦略と関係するものではなく、御指摘は当たらないものと考えております。
  224. 笠井亮

    笠井委員 国家サイバー戦略、米国が昨年九月ということでありましたけれども、そのときに当時のボルトン米大統領補佐官は、我々は防御的であると同時に攻撃的に反応すると述べているわけですね。  抑止力の向上どころか、米国の先制攻撃戦略に巻き込まれるという危険な道になっていく。  先ほど防衛省からも、その当時の大臣答弁については確認がありました。サイバー攻撃であっても武力攻撃に当たり得る、自衛隊は必要な武力を行使することができるというもとで、今、大臣、当たりませんと言われましたけれども、結局、二〇一八年七月の閣議決定したサイバーセキュリティ戦略で、同盟国、有志国との連携の重視を主張していて、そのもとで、今回のIPAの機能について新たなものを付与して、収集した情報とかサイバーセキュリティ協議会で共有した情報が、そういうことが含まれてくると、結局、米国と一緒に連携していくことになると、これは大変なことになるということだと思うんですよね。  時間が来たから終わりますけれども、こうしたやはり危険な道というのは断じてとってはいけないということを強く申し上げて、質問を終わります。
  225. 富田茂之

    富田委員長 次に、足立康史君。
  226. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  毎度、共産党の次に立つものですから、いろいろ気になることがいっぱいあるんですが。いろいろ、危険な道とか、そういうことがありましたが、決してそういうことではないと思います。日米同盟ですからね。それから、これだけグローバルな社会の中で、何かアメリカを敵視しても仕方ない、こう思います。  さて、きょう、本当にお忙しい中、西村副長官にもおいでをいただいています。済みません、大変お忙しい中。ちょっとさっき廊下で、余り呼ばないでくれ、忙しいんだからという声もちょっと漏れ聞きましたが、全然、気をつけますので、済みません。  経済安全保障、それからNSSに経済班、いろいろな議論がございますが、私、経産省におったこともあって、例えば貿易管理、もともと経済安全保障、経済と安保はもともと密接だと思っていますが、日本政府は、経済安全保障ということで何が変わるのかというのが、もう一つぴんとこないんですが、ちょっと御紹介をいただけたら。
  227. 西村明宏

    ○西村内閣官房副長官 国会最優先でございますので、お呼びいただければ、いつでも説明に参らせていただきたいと思っております。  今、足立委員の方から、安全保障、経済安全保障に取り組む国家安全保障局の経済班の新設について御質問があったところでございますけれども、安全保障と経済の双方にまたがる分野におきましては、国家間同士の競争が急速に顕在化しているところでございます。具体的には、サイバーセキュリティーや機微技術の管理等の、要するに、経済分野における国家安全保障上の諸課題が挙げられるところでございますが、これらにつきまして、我が国としても、俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行う必要が高まっているところでございます。  こうしたことを受けまして、十月三十一日に、国家安全保障局に経済班の設置準備室を発足させたところでございます。  まず、準備室におきましては、経済班に必要な体制整備を行います。その上で、将来、正式に発足した際には、さきに述べた諸課題につきまして、政府内の各部門の連携を含め総合調整を行い、迅速かつ適切に判断してまいりたいと思っております。  本当に、経済分野におきましては、国家安全保障上の諸課題というのは非常に多種多様、そしてまた流動的でもございまして、経済班には、そういった新規の課題に迅速に対応する柔軟性が求められるところであります。  さまざまな課題への対応は、これまでも国家安全保障局の既存の体制で担ってきたところではございますけれども、その上で、より一層、俯瞰的、戦略的な対応を行うために体制強化を図るということでございます。
  228. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。  私のポイントは、もともと、例えば先日、十一日のロイターで、甘利税調会長が、経済安保ということで、インテリジェンス機能の強化が急務だ、こうおっしゃっています。私も、この経済産業委員会の場もおかりして、インテリジェンスはやはりちゃんとやった方がいいということをずっと言い続けてきた立場ですから全く異論はないわけでありますが、ただ、やはり国会にも、国会というか国民の皆様にも、もちろんインテリジェンスですから、インテリジェンスでやっていることとか考えていることとかいろいろ明らかにしたら、これはインテリジェンス活動になりませんから、もちろん難しいのはわかるんですが、とにかく、内調とかで情報を集めて分析しているんだ、NSSも総合調整しているんだ、ザッツオールということで一切わからないというのは、若干、そんなものかなと。  むしろ、諸外国、英米の歴史を見ても、諜報機関、情報機関、インテリジェンスの拡充に当たっては、さまざまな説明責任みたいなものも果たしながらやってこられているわけで、若干、日本は説明しなさ過ぎということがあって、きょうもちょっとお越しをいただいているわけであります。  要すれば、業務がふえてきたから強化するということなのか。何か質的に、今までやってきたこととこれからやることは変わるのか。どっちですか。
  229. 船越健裕

