○風間直樹君 確かに長官がおっしゃるとおりなんですね。
ただ一方、我々
国会の方からこの現行の検査院法の規定を見ると、この人格高潔という部分と、それから民主的な運営に理解があるという部分と、会計検査に識見を有する者という部分については条文に入っていませんので、この点を、
国会で同意人事の議論をする際に、これを
判断基準として議論をするということに必ずしもならないんじゃないかと、こういう問題意識であります。したがいまして、私案を提出したわけですけれども、この点、また今後、
政府と議論させていただきたいと思います。
検査院にしましても、人事院にしましても、この機能不全が非常に目を覆わんばかりだなと。特に私がそれを痛感したのは、昨年の森友問題のときに、この
委員会から、
委員会が終わった後に、検査院が、たしかあのとき警告決議だったでしょうか、何をやっているんだと、この森友問題の調査に関してですね、検査院の行った調査はけしからぬという決議を受け取った。このこと、非常に私は印象に残っています。
もう一つ、人事院で印象に残っているのは、今年の一月三十日、私が本会議で
人事院総裁に質問をした際に、あのときは厚労省の統計不正問題についてお尋ねをしたわけですけれども、この問題について、今後、国公法の第十七条の調査権を活用する、あるいは様々な行政の不祥事に対してこの十七条を使う、その意思があるかないかをお尋ねしたところ、一宮総裁は、ありませんと非常に明快な
答弁をされた。だったら、国家公務員法上、この十七条の調査権を人事院にわざわざ与えておく理由が
国会としてはないということになる。この二つは、私にとりましては非常に胸に深く刻まれることでありました。
なぜ、この検査院や人事院、そして総務省の行政評価局、この三つが行政にある内部統制機能でありますけれども、これらが機能不全になっているのか、
国会、
決算委員会から
指摘されるほどに。私は、最大の理由は、一生懸命それぞれの組織に入ってから約六十年頑張って国家
国民のために尽くしてきた職員の皆さんが、六十前後で事実上の肩たたきに遭って退職されるというこの点にほかならないと思っています。
数年前、文科省の口利き天下り事件が発覚したとき、私は文科
委員会で当時
参考人として呼ばれた二人の方にお尋ねをしました。一人は当時直前の文科省の事務次官、そしてもう一人はノンキャリでこの口利きを采配してきた方。それぞれの方に、今お子さんがもしいらっしゃればお幾つですかとお尋ねしたところ、大体高校生前後という
答弁でした。高校生前後、あるいはそれ以下のお子さんがいらっしゃる場合、国家公務員が六十前後で役所を事実上退職するとなると、その後の
生活、なりわいをどうするかという問題がどうしても出てきます。この文科省のノンキャリの再就職差配をしてきた方が切実におっしゃっていましたけれども、自分は胸に手を当てて恥じる行いをしたとは思っていないと、なぜなら、文科省の退職する人間たちもその後も家族を養っていかなければならないからだと、こう言っていました。確かにそのとおりだろうと思いました。
ですから、これは、我々
国会の責任としても、あるいは
政府の責任としても、公務員を六十五歳までしっかり勤めてもらえるように、国家公務員法上はそうなっているわけですから、それを実現する責任を私は負っていると考えています。同時に、それを実現して、一方でもし行政に対して法律の不誠実な
執行という問題が生じた場合には、そこは検査院、人事院あるいは総務省の行政評価局から、一切遠慮をせずに、それぞれが持っている法的根拠を武器としてこれらを是正してもらわなければいけない。
そういう思いで私案として作りましたのが、配付資料の二枚目と三枚目であります。
これはどういうことかというと、この再就職問題、解決してあげるためには、今のままの組織の立て付けでは無理だというところからスタートします。じゃ、どうすれば解決できるか。検査院も人事院も、
国会にその組織を移して、
国会の機関とすることにより、今ここに
国会職員の方が大勢いらっしゃいますけど、この人たちは皆さん、全員六十五歳まで保障されているんです、ここで働くことが。だから、その後の憂いなく、再就職を心配することもなく、家族のなりわいを気にすることもなく、しっかりと国家
