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2019-05-30 第198回国会 参議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和元年五月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      中泉 松司君     野上浩太郎君      藤末 健三君     有村 治子君      松川 るい君     世耕 弘成君  五月二十九日     辞任         補欠選任      有村 治子君     こやり隆史君      石井 準一君     宮本 周司君      世耕 弘成君     豊田 俊郎君  五月三十日     辞任         補欠選任      こやり隆史君     有村 治子君      野上浩太郎君     中西  哲君      宮本 周司君     小野田紀美君      牧山ひろえ君     小西 洋之君      榛葉賀津也君     舟山 康江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井 正弘君     理 事                 藤川 政人君                 和田 政宗君                 相原久美子君                 矢田わか子君     委 員                 有村 治子君                 小野田紀美君                 岡田  広君                 こやり隆史君                 山東 昭子君                 豊田 俊郎君                 中西  哲君                 野上浩太郎君                 舞立 昇治君                三原じゅん子君                 宮本 周司君                 小西 洋之君                 牧山ひろえ君                 木戸口英司君                 榛葉賀津也君                 舟山 康江君                 竹内 真二君                 西田 実仁君                 清水 貴之君                 田村 智子君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方創        生))      片山さつき君    副大臣        内閣府副大臣   中根 一幸君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        舞立 昇治君        総務大臣政務官  古賀友一郎君        文部科学大臣政        務官       中村 裕之君        厚生労働大臣政        務官       新谷 正義君    事務局側        常任委員会専門        員        宮崎 一徳君    政府参考人        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        川合 靖洋君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        高橋 文昭君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        兼内閣地方創        生推進事務局審        議官       辻  庄市君        内閣地方分権        改革推進室次長  加瀬 徳幸君        内閣地方分権        改革推進室次長  山野  謙君        内閣子ども・        子育て本部審議        官        川又 竹男君        消費者庁審議官  橋本 次郎君        総務省自治行政        局公務員部長   大村 慎一君        文部科学大臣官        房審議官     平野 統三君        文部科学大臣官        房審議官     玉上  晃君        文部科学省総合        教育政策局社会        教育振興総括官  塩見みづ枝君        厚生労働大臣官        房審議官     吉永 和生君        厚生労働大臣官        房審議官     田畑 一雄君        厚生労働大臣官        房審議官     本多 則惠君        厚生労働大臣官        房審議官     諏訪園健司君        厚生労働省子ど        も家庭局児童虐        待防止等総合対        策室長      藤原 朋子君        農林水産省農村        振興局農村政策        部長       高橋 孝雄君        経済産業大臣官        房審議官     米田 健三君        国土交通大臣官        房審議官     鈴木英二郎君        国土交通大臣官        房審議官     眞鍋  純君        国土交通省総合        政策局公共交通        政策部長     城福 健陽君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地域自主性及び自立性を高めるための改革の  推進を図るための関係法律整備に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 石井正弘

    委員長石井正弘君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十八日、松川るいさん、藤末健三君及び中泉松司君が委員辞任され、その補欠として世耕弘成君有村治子さん及び野上浩太郎君が選任されました。  また、昨日、世耕弘成君有村治子さん及び石井準一君が委員辞任され、その補欠として豊田俊郎君、こやり隆史君及び宮本周司君が選任されました。     ─────────────
  3. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局次長川合靖洋君外二十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岡田広

    岡田広君 自由民主党の岡田広です。  地方分権一括法改正につきまして質疑をさせていただきます。  これは、これまで八回にわたりまして、地方分権一括法取組において、都道府県から市町村への事務権限移譲を始めとして、義務付けあるい枠付けの見直しなど地方に対する規制緩和が行われ、地方分権が大きく進んだと私は考えております。特に、五次一括法からは提案募集方式を導入して、地域課題に一番精通した地方の発意と多様性を重視をしているということは大変すばらしいことだと理解をしています。これまでの取組は今後の地方創生を進める上で地方として重要なことであり、今回の九次一括法についても評価をしたいと考えています。  平成五年に衆議院と参議院において議決されました地方分権推進に係る決議において、東京への一極集中を排除して、国民が待望するゆとりと豊かさを実感できる社会をつくり上げていくということを目指しています。  しかし、なかなかこの東京一極集中が是正されていないのも現実であります。このため、国から地方への権限移譲地方税財源充実強化等を通じて、地方公共団体自主性自立性を強化することが急務とされております。中核市移行するということも、こうした地域自主性自立性を高めるための取組一つであると考えております。  この中核市への移行につきましては、私の住んでいる水戸市でも来年四月に移行を予定をしているわけでありますが、同じ県の茨城県つくば市、世界の科学技術都市であり、来月はデジタル・貿易大臣会合、サミットも開かれるところであります。あるいは神奈川県藤沢市など、現在も移行について検討中の自治体があります。これは、端的な言葉で言えば、なかなか中核市移行が余りうまみがないという、あるいはメリットがないということで、相当研究されているということもあるんだろうと思っています。  こうした原因の一つとして、出生数が三年連続で百万人を割っています。三年前に初めて出生数が百万を割りまして九十八万、そして二年前には約九十五万、そして昨年は約九十二万と、毎年三万人ずつ出生数が減っているデータも出ているところであります。過去最少を更新して、急激に人口減少も進行しており、地方における財源不足るい人材不足が深刻化していることも少なからず関係しているものだと私は考えています。  大事なことは、国として地方分権改革推進するため、円滑に事務権限移譲するに当たって必要な地方財源移譲人材確保に向けてどのように政府として対応をしていくのか、まず片山大臣お尋ねをしたいと思います。
  7. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 岡田委員におかれましては、水戸市長を始め、本当に地方現場の政治に最も御精通をされておられる方のお一方でいらっしゃいますが、まさに御指摘のとおり、この権限移譲を実施するに当たっては、その事務の実施に支障が生じては致し方ないわけですから、支障が生じないように国として確実な財源措置を講ずるのが重要というのはこれはもう原則でありまして、その観点から、制度官庁の方が法令改正などによって事務権限移譲を行うという場合には、財務省、総務省との間で調整を図って所要財源措置等を講じるということが原則でございます。  今回、この提案募集を契機に事務権限移譲が行われる場合には、特に地方公共団体移譲された事務権限が円滑に執行されるように、地方税地方交付税国庫補助負担金などによる確実な財源措置を講ずることや、マニュアルの整備、技術的なアドバイス、それから研修職員派遣など必要な支援を実施する旨を閣議決定させていただく対応方針に明記の上に取り組んでおるところでございます。  ただ、いろいろと広範囲にわたることの中で、自治体側から見て実態的にどうなのかなというお声を、お叱りをいただくこともございますので、今後、私どもも十分に心掛けてまいりたいと、かように思っております。
  8. 岡田広

    岡田広君 片山大臣から御答弁いただきまして、事務に確実な財源移譲というのは一番重要なこと、そして人材確保する、あるい派遣をしていくというのは大変重要なことであろうと思っています。よく権限財源人間という、三ゲンとよく言われますが、権限だけ移譲して財源人間が伴わないということでは、地方自治体はそうでなくても多様な住民の要望に応えていかなきゃならない、もう本当に限られた財源の中で仕事をしている。  水戸の、来年中核市移行する高橋市長についても、私、よく仕事の「かきくけこ」という言葉市長時代から使っていました。新しい政策を実行する、中核市移行するために、まずいろんな考え方が出てくる。考えて、そしてそれを、きは基本に忠実に、工夫して、計画して、行動する。どれももちろん大切ですが、その中の工夫が大事な時代創意工夫、アイデアの時代。  まさにこの地方分権一括法提案募集というのは、その工夫という、限られた財源をいかに効率的に使っていくか、そして市民福祉向上お金を使うかというのは、どこの自治体の長も考えていることなんだろうと思っています。創意工夫を更にやっぱり地方から提案をしてもらうためにも、国もしかしそれなりの指導というか人材派遣しながらやっていくというのはとても大事だろうと思っています。  次に、財源についてお尋ねをしたいと思います。  仮に事務権限移譲し、必要な地方財源移譲されたとしても、そのことを地方公共団体が実感をする、そして取り組むことが大変必要であると考えております。地方分権改革推進に向けた地方公共団体の意欲をそぐことがないよう、この事務権限移譲に伴う地方交付税の額、なかなかいろんな事業で国に陳情に行きますけれども、交付税で見ます交付税で見ますとよくそういう言葉が入ってきますけど、交付税ってつかみで来ますから、なかなか数字、実態は分かりません。  この事務権限移譲に伴う地方交付税の額を明確に地方公共団体に示していくというのも、これから情報公開透明性と言われている中で大事であるというふうに考えているんですけれども、これに対して総務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 古賀友一郎

    大臣政務官古賀友一郎君) お答え申し上げます。  この事務権限移譲に伴い地方が負担することとなる経費につきましては、地方財政計画の歳出に計上いたしまして所要財源確保いたしますとともに、地方交付税の算定におきまして、移譲された事務権限を担う地方団体基準財政需要額に適切に算入をさせていただいていると、こういうところでございます。  移譲されました事務権限のうち主なものにつきましては、これは全国会議の場所あるい各種資料などを活用いたしまして、地方団体に対して交付税措置の内容をお示しをさせていただいているところでございます。  今後とも、内閣府とも連携をいたしながら、移譲された事務権限に係る経費交付税措置につきまして地方団体に対し分かりやすく明示をさせていただきたいと、このように考えているところでございます。  以上でございます。
  10. 岡田広

    岡田広君 この財政負担については、毎年度事務実行に必要となる経常的な経費、そして事務を行うための準備経費の二つに分けられるんだと思いますけれども、毎年度事務執行に必要となる経常的な経費につきましては交付税による対応がなされるものでありますけれども、移譲された権限に応じて基準財政需要額に確実に算定されることが重要であり、また算定されているんだろうとは思っておりますけれども、権限に応じた交付税の増加がなければサービス縮小るい地方負担増につながることになるわけですけれども、これに対する考え方古賀政務官にもお尋ねをしたいと思います。
  11. 古賀友一郎

    大臣政務官古賀友一郎君) お答え申し上げます。  この事務権限移譲に伴う財源措置でございます。先ほど片山大臣からも政府対応方針という御説明がございましたけれども、平成三十年の地方からの提案等に対する対応方針、これは昨年末の閣議決定でございますが、これにおきましても、地方税地方交付税国庫補助負担金等により確実な財源措置を講ずると、このようにされているところでございます。  総務省といたしましては、これまでも事務権限に応じまして地方財政計画において所要額を計上してきたところでございまして、今後とも、委員御懸念のような行政サービス縮小等につながることなく、地方公共団体において移譲された事務権限を円滑に執行することができるように確実な財源措置を講じてまいりたい、このように考えているところでございます。  以上でございます。
  12. 岡田広

    岡田広君 次に、この事務権限移譲に当たっては、いわゆる経常的な費用のほか、人材研修るいシステムの開発などの準備費用も必要であります。こうした費用につきましては、特別交付税により確実に措置されることが必要であると考えておりますが、これに対してのお考えお尋ねしたいと思います。
  13. 古賀友一郎

    大臣政務官古賀友一郎君) お答え申し上げます。  事務権限移譲に伴います準備費用につきましては、事務権限を所管する関係府省におきまして必要な対応を行うことがこれは基本であると、このように認識をいたしております。例えば、システム改修費用が生じる場合には国費で財源確保するなどの措置を講じてきているものと、このように承知をいたしておりますけれども、引き続き、関係府省や内閣府と十分に連携をいたしまして、移譲された事務権限の円滑かつ確実な執行に向けて地方公共団体財政運営支障が生じることのないように対応してまいりたいと、このように考えております。  以上でございます。
  14. 岡田広

    岡田広君 是非、財源につきましてはしっかりと対応をしていただきたいと思っています。  次に、人材関係について、中核市に求められる保健所設置について御質問をしたいんですけど、この保健所設置についても、これは新しく建物を建てる場合にはもう自前でやる。水戸市であれば水戸市が負担するということで、今二十億ぐらい掛けて新しい建物を造っていますが、これ大変なお金掛かります。そしてまた、所長医師、そして公衆衛生経験、あるい獣医師なり薬剤師等大変人材を配置をしなければならない。それだけでも大変なお金が掛かるわけですけれども、しっかりこの財政負担、例えば中核市移行では移行の前年度のみ特別交付税が交付されるということで、一千万円から三千万円に引き上げられたということでありますけれども、これでも私は十分では言えないんではないかなというふうなことを考えておりますので、しっかりこの財源については対応していただきたいと思っております。  次に、人材関係についてお尋ねをいたします。  東京一極集中がいまだ続いていることを踏まえれば、もうこの事務るい権限移譲に当たっては、財源移譲以上に地方公共団体においては課題になるのはもう人材です。みんな東京、大都市に行ってしまいます。  そういう中で、今お話をしました来年中核市移行するときに、移行するに当たっては市に保健所設置が必要となってきます。保健所所長医師であることが求められておりますけれども、国として公衆衛生医師確保に向けた取組、これもどう支援をしていくかというのは大変課題になると思っておりますが、この点についてもお尋ねをしたいと思います。
  15. 吉永和生

    政府参考人吉永和生君) お答え申し上げます。  地域保健推進に当たりましては保健所が重要な役割を果たしてございまして、その機能を十分に発揮するためには公衆衛生医師確保が重要であると考えてございます。  厚生労働省におきましては、公衆衛生医師確保支援するために、公衆衛生医師確保推進登録事業を行っているところでございまして、この事業は、保健所等におきまして勤務することを希望する医師情報公衆衛生に従事する医師を必要とする自治体情報をそれぞれ登録をいたしまして、希望条件に合致する登録自治体登録医師情報提供を行うものでございます。  この取組によりまして、平成十六年度事業開始から平成三十年度末までの間に八十三名の医師の方に登録をいただきまして、十八名の医師地方自治体に就職しているという実績がございます。  委員指摘のとおり、居住の問題など条件が合わないということでマッチングが進んでいない状況はございますけれども、こうした中でございますけれども、公衆衛生医師確保するためのガイドラインとか取組事例集を作成、公表いたしてございまして、自治体におきます医師確保を後押しするほか、若手医師医学生に対しまして保健所で勤務する医師等から公衆衛生活動の実際やキャリアパスを伝えることが重要であると考えてございます。このため、医学生向け就職説明会に出展したり、平成二十四年からは若手医師医学生向けのセミナーを開催してございます。また、平成二十九年度からは、公衆衛生医師の具体的な活躍のイメージを周知するためのホームページ、行政医師キャリラボを開設してございまして、こうした中で周知を図っているところでございます。  また、これに加えまして、平成二十九年四月からは、日本公衆衛生学会等関係学会等によりまして、公衆衛生向上につながるように社会医学系専門医制度が開始されたところでございます。厚生労働省といたしましても、この専門医制度公衆衛生医師確保に資するものと考えまして、積極的に活用するよう都道府県等などに要請を行っているところでございます。  厚生労働省といたしましては、引き続き、公衆衛生医師確保に向けまして各自治体取組支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  16. 岡田広

    岡田広君 御答弁いただきました。この例えば保健所長を例に取りますと、医師でなければならないと、で、公衆衛生経験という。今、一旦リタイアした、でも公衆衛生経験しているというのはなかなかいないんで、これはやっぱり研修をしなくちゃならないんです。そういう費用も掛かるわけですけれども、制限の緩和は確かにあるんですけど、なかなか難しいという現場の声はしっかり踏まえていただきたいと思っております。  さっき財源の話で、水戸市では二十億掛けて造っているということですけど、必ずしもこれは新しく造らなくてもいいわけで、島根県の松江市なんかは県の保健所と一体となって運用しているという事例もありますので、建物を造らなきゃいけないという、そういうお金だけ掛ければいいって話でもないんで、そこはやっぱり工夫をして、そこのいい事例全国に広げていただきたい。まあ分からない市町村が多いです。そういうことで、よろしくお願いをしたいと思っております。  もう一つ設置が必要な、保健所以外にも、昨年発生した東京都目黒区や今年の千葉県野田市における虐待など児童虐待の痛ましい事案が続いたことなどを踏まえて、平成三十年十二月二十七日に公表されました社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会市町村都道府県における子ども家庭相談支援体制強化等に向けたワーキンググループ取りまとめにおいて、中核市における児童相談所設置義務化も含めた法令上の措置検討等必要性が議論されたところであります。  現在でも、中核市のうち横須賀、金沢、明石の三市においては児童相談所が既に設置をされておりまして、今後、令和三年に奈良市でも児童相談所設置検討されていると伺っております。  今回の改正ではこの児相設置義務化ではありませんけれども、やはり国民の安全、安心を守るためにはこの児相設置推進していくということは大変私は必要だろうと、そう考えています。  こういった経過なども踏まえて、今後児童相談所設置を希望する中核市もあると思いますけれども、設置のために必要な財政措置、あるい専門的人材確保育成に係る支援充実について、厚生労働省としてどのように考えて、どういう形で支援をしているのか。特に、児童福祉司などの専門的人材確保育成は重要と考えておりますけれども、この点についても厚生労働省のお考えお尋ねをしたいと思っております。
  17. 藤原朋子

    政府参考人藤原朋子君) お答え申し上げます。  児童虐待防止対策につきましては、身近な地域子育て支援から虐待への対応まで切れ目のない一貫した対応が重要であると考えておりますので、委員指摘のとおり、児童相談所につきましては、やっぱり中核市などにおいても設置を促進をするということは重要であろうというふうに考えておりまして、設置を進めてきたところでございます。  これまで厚生労働省では、一時保護所などの施設整備支援に加えまして、人材確保育成対策といたしまして、児童相談所設置検討する市区の職員が業務を学ぶために児童相談所派遣をされる場合、あるいは逆に県の児童相談所の実務経験のある職員の方を市区の方に派遣をしていただくような場合、こういった場合のそれぞれに対する代替職員の配置費用の補助などに取り組むなど、順次その拡充に取り組んできたところでございます。  一方、中核市の方からは、国と中核市との間で丁寧な議論を積み重ねるとともに、継続的かつ安定的な支援措置を講じるべきこと、それから一時保護所児童相談所整備費についての財政措置専門的人材育成確保についての要望をいただいてきているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、現在国会で御審議をいただいております児童福祉法等の改正法案でございますけれども、この改正法案の中で、施行後五年間を目途として、中核市、特別区が児童相談所設置できるように、児童相談所整備、それから職員確保育成支援、その他の必要な措置を講ずること、この支援を行うに当たっては地方団体等との連携を図ること、そして、その後施行五年を目途として、支援の在り方について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというふうな旨の規定が置かれているところでございます。  支援内容や方法につきましては、去る三月十九日に関係閣僚会議で決定をいただきました児童虐待防止対策の抜本的強化についての中で、今後、中核市、特別区の児童相談所設置に向けた施設整備人材確保支援の抜本的な拡充、それから、国と中核市都道府県等関係団体が参画をする協議の場を国が設置をするということ、これを盛り込んでおりまして、今後、地方団体との協議を丁寧に行いながら、二〇二〇年度の予算に向けて必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  18. 岡田広

    岡田広君 中核市移行に伴う人材、今、保健所るい児童相談所の話をしましたけれども、行政需要というのは今後ますます複雑化、そして多様化、高度化している中で、やっぱり住民と直接向き合う地方自治体職員数というのはもう本当にますます重要になってくるわけで、人の確保というのが行政の質に深く関わってきますので、この人材育成については是非国も支援をお願いをしたいと思っております。  時間がちょっと押してきましたので、地方創生という視点から、政府関係機関の地方移転について片山大臣お尋ねをしたいと思っています。  地方において人材確保課題となる中で、地方仕事をつくり安心して働けるようにすることや、あるい地方への新しい流れをつくることで新たな仕事と人との好循環を創出していくことは大変重要であります。その中の一つで、政府関係機関の地方移転、これは、政府自らが地方公共団体とともに連携し、好循環のきっかけづくりに取り組むものであると考えています。  現在は、文化庁や消費者庁などの中央省庁や研究機関、研修機関などの地方移転等が進められており、こうした取組を通じて東京圏の人材地方に流入し始めたと考えているわけでありますが、政府関係機関の地方移転を今後更に推進して人材地方に送っていくという、そういう考え方につきまして、大臣のお考えお尋ねしたいと思います。
  19. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) この政府関係機関の地方移転の取組は、本当に東京一極集中の是正のために、もちろん地方側の今委員のおっしゃった創意工夫を前提にして、それぞれの条件を踏まえて、地域における仕事、人の好循環を促進するために極めて重要で、もう全力で私どもとしては取り組んできたという所存でございますが、今は、二十八年の三月に私どものまち・ひと・しごと創生本部で決定させていただきました政府関係機関移転基本方針その他に基づきまして、中央省庁七機関、研究機関、研修機関など二十三機関の地方移転を進めているところで、まず、御承知のように、これもいろいろな議論がありまして、なかなか一通りでできないところもあり、もう苦労している部分もあるんですが、こういったところで、とにかくこの取組をまず着実に実行して、地域におけるイノベーションの進展など実が上がる効果を、地方創生の実の上がる効果を見える化してまいりたいと、かように思っている次第でございます。
  20. 岡田広

    岡田広君 きらりと光る地方大学づくりを始めとして、様々な政策を掲げて地方創生推進していることは評価をしたいと思っていますが、なかなか東京一極集中の流れが止まっておりません。  そういう中で、地方における自主的、主体的かつ先導的な取組に対して、引き続き国が地方創生関係交付金を通じて支援していくことが必要と考えますが、片山大臣のお考えお尋ねしたいと思います。
  21. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 現在、まち・ひと・しごとの第二期に向けて非常に活発な議論をさせていただき、まさに知事会、市長会、町村会、それから六団体ですね、議長会も含めて、御意見が出ている中で、地方創生推進交付金や整備の交付金については非常に高い評価が、まずこういった取組を維持強化していただきたいという声が非常に強いものですから、我々も意を強くして、地方への人の流れを生み出すという意味もありますし、移住もあり、仕事づくりもあり、担い手育成も全部使えるわけですから、こういったことで御支援を継続強化させていく方向で関係当局とも折衝をいたしたいと考えておりまして、御地元の茨城県においても大変活用していただいて、地方への人の流れ分野の案件だけで三十三件の事業が行われておりまして、また、今回、わくわく地方生活実現パッケージで、今年度、四月からUIJターン起業、就業に最大三百万円という新しい仕組みが設けられて、既に茨城を含む三十八道府県で交付が決定をされておりますので、これは効果が出てくるのは今からですが、こういったことも含めてしっかりと推進、展開を今の御指摘に沿ってやってまいりたいと考えております。
  22. 岡田広

    岡田広君 片山大臣から御答弁いただきまして、茨城県でもこの地方創生関係交付金、片山大臣の指導で、大臣の前から、多分、全国四十七都道府県、茨城県が一番片山大臣現場を見ているのではないかと思っておりますが、そういう中で是非これはよろしくお願いしたいと思っております。このまち・ひと・しごと創事業を拡充強化するとともに、地方創生推進交付金等の所要額確保、そして運用の一層の努力を図るなど、地方創生を実現するための財源確保をしっかりと要望しておきたいと思っております。  このまち・ひと・しごとを柱にした地方創生の流れの中に地方分権改革をどのように位置付けていくのか、最後に片山大臣のお考えを伺いまして、質問を終わりたいと思います。
  23. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) まち・ひと・しごと、地方が元気でなければ日本は元気にならないということで、もう内閣を挙げて取り組んでおりますが、この地方分権改革推進はまち・ひと・しごとのスタートポイントで、やはり自立ということですね、それから自発的なということを原則に挙げておる中で、自らの発想と創意工夫課題解決をするベースそのものでございますから、地方創生の観点からも最重要テーマの一つでございます。  そういったことで、今回お願いしておりますように、平成三十年の提案募集でも、地方創生に資するような地方現場課題に基づく提案にきめ細かに対応するという趣旨からも幾つかお願いをさせていただいておりまして、例えば、公立博物館等について、地方公共団体の判断によって教育委員会から首長部局への移管が可能になるような見直しとか、あるいは電子マネーを利用して公金の収納ができるようにするとか、あるいは高等学校においてオンデマンド教材を使用した授業の実施要件が今まではっきりしていなかったのを、これ明確化するとはっきりとできるようになりますから、こういうこと。そのほか、地域資源の利活用の提案等もございまして、こういうことをやってまいりましたので、今の考え方にしっかりと基づきまして、地方分権ということがこのまち・ひと・しごと創生の大きな柱ということで進めてまいりたい、これが地方創生の実現にもつながるようにしてまいりたいと思っております。
  24. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。  時間が来ました。片山大臣、そして古賀政務官におかれましても、地方創生推進のために更に力を尽くしていただきたい、そのことをお願いいたしまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  25. 和田政宗

    ○和田政宗君 自由民主党・国民の声の和田政宗でございます。岡田委員に続いて質疑をさせていただきます。  地方分権の観点、岡田委員からもございましたけれども、これ地方創生、まさに地方が輝く日本国にしていかなくてはならない、そういった観点から、私は思い切って進めていかなくてはならないというふうに思っています。  明治維新のときには廃藩置県というものがございました。私は、今こそ廃県置藩をしていくべきではないかというふうに思っておりまして、これは県を一概に廃すというようなことではなく、そういうような趣旨で、それぞれの各地方が輝くようにしていかなくてはならないというふうに思っています。江戸時代、藩は三百あったわけでございますけれども、その数は三百よりかは多くなるかもしれないですけれども、そういった地方がそれぞれ本来持っている文化、歴史、生活圏、そういったものを中心として、しっかりと権限も付与をされて、輝くようにしていかなくてはならないというふうに思っております。  これは、様々復興関係のものでもあったんですけれども、やはり屋上屋を重ねるというような形というものは私はなるべく廃していくべきであるというふうに思っています。例えば、国が施策をする中で、県が運用の解釈を誤っている事例というのも実はございました。これは、県の職員の方々も頑張っているので、忙しい中で解釈について少し誤りが出たのではないかなというふうに思っておりますけれども、例えば、国、そして出先、東北ですと東北経済産業局ですとか東北地方整備局というものがあるわけでございますから、そこからその自治体というところに、いわゆる国と自治体がしっかりと連携をするというような形も構築できるわけであって、その中に都道府県がどういうふうに介在をしていくのかということはあるとは思うんですけれども、私はその廃県置藩のような考え方というものを今こそ進めていくべきだというふうに思っております。  今、政府部内で検討が進んでいるスーパーシティ構想などについてもしっかりと、私はこれが成れば地方というものが大いに輝いていく、このように思っておりますので、とにもかくにも屋上屋を重ねるような行政構造というものを廃していく。そして、地方権限。これは私は、何というか、国の権限を大いに削って地方に与えるという考えというよりも、しっかりと地方権限を持たせながら中央集権の構造というものもしっかりと維持をし、やっていく必要があるんではないかなというふうに思っておりますので。道州制というもの、我が党でも所要検討が行われているわけでございますけれども、私はむしろ、道州制という考え方というものも取りつつも、地方自治体がそれぞれしっかりとあの江戸時代の藩のように輝けるような、地域の特性などを生かした形ができるようにしていくべきであるというふうに思っております。  そこで、まず概括的な質問をしたいというふうに思いますけれども、この第九次地方分権一括法案の効果についてどう評価しているのか、政府の見解を聞かせてください。
  26. 舞立昇治

