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大門実紀史君 大門でございます。
税法の法案に入る前に
一つ、税の申告にも
関係いたしますけれど、今現場で切実になっている問題を
一つ質問させていただきます。
お手元に資料をお配りしておりますが、兵庫県議会で全会一致で採択された
意見書でございます。加齢性難聴者、つまり高齢に伴う難聴の方が補聴器を購入するときに公的な補助
制度をつくってほしいという
意見書でございます。
書いてあることを簡単に御紹介いたしますと、加齢性難聴というのは、コミュニケーションの問題含めて生活の質を落とすということ、
あと最近ではうつ病や認知症の原因にも
考えられているということ。そして、しかし、
日本において補聴器の値段は、片耳当たりですから両耳ですともっとなるわけですが、片耳でも三万—二十万、両耳だと四十万、五十万というふうになるわけですね。これが保険適用ではないために全額自費となっていて、今現在ですけれ
ども、要するに、身体障害者手帳が交付される障害者の方の高度・重度難聴の場合には一割の
負担はありますけれど、支給
制度はあると。中度以下の場合は
医療費控除あるんですけれ
ども、しかも九割はその重度、高度以外の難聴の方が多いんですが自費で購入しているということで、特に低所得の
高齢者の方々にとってはこれはもう切実な問題になっているということで。
更に言えば、欧米ではいろんな公的補助
制度があるんですけれ
ども、
日本でも一部の自治体で、都市部では少し広がってきておりますけれ
ども、
高齢者の補聴器購入に対する補助を行っているということも踏まえて、国においてこういう加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助
制度を創設してほしいと、強く求めるというような
意見書が兵庫県議会で全会一致で採択されてきたわけであります。
これは古いようで新しい問題でございまして、高齢に伴う難聴というのは前からあるわけでございますが、今は時代の要請との
関係で特に大変切実になってきているわけであります。つまり、耳が聞こえにくいと社会生活あるいは仕事に困るということなんですが、これから
政府の方向も、方針もそうですけど、
高齢化が更に進んで、同時に
高齢者の社会参加、また定年延長や再雇用ということで働いていってもらいたいといいますか、働けといいますか、そういう
流れになっている中で、耳が聞こえにくい、聞こえないということは、何といいますか、もう大きな、社会参加、働く上で大きな障害になってくるわけでございまして、
高齢者にとっては補聴器というのは社会参加のもう必需品というふうになってくるわけでございます。
そういう点では、県レベルで
意見書が上がってきたのは初めてだと思いますが、市町村ではほかにも上がっております。
意見書という形だけではなくていろんな要望が上がっておりまして、東京二十三区でも既に五つの区で独自の補助
制度をスタートさせております。これから広い要求として、大きな要求として上がってくるのではないかというふうな新しい問題でもあるわけでございます。
少し
現状がどうなのかということで資料を作って配付してございますけれ
ども、まず二枚目でグラフ一と書いてございますけれ
ども、これは欧米諸国と
日本の補聴器の
所有率でございます。どれぐらいの比率で補聴器を付けておられるかということで、難聴者のうちですね、
日本の難聴者は、推計ではありますけれど、これは補聴器工業会調べですが、一千四百三十万人と。その中で、補聴器を付けておられる方は一四・四%の二百十万人にすぎないということでございます。グラフにあるとおり、欧米に比べて極端に低いわけですけれ
ども、これは
日本人だけ耳がいいわけではありません。難聴率は欧米と同じレベルですが、補聴器を実際に付けている方はこんなに少ない、欧米の半分以下だということですね。
少ない理由の第一は、先ほど申し上げましたとおり、
価格が高い、補聴器が高過ぎるということでありまして、一台二十万、三十万、五十万とするということでございます。それが次のページのグラフですね。補聴器一台幾らか。平均は十五万円ということになっていますけれ
ども、専門家に聞いてみますと、補聴器というのは、もちろん安いのからあるんですが、大変な精密機器でございまして、人それぞれの聞こえに合わせるにはやっぱり金額的にいいますと三十万円以上のものでないと人に合わせた微調整ができないというふうに聞いております。
したがって、
収入が少なくなっていく
高齢者あるいは年金生活の方々にとっては、三十万円以上となりますとかなり
負担が大きいと。低所得の方々、生活保護を受けている方々などはもう諦めてしまうということがありまして、全く耳が聞こえない、ほとんど聞こえないまま毎日を過ごされているというようなことが今実際にあるわけで、大変深刻な問題になっているというふうに思います。
日本の
現状をちょっと確認しておきたいんですけれ
ども、厚労省に来ていただきましたが、まず厚労省に伺いますけれど、現行の補聴器購入に対する公的助成
制度、一体どうなっているか、ちょっと
説明を
お願いしたいと思います。