○
大門実紀史君 大門です。
既に今日も議論ございましたけれど、今話題の
MMT、現代貨幣
理論について、
日銀の
政策にも関係いたしますので
質問したいというふうに思います。
今資料を配っていただいておりますが、既にいろんな方に使ってもらっていますけど、一枚目が朝日新聞の資料でございまして、
MMTとは何かということが左上に書いてございますが、朝日は
金融理論になっていますが、貨幣
理論の方が的確ではないかなとちょっと若干思いますけれども、要するにどういう主張かと申し上げますと、
政府は
通貨発行権を持っているから
通貨を
限度なく
発行できる、自国の
通貨建ての
国債が返済不能になることはない、したがって
財政赤字が大きくなっても問題はないというんですね。で、
インフレは起こらないとはおっしゃっていませんで、
インフレが起こるだろうけれども、ある
水準に達するまではさっき言った
財政支出は幾らやっても構わないというんですね。仮に、ハイパーとは言いませんが、高
インフレになっても簡単に抑えることができると、
国債を売る売りオペとか増税すればいいというようなこと、もう一つは中央銀行による
国債の直接引受け、
財政ファイナンスもやっていいんだと。
これは、ニューヨーク州立大、ケルトン先生の記事でございます。この中にもありますけれども、過去の世界の歴史で起きたハイパー
インフレ、
日本の、先ほどありましたが、戦後直後のハイパー
インフレも含めて、ハイパー
インフレが起きたのは中央銀行による
財政ファイナンスのせいではないんだと、戦争とかいろんな特別な危機の下で、つまり供給が
需要に追い付かない、いろんな
生産設備が破壊されますので、そういう物の供給不足から
インフレになったので、中央銀行の
債務や
信用拡張とは関係ないということですね。ですから、
財政ファイナンスをやっていいと、ハイパーや悪性
インフレ、高
インフレは起こらないと、起きても制御できるというふうな、そういう
理論でございます。
MMTそのものはそもそも、ちょっと調べてみましたら、私も専門ではありませんけれど、
通貨とは何かという純粋な貨幣学説であって、特に何か急に出てきた話ではないということで、ただ、今まで余り注目されてこなかったのが、今、
日本と
アメリカで大変話題になっていると。
そのきっかけは、昨年の
アメリカの中間選挙で史上最年少の女性下院議員に当選したオカシオコルテスさん、民主党のサンダース派の、民主的社会主義者とおっしゃっているグループの方ですね、このオカシオコルテスさんが、女性議員ですけど、
MMTを支持するということで一気に注目をされてきたということでございまして、これは今のところ、出どころからいえば左派の
理論なんですね。
日本では右派が注目しておりますけれども。
資料の二枚目に、先ほどございましたけれど、この
MMTについて、
アメリカのFRBの議長さん含めてそうそうたる、本当にそうなんです、これ何枚も続くんです、著名な学者がみんな
MMTを批判をしております。これ
財務省の資料で、後でこの問題点も言いますけれど、非常に過剰反応じゃないかと思うくらい、もうことごとくこれは駄目だというふうに批判しているわけですね。
余りに批判されますので、このケルトン教授というのは、今言いました
MMTの急先鋒の学者さんであって、先ほどのコルテスさんですね、サンダースさんのときもそうですが、コルテスさんのとき、民主党の左派のブレーンみたいな方ですけど、そういう批判が猛烈にされましたので、このケルトン教授は、資料一に戻りますけれども、そのいろんな批判された反論として、
日本でやっているんだと、
日本で成功しているんだと、実例があるじゃないかということでいろいろおっしゃっているわけですね。だから、もう
理論的にも実証されているんだということで、そういう議論があったので、この議論が
アメリカから
日本に飛び火をして、
日本の
日銀も含めて今いろんなことになっていると。
それで、
財務省が、要するにどんどん借金しても大丈夫だよというような
理論なので、慌てて火消しに躍起になって、
財政審で、この三枚目から六枚目の資料ですね、こうびっしり出して、これも過剰反応ではないかなと私思いますけれど、出してきているということですね。
資料の三枚目に
