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2020-01-17 第200回国会 衆議院 安全保障委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年一月十七日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 西銘恒三郎君    理事 小田原 潔君 理事 長島 昭久君    理事 原田 憲治君 理事 宮澤 博行君    理事 小熊 慎司君 理事 篠原  豪君    理事 佐藤 茂樹君       岩田 和親君    江渡 聡徳君       小野寺五典君    大西 宏幸君       大野敬太郎君    門山 宏哲君       熊田 裕通君    左藤  章君       塩谷  立君    鈴木 貴子君       中谷  元君    浜田 靖一君       渡辺 孝一君    玄葉光一郎君       重徳 和彦君    寺田  学君       本多 平直君    前原 誠司君       浜地 雅一君    赤嶺 政賢君       足立 康史君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    防衛大臣         河野 太郎君    防衛大臣政務官      岩田 和親君    防衛大臣政務官      渡辺 孝一君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  中嶋浩一郎君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  三貝  哲君    政府参考人    (外務省総合外交政策局長)            山田 重夫君    政府参考人    (外務省中東アフリカ局長)            高橋 克彦君    政府参考人    (外務省国際法局長)   岡野 正敬君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         覺道 崇文君    政府参考人    (資源エネルギー庁資源燃料部長)        南   亮君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術審議官)         宮武 宜史君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君    政府参考人    (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君    政府参考人    (防衛省人事教育局長)  岡  真臣君    政府参考人    (防衛省統合幕僚監部総括官)           菅原 隆拓君    安全保障委員会専門員   奥  克彦君     ――――――――――――― 委員の異動 一月八日  辞任         補欠選任   下地 幹郎君     谷畑  孝君 同月十六日  辞任         補欠選任   谷畑  孝君     足立 康史君 同日  辞任         補欠選任   足立 康史君     谷畑  孝君 同月十七日  辞任         補欠選任   照屋 寛徳君     前原 誠司君   屋良 朝博君     玄葉光一郎君   谷畑  孝君     足立 康史君 同日  辞任         補欠選任   玄葉光一郎君     屋良 朝博君   前原 誠司君     照屋 寛徳君   足立 康史君     谷畑  孝君     ――――――――――――― 令和元年十二月九日  一、国の安全保障に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国の安全保障に関する件(中東地域における日本関係船舶安全確保に関する政府取組等)      ――――◇―――――
  2. 西銘恒三郎

    西銘委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件、特に中東地域における日本関係船舶安全確保に関する政府取組等について調査を進めます。  この際、防衛大臣及び外務大臣からそれぞれ報告を聴取いたします。河野防衛大臣
  3. 河野太郎

    河野国務大臣 おはようございます。  昨年十二月二十七日、国家安全保障会議及び閣議において決定した「中東地域における日本関係船舶安全確保に関する政府取組について」に関し、防衛大臣として御報告申し上げます。  世界における主要なエネルギー供給源である中東地域の平和と安定は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要であり、同地域において日本関係船舶航行の安全を確保することは非常に重要です。特に、我が国原油輸入の約九割を中東地域に依存しています。  今般の政府取組は、このように重要な地域の平和と安定及び日本関係船舶の安全の確保のため、我が国独自の取組として、中東緊張緩和情勢安定化に向けたさらなる外交努力関係業界との綿密な情報共有を始めとする航行安全対策徹底並びに情報収集態勢強化のための自衛隊艦艇及び航空機活用について、政府一体となった総合的な施策関係省庁が連携して実施するものです。自衛隊による情報収集活動は、大きな意義を有するものと考えております。  防衛省自衛隊としては、昨年末の閣議決定を受け、これまで派遣に向けた所要の準備を進めてまいりました。去る一月十日、派遣準備完了の時期についてめどが立ったことから、私から中東地域における日本関係船舶安全確保に必要な情報収集活動実施に関する自衛隊一般命令を発出したところです。  今後、護衛艦一隻をもって編成される派遣情報収集活動水上部隊は、二月二日に出国し、二月下旬に活動を開始するとともに、一月十一日に出国した派遣海賊対処行動航空隊のP3Cは、一月二十日から情報収集活動をあわせて開始する予定です。  防衛省自衛隊としては、関係省庁とも連携し、現地情勢の的確な把握に努めつつ、日本関係船舶安全確保のための情報収集活動に万全を期す所存です。  また、現地において隊員諸君が高い士気を維持してこの重要な任務に専念できるよう、御家族への万全の支援派遣隊員の処遇についてもしっかりと取り組みます。  委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  4. 西銘恒三郎

  5. 茂木敏充

    茂木国務大臣 おはようございます。  昨年十二月、「中東地域における日本関係船舶安全確保に関する政府取組について」の閣議決定がなされました。外務省としては、今回決定された政府方針三つの柱の一つである、中東緊張緩和情勢安定化に向けたさらなる外交努力を継続していきます。  具体的には、米国イランを始めとする関係国に対し、引き続きさまざまなレベル緊張緩和情勢安定化のための働きかけを行っていきます。船舶の安全な航行に大きな役割を有する沿岸諸国に対しても、航行安全確保のための働きかけを引き続き実施をします。また、中東地域における自衛隊情報収集活動については、これまでも、関係国に対し、その目的や内容の説明を行い、理解を得てきたところですが、今後ともこうした努力を継続していきます。  昨年六月の安倍総理イラン訪問や十二月のロウハニ大統領の訪日、そして、先週末から今週にかけての安倍総理湾岸諸国訪問といった活発な首脳レベルの往来も通じ、中東地域緊張緩和情勢安定化に向けた粘り強い外交努力を続けてきました。  私自身も今週米国を訪問し、ポンペオ国務長官中東情勢について意見交換を行いました。事態エスカレーションは回避すべきであり、関係国と緊密に連携しつつ、引き続き、外交努力を尽くしていくことの重要性ポンペオ長官と確認をしました。  中東緊張緩和情勢安定化は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要です。引き続き、こうした外交努力を粘り強く行っていきます。  西銘委員長を始め、理事委員各位の御指導、御理解をよろしくお願い申し上げます。
  6. 西銘恒三郎

    西銘委員長 以上で報告は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 西銘恒三郎

  8. 西銘恒三郎

    西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  9. 西銘恒三郎

    西銘委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  10. 中谷元

    中谷(元)委員 おはようございます。  外務防衛大臣にお伺いします。  一月三日、年明け早々米国イランによる一連の武力行使で世間が騒然とする中、ぶれることなく中東派遣を決断した日本政府に敬意を表します。  頼りにされている、何かあればすぐに駆けつけてくれる、この気持ちがあるだけで自衛官士気は上がります。日本船舶安心感を与える、このため近くにプレゼンスする、これが情報収集のための護衛艦哨戒機派遣をされる本来的意義でありますが、だから、しっかりと対応できる態勢政府自衛官派遣しなければなりません。  しかし、今回の活動範囲ホルムズ海峡以北ペルシャ湾が含まれておりません。  河野大臣は、ホルムズ海峡イランオマーン領海が多く、沿岸国航行の安全の責任を持つのが現在の旗国主義である、領海の中での情報収集活動無害通航権と相入れない可能性があると言われました。  しかし、昨年七月の英国タンカーイスラム革命防衛隊に拿捕された場所オマーン領海内です。ホルムズ海峡最狭部は分離交通帯が設けられ、そこを通航する義務があります。それは全てオマーン領海内にあります。英国タンカーは北上し、分離通航帯に入る前に拿捕されました。その間、英国海軍艦艇革命防衛隊と交信をしておりましたが、当該艦艇ホルムズ海峡の西側にいたために現場に急行できずに、タンカーを守れませんでした。  当然、自衛隊はこういった事例を研究していると思いますが、問題は、このホルムズ海峡、これはオマーン湾公海EEZペルシャ湾公海EEZを結ぶ国際海峡で、最狭部はオマーンイラン領海両国とも国内法中間線でありますが、IMO、国際海事機関によって採択された中央分離帯が設定をされておりまして、ここを全ての国の船舶は自由に通航できますが、ここで出てくるのは国連海洋法条約でありまして、オマーンはこの点につきましては、完全に主権行使すると言っております。イラン海洋法条約に入っていないので、無害通航をするのはいいというように主張しておりますが、いずれにしても各国は、この分離帯通航帯航行をすることは、無害通航なら可能でございます。  したがいまして、この自衛隊活動につきましては、オマーン領海内での活動、これは視野に入れておく必要がありますが、問題はホルムズ海峡の以北でありまして、UAEフジャイラドバイ、これは以前、インド洋燃料洋上補給活動支援の拠点として利用したこともありますし、バーレーン、また、奥のフジャイラ、奥のウンムカスルなどは湾岸情報が集まるところでありまして、今回、安倍総理UAEオマーンを訪問して、アブダビ首長国ムハンマド皇太子から、沿岸国として具体的な支援を惜しまない、オマーンアスアド国王代理から、協力したいとの言質をとっております。  海上自衛隊補給地UAEドバイフジャイラオマーンのサラーラに置く方向で最終調整をしているという報道もありますが、どこを考えておられますか。これはホルムズ海峡の北に当たるところもありますが、それなら活動地域を広げておくべきです。  また、ペルシャ湾内には、カタール、バーレーンウンムカスルなど、日本タンカーが利用し、国際的にも安全に航行、利用している場所もあります。民間船舶も外国の船舶もこの海域は毎日航行しておりますが、自衛隊情報収集活動地域であるべきではないでしょうか。  なぜペルシャ湾に入らない方針であるのか。少し慎重で、少し気にし過ぎではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  11. 河野太郎

    河野国務大臣 一般論を申し上げれば、領海における船舶の安全な航行は、これは、領海主権を有する沿岸国が大きな役割責任を持つわけでございます。不測事態がそうした場所で発生した場合には、個別具体的な状況を踏まえて、沿岸国とも協力しつつ、適切に対応していきたいというふうに思っております。  この海域、非常に広大でございまして、自衛隊による情報収集活動についても、効率的に行っていく必要があるというふうに思っております。  エリアについて政府として検討を行った結果、この分離航行帯イランオマーンを含む沿岸国領海内であるということ、こうした領海における船舶の安全な航行確保沿岸国が大きな役割を果たすわけであって、また、領海内における情報収集活動無害通航に該当しないと沿岸国から主張され得るということもございます。  また、ペルシャ湾ホルムズ海峡情報につきましては、沿岸国米国を含む関係各国との意思疎通を通じて一定の情報収集が可能であるということを勘案して、護衛艦による情報収集海域は、オマーン湾、アラビア海北部、並びにバブエルマンデブ海峡の東側のアデン湾三つ海域公海ということにしたわけでございまして、オマーン領海内あるいはペルシャ湾においての情報収集活動を行うということはございません。  補給基地につきましても、先ほど申し上げた三つ海域に面したところで補給を行うように今手はずを整えているところでございますが、相手国との関係もあって、今の時点でどこの港と公に申し上げることができない状況でございます。
  12. 中谷元

    中谷(元)委員 国際海峡ですので、無害通航、また、沿岸国の了解のもとなら通航することはできると思います。  問題はペルシャ湾の以北のことを言っておりまして、例えば補給地にしても、前回、九・一一のときにインド洋補給支援をしたときは、ウンムカスルドバイ、両方を補給地といたしました。  また、その奥のこともありますのであらゆる可能性考えなければなりませんが、昨年六月に日本タンカー、これが襲われたのもホルムズ海峡付近でありました。昨年、日本とノルウェーの海運会社が運航するタンカーが襲撃を受けて両船で火災が発生し、イラン米国両国から救援を受けております。  もし、民間日本籍船舶また便宜置籍船がこの海域で拿捕されたり危惧に遭ったとき、当然、自衛隊対応する、また、海上警備行動もかけると思いますが、これはいざというときに本当に間に合うかどうかという点であります。  問題は、そのとき、大臣報告をし官邸閣議決定をして海上警備行動を発令しても、その間、タイムラグが生じる。官邸で閣僚に電話する必要もありますし、いろいろと準備をしていても、一刻を争う、瞬時に判断しなければならないときもあります。だから、あらかじめ海上警備行動を発令しておいて任務を付与しておくべきだと考えます。  政府は何ゆえにちゅうちょをするのか。現場自衛隊艦艇しかいないわけでありますので、自衛隊の能力を信頼をし、事前に海上警備行動任務を与えて、ROEを定めて自衛艦隊司令また現場司令に適時適切な判断をさせた方が、時間を失うこともなく、いたずらに迷う必要がないと考えますが、いかがでしょうか。
  13. 河野太郎

    河野国務大臣 中東地域において緊張が高まっている状況にあるというのはそういうことなんだろうと思いますが、日本船舶防護を直ちに実施しなければいけない状況にはないというふうに思っております。一方で、こうした緊張高まりを踏まえると、日本関係船舶安全確保に必要な情報収集態勢を強化することは必要だろうということで、今回、自衛隊による情報収集活動実施しようというものでございます。  その上で、不測事態が万一発生するなど状況が変化した場合には、関係省庁で連携をして状況把握に努め、相互に緊密かつ迅速に情報共有をするとともに、政府全体としての対応を強化することとしており、自衛隊によるさらなる措置が必要と認められれば、海上警備行動を発令して対応しようというふうに考えているところでございます。  そのために、現在、こうした日本関係船舶防護実施を直ちに要する状況にはないと考えておりますので、あらかじめ海上警備行動を発令する必要があると考えていないところでございます。
  14. 中谷元

    中谷(元)委員 昨年六月に当海域日本船また便宜置籍船が襲撃されたときは、まさにある日突然だったんです。全く予期をしておりませんでした。したがって、こういった事態は発生するわけでありまして、やはり、現場艦艇がいた場合に直ちに対応する必要があると思いますので、御検討いただきたいと思います。  また、海上警備行動がかかっても、正当防衛緊急避難以外は、みずからの艦艇他国艦艇も守れません。海賊対処実施している、武力に至らない警察活動として、前進阻止射撃とか追跡、身柄の拘束、これは憲法に触れるものではないということで法律で制定をしておりますが、今回の活動におきましても、こういった正当防衛以外の対応等もできるようにしておかないと、安全の確保がとりにくいと思います。  そのためには、国会が責任を持って、現場ができること、できないこと、これを定める特措法、これを制定して派遣対応すべきだと考えますが、この点は御検討されるんでしょうか。
  15. 河野太郎

    河野国務大臣 一般論として申し上げれば、海上警備行動に際して、警察官職務執行法第七条を準用している自衛隊法第九十三条に基づいて武器の使用を行うことが可能でございます。正当防衛緊急避難等の場合を除いて、人に危害を加えてはならないというふうにされているところでございます。  この点に関して言えば、相手が実際に攻撃を加えた場合のみならず、こちらに向けて銃の照準を合わせているような侵害が間近に迫っている場合も、正当防衛要件であります急迫不正の侵害が認められる場合に該当するわけでございまして、正当防衛緊急避難等に該当しない場合であっても、警告射撃など、相手危害を加えない形で武器を使用することは可能だというふうに思っております。  こうした権限によって自衛隊は、海上警備行動命令に基づいて、この命令が発出された場合は適切に船舶防護実施できるものと考えているところでございます。
  16. 中谷元

    中谷(元)委員 しかし、事実関係として、同じ海域海賊対処活動が行われており、武力行使に至らないということでこういった前進阻止とか射撃も許されているわけでありますので、相手が軍艦とか国又は国に準じる者以外は、こういった危機に際してはこういった活動も可能にしておくべきではないかなと。そのためにはやはり、特措法でしっかりとできることとできないことを明示をして任務を付する必要があろうかと思います。  最後に、今、世界警察官を自称していたアメリカ中東での影響力を後退させつつある中で、トランプ大統領は、石油を輸送する日本はみずからの国を守るべきだという考えを示しました。中東原油に大きく依存している国が、少なくとも、我が国原油等エネルギーを運んでくる船舶我が国が守れるようにしておく必要があります。ほかの国にできることが日本の国にできないはずはありません。ペルシャ湾内の海域自衛隊の船がいないときに、他国には護衛を、また防衛を依存するかもしれません。  その点、海上警備行動をかけられてから行くというのでは間に合わないんです。洋上船舶航行は、相手に守ってもらうためには自分も相手を守ることができるようにしておく必要もあります。  ペルシャ湾の中の船舶航行においても、防衛大臣は、日本船舶の安全を確保することに、これを守ることができるようにしておく責任があります。そのことができますか、できませんか。  日本には憲法があるからそれはできないと言うならば、むしろ憲法議論をして、それが可能であるということを認知をすると同時に、それができない場合は憲法改正を提起することが必要だと思いますが、河野大臣、いかがお考えでしょうか。
  17. 河野太郎

    河野国務大臣 不測事態の発生など状況が変化する場合には、海上警備行動を発令して、中東地域における日本関係船舶防護することになるわけでございます。憲法の制約によって自国の船舶を守ることができないというものではないと思います。
  18. 西銘恒三郎

