○風間直樹君 この辺は十分いろんな検討をすべきだと思うんですけれども、今、我が国の財政難という状況の中で、とはいえいろんなところに支出が必要になる、福祉であったり教育であったり、様々な分野に支出が必要になると、軽減税率もそうかもしれませんが、その財源をどこから持っていくかということで、これは恐らく党派を問わず、
金融所得の税率を上げたらどうかという議論は出ているんだろうと思います。
この背景にある考え方というのは私は幾つかあると思うんですが、まず一つは、
金融所得というのは、株式の譲渡益であり、利子であり、あるいは配当だから、こういうものを受け取っている人たちというのは一定の資産を持っているんだろうと、だから、所得再配分機能の観点からもこうした層により課税をするというのは妥当なのではないかと、大体こういう思想があるように私は感じるんですね。
ただ、果たしてそうなのかなというのが実は私
自身の思いでありまして、これ、この中で株式
投資をやっている方がどれぐらいいるか存じ上げませんが、仄聞するところでは、この株式
投資によって利益を上げる、譲渡益を取得するというのは相当容易ではないことだというふうに聞いております。同時に、利子、配当については、これも、収益を上げ続ける、そして同時に配当を出し続けることができる企業としての体力、
財務体力を持っている
会社の株に
投資をすれば当然利子収入、配当収入が入ってくるわけですけれども、そういう
会社を見極める目を持つということも私はなかなか容易なのではないんだろうなというふうに様々な実践者の方からの話を聞いて感じています。
それで、私
自身は、こういう
金融所得というのは一定の知的労働に対する成果という側面もあると思うんですね。つまり、ぬれ手にアワで、どこの
会社に
投資したからその配当が入りましたとか株価が上がってその譲渡益が入りましたということでは、恐らくそれほど簡単ではないんだろうと、そんなふうに感じています。
さらに、先ほど主税
局長もおっしゃいましたように、今これだけ
政府が、安倍政権、第二次政権の発足以降様々な努力をして、日経平均株価を言わば私は国策として上げる努力をしてきたと言っても過言ではないと思うんですけれども、そんな中で、例えば日銀が大量のETFを購入し、今、数多くの
日本を代表する企業の筆頭株主が皮肉にも
日本銀行という状況も出てきています。そういう中で、じゃ、
金融所得課税の税率を例えば二五%に上げましたというときに果たしてどうなのかなと。
日本の株式マーケット全体に対する影響ですとか、あるいは
日本経済に対する影響ですとか、そういうものを総合的に勘案したときにこれが果たして
日本経済にとってプラスの影響があるのかどうか、そこに私はいま一つ確信を持ち切れておりません。
それで、今触れましたこの富裕層の所得再配分について、ちょっと先ほどの大和総研のレポートから御紹介しますけれども、意外なことが書いてありまして、
日本国民全体を母集団として、富裕層は〇・〇四%、年間所得百億円超は僅か十四名というタイトルがこの報告書の中には出てきます。
どういうことかといいますと、
納税者数で見ると、株式譲渡所得が一億円を超える層の人数は五千五百九名で、株式譲渡所得の申告者の二・九%、申告
納税者全体に占める割合は〇・〇九%である、合計所得が一億円を超える層の人数は全体でも一万七千三百八十二名で、給与所得者等の人数も加えると
納税者に対する比率は〇・〇四%にすぎない、これは国税庁統計に基づき大和総研が試算された数字ということです。更に言えば、年間所得が百億円を超える層は申告
納税者全体で十四名、株式の譲渡所得等の譲渡所得者で十三名にすぎないと。ですので、こうした観点からいうと、じゃ、
金融所得課税の税率アップが果たして所得再配分機能に資するのかというのはどうなのかなということになってくるんだろうと思います。
ここまでいろいろとちょっとやり取りをさせていただきましたけれども、この辺でちょっと
政治家同士の議論にさせていただきますが、
麻生大臣、どうなんですかね、この所得
税法の
改正案の中でこれまで
金融所得課税について
政府として見送ってきていると、この辺の理由は、ざっくばらんなところ、どういった理由なんでしょうか。