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山本香苗君
是非、福知山市の
取組を含めて、しっかりと周知をしていただきたいと思っております。
岡山県倉敷市真備町では五十一名もの方がお亡くなりになり、約九割が自宅で見付かりました。その大半は高齢者でした。
茶色く濁った泥水が少しずつ家の中を満たし始めたと。八十六歳の目と足が不自由な御主人を台所のテーブルの上に立たせ、八十四歳の奥さんが体に手を回して支え続けたと。大分水が来とるけ、早く助けてと遠方の息子さんに連絡し、息子さんたちは消防や警察などに何度も救助を求めたが、間に合わなかった。奥さんは御主人の体を両手で抱えたまま亡くなっていたと。
私の父も目が見えません。この記事を読んだときに、思わず田舎にいる両親のことが頭に浮かんで胸がいっぱいになりました。
災害時に自力で避難することが難しい高齢者や障害のある方をどう支えていくのかと、これが今回の
災害が突き付けた最大の課題ではないでしょうか。
昨年末、中央
防災会議の下に置かれたワーキンググループでは、高齢者等の避難を支援するために、
防災・
減災への
取組実施機関と地域包括支援センター、ケアマネジャーが
連携し、高齢者の理解促進に向けた
取組を実施するという提言をまとめました。
防災と福祉の
連携は極めて重要です。しかし、この提言内容で本当に
機能するんでしょうか。
在宅介護の御
家庭の場合は、ふだんから介護
事業所とつながっていても、地域とつながっていないことが多いんです。ですので、どこに
SOSを出せばいいか分からないと。地域の
方々も
情報がないので、どこにどういう人がいるか分からないと。地域包括やケアマネといっても、福祉の現場は忙しいんです。その上、地域と必ずしもつながっていません。
こうした中で、
連携と上から言っても、現実の問題としてどれだけできるのか、いざというときに本当に
機能するのか、このままでは掛け声倒れになるんじゃないかと、こうした懸念の声が現場から上がっているんです。
大分県別府市では、二〇一六年度から三年間、障害者を中心とする市民団体と協働して、別府市障害者インクルーシブ
防災事業というのを実施しております。一年目は、障害のある
方々と民生
委員や地域住民の方、
行政等がもう何度も議論を重ねて、そして合同避難訓練を実施して、二年目は、福祉職の方の
協力を得て障害のある方の個別避難
計画を作成して、それを実際訓練で試してみて、三年目で、避難所生活の
改善点の洗い出しを行っているそうです。
この事業を通じて、最初は、そんな理想的なことを言われてもできないと言っていた地域住民の方も、また、逃げても無駄だと諦めていた障害者の方も、
災害の知識がないので支援に不安を抱えていらっしゃった福祉職の
方々も、みんなが、大変だけどやらなきゃいけないと、自分にも何かできることがあると徐々に変わっていくんですね。こうした
取組こそ全国に普及させていくべきだと思うんです。
そのためには、まず、国において別府市のこの事業を参考にモデル事業を実施していただきたいと。そして、
内閣府と
厚生労働省で、実効性のある仕組みをつくるために、
防災と福祉の双方の関係者を交えてもう一段掘り下げた検討を行っていただきたい。こうしたことが絶対に必要です。
防災担当
大臣、
厚生労働大臣、やっていただけますか。