○山本太郎君 アメリカが言ったことをほとんどのみ込んでいるような政治をやり続けているのに、そんなこと信用できるはずないでしょうということなんですよ。二年間調査して慎重な
議論が行われてきたことが大空振りだったんですよ、結果。全く説得力がないと思います。
そもそも、なぜ一九九〇年代の司法
制度改革論議の中で急に日本の
司法試験合格者を三千人にしようとか、アメリカ型の
法科大学院を日本に導入しようという
議論が起こったのかということなんですけど、そのことについてお身内、まあお身内かどうか分かりませんけれども、
法務副
大臣経験者ですよね、与党の自民党、河井克行衆議院議員が御著書でちゃんと書かれているんですね。「前
法務副
大臣が明かす司法の崩壊」、新人弁護士の大量発生は日本をむしばむ。すごいですよね、題名だけでもう読んだような気になりますけれども、
資料の一でございます。
第二章「
法曹人口「年間三〇〇〇人増員計画」の真相」にはこうあります。読みます。
私としては、他人に責任をなすりつけるようで嫌だから、余り言いたくはないのだが、実は
法曹人口年間三千人増員計画の推進力の一つとなっていたのは、アメリカ政府の対日要求であると。推進力の一つになっているって告白されていますよ、当時の副
大臣。米国政府から日本政府に毎年送られてくるいわゆる年次改革要望書、例えば一九九八年十月七日、二〇〇〇年十月十二日や、司法
制度改革審議会に対する米国政府の
意見表明二〇〇〇年六月九日の中に、日本国内の
議論に呼応する形で、
司法修習生の受入れ
人数を早急に増やせとか、
法曹人口をフランス並みにするべきだ、さらには
司法試験合格者を年間三千人にするべきだということが全て書かれていると。
資料の二。年次改革要望書のコピー。一九九八年の報告書では、二十九ページにインクリーズ・ザ・ナンバー・オブ・ベンゴシと書いてある。弁護士の数をインクリーズ、増やせ、命令形なんですよね。九八年では毎年の
司法修習生の数を千五百人に増やせと書いてあり、翌年の要求では二千人に増やせと書いてある。そして、二〇〇一年にはその数字がとうとう最低でも千五百人、将来的に三千人にまでなりました。
アメリカは、弁護士の増員要求とともに外国
法律事務所に対する規制緩和、外弁
法改正も要望書で要求。進出してきたアメリカン・ローファームが、日本で増えた弁護士を子分にして日本企業の買収や日本の法
制度を変えていくと、弁護士の鈴木仁志さんは著書の「司法占領」の中でも危機を訴えていました。全部つながっているんですね。
二〇〇一年当時、十月から十二月にかけてロースクール創設を提言した司法
制度改革審議会の報告書が出た直後には、アメリカ大使館は総合規制改革会議に経済担当公使が乗り込んで
意見表明をし、後にTPPを日本で推進することになるACCJ、アメリカ商工会議所もアメリカの弁護士の日本進出の規制緩和を要望してきた。その結果、外弁法が二〇〇三年に
改正されて、外国の弁護士事務所が日本の弁護士を雇用できるようになりました。
日本国内の将来需要を見越して
法曹の数を増やすというよりかは、アメリカ様の望むことを受け入れる姿勢が何よりも優先されている。それは過去の年次改革要望書見ていけばよく分かるんじゃないですか。アメリカに言われたからやったってわけじゃないよ、しっかりと
議論して必要だと思ったからやったんだというようなことが本当に言えるかどうかですね。
資料の三。年次改革要望書で要求されて実現した内容。例えば、一九九八年、半世紀ぶりの建築基準法の
改正。これは性能基準を必要最低限にする
改正でした。ほかに、今回のロースクール創設につながる司法
制度改革。地方の商店街をシャッター街にした大店法の廃止。さらに、小泉・竹中時代の二〇〇三年には労働基準法の
改正。製造業への派遣を解禁、二〇〇八年には派遣が二百万人を突破、現在は労働者の四割が非正規に置き換わってしまった。この派遣
法改正で潤ったのは、御存じ、グローバル企業の手先とも言われる、派遣業を営む竹中平蔵さん。そのほか、忘れてはならない二〇〇五年の郵政民営化。担当
