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小西洋之君 ありがとうございます。
今
事務局が紹介していただいた
資料なんですが、七ページ、八ページに付けております。七ページが四十一年の
衆議院議長の下の
調査会、次の八ページが五十七年の
調査会でございまして、それぞれ今読み上げてくれたところに下線を引いております。
すなわち、
議員が受け取る
歳費というのは
報酬であると。
実費弁償というのは、昔、パートタイムで
議員をやっていた時代に、別に収入があるんだから実際働いた分だけもらえばいいじゃないかということが、かつて大昔、ほかの国などではあったわけでございますが、
我が国は
憲政史上同じ額であり、かつ
報酬であるということがこういう実務の上でも確立しているわけでございます。
じゃ、
報酬とは何かですが、私の
資料の四ページで、
議員たる
職務に相当する
金額というふうにされているところでございます。そうすると、五ページをおめくりいただきまして、言わずもがなでございますが、我々
参議院議員というのは、その
職務の
前提たる
地位で
衆議院と同等であるだけならず、その
職務においても、
憲法及び
国会法などで、
国会のこうした
質問権あるいは
表決権、全く同じ
権限、
職責を負っている。
また、
参議院議員と
衆議院議員が同じ仕事をしているものがございます。
両院協議会、そして私も実は
メンバーなんですが、
裁判官弾劾裁判所でございます。居並ぶ大
先輩の下で若輩の私が入れていただいているんですけれども、
弾劾裁判所へ行くと
法廷がございます。まだ私座ったことございませんけれども、
法廷に並んでいる
裁判官たる
国会議員、
裁判員で
報酬に差がある。じゃ、最高裁の大
法廷で
報酬に差があるのか、
裁判官の間にということで、長官は上ですけれども、あるわけでございまして、
国民から見ても、また
裁判当事者から見ても、また三権分立の下の
国会の
在り方としても非常に
課題が多いのではないかということ。
また、
参議院は
緊急集会など、過去発動した例もございますけれども、
衆議院にない
役割を担い、かつ我々は半分の人数で同じ
法案を処理しておりますので、
歳費を
参議院議員が
衆議院議員よりも下げなければいけない、それが許されるという
正当性というのはなかなか見出し難いということではないかということでございます。
続いて、元々この四十九条の
趣旨でございますけれども、
資料の四番でございますけれども、先ほどの八ページでございますかね、のところでまた別の表現でこの
報酬の
趣旨を述べておりますけれども、
国会議員がその
地位にふさわしい
生活を維持するための
報酬と。これはどういうことかといいますと、
国民の
参政権を保障する
趣旨だというふうに四十九条は言われているところでございます。そうすると、
国民から見て同じ
権限、同じ
国民代表である
国会議員になろうとしたときに、なぜ
参議院の
歳費だけ少ないのか、それで、
国民の
参政権という観点で、果たして
憲法上の法的な
正当性が見出せるのかという
課題があるわけでございます。
以上、思い付いたものを記載させていただいたもので、実は細かいことを言うともっといろいろ出てまいります。いろいろ出てまいります。出てまいりますのですが、私なりの結論としては、
歳費の額に差を付けることは四十九条に違反するほかないと思うところでございます。
五ページ、学説を御紹介させていただいております。
宮澤俊義先生、
芦部信喜先生、これはもう御存じのとおり、戦後
憲法学の泰斗でございます。戦後の通説の
憲法学を作られた方々ですけれども、その
教科書において、根拠が
憲法に見出せない以上、許されないと解すべき、すなわち違憲であると。その下は
只野先生、これは今の
憲法学の大御所の方でございますけれども、両
議院の
議員が
歳費を受けるとしていることからしても許されないと解されるというふうにしているところでございます。
そこで、先ほどの七ページの
衆議院の
調査会の
資料を御覧いただきたいんですけれども、七ページ、ちょっとこれ横にしていただきまして、一番右端の
調査会の座長のお名前が実は
宮澤俊義先生でございます。自分の
教科書で
歳費に差を付けることは違憲であるというふうにおっしゃられている方でございます。
メンバーには元
衆議院の事務総長、そして、線を引いている
佐藤功先生というのは
日本国憲法を作るときの実務を担われた方でございまして、続く八ページの五十七年のところにも
佐藤功先生参加されておりますけれども、四十一年の