西田さんの有名な
決算委員会での
質問の
答弁が載っているわけですが、これ私、
西田さんに大変失礼だと思うんですよね。
西田さんの
質問を載っけないで
答弁だけ載っけているんですよね。面白い、何ですか、天地創造ですか、あっ、天動説か、地動説ね。ああいうのを載っけないで、この
答弁だけ載っけて反論だけに使っているというのは、大変議員の
質問に対して失礼じゃないかと思いますけれど、非常に過剰反応ですよね、過剰なんですね。
この
MMTの
理論の中身は後で触れたいんですけれど、まず、なぜこういう主張が欧米で力を増してきたのかということをやっぱり私たちは考えるべきじゃないのかなと思うんですよね。一言で言いますと、緊縮
財政、緊縮
政策に対する反発、もうたまりにたまった不満が爆発してきたのではないかと。これは
日本でも言えると思います。
要するに、この二、三十年、
日本では二十年ぐらいですかね、新自由主義的なグローバリゼーション、規制緩和、小さな
政府、緊縮、
財政規律、社会保障を抑制して、増税して、我慢しろ我慢しろと。こういうふうないわゆる緊縮
政策に対して、もういいかげんにしろと、
政府は国民のためにお金使えと、場合によっちゃ借金してでも国民の暮らしを守れということなんですね。今まで
政府が言ってきたような、
日本の
政府もそうなんですけど、
財政規律とか緊縮というのが一体誰のための緊縮だったのかと。
要するに、小さな
政府論があって、富裕層とか大手資本が
海外に逃げないとかいろんな、そのために緊縮
財政を押し付けてきたんじゃないかというようなことがだんだん分かってきて、そういうことも含めてこういう反発が起きて、ですから、私はこれ、不満の歴史的な爆発というふうに捉えるべきではないかと思うんです、政治的に言えば、歴史的に言えばですね。
ですから、欧州の左派、イギリスの労働党のコービンさんとか、スペインのポデモスですか、新興左派ですね、で、
アメリカのさっき言ったサンダース、オカシオコルテスさんというような人たちが一様にこの緊縮に対する反発、反緊縮という言い方されておりますけど、そういうものとして、対抗軸として出てきたのではないかと思うわけであります。
実際にこの
MMTの
理論をどういうふうに
政策として採用するのかは、今言ったいろんな国のいろんなやり方がありますけれど、大きなバックボーンとしてこの
MMTがあるということではないかと思います。
ただ、正確に言いますと、コービンさんなんかの
政策を見ると、社会
政策の方は税制改革でと。つまり、富裕層に増税を求めてとか、歳出の中でやるものは増税、税制改革。で、緩和マネーでやるのは公共インフラ、公共住宅の建設。そこで
雇用を生めと、
雇用も生めという
意味ですけどね。そういうふうにありますけど、いずれにせよ、緊縮
財政への反発が歴史的な
背景にあるといいますか、あると。
そこで、
日本について考えますと、この
財務省の過剰反応も含めて思うんですけれども、
日本の緊縮
財政の本丸が
財務省だというふうに思われているから、
西田さんも
財務省を主要の敵の本を書かれるわけですよね。そういうことが広がっているわけ、いろんな方からね。
そういうふうに考えますと、
財務省はこれ、ただ過剰反応するんじゃなくて、自分たちがやってきたこと、やろうとしていることをもうちょっと謙虚に反省すべきじゃないかと、まず。この
MMTは
日本にずっと波及しますよ、
財務省が今の姿勢のままですと。
要するに、
財務省は一貫して
財政再建至上主義、借金が大変だ大変だと危機感あおって、プロパガンダやって、もう社会保障は削るしかないと、増税しかないんだというようなことをずっとやってきたわけですね。四月の
財政審なんかも、あれもう夢も希望もない、国民にとっては。もう気持ちが暗くなるだけの、そんなものばっかり出してきているから
景気も悪くなって、マインドも冷え込んで良くならないということになっていると思うんですよね。
ですから、
財務省に聞きたいのは、緊縮
財政にこんな過剰反応するんじゃなくて、今の
財務省の緊縮
政策そのものがもう歴史的に
日本では問われていると、そういう
認識をまず持つべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。