○高木かおり君
日本維新の会・希望の党の高木かおりです。
会派を代表して、
大学等における
修学の
支援に関する
法律案について質問いたします。
大学進学への
学費は親が
負担するのが当たり前という時代が長くありました。昭和の経済成長期に
大学に在学していた方は、今でもそのような
考えを持っていらっしゃるかもしれません。しかし、
平成に入ってバブルが崩壊し、一九九八年以降二十年以上続くデフレーションを経て、子育て
世帯の可処分
所得が下がり続けました。その一方で、
学費は上がり続けたため、現在では
子供の
大学進学費用を捻出できない
世帯が増えています。
独立行政法人日本学生支援機構によれば、
平成二十九
年度に同機構の
奨学金の
貸与を受けた
学生は約百二十九万人、我が国の
高等教育機関の
学生の三七%、二・七人に一人です。多くの
学生が頼る
貸与型奨学金は、返還しなければならない借金です。経済的に余裕のない
世帯の
学生は、
自分で借金を背負わなければ
大学等の
高等教育で学ぶことができない
社会になっています。
日本維新の会は、国民の
教育を受ける権利に関し、経済的
理由によって
教育を受ける
機会を奪われてはならないと
考えており、
憲法改正項目の
一つとして
教育無償化を提案しています。
教育は公の性質を有するものであり、
教育の充実によって国が
責任を持って
人材を育てていくことは国家としてプラスであることは言うまでもありません。ですから、
幼児教育から
高等教育に至るまで、全ての
教育は無償であるべきです。そして、そのことを
日本の国是とするために、
教育無償化を
憲法に明記すべきであると主張します。
この立場を明確にした上で、質問に入ります。
私たちが
高等教育を含めた
教育の
無償化を主張すると、
高等教育の
費用は親が出すべきだという反発を受けることがしばしばあります。
自分たちは子育ては既に終わってしまったので、今更
教育を
無償化しても得るところはないですとか、
自分には
子供がいないのに、他人の
子供が
教育を受けるための
費用を
負担しなければならないのは不公平ではないかというように、
公的負担に対する国民の理解はまだまだ不十分なものです。
しかしながら、
大学で学ぶ
学生たちが、将来、国や地方、企業、その他あらゆる
社会において必要とされる
人材として育成されていくことは、今後の
日本にとって大きな資産となります。しっかりと
高等教育を受けることで、しっかりと
社会に出て働くことができ、しっかりと税金を納めていただくことができる。
高等教育の
無償化を進めていくことは、今まさに子育てをしている方、これから
子供を持とうとする方のみならず、子育てが終わった方にも、
子供を持たない方にもメリットがあることだと
考えます。
文部科学
大臣に質問します。本
政府案では
高等教育の
無償化を拡充することになりますが、
高等教育への
公的負担に対する国民の皆さんの理解を得るためのプロセスはどのように進めていくのでしょうか。
見解を伺います。
本
政府案が
修学支援の
対象としている
学生は、
住民税非課税世帯及びそれに準ずる
世帯の
学生のうちの特に優れた者としています。
住民税非課税世帯及びそれに準ずる
世帯に対しては、これまでにも国、自治体による学用品や
修学旅行費などに対する就学
支援制度があります。また、本国会においても
住民税非課税世帯に対するゼロから二歳児への
幼児教育の
無償化が議論されています。
文部科学
大臣、様々な
支援措置が
実施されていますが、それらが重なることにより、
支援対象者と非
対象者との差が
拡大してきています。それにより国民の間に
不公平感が生じることが
考えられますが、それに対してはどのように受け止めておられるのでしょうか、そしてどのように
不公平感を解消していくのでしょうか。御
見解を伺います。
本
政府案は、今後、拡充して、
支援の
範囲を広げていくというようにお聞きしています。
大学教育が万人に開かれる、
大学で学びたい人が将来の借金の不安なく学ぶことができるということは、未来への投資でもあります。それには、
大学自体も投資し得る
対象でなければなりません。今求められている
大学の役割をもっと明確化し、
大学の存在意義を国民の皆様に知っていただくことが肝要です。
ところが、今、
大学が自らその存在意義を放棄したかのような事件が発生しました。東京福祉
大学では、外国人留
学生約一千四百人が行方不明になり、悪質な
大学経営が行われてきたことが
指摘されています。これは氷山の一角でしかなく、ほかにも、
大学の延命策として留
学生を使っているという事例もあります。このような
高等教育機関に対しては、
文部科学省による適切な指導を行う必要があります。
文部科学
大臣、
学校法人としての
制度を悪用し不適切な経営を行う
大学に対して、経営ガバナンスを高めさせるためにはどのようにすべきとお
考えでしょうか。御
見解を伺います。
さらに、昨年には、東京医科
大学の入学試験において、女子や二浪以上の受験者に対し点数をマイナスに操作して不利に扱っているという問題が発覚しました。また、その一方で、
文部科学省の前局長の子弟などに対しては個別に加点していたことが明るみに出て、入学試験に対する公平性、公正性に関わる大きな問題となりました。
当事者である
文部科学省の前科学技術・学術政策局長が受託収賄容疑で逮捕されるに至りましたが、
私立大学に対して指導する役割を果たすべき
文部科学省の局長が
自分の子弟を合格させるように働きかけることは前代未聞のことです。
文部科学省職員の公務員としての意識について大きな疑問を持たざるを得ない事件と捉えています。
文部科学
大臣、昨年の事件を受けて、再発の防止と
文部科学省職員の全体の奉仕者としての意識改革をどのように進めるのでしょうか。
また、
私立大学に対する指導が収賄に絡みやすいことについてはどのような
対策を取るのでしょうか。お答え願います。
最後に、本
法案の
財源について伺います。
本
法案は、本年十月に
消費税を一〇%に引き上げることを
前提とし、
増税により
財源を確保することとしています。本当に
消費増税を
財源とすることでいいのでしょうか。
柴山
大臣は、
衆議院本
会議において、
消費税率の引上げによる
増収分により安定
財源を確保して
実施する、増収額は国、地方税合わせて約一・四兆円、今回の
支援措置により、
支援対象者は七十五万人
程度、
支援額は
最大七千六百億円
程度、また、
幼児教育、保育の
無償化の
所要額が七千八百億円と
試算されています。この
試算を基に
消費税率の引上げによる
増収分から必要な
財源を確保しているとのことですが、それでは、本
法案による
支援は、これ以上
対象者を広げるつもりはない、すなわち、
高等教育の
無償化はこれ以上進めるつもりはないということになってしまうのでしょうか。
安倍総理が喧伝する
高等教育の
無償化はこれで終わりなのでしょうか。
本
法案では、
対象は
住民税非課税世帯及びこれに準ずる
世帯と限定しており、
中間所得層は置き去りにされています。国家が
責任を持って
人材を育てるという理想は中途半端に終わってしまうのでしょうか。文部科学
大臣、お答えください。
高等教育の
無償化は、将来の
日本を築いていく上で必須の
課題です。
教育は
個人や個性と深く関わっておりますが、
社会全体から見れば、より良い
社会は
教育の成果によって築かれるものであり、
教育は、犯罪率を下げ、貧困をなくし、生きがいややりがいのある仕事に就くことによって国民全体を幸せへと導くものです。国家の繁栄と国民の幸せの鍵は
教育にあります。
以上の
理由から、
教育無償化を
憲法に明記すべきであるということを改めて主張いたしまして、私からの質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣柴山昌彦君
登壇、
拍手〕