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2019-05-22 第198回国会 参議院 本会議 第19号
公式Web版
会議録情報
0
令和元年
五月二十二日(水曜日) 午前十時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第十九号 ─────────────
令和元年
五月二十二日 午前十時 本
会議
───────────── 第一
国有林野
の
管理経営
に関する
法律等
の一 部を改正する
法律案
(
趣旨説明
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり ─────・─────
伊達忠一
1
○
議長
(
伊達忠一
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
国有林野
の
管理経営
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
(
趣旨説明
) 本案について
提出者
の
趣旨説明
を求めます。
農林水産大臣吉川貴盛
君。 〔
国務大臣吉川貴盛
君
登壇
、
拍手
〕
吉川貴盛
2
○
国務大臣
(
吉川貴盛
君)
国有林野
の
管理経営
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及び主要な
内容
を御
説明
申し上げます。
我が国
の
森林
については、戦後造成された
人工林
が本格的な
利用期
を迎えております。この
森林資源
を切って、使って、植えるという形で循環
利用
していくことで、先人の築いた貴重な資産を継承、発展させることが、これからの
森林
・
林業政策
の
主要課題
であります。 こうした
課題
に対応するため、昨年の第百九十六回
国会
で成立した
森林経営管理法
においては、
経営管理
が不十分な
民有林
を
意欲
と
能力
のある
林業経営者
に集積、集約化する新たな
森林管理システム
を構築することとされております。 この新たな
森林管理システム
を円滑に
実施
し、こうした
林業経営者
を
育成
するためには、安定的な
事業量
の
確保
が必要となります。そのためには、
民有林
からの
木材供給
を補完する形で、
国有林
から
長期
安定的に
林業経営者
が
樹木
を
採取
できるよう
措置
することが有効であります。 このような
認識
の下、効率的かつ安定的な
林業経営
の
育成
を図るため、
国有林野
の
一定区域
において、
国有林野
の
公益的機能
の
維持増進
や
地域
の
産業振興等
に
配慮
した上で、
木材
の
需要者
と連携する
事業者
が、
一定期間
、安定的に
樹木
を
採取
できる
権利
を創設するとともに、あわせて、
川上側
の
林業
と
木材
の
需要拡大
を行う
川中
、
川下側
の
木材関連産業
の連携により
木材
の
安定供給
を
確保
する
環境整備
を行うため、この
法律案
を
提出
した次第であります。 次に、この
法律案
の主要な
内容
につきまして御
説明
申し上げます。 第一に、
樹木採取権
の
設定
についてであります。
農林水産大臣
は、効率的かつ安定的な
林業経営
の
育成
を図るため、
国有林野
の
一定
の
区域
を
樹木採取
区として指定した上で、
当該区域
において生育している
樹木
を、
一定
の
期間
、安定的に
採取
する
権利
として、
樹木採取権
を
設定
することができるものとしております。 第二に、
樹木採取権
の
設定
を受ける者の
選定
についてであります。
樹木採取権
の
設定
を受ける者については、
農林水産大臣
が
公募
を行い、
公募
に応じた者のうちから、
森林
の
経営管理
を効率的かつ安定的に行う
能力
を有することや、
民有林
からの
木材
の
供給
を圧迫することがないよう
林業経営者
が
川中
、
川下側
の
木材関連業者
と連携すること等を
条件
とした上で、
地域
における
産業
の
振興
への
寄与
の
程度等
を勘案し、
選定
するものとしております。 第三に、
樹木採取権
の行使についてであります。
国有林野
の
公益的機能
の
維持増進等
を図るため、
樹木採取権
の
設定
を受けた者は、
事業
を開始する前に、
施業
の
計画
や
現行
の
国有林
における
伐採
のルールなど
樹木
の
採取
の具体的な
条件等
を定めた
契約
を五年ごとに
農林水産大臣
と締結しなければならないものとしております。この
契約
に係る重大な違反があったとき等の場合は、
農林水産大臣
は
樹木採取権
を取り消すことができるものとしております。 第四に、
樹木
の
採取跡地
における
植栽
についてであります。
農林水産大臣
は、
樹木採取区内
の
樹木
の
採取跡地
において
国有林野事業
として行う
植栽
の効率的な
実施
を図るため、
樹木採取権者
に対し、当該
植栽
をその
樹木
の
採取
と一体的に行うよう申し入れるものとしております。 第五に、
木材
の
安定取引
に取り組む
事業者
に対する
金融
上の
措置
についてであります。
独立行政法人農林漁業信用基金
は、
林業経営者
と
川中
、
川下側
の
木材関連事業者
が、
木材
の
需要
の
開拓等
に関する
事業計画
を共同で作成し、
都道府県知事等
の認定を受けた場合に、その
計画
に係る
事業
に必要な
資金
の
供給
を円滑にするため、
資金
の貸
付け
及び債務の保証を行うものとしております。 以上が、この
法律案
の
提案
の
理由
及び主要な
内容
であります。 何とぞ、慎重に御
審議
の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(
拍手
) ─────────────
伊達忠一
3
○
議長
(
伊達忠一
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、質疑の通告がございます。順次
発言
を許します。
小川勝也
君。 〔
小川勝也
君
登壇
、
拍手
〕
小川勝也
4
○
小川勝也
君
立憲民主党
・
民友会
・希望の会の
小川勝也
です。 ただいま議題となりました
国有林野
の
管理経営
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
に対し、
会派
を代表し、
農林水産大臣
に
質問
いたします。 JR北海道の路線維持問題はまだ
議論
の真っ最中ですが、
北海道開拓
は、新しい大地であったにもかかわらず鉄道の敷設は意外と早く、その
理由
は、豊富な
木材資源
を本州に運ぶためだったとも言われています。私に物心が付いた頃、
昭和
四十年代半ばの記憶は、
駅裏
の貯木場に積まれた
木材
、いろいろな合板、割り箸、折り箱の各
工場
からの
白煙
でした。
質問準備
のため
林野庁
からいただいた資料を見ますと、
昭和
四十五年に
木材
の
自給率
は五〇%を割り、
昭和
四十八年に
木材
が暴騰し、緩やかに
外材
に依存しつつ今日を迎えていることが分かります。
昭和
三十六年に
木材
の
増産計画
が策定され、
昭和
四十年代までにたくさん切り、たくさん植え、今、そのときの木がまさに伐期を迎え、この
法改正案
が
提出
となったのはほぼ必然と言えるでしょう。
平成
七年に
国会
の
議論
に参加をさせていただき、
平成
八年の行革の
議論
から
平成
十年の
国有林野事業
の
抜本改革
へ。
一般会計化
を
悲願
としていましたが、その
悲願達成
までは
平成
二十五年までの十五年の時間を要しました。
現地視察
に伺うと、
間伐
、除伐が施されず光が入らない
国有林
を見せられ、
山地災害
が起こるたびに
山の手入れ不足
を指摘され、人員を減らされ続け、
間伐予算
もままならず、つらい日々を思い出すと、今回の
林野庁
の威風堂々たる
法案提出
は隔世の感があり、正直うれしい気持ちでいっぱいです。しかしながら、
時代
の流れの中でも忘れてはいけないこと、乗り越えなければならない幾つかの
課題
を厳しく指摘をさせていただきたいと存じます。 まず、第一に指摘しなければならないのは、
樹木採取権
の
設定
の
最長
五十年という驚くべき長さです。
樹木
の
成長
に五十年掛かるのはよく承知しておりますし、
雇用
や
高額機械
の
投資
のために長い方がいいという
説明
は理解いたしますが、余りにも常軌を逸しています。五十年の
信用
がある
企業
は特定の大
企業
だけに限定されるのではないでしょうか。常識の範囲で審査、
延長
を繰り返すことで何が不自由なのか、納得し難い年限の長さです。分かりやすく
説明
してください。 この
法律
は、
林業
を
成長産業
にという
未来投資会議
からの
提案