    西銘委員長 中谷元君、時間です。
  19. 中谷元

    中谷(元)委員 はい。  何かあればすぐ駆けつけてくれる、これは日本船舶が持っている安心感でありますので、それにしっかり応えられるように、態勢を整えて準備していただきたいと思います。  以上で終わります。
  20. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、浜地雅一君。
  21. 浜地雅一

    浜地委員 おはようございます。公明党浜地雅一でございます。  私も十五分時間をいただきましたけれども、短時間でございますので、しっかりと基本的なところからお聞きをしていきたいと思っています。  今回、十二月の二十七日に閣議決定を行った上で、本年の一月十日に防衛大臣中東への調査研究目的での出動命令を出されたことは、もう周知の事実でございます。  ここにいらっしゃる委員の方はもう御案内でございますけれども、この調査研究目的での自衛隊派遣というものは、本来は防衛大臣命令だけで発せられるもので、閣議決定は必要ないわけでございます。本来法律要件となっていないこの閣議決定を行った上での中東派遣を決められたのはなぜなのか。  これをまず端的に一点お伺いした上で、昨年、我が党の議論の中においても、今すぐに日本関係船舶防護する状況にはないが、中東関係緊張が高まっているというような記述がございました。我が党としても、党内議論をした中で、この状況にまず変化があるのかどうかということが気になるところでございます。  当然、一月三日から八日にかけてのエスカレーション中東状況高まりがあったことは事実であるわけでございまして、その後、アメリカイランのさまざまな首脳発言等によって状況はおさまっているとは思いますけれども、十二月二十七日に閣議決定をされた中東情勢から実際に一月十日出動命令を発出された現在に至るまで、この中東情勢状況はどのような認識なのか。  この二点について防衛大臣にお答えいただきたいと思います。
  22. 河野太郎

    河野国務大臣 今般の政府方針は、「中東地域における平和と安定及び日本関係船舶安全確保のため、我が国独自の取組として、中東緊張緩和情勢安定化に向けた更なる外交努力関係業界との綿密な情報共有をはじめとする航行安全対策徹底」、そして、「情報収集態勢強化のための自衛隊艦艇及び航空機活用について、政府一体となった総合的な施策関係省庁が連携して実施する」ものであります。  こうした観点に加えまして、今般、自衛隊を海外に派遣することの重要性や国民の皆様に対する説明責任明確化という観点から本件について閣議決定を行うことといたしましたが、この際、公明党からいただいた御意見も踏まえて判断したところでございます。  また、最近の一月の出来事に関して申し上げれば、米国イラン双方ともに、これ以上のエスカレーションを回避するという意向を明確にしております。  具体的には、アメリカトランプ大統領は、八日の演説において、軍事力を使わない、使いたくない旨の発言をしており、イランザリーフ外務大臣は、八日、イランは相応の報復措置を完了した、さらなる緊張や戦争を望まない旨、発言をしていると承知をしております。  こうした状況を踏まえれば、現時点において米、イランの間で武力行使が行われている状況ではないと認識をしており、したがって、自衛隊が何らかの武力紛争に巻き込まれるような危険があるとは考えておりません。  政府としては、現在、日本関係船舶防護実施を直ちに要する状況にはないと考えておりますが、こうした緊張高まり考えると、日本関係船舶安全確保に必要な情報収集態勢強化は必要だろうというふうに考えているところでございます。
  23. 浜地雅一

    浜地委員 ありがとうございます。  まず一点目の閣議決定につきましても、我が党での党内議論の中で、今回は調査研究目的といっても、海外での調査研究目的だということで、当初、我が党内でも慎重な声もございました。  その中でやはり、シビリアンコントロールをしっかりきかせる、また、国会への報告を求める、任期もしっかりと限定をする、その後、継続の必要性があった場合にも、閣議決定を通じて与党内での党内プロセスを経るということで、それらを受ける形で今回閣議決定をしていただいたものだと思っておりますので、この点については我が党としてもしっかりと支援をしてまいりたいというふうに思ったところでございます。  現在の中東情勢につきましては、防衛大臣より、詳しく御説明をいただきました。こういった説明も、閣議決定を求めた党としても、我々もしっかりと国民に説明していくべきだろう、そのように思っております。  続きまして、総理の中東訪問の意義について外務大臣にお伺いしたいと思います。  先ほどの外務大臣の御報告でもありましたとおり、米国ポンペオ国務長官に対してもしっかりと自制を求めるということで、茂木外務大臣外交努力閣議決定にも書いてあります一番目のこの外交努力について大変尽力をしていただいているというふうに思っております。  今回、総理は、サウジ、UAEオマーンに、この三カ国に赴かれたわけでございますけれども、オマーンにつきましては、先ほどお話しありましたとおり、自衛隊活動する付近のオマーン湾公海、ここでまた補給の拠点にもなるだろうというふうに思っておりますので、特にイランとも中立的な関係にあるオマーンに行った意義は高かろうと思っています。  逆に、サウジ、UAEというところはイランとは対立関係にあるというふうに私自身も認識をしているところでございますが、そうなりますと、サウジやUAEオマーン、この三カ国については、それぞれやはり意義というものも私は違ってこようと思っております。  今回の総理の中東訪問の意義、成果について詳しく外務大臣の御答弁をいただきたいと思っております。
  24. 茂木敏充

    茂木国務大臣 安倍総理は、中東情勢が緊迫の度を高める中、事態のさらなるエスカレーションを避けるべく、我が国によります外交努力の一環として、一月十一日から十五日まで、地域緊張緩和情勢安定化に重要な役割を果たしますサウジアラビア、UAE及びオマーンを訪問いたしました。  御案内のとおり、サウジアラビアそしてUAE、この地域におきましてもさまざまな影響力を持つ国であります。  一方でイランにつきましても、昨年六月に総理がイランを訪問する、十二月にはロウハニ大統領が訪日をする、イランに対しても働きかけというのは行っているところであります。  今回の訪問で安倍総理各国において首脳レベルで率直な意見交換実施をいたしまして、全ての関係者が自制的に対応し、あらゆる外交努力を尽くすべきとの認識で一致をいたしました。  また、関係国の自制的な対応によって緊張緩和の動きが見られるこの機会を生かして、地域のさまざまな問題について、対話を通じた平和的解決に向けた機運を高めていくことが重要であることの認識を共有したところであります。  そして、日本関係船舶の安全航行確保目的とした、自衛隊によります情報収集活動について説明を行いまして、この活動について各国から理解と支持を得たところであります。  私自身も、お話しいただきましたように、十三日から十四日まで訪米いたしまして、ポンペオ長官との会談を行いまして、事態エスカレーション、回避すべきだということで一致をいたしました。  引き続き、関係国と緊密に連携しながら、中東地域の平和と安定に向けて外交努力を尽くしていく重要性についても一致をしたところであります。
  25. 浜地雅一

    浜地委員 外務大臣、御答弁ありがとうございます。  やはりこの閣議決定の柱というのは、単に自衛隊派遣するというものではなく、外交努力航行安全確保、それに加えて自衛隊による情報収集ということの三本柱でございますので、この一番目の外交努力ということをしっかり尽くされている姿勢というものを今後も示していただきたいと思っています。  特に、紛争解決メカニズムが開始をされますと、またこの事態、動く可能性もございますし、また、イギリスの方では、トランプ大統領が目指す新たなイランの核合意の枠組みというものに同調していこうというような動きもございますので、どんどん事態は動いていこうかと思っておりますので、引き続き、外務大臣にはしっかりと対応に当たっていただきたいというふうに思っています。  次の質問に参りますけれども、私もこの年末からお正月にかけてさまざま地元を回っていく中、特に我が党の支援者の方中心に、中東派遣に対する、何のために行くのかという目的というものがなかなか報道もされていないなと思っております。ややもすると、この米国イラン緊張を受けて何か米国支援をしに行くようなイメージもあったりして、そのとき私は、日本関係船舶を、我が国独自の取り組みとしてしっかりと情報収集しに行くんですよというお話をしますと、そこがなかなか理解をされていないところでありました。  逆に、仮に自衛隊中東派遣されない場合、その場合に、日本関係船舶への情報の提供や、もし事態緊張したときに防護をする必要があったときに、果たして、自衛隊派遣されない場合に日本関係船舶をどこが守ってくれるんだろうかというふうに私は思うところでございます。  逆に、ここをしっかりと説明することが今回の中東派遣の意義にもつながろうかと思っておりますので、自衛隊派遣されない場合、これは仮の話でございますが、しっかりと情報収集防護をするような主体というものはあるのかどうか。この点について防衛大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  26. 河野太郎

    河野国務大臣 中東世界におけるエネルギーの主要な供給源でありまして、我が国原油の輸入の約九割はここに依存をしているわけでございます。この中東地域における日本関係船舶を守る、あるいは航行の安全を守るというのは、これは非常に重要なことだというふうに思っております。  現在、この地域では、アメリカ、イギリスなどが行う海洋安全保障イニシアチブ、フランスが行う欧州諸国のイニシアチブ、あるいは、インドの独自の活動というものが行われておりますけれども、これはそれぞれの国の船舶安全確保などを主な目的としているものでございまして、日本関係船舶の安全をみずから確保するために、主権国家として主体的な取組自衛隊がしっかり実施する必要があろうかと思っております。  現在はあくまでも情報収集目的として派遣をするわけでございますが、不測事態の発生など状況が変化した場合には、海上警備行動を発令して対処する、そういうことも起こり得ると思います。
  27. 浜地雅一

    浜地委員 そうですね。米国のイニシアチブ等でも説明されているとおり、これは主としてやはり自国の船舶のエスコートというふうに私も説明を受けています。中には集団的防護をするというような意味合いも含まれてはおるんですけれども、やはりストレートに、自国の船舶というものは自国が守るというのがこれは原則でございますので、やはり日本としても、日本関係船舶については、航行の安全を確保するためにみずからがやはり情報収集をするという意義というものは重要だろうというふうに思っています。  その趣旨で今防衛大臣は答えていただいたと思っておりますので、このことをしっかりと国民の皆様方にも説明すべきだろうと私自身も思っておりますので、努めてまいりたいと思っています。  最後の質問に入りますけれども、いわゆるこの閣議決定の三本柱の一つの中に、航行の安全対策を実際の運航会社や石油会社と連携をとってやっていくということがございます。一番大事な目的はここでございまして、今回の自衛隊中東派遣については、やはり、日本関係船舶航行の安全対策をとるということでございます。  そこで、そもそも、航行の安全対策について運航会社等の自主的な努力も促すわけでございますが、自衛隊が得た情報の連携、そして、この連携の融通の体制がしっかりできているかどうかというのが重要なわけでございます。  そこで、既に自衛隊出動命令を出されているところでございますが、民間の運航会社との情報連絡という体制はしっかりと構築できているのか。この点について最後、政府参考人にお聞きをしたいと思います。
  28. 中嶋浩一郎

    ○中嶋政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の航行安全に関する情報の共有体制でございますけれども、自衛隊による情報収集活動で得られた情報と在外公館からの情報など、関係省庁が得た情報を共有することを含め、政府内で平素から関係省庁が緊密に連携して、適時適切に情報の共有を行います。  その上で、関係省庁日本船主協会、石油連盟及び全日本海員組合といった業界の関係者との間の情報共有を含めた連携体制を構築することとしております。  例えば、中東地域における日本関係船舶の運航状況自衛隊現地部隊の活動等につき、関係省庁関係業界間での情報共有を図るべく、官民連絡会議を開催することといたしておりまして、既に今月の十四日、初めての会議を行っているところでございます。  なお、関係省庁関係業界間の中央における情報共有のほか、事案発生時などにおきましては、必要に応じて現地自衛隊部隊と日本関係船舶との間で直接やりとりをすることもあり得る、かように考えているところでございます。  いずれにしろ、日本関係船舶航行安全対策徹底してまいりたいと考えております。  以上です。
  29. 西銘恒三郎

    西銘委員長 浜地雅一君、時間です。
  30. 浜地雅一

    浜地委員 一番大事なところでございますので、しっかり体制を整えていただきたいと思っています。  時間になりましたので終了いたします。ありがとうございました。
  31. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、前原誠司君。
  32. 前原誠司

    前原委員 国民民主党の前原でございます。  会派の時間をいただきまして、ありがとうございます。  まず冒頭に、きょうは一月十七日でございまして、二十五年前の五時四十六分に阪神・淡路大震災が起きました。多くの方々がお亡くなりになられ、また、多くの方々が被災をされました。改めて、亡くなられた方々に心から御冥福を申し上げ、またその後、東日本大震災、また熊本の地震などなど、大変な災害が台風災害も含めて起きておりますけれども、行政府、立法府あわせて、こういった悲惨な天災というものを踏まえて、これからしっかりと対応していくようにしていきたいと思いますし、政府もぜひ、こういったものの風化をすることなく、お取組をされることをお願いしたいというふうに思います。  それでは質問に入らせていただきます。  まず、今回の自衛隊派遣の根拠というのは、防衛省設置法の四条一項十八号に基づく調査研究でございます。また、不測事態が発生するなど状況が変化して、自衛隊によるさらなる措置が必要と認められる場合には海上警備行動自衛隊法八十二条を発令して対応する、保護対象は日本関係船舶である、こういうことでございます。  私がまず質問させていただきたいのは、二〇〇九年六月十九日に成立しました海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律でございます。これは十年余りたった今でも活動が行われているわけでございますけれども、六月十九日に成立した法律の前に、既に三月から七月、海賊対処のための新法が整備されるまでの応急措置として長い間海上警備行動を発令して、そして日本関係船を海賊行為から防護するために必要な行動を実施をしました。これは御存じですよね。大臣、御存じですよね。  では、海上警備行動では何が足りなかったために海賊対処法をつくったのか、御答弁をいただきたいと思います。
  33. 河野太郎

    河野国務大臣 海上警備行動はいわば警察行為でございますが、海賊というのはいわば国際的な対応が必要なものであって、日本の日の丸を掲げている船ですとか、あるいは日本関係船舶といったもの以外の船もやはり一緒に守っていくというのが国際上必要だろうということで、国際的に旗国主義に縛られることなく対応することができるようにする必要がある。そういうことから、各国がそうした考えに基づいて行動する。その根拠となるような法律を制定をした。そういうことだろうと思います。
  34. 前原誠司

    前原委員 詳しく伺う前にもう一つ簡単な質問をしますが、海賊とテロ組織は区別できますか。
  35. 河野太郎

    河野国務大臣 海賊というのは、私的な目的のために略奪行為を行うのが海賊だというふうに思います。国際法の中で外形的にも、今ちょっと手元にはございませんが、定義があるのではないかと思います。
  36. 前原誠司

    前原委員 私が聞いているのは海賊とテロ組織の定義ではなくて、オペレーションをしている自衛官に外見上区別ができるかと聞いているわけです。  例えば、尖閣に漁船が来た、漁民だと言っていて、果たして本当にそれは漁民なのか。ひょっとしたら、意図を持った武装した集団かもしれないということがありますよね。私は、そういう外見的なことの区別ができますかということを聞いています。
  37. 河野太郎

    河野国務大臣 海賊対処に出ている自衛隊は、海賊の定義をしっかりと学んで、それに基づいて行動ができるような訓練を受けているところでございます。
  38. 前原誠司

    前原委員 質問に答えていません。
  39. 西銘恒三郎

    西銘委員長 自衛隊が海賊を認識できるかと。(発言する者あり)  時間をとめてください。     〔速記中止〕
  40. 西銘恒三郎

    西銘委員長 時間を再開してください。  河野防衛大臣
  41. 河野太郎

    河野国務大臣 海賊は、例えばやたらと人数が多く乗っているとか、やたらと多いポリタンクなどを積んでいるとか、外見上海賊らしいというものはこういうものに当たるというのがありますので、海賊かどうかというのは恐らく見ればわかるんだろうと思います。
  42. 前原誠司

    前原委員 そうですか。それは意外な答弁でした。  じゃ、テロ集団が海賊の特性をしっかりと認識して、海賊に見間違うような、そういった装備をしてテロ行為を行ってくるということは全くないというふうに言い切れますか。
  43. 河野太郎

    河野国務大臣 テロリストというのはいろいろなことをやってくるわけですから、テロリストが海賊のふりをしてくるということが絶対ないかと言われれば、それはそんなことは言い切れないんだろうと思います。
  44. 前原誠司

