○蓮舫君
立憲民主党・
民友会・希望の会の蓮舫です。
私は、
立憲民主党・
民友会・希望の会、
国民民主党・新緑風会、
日本共産党、沖縄の風各
会派共同
提出の国務
大臣麻生太郎君問責
決議案について、
提案の
趣旨を
説明します。
まず、
決議の案文を朗読します。
本院は、
財務大臣・
金融担当大臣麻生太郎君を問責する。
第二次
安倍内閣が発足してから、既に六年半余りとなりました。麻生氏は
安倍内閣の要職である
財務大臣と
金融担当
大臣を担ってこられましたが、その在職日数の長さとは裏腹に、安定感のある職務執行が行われたどころか、何人もの
大臣が辞任しても不十分なほどに、財務省や
金融庁をめぐる問題が次から次へと発覚しました。
麻生大臣は、その都度、全く
指導力、解決力を示すことなく、ただただ指摘をうやむやにしながら先送りを繰り返してきました。もう限界です。
麻生大臣がこれ以上地位にとどまるべきではない、まずはその点を強く指摘をします。
年金百年安心は本当なのか。あるものをなかったことにした
麻生大臣の決定が
国民に大きな不安を与えています。
今、
国会を大きく揺るがせている
金融審議会の
報告書をめぐる問題では、世論
調査によると、実に七割を超える方々が、あなた自身の不可解、不誠実極まる対応を問題だと感じています。そして、そのことは、
公的年金そのものの不信に結び付き、公的
年金制度を
信頼できない人が六割を超える
状況となってしまっています。
金融審議会市場ワーキング・
グループは、二〇一八年九月以来計十二回にわたり、高齢
社会のあるべき
金融サービスとは何かについて
議論を行ってきました。先月二十二日に示した高齢
社会における資産形成・管理
報告書案では、
社会保障給付が低下するとの前提の下、高齢夫婦無職世帯の老後資金として、
公的年金以外に月五・五万円、三十年間で約二千万円が必要と試算し、貯蓄やバランスの取れた投資や運用の必要性も記載された上で報告をされました。
しかし、ネットを中心に
報告書案を問題視する声が広がると、
金融庁は混乱を回避しようとして、その後、六月三日に公表された確定版の
報告書では、
社会保障給付の低下に関わる記述は全て削除され、さも最初から
存在しなかったかのような書きぶりに変わりました。
国民の不安を背景に
報告書が
国会で取り上げられると、老後の生活を保障する柱である年金への不信が一気に噴出しました。
この間、
麻生大臣の
発言は二転三転しました。
六月四日時点では全く問題視していなかったものが、六月十日の
参議院決算委員会では、表現は不適切としながらも撤回はしませんでした。ところが、翌十一日、
自民党の二階幹事長が
金融庁に抗議をするや否や、
麻生大臣は、世間に著しい不安を与えている、
政府の政策スタンスとも異なる、正式な
報告書としては受け取らないと態度を一変させ、
審議会に諮問をした
大臣が
報告書を受け取らないとの前代未聞の驚くべき報告をしました。
二階幹事長は、記者に問われて、我々は
選挙を控えている、候補者に迷惑を及ぼすことのないよう党としてはしっかり注意すると、素直過ぎる本音で答えています。この夏の
参議院議員選挙を前に、この
報告書をなかったことにしようと強引に解決しようとする
姿勢に、多くの
国民も驚きと怒りを感じています。
また、我が党の中谷一馬
衆議院議員の質問主意書においては、
報告書について、世間に著しい誤解や不安を与え、
政府の政策スタンスとも異なる、当該
報告書を前提にしたお尋ねについてお答えすることは差し控えたいと、
政府一体となって
答弁を拒むという
隠蔽工作が行われました。
しかし、本年四月十一日に
開催された同
ワーキング・
グループでは、
出席した厚生労働省年金局企業年金・個人年金課長が、
提出した資料について、今後、実収入の
社会保障給付は低下することから、取り崩す金額が多くなり、さらに余命も延びることで取り崩す期間も長くなるわけで、今からどう準備していくかが大事なことになりますと
説明しているじゃないですか。
金融庁自身も、退職後三十年間、最大三千万円の資産形成額が求められるとの試算をしていたことも明らかになりました。
社会保障給付が低下することは、現在の
政府の政策スタンスそのものであり、
選挙を前にその事実を
隠蔽しようとする姿は
国民を愚弄しています。
麻生氏が取るべきだった行動は、受け取らないと、
政府に不
都合な真実を
隠蔽し、百年安心と声高に唱えるだけではなく、
国民の不安に向き合い、丁寧に
説明すると同時に、
年金制度の
持続可能性を
国会で
審議するために
厚労省に
財政検証を今すぐ
提出させることではなかったでしょうか。あるものをなかったと強弁することではありませんでした。
そもそも、この問題視された
ワーキング・