を
林政審議会
を通して出してきました。昨今の悪法は、
もうけ
しか
考え
ない
官邸系審議会
のよこしまをそのまま
法案
に出してくることがしばしばあり、それよりはいいということでしょう。言うまでもなく、
国有林
は
もうけ
の
材料
ではなく、
水源
の
涵養等
を始めとする
森林
の
多面的機能
をしっかり守ることが必要です。そして、
伐採
後、
植林
すれば、その後手入れをしっかりするという
条件
はあるものの、五十年、六十年後に
木材利用
が可能で、その恵みは
国民
全体で分かち合いつつ、そして少し多めに
山元
に
利益
をということだろうというふうに思います。
未来投資会議
での
議論
、
林政審議会
での
議論
を
吉川大臣
に御紹介いただいた上で、
大臣
の
考え
る
国有林
の
役割
について御
答弁
をいただきたいと思います。 この
法改正
の肝は、
山元
をどう元気にできるかということだと思います。五十年、六十年前に栄えた
山元
にはかつてのにぎわいはありません。
国有林
の近くで
素材生産
を続けてきた会社が多数存在します。大
企業
ではなく、これらの
地場企業
が人を
雇用
し、
機械
に
投資
し、頑張る姿をこの
法案
はいかに担保していますか、お答えください。
平成
の大部分、非
地元
の
中堅企業
が
国有林
の仕事を受注し、
地元企業
が下請に甘んじざるを得ないという話を何度となく聞いてきました。工夫と対策はありますか、お答えください。
冒頭お話
をさせていただいたとおり、
昭和
五十年代以降、
我が国
の
林業
は
停滞期
にあり、
先進国
の
林業
に大きく水を空けられました。その要因は、道、
機械
、
労働安全衛生
にあります。特に、
素材生産
、
搬出
の
効率化
を進めるに当たって、
高性能林業機械
の
導入
は不可欠であります。
国産
の
高性能林業機械
の
開発
は進んでおらず、また
外国製機械
は高額であるため、その
導入
は
中小企業
にとって高いハードルとなっています。
グループ化
、
組合化
などにより
中小事業者
が
高性能機械
にアクセスできるような、そんな
配慮
が必要と
考え
ますが、この点についての
答弁
を求めます。 また、
価格
のみならず
メンテナンス
の面からも、
国産
の
林業機械
の
開発
も求められています。
取組
はいかがでしょうか。
林道
、
作業道
、
路網整備
について伺います。 オーストリア、ドイツなどの
林業先進国
に比べ、
我が国
は台風、
モンスーン地域
にあり、
林道
、
作業道
などの
コスト
がかなり違うことを理解しております。しかしながら、
搬出コスト
を下げるには道幅が広い方が有利で、スピードを上げるには、クローラーといいますけれども、キャタピラのようなものからホイール、タイヤ型の
機械
が使えるような道が必要になってきます。さらに、
機械
が普及すればするほど
森林管理署
に道をもっと
整備
してほしいという要求が高まってくることが予想されます。これまでの
路網
の
整備状況
とこれからの
課題
について
認識
を伺います。
林業
を活性化させる上での
最大
の
課題
は
人手不足
です。各地に
林業
大学校的な
人材育成機関
が設立されてきました。大変喜ばしいことです。しかしながら、
造林
、
植林
、地ごしらえ、
下草刈り
の
作業
は大変厳しく、
機械化
が遅れれば有為な
人材
を失うおそれがあります。また、他の
流通
、
運輸分野
の
人手不足
は深刻です。中でも、最も危険で熟練の技が必要な
木材
の
搬出
の
人材
をどう
確保
するのか、この問題は極めて深刻です。
伐採
と
集材
の
機械化
はある程度進んできましたが、困難を要する
植林等
の
分野
への
機械化
と
人材不足
への
取組
を伺います。 また、
製材所
の分布は
最盛期
と比べるべくもなく、
山元
から
消費地
までに必要な
加工所
がないケースも多数あります。言うまでもなく、効率的な
流通
を
考え
れば、
山元
から
消費地
までの適切な場所に
製材
や
加工
の
工場
の立地が不可欠です。
流通
、
加工分野
への
取組
の遅れについてはどう挽回するおつもりでしょうか、お答え願います。
CLT建築
もやっと
市民権
を得て、
公共建築物
を
木材
でという
法律
もでき、若干の高
コスト
ではありますが、
木造建築
への
関心
は高まっています。しかしながら、
平成
十年の
建築基準法改正
以降、
木造建築
のバリューが下がり、
設計技術者
、それを教える立場の人が非常に減っているという調査もあります。
木造建築
の
増加
を妨げるこれらの困難に対する今後の
取組
についてもお伺いいたします。 私は、常々、
林業政策
の
目標
を、
国産材
で
戸建て住宅
を建ててもらえるようにすることと訴えてまいりました。顧客も
国産材
の
住宅
に高い
関心
を持っていると言われていますし、
大手ハウスメーカー
の方々も、品質、
ロット
がそろい、
価格差
が微少であれば
輸入材
から変更したいという声も多数聞いてまいりました。
人工林
の五十分の一は
利用
可能ということであれば、今後、
人口減少
で
住宅着工件数
は
減少傾向
にあるとはいえ、
付加価値
を
国内
へという意味では
最大
の効果が期待できると
考え
ます。この
目標
に向けての
大臣
の決意を伺います。 最後に、
国有林
のあるべき姿について伺います。 今、伐期が来たから現
世代
が
利益
を得る、ひたすら
もうけ
の
材料
にする、この
考え方
は間違っていると思います。改めて
国有林
の
役割
の確認を
大臣
にただし、さらに、
国有林
の将来に向けてのあるべき姿を
吉川大臣
に伺います。 この
法案
をもって所属する
農林水産委員会
の
閣法審議
は終わります。何を慌てているのか、今週の木曜日、すなわちあしたと来週の火曜日までの
審議
はもう決まっています。
解散風
が吹こうとしています。
解散
があろうが、
ダブル選挙
になろうが、
参議院選挙単独
になろうが、
予算委員会
を開かない、この
政府
・
与党
の
暴挙
は許すことができません。逃げ切ろうという
暴挙
は絶対に許されません。
政府
・
与党
は
予算委員会
を開催すべきということを強く訴えまして、私の
質問
を終わります。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣吉川貴盛
君
登壇
、
拍手
〕
吉川貴盛
5
○
国務大臣
(
吉川貴盛
君)
小川議員
の御
質問
にお答えいたします。
樹木採取権
の
存続期間
の
上限
の
考え方
についての
お尋ね
がありました。
樹木採取権
については、
地域
の
意欲
と
能力
のある
林業経営者
の
育成
の
観点
から、これらの
林業経営者
が対応しやすい
規模
に鑑み、その
期間
は十年を
基本
として運用していく
考え
であります。 他方で、現に
地域
の
森林組合等
から長
期間
の
権利設定
を求める声があることも踏まえ、
国産材
の
需要拡大
のニーズが特に大きい
地域
においては、
当該地域
の
需要動向
や
森林資源
の状態などを勘案しつつ、一般的な
人工林
の
造林
から
伐採
までの
一周期
の五十年を
上限
として十年を超える
期間
も
設定
できることとしているものでございます。 なお、例えば、
地域
の
取組
として
投資回収期間
が
長期
にわたる大型の
製材工場等
を誘致するような場合、まとまった
権利期間
が
確保
されることにより、
当該工場等
への安定的な
木材供給
とそれを前提とした
設備等
への
投資
が円滑に行われることが重要であることから、
権利
の
期間
を短期に
設定
して
延長
することでは
地域
の
要請
に応じられないと
考え
るところでございます。
未来投資会議
や
林政審議会
での
議論
の
内容
と
国有林野
の
役割
についての
お尋ね
がありました。
未来投資会議
においては、
林業
の
成長産業化
に向けて、
長期
、大
ロット
での
国有林
の立木の
伐採
、
販売方策
について
議論
されております。また、
林政審議会
においては、本
法案
の
考え方
に沿って、
林業経営者
による安定的な
事業量
の
確保
、
公益的機能
の
維持等
について
審議
されております。
国有林野
については、
国土
の二割、
森林
の三割を占めていることに鑑み、その
公益的機能
の
維持増進
を図るとともに、林産物を持続的かつ
計画
的に
供給
し、
地域
の
産業振興
や住民の福祉の
向上
に
寄与
する必要があると
考え
ております。 このため、本
法案
により、
国有林
の有する
公益的機能
の
維持増進
を図りつつ、
国有林
が
民有林
を補完する形で
意欲
と
能力
のある
林業経営者
に
長期
安定的に
木材
を
供給
することにより、
森林経営管理制度