    船越政府参考人 お答え申し上げます。  委員から御指摘いただきましたように、まさに、経済班設置の背景といたしまして、国際社会の現状は、先進技術をめぐる国同士の主導権争いや、サイバー攻撃による機微技術の取得、AIや量子技術等の軍事利用等が発生しております。このように、様々な国家が、経済的手段により、安全保障にかかわる政策遂行や戦略的利益の追求を行っているというところでございます。  そうした中で、まさに委員指摘いただきましたように、質的か量的かということにつきましては、恐らく両方とも変わっていくのだと思っております。  その上で、現在、国家安全保障局では、これまで七十数名の体制であったわけでございまして、そうした体制のもとで経済と安保の接点についても取り組んできてまいりましたが、今後、そうした内閣官房としての総合調整機能を、官房副長官からお答え申し上げましたように、より迅速に、より機動的に、また、より柔軟に新たな課題に対応できるように、国家安全保障局に経済班を設置すべく、努力しているところでございます。
  230. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。  とにかく、日本政府と議論すると、インテリジェンスとか、あるいはNSSとかNSCとか、大体、職員の、スタッフの規模は何十とか何百とかですが、少なくとも万ぐらいにいってもらわないとね、副長官。やはり事務局の体制、一万人ぐらいはちょっと必要じゃないかと。アメリカは、だって、情報機関、全部足すと十万人というんですよ。  ぜひ、ちょっともう少し、何かよくわからない説明、いや、今の御説明で結構ですが、もう少し腰を入れて、インテリジェンスというものに取り組んでいただくようお願いをして、このテーマは終わりたいと思います。  お忙しいと思うので、引いていただいて結構ですので。もう余り呼ばないようにしますので。どうぞ。  さて、きょうは、内閣府にもお越しをいただいています。  きょう、ずっと私、申し上げているように、もちろんこの情促法、大事なんですが、繰り返しになりますが、サービスの提供側も大事ですが、ユーザーとの接点が大事だということで、マイナンバーですね。もう私、マイナンバーオタクと化していまして、向井さん、いつもありがとうございます。  マイナンバー、いまだに、繰り返し申し上げますけれども、番号、市役所でこれをもらうと、マイナンバーの番号を隠したシートが袋に入って渡されます。ところが、クレジットカードは、銀行でもらうときに、そういう番号を隠していませんね、ここ。隠さないでいいんじゃないですか。
  231. 向井治紀

    向井政府参考人 お答えいたします。  マイナンバーそのものは番号でありますが、本人を特定するものであって本人を証明するものではない、マイナンバーを使うときは必ず確実な本人確認を行いますので。したがって、マイナンバーが漏れたからといって、直接な被害が起こるということはございません。  ただ、マイナンバーカード自体は、マイナンバーを使わない通常の本人確認に使える、郵便局で物を受け取るとか、そういうようなものに使うためには、便宜上、カード、ビニール袋で隠れていても別に問題ないというふうに考えておりまして、その方が御安心であるならば袋を使っていただければ、そういう趣旨でございます。
  232. 足立康史

    ○足立委員 これ、大変大事な議論なんですよ。与党の皆さんも、もうお疲れだと思いますが、ゆっくりしていていただいて結構ですが。  今、向井さんおっしゃったように、御安心であれば隠しておいてもいいぐらいで。本当は隠してなくていいんです。なぜ隠したのと聞いたら、いや、国会でいろいろねと。共産党の皆さんも騒ぐので、とりあえず隠すことにしておいた方が法律が通りやすいからと言うんですよ。  そういうふうに立法府が、本来の政府のあり方、政府事業のあり方をゆがめる、おかしな方向でゆがめる影響力を行使するのはもうやめた方がいいと思うんですよ。むしろ、政府がおかしいことをやっているときに、こうした方が合理的でしょうということを言うのが僕は立法府だと思うので。  向井さん、配るときにこれを隠すのをやめませんか、ちょっと。国会で決めろということですね。
  233. 向井治紀

    向井政府参考人 現状、いろいろな、国民の皆様方の声、コールセンターなんかに届く声、いろいろ聞いておりまして、その辺について、また一方で、いろいろな、国会の先生方からも、むしろ、そういうことをするからかえって不安をあおるんだ、そういうふうな声もございますので、これらをいろいろ考えながら検討してまいりたいと思います。
  234. 足立康史