グループの
報告書を
国会で質問されるまで読んでいなかったことも、怒りを通り越してあきれるばかりであります。どの
政府のどの政策スタンスと異なるのかが明確にならないまま、諮問をした
大臣が
審議会の
報告書を受け取らない
事態は、行政の客観性や
専門性を担保するために設けられた
審議会を私することを許すものであり、決して許してはいけません。この
暴挙が認められれば、今後、
審議会の報告は、
政府の意に沿わない
意見はなかったことに、政治家の顔色をうかがい続けるそんたく
報告書のみが受け取られることにもなりかねません。このことは、
民主主義の危機にほかならないと強く指摘をします。この一点においても、麻生氏を
大臣としてその任にとどまらせるべきではないと強く訴えさせていただきます。
次に、
森友学園をめぐる公文書
改ざん問題もございました。
森友学園については、国有地の大幅値引きという
異常事態に始まり、認可をめぐる疑惑、
安倍昭恵
総理夫人の関与をめぐる疑惑、
理事長が
運営する幼稚園における教育内容の問題など、次から次へと
国民不在のあってはならない疑惑や問題が発覚しました。
その最たるものが財務省による公文書
改ざんです。
森友学園をめぐる様々な疑惑が
国会内で噴出する中、財務省は、その矛先を少しでも緩めようと、実際の公文書を
改ざんして
国会に
提出。
国会への
説明、
国会の要請に基づく会計検査院の検査も、驚くことに
改ざん後の文書で行われました。さらに、
国会でそのことへの追及が始まると、
説明が付かない指摘や質問に対して、優秀なはずの官僚は、一様に記憶がありませんと繰り返す始末です。一切の記憶をなくす優秀者も大したものだと
思います。
組織を挙げて何を
隠蔽しようとしたのか、今になっても動機や原因、責任の所在は結局何も明らかになっていません。
昨年、
国会では、その動機等を解明するためにも、財務省本省と近畿財務局のやり取り、大阪航空局とのやり取りなどが記された行政文書、
国会答弁の想定問答の情報公開を求めましたが、財務省は、積極的な協力をするどころか、業務の遂行に支障を来すおそれがあるとして、全て不開示とする決定をしました。
前代未聞の公文書
改ざんを行っておきながら、
実態解明の
努力を行わないこの
姿勢に驚きを禁じ得ませんでしたが、我が党の川内博史
衆議院議員が、財務省のこの決定を不服として総務省の情報公開・個人情報保護審査会に訴えたところ、今年六月十七日に、当該審査会は、不開示と判断した根拠を具体的に示していない違法なもので取り消すべきだと、不開示は違法と提言をしました。
ところが、財務省は、今なお、この違法の答申が出たにもかかわらず、対応は検討中としています。まさか、
麻生大臣、総務省のこの答申までもが、
政府にとって、財務省にとって不
都合なので、なかったとして受け取らないおつもりでしょうか。この
森友学園疑惑、公文書
改ざんの真相解明に全く協力しない上に、総務省の
審議会答申に対しても不誠実極まりない
姿勢の麻生氏に対しては、
大臣としての資質に欠けていると改めて申し上げさせていただきます。
国民の財産であり、国家の礎である公文書をないがしろにし、前代未聞の不祥事です。それにもかかわらず、誰一人その任を問われることなく、責任者の中心、一人であった当時の佐川理財局長は、驚くことに国税庁長官に昇進し、退職金のほぼ満額を受領して無事退職をしました。結果責任を負う
麻生大臣は、この不祥事の責任を自らしっかり負うべきだと指摘をさせていただきます。
次に生じたのが、福田財務省事務次官のセクハラ問題です。
前代未聞の公文書
改ざん問題が国を揺るがしているさなか、事もあろうに、当時の福田財務省事務次官のセクハラ問題が大きく報道されました。福田事務次官は、財務省記者クラブに所属する女性記者を酒席に誘い、とても聞くに堪えない言葉を再三にわたって繰り返した様子が録音された音声が報道されました。
次官という地位にあることを利用し、取材をしなければならない記者にセクハラ、パワハラを行った
行為は、人として、
社会人として恥ずべきであり、到底許されない
行為であります。本来、即刻更迭に値すべき
事件でもあるにもかかわらず、週刊誌発売から何と四日たってようやく辞任、しかも自発的離職であり、更迭ではありませんでした。
この間、福田次官の事務を代行した官房長は、名のり出るのがそんなに苦痛なのかと暴言をしました。
麻生大臣自身は、福田事務次官が被害女性にはめられて訴えられているんじゃないかとか世の中に
意見もあると、一体そんな声がある世の中とはどこなのかと首をかしげるような
発言。さらには、セクハラ罪という罪はない、男の番記者に替えればいい、福田次官を擁護するような