    大臣政務官舞立昇治君) 御質問ありがとうございます。  地域のことはできる限り地域の実情に応じてできるようにするというのが地方分権推進する趣旨でございますけれども、地域が自らの発想と創意工夫によって課題解決を図ることができますように、これまで累次の地方分権一括法を通じて、国による地方公共団体への事務権限移譲や義務付け、枠付けの見直し等に取り組んできたところでございます。  今回の第九次の一括法案におきましても、例えば、公立博物館等の所管について一体的な町づくりを推進するため地方公共団体の条例により教育委員会から首長部局への移管を可能とする改正や、放課後児童クラブの従事者の資格や人数について国の基準の参酌化、さらには幼保連携型認定こども園の保育教諭の資格要件等について各施設、自治体での計画的な取組が可能となるよう緩和するなどの思い切った内容を盛り込み、全部で十三の法律をまとめて改正することとしたところでございます。  これにより、実際に地方現場で困っている具体的な支障に対しきめ細やかな対応が可能になると考えておりまして、今後、地域ごとの実情や課題、ニーズに即した地方創生の町づくりや子ども子育て支援の一層の充実などが各地で実現することが期待しているところでございます。  以上です。
  27. 和田政宗

    ○和田政宗君 続いて、大臣にお聞きをしたいというふうに思います。  大臣御就任以後、私も大臣と何度も会話をさせていただく中で、片山大臣のやはり地方分権に対する思いというのは極めて私は強いというふうに思っております。  この地方分権改革推進に向けて、何が必要なのか、またどういった方向性を示すべきなのか、大臣から改めてお伺いできればというふうに思います。
  28. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 地方分権改革地方創生やまち・ひと・しごと創生の一つの前提というか、非常に大きな骨格になるということはもう疑いもないことと考えておりまして、国、地方関係は上下主従関係ではないと、対等協働だということを唱えてはいても、その意識が隅々まで浸透してない実態がまだありますので、その意味で、地方全体に共通する基盤となる制度の確立のための改革も累次積み重ねられてきたというふうに考えております。  安倍内閣になりましてからは、平成二十六年からはこの提案募集の方式ということで、地方の発意に基づいて、住民に身近な課題現場の知恵と工夫で解決するのに一番いいやり方を出してくれということでこの提案募集方式になって、五年間で提案の実現など対応しているものの率が七割を超えていると。範囲も、土地の利用、防災、子ども・子育て、高齢者・障害者支援、雇用など、非常に広い分野というか、もうほとんど全ての分野にわたってきておりますので、個性を生かした自立した地方をつくる、地域をつくるという意味で、またさらに、一番その目線が近い人が住民サービス向上を上手にできるということに信頼を置いてやっているわけですから、うまくいってきたのだなと。  我々も見ておりますし、地方側から、各団体から非常に高い評価を、これは全レベルでですね、知事会も市長会も町村会も全てこの方式に評価をいただいているということは、これはなかなかないことで、有り難いことと思っております。  小泉政権の時代地方にできることは地方にだったんですが、今は、地方がやりたいと思うことは地方にお任せしようと。熱意方式でですね、ボランタリー方式でしてきていることがこの数字につながっているのかなと思ってはおりますので、今後とも皆様の御指摘、お声、まあお叱りもあると思いますが、幅広くお聞きして、この基本姿勢に立ちながら、いかに更にこれをベターにするかということで頑張ってまいりたいと思っております。
  29. 和田政宗

    ○和田政宗君 ありがとうございます。  今週、宮城県の町村議長会、副議長の方々との懇談もありました。そのときにも、やはり地方権限付与、これについて様々な要望というものがありました。これは、のべつ幕なしに権限をくれとか予算をくれとかということではなく、やはり今、日本の社会構造の中で必要なもの、こういったものが要望として上がってきているというふうに思いますので、政府におかれましても、そういったところをしっかりと捉えていただくとともに、私も与党議員として、その部分というものはしっかりと政府の方に提案をしていきたいというふうに思っております。  それでは、各論に入っていきたいというふうに思いますけれども、まず、認定こども園法、教員免許法の関係のことについてお聞きをしていきたいというふうに思っております。  保育教諭の保育士資格及び幼稚園教員免許状取得の今後の見通しについてお聞きしたい。経過措置の延長により全ての保育教諭が両資格を取得することができると政府は想定しているのかも含めて、答弁を願います。
  30. 川又竹男

    政府参考人(川又竹男君) お答えいたします。  幼保連携型認定こども園に勤務する保育教諭の現状を申し上げますと、人数、総数が十万三百七人でございますけれども、そのうち、既に免許、資格の両方を有している者の割合が九〇・四%、九万六百四十七人であります。片方の免許、資格のみを有する者が九・六%、九千六百六十人という現状でございます。本資格のこれまでの活用状況を見ますと、幼稚園教諭免許については約一万五千人、保育士資格については約二万二千人がこの特例を活用して資格を取得をしているところでありまして、合わせて年間およそ七千人から八千人が新たに免許又は資格を取得しているという、これまで五年間の状況でございます。  国においては、支援措置といたしまして、大学等における単位取得のための受講料の補助、あるいは保育教諭が受講する際に代わりに園で勤務する代替職員の雇い上げ費の補助など支援を行っているところでございまして、保育教諭の方が免許、資格の双方を確実に取得できるように、地方自治体、認定こども園関係団体と連携しつつ取り組んでまいります。
  31. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは、幼保連携型認定こども園においてしっかりとした充実した教育、保育が行われるようにということの趣旨であるわけでございますけれども、保育士資格のみを有して保育教諭となった者の資格等の取得促進のための勤務経験及び単位の取得等に係る特例であるわけでございますが、これ、恒久的措置にするということは検討はしてないのでしょうか。
  32. 平野統三

    政府参考人(平野統三君) お答えいたします。  現在、幼稚園教諭免許と保育士資格の併有を促進するため、特例により、保育士として一定の勤務経験を有する者についてはより少ない単位数で幼稚園教諭免許状を取得できることとしておりまして、さらに、今回の法改正により、本特例の期間を二〇二四年度末まで延長することとしております。  しかしながら、幼保連携型認定こども園におきましては、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして満三歳以上の子供に対する教育と、保育を必要とするゼロから五歳児に対する教育、保育を一体的に行うことが求められており、これらの質を確保するため、保育教諭等については、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を有する者であることが原則となっております。また、教員免許状の取得に当たりましては、教育を担う教育職員の使命と職責の重要性に鑑み、教育職員免許法において必要な基礎資格及び大学等において取得が必要な単位数を定め、教育職員として必要な資質、能力と社会的な信頼を確保することとしております。  こうした原則を踏まえまして、本特例の延長の期限は最低限とすることが適切であることから、法案では五年間の延長とさせていただいているところでございます。  文部科学省といたしましては、保育士資格を有する者が幼稚園教諭免許状を取得しようとする際の受講料の支援等を行い、両資格を取得しやすい環境整備を行っているところでございまして、引き続き両資格の併有を促進していきたいと考えております。
  33. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは、子供の保育、教育の環境をしっかり整えていくということ、また、そういった幼児教育、保育の現場で働く人たちのキャリアアップというか、そういった観点というものもあるというふうに思いますので、これは実態に即して注視をしていただければと、そして所要措置をとっていただければというふうに思っております。  次に、地方独立行政法人法の関係についてお聞きをしたいというふうに思っております。  国立大学法人が、設立団体の長の認可を受けて、大学業務及び当該業務に附帯する業務に該当しない土地などを貸し付けることが可能になるという形でございますけれども、これ、先行した国立大学法人における同制度の活用の実績や具体例というのはいかがでしょうか。
  34. 玉上晃

    政府参考人(玉上晃君) お答えいたします。  国立大学法人におきましては、平成二十八年五月の国立大学法人法の改正によりまして、平成二十九年度から、大学の教育研究水準の一層の向上のために必要な費用に充てるために、文部科学大臣の認可を受ければ、国立大学法人の業務に関わらない使途として、将来的に大学で使用予定があるものの当面使用を予定されていない土地などを第三者に対して貸し付けることが可能となっております。  この仕組みを利用して、平成三十年度末までに九大学におきまして十二の貸付事業について認可をしております。具体的には、貸付けの認可を受けている事業といたしましては、第三者に駐車場を使途として貸し付けるもののほか、教育研究施設としての活用を含む民間事業者のための事務所のビル、それから環境保全に係る再生可能エネルギー発電事業など、貸付事業を通じた新たな財源確保するのみならず、大学の教育研究に資する事例も出てきております。  以上でございます。
  35. 和田政宗

    ○和田政宗君 非常に国立大学法人というものは地方においていい場所にいい土地を持っているというふうに思っています。先ほど岡田委員の方から話がありましたけれども、中央省庁の移転等についても、私はもしかしたら活用できる土地もあるのではないかというふうに思っています。  この中央の省庁の地方への機能移転というものは、私は、首都圏において震災が、起きてほしくはないですけれども、万々が一起きたときにそういうようなバックアップの機能としても使うことができるというふうに思っておりますので、これはそういった観点からも国立大学法人の土地利用というものをしっかりと見ていただければというふうに思っております。  通告の四番目を飛ばしまして、五番目に行きたいというふうに思っております。  公立の社会教育施設についてでございますけれども、これは本法案の社会教育法、図書館法、博物館法などの関係について質問をしたいというふうに思います。  この公立の社会教育施設について検討をした中央教育審議会の答申では、検討の背景として、過疎化や高齢化の著しい地域社会教育施設と高齢者福祉施設の複合化が進んでいることに示されるように、複合的な課題により効果的に対応するため、社会教育行政部局と町づくり、福祉、健康、産業振興等の他の行政部局、教育機関、企業、NPO等の多様な主体との連携を強化することが欠かせなくなっているとしており、このような状況の中で公立の社会教育施設の所管に関する地方からの提案があったとしております。  現状でも、ここで言われているような施設の複合化というのは進んでいるのではないかというふうに思いますが、地方自治法に基づく事務委任、補助執行の活用も可能な中で、現行法によりどのような支障が生じているのか、この辺りを詳しくお願いをいたします。
  36. 平野統三

    政府参考人(平野統三君) お答えいたします。  地方自治法に基づき、一部の地方公共団体におきましては、事務委任や補助執行により社会教育に関する事務の一部が首長部局において行われておりますけれども、中には、権限と責任の所在の曖昧さや執行上の手続の煩雑さなどを指摘する意見もあると承知しております。また、事務委任や補助執行は首長の補助機関の職員等を対象にしたものであるため、首長自身に事務委任、補助執行をさせることができません。  今回の改正による特例は、首長自身が自らの権限と責任の下において公立社会教育機関に関する事務を直接担当することが可能となるものであり、施設の運営の面についても、様々な分野の施設が複合した形で設置されている場合に、その所管を一元化することで当該複合施設の運営がより効率的に行える可能性があると考えております。
  37. 和田政宗

    ○和田政宗君 趣旨、よく分かりました。ありがとうございます。  次に、児童福祉法の関連についてお聞きしたいというふうに思います。  児童福祉法において資格要件が参酌基準となりますと、自治体ごとに放課後児童支援員の資格要件が異なることになり、地域ごとに差が発生するなどの懸念も示されるところではございますが、政府として放課後児童支援員の質の確保をどのように行うのか、答弁を願います。
  38. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。  今回の措置は、その資格要件等が従うべき基準となっていることによって人材確保が困難と、そういった地方からの要望を踏まえまして、全国一律ではなく、自治体の責任と判断によって、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うことを可能とするものでございます。また、基準につきましては、市町村地方議会の議を経て条例によって制定するものでございます。  厚生労働省といたしましては、従うべき基準が参酌化された場合であっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断によって地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えております。  厚生労働省といたしましては、放課後児童クラブの質が確保されるよう、放課後児童支援員に対する研修によって支援員の質の向上を図ること、また放課後児童支援員の処遇改善の推進、また活動内容に関する質の向上のための評価の推進ですとか、そのほかにも好事例の普及、展開や放課後児童クラブを巡回して育成支援の質の向上を図るアドバイザーの市町村への配置、こういったことを行いまして放課後児童クラブの質の確保に努めてまいりたいと考えております。
  39. 和田政宗

    ○和田政宗君 もう一つ、こういった意見もということでお聞きをしたいというふうに思うんですけれども、参酌基準というふうになりますと、放課後児童支援員の資格を持たない人が一人で子供たちを見るという状況が想定されるのではないかというような意見もありますけれども、緊急事態への対応も含めてこれはどうなるのか、答弁願います。
  40. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。  市町村が条例によって国の基準と異なる内容の基準を定める場合でございましても、放課後児童クラブの運営に当たってはお子さんの安全や育成支援の質がしっかり確保されることが前提であると考えております。  基準につきましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、市町村地方議会の議を経て条例によって制定するものでございます。従うべき基準が参酌化された場合におきましても、自治体がこの基準を十分参酌して、御指摘のような緊急事態への対応といったケースのことも含めまして、自治体の責任と判断によって地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えております。  これまで厚生労働省といたしましては、子供の安全確保については、市町村、学校等関係機関や保護者との連携体制の確保、また対応マニュアルの作成や訓練の実施に努めるように自治体に対して周知を行ってきたところでございまして、今回の参酌化に当たりましてもこういったことを改めて周知してまいりたいと考えております。
  41. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは市町村が条例を定めることによって、よりこの放課後児童クラブなどの充実というか、そういったものを図っていこうというようなことであろうというふうに思いますけれども、そういった懸念も実は子育て世代の親御さんからは示される部分もありますので、この辺りもしっかりと地方連携をしていただいて、質がこの法改正によって落ちることなく高まっていく、こういったような形にしていただければというふうに思っております。  続いて、介護保険法の関係についてお聞きをしたいというふうに思います。  平成二十九年の地方からの提案等に関する対応方針では、条例による事務処理特例制度によって中核市権限移譲することが可能であることを周知し、権限移譲必要性については検討するとされていました。その後、平成三十年の対応方針では、中核市権限移譲することとされましたけれども、平成二十九年から平成三十年にかけて行われた検討の経緯について答弁願います。
  42. 山野謙

    政府参考人(山野謙君) お答えいたします。  地方分権改革有識者会議提案募集検討専門部会での議論を踏まえまして決定されました平成二十九年の対応方針、これを踏まえまして、平成三十年度に改めて中核市に対しまして事務権限移譲に関する意向調査を行ったところでございます。  その結果、中核市から迅速かつ的確な事務の実施が可能になるとして移譲に賛成する意見が多かったことから、関係府省との間で調整の上、地方分権改革有識者会議に報告いたしまして、中核市への権限移譲が適当と判断され、平成三十年の対応方針において決定したところでございます。
  43. 和田政宗

    ○和田政宗君 これ、現行法でも、地方自治法に基づく条例による事務処理特例制度を活用して、都道府県の条例で定めるところにより権限中核市移譲することも可能であるわけでありますけれども、法改正によって全国一律に権限移譲を行うことの意義、効果についてお願いをいたします。
  44. 山野謙

    政府参考人(山野謙君) お答えいたします。  条例による事務処理特例制度でございますが、これは都道府県中核市の協議内容によりまして、権限移譲の有無も含めて中核市が処理することとする事務の範囲が決まってまいります。  一方、法改正による権限移譲でございますが、全国中核市が一律に同じ範囲の事務を処理することになりますので、当然、権限移譲による政策効果が全国に及ぶということになります。  今般の介護サービスの業務管理部門の届出受理等の権限につきましては、全国中核市が当該事務を一括して行うことで効率的かつ迅速な指導監督を可能とする必要性について厚労省におきまして認められたということもございまして、法改正により一律に権限移譲を行うこととしたものでございます。
  45. 和田政宗

    ○和田政宗君 項目が続きますけれども、次は火薬類取締法の関係についてお聞きをできればというふうに思いますけれども、原則として狩猟等に用いる火薬類を譲り受けるには都道府県公安委員会の許可が必要となっておりますけれども、特例として鳥獣保護管理法における鳥獣捕獲許可や狩猟者登録を受けた者が一定数量以下の火薬類を譲り受けるときには許可は不要とされています。  一方で、今回規制緩和の対象となる指定管理鳥獣捕獲等事業で使用する実包等の譲受けについては都道府県公安委員会の許可が必要とされておりますけれども、許可の要不要など譲渡規制を区別する趣旨について答弁を願います。
  46. 米田健三

    政府参考人(米田健三君) お答えいたします。  火薬類取締法では、火薬類の譲受けについては原則許可を必要としておりますが、消費の目的が明らかであり、かつ公共の安全の維持に支障を及ぼすおそれがないと認められる場合には、一部無許可による譲受けを認めておるところでございます。  例えば、委員指摘のとおり、有害鳥獣の駆除につきましては、これを円滑に行う必要があることから、これまでも都道府県より鳥獣捕獲許可を受けた者など公共の安全に支障を及ぼさない事業に従事する者にあっては一定数量以下の実包の無許可譲受けを認めてきたところでございます。  今般、指定鳥獣捕獲等事業につきましても、同様に安全上の管理がされていることが確認されたため、一定数量以下の実包についても無許可譲受けを認めることとしたところでございます。  今後とも、指定鳥獣捕獲等事業の実施主体である都道府県及び関係省庁とも連携しながら、安全性の確保に努めてまいりたいと感じております。
  47. 和田政宗

    ○和田政宗君 質問通告の十二番に行きます。  昨年末に閣議決定された平成三十年の地方からの提案等に関する対応方針では、この建築士法の今回の関係についてですが、一律に条例委任又は条例で法定任期以外の任期を設定可能とするというふうにされておりましたけれども、後者の条例でというようなことを選択した理由と、三年以下という上限を設けた理由について答弁を願います。
  48. 眞鍋純

    政府参考人眞鍋純君) 今回の改正法案に盛り込まれました都道府県建築士審査会の委員の任期についてお尋ねをいただきました。お答え申し上げます。  現行法上、全国一律で二年としているところ、今回の改正法案では、二年を超え三年以下の任期を条例により設定することが可能となるというように見直すものでございます。  昨年の閣議決定におきましては、今も御指摘をいただいたとおり、一律に条例委任又は条例で法定任期以外の任期を設定可能とする二つの選択肢が示されたところでございますが、今回の改正案では、必要に応じて条例で法定任期以外の任期を設定する、その範囲を二年を超え三年以下といたしました。  その理由について御説明申し上げます。まず、条例委任の方法に関しまして、全都道府県の意向を調査いたしましたところ、一律に条例委任とされた場合、現状の任期で特段の支障が生じていない都道府県にとっては、本来不要な条例制定作業を強いられることになり、単に負担が増加するだけ、その他の業務の支障が生じるなど、強い反対意見がございました。これを配慮したものでございます。  また、委員の任期について併せて都道府県の意向を調査いたしましたところ、四十の都道府県から、条例を制定せずに二年の任期を維持するとの回答が寄せられました。残る七つの都道府県からは、三年に設定したい、四年に設定したいなど回答が寄せられましたが、四年に設定したいと回答された二県についてその理由を確認いたしましたところ、特段の明確な理由はなく、三年と設定することにより支障がない、事務上負担が問題がないというふうに見解が寄せられました。  こうしたことを配慮いたしまして、条例により三年以内の期間を設定するというふうにいたしたところでございます。
  49. 和田政宗

    ○和田政宗君 時間が参りましたので終わりますけれども、現行法で足りない部分というものがこの法改正提案の中にしっかりと盛り込まれていて、法改正を行う必要があるということがよく分かったというふうに思います。  答弁ありがとうございました。時間が来ましたので終わります。
  50. 相原久美子

    相原久美子君 立憲民主党の相原久美子でございます。  地方分権が進められて二十五年が経過いたしました。今回で第九次の一括法案となります。  まず、最初にお伺いしたいと思います。地方分権改革の意義、そして、これまでの取組や成果についてどのように評価をしていらっしゃるのでしょうか。
  51. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 御指摘のように、地方分権改革、起点となったものが地方分権推進に関する決議からということで勘定しますと、もう約二十五年、四半世紀がたっておりまして、その間、かつてはやっぱり国と地方関係が余りにも上下関係的過ぎて、従えよというような主従的な風潮がなきにしもあらずだったものを、対等なんだ、対等な協力関係なんだということに転換するために累次努力を重ねてきて、その一環として地方に対する権限移譲とか規制の緩和とか、あくまでも地方自主性自立性を高めるという改革をやってきておりまして、私はそれは一定の効果があったと思っておりますし、それから何よりも一番変わったのは地方の側のマインド、マインドは相当変わったというふうに感じております。  安倍政権になりましてから、平成二十六年からは、この提案募集方式に基づいて、地方がおやりになりたいと提案されたことをできるだけ可能な限り全面的に対応するということで、地域課題の解決や住民サービス向上につながればということでやってきたわけで、例えば地方版ハローワーク、これはもう本当にたくさん増えておりますが、これで自治体が就労支援をやっていると、これを充実させると。それから、過疎地域ですね。過疎地域において救急隊、これなかなか人の基準として間に合わないということもありますから、これがまた編成基準を緩和して救急車の現場到着時間が短縮されたとか、まさに命に関わる部分も含めて、小さいことかもしれませんが、実質的には大きな話も大分実現されてきたと考えておりまして、もちろんまだまだこれでいいということはこの問題はないわけですから、引き続き頑張ってその地方の実情に沿って住民サービス向上させると。それが、国民地域における生活でゆとりと豊かさを感じられるようにということで、地方分権改革を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  52. 相原久美子

    相原久美子君 大臣は、地方のマインドが変わってきたとおっしゃるわけです。これ、後ほどもちょっと指摘をしたいと思っておりますけれども、実は平成二十六年の地方分権改革有識者会議において、これはまた、地方の発意に根差す、地方多様性を重んじる、この点から、いわゆる提案募集方式、それから手挙げ方式の提言がありまして、この両方の方式が実施されてきております。  その上で確認したいと思いますけれども、提案募集方式について、五年を経過しております。先ほども若干御説明ございましたけれども、これまでの提案方式による成果、そして課題はあるのか、その点どのような形で評価をしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  53. 山野謙

    政府参考人(山野謙君) お答えいたします。  平成二十六年から始まりました提案募集方式でございますが、これまで累計で二千二百二十件の提案が寄せられております。このうち、これまで既に扱われたものですとか、あるいは予算編成過程で検討する、そういったものを除きますと、千三百五十四件について関係府省と内閣府の間で調整を行いました。これらの調整を行った提案につきまして、提案の実現ができるもの、対応できるものの割合、これは七割を超えておりまして、先ほどもありましたが、土地利用、防災、子ども子育て支援、高齢者・障害者支援、各分野にわたって成果を上げてきておりまして、地方側からも評価をいただいています。  今年二月二十日の分権の有識者会議、それから提案募集検討専門部会の合同会議でございますけれども、こちらの方でも、これまでの成果を踏まえまして提案募集方式については更に充実させつつ継続することが適当であると、こういうふうにされたわけでございます。  こうしたことから、今後も提案募集方式を継続していきたいと考えておりますが、その効果を最大限高めていくためには、人口規模の小さい団体を中心としました提案団体の裾野の拡大ですとか、あるいは住民への成果の還元による理解、それから参加の促進が重要であるというふうに考えているところでございます。
  54. 相原久美子

    相原久美子君 今、日本には一千八百ほどの自治体があるわけですけれども、五年間で実際に取り入れてきたというのが一千三百五十四件。  私としては、まあ自治体のそれぞれの要望というのはそれぞれに違うだろうとは思いますけれども、手挙げ方式、そして提案募集方式、やっぱりこれ地域によっての温度差もあるのかなと思っておりましてね。今ちょっと御説明をいただきましたけれども、これから継続をしていくんだということですけれども、やっぱり課題として、この地域での温度差とか、それから、若干少し手挙げが減ってきている状況もありますのでこれをやっぱりしっかりと継続させていって、なおかつやっぱり自治体が本当に手を挙げやすい、そして真に望んでいる分権ということを是非精査をしていただきたいなと、これは要望として申し上げたいと思っております。  そこで、じゃ、今回の九次分権、ここをちょっと個別に探っていきたいと思うんですけれども、先ほど和田委員からも御指摘ございました社会教育法、そして図書館法、博物館法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律改正、これの現行法制でも、地方自治法の百八十条の七の規定で、事務委任ですとか、それから補助執行制度によって首長部局が公共の社会教育施設に関する事務を行うことも可能になっております。  このような事例がどの程度あって、そして、先ほど和田委員の方にも御答弁いただきましたけれども、その効果ですとか課題についてどのように評価をしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  55. 塩見みづ枝

    政府参考人(塩見みづ枝君) お答えいたします。  御指摘いただきましたように、地方自治法第百八十条の七に基づきまして、普通地方公共団体委員会又は委員は、その権限に属する事務の一部を当該普通地方公共団体の長と協議して普通地方公共団体の長の補助機関である職員等に委任し、若しくは補助執行させることができるとされております。一部の地方公共団体におきましては、これらの事務委任や補助執行によりまして、社会教育に関する事務の一部が首長部局において行われている例もあると承知しております。  公立社会教育施設における事務委任、補助執行をピンポイントで調査したデータはございませんけれども、我々が把握している限りにおきましては、平成二十九年度におきまして、社会教育に関する事務の一部を事務委任によって首長部局が担っている都道府県、指定都市は七団体、それから市町村は四十二団体、また、社会教育に関する事務の一部を補助執行によって首長が担っている都道府県、政令市は九団体、市町村は九十団体というふうに承知しております。  このような状況でございますけれども、事務委任や補助執行につきましては首長の補助機関の職員等を対象としたものでございまして、首長自身に事務委任、補助執行をさせるということはできず、地方公共団体の中には、権限と責任の所在が曖昧であるということでありますとか、あるい執行上の手続が煩雑になるというふうなことを指摘される御意見もあると承知しております。  今回の改正による特例につきましては、内閣府の実施する地方分権に係る提案募集における提案も踏まえまして、首長自身が自らの権限と責任の下で公立社会教育施設に関する事務を直接担当するということを可能とするものでございます。
  56. 相原久美子