の円滑な
実施
を
支援
し、
地域
の
産業振興
に
寄与
してまいる
考え
であります。
中小事業者
の
育成
についての
お尋ね
がありました。 今回の新たな
仕組み
については、
現行
の入札による方式を引き続き
基本
とした上で、今後
供給量
の
増加
が見込まれる
国有林材
の一部について
導入
することとしております。また、
地域
の
産業
の
振興
につながるよう、
樹木採取
区は
地域
の
意欲
と
能力
のある
林業経営者
が対応できる
規模
を
基本
とする
考え
です。加えて、
複数
の
中小事業者
が
協同組合等
として申請することも可能とすることで、本
法案
は大
企業
を優先するものではなく、
地域
の
林業経営者
の
育成
に資するものとしているところでございます。
地元企業
に対する
配慮
について
お尋ね
がありました。
樹木採取権者
の
選定
に当たっては、
地域
の
産業振興
への
寄与
の
観点
から、
樹木料
の高低だけでなく、
地域
における
雇用増大
への
取組
など、
地域
への
貢献度合い等
を総合的に評価することにより、
地域
の
林業経営者
の
育成
に資するものとしてまいります。
中小事業者
の
高性能林業機械
の
導入
に関する
お尋ね
がありました。
素材生産
、
搬出
の
効率化
を図るためには、
高性能林業機械
の
導入
が極めて重要であると
認識
しております。このため、
中小事業者等
が
高性能林業機械
を
導入
しやすくなるよう、
高性能林業機械
の購入の
支援
に加え、
初期投資
を抑えられる
リース事業
への助成を行うとともに、
複数
の
事業者
への貸
付け
のために
森林組合等
が
導入
する
高性能林業機械
への
支援等
の
取組
を行っております。
国産
の
林業機械
の
開発
についての
お尋ね
がありました。
林業機械
については、急傾斜地での
作業
の
安全性
、
生産性
を
向上
させる
架線系
の
搬出機械
、
苗木植栽ロボット
など、
伐採
、
造林
の各
作業
に対応し、
我が国
の
条件
に合った
機械
の
開発
を進めているところでございます。この中で、
効率性
の高い
作業
を実現する性能と
価格
のバランスに留意するとともに、
メンテナンス性
も考慮に入れて
国産
の
林業機械
の
開発
を行うよう引き続き取り組んでまいります。
路網整備
についての
お尋ね
がありました。
林業
の
成長産業化
を実現するためには、
林道等
の
路網整備
を進めることが重要であり、
平成
二十九年度末の
路網延長
は約三十五万キロメートルで、
森林
・
林業基本計画
に定める
令和
七年度の
目標
に対し、約七五%の進捗となっております。 今後、より効率的な
木材輸送
を進める必要があることから、大量の
木材運搬等
に対応できる
幹線林道
の
整備
を
実施
するなど所要の
予算
を
確保
しつつ、
路網整備
を推進してまいります。
植林等
の
機械化
と
人材確保
について
お尋ね
がありました。
利用期
を迎えた
森林資源
を循環
利用
し、
林業
を活性化していくためには、
伐採
後、再
造林
を確実に行うことが重要であり、そのためには
植林等
の
分野
の
機械化
と
人材確保
は重要な
課題
と
認識
をしております。 このため、
農林水産省
では、
植林等
の
機械化
に向けて、
苗木植栽ロボット
や小型の
乗用下刈り機械
、
アシストスーツ等
の
開発
を行うとともに、
人材確保
に向けて、
林業
大学校に関する
支援
のほか、緑の
雇用事業等
により、
集材
の
機械化
を支える
高度技能者
の
育成
や、
植林
や
下刈り等
の
森林施業
を安全かつ効率的に行える
現場技能者
の
育成
を
支援
しているところです。
国産材
の
流通
、
加工分野
における
施設整備
の
取組
についての
お尋ね
がありました。
我が国
の
製材工場数
は十年前と比較すると約七割以下に減少しており、
地域
によっては
山元
から
加工所
までの
輸送距離
が広域化しているものと
認識
しています。 このため、
農林水産省
としては、
地域
における
森林資源
、
施設
の
整備状況
を踏まえながら、
規模拡大
、
生産性向上
に資する
施設整備
、
協定取引
による
製材工場等
への
直送化
、本
法案
による
木材運送業者
への
金融支援
を追加などを通じて、効率的で
競争力
の高い
国産材
の
加工流通体制
を構築してまいります。
木造建築分野
の
専門人材
の
育成
について
お尋ね
がありました。
建築物
の
木造化
を推進していくためには、
木造建築物
を設計できる
技術者
の
確保
、
育成
が重要であると
認識
しております。このため、
農林水産省
では、
木造建築物
に携わる
設計者等
に対する研修の
実施
、企画から
設計段階
に至る
課題
を解決するための指導、助言を行う
専門家
の
派遣等
の
取組
を
支援
しているところです。 引き続き、これらの
取組
により、
木材需要
の
拡大
に向け、
木造建築物
に携わる
設計者等
の
育成
を進めてまいります。
戸建て住宅
における
国産材利用
の
促進
についての
お尋ね
がありました。
我が国
においては、
戸建て住宅
などの
低層住宅
の八割が
木造
であるものの、おおむね五割が
外材
となっていることから、
木造住宅
での
国産材
の
利用促進
が重要と
認識
しております。 このため、
川上
から
川下
までの
サプライチェーン
を構築することにより、
工務店等
が求める
部材
を
川上側
が
安定供給
できる
体制
を整えること、はりや桁、
ツーバイフォー工法
の
部材
について
国産材
が活用できるような
技術的開発
、
普及等
を通じて、
木造住宅
における
国産材利用
を
促進
してまいります。
国有林野
の将来に向けてのあるべき姿についての
お尋ね
がありました。
国有林野
は、
国土保全
上重要な
奥地脊梁山地
や
水源地域
に広く分布するとともに、
人工林
や原生的な
天然林等
の多様な
生態系
を有するなど、
国民生活
に重要な
役割
を果たしております。 このため、
公益重視
の
管理経営
を一層推進するとともに、その組織、
技術力
、
資源
を活用した
我が国
の
林業
の
成長産業化
など、
森林
・
林業政策
全体の推進に貢献する
役割
を積極的に果たすこととしています。 こうした
取組
を着実に推進し、
森林
・
林業
や
国有林野事業
に対する多様な
要請
と期待を踏まえつつ、
森林資源
の適正な
利用
に十分
配慮
し、国が責任を持って一体的に
管理経営
することにより、五十年後、百年後の
世代
への豊かな
森林
を引き継いでいく
考え
であります。(
拍手
) ─────────────
伊達忠一
6
○
議長
(
伊達忠一
君)
徳永エリ
君。 〔
徳永エリ
君
登壇
、
拍手
〕
徳永エリ
7
○
徳永エリ
君
国民民主党
・新緑風会の
徳永エリ
です。
会派
を代表して、
国有林野管理経営法改正案
について、
吉川農林水産大臣
に
質問
いたします。
法案
の
質問
に入る前に、先週金曜日、大
生産地
である愛知県
田原
市の
養豚場
で
国内
二十三
事例目
、
田原
市では五
事例目
の
豚コレラ
の発生が確認されました。
大臣
、
農林水産省
は一体何をやっているんでしょうか。昨年九月に岐阜市で発生してから、間もなく九か月になろうとしています。既に九万三千頭を超える豚が殺処分されています。
民主党政権時代
、宮崎県で
口蹄疫
が発生したときは四か月で終息させました。いつになったら終息するんでしょうか。
農林水産省
が今行っている
防疫措置対応
は、果たして正しいのでしょうか。 そこで、
吉川大臣
にお伺いいたします。 まず、なぜ
感染予防
のためのワクチンを打たないのか。まずは、
飼養衛生管理
の遵守というならば、早急に予防的殺処分を行い、豚舎を空にして徹底するべきではないのか。また、
養豚農家
への補償、
手当金
について、支払の時期や金額がいまだに明らかになっていないと
現場
から不満と不安の声が上がっています。一日も早く明確にし、
生産者
に安心してもらうべきなのではないでしょうか。これらの点について、丁寧に納得いく
説明
をお願いいたします。 さて、
林業
の
成長産業化
とは誰のためのものなのでしょうか。 本
法律案
は、昨年成立した
民有林
を対象とした
森林経営管理法
に続いて、
意欲
と
能力
のある
林業経営者
が長
期間
にわたり大
規模
な
国有林
の
伐採
を可能とするもので、効率的かつ安定的な
林業経営
の
育成
を図ることを目的としていますが、
提出
に至るまでの経緯に大きな不安が否めません。 昨年五月十七日の
未来投資会議
では、あの
竹中平蔵
氏が、今後、
国有林
などの
分野
でいわゆる
