○大野
元裕君
委員派遣について御報告を申し上げます。
本
委員会の
渡邉美樹委員長、宇都隆史理事、中西哲理事、三宅
伸吾理事、高瀬弘美理事、小西洋之
委員、浅田均
委員、井上哲士
委員、伊波洋一
委員及び私、大野
元裕の十名は、去る二月二十六日及び二十七日の二日間、
我が国の
外交、
防衛等に関する実情
調査のため、兵庫県、
大阪府及び愛知県に派遣されました。
以下、概要を御報告いたします。
第一日目は、まず陸上自衛隊伊丹駐屯地を訪問し、中部方面総監部より中部方面隊の概要、
大阪北部地震を始めとする中部方面隊の災害派遣の実績等、饗庭野演習場における迫撃砲弾の着弾による事故及び再発防止策の概要について説明を聴取いたしました。
派遣委員からは、伊丹駐屯地における訓練等に対する周辺住民の
理解、
平成三十年七月の豪雨災害に際しての水難救助の
状況や民間船舶「はくおう」の
活用、饗庭野演習場の事案において射距離を増した射撃が行われた理由、事故等が発生した際の地元自治体との連絡体制等の
在り方、他国からの
脅威に対する自衛隊の体制の
在り方、自衛隊の災害派遣に当たり関係者へ分かりやすい説明を行うことの必要性等について意見交換が行われました。
次に、本年六月に行われるG20
大阪サミットの会場となるインテックス
大阪を訪問し、
外務省G20サミット事務局より、首脳会合開催に向けた準備
状況、警備・
規制等に関する説明を聴取した後、メーン会場となる展示場施設に移動し、会場設営に関する説明を受けました。その後、隣接する
大阪府咲洲庁舎を訪問し、同庁舎から会場及びその周辺を展望いたしました。
派遣委員からは、周辺の地理的な
状況等も踏まえたサミット会場警備の必要性、同サミット関連経費拡大の主な理由、サミット以降の
外交行事を見据えた
外務省の人員配置の見通し、おもてなしの精神を始めとする開催地の魅力の発信等について意見交換が行われました。
次に、川崎重工業神戸工場を訪問し、同工場及び建造潜水艦の概要、潜水艦を始めとする艦艇建造の生産基盤等についての説明を聴取するとともに、「そうりゅう」型潜水艦の第十二番艦建造の工程を視察した後、三月に引渡しを予定する同型潜水艦の第十番艦「しょうりゅう」の外観を視察いたしました。
派遣委員からは、潜水艦の建造工程の詳細、リチウムイオン電池の搭載と潜水艦の居住性向上、
我が国の潜水艦建造技術の優位性、FMSによる
防衛装備品取得の増加が
我が国防衛産業に及ぼす影響、関係企業から見た潜水艦整備における艦齢延伸と新規建造との望ましいバランス等について意見交換が行われました。
第二日目は、まず、三菱重工業小牧南工場を訪問し、同工場の概要及び同社製造の戦闘機等についての説明を聴取するとともに、F15戦闘機の近代化改修及び定期修理の実施現場、F35A戦闘機の最終組立・検査を視察した後、同型の完成機を遠望いたしました。続いて、同工場技術センターのシミュレーション・ラボにおいて将来戦闘機事業について説明を聴取いたしました。
派遣委員からは、ステルス技術等に関する技術動向、F35戦闘機の取得と
我が国の戦闘機製造技術の維持の方策、国産による将来戦闘機の開発を
実現するため、航空機のファミリー化を始めとするコスト削減を行う必要性等について意見交換が行われました。
次に、名古屋港を訪問し、
我が国の貿易における名古屋港の
役割、
日本一の実績を維持している総取扱貨物量、輸出額及び貿易黒字額に加え、昨年の外貨コンテナ取扱量が過去最高となった取扱貨物の動向、名古屋港の危機管理・保安に関する
取組等について、国土交通省、海上保安庁第四管区海上保安本部等より説明を聴取いたしました。
派遣委員からは、港湾の危機管理体制と自衛隊との
連携の必要性、コンテナによる薬物等の密輸
対策の現状、名古屋港における外貨コンテナ取扱品目の上位を自動車部品が占める背景等について意見交換が行われました。
その後、飛島コンテナ埠頭株式会社に移動し、IT自働化コンテナターミナルの現状等について説明を聴取いたしました。続いて、遠隔自動化を
世界で初めて
実現したラバータイヤ式門型クレーンと自働搬送台車によるコンテナ積卸し作業を、また、クレーンの遠隔操作の
状況をそれぞれ視察いたしました。
派遣委員からは、中国など他国の港湾におけるコンテナターミナルの自動化の現状、飛島コンテナ埠頭の今後の発展に向けた
課題、コンテナの荷繰りにおける
課題とその解決策等について意見交換が行われました。
最後に、JICA中部を訪問し、海外から年間七百人程度の研修員を受け入れ、自動車産業の集積や産業公害克服の経験を生かした研修を行っていること、中部の中小企業が持つものづくり技術を
開発途上国の
経済開発に役立てる海外展開支援事業の現状等について説明を聴取いたしました。続いて、品質・生産性向上(カイゼン)を通した中小企業支援
能力強化研修を参観いたしました。
派遣委員からは、新たな在留資格「特定技能」を取得した外国人に対してJICAの研修プログラム等を適用する可能性、外国人の受入れが増える自治体に対するJICAの有する知見の提供、中小企業の海外展開支援に当たり、JICAが行う具体的支援等について意見交換が行われました。
以上が今回の派遣の概要です。
今回の
調査により、
我が国の
外交、
防衛等の実情について認識を深めるとともに、現地の皆様の御要望や御意見を聞くことができ、国会として果たすべき
課題も多いことを改めて痛感いたしました。
最後に、今回の派遣が極めて有意義なものになったことに対し、御対応いただきました関係者の皆様方に心から感謝を申し上げ、報告といたします。