    相原久美子君 私、ちょっとよく分からないんですね。今の地方自治法の中ででも、それなりに責任と権限はあるわけなんですね。甚だもって、権限と責任が曖昧になるなどという申出をするというのは、むしろ自分たちがそれを、責任を放棄しているようにしか私には取られないんですね。しっかりと責任はどんな形であろうとやっぱりあるわけです、地方自治体、首長には。是非そういうことを、全自治体の皆さんには責任感、そこは持っていただきたいな。決して法律のせいで責任とか所在が曖昧になるわけじゃないということを、やっぱりこれは肝に銘じるべきだと思います。  それで、政府は、今回の改正で、この社会教育施設、これを文化・観光振興や地域コミュニティーの維持発展等に資するとしています。もちろん、私それを全面的に否定はしません。確かに、博物館等々は観光とかなんとかとやっぱりコラボするということによって地域が活性化するということもあるでしょう。しかしながら、本来、図書館などは、観光というよりは住民の多様で自由な学びの権利を保障する場であると思います。それから、博物館にしても、やっぱり調査研究の場でもあります。  改正案で、これ、日本社会教育学理事会、平成三十年六月に公立社会教育施設の教育委員会所管堅持に関する要望書、これを出されました。公立社会教育施設の首長部局移管は地方自治体によっては社会教育行政が衰退していく可能性がある、このように指摘をしています。  今回の改正はこのような懸念に社会教育法に基づく教育機関としての位置付けをどう担保していくのか、お伺いしたいと思いますし、また、今回の改正では職員の任免も教育委員会から首長部局へ移ることになると思います。これ、図書館の司書ですとか博物館の学芸員の専門性が薄れるのではないか、専門外の任免にもつながりかねないのではないか、このような懸念の声もございます。これについても見解をお伺いしたいと思います。
  57. 塩見みづ枝

    政府参考人(塩見みづ枝君) お答えいたします。  今回の改正案につきましては、公立社会教育施設の所管に関する特例措置を設けるものでございまして、地方公共団体の判断により教育委員会から首長に移管した場合でありましても、それぞれの施設が社会教育法等に基づく社会教育施設であるということに変わりはございません。ですので、社会教育の振興という点を大変重視していかなければいけないという点については、これまでどおり変わりがないということでございます。  したがいまして、特例によりまして首長の所管となりました公立社会教育施設におきましても、法律法律に基づく基準等を踏まえまして、必要な専門的職員の配置でございますとか、あるい研修機会の充実等を含めまして、社会教育施設として適切な管理運営を進めていただく必要が大変あるというふうに考えております。  また、今回の改正案におきましては、地方公共団体の判断によりまして公立社会教育施設の所管を首長とする場合におきまして、社会教育の適切な実施が確保されるようにということで、教育委員会による一定の関与の仕組みを設けることとしております。  具体的には、首長が所管する公立社会教育施設の管理運営に関する規則の制定を行う際には教育委員会に協議すること、また、首長が所管する公立社会教育施設に関する事務のうち学校等における教育活動と密接な関連を有するものとして規則で定めるものの実施に当たりましては教育委員会の意見を聞くこと、また、教育委員会は職務に関して必要があると認めるときは公立社会教育施設に関する事務について首長に意見を述べることができること、この三点でございます。  当該地方公共団体におきましては、これらの仕組みも適切に活用しながら、公立社会教育施設における社会教育を適切に実施していただくということが重要であると考えております。
  58. 相原久美子

    相原久美子君 教育委員会の意見、関与や何かも否定はしていないわけですけれども、そもそも私、教育委員会のありよう、これも是非今後検討していくべきだと思うんですね。地方自治体を見ていて、本当に教育委員会というものが教育行政に関してしっかりとしたやっぱり意見を持ちながら運営されているのかというと、まあなかなか地方自治体によってこれも温度差があります。私は決して地方自治体を否定するつもりはありませんけれども、しかしながら、やっぱり良い方向にみんなが向かっていかなければならない、だとすると、考えなければならないところ、もちろん国と地方は対等ですから指導ということにはなりませんでしょうけれども、しかしながら、現場を周知した上でしっかりとしたやはり対応策、これを考えていただきたいなと思っておりますので、これは要望としてお願いしたいと思います。  そして、自治体が、私は本当に全部が全部、今回の法案を受けてさあっと皆さんが一斉に向いていくということは、なかなか今までの分権のありようを見てもそうはなっていないと思っているんですね。そういう点でいいますと、社会教育の適切な実施の確保という観点からいえば、仮にこの法案が通った場合、その後の検証、これをしっかりと見極めていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、放課後児童支援員の参酌基準化についてお伺いしたいと思います。  そもそも、放課後児童健全育成事業については、一九九四年のエンゼルプランに伴う補助制度として創設されてきたわけですよね。両親共に働く家庭が増えると同時に、核家族化が進むことによりまして、子供の健全育成と安全確保として一九九八年に法制化がされてきました。保育園の待機児童と同じく、利用者のニーズは高まってきたと言わざるを得ないと思います。  それで、二〇一九年の放課後子ども総合プラン、ここで人数分確保するんだということが閣議決定をされ、そしてその進捗状況はどうだったのか。また、二〇一九年度から二〇二三年度まで、これ厚生労働大臣の記者発表なんですけれども、約三十万人分の受皿をつくると発表されました。そして、その概要は新・放課後子ども総合プランとして作成されましたけど、その概要、それからその前のプランですね、それまでの成果、その辺についてお伺いしたいと思いますが。
  59. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) 委員指摘のとおり、女性就業率の上昇に伴いまして、放課後児童クラブのニーズが増加しております。その中で、待機児童を速やかに解消していく必要があると考えております。  そのため、まず、二〇一四年に放課後子ども総合プランを策定いたしました。そのプランにおきましては、二〇一五年度から二〇一九年度の五年間で約三十万人分の新たな受皿整備を行うことといたしました。この実績ですが、二〇一五年度から二〇一八年度の四年間、計画よりも一年短い四年間で登録児童数が二十九・八万人増加をいたしまして、目標を達成したものと考えております。  しかしながら、依然として待機児童が生じている状況でございますので、昨年九月に新・放課後子ども総合プランを策定いたしまして、これに基づいて今年度から三年間で約二十五万人分の受皿整備を行って、二〇二一年度末までに待機児童を解消するということを目標としております。また、その後、二〇二三年までに更に受皿整備を行って、合計で三十万人分の整備をすることによりまして、子育て世代の女性就業率八〇%程度となった場合でも対応できることとしております。
  60. 相原久美子

    相原久美子君 これ、先日の子ども・子育て法案に関連してくるんだと思うんですね。働く人が八〇%になっても対応できると、これはかなり皆さん指摘されていたわけですけれども、本当にこれで解消できるのかなと。時代が流れていきますし、状況が変わってまいりますので、是非、かたくなな姿勢ではなくして、足りなさそうだなという状況が生まれましたら、しっかりとその検証をされて、また更に対応を図っていっていただきたいと思うんです。  やっぱり、保育園にしても待機児童を本当にゼロにするというのはなかなか難しいものがあるとは思いますけれども、しかしながら、目標値を誤っていきますと、そもそもが、もう出口が変わってきますからね、是非その辺はよろしくお願いしたいと思います。  そして、時代の流れの中で、確かに、言われているように、統一されていない基準のままずっときたわけですけれども、二〇一五年に一定の基準を確保するんだということで従うべき基準ができたわけですよね。  まず、基本的なところをお伺いしたいと思います。なぜ従うべき基準というものが生まれたのか。そして、この四年間のこの従うべき基準、これの検証はなされたんでしょうか。お願いいたします。
  61. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。  御指摘のありました従うべき基準の設定ですが、これは平成二十七年度に、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準におきまして、職員の資格と員数については従うべき基準、それ以外の基準、例えば面積や児童数については参酌すべき基準とされまして、これを踏まえて市町村が基準を条例で定めることとしてきたところでございます。  この基準を踏まえまして、放課後児童クラブにつきましては、これまで適切に運営されてきたものと考えております。例えば、平成三十年時点では、児童一人当たりの専用区画の面積が一・六五平方メートル、これが参酌基準でございますけれども、その参酌基準以上のクラブが七四・六%、また一支援単位当たりの児童数につきまして、四十五人以内の支援単位が七三・八%となっておりまして、これが基準制定後の状況ということでございます。
  62. 相原久美子

    相原久美子君 私、結構、全国各地の児童館ですとか放課後児童クラブとか回ることが多いんです。是非実態を見てください。  確かに守られているところもあります。でも、実は地域によっては非常にお子さんのバランスが崩れているところがありまして、小学校一年生から六年生までというと、非常に動きの度合いも違ってきている、体格差もある、そういう中で、本当に安心なんだろうか、安全なんだろうかと危惧するところも多々あるんです。そういう実態を見ながら是非検討もされていただきたいなと思います。基準値でいくとかなりのパーセンテージで敷地なんかも確保されているというふうにお話しいただきましたけれども、いいところは当たり前なんです。でも、そうじゃないところをどうしていって安全を担保していくかということが一番の問題なんで、そこを見ていただきたいなと思います。  今回、この要望というのは、自治体からは職員が集まらないことからの要望であるというふうにお聞きしました。  まず、現場で働く支援員の実態についてお伺いしたいと思います。  そこで、放課後児童クラブに働く職員というのはどのくらいいらっしゃって、どの程度の年収なのか、お分かりであれば御説明いただければと思います。
  63. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) 放課後児童クラブに従事する職員の数についてのお尋ねでございます。  こちらは平成三十年五月一日現在の数字で、まず常勤職員の方が三万六千二百二十人、常勤職員以外の方が十万七千四百四十九人となっております。  また、収入でございますが、平成二十八年度に実施いたしました放課後児童クラブの経営状況等に関する調査におきましては、年額で二百七十・三万円となっているところでございます。
  64. 相原久美子

    相原久美子君 これまたちょっと私よく分からないんですけれども、ちょっとレクでもお伺いしたんですけれども、確かに放課後児童というと学校が終わってからいらっしゃいます。だから、丸々八時間のフルではないとは思います。常勤と常勤以外としているわけですけれども、この常勤というのは、その放課後児童のところでいうとフルタイム的な形なんだろうと思うんです。ただ、これ、放課後児童って三季の休みがあります。学校は三季の休みがありますね。そうしますと、総体的に言うと年間のやっぱり労働時間って我々とそうそう変わらないわというような状況になりかねないんですよ、まず。  ですから、まず実態調査をする場合、その職域に応じた形の実態調査というのをまずしていただきたい。それは、フルタイムだとしても、大体放課後ということであって、帰るまでの時間帯という想定だとしても、年間だと総労働時間はどのくらいになっている人たちなのかとか、それから短時間といえばどういう形での方たちが多いのか。実態をつかむというのは私はそういうことだと思っておりますので。是非、今後恐らくまだまだ需要が増えて、人が集まらないという要因の一つ、私はでも絶対的に処遇と、これ恐らく保育園の保育士さんと同じなんです、処遇と、そして労働実態、この過重の部分だと思っておりますので、これは今後しっかりとやっぱり検証していただきたいんですね。調査をしていただきたい。  そして、年収が二百七十万というふうにおっしゃっております。恐らくこれも、いわゆる常勤換算でいくと、一時間の単価にするとそれほど高くないんだと思います。そういうことも含めると、こういうことがあるからだと思うんですけど、二十九年度から放課後児童指導員キャリアアップ処遇改善に予算措置もされましたよね。しかし、これ自治体の負担分があるということもありまして、余り利用されていないようなんですね。この実情をお伺いしたいのと。  それと、やっぱり私、過重な業務量というのも人が集まらない一つの要因だと思っているので、まあ実態はちょっと調査はしていらっしゃらないかもしれないので、これは希望だけにしておきますけれども、どれだけの業務量があるのか。恐らく保育園の保育士さんと変わらない状況が現場で生まれているんだと思いますので。  まず、そのキャリアアップ処遇改善、これの実態についてお伺いしたいと思います。
  65. 新谷正義

    大臣政務官(新谷正義君) 委員おっしゃられるとおり、放課後児童支援員等の待遇を改善していくこと、これは人材確保を図るとともに、またこれは放課後児童クラブの適切な運営を図る観点から大変重要であると、そのように認識をしております。  厚労省としましては、職員の勤続年数あるい研修実績等に応じた処遇の改善を図るために、平成二十九年度から放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業を行っているところでもございます。この事業は、職員の給与改善に使途を限定したものであるために、本事業を実施している市町村においては一定の処遇改善は図られていると、そのように認識をしているところでございます。  一方で、本事業は始まって日が浅いところでございまして、実際一部の市町村での実施にとどまっておりまして、この低い実施率にとどまっているという、そのように認識をしておるところでもございます。  多くの自治体でこの事業を活用していただけるよう、この放課後児童支援員の処遇改善を図っていただくために、全国主管課長会議を始め、文科省との連携の下で開催している全国五ブロックにおける説明会、こういったものなどを活用して、あらゆる機会を通じてこういう事業に関して働きかけをしてまいりたいと、そのように思っておるところでございます。
  66. 相原久美子

    相原久美子君 処遇改善が必要なんだという認識はお持ちのようですけれども、まずここをしっかりと手当てをしていかなければ、今、人が来ないんだという状況が決して変わることはなくて、どんどん人が来ない職場になりかねない。これ、保育所と同じ状況が生まれかねないんです。是非、そこの部分、認識をしていただきたいなと思っております。  そこで、このような職場で働く職員についてですけれども、今、いわゆる自治体の直営で運営されている現場、ここでどういう状況が生まれてきているかといいますと、いわゆる地方公務員法と地方自治法の改正で、公的ないわゆる自治体で働く現場では臨時とか非常勤とかと言われる非正規、この人たちの任用の変更、これが法案化されたんですね、成立いたしました。会計年度任用職員ということで改正になったわけですけれども、その制度についてちょっと御説明いただければと思います。
  67. 大村慎一

    政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。  臨時・非常勤職員の適正な任用、勤務条件確保を図る観点から、平成二十九年の地方公務員法等の改正によりまして会計年度任用職員制度を御指摘のように創設いたしまして、来年四月一日から施行することといたしております。  この制度は、一般職の非常勤職員である会計年度任用職員の任用、服務規律等の整備を図るとともに、期末手当の支給を可能とするものでありまして、その処遇の改善にも資するものと考えております。
  68. 相原久美子

    相原久美子君 公務の職場で臨時とか非常勤職員として勤務している、その中には放課後児童支援員等々も相当数いらっしゃいます。実態をお伺いしようと思ったのですが、職域でそうやって分けて調べたあれはないということだったんですが、私は地方を回っていて肌で感じますけれども、相当数、自治体の中で臨時とか非常勤職員として、支援員として、それから児童館の指導員として働いていらっしゃる方がいらっしゃいます。  そこで、ちょっとこの会計年度任用職員なんですけれども、総務省にお伺いしたいと思いますけれども、短時間勤務者であっても、通勤手当の費用弁償はもちろんのこと、時間外に見合う報酬の支給ですとか期末手当の支給は可能であると認識しているのですが、よろしいでしょうか。
  69. 大村慎一

    政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。  御指摘の公設公営方式、いわゆる自治体直営の放課後児童クラブにおきまして、来年度以降、地方公共団体が非常勤の放課後児童支援員を任用する場合にはこの制度の対象となりまして、会計年度任用職員として任用することが可能となります。その上で、御指摘のパートタイムの会計年度任用職員の方につきましては、通勤手当、時間外勤務手当などに相当するものは支給されることになります。  具体的には、通勤手当に相当するものについては費用弁償として支給をいたしまして、時間外勤務手当に相当するものなどは報酬として支給をすることになります。また、今般の地方公務員法等の改正によりまして、会計年度任用職員に対しましては、一定の条件の下で新たに期末手当を支給できることとしたところでございます。  総務省としては、このような取扱いについて、事務処理マニュアルなどにおいて各地方公共団体に対してお示しをしております。今後とも、各団体において円滑な制度導入が図られるように、引き続き必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
  70. 相原久美子

    相原久美子君 そこで、厚生労働省にお伺いしたいと思うんです。  地方の声として職員のなり手がいないことから参酌基準化するんだということなわけですけど、私、保育士不足と同じで、支援員の処遇改善が図られなければ、ますますやっぱり待機児童は増えていって、更に深刻な問題になるんだと思っております。  そこで、先ほど、今指摘されたように、一部ですけど、これ民間の運営もありますけれども、公的、いわゆる自治体直営の部分なんかでいいますと、ここの支援員に対しては会計年度任用職員という形に移行していくという形で、恐らく今年の十二月ぐらいまでには条例改正等々がなされていかなければならない状況にあるんだと思います。  そうしますと、当然支給されるべき手当、これらを考慮した放課後児童クラブの運営補助金、これを考えていかなきゃならないんじゃないかなと思うんですけれども、これは思いがあっても相手は今度財務省ということになりますけれども、ちょっとその辺の決意等々についてお伺いしたいと思います。
  71. 新谷正義

    大臣政務官(新谷正義君) お答え申し上げます。  これまでも、人件費あるいは運営費に関しては必要な単価の見直しを行ってきているところでございます。ただ、委員もおっしゃられたとおり、この運営には民営と公営もございますし、その中でいろいろと実態を踏まえてこれは進めていく必要があろうかと考えているところでございます。  引き続きまして、この放課後児童クラブ運営に係る必要な経費確保、これに向けては、来年度の予算編成過程でしっかりと検討してまいりたいと、そのように思っております。
  72. 相原久美子

    相原久美子君 先ほど岡田委員財源の問題を指摘していましたけれども、やっぱり地方が本当に自主性を持って取り組んでいく姿勢というのは私は大事だとは思っております。  しかしながら、伴うのは権限とともに財源なんです、必要なのは。そして、なおかつここで一番大事なのは、放課後児童を預かるというのは子供の安全、これが第一なんです。そして、預ける側の親の安心も担保しなきゃならないんです。そうしますと、私は、公設であれ民営であれ、やっぱりいい方向に進んでいってもらわなければ分権の意味合いはないと思っています。  ですから、今回のように、地方の声でそういうふうなことが上がってきたとしましても、私、地方自治体によって非常に温度差があると思っています。もちろん、どの自治体の方たちも子供の安全、親の安心というのはしっかりと考えていただいているとは思います。しかしながら、実態は本当に地域によって違うんです。これで本当に子供の安全が守られるんだろうかというような児童クラブとか児童館があります。  そういうことをしっかりと受け止めていただいて、そしてなおかつ今回のように人材が集まらないからという理由だとするなら、なぜ集まらないのかと。これは、先ほど来ずっと指摘していますように、やっぱり処遇なんです。そして、それと業務量の問題なんです。ここを縮小していったら、子供の安全、親の安心は守れません。是非、しっかりと予算編成時にやっぱりそういうことを念頭に置いて確保をお願いしたいと思っております。  そして、最後になりますけれども、大臣に本当に率直なところの御意見をお伺いしたいと思います。  私、地方分権は進めるべきだと思います。そして、地方も自分たちの地域で分権を進めるにはどういう住民の要望があるのか、どういうやっぱり返し方をしていくのが必要なのか、そういうことを本当にしっかりと考えた分権であってほしいと思います。  もう九次になってきました。九次分権。まあ申し訳ないのですが、ちょっと分権に値する形かなと考えますと、私はまだまだ本当に必要な分権、地方から声が上がっている分権になっていないと思っています。瑣末なことではなくて、本当にしっかりと地方が自分たちの地域を見渡して自治をつくっていく、そういう方向に持っていきたい。  今回の放課後児童、それから教育施設なんかですと、確かに地方から声上がってきたかもしれないけれども、それは一部です。議会の決議の中にはこのまま基準は維持してほしいというような、こういう決議も相当数上がってきているんです。そういうことを踏まえまして、ただ単に声が上がってきたから、ああ、対等なんだから声に応えたよということではない、本来のやっぱり地方分権大臣が先ほど来おっしゃっておりますけれども、しっかりと本当にそれぞれの地域の特性を見てそしていけるような分権、これから担当大臣としてのまず思い。  そして、もう一つ気になりますのは、残念ながら、この内閣委員会でいつも私感じています。担当大臣はたくさんいます。でも、所管大臣がまたほかにいるんです。今回もそうですよね。この子供の問題にしてもそうです。文科であり、厚生労働でありというように所管が分かれている。その中でリーダーシップを取っていかなければならない担当大臣としての決意をお願いしたいと思います。
  73. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) ただいま相原委員から、長い御経験に根差した地方分権かくあってほしいという非常にいいお話をいただきまして、地方分権につきましては、やはり基本として地方がこれをやりたいと思うことを信頼してお任せするというスタンスに立って、地方分権所掌の我々、担務を担っている者は大臣を筆頭に努力をしているわけですが、だからといって、個別の改正に係る課題を我々が受け止めなくていいということではないということはもう重々分かっておりまして、目指すべきことは地域の皆さんの満足度の向上、安心、安全な暮らし、そういうことでございますので。  例えば、公立社会教育施設に係る見直しについては、その所管省庁との議論の際にそういった御意見も受け止めながら、そういった御意見に対してもちゃんと、これで大丈夫なんですねという議論を相当繰り返してきて、また、今回最も議論になっている問題の一つであるこの放課後学童の問題ですが、これは二十九年から出ていて三年目なんですね。その間にはいろんな意見があって、また今回、議会が議決されたところもございます。そういうことも全部私どものところに入ってきておりますが、それでもやるんですねと、そして質の問題は大丈夫なんですねと、本質的にはやはり処遇ですよと、それはそうでございます。こういうことに人手不足の中でいい人に来ていただこうと思ったら、それは処遇を上げられれば上げた方が、それはもう当然そういう流れでございますから、そういったことも議論しつつ、それでも二度三度と、どうしても任せてほしいと、参酌にしてほしいとおっしゃるので、じゃということになったんですよ。  急に言われて急にはいと言った、そんなに軽い気持ちではとてもこういう問題はできないのでございまして、そこはもう当然、院としても議論をいただいて御意見をいただいているということで、今の御指摘、十分踏まえながら、いい目的に向かってまいりたいと、かように考えております。
  74. 相原久美子

    相原久美子君 是非そういう思いで、本当に担当大臣としては範囲も相当広いですし、単なる分権ということでなくて、それぞれに所管の省庁があり、意見交換もして、そして実態もつかんで、本来の分権のありようという視点から多分言っているんだろうと思います。  ただ、やっぱり危惧の声があるということも受け止めていただいて、それはまさに国民の声なんですね。預ける親の声、そしてそこで過ごす子供の声、そして地方で研究、研さんを重ねている方たちの声なわけですから、是非そこはしっかりと受け止めて今後の分権も進めていただければと思って、意見として、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  75. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  76. 石井正弘

    委員長石井正弘君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、こやり隆史君、宮本周司君及び野上浩太郎君が委員辞任され、その補欠として有村治子さん、小野田紀美さん及び中西哲君が選任されました。     ─────────────
  77. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 休憩前に引き続き、地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  78. 木戸口英司

    木戸口英司君 国民民主党・新緑風会、木戸口英司です。  まず冒頭、一昨日、川崎市で発生した殺傷事件、小学六年の女児と別のお子さんの父親、お二人が命を落とされました。事件の動機は不明ですが、卑劣で残忍な凶行は本当に許し難いものがあります。亡くなられたお二方の御冥福をお祈りし、児童十六人と保護者一人の計十七人が重軽傷を負っています。お見舞いを申し上げ、早い回復をお祈りいたします。  子供の安全対策の困難さを突き付けられる事件ではありますけれども、子供が安心できる社会の構築は政治の責務です。事件の全容と背景の解明と併せ、政府の真剣な取組を要望いたしたいと思います。  それでは、質疑に入ります。  大臣は、提案理由の説明の中で、地方分権改革は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマですと述べられました。  今日は、五年目となる地方創生取組を振り返りつつ、法案について質問をいたします。  二〇一四年に国が地方創生を打ち出した当時、私は県庁に勤務をしておりました。国が本格的な地域政策を進めてくれるという期待、地方から大きな期待を持って受け止められていたと思います。また、人口減少問題がリアルなものとして真剣に受け止められるきっかけになったという点は大きかったと思います。  しかし、東京一極集中の是正を掲げ、年間十万人の東京圏への転入超過をゼロにするという目標に対して、直近で十三万人を超えて、目標から遠ざかっている実態があり、地方の現状を見ても、期待に応えられる状況になっているとは言えないのではないでしょうか。成果も上がっていることも承知をしておりますけれども、次の五年に向けた政策の検証、見直しも急務、大事であると考えます。  そこで、お手元に、まち・ひと・しごと創基本方針二〇一九骨子案概要をお配りしております。これは、五月二十日、総理を議長とするまち・ひと・しごと創会議が開催され、例年六月に閣議決定されているまち・ひと・しごと創基本方針の骨子案が示されたもので、まずこの件についてお伺いをいたします。  骨子案では、第一期における地方創生の現状等が総括されるとともに、第二期に向けての基本的な考え方が示されております。概要版お配りしておりますので、端的にこの御説明をまずお願いしたいと思います。
  79. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 御指摘のその基本方針は、年末に策定する総合戦略の前提として例年六月頃に策定をしておりまして、主に次年度一か年の方針なんですけれども、今般の基本方針二〇一九につきましては、来年度の方針のみならず、来年度から五か年間にわたる第二期まち・ひと・しごと全体の基本的な考え方をお示しするものとなってございます。  先日の会議におきましてこの骨子案を御説明したわけですが、まず第一期における地方創生の現状などを総括させていただいて、農業の輸出ですとかインバウンド、観光など、好調となっているものもある一方で、東京一極集中が依然大きな課題等、そういった冷静なきちっとした現実認識もさせていただいているというつもりでございます。  また、こういうこれまでの検証に基づいて第二期に向けた基本的な考え方をお示ししておりますが、その流れとしては、具体的には、地方仕事をつくる、地方への新しい人の流れをつくる、若い世代の結婚、出産、子育ての御希望の実現、町をつくるという今の四つのまち・ひと・しごとの基本目標の枠組み自体は維持した上に、新たに、やはり人が大事だということで、人材育成、活用やSDGs的な思想がまさにこれからの地域には非常に必要だと皆様からも承っておりますので、誰もが活躍できる地域社会といった観点をしっかり位置付けるというふうにさせていただいたところでございます。  さらに、具体的に新たな視点として、地方公共団体に加えてNPOや企業などと協働する、それから人材育成、活用を更に強力に推進する、ソサエティー五・〇などの新しい流れを力に変えていく、東京一極集中の是正に向けて地方への人や資金の流れを、今までで集中が止まらなかったんだったらもう強化するしかありませんから、強化する、そして女性、高齢者、障害者、外国人の方も含めてみんなが誰もが活躍できる地域社会の実現、さらに地域経営の視点で取り組むなどといった御視点を示させていただいておりまして、これを基にまた有識者を始め関係省庁等、非常に幅広く御意見をいただいているところでございまして、これらを踏まえまして、六月中を目途としてこの基本方針二〇一九を策定してまいりたいと考えております。
  80. 木戸口英司