コンセッション
のような
考え方
を
導入
して大胆に
改革
の
仕組み
をつくることが不可欠ではないかと思う、是非とも
長期
、大
ロット
で
国有林
などの
伐採
が可能となるような
法的措置
がとられることをお願いしたいと思うと
発言
。また、
日本商工会議所
の
三村会頭
は、これまでの
林業政策
は、
産業政策
という視点が不足していたのではないか、
社会政策
や
環境政策
に偏り、今ある
林業
の
経営体
をどう支えていくかに集中し過ぎているように見える、
人工林
が成熟した今こそ千載一遇のチャンスであり、
林業政策
を
産業政策
の方向に大きく転換する必要があると
発言
しています。
国有林
は
国民共有
の財産ですから、
改正案
が、
成長産業化
の名の下に、
公益的機能
を損ない、
地域
の
振興
にも
寄与
せず、大
企業
の
利益
だけを図るためのものであるならば、しかも、しかもですよ、
コンセッション
であるならば、決して賛成をするわけにはまいりません。 そこで、
法律案
について
質問
いたします。
未来投資戦略
二〇一八において
国有林
や
関連
の
法整備
は
コンセッション重点分野
の
取組強化等
の項目に分類されていますが、
コンセッション
とは、
施設
の
所有権
を
発注者
である
公的機関
に残したまま、
運営権
を
民間事業者
に
設定
するものであります。 本
法律案
で
国有林
を
伐採
する
権利
を
民間事業者
に
設定
する
最長
五十年の
樹木採取権
は、
コンセッション
による
国有林
の民間開放への第一歩と見えなくもありません。
林野庁
は、
伐採
する
権利
のみを
設定
するもので、
コンセッション
ではないとしておりますが、
改正案
の施行後も
国有林野
の
経営管理
は国が、そして
林野庁
がしっかりと責任を持って行っていく、
コンセッション
ではないし、今後もそうはならないということを明言していただきたいと思います。 新たな制度で
樹木採取権
の
設定
を受ける
事業者
は、
森林経営管理法
により
意欲
と
能力
のある
林業経営者
として都道府県が公表する
事業者
などが想定されています。この
意欲
と
能力
のある
林業経営者
に相当する
事業者
は、現在
国有林
の
伐採
を行っている
事業者
全体の中でどの程度の割合を占めているのか、また、
樹木採取権
の取得を希望しない
事業者
の受注機会が減少することがないように、従来の
仕組み
と新たな
仕組み
のすみ分けをどのように行っていくのか、御
説明
ください。 新たな制度では、
樹木採取権
の
存続期間
は五十年以内とされています。
大臣
は、十年を
基本
として運用していくと
説明
されています。
現行
の
仕組み
では一年又は二、三年ごとに入札が行われていますが、十年でもこれまでより長く、五十年という長
期間
にわたり
樹木採取権
が
設定
されれば、
設定
期間
中に
事業者
が倒産するケース、また、景気の情勢の変化によって
事業者
が撤退することも
考え
られます。
樹木採取権
の移転は可能とされていますが、同様の
条件
で
樹木採取権
の
設定
を希望する
事業者
が見付からなかった場合、
計画
どおりに
伐採
を行うことができなくなる可能性は否めません。そのようなことが起きた場合にはどのように対応していくのでしょうか。
樹木採取権
実施
契約
の
内容
と異なる
伐採
を行った場合、国は
事業者
に対して損害賠償を請求することができますが、
国有林野
の知識や経験が浅い
事業者
は保残帯まで
伐採
してしまうことも
考え
られます。違反だ、損害賠償だでは済まされない治山上大きな問題が生ずるなど、災害にもつながりかねない事態も起こり得ます。このような事態の発生をどのようにして防止していくのか、お伺いをいたします。
改正案
では、
樹木採取権
の
設定
に関する
公募
、
選定
、
契約
、報告徴収、調査、指示等を
農林水産大臣
が行うこととされていますが、実際に事務を行うのはその
地域
の
森林
管理局です。従来の
仕組み
に追加して新たな
仕組み
が
導入
されるので、業務負担が相当に増えることが予測できます。職員の労働
条件
や労働環境に悪影響を及ぼすことにならないように、新たな制度ができることによる
森林
管理局の人員
体制
の強化が必要なのではないでしょうか。
昭和
三十九年度には
林野庁
本庁、地方組織と合わせると八万九千二百八十九人だった
林野庁
の職員数が、
平成
三十年度には四千八百五十九人まで減っているんです。業務の重要性や業務量に応じた人員
確保
を進めていくべきだと
考え
ますが、
大臣
の御見解をお伺いいたします。 本
法律案
では、
農林水産大臣
は、
樹木採取権
を
設定
された
事業者
に
伐採
と
植栽
を一体的に行うように申し入れるものとされています。
樹木採取権
による
伐採
を行った後に
植栽
される
樹木
は国の所有物となるため、経費も国が支出するということで、再
造林
を
事業者
に義務
付け
ることは
法律
上難しいということは私も理解はできます。しかし、再
造林
は確実に行われなければ、
伐採
により
森林資源
が枯渇し、戦後の
林業
衰退の道をたどってきた過去の歴史をまた繰り返すことになります。
植栽
だけではありません。
下草刈り
や
間伐
、
長期
にわたる保育、確実な再
造林
をどのように行うのか。再
造林
を
事業者
に申し入れるということでは、余りにも不確実であります。どのようにして確実な再
造林
を担保するのか、
大臣
の御見解をお伺いいたします。
国内
においては、大型
国産材
産業
やバイオマス発電
事業
に
木材
を安価で大量に
供給
することが求められている、また、
木材
輸出も、
平成
二十五年以降五年連続で
増加
している中で、丸太中心の輸出から
付加価値
の高い製品輸出に転換を進めているということで、まさに
我が国
林業
は今大きなビジネスチャンスを迎えていることは理解しております。 しかし、
国民共有
の財産である
国有林野
を活用することとなれば、
成長産業化
、ビジネスの
観点
からだけではなく、
現行
法第三条の
国有林野
の
管理経営
目標
である、
国有林野
の有する
公益的機能
の
維持増進
、林産物の持続的かつ
計画
的な
供給
、
地域
における
産業
の
振興
又は住民の福祉の
向上
に
寄与
すること、この三つの目的を今後も果たしていけるのかどうか大変に心配をしております。 そのことを最後に
質問
させていただきまして、新たな制度が一部の
事業者
の
利益
のためだけになることが決してないように、今後の委員会
審議
を通じて
政府
の納得いく
説明
を更に求めていくことを申し上げ、私の
質問
を終わらせていただきます。 御清聴いただきまして、ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣吉川貴盛
君
登壇
、
拍手
〕
吉川貴盛
8
○
国務大臣
(
吉川貴盛
君) 徳永議員の御
質問
にお答えいたします。 飼養豚へのワクチン接種についての
お尋ね
がありました。
豚コレラ
に関する特定家畜伝染病防疫指針では、発生農場における迅速な屠殺及び周辺農場の移動制限のみによっては感染
拡大
の防止が困難と
考え
られる場合には、蔓延防止のための緊急ワクチンの接種を決定するとしております。 これまでの発生事例については、
飼養衛生管理
基準の遵守がなされていたとは言えない部分もあると指摘されており、まずは
飼養衛生管理
を強化することが同病の発生予防及び蔓延防止に必要不可欠であると
考え
ているところであり、今のところワクチン接種を直ちに行う状況にあるとは
考え
ておりません。 一方、飼養豚へのワクチン接種については、消費者がワクチン接種豚の購入を控えるなど風評被害が懸念されること、農家における
飼養衛生管理
の
向上
意欲
がそがれ、アフリカ
豚コレラ
等の農場への侵入リスクが高まること、接種豚のトレーサビリティーや移動制限が必要になること、他の非清浄国からの豚肉輸入解禁の圧力が強まる可能性があることなどのデメリットも
考え
られる。ワクチン接種を行う場合には、これらの影響を受ける可能性のある全国の関係者間の合意形成が前提となると
考え
ております。 予防的殺処分についての
お尋ね
がありました。 予防的殺処分は、強制的に家畜を殺処分させる
仕組み
であり、私人の財産権を侵害するおそれのあるものであることから、特に伝播力の強い
口蹄疫
のみに限って認められております。このため、
豚コレラ
について予防的殺処分を行うことは非常に慎重な
議論
が必要と
考え
ています。
農林水産省
としては、
飼養衛生管理
の徹底を図るため、任意的
措置
である早期出荷の
促進
を中心とした対策を進めることが重要と
考え