発言を繰り返しました。また、当該記者が所属するテレビ局からの抗議文について問われると、もう少し大きな字で書いてもらった方が見やすいなと思った程度に読んだと、不誠実極まりない対応を繰り返しました。
セクハラ被害者の権利やその保護とはおよそ懸け離れた言動を繰り返した
麻生大臣に対して、各地で抗議行動が起こり、
内閣府男女共同参画
会議女性に対する暴力に関する専門
調査会においては、あってはならない人権侵害とする緊急声明まで発表されました。
ところが、麻生氏からは、いかに自分が時代と懸け離れていたか反省の弁、一言も聞かれませんでした。このような人権感覚のない
大臣に国の基礎である財政を預けることは到底できません。
また、今年二月三日に福岡県で行われた講演の中で、
麻生大臣は、少子高齢化に関して、いかにも年寄りが、取った方が悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるけど、それは間違っていますよ、子供を産まなかった方が問題なんだからと
発言をされ、世間や
国会で問題視されると、誤解を招くような
発言だったとして撤回させていただく、不快に思われた方がいるのであればおわびを申し上げると。おわびという割には、受け取る側に誤解があったと
主張されました。
実は、麻生氏は、二〇一四年の十二月七日、札幌市内の演説で、高齢者が悪いようなイメージをつくっている人がいっぱいいるが、子供を産まない方が問題と、同じ持論を展開しています。
不快に思う方が問題かのような、撤回とは口だけの
姿勢、時代の変化から学び、少子化問題の本質を
調査し、丁寧な対策を講じようとしない政治家としての
姿勢そのものも
大臣の任に値しないと強く指摘をさせていただきます。
金融担当
大臣としても、その責任を強く問わねばなりません。
シェアハウスへの融資を中心とするスルガ銀行の約一兆円にも上る不正融資に当たっては、銀行が主体的に与信の判断材料となる融資先の資産や価格を捏造していることが明らかになりました。
このような不正融資が過熱した背景には、
金融庁の
姿勢がありました。
安倍政権が進めるゼロ金利政策の結果、収益源に困る地銀に対し積極的に融資をするよう
指導し、あろうことか、スルガ銀行を地銀のお手本として持ち上げました。
金融庁に大きな責任があると言われても当然であります。
金融庁が持ち上げるその裏側で、スルガ銀行がガバナンスもコンプライアンスもかなぐり捨て無謀な融資に突き進み、多くの被害者を返済不能に陥らせた粗い監督の責任は、当然、
金融担当でもある
麻生大臣が負うべきものであります。
今から約二十年前です。過度の行き過ぎた接待、甘い検査を受けて、当時の大蔵省は、初めて検察の捜査を受け、四名の逮捕者を出しました。破廉恥な接待の
実態が
国民に赤裸々に発表される中で、官僚の中の官僚と言われた大蔵官僚の矜持は地に落ちました。その年、大蔵省の不祥事根絶のために設けられた大蔵省の行政の在り方に関する懇談会の報告では、冒頭、不祥事の根絶の指針として、公私の別を明らかにした上で、新しい民間との関係の在り方を常に念頭に置いて職務を行うことが求められる。そして、
座長は、談話として、民主政治においては、行政
運営においても、政治家がその使命を自覚し、リーダーシップを取るべきであり、
大臣については、その職責が十分果たされるよう在任期間の長期化を図るべきである。
令和の時代になった今、当時の大蔵省に求められたことは、今なお、まだ何ら解決されていません。公僕である公務員の初心を捨て、
官邸、
政府、省益、私心のことしか考えずに繰り返される不祥事。在任期間の長期化は図ったものの、政治家としてのリーダーシップを取ることなく、漫然と長期在任を続けた結果、緊張感がなくなった
麻生大臣の姿は、もはやその任を続けるに値をしません。
最後に、麻生氏は、
財務大臣の最も重要な職責である財政再建への取組が全く不十分であることも指摘しておきます。
日本の財政は悪化の一途をたどり、プライマリーバランスの黒字化目標は二〇二五年に五年も先送りされ、しかも、今年度
予算は、財政等
審議会の、平成時代の財政
運営の失敗と過ちを二度と繰り返してはいけない旨の建議を一顧だにせず、過去最大の百兆円を超える
予算を編成しました。財政規律を緩め、重要な職責を放棄した麻生氏の責任は、次世代に対しても極めて重いと断ぜざるを得ません。
これ以上、国益を損なわせないためにも、
麻生大臣が一刻も早く辞任することが、効率的かつ透明な行政と健全な
日本経済と
国民生活を取り戻すことの第一歩となると申し上げ、私の麻生太郎君問責
決議案の
趣旨説明といたします。
各位の御賛同を何とぞよろしくお願いいたします。(
拍手)
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