    木戸口英司君 指摘、また捉え方ということはそのとおりだろうと思います。その中で、やはり地方が望む自立の姿、そして東京一極集中を是正するという実効性ですね、それがどのようにこれから担保されてくるかということをしっかりと見ていかなければいけないと思います。  骨子案では、第二期における新たな視点を今御説明あったとおり六つ提示しており、四点目の特に地方への人、資金の流れを強化するということ、将来的な地方移住にもつながる関係人口を創出、拡大するということを挙げています。これまで仕事地方に人を呼び込む循環をつくろうとしながらも、大都市に仕事を求めていく人の流れを変えるのは容易なことではなかったということだと思います。  この点、地方への人の流れの現状認識、そしてこの関係人口という意義、このことについて説明を願います。
  81. 川合靖洋

    政府参考人川合靖洋君) お答え申し上げます。  人の流れにつきましては、全国的な景気回復が続く中で依然として東京圏への一極集中の傾向が続いておりまして、二〇一八年には日本人移動者で見て十三万六千人の転入超過を記録し、東京一極集中に歯止めが掛かるような状況にはまだなっていないものと認識しております。  このような中、過度な東京一極集中の是正等を図るための施策の一環といたしまして、今年度から、地方にUIJターンをして起業あるいは就業される方々に地方創生推進交付金を活用して最大三百万円を支給する新しい制度を創設したところであり、既に三十八道府県に対して交付決定をいたしたところでございます。  一方で、東京圏等に住みながらも特定の地域に対して強い関心を有し、地域との関わりを深く求めていく方々も増えてきておりまして、地域に移住した定住人口やあるいは観光に来た交流人口ではなく、こうした特定の地域と継続的に多様な形で関わる都市住民等を広く関係人口と称しているところでございます。  この関係人口の創出、拡大を図ることにつきましては、地域における多様な課題の解決やにぎわいの創出に資するとともに、将来的な地方移住者の増加にもつながることが期待されることから、人口減少や高齢化に悩む地方においては地方創生の更なる推進を図るため重要な意義を有するものと考えているところでございます。  こうした観点から、先般、まち・ひと・しごと創会議でお示しをさせていただいたまち・ひと・しごと創基本方針二〇一九骨子案におきまして、将来的な地方移住にもつながる関係人口を創出、拡大するという旨を位置付けたところでございます。
  82. 木戸口英司

    木戸口英司君 関係人口という捉え方、私もそれはそれで重要だと思いますけれども、一つの捉え方だと思うんですね。そのことが大きな流れとなるかどうかということは注視していかなければいけないと思いますし、一つ指摘しておきたいのは、この地方からの東京への流出というのは一定規模で膨らんでいるわけではないんですね。その時々の時の政策、そして地方への手厚い例えば財政支援が拡充されたときに確実に地方からの人口流出というのは減るんです。これはやっぱり政策の誘導で必ずこれ変えられるということ、これは統計的に表れておりますので、これは一つのトレンドではない、政策によってこれは変えられるものだということをまずは強調しておきたいと思います。ということは、今十三万人に増えているということは、政策によってこれは拡大されているということを、これは強く指摘しなければいけないと思います。  骨子案の各分野の当面の主要な取組では、連携施策等として、地方分権改革との連携、東日本大震災の被災地域における地方創生集中的な促進、国土強靱化等との連携などが挙げられています。この点について、これまでの取組と今後の推進の方向性について説明を願います。
  83. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) この関係省庁との連携、それから様々な連携施策等との関係というのは非常に重要なものと考えておりまして、まず議員御指摘地方分権につきましては、その自治体が抱える地方創生の諸課題に対して現場目線での改革がなされるものであり、地方創生の基盤として重要でございますので、これまでもまち・ひと・しごと総合戦略に位置付けてきたわけでございます。  また、東日本大震災からの復興につきましては、この三月に、復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針の変更についてという閣議決定におきまして、地震・津波被災地域につきましては、復興の総仕上げに向けて、被災地の自立につながり、かつ地方創生のモデルとなるような復興を実現することを目指し、この取組を進めるというふうに入れていただいたところでございまして、これを踏まえまして、被災地域における地方創生の加速化に向けた取組につきまして復興庁と検討しておりますし、更に連携して検討してまいりたいと考えております。  また、国土強靱化につきましても、昨年十二月に、国土強靱化基本計画の変更につきましてで閣議決定をさせていただきましたが、そこで、東京一極集中など過度に集中した国土構造のリスクを分散させるために、地方創生取組とも連携しながら効果的な方策について検討を行うというふうに入れていただいたところでございまして、また、今般の第二期に向けても、やはりこの国土軸的な考え方とかリスク分散とか、これは非常に重要な要素でございますので、そういった安心な町づくり、安心して住み続けられる町づくりということもしっかりと施策に連携しながら推進をさせていただきたいと、かように思っております。
  84. 木戸口英司

    木戸口英司君 今大臣おっしゃったとおり、国土強靱化との関連性ということが非常に大事だと思います。もちろん、基本的にそこに人が住んでいなければ国土強靱化ということにもつながらないわけでありますので、そこの連携した取組ということを地方も期待しているところでありますので、この点は力を込めて進めていただきますようにお願いいたします。  そこで、政府は例年六月にまち・ひと・しごと創基本方針、十二月にまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定しています。都道府県及び市町村は国の総合戦略を勘案して地方版総合戦略の策定に努めなければならないこととされ、ほぼ全団体でこれが策定されています。この改訂作業も必要になってくると思います。  第一期の地方版総合戦略策定に当たっては、国が早期に総合戦略を策定した団体には地方創生先行型交付金を上乗せするという誘導手法を取ったことなど慌ただしいスケジュールでの対応を求めたこと、非現実的な人口推計、まあこれは一部でありますけれども、あるいはコンサルタントへの丸投げなどの問題も生じたということも実態であります。  この早い者勝ち的な手法、これ国が主導するということは地方創生の理念にマッチしているんでしょうか。ふさわしいんでしょうか。国と地方の第二期総合戦略の策定スケジュールについて考え方をお伺いいたします。
  85. 辻庄市

    政府参考人(辻庄市君) お答え申し上げます。  まず、国についてでございますけれども、今後、六月をめどとして策定いたしますまち・ひと・しごと基本方針二〇一九を基に検討を進め、年内に令和年度からの五年間を期間とする第二期まち・ひと・しごと総合戦略を策定したいと考えております。  各地方公共団体におきましても、地方創生充実強化に向け、切れ目ない取組を進めていただけるよう、今年度に計画期間が終了する地方公共団体におきましては、基本的には今年度内に次期地方版総合戦略を策定いただきたいと考えております。このため、各地方公共団体の改訂作業に資するよう、既に改訂の進め方についての考え方や人口動向分析データの提供などを行っているところでございます。  引き続き、国の方針や今後のスケジュール、国における第二期総合戦略の検討状況に関する情報提供を行うほか、策定の手引の改訂周知や説明会の開催など、きめ細かく自治体支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
  86. 木戸口英司

    木戸口英司君 こういった地方の計画作りが本当に地方の自立につながっていく、地方の体制、基盤強化につながっていく、そのことを丁寧にやはり進めていくことが大事だろうと思います。  その上で、地方創生により東京一極集中構造の是正や首都機能の地方分散が明確に打ち出されるなど、それまで思い切った地方分権政策がこの地方創生が示されるまで余り示されてこなかったということで、地方からは骨太の方針が出てくるものと期待の高まりがありました。  中でも期待が大きかったのは、自治体自主性、主体性を高めることにつながる自由度の高い交付金であったと言えます。しかし、予算の規模、使い勝手の悪さなど、不満が多かったのも事実ではないでしょうか。このような地方からの指摘に対し、所見をお伺いいたします。
  87. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 御指摘地方創生推進のための予算、なかんずく地方創生推進交付金でございますね、これにつきましては、平成二十八年度の創設以降、確かにいろいろ御指摘も踏まえまして、特に地方からの御要望にできるだけ寄り添うように逐次運用改善を行ってまいりました。  また、特に、今度は今年から来年に向けて、五か年ということもあるものですから、昨年の十一月から地方創生推進交付金のあり方に関する検討会というのを私どものところで設けまして、そこに地方自治体側の代表者を入れて、地方自治体がいつも御相談をしているような学者の方にも入っていただき、有識者交えて、次期総合戦略を見据えてこの制度の在り方や運用改善等について議論を行ってまいりまして、年末に、中枢中核都市向けの交付上限額の新設とか、企業版ふるさと納税との併用を可能にし、さらに併用に関するインセンティブを設けるなど、そのほか細かいことも含めて一層の運用改善を行いまして、さらに、五月二十三日に検討会の最終取りまとめを公表させていただいたんですが、第二期総合戦略を見据えて、未来技術を活用したチャレンジを促進するための新たな支援の仕組みの導入ですとか、企業版ふるさと納税などの民間資金確保を促進するための運用改善などの方向性を盛り込んでおりまして、こういった見直しにつきましては地方六団体との意見交換会におきましても全国知事会長ほか多くの方から一定の御評価をいただいたということでございまして、今後の、六月中の基本方針の策定や、夏の概算要求、さらには年末の第二期総合戦略の策定、新年度予算案の編成等のプロセスの中で、引き続き、継続的に地方の御意見を聞きながら、必要な規模の確保も含めて頑張ってまいりたいと、かような方針で臨ませていただきたいと思います。
  88. 木戸口英司

    木戸口英司君 改善が進んでいるということでありますけれども、もう一つ大きな踏み込みが必要ではないかと思います。  その中で、関連しますけれども、この地方創生では、先駆性のある取組、既存事業の隘路を発見し打開する取組、先駆的事例、優良事例の横展開など、高い要求水準が示されてきました。地方からは、先駆性と優良事例が強調され過ぎて、現場で真に求めている事業が採択されないという声が強かったと言えます。  今回の法案にも関連するところではないかと思いますが、国が推奨する施策に誘導するような交付金の指導は、地方の創意を生かし自由度を高めていく方向と逆行するとの指摘もありますけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。
  89. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 地方創生取組のための予算ということになりますと、この平成二十七年度以降、毎年度地方財政計画に一兆円のまち・ひと・しごと創事業費というのが措置されておりますが、この地方創生推進交付金制度は、これに加えて平成二十八年度以降、毎年一千億円規模確保しているものでございまして、地方公共団体の自主的、主体的な取組のうち、特に先導的、先駆的なものを支援し横展開を図っているというふうにしておりますのは、こういうゆえんによるところでございます。  この交付金の、地方公共団体による自主的、主体的な事業設計に合わせてKPIを設定し、PDCAサイクルを確立していくということの中で幅広い活用を可能としているものという形で設計をしておりますので、特定に何々をしてくれというような形を意図しているのではないということは御理解をいただきたく、例えば、地域におけるベンチャーの起業支援とか地域商社の設立支援というのは、これは商社をしたって何を扱うかは全くその地域の特性によるものでございますし、DMOにしても相当幅のある概念、DMO、CCRCにしても相当幅のある概念ですし、小さな拠点につきましてはこれを目指される主体は本当に幅広いですから。  そういう意味で、地域課題に応じてユニークに自発的にお取組をいただけるようなということを大事にしながら、地方の声を聞きながら見直しもしてきておりますので、今後もさらにそういった寄り添う姿勢で地方創生取組が効果的に発揮できるような制度としてまいりたいと考えております。
  90. 木戸口英司

    木戸口英司君 財政厳しい中で予算をしっかり獲得していく、その担当部局の努力ということは私も理解いたしますけれども、そういった地方の声にもまた寄り添っていただきますように指摘をさせていただきたいと思います。  そこで、仕事地方に人を呼び込む循環づくり、これまでの地域政策の主要なテーマでしたけれども、大都市に仕事を求めていく流れを変えるのは、先ほど来指摘しているとおり簡単ではなかったと言えます。  最近は、地方においても人手不足問題が深刻であり、仕事さえあれば地方に人が戻ってくるという状況ではありません。地方における企業側と雇用者側とを丁寧にマッチングさせながら雇用調整や職業訓練を進めて地方に人を定着させていくことが重要であり、国が主導する職業あっせんを超えた、より地域に密着した雇用調整の仕組みが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
  91. 田畑一雄

    政府参考人(田畑一雄君) 議員御指摘のとおり、地方人材不足などの雇用問題に対しましては、より地域に密着した対策を講じることが必要であり、このためには地方公共団体との連携が不可欠であると考えております。  厚生労働省では、これまでも、国と地方公共団体が一体となって総合的に雇用対策に取り組むために、都道府県労働局長と地方公共団体の首長との間で雇用対策協定を締結することや、ハローワークが行う無料職業紹介等の行政サービス地方公共団体が行う福祉関係業務や職業相談業務等の行政サービスを同一施設でワンストップで提供する事業、一体的実施事業と呼んでおりますけれども、こういったことを実施するなど、国民に対する行政サービス向上のため、様々な施策に取り組んできたところでございます。  一例申し上げますと、岩手県と岩手労働局との間で岩手県雇用対策協定というものを結んでおりますけれども、この協定に基づき、震災からの復興推進地方創生、若者、女性、高齢者、障害者への支援、職業訓練の効果的な実施のための連携といった施策を県と労働局との連携で進めているところでございます。  こうした各地の連携策、地方公共団体、経済界、労働界からも御評価をいただいているものと考えており、今後とも国と地方公共団体が更なる連携強化を図り、より地域に密着した住民サービス向上させてまいります。
  92. 木戸口英司

    木戸口英司君 まさに連携強化ということでありますし、分権というところも、この点非常に重要なところだろうと思いまして、それによって強化されていくということが重要だと思います。  そこで、ちょっと総括的に大臣にお伺いいたしますけれども、地方創生地域間をある意味計画で競わせて、定住人口、交流人口をお互いに、まあ言葉は選ばずに言えば、奪い合っていくという政策方向だという指摘もあります。大都市から地方への思い切った分散を国土政策として骨太に展開していくことが地方創生を進める国の大きな責務と考えます。  その意味で、この東京一極集中への施策の検証、分析と今後の取組、決意をお伺いしたいと思います。
  93. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 今国会でもいろいろな場で大変この転入超過数が十三・六万人に増えたことについての議論を展開され、総理からも何度もお答えをいただいているところでございますが、過去、高度成長期には大変な人数が東京集中したこともございます。そのときに、じゃ、地域に全く国家予算として投資していなかったかというと、そのときには日本改造とかもありましたから、投資はしておったわけですよね。全体として今よりも出生率はずっと高かったわけで、そういった様々な複合的な流れの中で今がございます。  そこで、要因の分析も、経済団体等にもヒアリングをしながら有識者会議等とかでも進めておりますが、どうも一様に言えるような単純なものではないということの中で、例えば来年は東京五輪でございますから、例年にないような大変な分量のホテルが開業をしておりまして、それは比較的若い雇用も必要とするわけでございますし、そういった極めて局地的なことがあるのかないのかということもありますが、趨勢としては転入超過の大半が十代後半や二十代の若者であり、女性の方が転入超過増というか、転入超過のネットが大きいということはこれはファクトとしてありまして、進学と就職がきっかけになっているということはまずあるということでございまして、これは、これに先立って、本当にいろいろ御批判はあったんですが、東京二十三区における大学の定員抑制に踏み切ったということがございます。  さらに、地方に魅力がないと地方にいていただけないですから、政府関係機関の移転と、それに加えて、今年の四月からようやく効果が始まっておりますが、昨年十月に選定したきらりと光る地方大学づくり、それから、今年の四月一日から施行されまして交付決定が三十八道府県というUIJターンによる地方起業、就業への最大三百万円の支給新制度などを推進はしてきておりますが、それに加えて、更に次の五か年の計画においては、先ほど御議論のあった関係人口も含めて更なる方向性を模索してまいりたいと、かように考えております。
  94. 木戸口英司

    木戸口英司君 それでは、大分時間も過ぎましたので、幾つか法案について残り時間で聞いていきたいと思います。  国と地方の役割分担を明確にしていく、国の役割、責任についてまた改めて強化をしていくということも重要だと思います。  その上で、地方分権改革に係る立法事実や改正に至る検討の経緯については、提案募集検討専門部会での意見等を踏まえた各省庁内での検討状況や検討に当たって実施された調査等についてもできる限り公表をし、透明性確保する必要があると考えます。事項によっては賛否の分かれるものも含まれていますので、丁寧に国民説明する責任が国にあると考えます。  そこで、博物館、図書館、公民館等の公立社会教育施設を教育委員会から首長部局への移管を可能とする法改正の経緯についてお伺いいたします。  本改正検討するきっかけとなった平成二十九年の北海道からの提案は、二〇二〇年開設の国立アイヌ民族博物館と共鳴する国立博物館との協力体制等を確立するため、博物館法の改正を求めるものでありました。  年末に閣議決定された平成二十九年の地方からの提案等に関する対応方針では、博物館法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律というくくりで、公立博物館については、町づくり行政、観光行政等の他の行政分野との一体的な取組をより一層推進するため、地方公共団体の判断で条例により地方公共団体の長が所管することを可能とすることについて検討し、平成三十年中に結論を得る、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとされています。  そこに至る議論が行われた提案募集検討専門部会の議事録を見ますと、博物館を含む社会教育施設全体に広げて検討をするとした文部科学省に対し、部会長は、国の観光立国推進基本計画で博物館を観光振興に活用するとして切り出して言及していることに触れて、あくまで博物館についての検討をお願いしたいと発言しています。  社会教育施設一般に広げると、なかなか多様で、逆に少し重いのではないか、やはり観光立国との関係ですくい上げられる施設というのは博物館だろうと思うので、ピンポイントで議論できないか、社会教育施設全般という話まで広げていただくとかえって我々も危惧を持つところがあると発言しています。  図書館関係団体などは、本法案に懸念の声が複数上がっており、その進め方が気になるところであります。この対応方針や部会長の危惧にもかかわらず、博物館だけでなく社会教育施設全般にまで広げて法改正するという結論に至った経緯を文部科学省に御説明願います。
  95. 塩見みづ枝

    政府参考人(塩見みづ枝君) お答えいたします。  公立社会教育施設につきましては、平成二十六年に博物館、図書館につきまして、また平成二十九年に今御指摘いただきました博物館につきまして、それぞれ地方公共団体の判断により条例で首長への移管を可能とすることを求める提案地方公共団体からなされたところでございます。  文部科学省としましては、これらの提案を踏まえ、また公民館、図書館、博物館などの社会教育施設は従来の役割に加えまして地域活性化あるいは町づくりの拠点などとしての幅広い役割も期待されるようになっているということなども考慮しつつ、これからの時代に求められる社会教育施設の役割とそれを実現するために必要な方策について施設の所管の在り方も含め検討を行うため、平成三十年三月に中央教育審議会に対して諮問を行い、同年十二月に答申を得ました。  さらに、この間、平成三十年六月には、社会教育施設全般について首長への移管を可能とすることを求める提案についても地方公共団体からいただいたところでございます。  これらの地方公共団体からの累次の御提案や中央教育審議会の答申を踏まえまして、地方公共団体がより効果的と判断する場合には、社会教育の適切な実施の確保に関する一定の担保措置を講じた上で、条例により公立社会教育施設の所管を首長とすることができる特例を設けることにつきまして、今回改正案を提出したものでございます。
  96. 木戸口英司

    木戸口英司君 国家戦略特区、規制緩和が行われているわけでありますが、私も前、文教委員会に所属していたときに、加計学園問題ですね、ぎりぎりまで各省庁、文科省、そのときは農水省でしたけれども、反対をしていたものが最終的に賛成した経緯というものが全く不透明だったことを何度も指摘をさせていただきました。規制緩和の当初反対ということはいろんな部署であるんだろうと思いますけれども、そこを転換して進めていく上での説明責任というものが常に問われているんだと思います。  そこで、放課後児童クラブについて一点お聞きいたしますけれども、従うべき基準の参酌化の議論は地方分権の議論の場である提案募集検討専門部会で行われましたが、同部会の部会長及び構成員は行政法等を専門に研究している方でしたが、そのような場で子供の安全に関わる基準の緩和について議論を行うことはふさわしかったのか、これは政府の見解をお伺いいたします。
  97. 山野謙

    政府参考人(山野謙君) お答えいたします。  今般の放課後児童クラブに係るもののみならず、提案募集方式によります地方分権改革において受けた提案、これは地方分権の議論の場、有識者会議の場でございますけれども、ここで議論をしまして、対応方針を決定することといたしております。その際、提案を受けた関係府省は、対応検討するに当たりましては、必要に応じて関係する審議会等の御意見を考慮して検討を行っているものと承知しております。  放課後児童健全育成事業でございますけれども、これは、閣議決定におきまして、地方分権の議論の場において検討することを明記いたしております。これは、放課後児童健全育成事業が元々地方公共団体独自で実施されてきたことや、地方三団体から参酌化を求める意見が繰り返し表明されたことを受けまして、しっかりと地方公共団体の意見を踏まえて検討する必要があることから、地方分権の議論の場で検討することを明確化したものでございます。  今後とも、現場の実態を把握している地方公共団体の声をよく聞き、当該事業を所管する厚生労働省とよく連携しながら、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。
  98. 木戸口英司

    木戸口英司君 最後にしますけれども、もう質問は終わります。  今指摘したとおり、こういう規制緩和の議論というのは、どうしても専門家から慎重な意見というのは出がちだと思います。その上で、丁寧に議論をしながら、そういった専門家の方々あるいは慎重な意見に対してもしっかりと説明責任を果たしていくこと、そのことが非常に足りていないんじゃないかと、専門家の入らない場で決められているということも非常に多く見られるような感じがいたします。その点を強く指摘して、あと矢田委員に質問を譲りたいと思います。  以上でございます。
  99. 矢田わか子

    矢田わか子君 国民民主党・新緑風会、矢田わか子です。引き続き、質問をしていきたいと思います。  午前中の質疑にもありましたとおり、今回、この地方分権規制緩和政策の在り方について、まず大枠の話からしていきたいというふうに思います。  平成五年の衆議院、参議院における地方分権推進に関する決議で、この地方分権が政治的な中心課題となって既に二十五年ということになります。資料一に、その経過をおまとめしたものをお配りさせていただきました。  今回提出されたのは、地方分権一括法案の提出第九次ということになります。午前中の御答弁にもありましたが、この地方分権推進政策は、当初は地方を縛っている様々な規制を取り除いて、国と地方関係を上下主従の関係から対等協力の関係に変えていくというプロセスだったというふうに理解をしております。  特に、資料一にありますとおり、平成十九年の四月、地方分権改革推進委員会の発足以降は、地方に対する規制緩和、具体的には義務付け、枠付けの見直しが勧告され、これを受けて四回にわたり具体施策を盛り込んだ地方分権改革一括法案が国会に提出されて成立してきました。  このように、地方分権改革地方自主性を確立し、一定の権限を持たせるために規制緩和という政策が付随してきたわけであります。そして、平成二十六年から、地方が国の制度を改革するための提案募集方式、導入されています。  その流れの中で、今回、午前中の片山大臣の答弁にもありましたとおり、確かに、一定程度自主的なことを、地方自主性を重んじて、地方が実情に合わせて自分たちの自らの発意と熱意でもって進めるということについて進んだものも当然あるかと思います。  ところが、一方で、この地方分権政策における規制緩和の意味が私は少し変質してきているのではないかということを正直懸念をしております。  一般論として、様々な社会政策や公共政策において国や自治体が統一的、包括的な規制を行う場合は、犯罪や事故、自然災害の予防、その分野における秩序の維持とか人間の健康、安全の確保とか、あるいは経済活動における公平公正な競争条件確保国民の生活を守り社会の安定化を図るために行われるというふうに理解をしております。  労働時間の規制、労働基準の制定、あるいは道路交通法上の規制や排ガスの規制などもこの社会政策基本理念に基づいて行われる規制であるというふうに理解をしておるわけであります。たとえ地方行政を推進する上である規制が支障になっているという声が地方から上がったとしても、この基本路線をやっぱり逸脱してはならない、どこに線を引くのかということがやっぱりこれから問われるんじゃないかと思っております。  一般論としてで結構です。片山大臣地域の再生、地方分権政策において規制緩和の在り方というものをどのように考えておられるのか、お聞かせください。
  100. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) お話しになりましたように、お手元に御配付なさった資料にありますように、まさに国の基本的な施策の一つとしてこの地方分権改革の流れが四半世紀、二十五年以上、非常に重要な動きの中で、基本としては、やはり地方の個性を生かして自立した地方をつくるということのために権限移譲し、規制緩和等を推進するということがこの地方分権改革でございまして、国は、当然のことながら本来果たすべき役割を重点的に担う、その責任を国があらゆる意味で免れることは決してあるわけではないわけで、その上で、住民に身近な行政ですね、身近な行政をできる限り地方公共団体が担えるようにする取組と、こういう基本的なスタンスであったわけで、この平成二十六年六月の地方分権改革有識者会議の報告書でも今私が申し上げたような趣旨の見解がしっかりと示されているというところでございます。  そこで、非常に難しいのは、今、規制の中でも依然として規制一般の中では何のためにあるのというものがないわけでもないので、規制改革の方でもよく話題になりますが、ただ、安全、安心の確保で、これはやはり全国共通で必要でしょうという規制ももちろんしっかりございますので、そういった責任を国が本来果たすべき役割の方なんだと思えばそこはそこで維持されますし、そうではなくて、住民に身近な観点から見てこれはある程度柔軟化できるというものは当然あるので、そのことをしっかり見極めていくというのがこの地方分権の議論の非常に難しい、かつ重要な部分になってきているというふうに考えておりまして、そこのところは全く委員の御指摘のところは私どもも考えるところでございますが、やはり住民とじかに接している現場の声を大切にと、現場に真実があるということで、地方がこれをやりたい、こういうふうにしたいという声はできるだけ寄り添うという趣旨で私どもの役所はできておりますので、その厳しい現実、安心、安全への要求という厳しい現実を日々痛切に実感されつつ、こういうことを上げてこられた場合には、その切実な声に耳を傾けて、まさに比較考量をしてやっていくということで、委員からは先日この委員会で放課後児童クラブの件についても御質問いただいておりますが、この安全や安心の確保ですとか質の担保というのはもう当然の大前提の責任でございまして、こういうことができた前提の上で、この参酌化によってある程度自由度を持って責任において質を担保しながら地域の実情に沿って運営すると、そういうことなんじゃないのかなというふうに考えている次第でございます。
  101. 矢田わか子