    ○足立委員 この手の話は、きょうも午前中の審議で、平副大臣にお越しをいただいて、とにかく、何が安全で何が危ないんだということがもうむちゃくちゃになっています。安全なことを危ないと危惧し、危ないことを知らずに適当にやっているという、本末転倒というか、もうむちゃくちゃなことが今の現場では起こっていると思いますので、内閣を挙げて、そういう誤解を招くことがないようにお願いをしたいと思います。  それから、パスワードですね。  今、クレジットカードはパスワードがなくても一応買物ができるようになっていますが、後ろのセキュリティー番号ですか、があれば買物ができるようになっていますが、マイナンバーカードはパスワードが必要になっている。これはセキュリティーが高いということなんですが。  一方で、申し上げましたように、入れ物にパスワードを書いちゃっています、おじいちゃん、おばあちゃん。これは意味がありませんね。だから、もう全部顔認証でやったらどうかと。  いろいろな説があります。もう機器を認証してIPアドレスを固定した方がいいんじゃないかとか、あるいは顔認証がいいんじゃないかとか、いろいろな議論があるが、今のままよりも更に、いや、今のままでは国民が心配だと言っているんだから。いや、僕は大丈夫だなと思っているんだけれども、心配だと言う専門家もいます。  だから、もう少し、最先端の技術、すなわち顔認証とかを入れて、本当の意味で、マイナンバー、マイナンバーカードをフル活用できるようにした方がいいと思いますが、そういう見通し、そういう予定、そういう考え方はありませんか。
  235. 森源二

    ○森政府参考人 お答えいたします。  先生指摘の、例えば高齢者など暗証番号の入力が困難な方については、クラウドの電子証明書の利用につきまして、令和三年三月に開始予定のマイナンバーカードの健康保険証利用を契機に、本人確認を円滑に行うために、さきの通常国会におきまして、暗証番号の入力にかえて、マイナンバーカードに表示、記録された顔写真によって本人確認を行うことにより利用者証明用電子証明書を利用できることとする公的個人認証法の改正は行われたところでございます。  こうした制度の円滑な施行に向けて、私どもとしても、準備を進めるとともに、積極的な活用に向けて周知等には取り組んでまいりたいと考えております。
  236. 足立康史

    ○足立委員 ちょっと勉強不足で。健康保険で進められているその顔認証というのは、券面の顔認証と、中に入っている、チップに入っている顔データのフェースID。券面の話ですか、それはもう評価ゼロですね、そういう券面にこだわっているから。え、違うの。
  237. 向井治紀

    向井政府参考人 まず、顔認証でなんですが、まず、本人確認という場合、対面で、まず人間が目視するというのも当然入ります。その上で、機械の場合は、チップから拾ってやる場合と、それから券面のスキャナーというのがありますけれども、基本的にはチップでやるべきだというふうに考えています。
  238. 足立康史

    ○足立委員 とにかく、もう技術はあるんだから。きょうもNECの会長が来ていたので、もう全部NECでいいから早く調達してくれと言っているんだけれども、まあそれは冗談ですが。  とにかく、もう技術はあるんだから、もううだうだせずに、ちゃんと、マイナンバーのフル活用に向けて、ぜひお願いをしたいと思います。  最後に、きょうは、実はLINEの議論もしました。マイナンバーは総務省かな、じゃ、内閣府ですね。マイナポータルとLINEが提携しますね。これがまた、私の支援者の人たちが、あんな大事な話をLINE社に連携して、もう日本政府を許せないとかと言っているんですけれども、大丈夫だというのをちょっと一言説明してくださいよ。
  239. 向井治紀

    向井政府参考人 お答えいたします。  マイナンバーの、いわゆる子育てワンストップという、子育てのサイトにLINEと提携しておりますが、提携しておりますのは、市町村でどういうサービスをしているかという、そこの部分まではLINEで見られるようになっています。  一方で、申込みとか、それから自分の個人情報を入れる部分になりますと、LINEから外れてマイナポータルに飛ぶようになっていまして、一切LINEとはかかわりのあるはずがない世界で個人情報は行くようになっている、こういうことでございますので、個人情報がLINEに乗ることはございません。
  240. 足立康史

    ○足立委員 ちょっと時間が来ましたので終わりますが、いわゆるAPI、要すれば、使っている方はLINEのサービスの上で銀行の金の出し入れとかマイナンバーのいろいろな手続をしているように表面上は見えるんだけれども、でも、それは導管としてLINEを使っているだけで、政府の提供しているしっかりとしたセキュリティーのもとでやっているということですから、きょう明らかにしたかったのは、先生、LINEを、俺は使わないということですが、ぜひちょっと使ってみてくださいということをお願いして、質問を終わります。  ありがとうございます。
  241. 富田茂之

    富田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る十五日金曜日、午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十分散会