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伊藤孝恵君
国民民主党・新緑風会の
伊藤孝恵です。
私は、会派を代表し、
平成二十九年度決算の是認に反対、
平成二十九年度
国有財産増減及び現在額総
計算書の是認に反対、
国有財産無償貸付状況総
計算書の是認に反対、
内閣に対する警告決議及び措置要求決議案に賛成の立場から討論を行います。
本題に入ります前に、陸上配備型迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアの秋田市への配備をめぐり、防衛省は
調査報告書を作成する際、実地
調査をせずにグーグルアースを使用したために誤った内容となっていたことが八日明らかになりました。聞けば、高さと水平距離の縮尺の違いに気付かないまま、三角関数を用いて
計算したとのことです。インターネットで簡単に調べられる標高や水平距離を使わずに、断面図を定規で測って長さを出す理由が全く分かりません。
「この国を、守り抜く。」と党本部に垂れ幕を掛けていらっしゃった政権与党は、住民の声も聞かぬまま、グーグルアースでイージス・アショアの配備
場所を決めると言い、「
景気回復、この道しかない。」、「
経済で、結果を出す。」、「
責任を果たす。」と威勢よくポスターに書いていた割には、日米貿易交渉の交渉妥結は密約のごとく参議院選後にすると言い、加えて、十五年前、我々が百年安心なんてうそを言ってはいけないと再三
指摘したにもかかわらず、年金百年安心
プランと堂々とうたった方々は、
金融庁の
審議会報告書において、自分が九十五歳まで生きるつもりだったら老後資金に二千万円ためておけと言い捨てられたことについて、果たしてちゃんと
責任を感じておられるのでしょうか。
会計検査院が四月に公表した
国民年金及び厚生年金の積立金の運用に関する
調査結果の中では、株式運用比率を二四%から五〇%に増やしたことについて、余りにも価格変動率が高く、
リスクが大きいと警鐘を鳴らされております。この
指摘に対する
対応はどうされるのでしょうか。
年金を自主運用している
政府側が、年金制度を
信頼し、高い保険料を支払ってきた
国民に対し、ごめん、やっぱり無理になっちゃったから自分たちの力で老後に備えてというてん末は、決して決して許されません。
それでは、以下、
平成二十九年度決算に反対する理由を申し述べます。
反対の第一の理由は、長期債務の残高が増加していることに対し有効な
対策を取れていない点です。
平成二十九年度末の国債及び借入金残高は一千八十七兆円となり、前年度末から十六兆円増加し、五年連続で一千兆円を上回りました。特に、普通国債残高の増加は著しく、
平成二十九年度末には八百五十三兆円と、この十年間で三百十一兆円増加し、税収のおよそ十五年分に相当する規模になってしまいました。
現在の世代が受益したツケを将来世代に先送りしている
状況です。少子
高齢化が進む現状においては、将来世代の一人当たりの負担は重くなるばかりです。財政健全化について
責任ある者が見て見ぬふりすることは許されません。
反対の第二の理由は、歳出項目の硬直化により、弾力的な
政策運営ができない点です。
平成二十九年度決算において、
社会保障関係費三十二・五兆円と国債費二十二・五兆円だけで歳出決算額に占める割合が五六・一%に上るなど、歳出項目の硬直化が続いています。
今後も
社会保障関係費と国債費の増加が見込まれる中、現在は低金利により利払い費が低く抑えられていますが、金利上昇局面ではこの利払い費が急増することも懸念されます。
社会保障改革が財政に与えた影響などを分析し、それを生かしていくことこそが、決算的
観点から何よりも重要です。しかし、現政権は、見直すべきところを
見直していないため、長期的視点に立った弾力的な
政策運営ができておらず、子供を産み育てやすい
環境整備のための予算が不十分であったり、就職氷河期世代への
雇用機会の確保への
対応が適切でなかったり、中高年を含めた引きこもり
対策が不十分であったりと、喫緊の課題への
対応が十分ではありません。よって、そのような二十九年度決算を是認することは到底できません。
反対の第三の理由は、
安倍内閣による
経済政策、いわゆるアベノミクスの破綻が明らかとなった点です。
安倍総理はしきりにアベノミクスの成果を喧伝しておられますが、問題は、成果とされているものが実態を伴っていないことです。
毎月
勤労統計における一連の改ざんや偽装では、消
費者心理や
経済を分析する上で重要な指標となる実質
賃金がかさ上げされており、実態は大きく低下していたことが明らかになりました。事実、各種世論
調査などでは、多くの
国民が
景気回復実感はないと答えています。アベノミクスの
効果は
全国津々浦々に行き渡ってなどおりません。
そんな中、
政府は、本年十月に消費税率の引上げを行おうとしています。逆進性が高く、低所得者ほど負担が大きくなる消費税率の引上げを今行うことは、本当に現実的なのでしょうか。
以上が、
平成二十九年度決算に反対する理由です。
次に、
内閣に対する警告決議案と措置要求決議案に賛成する理由を述べます。
災害関連情報システムの不適切な運用管理や毎月
勤労統計における改ざん事案、公的機関における障害者の法定
雇用率未達成や防衛装備品等に係るコストデータベースシステムの不適切
整備についてなど、極めて重大かつ深刻な事案を生じさせた
政府に対して、猛省を求め、遺憾の意を表明するとともに、抜本的な改善措置の実施を強く求める今回の警告決議案には賛成いたします。
また、中高年世代を含めた引きこもりの
対策強化や
高齢運転者による交通事故防止の
取組、官民ファンドの在り方や男性育休の取得
推進、児童虐待防止のための児童相談所等の業務改善などの措置要求決議案にも賛成いたします。
あわせて、公的
統計の
整備に関する業務の実施
状況や、
政府情報システムの
整備、運用、利用などについて、
国会法第百五条に基づき
会計検査院に対して検査要請を行った件についても賛成いたします。
決算重視である我々参議院は、
行政を監視し、
国民からの負託に正面から応える使命があり、強く自覚を持ち続ける必要があります。残念ながら、現在の
政府・与党は、そんたく、隠蔽、捏造、偽装、おまけに失言のオンパレードであります。このような権力に対し、我々は、その責務を果たすために、資するべきことを資していかなければなりません。
この立場を貫いていくことを
最後に表明し、討論を終わります。