    矢田わか子君 地域の声に寄り添ってしっかりと信じて任せるということをおっしゃっているんだと思います。  ただ、大臣、任せるのはいいんです。でも、私、自分の会社の話で申し訳ありませんが、松下幸之助翁が言った言葉に、任せて任さずという言葉があります。任すんだけれども、任せた上には任せた側の責任もあるわけです。きっちりそれが運営されているのかどうかは国としてもやっぱり見ていかないといけないんじゃないかということを常々思います。  かつ、これ九次まで来ましたけれども、もう分権、きちっとやっぱり地方でやりたいんだという声に寄り添う、大事なことです。でも、やっていらっしゃるこの現場を見て、今回もそうですけど、やっぱり一括で十三本の法律が一気に出てくるわけです。これはもちろん進めるべきだろうと思うようなこともあれば、えっ、これちょっと待ってよと思うこともやっぱりあるわけです。だから、このやり方で九回まで来ていますけれども、本当に一括して内閣のこの場で十三本の法律を一気に賛否を問うていいのかどうかというやり方についても、ずっと私は疑義を感じております。  私は労働組合出身ですが、たくさんの議案がある中で面倒くさくても、第一号議案、第二号議案と読み上げをして、それぞれに賛否をやっぱり問うていきます。質が違うものについてはしっかりそういう審議の在り方も是非考えていただきたいということを、最後に意見提起として申し上げておきたいと思います。  では、具体的な論議に入っていきたいと思います。  やはり一番懸念が残るのが、この放課後児童クラブの職員の配置であります。衆議院の審議でも、そして午前中の審議でももう十分に出尽くしている感がありますけれども、なぜやはり従うべき基準から参酌すべき基準ということに緩めたのかというところであります。もちろん、地域によっては職員確保できない、子供の数からすると、曜日や時間によって二人要るのか、もう少し緩めてくだされば学童保育維持することができるんだという山間部の方々の悲痛な声があるんだということもお聞きをしております。ただ、本当にそれを、山間部の小さなところと七十人以上の規模のあるような大きなところを一緒くたに考えてよかったのかということの御指摘であります。  本年二月二十日に、地方分権改革有識者会議、何度も出ていますが、この提案募集検討専門部会合同会議が開催され、過去五年間の提案募集の評価が行われました。提案募集方式は、住民に身近な課題解決して住民サービス向上を図ることができる手法だということで評価されていますけれども、今回のこの放課後児童クラブの職員の配置に関する取扱いの変更だけはやっぱり納得ができません。住民の身近な課題解決して、入れたい、入りたいんだ、でも入れないんだという、そういう切実な声があったのは分かりますけれども、入れたいが余り、本当に安全についてきちっと確保できないような状況をのんでよかったのかどうかという点であります。  子供の安全よりも、地方のそういったとにかく継続したい、たくさんの人を入れたいという声、質よりも量を取ったその背景をお聞かせいただければと思います。
  102. 新谷正義

    大臣政務官(新谷正義君) お答え申し上げます。  委員御質問は、今回の従うべき基準の見直しに関してであろうと、そのように思います。  今回の措置ですけど、従うべき基準によりまして人材確保が非常に困難といった地方からの要望を踏まえて、これは全国一律ではなくて、自治体の責任と判断により、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を可能とするものでございます。  現行の基準では、児童四十人当たり放課後児童支援員を二人配置することとされているところでありますけれども、児童数が少ない放課後児童クラブ、あるいは児童数が少ない時間帯、夕方とか土日ですね、そういったことがあるために、その場合にはこの支援員の一人配置を可能にしてほしいと、具体的にはそういった要望があったところでございます。  基準につきましては、いずれにしろ、市町村地方議会の議を経て条例によりこれは制定されるものでございます。厚労省としましては、従うべき基準が参酌化された場合にあっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断により地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと、そのように考えておるところでございます。  今回、法案の附則におきまして、施行後三年を目途とした検討規定を置いているところでございまして、法案が成立した後におきましても参酌化後の施行状況をしっかりと把握をしてまいりたいと、そのように思っております。
  103. 矢田わか子

    矢田わか子君 資料二にお配りしたとおり、この今回の基準に関しての概要をお配りさせていただいております。  参酌すべき基準というのが何回も出てきますが、この参酌すべき基準とは、市町村が十分参酌した結果であれば、地域の実情に応じて異なる内容を定めることが許容されるものと定義されています。これまでの地方の意見や法改正の経過からすれば、今後、職員が一人でいる、そういう体制、あるい研修を終えていないスタッフで運営されるという事態も十分に想定されるというふうに思います。  では、問いますけれども、今までも参酌した参酌基準というのがたくさんあるわけですが、これについてどこまで実態調査ができているのかという点であります。  資料三を見てください。これ、皆様が調査された結果を、基づいて私の事務所でグラフ化したものであります。厚生労働省が実施調査をしているのは、申し訳ない、この程度にとどまっています。  例えば、これまで参酌すべき基準だった一番下の専用区画面積の状況、これ一・六五平米以上というふうに一人当たりされているんですが、参酌した結果、できていないところが二五%にも上るというふうにも言えると思います。  また、二つ目のグラフ、年間開所日数別のクラブ数の状況ですが、二百五十日以上というのが一つの参酌してやりなさいと言っている基準ですが、それに満たないところもやっぱり六・二%相当あるということです。今、現状もうこれ守られていないところがあるいうことですね。  そして、一番問題となる、一番上のところですよね、四十人までで二人、これが参酌になるわけです。ところが、実態今どうですかということを分析しようにも、今取られているこの実態数値は、なぜか分かりませんが、この人数が三十六人から四十五人とか、二十人から三十五と、四十人というところで区切っていないわけです。本来だったら、ちゃんと四十人以下で何人おるんやということを普通は見るじゃないですか。で、今現在できているかどうかを見た上で次の手を打つというのが当たり前のことなのに、そういうなぜか争点ずらしのようにわざと違う人数でやっていらっしゃるということに、私はもう不信を感じてならないわけです。したがって、参酌すべき基準でどこまでやっているのかということをやっぱりちゃんと現状を把握した上で次に行かないと、間違ったことにならないかなということを懸念するわけであります。  参酌という表現ですね、普通は良い方に配慮するという意味もありますけれども、現在のところ、自治体がこれを尊重して対応するという保証はないと思いますが、見解を伺います。
  104. 新谷正義

    大臣政務官(新谷正義君) お答え申し上げます。  現在、厚生労働省令の放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準、こういった基準があるんですけれども、それにおきまして、参酌すべき基準として児童一人当たりの面積や一支援単位の児童数等に関する基準を定めているところでございます。  平成三十年時点で、一人当たりの専用区画の面積、これは一・六五平方メートル以上、このクラブは七四・六%、このような数字となっているところでございます。また、一支援単位の児童数が四十五人、これは四十五人ということでありますが、その以内の支援単位は七三・八%となっているところでございます。  こういった基準につきましても、実際のところ市町村地方議会の議を経て条例により制定するものとなるものでございます。  厚生労働省としましては、やはり、自治体の責任の判断によりまして実情に応じて適切に運営を図っていただきたいと、そのように思っています。
  105. 矢田わか子

    矢田わか子君 ですから、まずはちゃんと実態把握をしましょう。実態調査をしませんかということなんです。  私も長く子供を学童保育に預けてきました。そして、ちょっと悲しいことですけれども、その学童保育で預かっていただいていた支援員の方がお一人お亡くなりになられています。本当に狭いところで多くの人を見る、その負担というのは大変なものがあるわけです。  実際に本当に何人の規模で何人の指導員が付いているのか、しっかり見ていくことが大事だというふうに思います。その亡くなられた方は、結局くも膜下出血だったんですが、過労も一つの要因というふうに言われています。本当にいい先生でした。子供のことを配慮し、子供のその後ろにある家庭まで配慮しながらしっかりと見てくださる、しっかりと遊んでくださる、しっかりと子供の生活を直視してくださる、そういう使命感に燃えてやっている学童支援員の人こそ過重労働になっているのもこれ現実なんです。  だからこそ、変えるのであれば、政府としても任せて任さず、きちっとチェックをしてほしいんです、現場の、ということを御要望したいと思います。片山大臣がもし、いいです、一年に三か所でいいです、学童保育行ってみてください、急に。言わずにですよ、言って行ったら意味がないので、言わずに行ってください。そうしたら現場が見えます。どれだけ学童指導員の方が走り回ってやっていらっしゃるか、是非見てほしい。  そして、もう一つ言わせていただければ、この中で子供たちやっぱり暴れまくりますし、けがもたくさんあるんです。平成二十二年の国民生活センターの調査、一万件以上の事故があって、国民生活センターがこれはということで慌てて調査に乗り出しているんですが、やっぱり多くのけがは学童指導員なりその常駐している人の数が少ないからという指摘もされているわけです。したがって、本当にこれ一人になったときに緊急事態が起こった場合とか対応できるのかどうか、不安でなりません。見解お願いします。
  106. 新谷正義

    大臣政務官(新谷正義君) お答え申し上げます。  市町村が条例により国の基準と異なる内容の基準を定める場合でも、放課後児童クラブの運営に当たっては、子供の安全や育成支援の質がしっかり確保されることが前提であると考えているところでございます。  基準については、市町村地方議会の議を経て条例に制定するものであるということでございますけれども、厚労省としましては、従うべき基準が参酌化された場合でも、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、御指摘のようなケースの対応も含めて、自治体の責任と判断により実情に応じた適切な対応が図られるものと考えているところでございます。  厚労省としましては、これまでも子供の安全確保について、市町村、学校等関係機関や保護者等の連携体制の確保対応マニュアルの作成や訓練の実施、こういったことに努めるよう周知をしてきたところでございまして、今回の参酌化に当たっても改めて周知をしてまいりたいと、そのように考えております。
  107. 矢田わか子

    矢田わか子君 資料四を御覧ください。放課後児童クラブの運営指針というものをあえて今日配らせていただきました。見ていただいたら分かるとおり、第三章、放課後児童クラブにおける育成支援の内容のところに、支援員に求められる内容がずらっと書いてあります、一から九まで。もう本当全てにわたって求められるわけです。子供の当然クラブに通い続けられるようにする援助、心身の状態を把握した健康の管理、主体的に過ごせるような援助、おやつの管理から保護者や家庭との連携、学校との連携まで全て求められます。かつ、第七章には職場の倫理及び事業内容の向上、ここにもずらっと放課後指導員に求められる要件が書いてあります。倫理を自覚してやらなければいけないとか、保護者等からの苦情や要望にもしっかり応えましょうとか。  今では、子供の虐待、それから貧困な家庭も増えている中で、そういう研修まで強いられて、朝から夜から研修も受けて、そしてかつ障害者、障害児をきちっと受け入れる、そういった勉強会も出ているというふうな声も上がっています。本当にこれ、非正規労働者の方が七五%で、一体どこまで求めるんやと思えてならないわけです。処遇だって、大体一人千円ですよ、時給。二百七十万、年収とあります。それは常勤の方であって、非常勤であったらもっと低い。その中で、どれだけの役割を私たちに求めるんですかという声が上がってきているわけです。  是非、通り一遍の回答ではなく、もう一度この放課後児童クラブ、成り立ちがやっぱり違いますけれども、厚労省の管轄になっているこの児童クラブの運営について、安全面それから指導員の確保含めてやっていただかないと、三十万人ですか、更にあと五年間で確保するって、もう無理だと思います。集まらないですよ、これだけの過酷な労働条件。是非とも御検討を重ねてお願い申し上げておきたいと思います。  続いて、少し色合い違いますが、放課後子供教室との関係についてお伺いをしていきます。  放課後子供教室ですけれども、資料五をお配りさせていただいております。現在、学童に関連して、文部省で所管されているのが放課後子供教室です。この教室は、全ての子供を対象にして、要するに働いているお母さんだけではなくて全ての人を対象に、開所日数、開所時間も限定され、スタッフも無資格のボランティア等にも運営を任されてやっていらっしゃるものであります。  これ、二つが同時に走っているのとともに、プラス、一体で運営しているようなところも全国で四千五百か所ぐらい出てきていますけれども、これ二重行政にならないのかどうかということについて御見解お願いします。
  108. 新谷正義

    大臣政務官(新谷正義君) お答え申し上げます。  放課後児童クラブは、共働き家庭等の児童を対象に放課後に適切な遊びや生活の場を提供する事業でございまして、これは厚生労働省推進をしているものでございます。一方、放課後子供教室なんですが、これは共働き家庭等に限らず全ての小学生、これを対象にしまして、保護者や地域の方々の協力を得て、放課後等に多様な学習体験プログラムを実施している事業で、これは文部科学省が推進をしているものでございます。  このように、二つの取組、目的や対象児童等が異なっているわけでございますけれども、次代を担う人材育成、こういった観点から、共働き家庭等の児童に限らず全ての児童が放課後等における多様な活動、体験を行うことが求められている、このため一体型を推進しているところでございます。  新・放課後子ども総合プラン、これにおきましては、この一体型を一万か所以上で実施することを目指しておりまして、厚生労働省としましては、二重行政というよりも、引き続き、文科省としっかりと連携を取りながら、本プランの推進に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
  109. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございます。  大阪府の守口市というところでこの一体化が図られたという事例がありますが、やっぱりその一体化図られて民間に丸投げをして運営されているような市も出てきております。民間に投げるということは、やはり公的な手が入りませんので、営利優先で少しひずみが出てきているというような声もあるわけです。  したがって、今どうしても厚労省と文科省でそれぞれ管轄が違うということでばらばらと行われている印象もあるんですが、やっぱり目指すべきは、内閣府のここが所管しているとおり、一体運営に向けて、何が一体課題でどうしていけばいいのかということをしっかり話し合っていくべきだと思います。  それと関連してなんですけれども、もう一つ、今回の法案で出ている幼保連携型認定こども園の資格の延長ということもこれに関連すると思います。特例期間の延長ということで、どちらかの資格を持っていればいいというものを五年また延長するわけですよね。  これ、二回目の延長ということなんですが、この中で、この図にもあるとおり、何よりも子供に対して向き合うときに本当に二つの省庁がいつまでばらばらで運営していくのかという課題が挙げられていると思います。今、幼児教育の無償化の法案も論議してきましたけれども、保育園と幼稚園、二つの施設がずっとある中で、資格も二重にあるということなんです。ただ、向き合うべき子供は一人ですから、本来であればこの幼稚園教諭の免許と保育士の免許、別に一緒になってもいいんじゃないかという気がしてなりません。  過去の論議の中でも、もうこれ二〇一一年の論議ですけれども、一体化の資格について論議すべきだということを、これ構造改革特区の推進本部がやられた評価・審査委員会の中でも既に有識者からそういう意見も出ています。それが出てもう十年たちますけれども、ほとんどこれ検討されている経緯がないわけです。  いつまで幼稚園教諭と保育士の資格を二つに分けたまま進んでいくのか。もう五年、五年と延長するんだったら一本の資格にしたらいいじゃないですかという声に対して、どのようにお考えですか。
  110. 川又竹男

    政府参考人(川又竹男君) お答えいたします。  幼保連携型の認定こども園で勤務する保育教諭につきましては、教育と保育の双方について高い専門性が求められることから、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を有することを原則としております。  一方、幼保連携型認定こども園の円滑な移行や安定した運営が可能となるよう、いずれか一方の免許、資格を有していればよいという特例を設けるとともに、免許、資格の授与要件を緩和する特例を設けて両資格の併有を促進しております。既に九割の方が双方の資格を有しているところでございます。  今回、この特例五年間延長いたしますけれども、まずは地方自治体るいは認定こども園、関係団体と協力をして確実に免許、資格の併有を促進すると。併有を促進しつつ、保育教諭の専門性の在り方も含めて、関係省庁と連携して引き続き検討してまいりたいと考えております。
  111. 矢田わか子

    矢田わか子君 引き続きばっかりで、いつまで引き続き論議しているのかなという感じですよね。全然進まないんですよね。子供に向き合う一人の先生としてどういう資格が要るのかを考えてやっぱりやるべき。ゼロ歳から五歳までのところ、これユニバーサルに無償化して、やっぱり質を高めるために教育もしていくんですよね。この方向性が定まっているのであれば、それにふさわしい資格制度を私は早急にやっぱり審議をしていくべきだと思います。もう十年待っても何も出てこない、それでは遅過ぎると思います。  是非とも御検討を、片山大臣、所管ではないかもしれませんが、大臣であればどちらに対しても意見が言えますので、是非、文科、厚労、どちらに対しても働きかけをしていただきたいということで、御要望申し上げておきたいと思います。  続いて、公立社会教育施設の所管についての話に移りたいと思います。  今回、公立の社会教育施設の所管、条例によって教育委員会から地方公共団体の長に移管できる改正をします。政府としては、観光、地域振興あるいは町づくりの分野を担当する首長部局が一体的に所管することで文化、観光振興、地域コミュニティーの維持発展に資することになるなど、この施策の意義を説明されております。  一定程度納得できますし、私も関連する地方議員の方々にお伺いをしたんですが、議会や市民がしっかりさえしていれば、首長が過度に不公平な権限を振るうことはないという御意見、あるいは公民館活動は地域住民が主体となって行われていて、各種団体や地域団体の活動に首長の政治的意向で左右されることはないというような、問題視しなくていいよという声とともに、一方では、やはり地域の公民館で例えば国会議員や地方議員あるいは候補者が演説会や報告会などを行う場合に、首長の意向によって利用制限が掛けられないんでしょうかねというような声が上がっていることも事実であります。  平成二十六年六月に地方教育行政法の改正が行われまして、教育委員会と首長部局の一体化という教育委員会制度の見直しの経過がありました。それを考えれば、教育の自主性や公平性の確保という視点からやっぱり何らかの担保措置が必要なのではないかというふうにも思いますが、公平性、中立性を担保するためにどのように考えておられるのか、お願いしたいと思います。
  112. 中村裕之

    大臣政務官(中村裕之君) お答え申し上げます。  今回の改正案では、地方公共団体の判断により公立社会教育施設の所管を首長とする場合には、政治的中立性の確保など社会教育の適切な実施のための規定を設けております。  一つには、当該公立社会教育施設の管理運営に関する規則の制定を行う際には首長は教育委員会に協議するものとすること、また教育委員会は、その職務に関して必要と認めるときは公立社会教育施設に関する事務について首長に対して意見を述べることができることとすることなど、教育委員会による一定の関与を制度的な担保として設けているところであります。  当該地方公共団体においては、これらの仕組みを適切に活用し、政治的中立性を確保しながら、公立社会教育施設における社会教育を適切に実施していただくことが重要と考えているところであります。  今回の改正案により地方公共団体の判断で首長が公民館を所管することとなった場合でも、当該施設は社会教育法に基づく公民館であることに変わりはありませんので、社会教育法の規定については首長に所管が移った公民館にもひとしく適用されるものでありまして、文部科学省としても引き続きその周知に努めてまいる所存でございます。
  113. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございました。  せっかく改正するのであれば、図書館も含めて、公民館、令和時代にふさわしい、地域住民がやっぱり寄り添えるような新しい公共施設になるようお願い申し上げまして、質問に代えます。ありがとうございます。
  114. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  この地方分権改革の一環として、平成二十六年から個々の地方公共団体の意見を広く取り上げる提案募集方式というのが取り入れられております。この平成三十一年の提案募集につきましては、提案の裾野を広げるための取組がなされるとともに、提案の熟度向上のための取組もなされております。  一方、こうした対応措置された場合に、条例の制定等、提案募集の成果を住民に還元する取組ということはどうなっているのかと。各府省に委ねられることも多いとは思いますけれども、取りまとめをしております内閣府といたしましても、こうした提案募集の成果の還元ですね、こうした一括法が成立をして、それが住民にどの程度還元されているのか、そこをきちんとフォローしていくべきではないかということをまずお聞きしたいというふうに思います。  一例として、平成二十七年六月に成立しました第五次地方分権一括法。ここでは、長年地方からの要望の多かった農地転用許可権限地方への移譲が実現をいたしました。これは、一応説明しますと、農地転用許可制度を適正に運用し、また優良農地を確保する目標を立てるなどの要件を満たしている場合には、農水大臣がこの市町村を指定いたしまして、その指定市町村都道府県と同様の権限移譲されると、こういう仕組みになっているわけでございます。  実際に、もうこれから四年がたとうとしているわけでありますけれども、この権限移譲に関しまして、やはり事務が煩雑である、あるいは責任が重くなる、こういうことを懸念いたしまして、実際にはその要件等を満たす可能性があるところでも、なかなかこの権限移譲の申請というものに腰が引けてしまうという基礎自治体も実際には散見をされると。私も、地元で幾つかそういう話をお聞きをいたします。  しかし、市民の立場からしますと、住民の立場からしますと、やはり申請から許可までの審査期間が短い。かつ、県に一々聞くと、離れたところにありますから、なかなか地元の事情も分からず時間も掛かるとともに、やっぱり町づくりそのものはやはり一番住民に近い基礎自治体において行うべきでありますので、本来であればこうした権限を十分に活用していただく必要が、そのために法律改正もしているということだろうというふうに思います。  なぜこういうふうに腰が引けてしまうのかということを、今日はまず最初に取り上げたいと思います。  そこで、まず農水省に、この農地の転用許可等に係る指定市町村の指定状況の現状をお聞きしたいと思います。
  115. 高橋孝雄

    政府参考人高橋孝雄君) お答えいたします。  ただいま委員から御指摘ございました農地転用許可に係る指定市町村の指定状況につきましては、平成三十一年の三月現在で二十三の道府県の五十九の市町が指定市町村となっているところでございます。
  116. 西田実仁

    ○西田実仁君 五十九の指定市町村があるということでございます。  今、私が申し上げた問題意識は御理解いただけたと思いますけれども、この第五次一括法により措置された権限移譲について、その基礎自治体が住民サービスの一環という意味も含めてどう活用していくのをそれを後押しするのかということを農水省としてどう取り組んでおられるのか、お聞きしたいと思います。
  117. 高橋孝雄

    政府参考人高橋孝雄君) お答えいたします。  指定市町村となりますと、先ほど委員からもお話ございましたように、農地転用許可権限都道府県から市町村移譲されることになります。これによりまして、申請者にとりましては申請から許可までの日数が短縮される、あるいは、市町村にとりましても現地の状況把握あるいは庁内の調整が円滑化する等のメリットが生じているところでございます。  このため、農林水産省といたしましても、できるだけ多くの市町村が本制度を活用できますよう、研修の場などを通じまして制度の活用事例るいはメリット等につきまして周知を行うとともに、市町村からの相談にもきめ細かく対応してまいりたいと考えてございます。
  118. 西田実仁

    ○西田実仁君 ここで片山大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、この提案募集方式によりまして、法改正、今の一括法もそうですし、また義務付け、枠付けの見直しで権限移譲されていながらも、必ずしもその成果というものが住民に還元されていないのではないか。今後、内閣府として、今のは一例として農地法の話をいたしましたけれども、全般的にこれまで、また今回も含めれば九次あるわけですけれども、これが住民の方にどう還元されたのかというフォローを、あるいはその活用するための後押しをどのようにするのか。各府省ではあるんでしょうけれども、取りまとめをする内閣府としての取組をお聞きしたいと思います。
  119. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) この提案募集方式で、まさに地方からの発意とその多様性を重視して、住民に身近な課題、それを現場の知恵と工夫で具体的に解決するための地方分権提案募集方式ということでこの平成二十六年以降やってきて、子ども・子育て、農地、農業、都市計画など、相当幅広い分野にわたってやってまいったわけでございますが。  まず、確かに、提案募集方式でこういうことができましたということが知られているのかということがまずあります。これは、農地のことについてはまた私も思いがありますので後でお答えいたしますが、一般的に知られているのかということ。知られていなければ御活用もできないということですから、まずこの提案募集方式のハンドブック化、それから取組成果事例集を作成して、あらゆる機会を通じ、あらゆる媒体を通じ、一層その活用がなされるように普及する、普及するという努力はしてまいりました。ハンドブックは昨年は八万部まで増えました。ただ、数の問題じゃないですけどね、これをちゃんと見ていただいて活用していただいているかということなんですが。  例えば、地方版ハローワークなんかは三百八十自治体の七百六十七か所で、埼玉県も含めてですね、これは非常に事例が広がって就労支援も増えたということはあるわけで、広がれているものもあります。広がれているものについては、やはり住民の皆様の実感も、ああ、便利になったなというのは確実にあるとは思うので、これからも先進事例の普及や情報発信を強化をして、できるだけ、せっかく決まった以上は、法改正までするわけですから、お使いいただきたいということでやってまいりたいと思います。  また、先ほどの農地転用の問題につきましては、これはもう大問題でございまして、私も出身が埼玉なので、時々いろんなお話の相談を受けるんですが、確かにもう相当、何でこれが動かないのというのは、何でというのは相当見聞きをいたしておりますよ。その中には、知らないということよりも、やはりもう一段やりやすくしないと難しいからなのかなという部分も含めて、率直にあると思います。  つい先日も、国家戦略特区の農業版ということでは最初に指定させていただきました新潟市を市長、首長とともに回ってまいりまして、三軒農家レストランもできて、それなりの発展はあるんですよ、それなりの。しかし、あるところで、じゃ、これから今どうしようという状況になっている中で、もうただでいいからこの農地代わってくれないという話が実際にこれとこれであるというようなお話も見聞きして、ちょっとパラダイムが違ってきているのかなと、その面積ではなくて、収量とか収益とかいうことで。  我々も、ですから、その地方創生の中で、企業経営的な、地域経営的な要素をもうちょっと入れないとということを申し上げているわけですが、そういったことも捉え合わせて農水省さんの方でも現場感覚でこの数年間を振り返っていただいて、また次の展開もあるのかなというふうに思う部分がこの問題についてはありますが、全般については、やはり周知徹底と使いやすさの改善ということですね、法改正を受けてできるだけきちっとさせていただきたいと、かように思っております。
  120. 西田実仁

