○風間直樹君 ありがとうございます。
今、白須賀政
務官にお話しいただいたように、寄附あ
るいは運用による基金というものを我が国もそろそろ本腰を入れて考えた方がいいんじゃないかと私は強く
感じております。
文科省、経産省からも
イノベーション実現のための成長戦略施策というものをリストで出していただきましたが、いろんな項目が並んでいるけれ
ども、いかんせん、その予算の規模感が非常に小さいんですね、今御指摘いただいた例えばハーバードのような規模と比べると。
それで、今日配付資料でお配りしたのは、日米の大学別の運用資金のリストということになります。これ、安宅和人さんという方が分析をし作った資料でして、この人は前ヤフーの役員、そして今は慶応大学の湘南藤沢キャンパスで教授を務めていらっしゃいますけれ
ども、安宅さんがそれぞれの資料をいろんなデータからまとめました。
このちょっと安宅さんの話をまとめてみましたので、簡単にそれを御紹介しますと、まず日米の大学の資金力の差が大きいと。
日本の大学は国際競争力のない給与、スタッフ不足の環境にいると。これは、最近の運営費交付金の話をめぐっても大学関係者から噴出している声でもあると思います。
この日米のギャップを解析すると、圧倒的に大きいのが
投資運用益、次が国の研究開発委託となっている。大学別の運用基金を見ると、
アメリカの大学の数兆円に対し、東大は百十億円、京大に至ってはない可能性すらあると。私の
調査では、京大も約百億円規模の運用基金を持っているようでありますので、付言をしておきます。一過性の予算ではなく、人材開発に向けた国家的な運用基金をつくり上げなければ、この
アメリカの規模に対抗するのは難しい。
一つの提案としてこの表が出てくるんですが、
トップ研究大学の強化費用の運用基金として十兆円程度を準備し、これは
日本政府として準備しという
意味であります、運用プロを任命して七%ほどの運用益を出し、その利益の半分ほどを予算化していく。これは、今ほどの白須賀政
務官の御説明、ハーバードの例からも、荒唐無稽な話ではないということが分かると思います。それによって、大学の人件費や施設、それからPhD学生の費用問題など、多くの点が改善できる。
アメリカにある、大学や研究機関に直接寄附をする、また勤務先が更にマッチアップすると税的に考慮される仕組みは
日本も学ぶべきである。また、
アメリカでは、連邦政府が大学や研究機関にかなりの研究開発を委託している。ここからスタートアップが数多く出て、ノーベル賞受賞者も輩出していると、こういう話なんです。
それで、私はこのアイデアは非常にすばらしいなと思っていまして、実際、この配付資料を見ますと、ハーバードの場合、基金が三兆数千億規模と、それに対して東大の場合百十億規模ということで、桁が違うわけですよね。このハーバード並みの大学が、そこにありますように、スタンフォード、MIT、イエール、プリンストンと、それぞれ兆円規模の運用基金を持っています。これは毎年度こういう規模だということじゃなくて、これは二〇一五年現在でこれだけの基金の規模だということですから、恐らく二〇一九年現在の今でもこの規模はそう変わらないんだろうと思います。彼らは運用のプロを雇って、それぞれの数兆円の基金を元にそこから毎年一〇%前後の運用益を上げて、その半分程度を実際に研究開発資金として学内で使っているということであります。
今、我が国は翻って
財政難ではありますが、いつまでも
財政難を嘆いていてもこれはしようがないので、まず小さな規模からでもこうした基金をそれぞれの大学に設けさせる、あ
るいは政府として基金を用意するというところから始めたらどうかなと思うんですね。
そこで、各大学の基金の現状も調べてみました。
日本の場合、非常に強い国の縛りがあります。例えば、運用するときの
金融商品はこういうものでなければならないというところまで含めて、箸の上げ下げに至るまで強く縛っています。同時に、大学の中で、そうはいってもある程度裁量権を持って比較的自由にやっていいよと国から言われている大学は、東大や京大を含め約十校前後に限られています。この辺を少し変えていったらどうかなというのが私の今日の問題意識であり、政府に対する提案なんですが、
麻生大臣、いかがでしょうか。
大臣は企業経営者でもいらっしゃいますし、研究開発の重要性も経営者として肌身で
感じていらっしゃる。また、企業が新たな
イノベーションを起こすときに、通常であれば銀行から借入れをするということになると思うんですが、銀行が、
日本の場合、そうしたものに対してどの程度の貸出しをするか、この
部分も肌身を通してなかなか容易でないということもお
感じかと思います。仮に、
日本政府がこうした政府による基金を設けて、それを通して全国の大学や研究機関の研究を支援する、あ
るいは政府として研究開発費用を大規模に予算化して、それを民間の企業等に渡していく、こういう可能性について、
大臣のお考えを
伺いたいと思います。