    前原委員 なぜこういうことを聞いたかといいますと、外形からは、あるいは外見からはなかなか判断できないということなんです。  ですから私は、先ほどの中谷元防衛大臣の質問を伺っていて、まさに私も同じことを今から質問しようと思って今のことを伺ったんですけれども、なぜアデン湾については海上警備行動ではなくて海賊対処法をつくって、今回はなぜ調査研究で、もしものことがあったら海警行動でおさまるのかということについて、説得力ある説明が全くなされていないんです。  それで、海賊対処法がなぜつくられたかということについて改めて申し上げますと、さっき大臣が答弁されただけでは足りないんです。海上保安官や海上警備行動下の自衛官の職務執行時の武器使用基準を定めた警職法第七条では、正当防衛緊急避難、重大犯罪容疑者、これは懲役三年以上が、逮捕時に抵抗、逃亡する場合を除いて、武器を使用して容疑者に危害を与えることは禁止されているということですよね。このため、仮に海賊が警告を無視して海賊行為をしようと航行船舶に海賊船を接近させるだけでは、懲役三年以上の重大な犯罪ではないために、海上保安官は危害を与えるおそれのある海賊船への船体射撃が今までできないでいました。  また、海賊の定義も定められておらず、国内に対応した海上警備行動では海賊からの外国船舶護衛できなかったために、実効力のある取締りの活動は不可能だったと政府は話をして、この海賊行為の対処法というものをつくったわけです。  この成立した法律によって、第六条において、警職法第七条の要件のほかに、海賊行為をする目的で接近、つきまとい、進路妨害をする海賊船を停船させるために武器使用できることを明文化した。警告を無視して接近する海賊船の船体に武器使用して海賊の身体に危害を与えても、違法性阻却事由が成立することが明定された。これが、つまりは新たな法律をつくった理由なんです。  先ほど申し上げたように、政府自身が海賊の定義も定まっておらずと言っているわけですよ。ですから、今回、情報収集活動をするということでありますけれども、やはりこれは、まず出して、そして、出すということになるんでしょうけれども、これは、自衛官の命を守るために、あるいは職務執行をしっかりやるために、先ほどアメリカイラン関係は小康状態にあると言われましたけれども、後で質問しますけれども、どうなるかわからないんですよ。どうなるかわからない。  そういう状況を踏まえて、やはり私は、海賊対処法をつくったような新たな法律をしっかり準備するということが大事だと思いますが、いかがですか。
  45. 河野太郎

    河野国務大臣 中東における緊張が高まっているというところは、そういう状況にあると言ってよろしいかと思いますが、一方で、現時点で日本関係船舶防護実施を直ちにしなければいけない状況にはないというのが今の政府認識でございます。  そういう意味で、日本関係船舶航行安全確保に必要な情報収集態勢をまず今の時点では強化することが必要であるということで、今般、アセットを派遣するということにしたわけでございます。  現時点での認識ということは、そういうことでございます。
  46. 前原誠司

    前原委員 現時点での認識はわかりましたよ。直ちにはないということも、今の状況を見ればそうですけれども、事態が急変する可能性はありますよね。そのときに、全く準備していませんでしたと、特別措置法を。  つまりは、繰り返し申し上げますけれども、アデン湾に送ったときは、海警行動ではだめなんだということの中で出しているわけですよ。そして先ほど大臣も答弁されたように、外見上は、外形上は、海賊かテロリストかなんてわからないですよ。あるいはイラン革命隊の意を受けた別働部隊なのか、全くわからないですよ。そういうものが来たときにどういう対応をするのかということを、あらゆるものを想定してしっかりとした新たなものをつくっておくということは大事なことじゃないですか。  今の認識はわかりましたよ。将来に向けてそういう備えが全く必要ないと言い切れますか。
  47. 河野太郎

    河野国務大臣 そうした備えが必要だという認識になれば恐らくそういう検討を始めることになると思いますが、現時点での認識は、直ちに日本関係船舶防護が必要な状況ではありませんし、恐らく今委員がおっしゃったような状況になる。それは可能性が全くないかと言われれば、何事も絶対起きないとは言えないわけでございますが、今そういう検討が必要かと言われれば、現時点でそうではないだろうと思っております。
  48. 前原誠司

    前原委員 検討はされるということですね、あらゆる事態を想定して。
  49. 河野太郎

    河野国務大臣 そういう必要が起きれば検討するということでございます。
  50. 前原誠司

    前原委員 繰り返しになりますが、いつ起きるかわかりませんので、しっかり内部では検討しておいていただきたいと要望しておきます。  それから、これはずっと言われ続けていることなんです。河野大臣も国会に出られて長らく議席を置いておられると思うんですが、私もずっとひっかかっているのは、こういったときに、いつも防衛省設置法で出すということについて、どうなのかなということをずっと思っていたんです。  防衛省設置法って、戦史研究の根拠でしょう。自衛隊法というのは、大臣も御承知のとおりポジティブリストなんですよ。つまり、やっていいことしか書いていないんです。ポジティブリストであるにもかかわらず、このような漠としたものを何でも使うというようなことがあっていいのか。もし今私が仮に大臣のポスト、河野大臣のポストであれば、これはちょっと考え直さなきゃいけないなというふうに私だったら思うんですけれども。  大臣、これは今すぐにどうのこうのというような話ではありません。今はこういった形で出されるということですが、少し中期的に、まあもうちょっと短期でもいいけれども、この防衛省設置法で何でも自衛隊を外に出すというのは見直すべきだと私は思うんです。どうですか。
  51. 河野太郎

    河野国務大臣 調査研究は、戦史の調査研究に限っているわけではまずないということは申し上げたいと思います。また、委員がこの件につきましてずっと問題提起をされているというのも、よく認識をしているところでございます。  恐らくこれは、この規定で情報収集、警戒監視を防衛省自衛隊が行ってきたわけでありますから、今回の情報収集もこの項で行うわけでございますが、委員がこだわっていらっしゃるということはよく理解をしておりますので、少し法律的にどうなのかというのは、ちょっといろいろな人の話を、私もそれじゃ聞いてみますが、何かやるということをお約束するわけではございませんが、委員が非常に強いこだわりを持っていらっしゃるというのは理解をしておりますので、いろいろな人にどうなのかというのを聞くということは、防衛大臣として、それではやりたいというふうに思いますが、何かやるということを、そこはやりますが、そこから先をどうするかというのを今お約束しているわけではないということは御理解をいただきたいと思います。
  52. 前原誠司

    前原委員 いや、私のこだわりだから調べますというのでは困るんです。防衛大臣として私の問題意識を共有されますかということを聞いているわけです。共有したら、自分の意思として話を聞かれて検討するということが必要だと思うんですが、いつもの河野さんらしく、びしっとやってください。
  53. 河野太郎

    河野国務大臣 現時点で問題意識を共有しているかと問われれば、共有しておりません。  しかし、この問題を委員ほど突っ込んで研究してきたことがないものですから、少しいろいろな人の話を聞いて、問題意識を共有するに至るかどうかというのは、それはしっかりまずやってみたいと思います。
  54. 前原誠司

    前原委員 では、十二分に調査研究してください。お願いします。  それでは、これがどのようにこれから拡大していくのか、イランアメリカ関係が。  その上で一つ伺いたいと思いますけれども、一月十四日にワシントンのCSISで、大臣、講演されましたよね。流暢な英語で講演されたというふうに伺っておりますが、報道ベースでは日本語で流れていましたので、報道での、こういう話をされたのかということについて確認をまずさせていただきます。  この春、私たちは、中国の習近平国家主席を国賓として迎えることを計画しています。習国家主席の訪問を心から歓迎します。中国は、この状況を改善するためにもっと努力をする必要があります。そうでなければ、訪問のための環境に困難を見出すかもしれません。  こういう発言をされた、英語で。事実ですか。
  55. 河野太郎

    河野国務大臣 ハートフェルト・ウエルカムと言ったのではないかと思います。  また、そのときは、尖閣諸島における領海侵犯ですとか、あるいは中国の戦闘機に対するスクランブルの話、そういうものをいたしました。こうしたことが改善されなければ、いいエンバイロンメント、いい環境のもとでの訪問にならない、だから中国側は努力をすることが必要だということを申し上げました。  これは、先般、北京を訪れたときに先方の国防大臣ともこういう話をしまして、その際に先方から、日本側はしっかりと世論をコントロールする必要、要するに、この国賓訪問についての世論をコントロールする必要があるという話があったものですから、我が国は報道の自由もあり、SNSの自由な発信もあるので、日本として世論をコントロールするということはできない、だから、中国側がしっかりとそういう問題に取り組んで解決をすることでいい環境をつくらなければならないということを述べたわけでございます。
  56. 前原誠司

    前原委員 これはまだ私は英語を読ませていただいていないので、また、予算委員でもありますので、国会が始まったら予算委員会でも、しっかりと、大臣がどういう発言をされたのかというファクトをベースに質問させていただきたいと思いますけれども。  今の状況が、つまりは、尖閣諸島への公船の侵入というものとか、さまざまな中国が日本に対してしてきているチャレンジというものが改善されなくても、国賓として迎えることには賛成ということでよろしいですか。
  57. 河野太郎

    河野国務大臣 日中関係が、ようやくハイレベルの交流が復活するというところまで改善をされてまいりました。日本と中国は、貿易量を見ても経済の関係を見ても非常に密接なものがございますから、そういう関係を改善をし、ハイレベルの交流がここまで来たという意味で、この国賓訪問というのは私は大事だと思っております。  しかし、国賓でいらっしゃる以上、国民も、まあ、こぞってというわけにいくかどうかはわかりませんが、多くの国民が歓迎をするという雰囲気は非常に重要だと思っておりまして、そういう雰囲気をつくるためには、やはりこの尖閣近辺の問題というのは、国民の迎え入れようという感情に大きな影響があるというふうに思っております。  そういう意味で中国側の努力が必要だということを申し上げているわけでございまして、国賓で訪問されるということについて特に異論はございません。
  58. 前原誠司

    前原委員 私は、先般の国会におきまして、この習近平国家主席の国賓訪問に対する質問主意書というのを出させていただいています。  私の問題意識は、ウイグルあるいは香港、こういったものの人権侵害、そして南シナ海での振る舞い、また、尖閣列島へのチャレンジ、こういうものがあって、果たして、今大臣の言われたように多くの国民が、ハートフル・ウエルカムでしたっけ、そのような状況になるかというと、そうではないと私は思っております。  もちろん日中関係は大事であるということは間違いがないわけでありますけれども、その中で、本当に、国賓として扱うことについては、むしろ、今、改善されなくても国賓として迎えることには賛成だということをおっしゃいましたけれども、また他方で、いろいろなことを中国でもおっしゃっていただいているということでありますが、日本として言うべきことはやはりしっかり言う。我々は民主主義であり、法治国家であり、そして人権を大切にする、そして主権というものはしっかり守っていくんだ、こういった国家意思というものがちゃんとやはり示されなければいけない。このことについてはしっかりとお話をこれからもいただきたいと思います。  その上でイランアメリカの問題に移りますけれども、一つ心配していますのは、オバマ大統領が二〇一一年の十一月にオーストラリアで演説をされて、これはアジア太平洋地域へのいわゆるコミットメントの話をされたんです。よくこの安全保障世界ではリバランスという言い方をしますけれども、つまりは、中東からむしろ軸足をアジア太平洋地域に置くという意味でのリバランスということをオバマ大統領は言われた。  そして、トランプ大統領というのはオバマ大統領を全て否定をしていってはおりますけれども、中東からのコミットメントについては引き揚げるということを言っていた。にもかかわらず、今回、むしろ増派の傾向にありますよね。例えばどういう状況になっているかというと、年末には七百五十人増派、そして一月三日には更に三千人超の中東増派を決定、そして、イラクのアブドルマハディ首相がポンペオ米国務長官に駐留外国軍の安全な撤退に向けて協議を開始するように要請したが、アメリカはイラク側の要求を拒否した、こういうことであります。  つまりは、中東へのコミットメントをせざるを得ないような状況になってきて、このリバランス、つまりは、二正面というのはなかなか難しいということの中でリバランスということをずっとアメリカがやってきたのに、むしろ、中国あるいは北朝鮮、こういったものに対する中東情勢というものはマイナスの影響を及ぼすんじゃないかという懸念をしていますが、これについてどういう見解を持っておられるのか。防衛大臣外務大臣か、どちらでも結構です。
  59. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今週も訪米いたしましてポンペオ長官と会談をしてまいりましたが、事態エスカレーション、これを回避すべきだということでは意見が一致しております。イランのザリーフ外相も同じように、事態エスカレーションは避けるべきだ、この旨の発言をしている、このように認識をいたしております。  そういった中で、現時点において武力行使がお互いに行われていないという状況でありますが、緊張感を持ちながら、今後、事態がどう推移していくか、こういったこともしっかり見きわめていきたい。  その上で、我が国としては、自由で開かれたインド太平洋の実現、これを今推進すべく関係各国と連携をしておりますが、そこの中で米国の位置づけは極めて大きい、このように考えております。
  60. 前原誠司

    前原委員 時間が迫ってまいりましたので最後の質問になろうかと思いますけれども、イラン革命防衛隊のコッズ部隊の司令官であったソレイマニ司令官が殺害をされました。これについては自衛権だということをアメリカ政府は言っているようでありますが、アメリカの中でもいろいろなこれに対する異論があるようでありますけれども、これをどのように認識しているか。日本政府としての見解を伺わせていただきたいと思います。
  61. 茂木敏充

    茂木国務大臣 前原委員今御案内のとおり、我が国は直接の当事国ではありませんので、法的評価について確定的なことを申し上げるのは差し控えたいと思っておりますが、その上で、今回のソレイマニ司令官の殺害に関する国際法上の整理について米国がどう言っているか。正式な見解でいいますと、一月の八日に、国連の安保理議長宛てに自衛権の行使として行ったものである旨の書簡を提出した、このように承知をいたしております。
  62. 前原誠司

    前原委員 事実関係は私もよく存じ上げているわけでありますが、ちょっとこれについては、しっかり日本政府として、私、両大臣に、慎重にやはりこれは扱ってもらいたい。つまりは、同盟国であるアメリカだから、わかりました、そうですねということを簡単に言ってほしくないんです。  なぜそういうことを申し上げるかといいますと、まず、アメリカの中で主要な人物の言っていることが異なっているということです。トランプ大統領と、それからエスパー国防長官が言っていることが異なっている。つまりは、明確に四カ所のアメリカ関連施設の攻撃が意図されていたということをトランプ氏はツイートしたにもかかわらず、エスパー国防長官はその箇所については知らないというふうに言っているということで、そごがあります。  それから、私の原体験として、二〇〇三年のイラク攻撃のときに、要は、大量破壊兵器があるんだ、フセインが大量破壊兵器を開発しているんだ、明確な証拠があるんだということで開戦に踏み切って、そのときには、小泉総理は全面的に支援をするということを言ったわけです、それを前提に。国会でも何度も何度もそのことを答弁された。しかし、戦争が終わってみたら、実際問題、大量破壊兵器は発見されなかった。こういった、やはり日本にとっても痛い外交的な傷があるわけです。  したがって、今回のことについてはしっかりと、日本のインテリジェンスというのは限界があることも事実でありますけれども、過去の問題にもしっかりと思いを寄せて、このことについては、アメリカの言っていることは聞きおくぐらいにしておいて、しっかり日本自身の独自のやはり考え方の中でこれについては発言をするということが大事だと思いますが、防衛大臣、このことについてお答えいただけませんか。
  63. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほど外務大臣から答弁があったとおり、当事国ではないものですから、なかなか法的な評価を申し上げるのは難しいと思いますが、かつて、先ほど委員がおっしゃったイラクのことがあったわけでございます。それは私も認識をしているところでございます。
  64. 前原誠司

    前原委員 終わります。
  65. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、玄葉光一郎君。
  66. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 共同会派に所属をしております玄葉光一郎です。  きょうは、いただいた時間、特に、不測事態が起きた、いわば海上警備行動が発令をされたという場合に、どのようなケースでどのような対応が可能なのかということを中心に質疑をさせていただきたいと思いますけれども、その前に、今、最後に前原さんが質問をされていましたソレイマニ司令官の殺害についての法的評価であります。  私もほぼ同じ思いがあって、やはり日本にとって法の支配というのはいわば生命線だと申し上げても私は過言ではないというふうに思っていて、力による秩序なのかルールによる秩序なのかといったら、力が一定程度必要であることは言うまでもないのでありますけれども、やはりルールというのはとても大事だ。とりわけ、法の支配というのが大事だというときに、安易に米国政府の言うことだからといって評価をするということは慎重であるべきだというふうに思っています。  今回、答弁を聞きますと、直接当事者ではないということのようでありますけれども、例えば、ロシアのクリミア併合などに対する法的評価というのはどうなっているのか。当事者ではないと思いますけれども、きっと国際法的な評価をきちっとしていますよね。念のため確認です、どちらでも結構ですけれども。
  67. 岡野正敬

    岡野政府参考人 委員御指摘の点につきましては、国際法上認められないという見解を述べているところであります。
  68. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 ロシアのクリミア併合は、言うまでもなく、直接の当事者ではないわけですけれども、きちっと評価をしているわけです。  今回は評価をしないと。これは、評価をしないということが評価だ、こういうことでよろしいですか。評価をしないということが評価だ、もっと違う言い方をすれば、アメリカの今回の行動に対してポジティブな評価を少なくともしないということが評価だというふうに考えているのか、お尋ねをしたいと思います。
  69. 茂木敏充