    ○西田実仁君 農地転用の許可権限については、今大臣からも実際のお話をお聞きしましたけれども、やはり本当は市民に近いところで判断した方がいいんだけど、市民に近いからこそ逆に判断すると顔見知りということもあってなかなか難しくて、むしろ県に置いておいてもらった方がいいみたいな本音も幾つかの基礎自治体から聞いておりまして、そういう責任の在り方というのもちょっと何か工夫しないと、なかなか実際にはそういう意味で使いにくい面もあるのかなという気はしているんです。  この後もちょっとお聞きしますけど、社会教育施設と高齢者福祉施設の複合化が進んでいる。公共施設が老朽化して、それを複合化させることによって再生していくというようなスキームが、今回この一括法の中でも公立社会教育施設の所管を教育委員会から首長部局へ移管するという話として出てきているわけですけれども。  これ、質問通告していないんですけれども、大臣、よくいろんなことを御存じだからあえてお聞きしますけれども、この補助金の在り方なんですけれども、複合化したときに、単独では補助金が出るのに複合化すると出ないとかですね。そうすると、せっかくこういういろんな権限移譲して、人口減少、老朽化対策をするということでスキームをつくっても、補助金の方が今度縦割りのまま残っていて、かえってそういうことができるんだけれどもやらない、できない、かえってやると損しちゃう、損するって変ですけれども、負担が増えてしまうという声が聞かれるんですね。  ですから、こういう権限移譲をしていろいろ複合化していくということは望ましい方向だと私も思いますけれども、しかし同時に、補助金も省庁の縦割りではなくて、やはりもっと使えるような、そういうフォローも是非内閣府としてもいろいろ考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  121. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) まさに、御指摘のようなことは実際に遭遇することがございます。ですから、元々日本は行政の仕組みを非常に精緻につくっておりますので、真面目な国民性ということで。そういうことの中で、統合を行って、うまく使い勝手が良くなったということの方にくっついてこないということもあって、気が付くとその翌年に何とか対応したりしているんですが、その間の一年間は何だったのよになったりすることがございます。  この部分は、横に査定しておりますのは本来は財務省でございますから、私たち現職だったときにはその辺辺りも見るように言われていたんですけれども、なかなかそこまで目が届かないところもあるんでしょうが、政府全体でありとあらゆるレビューを四種類ぐらいやっていますから、いろんな主体で。そういったところできちっとチェックしなくちゃいけない部分だと思いますし、地方創生という観点では、我々は推進交付金を制度として持たせていただきながら、各所管分野の補助金もあるわけで、基本的に同じことについては二つ乗っけないことにしてあるんですが、それじゃせっかく地方創生で新たなアイデアを出したのに意味がないとおっしゃるところもあって、そこは上手にプラスアルファの方の新たな付加価値として付け加わっている部分のプロジェクトと、もう本当に土着的に前からある各省のプロジェクトが切り分けられれば併用できるわけでございますが、こういった知恵を出すことも我々の仕事だったりするものですから。  いずれにしても、無駄に使われず、ちゃんとKPIができるような生きた予算であれば、むしろ柔軟化した方がこれは財政当局にとってもいいはずですから、これからも御指摘の点を踏まえながら、結果的にいいというふうに持っていけるように努力をしてまいりたいと思っております。
  122. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございます。  是非、様々なところで基礎自治体の方からも御要望もいただいておりますので、また御相談をさせていただければと思います。  では、地方独立行政法人法の関連でお聞きしたいと思います。  国立大学法人は、平成二十八年五月に成立した国立大学法人法の一部を改正する法律によりまして、その対価を教育研究水準の一層の向上に充てるため、教育研究活動に支障のない範囲に限り、文部科学大臣の許可を受けて土地等を第三者に貸し付けることが可能になっております。  この国立大学法人における土地等の第三者への貸付けはどの程度実施されているのか、具体例を挙げて御説明をお願いします。
  123. 玉上晃

    政府参考人(玉上晃君) お答えいたします。  今先生御指摘のとおり、国立大学法人においては、二十八年五月の国立大学法人法の改正に行われておりますが、この仕組みを活用して、平成三十年度末までに九大学において十二の貸付事業について認可をしております。具体的な事業といたしましては、教育研究施設としての活用を含む民間事業者のための事務所ビルでございますとか、第三者に駐車場を使途として貸付けを行う、又は環境保全に係る再生可能エネルギー発電事業など、貸付事業を通じて新たな財源確保するのみならず、大学の教育研究に資する事例も出ております。
  124. 西田実仁

    ○西田実仁君 今度はこの法律案で公立大学法人もできるようになるということでありますけれども、その際には、地方独立行政法人を設立する地方公共団体の長の許可を受けることになっております。その判断基準はどうなっているんでしょうか。
  125. 玉上晃

    政府参考人(玉上晃君) お答えいたします。  公立大学法人の場合でございますと、土地につきましては、地方公共団体から出資されて教育研究活動を行っているということから、設立団体の長の認可を得ることとしております。その具体的な認可基準については、各地方公共団体が定めることとしております。  国立大学におきましては、既に文部科学大臣決定を平成二十九年に定めておりまして、その中では、業務の遂行や財産の管理上支障が生じないか、土地等の貸付けが公共性、公益性を損なうおそれがある用途に使用しないか、当該土地等が現に使用されていない理由及び将来的にどのように当該土地などを使用するのかについて明確になっているかなどといった判断基準に基づき認可しているところでございます。  各公立大学法人の設立団体におかれましても、これらを参考にしつつ、各地方公共団体の条例ですとか各種の規定なども踏まえ、適切に定められるものと考えております。
  126. 西田実仁

    ○西田実仁君 次に、社会教育法、図書館法、博物館法等についてお聞きしたいと思います。  現行法では、公立社会教育施設は教育委員会が所管するとされておりまして、昨年十二月の中央教育審議会の答申においても、今後とも教育委員会が所管することを基本とすべきとされております。  しかし、それはこれまでもありました政治的中立性等の理由ということだと思いますけれども、今回は教育委員会から首長部局へ移管することができるように方針転換をいたしました。  そもそも、その公立社会教育施設における政治的中立性とは具体的にどのようなことをいうのか、その解釈についてお聞きしたいと思います。
  127. 塩見みづ枝

    政府参考人(塩見みづ枝君) お答えいたします。  教育基本法の第十六条第一項におきまして、教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものと規定されておりまして、社会教育施設における社会教育を含めた教育につきましては、一部の勢力に不当に介入されることなく、中立的に行われる必要があるというふうに考えております。  また、社会教育施設であります公民館につきましては、社会教育法第二十三条第一項第二号におきまして、特定の政党の利害に関する事業を行い、又は公私の選挙に関し特定の候補者を支持することを行ってはならない旨規定されておりますが、本規定は公民館の政治的中立性を確保するために設けられているものでございまして、公民館を政党又は政治家に利用させることは一般的に禁止されませんけれども、例えば公民館を特定の政党に特に有利又は不利な条件で利用させることや、特定の政党に偏って利用させるようなことは許されないというふうに考えております。
  128. 西田実仁

    ○西田実仁君 介護保険法についてお聞きしたいと思います。  今回の法改正によりますと、事業所で不正事案が発生した場合、事業所への立入検査に加えて事業者本部への業務管理体制の検査による包括的な確認が可能になるわけでありますが、この権限移譲中核市は当然事務負担は増えていくわけでございます。  提案募集検討専門部会、一昨年の十月に行われたところでも、中核市において適切な業務管理体制がしかれるよう、研修等の支援必要性指摘されております。  中核市への具体的な支援の在り方について、厚労省にお聞きしたいと思います。
  129. 諏訪園健司

    政府参考人諏訪園健司君) お答えいたします。  介護サービス事業者の業務管理体制の整備及び監督権限につきましては、介護サービス事業者の不正事案の再発を防止し、介護事業運営の適正化を図る観点から、個別の指導監督とは別に平成二十一年度に創設されたものでございます。これにより、事業者に対して業務管理体制の整備を義務付けるとともに、厚労省及び自治体に対して事業者本部への立入検査や是正命令に関する権限整備したところでございます。  現在、中核市における業務管理体制の整備及び監督の権限につきましては、地域密着型サービスのみを行う介護事業者に係るものが対象になっております。事業者に対する業務管理体制に係る指導権限、現在都道府県、そしてサービス事業所の指定及び指導監査権が中核市と、このように分かれておりましたところ、今般の権限移譲によって、中核市における介護サービス事業所の指定及び指導監督権限との一元化が図られることになるわけでございます。  これにより、事業所への立入検査と事業者本部への業務管理体制の包括的な確認が可能となり、迅速かつ効率、効果的な監督に資する一方で、委員指摘のとおり、中核市における事務負担は一定程度増加するものと考えられます。  このため、厚生労働省といたしましては、二〇二一年四月の施行に向けて、国主催の研修会を開催し、新たに増える業務に係る知識、情報をお伝えするとともに、実務担当者間での情報交換の場を設けるなど、中核市が円滑に新しい事務を実施できるように努めてまいりたいと考えております。
  130. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  131. 竹内真二

    ○竹内真二君 公明党の竹内真二です。  地方分権改革というのは、平成五年の衆議院及び参議院における地方分権推進に関する決議から始まりました。あれから既に早くも約二十五年が過ぎております。我が国の重要課題として、平成七年から平成二十六年までの間、地方分権推進委員会からの勧告に基づき、累次の改革を積み重ねてまいりまして、平成二十六年度からは、地方の発意に基づく提案募集方式移行をし、地方が直面する課題の解決に寄与してきたと認識をしております。  そこで、まず初めに、平成二十六年にこの提案募集方式移行してから五年という月日がたっておりますけれども、この五年間を総括してどのように内閣府としては評価をされているのか、お聞きしたいと思います。
  132. 山野謙

    政府参考人(山野謙君) お答えいたします。  平成二十六年から始まりました提案募集方式でございますが、これまでに累計で二千二百二十件の提案をいただいております。これまでの提案で、既に扱われたものですとか、あるいは予算編成過程での検討を求めるもの、こういったものを除きますと、千三百五十四件になるわけでございますが、この千三百五十四件につきまして関係府省との調整を行ってまいりました。調整を行った提案につきまして、提案が実現するなど対応できるものの割合は千十一件、七割を超えておりまして、土地利用、防災、子ども子育て支援、高齢者・障害者支援、雇用等各分野にわたって成果を上げてきております。  提案募集方式地方側からも大変評価をいただいておりまして、今後とも、提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ってこの方式を推進し、地方分権改革を着実に進めてまいりたいと考えております。
  133. 竹内真二

    ○竹内真二君 五年間で今答弁にありましたように二千二百二十件提案があって、そのうちの約半数弱の約千件近くに対しての対応をしているということで、それなりの数を取り組んでやってこられたと思うんですね。  ただ、そういう実績はあるんですけれども、この提案は全体的にももう増えてきていますけれども、提案実績のある市区町村の方を見ますと、全体のまだ約二割、三百六十九団体程度にまだとどまっておりまして、数としてはやはり少ないように感じます。  そこで、片山大臣にお聞きしますけれども、この提案の裾野の拡大のために今後市区町村から提案をどのように増やしていくのか、その方策について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  134. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) まさに提案の件数の中で、住民に最も身近な基礎自治体である市区町村、市区町村は千七百四十一でございますが、その提案の割合が増えてきてはおりまして、平成三十年にその提案団体数、提案件数ともに過去最多にはなっております。団体の数は、平成二十六年が六十八だったものが平成三十年は二百五十六、件数は百九十七だったものが二百一となっておりますが、御指摘のとおり、提案をこれまで行った市区町村数はようやく市区町村数全体の約二割を超えたところであって、いろいろな御方面から、やはり基礎自治体である市区町村がもっと提案が本来あるんじゃないかというお声をいただいております。  あくまでも、提案がないとおっしゃっているところにわざわざ出していただく必要はございませんので、先ほどから累次お答えをしているように、これはあらまほしき、ありたき規制改革というか、地方分権、これをやりたいということをやっていただくということでございますから、やらせるんじゃ何の意味もないので。  ただ、そこに対する気付きがないのではないかということは非常に強く指摘されておりまして、まずそれは職員の皆様が提案に必要な支障がいっぱいあるわけですよ、実際やってみて、これができない、あれができない。それがこの地方分権の提言を行うことによってできるということに結び付かないんですね。  ですから、まず支障事例等をイメージしやすくさせていただくための情報提供充実させていただきたいと考えておりまして、また、その提案が実現すれば住民サービス向上しますが、事務が簡素化、効率化してまさに働き方が楽になると、働き方改革になるという例がたくさんあるので、こういった積極的な発信もございまして、まず自治体の方々に意識と意欲を持っていただくように啓発をさせていただくと、こういうことがあると思います。  そこで、ですから当然都道府県の方で御主催をいただいて市区町村の職員研修をしていただいて、そういう研修をしていただいている都道府県には御支援をさせていただくと。さらに、さっき申し上げたようにハンドブックですとか、そういう横展開ができるような提案事例支援のツールをつくっていく。また、大学で地方に係るそういった学科、学部を持っていらっしゃるところはたくさんございますので、大学、NPOと連携したワークショップの開催など、いろいろ様々やってきておりますので、これからも身近な、住民に一番身近な市区町村の職員仕事がはかどり、かつ住民サービスが絶対向上すると、みんなの幸せにつながるという形でこれがつながるんだよということが分かっていただくような裾野の拡大を、つながる、こういうことを努力してまいりたいと思います。
  135. 竹内真二

    ○竹内真二君 私も、例えば地方ではなかなか難しかったのが、例えば二十四時間の緊急搬送体制みたいなものが難しかったんですけれども、こういうものが、やはりこの提案募集方式というのを活用して、二十四時間、住民の方がそういういざというときに命を助かるような、そういう体制が組めるようになったというような声も聞いたことがありますので、これは先ほど熱意方式ともおっしゃっていましたけれども、引き続き提案募集方式、裾野が広がるようにまたリーダーシップを発揮していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、食品の特別用途表示の許可申請についてお聞きしたいと思います。  乳幼児、幼児用、妊産婦用、病者、病人の方のための特別の用途に適する旨の表示を行う特別用途食品についてですけれども、この中には特定保健用食品、いわゆる特保も含まれるわけですけれども、その表示をしようとする者は、営業所の所在地の都道府県知事を経由して内閣総理大臣に許可の申請を行うこととなっております。  そこで、今回の法改正はこの都道府県の経由事務を廃止するというものですけれども、これまでまずこの都道府県の経由を必要としていたのはなぜなのか、趣旨をお願いしたいと思います。
  136. 橋本次郎

    政府参考人(橋本次郎君) お答えいたします。  特別用途食品制度は昭和二十七年から栄養改善法において規定され、国民の生活の場に近い都道府県において栄養改善の取組とともに運用がなされてきたところでございます。このときから都道府県を経由して国に申請を行う仕組みとなっていたところでございます。  栄養改善に資する特別用途食品は、都道府県における栄養改善の取組一つとして都道府県で管理されてきたため、平成十四年に健康増進法で規定されてからも、都道府県を経由して国に申請を行う制度はそのまま維持されてきたものと考えられます。  今回の改正は、地方からの提案を受けまして、消費者庁で検討を行い、社会情勢の変化を踏まえ、都道府県経由事務を廃止することとした次第でございます。
  137. 竹内真二

    ○竹内真二君 そうすると、都道府県事務負担は軽減されるとのことですけれども、この許可申請を行う事業者のメリットとしてどのようなことが挙げられるのか、またデメリットは生じないのかをお聞きしたいと思います。
  138. 橋本次郎

    政府参考人(橋本次郎君) お答えいたします。  今回の改正によりまして、申請から消費者庁の審査開始までの時間が短縮されまして、表示許可までの期間が短縮されるなどの効果が期待できるものと考えております。  一方で、申請者は、申請書類を主たる事業者が所在する都道府県ではなく消費者庁に提出することになりますが、通常、申請書類の提出は郵送等で行われており、申請者にとっては提出先が変更されるだけであり、特段の影響はないと考えているところでございます。
  139. 竹内真二

    ○竹内真二君 都道府県の経由事務が廃止された後も、都道府県知事は特別用途食品の検査等の監督を行うことになるんですけれども、これ、都道府県が適切に監督を行うことができるように国と情報共有を行う必要があると考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。
  140. 橋本次郎

    政府参考人(橋本次郎君) お答えいたします。  健康増進法第二十七条及び第三十二条において規定している立入検査、収去、勧告等については、内閣総理大臣都道府県知事、保健所設置市の市長又は特別区の区長の権限とされており、法改正後においてもこの点に変更はありません。  したがいまして、法改正後は、制度を運用する上で都道府県等権限を行使するために必要な情報が把握できるよう、許可等の情報について消費者庁と都道府県等との間で共有する予定でございます。
  141. 竹内真二

    ○竹内真二君 この許可申請を電子化することによって、事業者の申請に係る負担というのは軽減をされて、また都道府県と国との情報共有というのもスムーズに行えることができるのではないかとも思うんですが、なかなか難しい点はあるかと思いますけれども、政府としてこうした許可申請の電子化については検討されているか、お聞きしたいと思います。
  142. 橋本次郎

    政府参考人(橋本次郎君) お答えいたします。  政府として、電子政府推進により行政の合理化、効率化及び透明性向上国民の利便性の向上を図っていくことは重要なことと考えております。  特別用途食品に係る許可申請は現在年間五十件程度でございまして、当該申請に係る全ての手続についてシステムを構築して電子化することについては、システムの構築、維持に掛かる費用費用対効果を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  143. 竹内真二

    ○竹内真二君 次に、幼保連携型認定こども園についてお聞きしたいんですけれども、教育と保育を一体的に推進するこの認定こども園ですけれども、ここで働く保育教諭には幼稚園教員免許状の授与と保育士の登録が必要とされております。他方、必要な人材を円滑に確保するとともに、この幼稚園又は保育所などから幼保連携認定こども園の円滑な移行推進するために、幼保連携型認定こども園で勤務する保育教諭になることができる人の資格要件の特例が二〇一九年度末まで設けられております。  今回の法改正においては、この保育教諭の資格要件等を緩和する特例を更に五年延長することとしていますけれども、その理由と延長することによる効果を伺いたいと思います。
  144. 川又竹男

    政府参考人(川又竹男君) お答えいたします。  幼保連携型認定こども園に勤務いたします保育教諭につきましては、教育と保育の双方について高い専門性が求められることから、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を有することを原則としております。  この保育教諭の現状を申し上げると、平成三十年四月現在、保育教諭の総数は十万三百七人、そのうち、既に免許、資格の両方を有している者の割合が九〇・四%、九万六百四十七人であり、片方の免許、資格のみ有する者の割合が九・六%、九千六百六十人となっております。  この免許、資格の特例の在り方につきましては、昨年、幼児教育や保育関係団体の代表者や学識経験者から構成される子ども・子育て会議におきまして議論が行われました。その結果、保育教諭について、高い専門性を引き続き確保しつつ、施設数が増加していること、片方の資格しか保有していない者がまだ相当数おられること、認定こども園における人材確保必要性などを勘案して、保育教諭は免許、資格の両方を有することが必要であるとする原則は維持した上で、本特例を五年間延長するという方向が出されたものです。  今回の特例延長によりまして、幼保連携型認定こども園への円滑な移行るいは安定した運営、免許、資格双方の着実な取得が可能となるよう、地方自治体や認定こども園関係団体等と連携しつつ取り組んでまいります。
  145. 竹内真二

    ○竹内真二君 この地方からの提案においては、幼稚園免許状更新のための受講機会の確保が十分にできない、受講希望者が講習の定員を超過して受講ができないといったことも指摘をされております。またあるいは、都道府県によっては教員免許の更新講習が開催される絶対数が不足している地域があって、受講するには他の都道府県へ行かなければ受講ができないと、こういう声もあります。あるいは、同一の都道府県内でも開催されている地域が限定的であるために、宿泊を伴う出張とならざるを得ないといったことも指摘をされると伺っております。  こうした声を踏まえますと、単に経過措置期間を延長するだけではなくて、免許状更新のための環境整備というものもしっかりと同時に進めていく必要があると考えますが、文科省の見解を伺いたいと思います。
  146. 平野統三

    政府参考人(平野統三君) お答えいたします。  免許状更新講習は、教員として必要な資質、能力が確実に保持されるよう、定期的に最新の知識、技能を身に付けるものとして行われております。  他方で、教育活動や公務との調整などにより、更新講習の受講について教員に負担感が生じることがございます。このため、弾力的、効果的に更新講習を受講できる環境整備を進め、負担軽減を図ることが必要でございます。  例えば、多忙な教員や近隣に講習会場がない地域の場合でも、場所や時間を問わず自宅でも受講できるようインターネット等を活用した講習の開設をこれまでも大学等に促してきており、その講習の数は増加しております。  文部科学省では、これらの講習の開設を後押しするための予算措置も講じており、更新講習を受講しやすい環境の整備に努めているところでございます。  また、都道府県教育委員会等が実施する研修につきまして、更新講習として文部科学大臣の認定を受けることにより研修と更新講習を兼ねて実施することが可能であり、文部科学省ではこうした取組を促進しております。  これらに加えまして、四月に中央教育審議会に対して諮問を行った新しい時代の初等中等教育の在り方についての中で、免許更新講習と研修等の位置付けの在り方などを含めた教員免許更新制の実質化について御審議いただくこととしており、これらも踏まえて、より弾力的、効果的な更新講習の受講ができる環境整備に努めてまいりたいと思います。
  147. 竹内真二

    ○竹内真二君 今答弁ありましたように、ネットでの講習等もやられているということで、ただ、現場では、やはり対面講習、実際に教授等の講習をやっぱり受けたいという方も大変多いというふうにも伺っておりますので、今答弁あったように様々工夫をしながら、講習機会がなかなか取れないということがないような形で、あるいは失効するようなことがないように、また引き続き努力していただきたいと思います。  以上で終わります。
  148. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。よろしくお願いをいたします。  まず初めに、この分権一括法案のこれまでの成果、今後の方向性について伺いたいと思います。  第九次ということなんですが、これ、法改正の件数で見ますと、一次では四十二本、二次では二百本近い百八十八本、三次で七十四本、四次で六十三本と。ただ、その後はずっと十数本単位の毎回この法改正が行われてきているということになっています。  ということは、この数字だけ見ますと、様々提案があって、どんどんどんどん毎年法改正をするとか制度改正をするということでその一つ一つをクリアしていっているので、だんだん数も減ってきているのかなというふうに思えるわけで、それはそれで大変成果があった第九次までのこの結果じゃないかなというふうに思うんですけれども、ただ、その一方で、じゃ、今後どうするかというところもお聞きしていきたいと思います。  このままの制度設計、こういった提案方式で引き続きやっていくのか、それとも見直す必要性など考えるべきなのか、この辺りについての考えをお聞かせください。
  149. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 地方分権改革、約四半世紀の流れで、今まで累次の委員会勧告をいただいてきたわけですが、国と地方関係自体がもう上下ではなく、主従でも当然ないんだ、対等なんだ、協力なんだという方向への転換につきましては、一定の流れを変えることはできてきているのではないかと思っている次第でございます。  安倍内閣におきましては、平成二十六年から地方の発意に基づくこの提案募集方式というのを導入してやらせていただいているわけでございまして、これはあくまでもこういうことを地方側がやりたいと手を挙げて、その地方の中でもんで、その提案が出てくるわけですよね。その過程自体にも非常に大きな意味がありますし、やりたくないことを押し付けることは意味がないわけですから。その意味では、この基本的な方式自体は決して悪いことではないと思っておりますし、地方側からも、提案募集方式をどうするかの議論をしていく過程となりました昨年末の議論のときに、全国の知事会、市長会、町村会全ての会長から基本的にこの方向性についての御評価はいただいておる次第ではあります。  ただ、今後とも、いろいろ問題の指摘はございまして、先ほども、市区町村の割合がちょっと幾ら何でも二割では低いのではないかと、もう少しこのことをやることによって地方が、自分たちが今までできなかったり支障になっていたことができるようになるんだよということ自体にたどり着いていないんじゃないかとか、いろんなお話もありますので、まさに人口規模が小さくて提案募集って何だいねと今頃、いまだにお感じになっていらっしゃる団体も含めて、裾野の拡大への努力というんですか、それから、まさに住民にこの成果が還元されなければ仕方がないんで、こういうことができるようになったということを後で知る、いまだに知られていないと、これも現実にありますので、相当情報発信を拡充して、この地方分権改革地域の住民の皆様の利便性向上にとって意味があるような形で前進するように続けてまいりたいと、かように考えております。
  150. 清水貴之

    ○清水貴之君 今大臣おっしゃったとおり、私も、やはりこれ地方が自発的に提案していくものですから、国がやりなさいと言ってやらせるものでもない、もうそれはまさにそのとおりだと思います。  私も、先ほど竹内委員からもありました、ただ、提案している、実績のある市区町村が二割程度だという、ここがやはり気になるところでして、この理由、原因を見ますと、これ県別のデータを見ますと非常にこの差がはっきりしていまして、例えば愛媛、大分などは全市区町村が提案を行っています。もう一〇〇%なんですね。一方で、これ県名は言いませんが、三十五の市区町村がありながら提案が全く一つも出ていない、ゼロ%のところがあったり、四十近い市区町村があるのに一件だけの提案提案割合が二・六%、これぐらい低いところもあるわけです。かなり都道府県での差が明らかになっているんじゃないかなというふうに思います。  なぜかというと、やはり、もう大臣もおっしゃったように、活用方法ですとか、これ使ったらどれだけ便利なんですよということがなかなか伝わり切れてないというようなところがあるんじゃないかなというふうに感じておりまして、この辺りも是非今後見ていっていただきたいと思いますが、これも質問で、いかがでしょうか。
  151. 山野謙