国民に参議院の職員も衆議院の職員も奉仕していただける。検査院や人事院の職員にもそういうしっかりとした
生活安定の保障を与えると同時に、それぞれの所管法上与えられている権限を
政府に気兼ねすることなく発揮していただくべきではないかなというのがこの二つの配付資料のポイントです。
まず、二枚目の参議院人事行政監視院のポイント、時間の関係でざっと読みます。
最初の丸ポツ、人事行政監視院、これを参議院に置くわけです。そして、各行政機関等の業務の実施
状況等の調査を、つまり行政監視を行ってもらう。
三つ目のポツ、人事行政監視院は、各行政機関等の長に対して資料の提出及び
説明を求め、実地に調査できる。これは、国家公務員法第十七条、人事院が行使を拒否している強力な調査権のパワーアップということです。
次の次、人事行政監視院長は、人格が高潔で行政の民主的かつ能率的な運営に関し優れた識見を有する者の中から、参議院議長が参議院の承認を得て任命する。先ほど菅長官に質問した任命要件を入れるということです。
次のポツ、人事行政監視院長は、常に主権者
国民に対して法律を誠実に
執行するとの観点から職権を行う。ここが、果たして今意識をされて職権が行使されているんでしょうか。
次のポツ、人事行政監視院は、職務の中立公正を確保するため、公共の
利益の実現に熱意のある者を独自に採用し、その後、定年制の実施を徹底し、関係法人等への職員の再就職を認めない人事制度を確立しなければならない。これが一番大事な部分だと思っております。
そして三枚目、参議院人事行政監視院
プラス衆議院の会計検査院構想というものです。
今、検査院と人事院はそれぞれ独立性の高い組織として位置付けられていますが、機能不全に陥っているのではないかと思います。そこで、人事院を参議院に、会計検査院を衆議院にそれぞれ置いたらどうかというのがこの構想です。
二つ目のポツ、人事院と総務省の調査機能、検査院の検査機能は、行政の中立公正の確保のために不可欠、
国会中心の行政監視システムに組み込むことが合理的である。つまり、今機能していないからです。
その下のポツ、三機関の機能を
国会に移すことで、超党派で機関の働き
ぶりを見ることが可能になる、そして、天下りによる機能不全の問題は完全に解消します、これで。定年がもう保障されていますから。
そして、その下、二院制に基づき衆参両院の特徴を反映した仕組みとして、参議院は組織と人事、衆議院はお金に着目した行政監視を行うこととすると。
これによりまして、その下にありますように、
国会の行政監視機能、飛躍的に高まります。我々、
決算委員会や行政監視
委員会でいろんな
質疑、行政監視をしますが、
選挙もある、地元もある、その行った
質疑が、その後問題がどうなったか、なかなか我々議員も一〇〇%それをフォローできているとは言えません。ただ、そこに、我々が行った質問の問題意識を後々中長期的にフォローし、
国会に対して報告を行う組織が人事行政監視院や衆議院の会計検査院という形でもしあれば、これは
国会の行政監視機能は劇的に変化します。そういう意味です。
そして、その下、参議院は短期的な
予算、決算の問題ではなく、長期的な行政の組織と人事の問題に重点を置いた
審議を行うことが合理的であるということです。そして、衆議院の会計検査院は、
予算議決に関し優越する衆議院に置くことが合理的であり、本来、
予算審査として決算審査を行うべきであるという問題意識を書きました。
ポイントは、この私案は憲法改正を一切要しないということです。よく、人事院や検査院の立場、構うと憲法改正が必要になるという話を聞かれます。一切必要ありません。これは、衆参両院で議論をし、そこで決定することで実現ができることであります。このことを、今後
政府にも是非御検討いただきたいと申し上げます。
時間の関係で最後の質問をさせていただきます。
外務大臣にお尋ねします。
ネイチャーの二〇〇六年の四月号は論説で、同年二月……(発言する者あり)時間ですか。分かりました。
残念ですけど、河野
大臣、済みません、御臨席いただきまして、時間になりましたので、またの機会にお尋ねさせていただきます。
ありがとうございました。