    茂木国務大臣 これはアメリカだけではなくて、今回、イランにつきましても国連安保理に書簡を提出しておりまして、双方が、国連憲章第五十一条に規定された自衛権を行使した、このように説明をしているわけであります。  我が国の法的な評価、これを確定的に申し上げることは難しいというお話をしましたが、少なくとも、過去に起こった武力行動に対する措置、自衛権の行使であって、これから起こることに対して何らかの行動をとったものではない、そのようには考えております。
  70. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 要は、今の御説明だと、いわゆる自衛権の要件である必要性あるいは緊急性、急迫不正の差し迫った危険というものがあったから行われたのだという認識だ、こういうことですか。
  71. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そうではありません。既に行われた行動に対する自衛権の行使だ、このように考えております。
  72. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 ただ、それは、行われたことに対して自衛権というのは本当に行使できるのか、必要性と緊急性というのがあって、少なくても急迫不正の侵害に対するリスクというものがなければ自衛権というのはたしか行使できないと思いますけれども、いかがですか。
  73. 岡野正敬

    岡野政府参考人 委員御指摘の点につきましては、アメリカ政府自身、先ほども大臣から答弁ございましたけれども、安保理への書簡を出しています。そこでアメリカ側が言っていることは、最近の数カ月、イラン・イスラム共和国とイラン・コッズ部隊によって支援、支持されている民兵による米国又は米国の利益に対するエスカレートしている一連の武力攻撃に対して行ったものであると。  今まで実際に行われた行動に対して自衛権を行使したというのがアメリカ政府の見解だということを日本政府理解しているということでございます。
  74. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私もこれ以上申し上げませんけれども、アメリカイランがそれぞれどう説明しているかということは承知をしています。ただ、先ほども話がありましたけれども、アメリカの中からも相当、説明をせよという言葉が出ているわけで、そのことも含めて、やはりこの問題の扱いは、法の支配が生命線である日本だけに、しっかりした方がいいというふうに思っているということを改めて申し上げたいと思います。  その上で、今回の調査研究による派遣、そして、不測事態が起これば海上警備行動を発令するというこの事案でございますけれども、事案というか今回の派遣の問題でありますが、まず、事前に通告をしておりましたので教えていただきたいのですが、ホルムズ海峡を通過する日本関係船舶というのが一体何隻あって、そのうち日本籍船の割合がどのくらいで、外国籍船のうち日本人乗組員がいる割合がどのくらいで、外国籍船のうち運航事業者が我が国法人の割合がどのくらいで、外国籍船のうち我が国の積み荷を輸送している割合がどのくらいなのか、ここで示していただきたいと思います。
  75. 宮武宜史

    宮武政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘いただきました四つの類型に分けまして隻数を御紹介いたします。  まず、日本籍船につきましては、約六百五十隻であります。これは二〇一八年の実績によるものでございます。  次に、日本人が乗船する外国籍船につきましては、これは、二〇一八年のデータは、申しわけありません、把握してございませんけれども、本年一月九日時点の状況で申し上げますと、ペルシャ湾に入域中の日本人が乗船する外国籍船は三隻となっております。(玄葉委員「三隻」と呼ぶ)はい、三隻でございます。  なお、これら全て、後ほど申し上げます我が国船舶運航事業者が運航する外国籍船に該当しております。  次に、我が国船舶運航事業者が運航する外国籍船につきましては、約二千九百隻ございます。  最後に、我が国の積み荷を輸送している外国籍船につきましては、これも二〇一八年のデータは把握しておりませんけれども、我が国船舶運航事業者が運航する船舶による輸送の場合につきましては、先ほど申し上げました二千九百隻の内数になります。  以上であります。
  76. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 そうすると、ホルムズ海峡を通過する三千九百余りの、タンカーを含めた日本関係船舶のうちの日本籍船は約二割ということになって、残り八割がそれ以外の日本関係船舶、つまり、外国籍船だけれども日本関係船舶である、こういうことですね。わかりました。  それでは次に、今回の閣議決定文書にある「不測事態」とは、具体的にどういうケースを指すんでしょうか。
  77. 槌道明宏

    槌道政府参考人 さまざまな状況考えられると思いますけれども、侵害行為が発生するなど、航行の安全に危険が生ずるような場合ということを想定しております。
  78. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 わかりやすく申し上げれば、先ほど来から出ている、昨年六月の日本関係船舶が襲撃をされたようなケース、コクカ・カレイジャスの事案なども当然それに当たるということなんだろうというふうに思いますけれども、設置法四条に基づく調査研究の活動領域は、オマーン湾、アラビア海北部、バブエルマンデブの東のアデン湾、三海域ということでありますが、言うまでもないことかもしれませんけれども、海警行動が発令された場合の活動範囲は、ペルシャ湾とかホルムズ海峡とかも含まれるということでよろしいですか。
  79. 河野太郎

    河野国務大臣 情報収集に関する活動については、委員おっしゃった三海域公海ということに限定をしておりますが、万が一、海上警備行動が発令をされた場合にどこの海域になるかというのは、ほかの海域を排除しているわけではございません。
  80. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 つまり、ホルムズ海峡ペルシャ湾も排除されないということでよろしいですね。
  81. 河野太郎

    河野国務大臣 海域は排除されませんが、領海あるいは公海において対応できる、そういう対応の内容については、当然変わってくると思います。
  82. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 これは防衛大臣説明してもらいたいんですけれども、そうすると、私、今回、海警行動及び防衛省設置法四条で出して本当に大丈夫なのかなという心配が若干あるんです。  例えば、今私が申し上げたコクカ・カレイジャスのような事案、つまりは、日本籍船ではありません、パナマ船籍です。しかも、しかもというか、ただ、日本の運航事業者だという事案ですよね、これは。こういう事案が起きたときに護衛艦は、何がどこまで、武器使用を含めてできるんですか。
  83. 河野太郎

    河野国務大臣 海上警備行動が発令されたという場合をおっしゃっているんだろうと思いますが、まず、公海上で外国船籍を防護するというのは、一般的には、当該船舶にその旗国が排他的管轄権を有しておりますので、その責任のもとで行われるべきという旗国主義が基本であります。  個別具体的な状況に応じて恐らくいろいろなことが変わってくると思いますので、なかなか一概にどうと申し上げるのは難しいところがございますが、例えば、我が国がこうむる法益侵害と比例をする形で実力の行使を伴わない措置などをとる、例えば呼びかけ、近接といったことなどをとることは考えられると思います。
  84. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 そうですよね。これは旗国主義という観点から、昨年六月のような、日本関係船舶が襲撃を受けたようなケースは、これはパナマに対する侵害行為だ、直接的にはです。したがって、日本国の自衛官はいわゆる警察権の行使以上のことはできないのですが、しかも、旗国主義観点で事実上武器使用はできないということなんだろうと思います。つまり、今お話があったように、割って入るとか、呼びかけるとか、警告するとかということに限定されるということだと思うんです。  本当に事態が悪化して仮にエスカレートしていくような状況の中で、ホルムズ海峡とかペルシャ湾にいわば日本関係船舶をエスコートしていく。エスコートしていく中で、護衛艦自体は自衛隊法九十五条の武器防護のための武器使用は使えますけれども、日本関係船舶に対しての武器使用は実質できない。半ば丸腰でエスコートするようなものだと思いますけれども、心配じゃないですか。
  85. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほどから申し上げているように、現在直ちに日本関係船舶防護しなければならないというような状況にあるとは考えていないところでございます。
  86. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 いや、でもこれは、海警行動を発令するということも含めて閣議決定をしているわけです、事態が変わればです。ですから、そうなったときに一番心配な事案として私が申し上げているのは、さっき申し上げたように、「たかなみ」が、日本関係船舶、しかも日本籍船じゃなくて日本関係船舶がやられそうになった、海警行動が発令された、エスコートに例えば入った、そしてホルムズ海峡を通る、あるいはペルシャ湾に行く、そういうときに事実上丸腰じゃないですか、こういうことを言っています。
  87. 河野太郎

    河野国務大臣 例えば「たかなみ」自身は武器防護でみずからを守るということができるわけでございますし、自己の管理下にある船舶についても同様のことが言えるわけでございます。  現時点で直ちに何かそういう状況になるとは考えておりませんし、そうはいっても、中東緊張が高まっているわけですから、不測事態が起きたときには海上警備行動を発令をするということは、これはあるというふうに思っておりますが、現時点で直ちに何か防護が必要な状況にあるわけではないというふうに思っております。
  88. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 今回の閣議決定の文書の中で、海上警備行動でとり得る措置は、保護対象船舶日本籍船か外国籍船か、侵害の態様といった個別具体的な状況において対応する、こういうふうに書いてございます。  これはすなわち、侵害された船が日本籍船なのか外国籍船なのか、あるいは、侵害の態様ですから、例えばそれは単に侵害か、それを超えて、さっき軍艦という話がありましたけれども、私もあり得ない話じゃないと思いますけれども、武力攻撃みたいなことが行われるなんということもあり得ない話じゃない。あるいは、行為主体が、攻撃主体あるいは侵害主体が国及び国準なのかそれ以外なのかで、また対応の仕方も変わってくるということじゃないかというふうに思います。  これは例えば、あり得ないと思われるかもしれない、想定していないと言われるかもしれませんけれども、武力攻撃が仮にあった場合、どうなりますか。何がどこまでできますか。
  89. 河野太郎

    河野国務大臣 海上警備行動は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持を目的とする警察権の行使でありますので、外部からの武力攻撃に対して我が国防衛することを目的として行っておりません。外部からの武力攻撃に対して、海上警備行動では対処することができません。
  90. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 そうだと思います。できないと思います。ただ、武力攻撃が絶対ないかと言われれば、それは可能性としては排除されないのではないかというふうに思います。  ちなみに、国及び国準からの侵害行為というのは想定をしておりますでしょうか。
  91. 河野太郎

    河野国務大臣 我が国として、イランを始めとする沿岸国に対して、今回の閣議決定の内容を説明をしてきているところでございます。  そういう中で、今、どこかの国が日本船舶を特定をして攻撃をしてくるということは、現時点で想定されないというふうに考えております。
  92. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 通告していたので、せっかくなので教えてもらいたいんですけれども、いわゆる親イランの民兵勢力というのが幾つかございます。例えば、イエメンのフーシ、ホーシー、あるいはレバノン拠点のヒズボラ、あるいはイラクのPMU、こういった組織は国とかあるいは国に準ずる組織なのかどうなのか。これはぜひ判断をしてもらいたいと思います。
  93. 茂木敏充

    茂木国務大臣 国家に準ずる組織については、国際法上、確立された定義があるわけではありませんが、他方で、従来から、政府としては、国家に準ずる組織について、国家そのものではないがそれに準ずるものとして国際紛争の主体たり得るものとして用いてきております。  いかなる主体がそれに該当するかにつきましては、こうした考え方に基づいて個別具体的に判断することになるわけでありますが、今お話にありました中のイラクの人民動員部隊、PMUでありますが、これはもともと、二〇一四年六月のISILによりますモスル占領を受けて結集したシーア派民兵等であったわけですが、二〇一六年の十二月に、イラク国内法制、PMU機構法というものでありますが、これによりましてイラク国家組織の一部と位置づけられた、このように承知をいたしております。  一方で、ヒズボラ、ホーシー派につきましては、現時点において政府として、国家に準ずる組織であるか否かについて判断を行っておりません。
  94. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 イエメンのホーシーは判断しないけれども、先ほどお話のあったように、イラクのPMUは、いわば国家組織、国、国準というよりは国だ、こういう話であります。  これはもう御承知のとおり、PMUも、たしか副司令官というか副長官が殺害をされているわけです。それで、報復を宣言しているわけですから、PMUからの攻撃というのはやはり想定をしておくべきなんじゃないかと思います。防衛大臣は想定していないということですけれども、これは想定すべきじゃないですか。
  95. 河野太郎

    河野国務大臣 PMUあるいはイラクが日本を特定をして攻撃をするということを現時点では想定をしておりません。
  96. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 これは、武力攻撃もあり得ません、国及び国準、国からの、いわゆるPMUなどからの報復攻撃もあり得ません、想定していません、でも、起きてから想定外でしたと言うわけにはいかないんじゃないですか、大臣
  97. 河野太郎

    河野国務大臣 何かが一〇〇%起こらないということを断言するのは、これは難しいことでありますが、現時点で湾岸諸国が日本船舶を特定して攻撃をする、そういう状況ではないというふうに認識をしております。
  98. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 現状はそうであっても、これは十分エスカレートしていく可能性は、私はある、予断できないと思います。  なぜかというと、特に、あの例の二〇一五年の核合意、二〇一六年一月と言ってもいいのかもしれませんけれども、私は、あれはかなりよい合意だったんじゃないか、歴史的な合意じゃないかと考えているんですが、あの合意について、トランプ政権がオバマ政権の否定ということで一方的に離脱してから、この緊張関係というのが改めて始まったというふうに私は理解をしているんです。  そもそも、私、外務大臣がどのくらいトランプ政権に対してこの核合意に戻れという話をしてきたのかというのも聞きたいところでもありますけれども、いずれにしても、今、御承知のとおり、イランは、いわばこの合意をもう遵守しないと言っているわけですよね。ウラン濃縮の制限はもうないんだと言っているわけで、そうすると、何が起きるかわからないなと私は思っていますよ。これは下手をすると核がもうつくれる段階まで濃縮しそうだ、したということになると、イスラエルがどうするのか。もしかしたら先制攻撃するかもしれない。サウジだって黙っていないんじゃないか。そうなるとまさに戦闘が始まっちゃうんじゃないか。外務大臣、どうですか。
  99. 茂木敏充

    茂木国務大臣 さまざまな情勢そしてケースについて分析をするということは重要だと思っております。  中東地域、御案内のとおり、歴史的に見ても、さまざまな経緯というものもあるわけでありますし、今イスラエルの話もありました。多くの国や関係者が関与して現在の状況に至っておりまして、特定の国や主体の行動によって、スペシフィックに現状が起こっていると言うことは難しいんだと思っております。核の問題も当然あるわけでありますし、さまざまな問題によって、また、テロの問題もあって現状が起こっている、このように考えております。
  100. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 ちなみに、この核合意、二〇一五年あるいは一六年の一月に結ばれた核合意についての日本政府の評価は承知をしているつもりですけれども、最近、イギリスのジョンソン首相がきのうかきのうおととい、むしろトランプ合意にすべきだみたいなことを発言をしているんですけれども、外務大臣、いかがですか。
  101. 茂木敏充

    茂木国務大臣 我が国は、国際不拡散体制の強化と中東の安定に資する核合意、これを支持しておりまして、米国によります核合意の離脱は残念だと考えております。  こうした我が国の立場につきましては、これまで米国を含む関係国に対して伝えてきておりまして、米国との間でもこの立場を踏まえて意見交換を行っているところであります。  その上で、米国とは、イランの核保有を認めず、地域の平和と安定を促進するという目標を共有しておりまして、先般の日米外相会談でも、引き続き緊密に連携していくことで一致をしたところであります。
  102. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 残念だということを米国に伝えるだけではなくて、やっぱりこの問題が根幹だと思います。この問題が解決しないと、恐らくエスカレーション可能性というのを排除できないのではないかと思うんです。ですから、このことに日本の外交がどこまで、EU3プラス3に入っていって、割って入って、特に米国を説得できるかということじゃないかなと思います。  最後に、不測事態が頻発したような事態となれば、撤退ということもあり得るのでしょうか。情勢に顕著な変化があればNSCにて検討というふうに閣議決定文書にはございますけれども、不測事態が二度三度と繰り返される、こういった事態、リスクが高まったような場合は、撤退ということもあり得るんでしょうか。
  103. 河野太郎

    河野国務大臣 情勢に顕著な変化があった場合におきましては、活動終了の判断を含めて、国家安全保障会議において対応を検討してまいります。
  104. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 当然、そこはそうなんだろうと。戦闘状態のようなときに調査研究で出す、そのままであるということはまずあり得ないというふうに思いますので、やはりNSCがかなり機動的に、早い段階での判断というものをその都度していくということが非常に大事なんじゃないかと思います。  改めて、今回の派遣の中で、海警行動が発令されたときに、一体、自衛隊がどのようなケースでどこまでの対応が可能なのかということについて、やはり若干懸念が残るんです。結局、国及び国準からの攻撃は想定されない、あるいは武力攻撃も想定されない、だけれども全くないとは言えないということがあります。  ですから、去年の十一月に、私、外務委員会で少し申し上げましたけれども、出すならやはり新しい法律をつくって出した方がいいんじゃないかなというふうに私自身も考えているということを申し上げながら、若干国会での議論が生煮えのまま今回派遣されたということについては憂慮の念を申し上げながら、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございます。
  105. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、本多平直君。
  106. 本多平直