ております。農家や関係者の方々に寄り添った対策となるよう、岐阜県、愛知県の状況や要望を踏まえつつ、より多くの方々が本対策を
実施
していただくようにしたいと
考え
ております。
豚コレラ
発生農家に対する
手当金
の支払についての
お尋ね
がありました。 この
手当金
は、家畜伝染病予防法に基づき、通報の遅れ等の明らかな
飼養衛生管理
基準の不履行が認められない限り、殺処分された家畜の評価額の全額を
手当金
として交付することとしております。その豚の評価額の算出に当たっては、肥育豚であれば
地域
の市場
価格
を考慮し、繁殖豚であれば血統による価値や
導入
時の
価格
を考慮するなど、適正に評価しています。 農家の皆様の経営再開を
支援
するため、一刻も早く支払を行う必要があると
考え
ており、県からの申請があり次第、順次支払を進めております。 本
法律案
提出
の経緯についての
お尋ね
がありました。 本
法律案
は、
民有林
における
森林経営管理制度
の要となる
意欲
と
能力
のある
林業経営者
を
育成
するためには、
国有林
が
民有林
を補完する形で
長期
安定的にこうした
林業経営者
に
木材
を
供給
することが有効であることから、
林政審議会
等における
議論
を経て、今回
提出
することとしたものです。 本
法律案
で創設する
樹木採取権
制度においては、
権利
に基づく
伐採
について
現行
の
国有林
の
伐採
ルールに適合させるための
仕組み
や、
権利
者を
選定
する際に
地域
の
産業振興
に対する
寄与
の程度を評価する
仕組み
を
措置
しており、
公益的機能
を
確保
しつつ、
地域
の
林業経営者
の
育成
を図るものであります。
樹木採取権
と
コンセッション
の関係についての
お尋ね
がありました。 本
法律案
で創設する
樹木採取権
は、
一定期間
、安定的に
樹木
を
採取
することのみができる
権利
として
民間事業者
に
設定
するものであり、国が
国有林野
の
管理経営
の主体であることに変わりはありません。 このため、公共
施設
の運営全般を民間に委ねる
コンセッション
方式とは根本的に異なるものであり、それは本
改正案
が施行された後も変わらないものであります。
意欲
と
能力
のある
林業経営者
の
国有林
の
伐採
における割合と、従来の
仕組み
と新たな
仕組み
のすみ分けについての
お尋ね
がありました。 現在
国有林
の
伐採
を行っている
森林
組合や
素材生産
業者については、その大部分が、
森林経営管理法
に基づき、今後、都道府県が公表する
意欲
と
能力
のある
林業経営者
になり得るものと
考え
ております。 また、この度の新たな
仕組み
は、
現行
の立木販売などの入札による方式を引き続き
基本
とした上で、今後
供給量
の
増加
が見込まれる
国有林材
の
増加
量の一部について
導入
することから、
樹木採取権
の取得を希望しない
事業者
の受注機会が減少することはないものと
考え
ています。
権利
の移転を受けることを希望する
事業者
が見付からず、
計画
どおりの
伐採
ができなくなった場合の対応についての
お尋ね
がありました。
農林水産大臣
は、
樹木採取権
の行使の適正性を担保し、又は適正かつ効率的な
国有林野
の
管理経営
の
実施
を
確保
する必要がある場合は、その限度において
樹木採取権
を取り消すことができることとしているところです。 このため、
樹木採取権者
が
権利
の移転を受けることを希望する
事業者
を見
付け
られず、
計画
どおりに
伐採
できなくなった場合には、
樹木採取権
の取消しを行い、当該
樹木採取
区については
国有林野
として国が責任を持って
管理経営
を行ってまいります。
樹木採取権
実施
契約
に反した保残帯の
伐採
の防止等についての
お尋ね
がありました。 本
法律案
においては、
樹木採取権者
は、
事業
を開始する前に、
権利
の行使方法等を定めた五年ごとの
樹木採取権
実施
契約
を
農林水産大臣
と締結することとしております。この
契約
により、
樹木採取権者
の
施業
の
計画
は、保残帯の設置や取扱い等について定めている
国有林野
の
地域
管理経営
計画
等に適合しなければならないこととしております。 保残帯の
伐採
の防止については、
森林管理署
等による
伐採
できる範囲の現地表示、
森林
官による巡視等により万全を期していく
考え
であります。
国有林野事業
の組織
体制
についての
お尋ね
がありました。 現在、
国有林野事業
については、
伐採
、
造林
等の
事業
の
実施
は全面的に民間に委託し、国の職員が行う事務は、
計画
作成、監督、検査等に限定しており、従事する職員数は約四千人となっています。
国有林
においては、
資源
の成熟に伴い
事業量
が
増加
する見通しとなっており、これまでも
国有林野事業
全体の効率的な執行に努めてきたところです。 引き続き、
事業
全体を通じた事務、業務の改善や必要な組織、定員の
確保
に努めるとともに、新たな
仕組み
の
導入
においても、職員の負担増につながらないよう
現場
の実情に応じた効率的な運用に取り組む
考え
でございます。
国有林
の
植栽
と保育についての
お尋ね
がありました。
植栽
については、
樹木採取権
が
区域
内の
樹木
を
採取
することのみを対象としていることから、
伐採
後の
植栽
は国が責任を持って行うこととしております。 一方、
伐採
後の
植栽
作業
を
事業者
に委託するに当たっては、低
コスト
で効率的に
実施
するため、
樹木採取権者
が
伐採
と一貫して行うことが望ましいことから、
法律案
の「申し入れる」との規定に基づき、国が
公募
する際に、
樹木採取権者
が
植栽
作業
を行う旨を国が申し入れることとしております。 国は、この申入れに応じ、申請した者の中から
樹木採取権者
を
選定
し、
植栽
作業
を行う旨の
契約
を当該
樹木採取権者
と締結することとなるため、
樹木採取権者
が確実に
植栽
を行うこととなります。 さらに、
植栽
後の
森林
の保育については、今回の
樹木採取権
が
国有林
の
管理経営
を
民間事業者
に委ねるものではないことから、国が責任を持って行うこととしております。
国有林野
管理経営
の
目標
との関係についての
お尋ね
がありました。 本
法案
は、
国有林
が
民有林
を補完する形で
意欲
と
能力
のある
林業経営者
に
長期
安定的に
木材
を
供給
することにより、
森林経営管理制度
の円滑な
実施
を
支援
し、
国有林野
の
管理経営
の
目標
のうち、林産物の持続的かつ
計画
的な
供給
や
地域
の
産業振興
に
寄与
することを狙いとしているものです。 また、本
法律案
におきましては、
樹木採取権者
に、
事業
を開始する前に、
権利
の行使方法等を定めた五年ごとの
契約
を
農林水産大臣
と締結させるなど、
公益的機能
を
確保
するための
措置
を設けております。加えて、公用・公共
施設
への
国有林野
の貸
付け
など、住民福祉の
向上
に
寄与
する
取組
を妨げないよう
配慮
することとしています。(
拍手
) ─────────────
伊達忠一
9
○
議長
(
伊達忠一
君) 儀間光男君。 〔儀間光男君
登壇
、
拍手
〕
儀間光男
10
○儀間光男君 日本維新の会・希望の党の儀間光男でございます。
会派
を代表して、
国有林野
の
管理経営
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
について
質問
をいたします。
我が国
は、
国土
の三分の二が
森林
に覆われた世界有数の
森林
国です。
国有林野
は、そのうち三一%に当たる七百五十九万ヘクタールあります。
国有林野
は、特に山の奥地や
水源地域
に広く分布しており、
国土
の保全や
水源
の涵養といった
公益的機能
を果たしております。
林業
分野
は緑の
雇用
という
取組
が続けられてきており、高齢化が続いてきた
森林
管理の担い手に対し若年化が進められてきましたが、それでも担い手不足の問題は深刻で、放置されて無管理となった
森林
は多く、環境問題対策としての重要性を
考え
れば、まだまだ多くの対策が必要であります。 第百九十六回
国会
において
森林
管理経営
法が成立したことにより、
意欲
と
能力
のある
森林
経営者を
支援
し、
林業
の活性化を図る
取組
への道が築かれました。 本
改正案
は、
森林
管理経営
法に続き、
国有林野
の
森林
経営をも一括して管理できる道を切り開くものであると理解し、
民有林
と
国有林
が連携して
路網
の
整備
や
国産材
の販売の
拡大
を行うなどの相乗効果が発揮されることを期待されております。 戦後に
植林
された杉やヒノキは、本伐の時期を迎えたこともあり、建設業においても
国内
の
森林資源
