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尾辻かな子君
立憲民主党・
無所属フォーラムの
尾辻かな子です。(
拍手)
冒頭、本日、
川崎市の
スクールバス停留所前で小学生らが次々に刺され、十八人がけがをして運ばれ、そのうち小学六年生の
女の子と三十九歳の
男性が亡くなる痛ましい
事件が起きました。心から哀悼の意を表しますとともに、負傷された
皆様にお見舞いを申し上げ、一刻も早い回復をお祈り申し上げます。本当に悲しく、心が痛みます。心のケアなど、しっかり
対応をしていただきたいと
思います。
会派を代表して
討論に入る前に、一言申し上げます。
令和の時代になり、初の国賓となった
トランプ大統領が本日帰国されますが、
ゴルフ、大相撲、居酒屋での
接待外交を展開した成果は何だったのでしょうか。
日曜日には、
トランプ大統領が自身のツイッターに、
日本との
貿易交渉は大きく進展している、特に農業や牛肉の分野だ、大
部分は
日本の
選挙の後だ、大きな数字を期待していると、
日米貿易交渉の進展について書いています。
ゴルフをしながら、
安倍総理はどのような話をされたのでしょうか。
共同記者会見でも、
トランプ大統領が、
貿易交渉について、八月には発表できると思うと発言をされています。
期限つきで
方針を決めたのなら、
参議院選挙の前に
予算委員会等で
説明していただく必要があります。重要な
方針を隠して
参議院選挙に臨むのは、
国民に対するだましではないでしょうか。
また、十三日の
内閣府発表の景気動向指数は、六年二カ月
ぶりの悪化となりました。二十四日に発表された五月の
月例経済報告は、輸出や
生産の弱さが続いていると、
景気判断を二カ月
ぶりに引き下げました。この
状況が
消費税を増税できる
経済状況なのか、
安倍総理は
説明する
義務があるはずです。
開催を求めている
予算委員会は一向に開かれず、本日で与党の
審議拒否は八十八日となりました。
通常国会における
予算委員会の
開催日数は、二〇〇一年からの十九年間で最低の十五日です。開かれて困ることがおありなのでしょうか。速やかに
予算委員会を開くことを強く求めておきます。
それでは、ただいま
議題となりました
児童福祉法等改正案に対しまして、
修正案、
修正部分を除く
原案ともに
賛成の
立場から
討論をさせていただきます。
まず、今回、私
たちが提出した対案の
内容を踏まえた
修正がなされました。
修正案の取りまとめに御尽力をいただいた各
会派の
皆様に、心から御礼を申し上げます。
必要な政策は
与野党問わず
法案に取り入れていく、このような形が
国会のあるべき形の一つではないでしょうか。
昨年三月に、目黒区に住む五歳の船戸
結愛さんが
虐待で命を落としました。五歳で、もうお願い許してと書いた
結愛さんの気持ちを思うと、そのSOSを見逃したことは本当に悔しくてなりません。
この
事件を受け、昨年、私
たちは、
児童相談所強化緊急
法案を提出し、
児童福祉司の
増員、各
関係機関の
連携を求めました。このときに
法案審議に応じていただき、
法律改正ができていたら、ことしの千葉県野田市で起きた十歳の栗原心愛さんの
事件は防げたのかもしれません。
虐待から
子供たちを守り、
保護者を
支援しようと、
児童相談所を始め
関係機関の関係者の方々がきょうも全力で取り組んでおられます。他方、今も一週間に一人のペースで
子供たちの命が
虐待で奪われている現状があります。私
たちは、この
状況を変えなくてはなりません。
今回の
修正案で進んだ四点をお話しいたします。
一点目は、加害者プログラムです。
児童虐待を行った
保護者に対する指導等として、
都道府県知事又は
児童相談所所長が、
児童虐待を行った
保護者に対して、
児童虐待の再発を防止するため、医学的又は心理学知見に基づく指導を行うよう努める努力
義務規定が入りました。ノウハウを持った専門人材や団体と
連携し、意思のある
保護者に対して有効なプログラムを提供することで、暴力に訴えることをやめ、家族再統合を進めていくことができるようになります。
二点目は、
児童相談所と
関係機関との
連携強化として、
児童虐待防止法第四条に、