大臣はやはり竹中さん。
資料の四。我が会派、櫻井充議員は、郵政民営化の結果、地域によっては簡易郵便局が閉鎖、郵便、郵貯、簡保を分離したことで、窓口事業も効率化どころか非効率になった、そのように
指摘し、竹中さんについては、売国奴以外の何物でもないと断言したことは議事録にも残っています。いつまでこのような売国奴を有り難がっているんだ、自民党政権はと私も議事録に残したいと思います。
そもそも、郵政民営化は、アメリカの保険業界へのインセンティブでもあります。日本でがん保険を売りさばいていたアフラック、郵便局という巨大な窓口をゲット。そうやってアメリカがビジネスしやすい
仕組みをつくってさしあげるのが年次改革要望書の実行。
さて、
法科大学院の
制度設計の基にした司法
制度改革審議会の報告書は、小泉・竹中政権時代の初めの二〇〇一年、アメリカの新自由主義的な規制緩和要求のメニューの一つが、ロースクール導入の
前提になる弁護士増員でした。
先ほどの自民党の
法務副
大臣経験者、河井先生御著書の五十六ページで、こういう話をすると、アメリカは身勝手だとか、一方的だとかいうことを言う人が多いのだが、そもそも、どの国も自国の国益を第一に考えるものだとおっしゃっています。
これ、河井先生おっしゃるとおりなんですよね。自国の利益優先、これ当たり前のことなんですけれども、どうやらアメリカの要求で、だから、アメリカの要求であったとしても、それ無理ですからと言えばいいだけの話なんですよ。無理なものは無理だと言うべきだと。当たり前です。自国ファーストです。でも、どうやらこの国は宗主国様にそんたくすることが優先順位の第一位になっているよ、そういうことだと思うんです。
日本の
法曹人口を、アメリカ並みではないにしてもせめてフランス並みにすべきだという、九九年十一月二十四日、第七回司法
制度改革審議会での
議論。内容は大きく三つ。一、国際
比較をすると、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスの中では、フランスが一番
法曹人口が少ない。二、日本の
法曹人口を仮にフランス
程度に
充実することが必要だとすると、約七万五千人ということに。三、そのためには毎年何人の
法曹を、具体的には
司法試験合格者をつくり出す必要があるかといえば、毎年三千人の
司法試験合格者を出さなければならない。
先ほどの河井元
法務副
大臣の御著書の別の箇所での
指摘では、このフランス並みにするために毎年三千人合格というのには大きなトリック、だましがあったと、
議論の
前提が間違っていると言います。
日本で
法曹という場合、弁護士、検察官、裁判官という
法曹三者を指すのみで、司法書士、行政書士、税理士、弁理士、社会保険労務士、土地家屋調査士などの関連する
法律職、つまり隣接士業が含まれていません。しかし、フランスを含めた先進国では、日本の隣接士業がやっている業務も弁護士がやっているという現実があった。河井さんの当時の記述によると、日本の場合、
法曹三者、隣接士業、更に企業の
法務部員も含めれば、広い
意味での
法曹人口は二十七万人にもなります。実は、日本はアメリカに次いで最も広い
意味での
法曹を抱える国だったということになるわけですと。これ同様のことを愛知大学教授の森山文昭弁護士も御著書で書かれています。
アメリカから弁護士を増やせと言われた挙げ句、むちゃくちゃな国際
比較でせめてフランス並みに増やさなければいけないという誤った認識に基づいてあおり立てて、誤った需要予測に基づいて
法科大学院の設立認可を乱発してしまったと、そのようには思われませんか。
いかがでしょうか、どの方でもいいですけど。ごめんなさいね、これ通告していないんですけど、今のお話を聞いて、そのような外部からのあおりもあって、それに乗ってしまって結局乱立させてしまったというようなことにつながっていったと思うかという認識のお話です。