    ○本多委員 立憲民主党の本多平直でございます。共同会派の一員として質問をさせていただきたいと思います。  秋の臨時国会からこの問題については防衛大臣外務大臣とも議論をさせていただいてきたんですが、実は、残念ながら、そのときの議論では、まだ閣議決定前で検討中であるということで細かいお話をきちんと聞けないまま、そして、国会が閉じた後の十二月二十七日、年末に閣議決定をする。  スケジュール、そちらの事情もあるんでしょうけれども、国会としては議論の機会をいただけなかった、大変残念な形で閣議決定をされ、そして、実際の派遣が既に海自の方は行われているわけですけれども、その間に大きな変化もあった。  非常に国会の議論を軽視をしているんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  107. 河野太郎

    河野国務大臣 日程上、そういうことになりましたが、今回の閉会中審査を始め、しっかりと御説明をしてまいりたいと思います。
  108. 本多平直

    ○本多委員 立場の違う私だけが言うと、なかなか御理解いただけない。けさの朝刊に、石破元防衛大臣が大変いい記事を載せていただいています。石破先生、結論としては派遣に賛成、自民党の議員ですからされていますが、文民統制の観点からも国会での事前説明が望ましかったと石破先生も述べられています。  こうした問題、私は、もちろん、こんな遠くに、危険な遠方に自衛隊の部隊をこれだけ長期に派遣をする場合には、こんな、防衛省設置法を使うとか閣議決定のみとかではなくて、しっかりと、少なくとも我々が賛成する反対するは別にして、新法が必要だと思います。  新法が必要だったんじゃないか。今、きょうも議論が出ていますけれども、そういう検討もされたんでしょうか。検討して、何かの事情で今回は新法という方法によらないということになったんでしょうか。
  109. 河野太郎

    河野国務大臣 現時点において、直ちに何か日本関係船舶防護しなければならないような状況にあるというふうには考えておりません。さまざまな状況が変化をして、そうした新法の検討が必要だという場面になれば、これは当然に検討することになります。
  110. 本多平直

    ○本多委員 状況が変化しなくても、私、今の状況のままでも、こういう二国間で緊張状態が起こっている地域に、防衛省設置法の調査研究という条項を使ってこれだけ大きな部隊を長期間派遣するということが、それは、調査研究の今までの使い方でいえば、こういうことはあり得るという政府の解釈はわかりますけれども、私から見たら、脱法的だと思っているんですよ。だからこそ、前原委員も、この条項はもう変えるべきじゃないかということを、検討しろということを申し上げている。  それは、こういうことがある前から、この調査研究というのは何でも使えて危険じゃないかという議論、逆に言えば、自衛隊の一番メーンの業務である日本近海の警戒もこの条項を使ってやっている。ここについては本質的な検討が要るんじゃないかという議論はあったんですが、さらに今回、さすがに、過去、イラク特措法、テロ特措法、全部新法をつくって野党もしっかり議論をしてきた。それを、今回は国会の議論も要らないわけですよ。これは、これから質問はできますけれども、派遣をしてしまっている。こんなことを、我々、私は今回反対ですよ、この派遣に。そういう意見を国会の場で表明する機会もないまま派遣をされている。  私は、やはり法律をつくってきちんと国会で審議すべきだったと思いますが、いかがですか。
  111. 河野太郎

    河野国務大臣 そうは考えておりません。
  112. 本多平直

    ○本多委員 その理由は何ですか。  調査研究で何でもできるとしたら、どんな危険なところにも調査研究という理由で、プレゼンスを示すという言い方を与党の議員が先ほどされました。プレゼンスを示すということは、ある種、行動をしなくても、向こうから見たらいろいろな意味を持つわけですよ。そういう行動が世界じゅうでできるということになっちゃうじゃないですか。  そういうふうに見られそうな行動のときには、きちんと法律をつくって国会で議論をして自衛隊派遣すべきだと考えますが、いかがですか。
  113. 河野太郎

    河野国務大臣 調査研究として行う情報収集活動は、国民の権利義務にかかわらない行為であり、実力の行使を伴うものでもないわけでございます。ですから、今回、調査研究として行う情報収集活動において日本関係船舶防護を行うことはできないわけで、現時点でそうしたことが必要な状況にないというふうに我々は考えているわけでございます。  不測事態が起きれば、これは新たに閣議決定の上、海上警備行動を発令して対応する、そういうことでございます。
  114. 本多平直

    ○本多委員 今、今回の派遣は国民の権利義務に関係ないとおっしゃっていますけれども、自衛官命令によってここに派遣をされるわけです。危険だと心配している方もたくさんいらっしゃいます。自衛官の権利や義務、これと関係ないんですか。
  115. 河野太郎

    河野国務大臣 日本国民の権利義務に影響を与えるものではないというのが、この調査研究における情報収集活動でございます。
  116. 本多平直

    ○本多委員 専守防衛のためにしっかり頑張るという宣誓をして自衛官になった方が、こういう派遣に義務的に業務として行くということ、国民の権利や義務に関係する派遣じゃないんですか。
  117. 河野太郎

    河野国務大臣 専守防衛自衛隊の一員として今回の活動に参加をするわけでありまして、それは自衛隊としての調査研究という業務の中で行くわけであります。
  118. 本多平直

    ○本多委員 私は、国民の権利義務、自衛官の権利義務に重大な影響を及ぼすことですから、先ほどの理由は全く当たらないと思います。こんなことをするなら、しっかりと国会で法律を通してやっていただかないと、自衛官の権利や義務を守っていけないと思っています。  さて、私は実は去年からこういう議論をしたかったんです。もしイランアメリカが本当にあの一月三日から一月八日のような状況になったらどうするんですかという質問をずっとしようと思って準備をしてきました。そんなことは想定できないと多分おっしゃるんだろうなと思いながら、この審議の準備をしてきました。  そうしたら、正月、残念ながら、一月三日、事もあろうに我々が親しいアメリカ側から、ああいういろいろ疑問を呈するような司令官の殺害という行動で事態がエスカレートする残念な事態になりました。そしてイラン側も反撃をしました。  恐れていたことが起こって、この派遣についても少し検討ぐらい行われるかと思ったら、事もあろうに、国家安全保障会議で両大臣出席をした会議の前に、さんざんゴルフをしたあげくに、国家安全保障会議も経ないまま、総理大臣派遣を継続すると表明されましたけれども、防衛省外務省、これでいいんですか、この手続で。  あれだけの状況変化、極端な人から言うと、大戦争になる、第三次世界大戦だ、そんな話さえあの一月三日からは出ていた中で、検討もせずに、国家安全保障会議議論も、八日ですよ、安全保障会議が開かれたのは。その前に総理大臣は継続すると。  これは外務省防衛省も、こういう手続って認められるんですか。
  119. 河野太郎

    河野国務大臣 米国イランもこれ以上のエスカレーションはしないということをはっきり明言をしておりますし、これ以上事態がエスカレートする状況にないというふうに考えております。
  120. 本多平直

    ○本多委員 いや、大臣、手続論に行く前に、今の答弁はとんでもないですよ。これ以上エスカレーションされないという、いや、これからだってどうなるかわかりませんよ。ただ、一応幸いなことに一収束ついているけれども、収束する前に皆さんは、派遣継続と総理は言っているじゃないですか。どういう整合性があるんですか。このままエスカレートするかもと心配している中で、総理大臣派遣に変更はないと、国家安全保障会議さえ開かれない前に記者会見で述べているんですよ、初詣でか何かの記者会見で。どういうことなんですか、これは。
  121. 河野太郎

    河野国務大臣 アメリカイランも戦争を望んでいるわけではないということは明確にしておりますし、両国ともエスカレーションする意図はないということをはっきりさせておりますので、我々として、事態がこれ以上エスカレートすることはないというふうに判断しております。
  122. 本多平直

    ○本多委員 河野大臣、一月三日から一月八日の間もそういうのうてんきな認識だったんですか、防衛大臣は。
  123. 河野太郎

    河野国務大臣 トランプ大統領あるいはイランザリーフ外務大臣、さまざま、エスカレーションはしないという意図を明確にしております。
  124. 本多平直

    ○本多委員 きょうのことを聞いていません。一月三日から一月八日の間も、あの事態はエスカレートしないということを、世界じゅうが固唾をのんでいるときに、河野防衛大臣だけはエスカレートをしないという認識があったということでいいんですか。
  125. 河野太郎

    河野国務大臣 情勢を注視していたわけでございますが、恐らくエスカレーションはないだろうというふうに考えているところでございます。  絶対に今後エスカレーションはないということを一〇〇%断言するということは、これはできないわけでありますけれども、両国がそういう意図を明確にしている中で、これ以上エスカレーションはしないだろうというのが現在の状況判断でございます。
  126. 本多平直

    ○本多委員 これ以上エスカレートしないという意思をお互いに明確にしたのは一月八日以降ではないんですか。一月三日から一月八日の間は、お互い非難の応酬をしていたのではないんですか。世界じゅうが心配していたんじゃないんですか。
  127. 茂木敏充

    茂木国務大臣 一月三日にソレイマニ司令官の殺害、これが起こったわけでありまして、一月八日の時点、イラン側が今度はイラクの米軍施設に対して攻撃を行ったということでありますが、その間につきまして、エスカレーションは回避すべきだと、日本としてはその立場を明確にしておりました。  そして、一月三日から八日の間にエスカレーションが起こっていた状況ではない、それを注視していた。そして、八日の時点においては、エスカレーションを回避する旨、米国も、そしてイラン側も述べている。そして、現在もそのようなエスカレーションは起こっていない。事実関係で申し上げますと、そのような形です。
  128. 本多平直

    ○本多委員 いやいやいや、一月八日にそういうふうなエスカレーションをさせないという意向をアメリカイランが表明をして、私もほっとしていますよ、一旦は。これからどうなるかわかりませんが。  しかし、その前の一月六日に、総理はこの派遣を変えないと言っているんだから、これだけ大きな、エスカレーションがあるかどうか注視している、外務大臣さえ注視している中で、このイランのミサイルが届く地域に、アメリカとの同盟国だと皆さんが言っている同盟関係にある国が派遣をして、何が起こるかわからないじゃないですか。その一月三日から八日の間のことを聞いているんですけれども、どうなんですか。
  129. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、事実関係については明確に御説明したとおりでありまして、一月三日から八日の間にエスカレーションが起こった、事態が変化したということではないと思っております。  そして、一月八日の段階において、エスカレーションは回避したい、トランプ大統領もザリーフ外相もその旨を表明し、実際にそれ以降武力行使は起こっていない、このような状況だと思っております。
  130. 本多平直

    ○本多委員 手続論はどうですか、外務大臣外務大臣国家安全保障会議のメンバーですが、国家安全保障会議の開催前に、総理大臣派遣の継続と言っているわけですよ。  これね、閣議決定はこうなっているんですよ。「情勢に顕著な変化があった場合は、国家安全保障会議において対応を検討する。」一月三日から一月八日の状況は、「情勢に顕著な変化があった場合」に当たらないんですか。これが当たらないんだと、どんな場合もこの国家安全保障会議は開催されないと思うんですけれども、あのイランアメリカが直接戦争かもしれないなんてなったときに、これが「情勢に顕著な変化があった場合」に当たらないんですか。
  131. 河野太郎

    河野国務大臣 実際に武力攻撃が起こる、あるいは戦争が起こる、あるいはそれに近いような情勢の変化があれば、それは当然に安全保障会議が開催されて、違う判断ということにはなるんだろうと思います。これは現時点でも申し上げているように、情勢に大きな変化があれば、そういうことで安全保障会議を開催をするということにしております。  あの時点で艦船の派遣準備あるいは哨戒機派遣準備というのは行っていたわけでございまして、その準備をとめるような状況ではないということだと思います。
  132. 本多平直

    ○本多委員 とめるような状況かどうかを検討するのが国家安全保障会議なんじゃないんですか。国家安全保障会議を開いたから必ず撤退しろと言っているわけじゃないんですよ。  だから、少なくとも、情勢に顕著な変化があった場合には国家安全保障会議において対応を検討すると書いているんですから、あのぐらいのことが起こって検討しないんだったら、どんなことが起こっても検討しないということで、心配でしようがないですよ、私は。  一応この閣議決定で書いているけれども、顕著な情勢の変化じゃないんですか、あれ、一月三日の状況は。
  133. 河野太郎

    河野国務大臣 両国はエスカレートさせる意図はないということでございましたし、派遣云々ではなくて派遣準備でございますので、派遣準備について変更する必要はないというふうに判断をしたわけでございます。
  134. 本多平直

    ○本多委員 じゃ、派遣について検討されたということでよろしいんですか。準備については変更しないけれども、派遣については検討したんですか。
  135. 河野太郎

    河野国務大臣 八日の時点で、これ以上のエスカレートは回避されたという判断をしております。
  136. 本多平直

    ○本多委員 三日から八日の間に国家安全保障会議で検討すべきだったんじゃないんですか、今から考えると。どうなんですか。
  137. 河野太郎

    河野国務大臣 八日の時点で情報が出そろったときにしっかりと判断をしたというふうに考えております。
  138. 本多平直

    ○本多委員 日本政府のコントロールが、全くアメリカと今イラン状況を読めない中でたまたまそうなっているだけで、あれだけのことが起こっても迅速に国家安全保障会議も開かない。国家安全保障会議も開かないままに、前に総理大臣が勝手に記者会見で続行を表明をする。こういう、国会へのシビリアンコントロールはゼロですけれども、内閣の中のシビリアンコントロールも全くきいていない。こんなめちゃくちゃな過程で出されているということは、本当に大問題だと私は思っています。  少しほかの論点も質問をさせていただきたいと思うんですが、今回、私は、日本防衛のためには、それは自衛官、危険な任務にもついてもらうことはある。そういうために自衛隊員として頑張って、自衛官として頑張っていただいている。それは皆さんと認識をともにしていますが、調査研究のために命をかけるということはないですよね。よろしいですよね。
  139. 河野太郎

    河野国務大臣 自衛隊というのは我が国をしっかりと守るというのがその任務であって、この調査研究は、その自衛隊任務の一つであります。
  140. 本多平直

    ○本多委員 質問に答えていないんです。  しっかりと、身の危険を顧みずに当たる任務はあると思いますよ。防衛省設置法の調査研究、これで危険を顧みずではないですよねということを聞いている。きちんと、ちゃんと皆さん、隊員の安全の確保に万全を期すと閣議決定で書いているじゃないですか。隊員の安全確保には万全を期してもらうということでよろしいですか。
  141. 河野太郎

    河野国務大臣 自衛隊員の使命というのは、国民あるいは日本という国のリスクを下げるということでありまして、自衛隊員の任務というのは、常にリスクを伴うものであります。  自衛隊任務の中で、例えば機体を整備をする、艦艇を整備をする、あるいは警戒監視をする、それはさまざまな任務がありますが、全くリスクがない任務というのはないわけで、その上でしっかりと自衛隊の隊員が任務に当たってくれている、そのおかげで国民のリスクは下げられている、そういうことだと理解しております。
  142. 本多平直

    ○本多委員 言葉の遊びを別にしたいわけじゃないので、それはみんな、警察官だって消防官だって、場合によっては普通の公務員だって、みんな時にはそういうことはあるんですよ。ただ、状況として、本当に安全性の配慮はあるのかということなんですけれども、じゃ、派遣地域の話を少ししたいと思います。とても疑問なんです。  先ほど中谷先生の質問の中で、効率性、つまり一隻ぐらいしか船もそんな出せないし、効率性の観点から地域を絞っているとおっしゃっているんです。私は、この一隻、残念ながら、正直に言うと、一隻を派遣しただけで、中谷先生、正直ですから、プレゼンスと安心感を与えるために行くんだというふうに正直におっしゃっています。政府は正直に言っていません。行くと何か守れるみたいなことをおっしゃっていますが、私は、残念ながら、この広域な海域に一隻行って守れると思いません。中谷先生の言い方が、安心感とプレゼンスのために行くというのはわかります。  しかし、もしそうであるならば、実は、日本の大事な石油を運んでくる船が通っている、集中しているところはホルムズ海峡で、ペルシャ湾なわけです。私はそこにも行かすべきではもちろんないと思っていますが、なぜそこには行かずに、その外の、でも私、外も実は安全だと思っていないんですが、この地域設定は、安全ではなくて何が根拠なんですか。  実効性の観点から見てもおかしい。実効性を大事にするなら、ペルシャ湾、少なくともホルムズ海峡の近辺に行くべきだし、私は反対ですよ。でも、実効性を重んじる方々もいる。国民の中には、日本タンカーを何で守らないんだみたいな議論を私に吹っかけてくる方もいるんですよ。実効性の観点からいったらおかしいんですよ。そういう思いの皆さんもいるんですよ。  しかし、まずそっちから答えていただけますか。実効性の観点からいったらおかしくないですか。
  143. 河野太郎