の活用への
関心
が高まっています。直交集成材や木質耐火
部材
という新しい
木材
製品の技術の活用を見込み、地方再生の中核を担う
林業
の新しい発展をもたらすよう
法整備
を行うことが必要であることを指摘した上で、
質問
をさせていただきます。
国有林野事業
は、豊富にある
林業
資源
を活用し、独立採算が取れることから、
昭和
二十二年以来、
国有林野事業
特別会計により、黒字を上げることで国家財政を支えることに
寄与
してまいりました。しかし、
木材需要
の逼迫によって、
昭和
三十九年には
木材
の完全輸入化を行ったことから、
国産材
の
利用
は
平成
十四年まで下がり続けました。その後の
国産材
の
利用
は持ち直しましたが、
平成
二十五年度には
国有林
業
事業
は特別会計ではなく一般会計で行う
事業
に移行いたしました。
農林水産大臣
、あなたに伺います。
国有林
業
事業
一般会計への移行から六年が経過しました。
国有林野
の
管理経営
に関する
基本
計画
によって進められてきた
公益重視
の
管理経営
の一層の推進、
森林
の
地域
管理システムの下での
森林
・
林業
再生に向けた貢献、
国民
の
森林
としての
管理経営
という
基本
方針が取り組まれてきましたが、
国有林野事業
に対して
大臣
はどのような評価をされているのでしょうか、見解を伺います。 今回新たに
設定
される
樹木採取権
について
質問
いたします。 本
改正案
においては、
農林水産大臣
は、
林業経営者
に
一定期間
、安定的に
樹木採取
区に生育している
樹木
を
採取
する
権利
を
設定
することができる、
樹木採取権
は物権とみなす、
樹木採取権
の存続は五十年以内とするとしております。ここで
樹木採取権
という新しい
権利
が創設されます。
森林経営管理法
には
経営管理
権があり、似たような
権利
を
設定
することで、
林業
の
現場
に混乱を招くおそれがあるとの懸念を抱きます。
農林水産大臣
、本
改正案
で創設される
樹木採取権
と
森林
経営法に基づく
経営管理
権とはどのような違いがあるのでしょうか。 また、
樹木採取権
を物権とみなす
理由
をお答えいただき、あわせて、どのような効果を期待するのかも御見解を賜ります。 さらに、
樹木採取権
の存続を五十年以内としておりますが、初年度に
伐採
し、すぐ
植林
をしたとしても、五十年では十齢級以下にしか育ちません。本
改正案
は、
伐採
後の再
植林
は想定していないのでしょうか。
伐採
後、再
植林
なしでは
森林資源
を維持できないと危惧します。
伐採
後の保育について、
事業者
に対する
植林
の申入れなど、国はどのように関与するのでしょうか。また、
国有林
であるがため、国が責任を持って管理すべきだと
考え
ますが、御見解を賜ります。 本
改正案
においては、
農林水産大臣
は、
樹木採取権
の
設定
に際し、その
設定
を受けた者から
樹木採取権
の
設定
の対価として
権利設定
料を徴収するとしております。
一定期間
、国有財産から独占的に
伐採
する
権利
を持つため、対価としての
権利
料の位置
付け
と
考え
られますが、
国有林野
の管理と
資源
の
利用
の両面から
考え
た適切な管理料の
設定
がなされるべきだと
考え
ます。
農林水産大臣
、
樹木採取権
の
権利設定
料は、想定される販売
価格
や管理費用などの維持費を考慮し、どのような金額
設定
にしようとしているのでしょうか、お答えを願います。
木材利用
の動向として、
住宅
需要
は、在来工法の
木材
住宅
とツーバイフォーなどの新工法の
木造住宅
と合わせて七五%となっており、
国内
の
国産材
の潜在的な
需要
は大きいと予想されますが、少子高齢化の動向や空き家問題などの影響で
需要
が維持できないとの見方もあります。
林業
分野
において様々な
振興
策が打たれる中で、
国産材
の
需要
をどのように維持していこうとしているのか、今後の地方
産業
の軸となり得る
林業
発展の鍵を握ると
考え
ます。
農林水産大臣
に伺います。
国産材
の新たな
需要
の創出のため、どのような
取組
を行うのでしょうか、お答えを願います。 本
改正案
で、
川上
事業者
、
川中
事業者
及び
川下
事業者
は、共同して
事業計画
を作成し、知事等の認定を受けた場合、
独立行政法人農林漁業信用基金
による債務保証及び低利融通
措置
が受けられるようになります。 昨年の
森林経営管理法
により、
信用
基金は
経営管理
実施
権の
設定
を受けた
民間事業者
に対する経営改善のための助言や
支援
ができるようになりました。さらに、本改正により、
信用
基金には新たな業務が追加されることになります。
農林水産大臣
に伺いますが、
独立行政法人農林漁業信用基金
に対する今回のような追加的な業務拡張に対して、きちんと対応できる
体制
の
整備
が行われているのでしょうか。また、
政府
からの交付金を
増加
させる必要が生じる可能性を想定しているのだろうか、お答えを願います。
林業
は、
国土
の保全や治水だけでなく、温暖化問題などの環境保全について、その重要性が注目される
分野
です。日本維新の会は、
林業
分野
を地方再生の軸になるよう
成長産業
として発展させることに努力をしてまいることをお約束を申し上げまして、私からの
質問
とさせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣吉川貴盛
君
登壇
、
拍手
〕
吉川貴盛
11
○
国務大臣
(
吉川貴盛
君) 儀間議員の御
質問
にお答えいたします。
一般会計化
後の
国有林野事業
の
取組
についての
お尋ね
がありました。
国有林野事業
については、
森林
吸収源対策として
間伐
等の
森林
整備
の積極的な
実施
や、
国有林
の組織、
技術力
、
資源
を活用した
民有林
の指導やサポート、
森林
浴等に適した
国有林野
のレクリエーションの森としての提供など、
平成
二十五年度の
一般会計化
以降、その目的に沿った
管理経営
を着実に推進してきたものと
考え
ております。 引き続き、
公益重視
の
管理経営
を推進するとともに、
民有林
の
森林経営管理制度
の要となる
意欲
と
能力
のある
林業経営者
の
育成
支援
を始め、
我が国
の
林業
成長産業化
への貢献などに全力で取り組んでまいります。
樹木採取権
と
経営管理
権の違いについての
お尋ね
がありました。
樹木採取権
につきましては、
国有林
において、その
一定区域
内の
樹木
を
一定期間
、
地域
の
意欲
と
能力
のある
林業経営者
が
伐採
し取得できる
権利
です。 一方、
経営管理
権及び
経営管理
実施
権につきましては、
経営管理
が不十分な
民有林
の所有者から委託を受けた市町村が、立木の
伐採
及び
木材
の販売、
造林
並びに保育を、
意欲
と
能力
のある
林業経営者
に集積、集約化して
実施
させることができる
権利
でございます。 このように、両
権利
については、
設定
される対象が
国有林
と
民有林
で異なり、また、
権利
の
設定
に関わる者が国と市町村で異なることなどから、
現場
において混乱が生じることはないと
考え
ております。
樹木採取権
を物権とみなす
理由
と、これによって期待される効果についての
お尋ね
がありました。
樹木採取権
については、これを安定的な
権利
とするため、物権とみなすこととしているところです。物権とみなすことにより、
意欲
と
能力
のある
林業経営者
においては、将来の見通しが確実になり、
雇用
や
機械
設備のための
資金
調達や
事業
の
拡大
が可能となると
考え
ております。
国有林
の
植栽
と保育についての
お尋ね
がありました。
植栽
については、
樹木採取権
が
区域
内の
樹木
を
採取
することのみを対象としていることから、
伐採
後の
植栽
は国が責任を持って行うこととしております。 一方、
伐採
後の
植栽
作業
を
事業者
に委託するに当たっては、低
コスト
で効率的に
実施
するため、
樹木採取権者
が
伐採
と一貫して行うことが望ましいことから、
法律案
の「申し入れる」との規定に基づき、国が
公募
する際に、
樹木採取権者
が
植栽
作業
を行う旨を国が申し入れることとしております。 国は、この申入れに応じ、申請した者の中から
樹木採取権者
を
選定
し、
植栽
作業
を行う旨の
契約
を当該
樹木採取権者
と締結することとなるため、
樹木採取権者
が確実に
植栽
を行うこととなります。 さらに、
植栽
後の
森林
の保育については、今回の
樹木採取権
が
国有林
の
管理経営
を
民間事業者
に委ねるものではないことから、国が責任を持って行うこととしております。
樹木採取権
の
権利設定
料の金額
設定
についての