    政府参考人(山野謙君) お答えいたします。  提案件数、増加傾向にはございますけれども、先ほど来御指摘のように、市町村、市区町村まだ二割ということでございますので、非常にこの辺をどう拡大するかというのが課題になっているわけでございます。  それから、委員指摘のとおり、市区町村の累計を都道府県ごとに見てみますと、県内全部の市町村提案募集をやっているというところもございますし、一方で全くやっていないというところもございます。正直申しまして、都道府県ごとの提案実績には格差が生じているという、こういう実態がございます。  私ども内閣府といたしましては、私ども自身もやりますけれども、やっぱり市町村に一番近いのは都道府県でございますので、都道府県とよく連携しながら、研修ですとかワークショップ、こうした機会を通じまして制度の周知を図るのはもちろんなんですけれども、自治体が実際に提案ができる、自治体に寄り添いながら、特に提案実績のない市町村提案を後押ししてまいりたいというふうに考えております。
  152. 清水貴之

    ○清水貴之君 この後、三件ほど実際に提案都道府県からあったもので、主に兵庫県のものを挙げさせていただきましたけれども、その提案をしたものの、現時点ではこれはちょっと実現するのは難しいですよという回答が出ているものについて質問をしたいと思います。  まず初めに、自家用有償運送の設定権限を、これ権限都道府県知事などに移譲してほしいと、ボランティア活動での収受可能な経費の範囲、こういったものを緩和してほしいという、こういった提案になります。  なかなか今、交通弱者と言われている方が多い中で、その交通手段をどうするかというのはもうどの自治体でも大変大きな問題、課題になっているというふうに思います。こういったことに取り組んでいる自治体が多い中で、自家用無償運送というものになりますと、これはボランティア輸送ですから、経費以外はこれは受け取ってはいけないということになっているわけですね。これが今度、自家用有償旅客運送になりますと、これは実費以外の金銭の授受も可能ですけれども、こうなると、地元の様々な協議会の同意が必要だったりとかしてハードルがぐっと上がってくるわけです。  ですから、この間を埋める方策を考えてほしいということで、無償でボランティアの方々がやるんだけれども、使う側からしたら全くの無料、ただとなります。何かちょっと気が引けるからせめて少し何か渡したいと。ボランティア、車を動かす方からしても、全くこれ経費だけになると、今度は持ち出し分も発生したりしてなかなかこれも大変だと。この辺りを埋めるような方策を考えられないかという、こういった提案なんですが、これは現時点ではやはりなかなか難しいということでしょうか。お願いいたします。
  153. 加瀬徳幸

    政府参考人(加瀬徳幸君) お答え申し上げます。  平成三十年に先生御指摘提案がございました自家用自動車で行う高齢者移送ボランティア活動で収受可能な経費の範囲の緩和等の提案でございます。  こちらにつきましては、平成二十八年の提案募集におきまして同様の主張に基づく提案がございました。その際に、国土交通省さんの方からは、平成二十七年四月に、ボランティア団体についても、現行制度において運営協議会等での合意が得られれば自家用有償運送の登録が可能というふうな形で仕組みをつくっているということでございまして、例えばガソリン代とか道路使用料は実費でございますけれども、そういった実費以外の金銭の収受を行うことができますというような御回答があったところでございます。  三十年に提案をいただいたところでございますけれども、平成二十八年当時からの比較でございまして、更なる具体的支障や状況変化等が明確とは言えなかったということでございまして、改めて支障事例等が示された場合等に調整の対象となるというふうに三十年の提案の際には整理をさせていただいたということでございます。
  154. 清水貴之

    ○清水貴之君 今の話でしたら、自家用有償だったら可能、これはもちろん分かっているんですが、ただ、これは先ほど申したようにハードルが高いわけですね。地元の合意が必要だったりとか全くタクシーが走っていない地域でしか認められないとか。そうじゃない、もうちょっと狭い範囲といいますか、自治会の中で車を動かしたいとかそういうレベルの話のこれは市区町村からの提案、お願いできませんかという話なわけです。  お聞きしたいのは、これ全く、例えばこの前、先日のこの委員会でもアジットのクルーのことを質問させていただきましたが、無償輸送でもこれ自発的な謝礼というのは可能になっているわけですね。ということは、ここで僕は埋めることができないかというふうに思いますが、これは自発的な謝礼は可能、無償でもボランティア輸送でも自発的な謝礼はこれは可能ということですよね、今、現制度で。
  155. 石井正弘

    委員長石井正弘君) ちょっと速記止めてください。    〔速記中止〕
  156. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 速記を起こしてください。
  157. 加瀬徳幸

    政府参考人(加瀬徳幸君) 先生御指摘の詳細につきましては、またちょっと御確認をさせていただいた上で、また回答させていただきたいと思います。
  158. 清水貴之

    ○清水貴之君 これ、質問通告内容としてはどうやって通告していましたっけね。自家用自動車で行う高齢者移送ボランティア活動で収受可能な経費の範囲の緩和及び自家用有償運送登録要件の設定権限都道府県知事への移譲についてという通告をしておりまして、何か解決策はないかという、こういう質問をさせていただけたらと思うんですが、これはあれですか、国土交通省の管轄ということですから内閣府では難しいということですか。
  159. 山野謙

    政府参考人(山野謙君) 提案募集全体につきましては、具体的な内容につきまして国土交通省の方で検討いただきまして、私どもはそれを踏まえてどうするかということを検討しております。  今御指摘の件につきましても、具体的な話として議論の俎上に上がってくれば当然検討いたしますが、私ども、今その件についての知見を持ち合わせておりませんので、これは改めて提案の中でそういった議論が出てくれば、それも含めて議論をさせていただければというふうに考えております。
  160. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 国土交通省、答えられますか。それでは、城福国土交通省総合政策局公共交通政策部長
  161. 城福健陽

    政府参考人城福健陽君) お答え申し上げます。  大変申し訳ございません。直接その自動車の許認可、担当しているものではございませんが、先生御指摘のそのボランティア輸送につきましては、いわゆる自動車運送事業の範囲外ということでその区切りを明確にしたところでございまして、許認可不要ということでそのボランティア輸送は可能であるというふうに認識しております。
  162. 清水貴之

    ○清水貴之君 私のちょっと通告の仕方が悪かったかもしれません。また、これは改めて質問させていただきます。  もう一点、後期高齢者医療制度における保険料が還付となった場合等の特別徴収の継続、こういった要望も出ております。これは、兵庫県始めかなりの市区町村から、都道府県も含めて出ている要望なんですけれども、後期高齢者医療制度の保険料還付になった場合の年金の徴収方法が特別徴収から普通徴収に切り替わるため、特別徴収、引き落としから、普通徴収、払う方式に変わるため、これが様々な事務作業が発生すると。これが大変だということで、徴収方法を特別徴収、天引きのままでお願いできないかということなんです。  これ、提案、回答も聞いているんですが、一定数は口座振替の方法により行われているから必要性が認められないというような話になっている。これは、そのような回答でよろしいでしょうか。
  163. 加瀬徳幸

    政府参考人(加瀬徳幸君) 先生御指摘のとおりの回答でございます。
  164. 清水貴之

    ○清水貴之君 ただ、一定数はそう、多くはそうだけど、でも全てではもちろんないわけですよね。ですから、これ、なぜこれを認めることが難しいんでしょうか。
  165. 加瀬徳幸

    政府参考人(加瀬徳幸君) お答え申し上げます。  口座振替でやられている部分が多いと、しかも徴収率については高くなっているという現状でございまして、一方で、こういったことをした場合にシステム改修等々の費用経費、そういったものも出てくると。そういったところで、実際その事務システム改修経費その他の費用対効果とか、そういった点を考えた上で、この提案についてはなかなか難しかったということでございます。
  166. 清水貴之

    ○清水貴之君 費用対効果を考えるのは、それは各自治体ではないんですか。やっぱり国でそれは判断をするような話になるんですか。
  167. 加瀬徳幸

    政府参考人(加瀬徳幸君) 費用対効果が生じる場合はいろんなケースがございますので、それを、国の場合もございますし、自治体の場合もございますので、そういったことを勘案した上で考えたということでございます。
  168. 清水貴之

    ○清水貴之君 自治体提案としては、費用対効果が悪いと、だからお願いできませんかという提案なわけです。だから、費用対効果というのは私答えにならないんじゃないかなというふうに思うわけですね。  今後ますます、低所得者に対する均等割軽減特例の見直しに伴い、きっとこの辺もこの制度なかなか難しくて完全に理解できているわけじゃないんですけれども、収納率の低下や滞納に係る市町事務の増加が懸念されると、だから、今後ますますこういうことが必要になるのでお願いできませんかという提案なわけですね。ここは費用対効果の面でいうと悪いんですよと、だから何とかしてくださいと、こう変えてくれませんかという提案だというふうに認識をしているんですが。
  169. 加瀬徳幸

    政府参考人(加瀬徳幸君) 今申し上げましたのは昨年の提案の段階における整理ということでございまして、まだ令和元年提案募集というのはまだこれから受け付けるところでございます。その中において、新たな支障とかそういったものが示された場合については、またその状況を踏まえまして取扱いについては検討させていただくということになろうかと思います。
  170. 清水貴之

    ○清水貴之君 もう一点、三件目なんですけれども、これが災害救助法における救助範囲に家屋被害認定調査などを追加してほしいということです。  災害が起きた後の仮設住宅への入居などには家屋被害認定調査に基づく罹災証明書、これが必要になるわけですね。こういった調査とか証明書の発行というのは災害救助費の対象外となっていると。じゃ、誰が負担するかといったら、例えば熊本地震がありました、じゃ、兵庫県から応援に行きますというときに、これ国からの要請があって兵庫県が人を出すんですけれども、負担は兵庫県がこれをしているわけですね。ここはさすがに、何というんですかね、この費用のところに、災害救助法の救助範囲、これに含めていただけないでしょうかといった、こういった要望なんです。これもやはり難しいんでしょうか。
  171. 加瀬徳幸

    政府参考人(加瀬徳幸君) お答え申し上げます。  先生御指摘提案については、実は二十九年に同じ内容の提案があったということでございまして、その際の整理としましては、家屋認定被害調査等については、内閣府の方から、災害対策基本法に基づく市町村が行う事務となっておりますと。さらに、災害直後に応急的に必要な救助を被災者に行うという災害救助法の目的に照らして災害救助費の対象とすることはなかなか困難であるというようなことで、難しいということになったということでございます。  仮に令和元年提案として出てきた場合には、またどういった支障が実際あるのか、そういったことを提案団体にもお聞きした上でまた整理をしていくということになろうかと思っております。
  172. 清水貴之

    ○清水貴之君 私が今指摘した点についてはどのようにお考えになるでしょうか。今のお話でしたら、被災をしたその自治体が、熊本地震がありました、熊本県が自分のところのこういったものを調べる、これは自治体費用負担でやりますという御説明だと思うんですが、応援で行った場合、ここはさすがにちょっとそういった中に含めてもらえませんかという話なんですが、これについては今どのような御判断ですか。
  173. 加瀬徳幸

    政府参考人(加瀬徳幸君) そういった点も含めまして、また提案がありましたら制度所管省庁になります内閣府の方と、これは防災担当でございますけれども、そういったところと中身について相談をさせていただくということになるのかなというふうに考えております。
  174. 清水貴之

    ○清水貴之君 今は、ここではお答えいただけないということですか。
  175. 加瀬徳幸

    政府参考人(加瀬徳幸君) 申し訳ございませんが、災害救助自体の制度を所管しているというわけではございませんので、なかなか内閣府の地方分権担当としては明確なお答えを現時点でさせていただくのはちょっと難しいということでございます。
  176. 清水貴之

    ○清水貴之君 続いて、片山大臣、お伺いをいたします。道州制についてお伺いをしたいというふうに思います。  大臣の所信で道州制について言及をされております。地方経済の活性化や行政の効率化にも資する手段の一つ考えており、国会における御議論も踏まえつつ取り組んでまいりますという御発言がありました。  我々維新の会というのは道州制を進めていくべきだという考え方ですので、大臣所信に毎回、片山大臣だけではなくて、これまでの大臣の皆さん、必ず道州制のこと、同じ文言ですけれども、必ず言及されるんですね。  とはいえ、何か議論が、じゃ、進んでいるかといったら、そのような空気感というのは全く漂ってこないんですけれども、現時点でどのような道州制に対しての認識でしょうか。
  177. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 道州制でございますが、道州制は、国家の統治機能の集約、強化ということとともに、住民に身近な行政はできる限り地方が担うということで、地域経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つとして、非常に大きな改革、国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革というように認識をしております。  ということで所信でも申し述べさせていただいておる次第でございますが、非常に大きな改革でございまして、その検討に当たっては何よりも地方のお声を十分に聞かなければできないことは当然なので、その十分に聞く上で、例えば地方六団体の中で町村会や町村議会の議長会さんなどは継続的に懸念というのか、反対を表明しておられるという現実もまたあるものですから、国民的な議論が形成されるということ、国民的な議論を行いながら丁寧に進めていかなければ難しい問題であるとも認識しておりまして、これまでも与党においても道州制に関する検討というのはされてはきておりますので、政府としても連携して取り組んでいくということではないかと考えております。
  178. 清水貴之

    ○清水貴之君 所信で毎回道州制という言葉が出ていますので、期待をするんですが、なかなかというところがありますので、引き続きよろしくお願いをいたします。  お待たせいたしました。舞立務官、質問をさせていただきます。  これは、先週の新聞記事になりました。二〇一八年、昨年、これは非常に我々維新としては明るいニュースなんですが、大阪へ本社を移した、移転した企業というのが二十三年ぶりのもう高水準となったという、こういうニュースなんですね。百七十四社、一年間で大阪に本社を移した。ただ、転出、出ていった方も百九十一社ありますので転出超過ではあるんですけれども、それでも、このプラスマイナスの差でいいますと、今までは超過の方が圧倒的に多かったわけですから、大分縮まってきたという、そういったニュースなんです。  これについて、まず、どのような評価をされますでしょうか。
  179. 舞立昇治

    大臣政務官舞立昇治君) 御質問ありがとうございます。  先ほど清水先生が言われた件につきましてはそのとおりでございまして、やはり帝国データバンクの結果につきましては特筆すべき点が二点あると思っておりまして、やはり、その転入が大阪に百七十社を超えたという話と、今まで例えば過去五年ぐらい転入転出、転出超過が五十社台から七十社台だったのが非常に十七社に激減したというか、減少したという点では、東京一極集中を是正していくことを進めている我々といたしましては一定の評価ができると考えております。
  180. 清水貴之

    ○清水貴之君 ただ、これ、それだけ見ると喜ばしいんですけど、よく見ていくと、じゃ、大阪へ移っていった企業はどこから移っているかといいますと、一番転出元といいますか転出の元々会社があったところは兵庫県が多いんですね。結局、兵庫県の六十八社が大阪に行ったと。次は東京なんですけど、東京は二十九社です。大阪に行ったうちの四割はもう兵庫県から行っているんです。ほか、二位は東京で、三位が京都ということで、結局、一府四県、大阪以外の周りの関西地区から六割の企業が移っているということなんです。  ですから、これ、東京から一極集中を打破するというのは、東京から大阪にどんどん企業が移ってきてくれるならこれはすばらしい数字なんですけど、関西圏で、逆に、今大阪が盛り上がっているので大阪に移そう、兵庫がどんどん衰退していくという話にこれなりかねませんので、これでしたら本当の東京一極集中打破にならないなと。  これ、おととい発表されたんですが、トリドールという丸亀製麺などのうどんチェーン店を行っているこの会社、神戸に本社があったんですが、東京の渋谷に本社を移されるそうでして、こういった大変残念なニュースもこの二、三日でありまして。  ですから、舞立務官、大阪が活性化する、関西がという思いはすごい有り難いんですけれども、東京からやっぱり多くの企業が地方都市に、この関西だけじゃなくて移っていくというのが本当の地方創生につながるんじゃないかと思います。この辺りも是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
  181. 舞立昇治

    大臣政務官舞立昇治君) 確かに、先生御指摘のとおり、大阪への転入が増えた主な要因はやはり兵庫県からの転入が非常に増えたということでございますが、一方で、転出超過が非常に減ったという要因といたしましては、大阪から東京への転出が約十三社減ったというのも大きく貢献していると。  そのような中で、これまで本社機能の地方移転の関係につきましては、地方拠点強化税制と、移転型と拡充型で応援しているところでございますけれども、確かにこれまでは、近畿圏中心部、そして中部圏中心部につきましては、制度創設時におきましてそもそも人口や産業が集中していた地域ということで、どちらとも支援対象外としておりましたけれども、やはりその後、東京一極集中が依然として止まらない、是正の更なる強化が求められた中で、やはりその近畿圏から東京に転出するというのが非常に大きな要因だったわけなので、そこをやっぱり解消する必要があるでしょうということで、昨年度平成三十年度から、東京からの移転についてのみ、この同地域支援対象、移転型の対象としたところでございます。  まだ確かに初年度、一年目ということで、なかなか本社機能を地方に移転するにはやっぱり一年なり数年なり会社の中で議論されるということで、まだちょっと効果が見渡せない、不透明なところでございますけれども、引き続きその状況を注視するとともに、経済界や地方公共団体の御意見、そしてその第二期まち・ひと・しごと総合戦略の策定に向けた議論等を踏まえながら、引き続き本社機能の地方への移転が更に促進されるように検討を深めてまいりたいと考えております。
  182. 清水貴之

    ○清水貴之君 ありがとうございます。是非積極的によろしくお願いをいたします。  となりますと、もう一点、これまでも出ましたが、政府関係機関の地方移転、これも私、この場でも、内閣委員会でも御指摘をさせていただいております。  進めていますという回答をいただくんですが、文化庁、消費者庁、あとはいろんな研究機関とか、もちろん全くこれまでなかなか進んでいなかったものが進み始めているのでこれは評価することかもしれませんが、こういった話が最初、当初出たときは、もう各自治体が手を挙げて、いろんな省庁うちに来てくださいということで、かなり期待値が高かったわけですね。でも、蓋を開けてみたら、申し訳ないですけど、言い方悪いかもしれませんが、もう小粒ですよね。数十人単位の移転とかで終わっております。  不公平だな、これは問題じゃないかとやはり思うのが、企業にはもう地方にどんどん行ってくださいと、税制優遇しますよ、何々しますよ、行ってくださいと。大学も、東京都内の定員を抑制して、学生さんも地方に行ってくださいよというんだけれども、やっぱりこの省庁になりますと、いろいろ理由はありますよね、国会対応がどうだとか言いますけど。理由を付けるのは簡単だけれども、理由を付けるのは何とでも付けられますけれども、やることがやっぱり大事だと。  これぐらい片山大臣、もう大きな枠組みで進めていかないと、いろいろ今までやってきて、この十何年ですけれども、人口、東京への集中というのは転入超過も全く解消されていないわけですね。ですから、大臣、そういった大きなスケールで是非考えていただきたいと思いますが、最後の質問です、いかがでしょうか。
  183. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) まさに隗より始めろの言葉もありますから、政府関係機関の地方移転ということが首都圏から地方への動きというのに大きな影響があり得るから、その大議論を始めたわけでございますが、二十八年三月に政府関係機関の移転基本方針、九月には今後の取組についてということで、このまち・ひと・しごと創生本部、私どもの方で決定させていただいて、今まさにこれをやっているところなんでございますが。  私も京都の視察もさせていただき、また徳島の方は知事が熱心にその問題でお越しになりまして、この中央省庁の中で文化庁、消費者庁、総務省統計局、特許庁、中小企業庁、観光庁、気象庁という七機関のみで、先ほど委員から小粒というお叱りもお受けしたんですが、その七機関でおいてもこれは非常に大変でございまして、一つ一つ詰めるべき論点が山のようにありまして、国会でもいろいろな議論があるという現状で、丁寧にこれを一つ一つ取組を前に進めているところでございます。  兵庫県においては、御地元でいらっしゃいますが、取組事例として、非常に理化研等の関係で民間のインボルブメント等もうまくいって、百三十三機関が参加するという、ほかにないような進展も見られているわけで、まさに優等生でいらっしゃるんですが、そういった部分のまず成果が出ないと、その次に更に大胆なこともなかなか切り出せないという部分もあるものですから、そこはまず足下固めをしている状況でございますが、全体的に大胆な改革必要性につきましては重々留意しながら頑張ってまいりたいと思っておる次第でございます。
  184. 清水貴之

    ○清水貴之君 ありがとうございました。終わります。     ─────────────
  185. 石井正弘

    委員長石井正弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、榛葉賀津也君及び牧山ひろえさんが委員辞任され、その補欠として舟山康江さん及び小西洋之君が選任されました。     ─────────────
  186. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  おととい、川崎市で、スクールバスを待つ小学生が襲われるという殺傷事件が起きました。余りにも痛ましく、御冥福とかお見舞いという言葉では本当に思いが伝え切れないと、そういう思いでいっぱいなんです。  子供たちの命と安全を守る取組が今改めて問われています。そのときに、学童保育、放課後児童クラブの職員配置二人以上という従うべき基準を、参酌基準、参考にしてくださいという基準にしてしまうんでしょうか。つまりは、職員は一人でもいい、資格や研修を受けていなくてもよい、こうやって認めるということなんですか。
  187. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。  今回の措置でございますが、従うべき基準があることによって人材確保が困難になっているといった地方からの要望を踏まえまして、全国一律ではなく、自治体の責任と判断によって、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うことを可能とするものでございます。また、その基準につきましては、市町村地方議会の議を経て条例によって制定するものでございます。  厚生労働省といたしましては、従うべき基準が参酌化された場合でありましても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断によって地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えております。
  188. 田村智子

    ○田村智子君 ごまかしていますよ。二人以上って書かれているのを参酌化するんですよ。二人以上で、参考にしていいよだったら、一人配置認める、それ以外ないじゃないですか。
  189. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。  申し上げましたように、自治体の責任と判断によって、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて御判断いただき運営を行うことを可能とするものでございます。ですので、その結果、自治体において一人配置を認めるかどうかをお決めいただくことになるものと承知しております。
  190. 田村智子

    ○田村智子君 国はそれでいいという法律になっているんですよ、これ。  片山大臣にもお聞きしたいんですね。登下校時の安全確保について、昨日、五月二十九日、緊急の閣僚会議持たれましたね。子供の安全確保が必要だというのは通学路だけの話じゃないです。  学童保育というのは、そもそも放課後の子供の安全と安心を保障するために、六〇年代から七〇年代、鍵っ子と言われた子供たちが火事で命を落としたり、いろんなことあったんですよ。それで全国に広がっていった。八〇年代には幼女連続殺人事件が起きて、そのときには誘拐が発生した地域で学童が新たにつくられたという経緯もあるんですよ。  児童福祉施設として子供の安全を守ることは第一義的に求められていて、当然、避難訓練、防犯訓練行っているんです。不審者対策も重視されていて、職員の一人が不審者に対応する、もう一人が子供たちを避難させる、こういう訓練やっているんですよ。  事故や事件、アクシデント、災害、こういうものが起きたときにも一人で対応してもいいよと、あるい現場でいえば一人で対応しなさいと求められちゃう、これは安全確保と矛盾するじゃありませんか。
  191. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) まず、今般の事件につきましては、痛ましいということを通り過ぎてもう絶対に起きてはいけないということで、早速、関係閣僚会議も開かれたわけでございますが、安心、安全の確保が最優先ということは、もちろんこれはもう絶対に揺るぎない大原則でございます。  そして、今回、地方分権一括法の中で、従うべき基準の参酌化の問題、多くの委員の先生方から御心配をいただいてきたわけでございますが、まず、この歴史をひもときますと、まさにおっしゃったように私も世代的に鍵っ子という言葉が当てはまるそういう時代の子供でございまして、そういうときにはまさに学童保育はなかったわけですね、制度的に、当然。何をしていたかというと、それはそれなりのコミュニティーの中で、子供たちも働く母親たちも工夫をしてやっていたわけで。  事件が起きたこともあるし、いろいろな地域の実情もあって、地域が主体となってこの事業はできてきております。それは客観的な事実でございます。ですから、初めから国が一定の制度を法律で作りました。日本ですから、先ほど申し上げましたように非常に細かいことまで逐一決めるわけですよ、省庁はね。そういう形で、上からこうしてきたものではなくて、地域的にこういうことで子供たちの居場所確保をしていくということの中で出てきて、それを後から御承知のような経緯ではまってきたわけですね。  それをこれからどうしていくかというときに、平成二十九年から三年連続、地方六団体の方から、なかんずく市長会の方から、我々も質の問題ももちろん分かっているし、実施主体として市町村長が責任があるということをしっかり自覚した上で実情を踏まえた柔軟な対応をお願いしたいということで、複数回出てきております。そして、まさに委員の先生方から、実際に議長会というか各地域の議会の中から、こういうことでいいのかと、やはり参酌化しない方がいいんじゃないかという、そういう結論でアピールしてこられたところがあるのも、これも事実です。  ただ、いずれにしても、実際に条例を改正するか否かの御判断は各市町村に委ねられるわけですから、それを出してきた議会が通すわけがないわけで、これはあくまでも自由にできる可能性のある自由化をしてくれということを市長会の方が何度も私どもに言ってこられて、ですから、去年出てきて今年やる話じゃないんですね。そこに相当なやり取りがあって、厚生労働省さんの方もかなりもまれた結果としてこのようになっているということは御理解を賜りたいと思います。
  192. 田村智子