    河野国務大臣 今回の護衛艦派遣情報収集目的としているものでございます。この情報収集エリアについて政府として検討を行いましたが、まず、ホルムズ海峡からペルシャ湾に至る海域において日本関係船舶が集中をするのが、俗に分離航行帯、分離航路帯と言われているものでございまして、ここは主にオマーンあるいはイランの、沿岸国領海内でございます。  もとより、今の国際的なルールの中では、領海における航行の安全を確保するためには、領海主権を有する沿岸国責任を持つということになっておりまして、また、先ほど申し上げましたが、領海内での情報収集活動沿岸国から無害通航に該当しないと主張され得る、そういう可能性があるわけでございます。  また、ホルムズ海峡の中につきましては、アメリカを始め、沿岸国との意思疎通によって一定の情報の収集が可能である、そういうふうに判断をしたわけでございまして、護衛艦を一隻派遣をするわけですから、この全ての関係海域を全部一隻でカバーすることができない、効率的にどうするのがいいかというのを考えた結果、先ほど申し上げましたように、ホルムズ海峡からペルシャ湾に至る海域ではなくて、オマーン湾、アラビア海北部、バブエルマンデブ海峡の東側のアデン湾、ここで情報収集を行う、そういう活動をするということを、検討の結果、決めたわけでございます。
  144. 本多平直

    ○本多委員 今とんでもない発言をされたと私思いますけれども、ペルシャ湾は有志連合がやるから分担でやるということなんですか。分担でペルシャ湾の外をやるんですか。独自なのに、何で有志連合の活動範囲関係あるんですか。
  145. 河野太郎

    河野国務大臣 ペルシャ湾に関して言えば、アメリカ沿岸国との意思疎通を通じて情報収集をすることができると申し上げたわけで、有志連合には参加しないというのは、明確にこれまでも申し上げてきているところでございます。
  146. 本多平直

    ○本多委員 ペルシャ湾という日本タンカーが一番通っている海で情報収集しないで、オマーン湾情報は、ではアメリカから得ればいいんじゃないんですか、そんなことで済むなら。オマーン湾情報アメリカから得れば、日本の船の安全は守れるんじゃないですか、その理屈だと。
  147. 河野太郎

    河野国務大臣 これまでの日本の行ってきた外交努力との調和あるいは護衛艦の運用の効率性、そうしたさまざまなことを検討した結果、今回の情報収集海域を決めたわけでございます。
  148. 本多平直

    ○本多委員 私と意見は異なるんですけれども、日本政府がしっかり、危険なところを通って頑張っているタンカーを守ってくれるんだと思っている国民の皆さんに対して、実は残念ながら違うんです、そういう実効性の観点からいっても、効率性とか。それから、安全性でここをやっていると誤解している方もいるんですけれども、それは政府の見解と違うというのは私は存じ上げています。  しかし、私、実は逆に危険だと思っているんです、このイエメンの沖とオマーン湾というのは。なぜかといえば、イエメンの沖というのは、イラン系のフーシ派という組織が、これはUAEにミサイルを撃ち込んだりとか、本当に本格的な国みたいな行動をしていて、イランはコントロールがきくかどうかわからないですよ、イラン系のこんな組織の。ここの沖合を一隻の日本護衛艦がうろうろする。格好の何か材料を与えることにならないんですか、まずイエメンの沖については。  それから、オマーン湾というのは、皆さんがまだ犯人を捕まえていただいていませんけれども、日本の会社の船、コクカ・カレイジャスが吸着式機雷で破損を受けた、破壊をされた海じゃないですか。ここに、危険な海だという認識はあるんですよね、オマーン湾とイエメン沖は。
  149. 河野太郎

    河野国務大臣 バブエルマンデブ海峡東側のアデン湾につきましては、これは現在も海賊対処行動を行っているところで、その部隊に新たな任務を付与するということでございます。  また、オマーン湾あるいはアラビア海北部、もちろん、中東緊張が高まっているからこそ情報収集をしなければならないわけでありますから、何かが一〇〇%起きることはないと断言することは誰にもできないわけでございますが、しっかりと準備をして情報収集活動に当たらせたいと思います。
  150. 本多平直

    ○本多委員 いや、一〇〇%安全じゃなきゃ活動しちゃいけないなんて私は言っていませんよ。そんなあほみたいな議論をするためにいるんじゃないんですよ。  極めて危険だと。日本タンカーが、日本の会社のタンカーが既に攻撃を受けて、犯人も捕まえられていない。対策もとれないじゃないですか。吸着式機雷というのは防げるんですか。日本の自衛艦が一隻行ったら、その張りつけられることが。日本護衛艦そのものもそういう攻撃を受ける危険があるんだと思うんですよ。  私、ずっと、不測事態が起こったら海上警備行動という話は、不測事態というのは、たまたま近くにいた日本の船が攻撃されたときの話だけしているということでいいんですか。質問の意図は、本格的な戦争が始まってしまった場合とか、それから、考えたくないけれども、自衛艦そのものが攻撃をされた場合ですよ。こういうときのことを考えているんですか。
  151. 河野太郎

    河野国務大臣 情勢が大きく変わった場合には、国家安全保障会議を開催をして、新たな対応を検討するということになります。
  152. 本多平直

    ○本多委員 話は戻りますけれども、先日の一月三日から一月八日の間の緊張ぐらいじゃ国家安全保障会議は開かれないということですよね。
  153. 河野太郎

    河野国務大臣 必要に応じて国家安全保障会議が開催されることになると思います。
  154. 本多平直

    ○本多委員 一月三日から一月八日の間は必要なかったという認識でいいですね、もう一回確認しますけれども。
  155. 河野太郎

    河野国務大臣 一月の八日に開催をしたのではないかと思いますが。
  156. 本多平直

    ○本多委員 イラントランプ大統領が、ある程度エスカレートしないというあの声明をする前の時点で開催をする必要はなかったという認識でいいんですね。
  157. 河野太郎

    河野国務大臣 常に情勢を注視しながら、必要に応じて安保会議を開催する、そういうことでございます。
  158. 本多平直

    ○本多委員 法的な観点、実効性の観点、それから、これからどんどん議論していきますけれども、これは事実上はアメリカとの一体化と見られる危険、その場合にはどんな情報提供をするか我々は教えてもらえない中で、それは憲法に抵触する危険もあります。そういう中で、国会の議論もなく、あれだけの情報、変化があっても、国会どころか、内閣の中の国家安全保障会議も開かれない。こんな中で自衛艦だけ出していく。もう安全も守れない。  残念ながら誤解している方が多いんですが、中谷先生的なプレゼンスと安心感、これは出るかもしれません、中谷先生がおっしゃった。しかし、実際的に守れるかといったら、海上警備行動ですら、たまたま近くにいたら何かができるというだけにすぎません。こうしたプレゼンスのための活動で、危険な状態のときに危険な地域に自衛艦を派遣することは大問題で、私は反対だということを申し上げて、質問を終わります。  以上です。
  159. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、篠原豪君。
  160. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ありがとうございます。会派を代表して質問させていただきます。篠原豪でございます。きょうはよろしくお願いします。  聞きたいことがたくさんありますので、端的に、明快にお答えいただければ幸いでございます。  私も、これは結構問題あるなというどころか大問題だなと思っていまして、自衛隊の今回の海外派遣に関しては、憲法上、二つの大きな問題、大原則があるというふうに考えています。  まず一つは、日本憲法は海外派兵を明確に禁じているということです。武力行使目的をもって武装した部隊を他国の領土、領空、領海派遣されることは許されないですね。ということであります。  したがって、自衛隊派遣する地域は、国又は国に準ずる組織による戦闘行為が行われていない地域、いわゆる非戦闘地域でなければいけませんし、仮に戦闘行為が発生した場合には、これは、先ほどからお話を聞いていますと、情勢に顕著な変化があったら国家安全保障会議を開いて対応を協議するということをおっしゃっているんです。それは、協議するのとはまた別に、原則として、戦闘行為が発生した場合には当該地域から撤収しなければいけないというのは間違いないでしょうか、憲法上。それはイエスなんですよ、絶対に。憲法違反になりますよ。
  161. 河野太郎

    河野国務大臣 情報収集活動を含めて自衛隊による全ての活動は、国際法、憲法を含む我が国国内法令に従って行われるのは当然のことでございます。  他国による武力攻撃が発生しているような状況で、我が国がみずから武力紛争に巻き込まれるような形で情報収集活動というのは行うものではない。そういうことでございます。
  162. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 戦闘行為が今回の場所で発生した場合には、当該地域から撤収をするということでよろしいですね。
  163. 河野太郎

    河野国務大臣 武力攻撃が行われているときに、みずから武力攻撃、武力紛争に巻き込まれるような形で活動を行うものではないということでございます。
  164. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 次に、オマーン湾活動する正当性についていろいろな方々も聞いていますけれども、今回、自衛隊防護艦と哨戒機派遣するに当たっては、米軍とイラン軍、特に革命防衛隊がにらみ合うペルシャ湾ホルムズ海峡を除いたことは、これは妥当な判断であると考えます。当然だと思っています。  お配りした資料の第一枚目、ごらんいただいてもよろしいでしょうか。  これでわかりますように、ホルムズ海峡に近いオマーン湾は、昨年五月にトランプ政権がイラン産の原油を全面禁輸した後、立て続けに発生したんです。日本関係船舶を含む石油タンカーの事件の発生の現場、これを見ていただければ、このフジャイラのすぐそば、先ほど中谷さんからお話がありましたフジャイラのそばなんです。米側は、これらの事件がイランによる攻撃であるというふうに述べているんです、この場所で。  ということは、このホルムズ海峡に近いオマーン湾自衛隊活動することを、これは憲法上の正当性をどのように考えていらっしゃるか教えてください。
  165. 河野太郎

    河野国務大臣 現時点でこの海域で何か武力紛争が起きているわけでもございませんし、日本関係船舶が今直ちに防護を必要としている、そういう状況にあるとは考えておりません。
  166. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 済みません。ここはタンカーが襲撃されているんです、四隻、実際に。  じゃ聞き方を変えますけれども、このタンカーへの攻撃、憲法上は国際的な紛争を解決する手段として武力行使を禁止しているので、国際紛争が行われている地域自衛隊が行くことはそもそもあってはならないことはさっき申し上げました。伝統的な国際法の解釈では、国際紛争とは、国又は国に準ずる組織による戦闘行為にほかならないわけですけれども、具体的な事件がそれに該当するか否かというのは、国際性、計画性、組織性、継続性という四条件がこれまで判断基準になるというふうにされているんです。  こういった中で、この継続性という要件考えた場合には、もうつい最近ですよ、六月十三日。それで、継続性を考えてここで今何が起きているかということを本来的には考えなきゃいけないんですけれども、こういった中においてまだ一年もたっていない。そういったところで、ここでタンカーが撃たれて、じゃ、事件を勃発させた条件というのがこれはまだ継続しているかどうかということを考えるのが大事なんです、こういった活動をするときには。  その観点からいったときに、今マグマがたまっていて、いつでも爆発する危険性があるんじゃないかと思っています。この間一回爆発しました。この意味で、この石油タンカーへの攻撃事件の、あるいは、このあたりで再発の危険性はもうないというふうに考えていらっしゃるんですか、政府は。
  167. 河野太郎

    河野国務大臣 現時点においてアメリカイランの間で武力行使が行われている状況ではないと認識をしておりますし、現時点において自衛隊が何らかの武力紛争に巻き込まれるような危険があるとは考えておりません。
  168. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 じゃ、継続性の観点からはいかがですか。もう今回でおしまいだったということですか。ずっと起きているんですよ、後で説明しますけれども。
  169. 河野太郎

    河野国務大臣 今申し上げましたように、現時点で武力紛争が起きている状況にないというふうに考えております。
  170. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 現時点の話は聞いていません。この地域で継続的に何がなされてきたか、それを考え自衛隊派遣するかどうか、そこでどんな活動をするかということが大事だということを言っているんです。今だけ見て、今さえよければよし、そういう話じゃないんです。  防衛大臣、申しわけないんですけれども、一月九日の記者会見でも、そしてきょうの委員会でも、もう現時点ではそのようなことが起きていないということで、自衛隊派遣は問題ないという認識をずっと示されているんです。  戦闘行為というのは、正規軍同士がぶつかり合うことだけに限られるものではなくて、皆さんもおっしゃっているように、国又は国に準ずる組織的、計画的な武力攻撃であれば、これは、憲法上は問題とされる戦闘行為であります。  同じナンバー1の資料でわかりますように、ホルムズ海峡に近いオマーン湾は、昨年の六月二十日にイスラム防衛革命軍が米国の無人偵察機グローバルホークを撃墜した舞台であります。イランは、この攻撃を、国際法上の根拠を、国連に対して自衛権であると報告しているわけです。  これはもう一度聞きますけれども、この時点で戦闘地域になったという考え方が正しいと思うんですけれども、政府はどういうふうに認識しているのでしょうか。
  171. 河野太郎

    河野国務大臣 情報収集活動を含め自衛隊による全ての活動は、国際法及び憲法を含む我が国国内法令に従って行われることは当然であって、他国による武力攻撃が発生しているような状況下で、我が国がみずから武力紛争に巻き込まれるような形で行うものではないと思っております。  その上で、米軍によるソレイマニ・イラン革命ガード・コッズ部隊司令官の殺害及びイランによるイラク領域内の米関連施設に対するミサイル攻撃を含む一連の軍事行動について、我が国は直接の当事者ではなく、また、事態エスカレーションは回避すべきであるということを事案発生直後から明確にしており、アメリカイラン双方ともに、これ以上のエスカレーションを回避するという意向を明確にしております。  こうした状況も踏まえ、現時点において、アメリカイランの間で武力行使が行われている状況ではないというのが認識でございます。
  172. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私の質問は、グローバルホークが撃ち落とされたときに、イランが自衛権を国連に通告しています。  この時点で国際法上の根拠を国連に対して自衛権であると報告イランはしていますので、この時点で戦闘地域になったと考えていますかと聞いたんです。その先の話は聞いていないんです。
  173. 西銘恒三郎

    西銘委員長 今、大臣は戦闘地域認識していないという答弁があったんですけれども。  河野防衛大臣
  174. 河野太郎

    河野国務大臣 国際法上の評価は防衛省がするのではないと思います。(篠原(豪)委員「じゃ外務大臣、わかりますか」と呼ぶ)
  175. 茂木敏充

    茂木国務大臣 米国無人機の撃墜行為に関して、イランは、米国の無人機がイラン領空に侵入したため、米無人機を追撃した旨説明をいたしております。  これに対して米国は、当該無人機がイラン領空にいたとのイラン側の説明は誤りであり、国際空域における米国アセットに対する攻撃であった旨、説明をいたしております。  本件をめぐります個々の具体的な事案については、我が国は当事国でもなく、十分な情報もありませんので、国際法的な評価については差し控えたいと思います。
  176. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 当事者でないので国際法上の評価をコミットしないというのは、その評価が我が国憲法上の評価に直結しているから、だから我が国政府としての評価がどうなのか、必要性があるんじゃないですかと聞いているんです。直結しているんです。  継続性の問題もさっき申し上げましたけれども、物理的な時間の問題だけでないことを既に指摘したので割愛しますけれども、領海、領空とを区別して武力行使の危険性を論じるのは常識的に考えても全く無意味であると考えていますし、現に米国は、今言ったように、撃墜場所がどうのこうの、領海外だと主張しているわけですよ。  大事なのは、当事者でないので国際法上の評価にコミットしないとしているその評価が我が国憲法上の評価に直結しているからなんです。その我が国としての評価をする必要性があるんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  177. 河野太郎

    河野国務大臣 他国による武力攻撃が発生をしている状況にないというのが我が国の評価でございます。
  178. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 我が国我が国憲法上に重大なる判断をする評価をしない。これは問題ですよ。指摘します。(茂木国務大臣「そうは言っていないよ」と呼ぶ)申し上げます。いいですか。
  179. 西銘恒三郎

    西銘委員長 質問してください。
  180. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 これは私はおかしいと思います。いや、おかしいですよ。  当事者じゃない、国際法上の評価にコミットしていないで、その評価が我が国憲法の評価に直結しているわけです。  それで、政府は、関係船舶が攻撃を受けるなどの不測事態が生じた場合には、防衛省設置法の調査研究でなく、自衛隊法の八十二条の海上警備行動に切りかえて日本船籍には武器を使用して防護するというふうにしていますけれども、今回、我が国関係する船舶が海上交通を脅かされるという事態の背景には、米国イラン側の一触即発の軍事的緊張があるので、船舶等への攻撃には、これは国家主体が直接、間接に関与している可能性が極めて高いというふうに考えられています。  こうした情勢にあって、護衛艦が国際法上の警察活動に当たる海上警備行動を根拠に活動することは、もはやこれは警察活動と言えず、武器使用が武力行使と評価されることもあるんじゃないかと思うんです。  こういうふうになった場合には、この問題に対してどういうふうに解決をしていくのか、そういう評価というのが海外からあった場合には。その辺はどういうふうに今まで検討されてきたんでしょうか。
  181. 河野太郎