お尋ね
がありました。
権利設定
料は、
国民
共通の財産である
国有林
において
一定
の
区域
の
樹木
を
長期
にわたり独占的に
伐採
して取得する
権利
を得ることに対し、公平性、公正性を図る
観点
から納付を求めるものです。 その金額については、
長期
にわたる
権利
の
設定
によって期待される管理費用などの低減に見合う額を
樹木採取
区ごとに国が算定して
公募
時に提示し、
権利
の
設定
の際に
樹木採取権者
に納付させることとしています。
国産材
の新たな
需要
の創出についての
お尋ね
がありました。 戦後造成された
人工林
が本格的な
利用期
を迎えた中で、
林業
の
成長産業化
に向けて、豊富な
森林資源
を循環
利用
することが重要な
課題
であると
認識
しており、
木材需要
の
拡大
を進める必要があります。 このため、
木材
の主な用途である
住宅
分野
での
木材利用
に加えて、
公共建築物
を始め、これまで余り
木材
が使われてこなかった中高層
建築物
、非
住宅
などの
木造化
、木質化、
付加価値
の高い
木材
製品の輸出
拡大
、木質バイオマスのエネルギー
利用
等により、
国産材
の
需要
の
拡大
に取り組んでまいります。
独立行政法人農林漁業信用基金
の業務
体制
と交付金の
増加
について
お尋ね
がありました。 本
法案
では、
川上
、
川中
、
川下
が連携して
木材需要
の
開拓等
に取り組む
事業計画
に必要な
資金
を円滑に
供給
をするための新たな
措置
を講じておりますが、この
措置
については、
現行
の
信用
基金法及び
林業経営
基盤強化法に基づく
資金
貸
付け
と債務保証の
仕組み
と同様のものであり、既存の業務
体制
や財務基盤を活用することとしております。 また、この
措置
の対象者として
川下
事業者
が追加されますが、
川上
、
川中
、
川下
で連携する
取組
を行う
事業者
に限定される上、債務保証の対象者は
中小企業
に限定されております。 したがって、農林漁業
信用
基金の業務
体制
と交付金については、
現行
の
体制
や財務基盤で対応できるものと
考え
ております。(
拍手
) ─────────────
伊達忠一
12
○
議長
(
伊達忠一
君) 紙智子君。 〔紙智子君
登壇
、
拍手
〕
紙智子
13
○紙智子君 日本共産党の紙智子です。
会派
を代表して、
国有林野
の
管理経営
法の一部
改正案
について、
農林水産大臣
に
質問
します。 安倍政権の六年半で、日本の農林漁業が大きく変化させられてきました。 安倍政権は、農林漁業を国際市場に売り渡すTPPなどの貿易自由化政策、国際
競争力
強化と称する農林漁業の
成長産業化
、輸出
産業
化、
企業
化などを推進する規制緩和を進めてきました。 安倍首相が公言する、
企業
が一番活躍できる国づくりを具体化するために、多国籍
企業
の種子支配に道を開く主要農作物種子法を抜き打ち的に廃止したのを始め、自由化、国際化を推進するための農業
競争力
強化
支援
法を制定し、卸売市場法の改悪では、中央卸売市場への民間参入を認め、取引ルールの規制も緩和しました。昨年の年末には、漁業者を置き去りにしたまま漁業法の改正を行いました。
現場
の受け止めはどうでしょう。日本農業新聞が四月二十五日に発表したモニター調査によると、安倍政権の農政を評価できないという回答が約七割です。その中でも、規制
改革
推進
会議
に基づく官邸主導の農政については、八三%が評価できないと答えています。安倍政権の農政がなぜ
現場
から支持されないのでしょうか、
答弁
を求めます。 今回の
国有林野
法改正案
も、出発は安倍晋三総理が
議長
を務める
未来投資会議
での
提案
からです。
農林水産省
の諮問機関である
林政審議会
会長の土屋俊幸東京農工大学教授は、衆議院の参考人質疑で、今回の
改正案
が
未来投資会議
の
提案
で始まったことに言及し、トップダウンで行われた、長い複雑な成立経緯と多様な
公益的機能
を併せ持つ
国有林
の重要な経営判断は少数の非
専門家
に委ねるべきではないと不快感を示しました。
大臣
、
林政審議会
会長の
発言
に対する
認識
をお聞きします。 安倍晋三総理が
議長
を務める
未来投資会議
において
国有林
の見直しを初めて
提案
したのは、
林業
を
もうけ
の対象にしようとする
竹中平蔵
氏ではありませんか、
答弁
を求めます。
森林
・
林業
基本
法第五条は、
国民
の共有財産である
国有林
には三つの使命と
役割
があると言っています。第一は
公益的機能
を発揮すること、第二に林産物の
計画
的、持続的
供給
をすること、第三に
地域
振興
又は住民の福祉の
向上
に
寄与
することですが、間違いありませんか。
大臣
、お答えください。 本
改正案
は、
国有林
が持っている三つの
役割
を損ないかねない問題を持っています。 第一は、
地域
経済を支え、
地域
に根を張って活動している中小
林業
家が淘汰されかねない問題です。
国有林野
の立木販売の販売先になっている
事業者
は、件数、材積共に、
地元
事業者
が八割以上、
中小事業者
も八割以上を占めています。 大
規模
な
林業経営者
を
育成
するために、
農林水産大臣
は、
樹木採取
区を指定します。
樹木採取
区とは、
樹木
の
採取
に適する相当
規模
の
森林資源
が存在する一団の
国有林
の
地域
であって、
国有林
と
民有林
に係る施策を一体的に推進できる
区域
です。なぜ
民有林
に隣接する
区域
なんでしょうか。それは、
民有林
のみでは
利益
を上げることができない経営者に、
国有林
をも提供して
利益
を上げてもらうためです。 つまり、
樹木採取権
を取得した大
規模
林業経営者
は、広大な
地域
において、大型
機械
を
導入
し人件費などの
コスト
を抑えることによって
利益
を
最大
化できるのです。これでは、
地域
経済を支えている中小
林業
家が淘汰されるのではありませんか、明確な
答弁
を求めます。 しかも、
国有林
を
伐採
する
権利
、
樹木採取権
は、
最大
五十年もの間、排他的、独占的に使用し収益を得る
権利
を与えるものとなっています。バイオマス発電
事業者
やハウスメーカーなどが五十年もの間、
樹木採取権
を手に入れることが可能になります。大
規模
林業経営者
や
企業
に至れり尽くせりの政策ではないでしょうか。長伐期で何度も
間伐
する自伐型の
林業
者が排除されるのではありませんか、
答弁
を求めます。 第二は、
国有林
が持っている公益機能が損なわれる問題です。
森林
には、
国土
の保全、
水源
の涵養、地球温暖化、生物多様性の保全など
多面的機能
があります。日本学術
会議
は、
森林
の
多面的機能
は、貨幣評価できる部分だけでも年間約七十兆円に上るとの答申を出しています。
改正案
は、
林業経営者
に、
公益的機能
の
維持増進
を
条件
に
伐採
できる
権利
、
樹木採取権
を与えていますが、
伐採
の跡地に
植栽
する義務が課されていません。これでは、
国有林
が荒廃するのではありませんか、明確な
答弁
を求めます。 これだけではありません。
国有林
を
伐採
した後に
植栽
するのであれば、費用は税金で負担すると言います。
伐採
して
利益
を上げるのであれば、山が後退しないように
植栽
して国に返すのが当然ではないでしょうか。
利益
が上がれば、その
利益
を
国民
に還元すべきです。
植栽
は、
伐採
した業者が責任を持って行うのが当たり前ではありませんか、
答弁
を求めます。
国民
の共有財産である
国有林
を、なぜ
企業
が
利益
を上げるために提供するのでしょうか。それは、世界的に生物多様性、環境保全を求める動きや持続的な生産
体制
を自国で
育成
する動きが進み、
輸入材
を優先してきた
木材
の
供給
が困難になりつつあるからではありませんか。
国産材
を犠牲にし、輸入偏重で行ってきた
政府
の
林業政策
そのものが問われているという
認識
はありますか。大手
木材
メーカーや燃料材を求める大
規模
なバイオマス発電会社が
国産材
を安く手に入れたいと求めているから、
国有林
を民間に払い下げようとしているのではありませんか。
大臣
、お答えください。 昨年、安倍晋三首相は、戦後以来の林政
改革
に挑戦しますと言って、
森林経営管理法
を強行しました。これは、
素材生産
者を初めて
森林
経営の担い手に位置
付け
、
森林
所有者を
意欲
と
能力
がないと決め
付け
て、
森林
所有者の経営権に介入し、強権的に経営の自由を奪うものでした。
企業
が
利益
を上げるためには、
林業
所有者の経営権に介入する、今度は
国有林
も提供する、これが安倍内閣が進める戦後以来の林政の大
改革
ではありませんか。
大臣
、明確にお答えください。
国有林