関係地方公共団体相互間、
市町村、
児童相談所、福祉事務所、配偶者暴力
相談支援センター、学校及び医療
機関を例示し、
児童虐待対応の
連携を具体的に各
機関に求めるよう書き込むことになりました。
さらに、
児童虐待を受けた
児童が転居した場合に、
児童虐待を行った
保護者に対して、転居の前後において指導、助言その他必要な
支援が切れ目なく行われるよう、転居先の
児童相談所長に速やかに必要な情報の提供を行うものとする
規定が盛り込まれました。これにより、転居によって
支援が届かなくなる事態を避けることができます。
三点目は、本法施行後二年を目途とした、
児童の
意見が尊重されるための仕組みに関する検討
規定について、
児童の
意見を聞く
機会の確保、
児童の権利を擁護する仕組みの構築を検討
規定として明記することになりました。
子どもの権利条約批准から二十五年、
子供の
意見表明権をしっかり担保することが求められています。先ほどの
結愛さんも心愛さんも、助けてほしいと声を上げていたのに、その声を受けとめることができませんでした。その必要性を強く訴えた野党の
修正を受けて、この失敗を繰り返さないよう、二年の間にしっかり検討して、仕組みを構築することを求めておきたいと
思います。
四点目、DV、配偶者等からの暴力についてです。
児童虐待とDVは密接な関連性が指摘されています。今回、通報の対象となるDVの形態及び保護命令に係るDV被害者の範囲の拡大について、本法の公布後三年を目途に検討を加え、必要な
措置を講ずることになりました。
野田市の事案では、母親が精神的DVを受けていた可能性が指摘されています。精神的DVや性的DVも通報、保護命令の対象となるよう検討を進められることになったのは大きな前進だと
思います。また、身体的DVを診察した医師の通報
義務についても検討をお願いしておきます。
さらに、DV加害者の
地域社会における更生のための指導及び
支援のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な
措置を講ずる旨の検討
規定が加わりました。有効性ある加害者
更生プログラム実施に向け、これもしっかり検討をいただきたいと
思います。
今回、
修正案に盛り込まれず、次回への
課題となった
部分についても指摘をしておきます。
中核市、特別区への
児童相談所の設置
義務化はかないませんでした。妊娠届を受理する自治体に
児童相談所を置くことで、住民に近い場所で切れ目ない
支援を実現することができます。特に中核市において進んでいない
児童相談所設置については、財政
支援、人的
支援を更に積極的に行うことを強く求めておきます。
親権者による
体罰について、私
たち野党案では、民法八百二十二条の懲戒権の
規定について、
児童の権利の擁護に関する国際的動向を勘案し、懲戒権の
規定の削除を含めた検討を早急に講ずることにしておりましたが、
政府案のまま、二年を目途に検討となりました。
子供への
虐待をなくすためには、懲戒権の
規定は一刻も早く削除すべきです。二年ではなく、今すぐ始めてください。
二十四項目の
附帯決議を
全会一致でつけております。これについても検討、
実施をお願いしておきます。
船戸
結愛さんの、お願い許してと書いたメモ、そしてその声に、SOSに応えられなかったことを、私
たちは決して忘れません。栗原心愛さんの、先生、どうにかできませんか、うちには帰りたくない、この声に応えられなかったことを決して忘れません。
私
たち立憲民主党は、子どもの権利条約にうたわれている
子供の
意見表明権を担保し、その声をしっかり聞き、寄り添うことで、次の
虐待の犠牲を生まない努力をし続けます。
子供は、生まれてくる場所、親を選ぶことはできません。だからこそ、どの子もひとしく守られ、安心して育つことができる環境をつくらなくてはなりません。今後とも、
児童虐待をなくすための
提案を続けてまいります。
以上の理由から、
子供の命を守る努力を一層進める本
法案の
修正案、
修正部分を除く
原案ともに
賛成であることを申し上げ、私の
賛成討論とさせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)