    河野国務大臣 現時点において、海上警備行動により日本関係船舶防護実施する状況にないというふうに考えております。  特定の国家が、日本関係船舶であることを認識し、これらの船舶に対して武器等を使用した不法な侵害行為を行うことは、現時点では基本的にないというふうに考えております。
  182. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 政府アメリカの推し進める有志連合に参加しなかった、独自の立場で活動するとしたのは、そもそも、日本憲法が禁止する武力行使の一体化の懸念が拭えなかったことが原因ですよね。  たとえ独自の立場で活動するといっても、活動エリアは有志連合軍と重複しているわけです。そこで海上警備行動実施すれば、これは、船体射撃武力行使と評価される危険性は回避できないじゃないですか。  そもそも不測事態が生じた場合に、海上警備行動に切りかえてするという想定が私は現実的じゃないと思いますよ。  時間がないのでこれは指摘にとどめますが、その辺もしっかり検討されているのかどうかというところも、また通常国会でもお話を聞きたいと思います。  先ほどから、一月三日にイラン革命防衛隊のコッズ部隊のソレイマニ司令官が乗った車を無人機が攻撃して殺害してという話があって、一時は、イラクの、空軍が駐留するアサド空軍基地やアルビル基地にミサイル攻撃したことから、これは正面衝突が避けられないんじゃないか、それでもって国家安全保障会議は何で開かなかったか、当たり前の質問だと思うんですけれども、そういったところにもお答えをされていないと思うんですが、きょうの質疑の中を聞いていて思うのは、何か解決したみたいな、イランアメリカの一触即発の状況は今回避されたから自衛艦を派遣しても何の問題もないんですよみたいな説明をされていますが、この背後にある背景というのは何一つ解決していないんですよ。  そもそも、始まった、緊張の根源となったのは何ですか。これは、イラン原油の全面禁止、経済制裁、アメリカが核合意を離脱をしてやったところから始まっているんです。今回これをしたことによって何をしようかといったら、更に強化すると言っているんです。  ですので、そもそもあった潜在的な、この地域における危険の度合いというのは、さらなる経済制裁で、そもそもそれが原因ですから、増すんですよ。増すの。それはそう思いませんか。  それで、この中東に駐留する米軍を敵視するシーア派民兵組織による、米大使館の、米軍が駐留する基地への散発的な攻撃は依然として続いている。そして、いつ米軍の反撃を招いてもおかしくない状況も続いているんだと思います。私はそう評価します。つまり、現在も開戦前夜の危機的状況は全くおさまっていないんですよ。だって、そもそもの原因は更に悪くなっているんですから。  こうした中で、自衛隊派遣は当面中止すべきと思いますが、政府の見解をお聞かせください。
  183. 河野太郎

    河野国務大臣 そう考えておりません。
  184. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 国際紛争を解決する方法というのは、平和的な話合いによるか、さもなければ、力による方法しかないとされています。  トランプ政権は、イラン核合意から一方的に離脱した後、経済制裁の上でも、また、軍事的にも最大限の圧力をかけ、今後もその圧力を強化しようとしています。その目的は、イランを話合いの場に引きずり出したいと思っているんだと思いますけれども、イラン指導部が圧力に屈して話合いに応じることは当面あり得ないと思います。  こうして両国がにらみ合いを続ける以上、いつ戦闘行為が発生してもおかしくない状況にあるわけで、こうした状況自衛隊派遣するのは、これ、いつ武力行使に巻き込まれても不思議ではないという状態だと思いますよ。  出してよろしいと思っていらっしゃいますか。よろしいんですか、本当に。もう一度伺います。
  185. 河野太郎

    河野国務大臣 現時点においてアメリカイランの間で武力行使が行われている状況にはないと認識をしており、自衛隊が何らかの武力紛争に巻き込まれるような危険があるとは考えておりませんが、日本関係船舶安全確保に必要な情報収集態勢は、こうした緊張高まりを踏まえると必要であると考えておりまして、現時点でその方針に変更はございません。
  186. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私は、当面、注視してしっかりと考えるべきだと思います。事態は悪くなるんですよ。だって、原因は、経済制裁を強くすると言っているんですから。その可能性は否めない、実態として。  話をここで少しかえますけれども、政府は、今回、有志連合に参加をしない、オペレーション・センチネルに。自衛隊は独自活動を行っていくと言っていますけれども、引き続き米国と緊密に連携していくとしています。連携や協力であっても、有志連合の目的任務武力行使を伴うものである以上、有志連合軍の武力行使と一体となるようなものは、これは憲法上許されないですね。許されないです。  そういった中で、連絡要員の問題です。まず問題になるのが、現地で収集した情報は、バーレーンの米中央海軍司令部に自衛隊の幹部自衛官派遣して、米国と個別に情報共有するというふうにされています。  マナマにある、スライドのこれは見ていただければと思うんです。二枚目、ここに派遣を予定している幹部自衛官の英語の正式な名称を教えてください。あと、階級も教えてください。
  187. 槌道明宏

    槌道政府参考人 この連絡要員でございますけれども、中東地域において情報収集活動を行う自衛隊任務遂行に必要な連絡調整や情報収集等に従事することとなりますけれども、アメリカの中央海軍の要員として勤務するわけではございません。(篠原(豪)委員「そこに派遣するんですか」と呼ぶ)はい。そういう意味で、肩書きというわけではないんですけれども、こうした連絡要員は英語ではリエゾンオフィサーというふうに呼称されることが一般的であると承知しております。  済みません。階級については今ちょっと手元に資料がございません。
  188. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 これはあれですよね、その第五艦隊の司令部に場所派遣するということでいいんですよね。その中のメンバーになってくれという話じゃないんです、別に。派遣するところを聞いているんです。
  189. 槌道明宏

    槌道政府参考人 今、場所というふうにおっしゃいました。物理的な、地理的な場所という意味で申しますと、このバーレーンの米中央海軍というのは、その場所としては、アメリカの主宰するイニシアチブの司令部が置かれている施設と同じ地域にございますが、建物は別でございます。
  190. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 じゃ、建物は別だけれども同じ地域というのはどのぐらい離れているんですか。同じ場所じゃないですか。
  191. 槌道明宏

    槌道政府参考人 具体的に、どのようにどの程度離れているかちょっと私確認できませんけれども、同じ敷地、かなり広い施設でございますが、その施設の中の個別の場所の建物にいるということでございます。
  192. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 あのね、ここは有志連合軍の司令部なんですよ。マナマの米第五艦隊司令部に開設しているんです。敷地と言っていますけれども、それは、国会だって分館と本館とありますよ。でも、同じことをやっているんですよ。  いや、私は、きょうはこれ以上やっても時間が無駄なので聞きませんけれども、結局、一体化するということのこの問題、私は、実際にはあるんじゃないかということをやはり確認をしたいと思います。きょうはいいです。これはまた聞きます。  そしてもう一つ。先ほどから、一体化の話で情報共有の話があります。調査研究で得た情報アメリカと、このオペレーション・センチネルというのは、何で今回新しい新法をつくらなかったかというと、私の認識では、国連安保理決議がないから新法をつくれないんですよ、原則的に。今までは国連安保理決議があって新法をつくってきている。だから、こういう防衛省設置法みたいなのを使って出すという無理筋なんです。これが私の考え。  今回ないんですよ。なぜかというと、アメリカが独自に始めたものなので、安保理決議できないんです。だけれども、近くに出して、司令部も同じところに出して、行く。今度、一体化の問題が今この国会でも言われている中で、P3Cは、これはもともと対潜哨戒機で開発されたもので、システム上、米海軍の対潜センターと直結している。P3Cが収集した情報は自動的に米海軍にも提供されることになっているのではないのか。そして、同様のデータのリンケージは護衛艦の「たかなみ」と米海軍の間にもあるのではないのか。  このデータリンクは結果として有志連合の武力行使と一体化する危険性があるというふうに考えていますが、この危険性はどう回避するつもりなのかをお伺いします。
  193. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 御指摘の護衛艦「たかなみ」及びP3Cは、搭載しておりますデータリンクを使いまして、取得した情報を米海軍の艦船等に情報共有を行う能力を有しておりますけれども、日米間におきましてこれが必ずしも自動接続を行うものではございません。  また、仮にこのデータリンクによりまして受信した対象のデータ、情報を参考にある対象を攻撃しようとする場合には、自動的に攻撃が行われるわけではございませんで、別途、目標の識別、特定、捕捉や攻撃の決定を行う必要はあります。  このため、自衛隊が主体的に収集した情報を仮にデータリンクを介して米軍に情報提供する場合があるとしても、それが一般的な情報交換の一環として行われる限り、憲法上の問題を生じるおそれはございません。  これは、累次これまでも申し述べたとおりでございます。
  194. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 いや、私は、一々とった情報が自動的に接続されている場合と接続されていないものを切ることはできるかもしれないと言っていますけれども、それ、ふだん的にはこの日本の周りだってつながっていると思います。まず、その点をこれからどう考えていくか。そういうことがなければ確認するのは大事ですから。そういうふうに思います。  それと最後、やはりさっきの中谷さんからもありましたけれども、フジャイラ港とかサラーラを基地局にしようというふうに今報道されていますけれども、これも、UAEは有志連合の一員です。フジャイラ港は米軍を含む有志連合が共同使用すると考えています。こうした状況は、そこに派遣するのは厳密的には独自派遣要件を欠いているのではないか。それを最後にお伺いして終わりにします。
  195. 西銘恒三郎

    西銘委員長 時間が来ておりますので簡潔に御答弁をお願いします。
  196. 河野太郎

    河野国務大臣 寄港地では、艦艇活動に不可欠な燃料及び隊員の健康維持に欠かすことができない生鮮食料品の入手や隊員の休養などを行うことにしているわけでございます。  また、どこの港ということを今、相手国との関係で対外的にまだ申し上げられる状況にないということも申し添えたいと思います。
  197. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 終わりますけれども、多国籍軍の活動と一体化する危険があるような港で、こういったところに本当に送ることがいいのか、そういった危機感が薄いのではないか。またこういった議論をさせていただきたいと思います。  きょうはありがとうございました。
  198. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、赤嶺政賢君
  199. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。  アメリカのトランプ政権がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を空爆によって殺害した問題から質問をいたします。  外務大臣に伺いますが、これまで日本政府は、いわゆる先制攻撃や予防攻撃は国際法上認められていないとの見解を表明してきました。この見解に今も変わりはないですね。
  200. 茂木敏充

    茂木国務大臣 一般論として申し上げますと、国際連合憲章上、自衛権の発動が認められますのは武力攻撃が発生した場合であることから、何ら武力攻撃が発生していないにもかかわらず、いわゆる先制攻撃や予防攻撃を行うことは国際法上認められない。  こうした国際法上の評価は従来より申し上げているとおりであります。
  201. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 アメリカ政府は、今回の空爆の国際法上の根拠、これについて、自衛権の行使だと説明しているわけです。しかし、トランプ大統領が具体的に挙げたのは、ソレイマニ司令官がアメリカの外交官や兵士に対する攻撃を計画していたということだけです。  計画していたことを理由に空爆に踏み切るのは、先制攻撃そのものではありませんか。
  202. 茂木敏充

    茂木国務大臣 我が国、先ほどから答弁させていただいておりますように、直接の当事国ではなくて、また、詳細な事実関係、これを十分把握する立場にないことから、確定的なことを申し上げるのは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、御指摘のありました、米軍によりますソレイマニ司令官の殺害に係ります国際法上の整理につきまして、米国は、一月八日、国連安保理議長宛てに、自衛権の行使として行ったものである旨の書簡を提出したと承知をしております。  どんな内容かということでありますが、書簡においては、最近数カ月のイラン・イスラム共和国とイランによって支援されている民兵による米国又は米国の利益に対する、エスカレートしている一連の武力攻撃に対して行ったものでありと説明しておりまして、いわゆる先制攻撃としてではなく、既に発生をした武力攻撃に対する自衛権の行使説明している、そのように承知をいたしております。
  203. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 外務大臣から丁寧に、アメリカが先制攻撃でないと説明しているというくだりだけを今説明していただきました。  当事国ではないとこのようにおっしゃいますけれども、アメリカ政府は、憲章五十一条に基づき、先ほど外務大臣も申し上げました国連安保理に提出した書簡、これには、先ほどのことに加えて、イランによるさらなる攻撃を抑止するためだとはっきり書いてありますよね。そのために、イランイラン支援する武装組織の攻撃能力を低下させると言っています。  将来の攻撃を抑止するために軍事攻撃を加えるのは、先制攻撃そのものではありませんか。安保理に提出した書簡で法的評価というのは明確にできるのではありませんか。
  204. 岡野正敬

    岡野政府参考人 委員から御指摘のありました書簡の中では、武力攻撃に対して行ったものということが明確に書かれております。その中で、どういう形で行動をとることの目的が何かということが羅列されております。  一番大事な書簡の部分について申し上げますと、一連の武力攻撃が実際に行われた、これに対して今回の自衛権の行使をしたというふうに書かれているのがアメリカの書簡だと我々は理解しております。
  205. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 書簡を持ってきましたけれども、そこには、イラン米国米国の利益に対しさらなる攻撃を実行又は支援するのを抑止し、イランイラン革命防衛隊のコッズ部隊が支援する民兵が攻撃を実行する能力を低下させるため、将来の攻撃に備えて今のソレイマニ司令官を殺害した、そういうこともはっきり書いてあるじゃないですか。それは先制攻撃じゃないですか。先制攻撃でないということでアメリカを擁護するんですか、外務大臣
  206. 岡野正敬

    岡野政府参考人 先ほどから申し上げているとおり、書簡にはこういうふうなことが書かれているということを申し上げているわけでございます。  そこで書かれているのは、一連の武力攻撃があったということを前提に、それに対して今回の自衛権を行使したものということが書かれているわけでありまして、過去の今まで行われた武力攻撃に対して行われた措置だということをアメリカの書簡が書かれている。それを我々はそういうふうに読んでいるというだけでございます。
  207. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 将来の計画に備えて攻撃したというところは読めないんですか、外務省は。そこを読んだら、それが先制攻撃だということがはっきりするじゃないですか。アメリカを弁護するにも余りある。そういうことを強く指摘しておきたいと思います。  重大なことは、今回の攻撃が、イラク政府に対する事前の説明も同意も一切なく、イラク国内で実行されたことであります。空爆によってイラクの武装組織の副司令官らも殺害をされました。イラクのアブドルマハディ首相は、公職につくイラク軍人の暗殺はイラクに対する侵略行為であり、明確な、明白な主権侵害だとこのように厳しく非難をしております。  今回の攻撃というのは、イラクの主権をも侵害するものではありませんか。
  208. 高橋克彦

    高橋政府参考人 今のイラクのアブドルマハディ首相のステートメントは私たちも承知しておりますので、イラクはそう見ている、そういうことだと思います。
  209. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 イラクはそう見ていて、日本政府はどう見ているんですか。主権侵害だと、明らかな主権侵害を見逃すようなことがあれば問題じゃないですか。いかがですか、外務大臣
  210. 岡野正敬

    岡野政府参考人 米軍の行為についての米軍の説明の仕方については先ほど申し上げたとおりでございますが、米軍の行為についての我々の評価ということは、先ほどから申し上げておりますとおり、直接の当事者ではなく、また、詳細な事実関係を十分把握する立場にないことから、確定的なことを申し上げることは差し控えたいということでございます。
  211. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 日本政府は、アメリカを擁護するくだりはちらちら説明しながら、それが明らかに先制攻撃につながっている根拠は国会の中でも説明しようとしない。そして、日本政府の立場を一切明らかにしようとはしないわけです。  アメリカ政府は、大使館が攻撃されるおそれがあるなら、一時退避し、イラク政府安全確保を求めるなどの対応をとるべきであります。事前に攻撃があったからすぐ反撃だというような話ではないはずです。主権国家の頭越しに空爆に踏み切るなど、絶対に許されません。  つけ加えて言えば、だから、イラクの民衆からも米軍基地撤去の話が出てくるわけですよ。  今回の軍事攻撃は、どこからいっても、国連憲章と国際法に明白に違反する先制攻撃そのものであります。その基本認識をしっかり土台に据えない限り、緊張緩和に向けた日本政府取組、形だけのものになる。そういうことを強く申し上げておきたいと思います。国際正義に立たないで仲介ができるなどというようなものは、およそ受け入れられるものではありません。  次に自衛隊派遣について伺いますが、政府は、今回の派遣について、特定の枠組みに参加するものではなく、我が国独自の取組だと強調しております。しかし、その一方で、諸外国との必要な意思疎通、連携は行うとしているわけです。  防衛大臣は、エスパー国防長官との会談で今回の派遣について説明し、長官からは謝意が示され、情報共有などを通じて日米が緊密に連携していくことを確認した、このように報じられております。  防衛大臣に伺いますが、具体的にどういう情報を共有するのですか。イラン航空機船舶などの軍事情報、これは共有するんですか。
  212. 河野太郎