は、
国土
面積の二割、
森林
面積の三割を占め、奥地山岳地帯や
水源
地帯に広く分布しています。
国有林
の九割が保安林に指定され、
国土保全
や環境保全など
国民生活
にとっても重要な
役割
を担っています。 歴代自民党政権は、
国有林
には保安林が多く生産活動が制限されているにもかかわらず、無理な独立採算制を求めたことから、荒廃と借金漬けが続きました。
国有林
の
管理経営
責任を果たさずに、一般競争入札などで民間開放を進めました。安倍政権は、この路線を今回の
法改正
によって加速させ、
国有林
が果たすべき
役割
を更に損なおうとしています。 日本共産党は、
国有林
の持つ
役割
を確実に実行するためには、
技術者
を
育成
確保
し、自治体、住民との連携を図り、
地域
の経済や
雇用
に
配慮
をした持続的な
管理経営
に取り組むことを
提案
し、
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣吉川貴盛
君
登壇
、
拍手
〕
吉川貴盛
14
○
国務大臣
(
吉川貴盛
君) 紙議員の御
質問
にお答えいたします。 農政の評価についての
お尋ね
がありました。 御指摘の報道は承知していますが、特定の報道機関が独自に行った調査の一つ一つについてコメントすることは差し控えさせていただきます。 いずれにいたしましても、安倍内閣では農政全般にわたる
改革
を行い、これにより、生産農業所得は過去十九年間で最高となり、四十代以下の新規就農者が四年連続で二万人を超え、輸出も六年連続で過去最高を更新し、一兆円
目標
の達成も視野に入ってきたなど、着実に成果が現れ始めています。 引き続き、
現場
の農業者の皆様と真摯に向き合い、政策の
内容
を丁寧に
説明
しながら、農業の
成長産業化
と農業者の所得
向上
の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
林政審議会
の土屋会長の
発言
についての
お尋ね
がありました。 本
法律案
につきましては、一昨年閣議決定された
未来投資戦略
二〇一七に基づき
実施
した
国有林野
の
木材
販売についての
民間事業者
からの改善
提案
において、
現行
よりも
長期
にわたり
樹木
を
伐採
できる制度の創設の希望が多数寄せられたことから、それらの
提案
を踏まえ、
林政審議会
において十分に
審議
をいただき、
政府
として本
法律案
を
提出
したものであり、検討のプロセスは適切であったと
考え
ております。 なお、
林政審議会
の土屋会長は、衆議院の参考人質疑において、
林政審議会
で必要最低限の検討はできたとも
発言
をされているところでもございます。
未来投資会議
における
提案
についての
お尋ね
がありました。
未来投資会議
においては、
林業
の
成長産業化
に向けた
改革
の方向性について
議論
され、竹中議員より、
国有林
での使用収益権の創出について、PFI法の
コンセッション
制度を活用した法制化について
提案
があったところです。 他方で、本
法律案
におきましては、国が
国有林野
の
管理経営
の主体であることに変わりはなく、PFI法に基づく
コンセッション
方式のように、
施設
の運営を
事業者
に委ねる
仕組み
とは根本的に異なっております。
国有林野
の
管理経営
の
目標
についての
お尋ね
がありました。
国有林野
の
管理経営
の
目標
は、
森林
・
林業
基本
法第五条及び
国有林野
の
管理経営
に関する
法律
第三条の規定のとおり、
公益的機能
の
維持増進
を図るとともに、林産物の持続的かつ
計画
的な
供給
及び
国有林野
の活用により
地域
の
産業振興
又は住民の福祉の
向上
に
寄与
することとなっております。
中小企業
家が淘汰されるのではないかという
お尋ね
がありました。 今回の
仕組み
については、
地域
の
意欲
と
能力
のある
林業経営者
の
育成
の
観点
から、これらの
林業経営者
が対応しやすい
規模
を
基本
として
樹木採取
区を指定することとしております。 また、
樹木採取権者
の
選定
に当たっては、
樹木料
の高低だけでなく、
地域
への貢献度合いなどを総合的に評価するとともに、
複数
の
中小事業者
が
協同組合等
として申請することも可能としております。 このように、今回の
仕組み
は中小
規模
を含めた
地域
の
林業経営者
の
育成
に貢献するものであり、
中小企業
家が淘汰されることはないと
考え
ているところです。
権利
の対象者についての
お尋ね
がありました。 今回の新たな
仕組み
については、
地域
の
産業
の
振興
につながるよう、
樹木採取
区は、
地域
の
意欲
と
能力
のある
林業経営者
が対応できる
規模
を
基本
とすることとしています。 また、
樹木採取権
の
設定
に当たっては、
樹木料
の高低だけでなく、
地域
への貢献度合いなどを総合的に評価するなど、本
法案
は、大
企業
優先ではなく、
地域
の
林業経営者
の
育成
につながるものであると
考え
ています。 また、
権利
の対象者は、
意欲
と
能力
のある
林業経営者
及び同等の者としており、自伐林家であっても効率的かつ安定的な
林業経営
を行う技術
能力
を有する者であれば対象となり得ると
考え
ています。
国有林
への
植栽
の義務
付け
についての
お尋ね
がありました。
植栽
については、
樹木採取権
が
区域
内の
樹木
を
採取
することのみを対象としていることから、
伐採
後の
植栽
は国が責任を持って行うこととしております。 一方、
伐採
後の
植栽
作業
を
事業者
に委託するに当たっては、低
コスト
で効率的に
実施
するため、
樹木採取権者
が
伐採
と一貫して行うことが望ましいことから、
法律案
の「申し入れる」との規定に基づき、国が
公募
する際に、
樹木採取権者
が
植栽
作業
を行う旨を国が申し入れることとしております。 国は、この申入れに応じ、申請した者の中から
樹木採取権者
を
選定
し、
植栽
作業
を行う旨の
契約
を当該
樹木採取権者
と締結することとなるため、
樹木採取権者
が確実に
植栽
を行うこととなります。
国有林
の
植栽
、
事業者
に行わせることについての
お尋ね
がありました。
植栽
については
森林
所有者が行うものであることから、
国有林
においては国が責任を持って行うこととしております。仮に、
樹木採取権者
に費用を負担させて
植栽
を義務
付け
た場合、
植栽
した
樹木
は財産権の
観点
から
樹木採取権者
の所有物とすべきであり、そうなれば当該
樹木
は
国有林
ではなくなるため、適当ではないと
考え
ております。 なお、
樹木採取権者
は、
樹木
の評価である
樹木料
のほか、
権利設定
料として、
国有林
で
一定期間
、安定的に
樹木
を
採取
できることによる
コスト
低減額の一部を国に納付することとしております。 本
法案
について、大手
木材
メーカーや大
規模
バイオマス発電会社のためではないかとの
お尋ね
がありました。 各国において、
木材
産業
の
振興
を図るため、丸太の輸出を規制し、製品での輸出を
促進
するなど、世界の
木材
貿易をめぐる環境に変化があることは事実であるが、
木材
の輸入自体が困難になっているとは
考え
ておりません。 一方、本
法案
において、
意欲
と
能力
のある
林業経営者
の
育成
のため、
国有林
の
一定区域
で
長期
安定的に立木を
伐採
する
権利
を与えるものであり、大
規模
な
木材需要
者に安価に
木材
を
供給
することを目的とするものではありません。実際に、今回の
仕組み
において、
樹木料
が市場
価格
以上となるよう
公募
時に
条件
を付すこととしていることから、
国有林
を安価に払い下げるものとはなりません。
林業
改革
についての
お尋ね
がありました。
森林経営管理法
により
措置
された
森林経営管理制度
は、
民有林
において
経営管理
が行われていない
森林
について、市町村が
森林
所有者の同意を得て、
意欲
と
能力
のある
林業経営者
への集積、集約化を進めるものです。 また、今回の
法律案
は、この
森林経営管理制度
の要となる
意欲
と
能力
のある
林業経営者
の
育成
を図るため、
国有林
が
民有林
を補完する形で、
公益的機能
を
確保
しつつ、
長期
安定的にこうした
林業経営者
に
木材
を
供給
する
仕組み
を
整備
するものです。 このように、
林業
の
成長産業化
と
森林資源
の適切な管理の両立を図ることが
林業
改革
の目的とするものであります。(
拍手
)
伊達忠一
15
○
議長
(
伊達忠一
君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二十九分散会