佐藤達夫先生と同じく、後に
法制局長官なども務められたまさに重鎮中の重鎮の方でございます。五十七年の
調査会には
衆参の事務総長、元事務総長も参加されているということで、
歳費に差額に差を付けるということは、明らかに
国会のこれまでの
歳費の議論の積み重ねにも反するということでございます。
川崎第一
部長が
衆議院で四十九条について、いや、
法律の定めるところにというふうに書いてあるからというふうなことをおっしゃっているんですが、それはこういう
国会の違憲論の宮澤先生が座長を務められて議論をまとめられたという経緯に照らしても、先ほど、
参議院法制局としては主体的な
判断をしていないという旨の答弁いただきましたけれども、余りちょっとよろしくない答弁ではなかったのかというふうに思うところでございます。
その上で、私の思いでございますが、こういう
二院制や
代表民主制の
在り方に関わることでございますので、今、与党の
先生方から
法案提出という形で問題提起をしていただいているというところだと思うのですが、是非良識の名にふさわしい取組をいたしまして、何とかあるべき形で、じゃ、あるべき形といったときにどうなんだといったときに、実はこういうやり方をしなくても別のやり方ができると。
六ページをちょっと御覧いただきたいんですが、私なりの代替案でございまして、代替案の上には、
議長間の差が付くのは三権分立に照らしてもおかしいですとか、あるいは
石田大臣、
衆議院の先生でいらっしゃいますけれども、
参議院議員で
大臣になられた方は、
衆議院議員の
大臣よりも元々もらう
歳費が少ないわけでございます。
歳費の少ない
大臣の給料の差額分は行政から支払っていたことになるんですが、
参議院や
国会が払わない差額分を
参議院の
大臣たちは行政のお金で払っていただくという、ちょっと格好悪い、不思議なことがもう生じるところでございます。
代替策なんでございますけれども、いろいろ考えて三つあると思いまして、一つは
衆参の
議員の
歳費を一緒に下げるということでございます。これだと
憲法に違反しません。仮に、今、与党の
先生方の案で約六・八億円ぐらいの減額をという、総額でですね、お考えのようだと承っておりますが、仮に
衆議院の
先生方も全
国会議員で下げると、大体月額一万九千円ぐらいになります。今七・七万円
参議院議員だけ下げるところが一万九千円になるということでございます。
ただ、一言、
国会議員の数を増やす、六増我々は反対しましたけれども、
国会議員の数を増やすのは
憲法前文の
国民に福利をもたらすためでございますので、
国民にとっていいことをしているのになぜ下げるのかという根本議論はあろうかと思います。
対案でございますが、ちょっと時間が押してしまいましたので、
二つ目ですけれども、戻したい方々が戻していただく。我々
国会議員は
国庫に対して寄附ができない、これ
公選法の寄附禁止の規定があるんですが、平成二十二年に月割り制から日割り制に
歳費の制度を将来変えることを見通して、これ適用除外を設けて、私も返しましたけれども、返した例がございます。こういうやり方をすればいいのではないかということと、あと、政党助成法でございます。
私、
総務省で政党助成法を担当していたんですが、毎年一月に各政党に交付する
金額決まりますが、それを年四回に分けて、年四回請求をしていきます、政党が。請求するときに、本来もらえるはずの額より少ない額を請求をすると。そうすると、その間の差額は
国庫に戻るはずでございますので、ただ、
一定所要の措置が必要でございますけれども、そうした案について、その後ろのページの方に付けさせていただいているところでございます。九ページでございます。
以上、済みません、これだけで終わってしまいましたけれども、ただ、本当に日本の
民主主義と
二院制の
在り方に関わる本当に大事な問題だと思います。
最後に一言。私、二〇一〇年に
参議院議員に当選させていただいた者でございますけれども、表ではなかなか言いませんが、私は、
参議院こそ本当の立法府であるべきと、立法府としての営みあるいはその姿というものを
国民に対して体現しているし、していくんだということに本当に誇りを持っておりました。
国民の命やあるいは社会の
在り方に係る重要な基本法は
参議院によって作られたりしておりますし、本当にここにいらっしゃる
先輩、
同僚の皆さんによって、我々は立法府の
役割を
国民に果たしてきたところでございます。どうかしっかりと御指導を賜りまして、あるべき姿に
参議院の姿を導いていただきますようにお願い申し上げまして、私の
質疑とさせていただきます。
どうもありがとうございました。