    ○田村智子君 その地方三団体ですよ、知事会等々の。何と言っているかと。学校では担任教員は一人だ、こんな指摘までしているんですね。学校というのは、校長とかほかの教員とか事務職員とか養護教員とか、複数配置ですよ。全く的外れな指摘で参酌化しろと求めてきているんですね。これ、二人を参酌化したら、一人認める以外ないんですよ。職員一人ってどういうことなのか。  全国学童保育連絡協議会のアンケートに寄せられた実態を見てみますと、一人保育のときに工作をしていた子供がけがをした、病院に連れていかなきゃいけないと、そのときに、残る子供たちに誰が来ても開けないようにねと、こうやって子供を残していかざるを得なかったんだ。あるいは、高いところから落ちて負傷してしまった子供を救急車に乗せなきゃいけないと、だけどここの学童保育離れられないから、その子一人で救急車に乗せざるを得なかったとか、本当に苦しい思いで指導員の方々、一人体制経験している。だから、複数配置をちゃんと守ってくれと、こうやって求めてきたんですよ。  これ、日常の学童保育でも子供がけがするとか具合が悪くなるってよくあることで、また、外遊びをする子供にも部屋にいたい子供にも対応が求められて、複数配置というのは子供の安全、安心の保障なんです。地方がいろんな基準を作りますよ、だから国はそれを見守りますよじゃ駄目ですよ。  地方自主性だといって、住んでいる自治体によって子供の安全のための最低の基準まで国はもう参酌化しちゃうのかと、これが問われているんです。端的にお答えください。それでいいんですか。
  193. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) まさに提案募集方式に沿って、複数年度繰り返し繰り返し出されてきたこういったことと、その所管官庁との議論を尊重して、今回このような形にさせていただいておりますし、あくまでも実際に条例を改正するかの判断はまた市町村が負っているということも含めてこのようにさせていただいているということを御理解いただきたいと思います。
  194. 田村智子

    ○田村智子君 それは国の責任放棄ですよ。じゃ、地方団体も交えていろいろ議論して出してきたものだと言うけれども、そもそも複数配置を含め学童保育の運営基準がなぜどのように定められたのか、これちゃんと見るべきです。  学童保育ってどういうところか。私も経験しましたけど、三月三十一日まで保育園に通っていた子供が四月一日には学童保育に通うことになるんですよ。入学式前ですからね。保育園の利用時間と同じように一日中学童保育で過ごす、これが小学生としてのスタートとなる子供たちいっぱいいます。だから、子供を安心して託せるのか、子供が楽しく通ってくれるのか、保護者にとって本当に大きな問題で、全国どこでも学童保育が一定の質を保って運営されるようにと、学童保育の関係者や保護者が職員配置の基準、資格要件、施設基準、これ作るようにと。三年どころじゃないですよ、もう長年長年求め続けてきたんですよ。  例えば、全国学童保育連絡協議会、二〇〇三年に、私たちが求める学童保育の設置・運営基準、こういう提言を発表し、二〇〇八年には政府社会保障審議会少子化対策特別部会でこの内容に沿った報告も行っています。こうした提言や運動を受けて厚労省は運営基準を策定したんじゃないんですか。  放課後児童クラブの運営基準策定するに当たってどのような審議過程経たのか、簡潔にお答えください。
  195. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。  平成二十四年三月に当時の少子化社会対策会議において決定された子ども・子育て新システムに関する基本制度におきまして、放課後児童クラブについて、質を確保する観点から、職員の資格、員数、施設、開所日数・時間などについて、国は法令上の基準を新たに児童福祉法体系に設定する、また、国が定める基準を踏まえ市町村が基準を条例で定める、職員の資格、員数については、現行の事業実態を踏まえ、従うべき基準とすることも含め法案提出までに整理するとされまして、これに基づいて平成二十四年に児童福祉法が改正されたものです。  その後、社会保障審議会放課後児童クラブの基準に関する専門委員会を七回開催いたしまして、報告書を取りまとめた後、平成二十六年に放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定めたものでございます。
  196. 田村智子

    ○田村智子君 地方行革の専門会議なんて十数分とかですからね。それで、何ですか、三年やっただけだと。もう審議会とか専門会議で何度も何度も議論積み重ねているんですよ。それで、職員の複数体制と資格要件は従うべき基準となった、しかし、施設基準や基礎単位となる児童数などが参酌基準にとどまった、だから大規模学童を四十人以下の適正化に改善してくれ、あるいは施設基準も従うべき基準に引き上げようと、こういう運動は今もずっと続いているんですよ。ところが、基準の施行から僅か三年で全ての基準を参酌基準にしてしまうという。昨年、この案が提案されたときに、今までの運動は何だったのかと、もう私も驚きと怒りを抑えることができませんでした。  地方分権改革の有識者会議などでは、全国学童協など学童関係者からの意見聴取、行ったんですか。
  197. 山野謙

    政府参考人(山野謙君) 私ども、提案の実現に当たりましては、分権改革室の職員が、支障の具体的な内容について現場を最もよく知る地方公共団体、こちらの職員から話を聞いております。その上でその実態を話をするということ。  それから、当然のことながら、有識者会議なり分権の提案部会の皆さん、関係省庁からのお話を十分に踏まえて議論をしたということでございます。
  198. 田村智子

    ○田村智子君 聞いてないんですよ。学童関係者から意見なんか聞いてないですよ。一番知っているのは現場の皆さんですよ。運動してきて、基準求めてきた皆さんですよ。  放課後児童クラブについては、今後の在り方について、社会保障審議会放課後児童対策に関する専門委員会、昨年七月に中間取りまとめを行っています。基準の参酌化については、二〇一六年から提案と議論、地方分権の方で行われているんですけど、じゃ、この学童の専門委員会ではこの参酌化についての議論は行ったんですか。
  199. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) 放課後児童クラブの従うべき基準の参酌化につきましては、平成二十九年十二月の、平成二十九年の地方からの提案等に関する対応方針閣議決定におきまして、子供の安全性の確保等一定の質の担保をしつつ地域の実情等を踏まえた柔軟な対応ができるよう、参酌化することについて、地方分権の議論の場において検討し、平成三十年度中に結論を得るとされたところでございます。  そのため、放課後児童対策に関する専門委員会におきまして、この放課後児童クラブの従うべき基準の参酌化に関する意見は伺っていないところです。
  200. 田村智子

    ○田村智子君 結局、参酌化してほしいという自治体からはたっぷり意見聞いたと。しかし、放課後児童クラブの基準の策定に関わった方々、専門分野の方々からは公式に意見も聞いてない、議論もしていない。学童保育の質を余りに軽んじていますよね。  これ、直近の地方分権提案は愛知県豊田市なんですね。豊田市が見直しを求めたのは資格要件です。学童指導員、支援員というふうに政府は言っていますけれども、これは、教員や保育士、社会福祉士などの有資格者又は高校卒業後二年間の実務経験者でいいと。専門性担保するための研修というのも義務付けたわけですけれども、これに対して豊田市は、高卒者の実務経験二年というのは二千時間程度の勤務経験を求められると、これが問題だというんですよ。補助員は非常勤職員、一日三・五時間、週三日程度の勤務なので、二千時間程度の勤務には四年を要する、だから資格要件は自治体に任せろという提案なんですね。  学童指導員の部会を持つ労働組合、全日本建設交通一般労組、建交労にお聞きしましたら、この豊田市、公立学童二か所、民間委託や指定管理が六十四か所、計六十六か所全て職員は全員が非正規雇用です。週二十時間以下の人ばかりを雇って日替わりのローテーション勤務なので、申し送りにも子供たちとの人間関係を築くのにも大変だというふうにお聞きしています。豊田市のホームページ見ますと、放課後児童クラブの職員、これ支援員も補助員も分けてないです、区別ないです。勤務時間は授業終了後から午後六時三十分なので、これ三時間三十分程度なんですね、確かに。週二回から三回の勤務だと。これ時給千円程度ということでしょうから、平日だけの月で見てみると、月三万から五万円ですよ、収入。専門性持って継続して働ける処遇からは程遠いと。  厚労省は支援員の常勤化によって処遇改善を進めるという方向なんじゃないんですか。
  201. 本多則惠

    政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。  放課後児童支援員等の処遇改善につきましては、人員確保を始めまして、長く勤務していただく環境づくりのためにも重要と考えております。  そのため、平成二十九年度予算から人件費の積算を見直しまして、運営費の国庫補助基準額を増額し、放課後児童クラブの勤続年数や研修実績等に応じた処遇改善の経費を補助する放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の仕組みを導入したところでございます。こちらについては、常勤の方も非常勤の方も対象としております。  厚生労働省といたしましては、この処遇改善事業について多くの自治体で御活用いただけるように、文科省とも連携をいたしまして、あらゆる機会を通じて働きかけてまいりたいと考えております。
  202. 田村智子

    ○田村智子君 こういう学童指導員の国の方向とは違って、処遇改善する気もない、専門性も認めない、大人がそこにいればいい、こういう位置付けのような自治体が、国が基準を定めるのは不都合だと、自治体に任せろと提案してきて、はいそうですかと法律を変えるのか。こんなのあり得ないですね。  学童保育の質の向上、これは指導員の専門性の発揮が最大の課題です。教育や保育とも異なる専門性があり、子供が相互に関わりながら生活する、遊びを通じて自主性や協調性なども育てる、いじめや児童虐待の発見にもつながるような、そういう活動です。子供をめぐる社会状況に様々な不安要素がある中で、学童保育の果たす役割というのはいよいよ重要になっているんです。  ところが、その指導員の処遇は、先ほどの豊田市のような例がありますからね、自治体によって本当にばらばらです。建交労全国学童保育部会の二〇一九年アンケート結果によれば、平均年収は二百六十七万一千円なんですけど、一番低いところで九十一万七千円、高いところで三百四万円。勤続年数も平均では九・四なんですけど、最も短いところでは一・三年、長い自治体では十七・九年。  これ、低いところを引き上げて望ましい方向にみんなが向かっていくことが必要で、だから、基準を自治体任せではなくて、国が守るべき基準を明らかにして、そこの基準に達するように必要な支援行っていくということが本来やるべきことなんじゃないんですか。これを地方分権という議論にするのは全くお門違いだと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  203. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 一月に高知を訪問をさせていただきまして、知事と一日、様々な地方創生、あるいは小さな拠点等見てまいったときに、まさにこの二十三年の議論ですね、そのときに知事会の方の代表で、この法改正のときに、基準は勘弁してほしい、あるいは参酌すべき基準にしてほしいと、地方の裁量権を拡大してほしいという意見をずっと言っておられたのは高知県の尾崎知事なんですが、高知県における拠点をいろいろ拝見して、実態的に四十人以上とかあるいは七十人とかいうところがあり得る都市部と同じ配置を要求するのは非常に現実的ではないなというのは思いました。実際、七人とか十二人とかそういうところで、距離がありますから、その拠点ごとに置いていらっしゃるわけですが、そこを運営責任者である自分たちに任せてほしいということは、それはそれで一つ主張に理由があるというか、一貫してその二十三年からずっとおっしゃっているわけですよ。善かれと思っておっしゃっているわけですよ。  ですから、そういった主張の中で様々な議論が積み重ねられてきてこのようになった中で、先ほどありましたように、資格の問題を問題にした、そういう部分の具体的な主張を挙げたところもあれば、人数もあれば、いろいろありますけれども、そこのところについて一貫して運営の裁量の確保をお願いしたいということはかなりコンセンサスであったということは御理解を願えればと考えている次第です。
  204. 田村智子

    ○田村智子君 たった二人配置がそんなきつい基準ですかってことですよね。  確かに、研修要綱とか、なかなか研修受講困難があると聞いていますけど、それは経過措置を例えばもうちょっと延ばすとかという検討だってできたはずですよ。あるいは、研修受講するときの代替要員どうするのかという支援とか、そのときの給与補償の支援とか、支援を拡充すればできる話だと思いますよ。本当にひどい。これ、認められない。  次に、社会教育施設を教育委員会から首長部局へ移管することを可能とする改定、これについても取り上げます。  知事や市長というのは政治家です。時々の政治家の意向で、博物館、図書館、公民館などの企画が影響を受けることになるんじゃないのかと危惧する方が少なからずおられるんですね。これ、杞憂だとは言い切れないと思います。  五月二十四日、最高裁判決で、大阪府、大阪市の敗訴が確定した。ピースおおさかという、これは平和問題について企画をしている、展示している施設なんですけれども、これ、大阪維新の会の知事、市長になった途端にその展示内容の大規模な変更が行われたんです。市民の方が、審査会も開かないで変更されていると、一体どういう議論を経て、検討を経て変更が行われたのかと情報開示を求めても、全く情報が開示されない。このことを訴えた裁判なんですけど、これ敗訴確定しているんですね。  やっぱり、現にこういう問題起きているんですよ。首長が替わったら、市長が替わったら現に展示が変わっちゃった。そうすると、知事や市長直轄の部局が所管するようになっても政治的な影響を受けないと、こう言い切れるんでしょうか、文科省。
  205. 塩見みづ枝

    政府参考人(塩見みづ枝君) お答えいたします。  今回の改正案におきましては、地方公共団体の判断により公立社会教育施設の所管を首長とする場合には、政治的中立性の確保など社会教育の適切な実施が確保されるよう、首長がその所管する公立社会教育施設の管理運営に関する規則の制定を行う際には教育委員会に協議すること、教育委員会は、職務に関して必要と認めるときは、公立社会教育施設に関する事務について首長に対して意見を述べることができることなど、教育委員会による一定の関与の仕組みを設けております。  今回の改正案によりまして公立社会教育施設を首長が所管することとなった場合におきましても、当該施設が社会教育法等に基づく社会教育施設であることには変わりはございません。ですので、法律法律に基づく基準等を踏まえ、設置者である各地方公共団体におきまして、政治的中立性の確保を含め、社会教育施設としての適切な管理運営に努めていただくことが重要と考えております。
  206. 田村智子

    ○田村智子君 それが担保になるのかどうかなんですけど、危惧されるのはそれだけじゃないんですね。  今、政府は公共施設の老朽化、それから人口減少を理由に、公共施設の総面積を減らすことを前提にマネジメントを強く自治体に求めて、計画の策定もやられているんですね。  社会教育施設の種別を超えた統廃合とか民間委託、民営化、これが首長によって強力に進められるという危険性はないんでしょうか。
  207. 塩見みづ枝

    政府参考人(塩見みづ枝君) お答えいたします。  今回の改正案におきましては、地方公共団体の判断によりまして、公立社会教育施設の所管を首長とする場合には、社会教育の適切な実施が担保されるよう、先ほど申し上げましたような教育委員会が一定の関与を行うという担保措置を設けております。このような制度も踏まえまして、当該地方公共団体におきまして首長と教育委員会とが十分なコミュニケーションを図っていただきながら、また地域住民の意向にも十分に配慮して、社会教育施設としての適切な運営が確保されることが重要と考えております。
  208. 田村智子

    ○田村智子君 そもそも、この公立社会教育施設と、広くこういう改定になったのなぜなんだろうかと。これまでの提案というのは博物館とか図書館というふうになっていて、ところが昨年、三重県の名張市が社会教育施設全般に広げる提案を行っているんですね。名張市というのは、調べてみると、公民館条例を既に廃止していて、二〇一六年に市民センターとして教育委員会から首長部局に所管移しているんですよ。既にもう移っているんです。市民センター十五か所、図書館と郷土資料館は一か所ずつで、別に図書館と郷土資料館のことについて何も書かれてないんです、提案の中に。何でこんな提案したのかなと。  我が党の市議に、市の複数の担当者に直接聞いてもらいました。そうしたら、担当者の方複数いますが、こう言っていました。私の方から要望を出したのではない、国が名張市の先行事例を知っていて、成功事例としてのヒアリングが欲しかったのではないのか、あるいは国からの要請を受けて提案した、借りをつくった、何かのときに返してもらうこともあるだろう、こう言っているんですよ。  国が進めたい施策を自治体提案させる、こういうことも行われているんじゃないんですか。
  209. 山野謙

    政府参考人(山野謙君) 提案募集方式は、地方の発意に基づきまして住民に身近な課題を解決していくということでございます。御指摘のような内閣府が地方に対して提案を出させているといった事実はないと認識をしております。
  210. 田村智子

    ○田村智子君 これ、名張市の提案見てみると、いや本当によく分からない提案なんですよ、既に自分たちはやっていますという提案になっていて。だから、市の担当者が言っていることが私、本当だと思えてならないんですね。  それで、いろいろ、じゃ、その手を挙げてもらうというために何やっているのと聞いたら、今答弁でもいろいろ言われていましたけど、確かに毎年全国ブロック説明会というのを内閣府と地方六団体の共催で各地域ブロックごとにやっているんですね。  その様子というのは、内閣府の方も胸を張って、いや、私たちの担当者が、こういう提案もあり得るんじゃないでしょうか、何かお困り事があるんじゃないでしょうか、そのお困り事について地方分権のところで提案を出すという方法がありますよと、手取り足取りそういうやり取りをしていることを認めていますよ。それがお仕事だと皆さん思って誇りを持ってやっておられるのかもしれませんよ。だけど、政策の少ない自治体に働きかけて、提案の少ない自治体に働きかけて、あなたのところも出した方がいいですよとか、これ地方分権なんですか。地方自主性なんですか。  しかも、出てくる中身はといえば、さっき言った放課後児童クラブのように、その基準では自分のところやっていけないから下げてくれと、まあ子供たちの命に関わるような基準をおとしめるような提案を出してきちゃう、これも地方分権だといって進める。あるいは、なかなか提案がないところには手取り足取り教えて提案出させる。  もう、このやり方やめた方がいいと思うんですよ。本当に自治体が困っていることがあるならば、ちゃんとその関係省庁とやり取りをして、内閣府じゃなくて関係省庁とやり取りをして、どんな支援策があるのか、どんな法制度があるのか、そうやって一緒に考えて、必要な法律はそれぞれの省庁の責任で法案変える提案をして、それぞれの法案を担当する大臣が責任持って答えて、ちゃんと時間取って関係者からの意見も聞いて、そうやって審議するのが当たり前のやり方じゃないですか。もうこういう、何が地方自主性かですよ。こんなやり方もうやめるべきだと思いますが、片山大臣、いかがですか。
  211. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) 地方分権一括法、過去八次におきまして一括法としてやらせていただいております。これは、その間政権交代があったわけですが、ずっと地方公共団体への事務権限移譲、義務付け、枠付けの見直しを通じて地域自主性自立性を高めていただきたいという共通の枠組みからやらせていただいておりますが。  今、私はその名張市のお話というのは初めて聞きまして、そういうことがあるのかないのか存じませんが、全国市長会の中で極めてオピニオネーテッドな方でございまして、誰かに言われて物をやるということは全く想像できるタイプの方ではありませんが、いずれにしても、私たちのところではこのようなことをやっていて、これは全国に広めるべきでありますということは時々おっしゃる方ではありますが、まさに事例の横展開ということがあってはいけないということはないと思うんですね。  実際、何が支障になっているから自治体職員がこれができないのか分からないと答えている方もたくさんいるわけで、それを分かるようにつなげるということを地方分権るい地方創生、まち・ひと・しごとの部局の職員が一生懸命自治体といろんな場でコミュニケーションするということもそれは意味のあることで、それとは別に、先ほどから委員御心配いただいているように、確かに十分なその財源手当てが全般に施せるような話があらゆる分野にあればまた展開は違ってくるという部分は、それはなきにしもあらずだと思いますよ。  ですから、この学童保育については非常に、あるいは放課後子供、児童、どちらの方も、厚労省所管の分も、それから文科省所管の分も、子供に日本の未来が委ねられているわけですから、その処遇の問題についてはいずれにしてもしっかりと我々も努力をしてまいりたいということはここで申し上げたいと考えております。
  212. 田村智子

    ○田村智子君 地方自主性とかやっぱり住民の福祉の前進に資するためには、本当に国がちゃんとちゃんと地方交付税等を措置することの方が最も重要だと、このことを申し上げて、質問を終わります。
  213. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について矢田さんから発言を求められておりますので、この際、これを許します。矢田わか子さん。
  214. 矢田わか子

    矢田わか子君 私は、地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案に対し、立憲民主党・民友会・希望の会及び国民民主党・新緑風会を代表して、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりです。  これより、その趣旨について御説明いたします。  政府原案は、地方分権改革の一環として、事務権限移譲、義務付け、枠付けの見直し等を行うため、関係法律改正を行おうとするものでありますが、その中で、児童福祉法に定める放課後児童健全育成事業についても、地域の実情に応じた運営が可能となるようにと称して、従事する職員の資格と員数の基準を、従うべきものから参酌するものに変更することとしております。  しかし、この基準は、子供にとって放課後児童クラブが安心して過ごせる生活の場となるよう、全国的に一定水準の質の確保を図るための最低水準として定められたものですから、地方分権改革という枠組みにおいて議論されるべきものではありません。  放課後児童クラブの質の確保という観点から、この基準が設定されて以降の四年間における運用実態を踏まえ、地域間格差にも配慮しつつ、基準としての妥当性を議論するのであればともかく、このような形で基準緩和をすることは、断固として認めることはできません。  そこで、修正案においては、市町村が放課後児童健全育成事業の設備及び運営について条例で基準を定めるに当たり従うべきものとされていた厚生労働省令で定める基準について、これを参酌するものと変更する規定を削除することとしております。  以上が修正案の趣旨であります。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  215. 石井正弘

    委員長石井正弘君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  216. 田村智子

    ○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる地方分権一括法案に対して反対の討論を行います。  第一に、放課後児童健全育成事業における放課後児童支援員の配置基準の条例化に当たり、従うべき基準を参酌する基準に後退させることに断固反対です。  原則二名以上の配置と資格要件は、二〇一五年四月から従うべき基準となりましたが、これは学童保育の質を担保する保証として全国的な学童関係者の運動と時間を掛けた議論によって作成されたものです。  子供の安全、安心の生活の場を全国的に一定の水準で確保するために欠くことのできない職員配置の基準を参酌化すれば、支援員一人体制も容認され、安全確保さえ危うくなります。基準を満たすことが困難だという自治体提案によって、子供の安全確保への国の責任を放棄し、地方自治体任せにすることは断じて認められません。  第二に、公立社会教育施設に関する事務を教育委員会から首長部局に移管することを可能とする改定は、社会教育行政の政治的中立性を崩しかねません。  社会教育施設は、行政による教育内容への不当な介入や首長への権限集中を防止し、教育の自主性地域住民に対する直接的責任、中立的、専門的な運営を担保するため、一般行政から独立した教育委員会が所管することと定められています。首長部局に移管されれば、時々の首長の意向で社会教育施設の設置、廃止、運営が左右されかねません。また、種別を超えた統廃合、民営化などが首長の意向で強力に進められる危険性もあります。  昨年十二月の中教審答申では、行政的な視点が優先され、学習に関する住民の自主性、自発性が阻害されることのないようにと指摘していますが、このように社会教育の在り方に関わる改定を地方分権の名で進めるべきではありません。  第三に、指定管理鳥獣捕獲等事業の従事者が一定数量の火薬類を公安委員会の許可なく譲り受けることを可能にすることについて、実包の管理状況の実態について検証していません。国民の平穏な生活や安全を脅かしかねないことです。  無許可譲受け量の上限は内閣府令で定められることになっていますが、実態が検証不能なままであり、規制緩和政府に白紙委任することはできません。  なお、立憲民主党、国民民主党の修正案は、放課後児童支援員の配置基準の参酌化規定を削除するものであり、賛成です。  最後に、今回も多岐にわたる法案を一括法案として提出していますが、個々の法案は所管の委員会で審議すべきであり、一括法案というやり方はもうやめるべきであると、このことを申し上げ、反対討論を終わります。
  217. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案について採決に入ります。  まず、矢田さん提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  218. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 少数と認めます。よって、矢田さん提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  219. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、相原さんから発言を求められておりますので、これを許します。相原久美子さん。
  220. 相原久美子

    相原久美子君 私は、ただいま可決されました地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主党・民友会・希望の会、国民民主党・新緑風会、公明党及び日本維新の会・希望の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。  一 放課後児童健全育成事業については、子どもの安全や同事業の質が十分に確保されるよう、地方公共団体等に周知徹底すること。また、子どもの安全等が損なわれるおそれがあると認める場合には、国は、当該地方公共団体に対し、適切な助言を行うこと。  二 放課後児童健全育成事業の見直しに関する検討を行うに当たっては、市町村、同事業の従事者、保護者等の意見を幅広く聴取するとともに、市町村による条例の改正状況や同事業の運営状況等に関する実態調査を継続的に実施すること。なお、実態調査については、法令上に規定された基準等に基づく調査を行うとともに、実施結果等について、適切な情報開示を行い、説明責任を果たすこと。  三 放課後児童健全育成事業の利用者の増加に伴う待機児童の解消のため、放課後児童支援員等の処遇改善等による人材確保や、関係施設の整備等に対し、十分な財政措置を講ずること。また、同事業に係る既存の国の支援策について、その利用が促進されるよう地方公共団体に対する周知徹底を図ること。  四 放課後児童健全育成事業について、厚生労働省が同事業の従事者や保護者のための相談窓口を設けるとともに、当該窓口における意見等を踏まえ、地方公共団体に対し、報告を求めること、情報提供及び助言を行うことも含め、事業の適切な運営を確保するための措置を講ずること。  五 地方公共団体の長が公立社会教育施設を所管する場合にあっては、社会教育の政治的中立性、継続性・安定性の確保地域住民の意向の反映、住民組織やNPOなどの運営参加の促進、学校教育との連携等により、多様性にも配慮した社会教育が適切に実施されるよう、地方公共団体に対し、適切な助言を行うこと。特に、図書館、博物館等の公立社会教育施設が国民の知る権利、思想・表現の自由に資する施設であることに鑑み、格段の配慮をすること。  六 公民館の運営において、特定の政党に特に有利又は不利な条件で利用させることや、特定の政党に偏って利用させるようなことは許されないが、公民館を政党又は政治家に利用させることを一般的に禁止するものではないことを、首長部局にも周知すること。  七 本法の公立社会教育施設に関する規定の施行後三年を目途として、その施行状況を検証し、必要があると認める場合には、社会教育の適切な実施のための担保措置等について、所要の見直しを行うこと。  八 指定管理鳥獣捕獲等事業の従事者による火薬類の無許可譲受けについては、同事業従事者に対する指導を徹底するなど、実包の十分な管理体制を確保し、公共の安全の維持に万全を期すこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  221. 石井正弘

    委員長石井正弘君) ただいま相原さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  222. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 多数と認めます。よって、相原さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、片山内閣特命担大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。片山内閣特命担大臣
  223. 片山さつき

    国務大臣片山さつき君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  224. 石井正弘

    委員長石井正弘君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 石井正弘

    委員長石井正弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会