    河野国務大臣 アメリカを含む、沿岸国とさまざま意思疎通をしていこうと思っております。  我が国が独自の取組を行うという政府方針を踏まえながら、アメリカは同盟国でございますので適切に連携をしてまいりたいと思っておりますが、さまざまな、航行する船舶の種類ですとか速度ですとか、恐らく、そういう情報についてさまざま意思疎通が行われることになろうかと思います。
  213. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 それだけに限られるんですか。  先週、この問題で野党合同ヒアリングをやりましたら、防衛省の方から、米中央海軍司令部に連絡官を派遣し、これは先ほどもありましたけれども、連絡官を派遣し、イラン情報を共有する、こう述べておりました。  収集したイランの軍事情報、これも米軍に提供するということではないですか。
  214. 河野太郎

    河野国務大臣 バーレーンの米中央海軍司令部に一名、海上自衛官を連絡要員として派遣をいたしますが、護衛艦イラン海軍の情報を収集するのではなく、オマーン湾を始めとする対象海域におけるさまざまな船舶情報など、日本関係船舶航行の安全に資するような情報を収集する。それを必要に応じてアメリカと共有をし、あるいは沿岸国意思疎通をしていく。そういうことでございます。
  215. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 日本が収集した軍事情報、これはアメリカに提供しないという意味でおっしゃっているんですか。
  216. 河野太郎

    河野国務大臣 別に軍事情報を収集するということではなくて、海域航行しているさまざまな船舶の種類や速度、そうした、船舶航行の安全に資するような情報を収集をするということを申し上げているわけでございます。
  217. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 航行の安全に資する情報の中に、これは、軍事情報というのは非常に貴重だと思うんですよ、民間船舶にとっても。そういう情報は共有するわけですよね。
  218. 河野太郎

    河野国務大臣 さまざまな情報を収集する中で、特定の国の情報を排除するということは考えておりません。
  219. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 最初からそう言っていただければいいんですけれども。  中東情勢は、武力衝突がいつ再燃してもおかしくない状況にあります。自衛隊が提供した情報をもとに米軍が武力行使する可能性、これは排除できますか。
  220. 河野太郎

    河野国務大臣 自衛隊情報収集は、米国のニーズに応じて行うものでもなければ、米国の指揮のもとで行われるわけではございません。日本自衛隊が収集した情報を一般情報として提供することはあり得る、そういうことでございます。
  221. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 極めて、武力衝突がいつ再燃してもおかしくないあの中東地域で貴重な情報といえば、やはりあの軍事情報です。軍事情報の収集だけを目的にするわけではないとおっしゃっておりますが、収集する情報の中には軍事情報もあります。  どんな軍事情報であっても、アメリカがその情報に基づいて直ちに武力行使をするとは言っておりません。ただ、日本が提供した情報をどう使うかというのは、これはアメリカが決めることですから、絶対にそれを武力行使情報の資料にはやらないでくれと日本側が言っているわけでもありませんから。  提供した情報をもとに米軍が軍事行動をとるかどうか、これは米軍の判断次第になっていきますよね。
  222. 河野太郎

    河野国務大臣 自衛隊が共有するのは一般的な情報でございますから、それをそのまま何か直ちに軍事的な行動に使うという、あるいは使えるというものではないというふうに思っております。  先ほど答弁が事務方からありましたように、軍事行動を行う前にはさまざま一般情報をもとに新たな情報をつけ加えなければならないわけでございますから、自衛隊が共有する情報が直ちにアメリカの軍事行動にそのまま使われるということではございません。
  223. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 日本だけの情報に基づいて情勢判断するわけではなく、いろんな国の情報提供の協力がアメリカにとって極めて重要なわけです。その情報の積み上げがあって、また、軍事情報の軍事緊張があって武力行使につながっていく。やはり情報で協力するということは、将来の武力行使アメリカがつなげていくその判断材料になっていく。そういうことにもなるわけですよ。  それはもう本当に、有志連合に参加しないと言ってみても、軍事情報の提供を通じてアメリカのそういう武力行使、すなわち、これは憲法にやはり違反していく行動につながっていく危険を今度の自衛隊派遣は大きく持っていると思います。  アメリカイラン緊張関係にあるもとでイランの軍事情報を米軍に提供すれば、イランの側からすれば、これは敵対行為になります。我が国独自の取組だと言いながら、実質的にはアメリカの側に立つということになるのではありませんか。
  224. 茂木敏充

    茂木国務大臣 恐らく、前提条件がかなり違っているんだと思います。  先ほどから答弁申し上げておりますように、これはアメリカの側も、そしてイランの側も、事態エスカレーションを回避したい、このように明確に述べております。今にもアメリカが軍事行動をとるために何らかのオペレーションを行っている、こういう状況にはないと考えております。  そして、先ほど来、何か日本が、政府アメリカの肩を持っているような話をされますけれども、私の答弁でも、アメリカの攻撃についてはアメリカはこう言っています、自衛権の行使だ。イランについても、自衛権の行使だ。適正にそれぞれの立場について述べているところでありまして、米国とは同盟関係にあり、そしてイランとも長い間友好関係にある日本の立場、こういったものを通じた粘り強い外交努力を続けていきたいと思っております。
  225. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 紛争をエスカレーションする根本の問題に政府は全く努力を放棄しているわけですよ、先制攻撃の問題でも。例えば核合意の復帰の問題についても、イランには求めているけれども、アメリカには求めない。
  226. 西銘恒三郎

    西銘委員長 時間ですのでまとめてください。
  227. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 そういう努力をなしにやるということは、決してあの中東情勢の平和解決にはつながらない。むしろアメリカの肩を持っていることははっきりしているということ、自衛隊は撤退すべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  228. 西銘恒三郎

    西銘委員長 次に、足立康史君。
  229. 足立康史

    足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  ちょっと問い四からいきますので、南部長、よろしくお願いします。経産省の同期でして、よろしくお願いします。  トランプ大統領が年明けも、アメリカ世界最大の石油、天然ガス産出国になった、もはや中東の石油を必要としない、こういう発言を繰り返し去年から、また、年明けもされています。  今の、世界の中で中東原油依存度が最も高い国はどこですか。
  230. 南亮

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  日本原油消費量に占める中東からの輸入原油の割合は今約九割となっておりますが、他国の依存度につきまして各国の公表データなどを見ますと、やはり、日本中東依存度が最も高い国のうちの一つと言えると思っております。
  231. 足立康史

    足立委員 最も高い国ではないんですか。
  232. 南亮

    ○南政府参考人 ここは、例えばフィリピンなどもかなり高いですし、また、データはないんですが、中東の中で原油が出ない国、こういった国は形式的には依存度が高くなるのではないかと思いますが、主要な国においては、非常に日本は依存度が高いということは間違いないと思っています。
  233. 足立康史

    足立委員 ありがとうございます。  そうした中で私たち日本維新の会は、いろいろ野党の中には今回の自衛隊中東派遣にそもそも反対という御意見も多いようでありますが、きょうは前原委員が、特措法をつくってでもやるべきだという、野党四党の中にもそういう真っ当な御意見があるということをきょうはわかったので、大変いい、有意義な委員会かなとこう思っておりますが、防衛大臣に改めて、議論になっていますが改めて、私は、先ほどからあったように日本中東原油依存度が最も高い国の一つなんですから、これは、日本関係する船舶の安全を確保するために特措法を制定する等の検討を、されているんだと思いますが、しているとは言えない。改めて私は検討をしっかり正面からすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  234. 河野太郎

    河野国務大臣 中東地域は現在緊張が高まっている状況にあると言ってよろしいかと思いますが、日本関係船舶防護実施を直ちに実施しなければならない状況ではないというふうに考えております。  一方で、こうした緊張高まりを踏まえて、日本関係船舶航行の安全に必要な情報収集の強化、態勢の強化というのはやろうというふうに考えているところでございまして、自衛隊活動は既存の法令の枠内で十分に現時点で対応することが可能であるというふうに考えているところでございます。
  235. 足立康史

    足立委員 政府政府ですから、これはなかなか、検討していても検討しているんだということは、いろいろな意味で、外交上あるいは戦略上言うことは差し控えられているんだと私は勝手に思っています。しかし、国会で議論しましょう、国会で。与党の皆さん、また野党の皆さんも。  きょうわかったことは、少なくとも、中谷元さん、中谷元衆議院議員、あるいは前原誠司衆議院議員は、特措法議論すべきだときょうおっしゃいました。我が党も同じですよ。  別に政府がそこに座っていなくても、憲法審査会でやるテーマではないが、憲法審査会のような自由討論の場をこの安全保障委員会につくって各党でそういう議論をしたらいいと思うんです。  委員長、そういう場を設定するよう御検討いただけないでしょうか。
  236. 西銘恒三郎

    西銘委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
  237. 足立康史

    足立委員 ぜひお願いをしたいと思います。  政府に聞くばっかりじゃなくて、国会は国権の最高機関なんですから、だから、本当に特措法議論が必要だと思う議員がいっぱいいるのであれば、議論しましょう。それだけお願いをしておきたいと思います。もちろん、憲法審査会もその延長線上に、あるいは同時並行で議論しなければならないと思っております。  さて、きょう最も議論したいことは、先ほども防衛大臣から若干御発言があったので注意して伺いましたが、リスクです。危険です。  大臣に通告どおり申し上げますが、個別の事象ごとに自衛官が殉職をするリスクは当然あるし、いや、ないようにしないといけないんだけれども、でもあるんです。自衛官が殉職するリスクはある。そのリスクは個別の事象ごとに異なると私は思いますよ。  個別の事象ごとに、地域に限りません、事案ごとに、事象ごとに、自衛官が殉職するリスクは高いリスクがある。危険が高い派遣もあれば、それほど危険が高くない海外派遣もあると私は考えていますが、いかがですか。通告させていただいています。
  238. 河野太郎

    河野国務大臣 自衛隊の隊員の多様な任務に対しまして任務の危険性や困難性、これはいろいろなものがあるんだろうというふうに考えております。自衛隊として危険性や困難性などの特殊性を評価して、手当をそれぞれ設けているところでございます。
  239. 足立康史

    足立委員 私は、河野大臣外務大臣あるいは防衛大臣としてのお取組に大変敬意と感謝を持っていつも拝見をしてきたわけでありますが、唯一、河野大臣発言でううんと思ったものが、どこかで発言されている。ブログでも書かれています。今おっしゃった手当について、手当というのは、総額、手当を含めた給与全体の給与水準が大事なのであって、個別の手当に着目することはいかがなものかというようなブログを公開をされています。少なくとも、ブログでそれを私は拝見しています。  私は逆で、手当というのはその趣旨が大事だと思うんです。中東派遣されている米軍には危険手当というものが支給されています。家族離別手当というものも支給されています。  これは事務方でも結構ですよ。事務方でも結構だけれども、今回中東派遣される、調査研究で結構ですよ、派遣される自衛隊員、自衛官、支給される手当がございますが、そこには、今おっしゃった自衛官の生命の危険という観点は含まれていますか。
  240. 岡野正敬

    ○岡政府参考人 お答え申し上げます。  まず、その手当のことについて自衛官の給与の定め方でございますけれども、自衛官任務の特殊性に対する給与上の措置ということで、職務の特殊性を反映した自衛官の俸給のほか、艦船乗組員などの職域に応じた手当、そして、個々の業務の危険性、困難性等を評価した各種の特殊勤務手当を支給するということになっているところでございます。  今般中東派遣される隊員につきましては、今申し上げました任務の特殊性といったようなこと、そしてまた、同じ中東地域海賊対処業務に従事している隊員の処遇とのバランスなどを考慮して、個々の業務の内容に応じて日額四千円から千四百円までの海上警備等手当を支給するということとしているところでございます。
  241. 足立康史

    足立委員 今御紹介があったように、御承知のとおり、昨年末から政府で検討されて、今回は海上警備等手当、最高でも四千円かな、が支給されるようになっていますが、その支給を決めた規定には、これは規定は防衛省職員給与法施行令でありますが、今答弁があったような記述しかないんです。危険という言葉が出てきません。これは逃げていませんか。私は、危険があるから手当を決めたんだと思いますよ、政府は。  政府の中の規定で私は探しました、危険という言葉があるのかないのか。ないと思っていたら、一つだけ見つかりました。国際緊急援助等手当七千五百円、在外邦人等の輸送について規定がされている部分に、「生命に特に著しい危険を伴う」とか「生命に極めて著しい危険を伴うと防衛大臣が認める場合」、手当を支給している。多分唯一ですよ。  この七千五百円の手当には自衛官の生命の危険という観点は含まれているが、今回の四千円の海上警備等手当には含まれていないんですか、いるんですか。どっちですか。
  242. 岡野正敬

    ○岡政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘の国際緊急援助等手当の関係でまず申し上げますけれども、この国際緊急援助等手当につきましては、極めて困難な作業で心身に著しい負担や緊張を与える状況が生起した場合の加算措置ということで、今委員から御指摘のあった、職員の生命に極めて著しい危険を伴う場合という規定がございます。  このほか、危険という言葉が使われているという意味で申し上げますと、災害派遣の場合でも、加算措置を行う場合については、「特に生命に著しい危険を伴うもの」という形で規定をしている例がございます。  先ほども少し申し上げましたけれども、自衛官のその任務の特殊性ということを考えるに当たって、危険性、困難性ということを考えながら、総合的に判断をして手当の水準を決めているところでございます。
  243. 足立康史

    足立委員 大臣、もう率直にお答えいただけたらいいと思うんですが、今聞いていただいたような事実があります。  ちなみに、イラク特措法、イラク人道復興支援等手当は日額二万四千円です。南スーダンの国際平和協力手当は日額一万六千円です。大変危険だということですね。  私は、中東派遣するに当たっても、四千円とかそういうことじゃなくて、これから海上警備行動、あるいは我々の認識では、特措法も視野に入れて議論するんだから、これはしっかりと危険手当、危険という軸で、リスクという軸で、自衛官の生命の危険という軸でしっかりと手当の議論を正面から防衛省としてしていただくことが必要だし、それが国民への説明責任を果たすことにもつながると考えますが、大臣いかがですか。
  244. 河野太郎

    河野国務大臣 先ほどから何度も申し上げておりますように、現時点でこの地域自衛隊自衛官が紛争に巻き込まれるおそれがあるわけではございません。現時点で日本関係船舶に対する防護が直ちに必要になるという状況でもございません。そうしたことを考慮して今回の手当を決定をしたということでございます。
  245. 足立康史

    足立委員 では大臣、もう更問いですが、では、今回のと離れて、今御紹介したイラク、南スーダン、この日額の二万四千円、日額一万六千円の手当には、自衛官の生命の危険という観点、入っていますか。
  246. 河野太郎

    河野国務大臣 自衛隊の手当の中に任務の特殊性というのがあり、この特殊性の中には危険性、困難性というのがあるわけでございます。それを考慮してさまざまな手当を決めている、そういうことでございます。
  247. 足立康史

    足立委員 ありがとうございます。  ぜひこの危険、要は今回は四千円、いや、お金じゃないですよ。自衛官の皆様も別にお金で仕事をしているんじゃありません。私たちもそうです。そうだけれども、やはり、危険手当という形で国家が、内閣がその危険性に正面から向き合って、それを見据えて仕事をしているんだということをしっかりと国民に示していくことが大事であると私は思います。  最後に経産省にもう一問だけ質問して終わります。  野党が、いや、維新以外の野党ですよ。原発ゼロと言いながら、中東派遣自衛隊中東派遣にも反対をしている。石油と原発、反対なんですよ。これ、合理性がないと思いますが、どうですか。
  248. 覺道崇文

    覺道政府参考人 お答え申し上げます。  今ほど御議論ございましたように、中東地域日本原油輸入の約九割を占める重要な地域でありまして、日本エネルギー安定供給を確保する上で、自衛隊派遣を含む中東地域における日本関係船舶安全確保に関する取組は大きな意味を持つものと認識をしてございます。  その上で、資源に乏しい日本にとりまして原子力は、安全確保を大前提とした上で、安定的かつ安価な電気の供給、気候変動問題への対応エネルギーの海外依存度を考えれば、責任あるエネルギー政策を実行するためには欠かすことができないものと考えてございます。  こうした中で、政府としましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原子力発電所のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めることとしてございます。
  249. 足立康史

    足立委員 不十分な答弁ですが、両大臣が私の最後の質問の趣旨を深く御理解いただけたようなので、これで了として、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  250. 西銘恒三郎

    西銘委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会