○本多平直君 立憲民主党の本多平直です。
立憲民主党・無所属フォーラムを代表し、ただいま
議題となりました
防衛計画の
大綱及び
中期防衛力整備計画について、
岩屋防衛大臣への一問以外、自衛隊の最高指揮官であり、
国家安全保障会議の
議長である安倍総理に質問いたします。(
拍手)
まず冒頭、総理は、先日、北朝鮮との無条件での対話との
方針を表明されました。
その
方針に異論はありませんが、対話の動きから周辺国の中で一国だけ取り残されるなど、
方針転換が遅きに失した
責任をどうお感じになりますか。また、この時期に突然
方針転換した理由を明確にお答えください。
これら外交姿勢の
変化など、
予算委員会でお聞きしたいとの我々の要求を自民党は認めず、本日で七十六日間の審議拒否を続けています。総理は、経済情勢や外交
方針転換にやましい点がないなら、正々堂々
予算委員会での審議に応じるよう、改めて強く求めます。
では、
防衛大綱についての質問に入ります。
大綱の第一の問題点は、専守
防衛を逸脱、つまり憲法に抵触しかねない
内容が含まれていることです。
まず、「いずも」型護衛艦二隻の空母化です。
攻撃型空母の保有が憲法上許されないというのは、
政府の主張であります。今回、
政府は、空母に国際的な定義がないとか、艦載機を常時搭載するわけではないなどの理屈で、「いずも」に戦闘機を発着可能とする改修を空母化であるとは認めていません。自民党の提言骨子では、最初、多用途
防衛型空母、最終提言では、空母を若干隠し、多用途運用母艦、公明党との協議で多用途運用護衛艦になり、最終的な
中期防の表現は、何と、多機能の護衛艦です。
国民を欺き、憲法論議を免れるためのインチキ、欺瞞、ごまかしです。
戦闘機の発着が可能な「いずも」を空母と呼ばない極めて不誠実な見解に変更はありませんか。総理、お答えください。
私も横須賀で視察をさせていただきましたが、「いずも」には、災害時の対応のほか、
相手国の潜水艦を哨戒するヘリを搭載するという重要な任務があります。空母化により、この重要な任務に支障が出ないという具体的な根拠をお答えください。
そもそも、具体的な運用方法も未定のまま、岩屋大臣自身が記者会見でお認めになったように、現場、自衛隊からの要請のないあしき政治主導による決定も問題だと指摘をさせていただきます。
自民党が繰り返し
政府に提言している敵基地攻撃
能力についても質問します。
政府は一貫して、敵基地攻撃
能力は、攻撃からの防御のためにほかに方法がない場合には憲法上許されるが、米国にその役割を担わせる旨答弁を続けてきました。しかし、
防衛用と
説明していますが、航続距離九百キロを超える長射程ミサイルは、事実上、敵基地攻撃
能力ではありませんか。改めて、敵基地攻撃
能力を保有しないという
方針に変更はないか、お答えください。
念のため申し上げますと、例えば北朝鮮のミサイル発射基地は移動式のものも多く、場所の探知は簡単ではありません。こうした敵基地への対応こそ米国が担うとするこれまでの
政府の
方針こそがリアリズムであると考えますが、いかがですか。
第二の問題点は、
防衛費の抑制なき拡大の問題です。
安倍政権以前の
大綱にあった節度ある
防衛力整備との文言は既になく、
日本を取り巻く
安全保障環境について、格段に速いスピードで厳しさと不
確実性を増しているとされ、従来とは抜本的に異なる
速度で
防衛力を
強化と、違和感を覚える過剰な表現の
もと、
防衛費の拡大が続いています。
相手国の真意が読めない中、
防衛費には常に拡大の圧力が働きがちです。それを冷静に、適切に、節度を持って、常に抑制の可能性がないのか検証することこそ政治の役割だと考えますが、総理、いかがですか。
一機百十億円を超えるF35戦闘機百五機の、まさに爆買いともいうべき大量購入は、米国トランプ政権の強い圧力も背景に、まさに節度が完全に失われたと言わざるを得ません。
F35は、米
国会計検査院から、八百項目以上の技術的問題や、部品不足により三割が飛行できない
状況にあることなどが指摘されており、また、先日の墜落事故の原因究明も進んでいません。一旦立ちどまって、導入の
あり方、導入機数などを再検討すべきと考えますが、いかがですか。
昨年五月の自民党の提言を読んで、私は大変驚きました。NATOが
防衛費の対GDP比二%を達成することを目標にしていることも参考にしつつ、必要かつ十分な
予算を
確保するとありますが、現在、
我が国の
防衛費の対GDP比は約一%です。これを二%にするということは、五兆円を十兆円に引き上げるということにほかなりません。財政上、あり得ない金額です。
自民党がこのように非現実的な目標を掲げていることは、来る参議院選挙でしっかりと
国民の皆さんに御判断いただきたいと思います。そもそも、欧州諸国の
予算のGDP比を参考にするなら、公的
教育予算、子育て支援の値こそ参考にすべきと考えますが、いかがですか。
第三の問題点は、費用対効果の視点、さらに、
防衛装備の実効性の問題です。
その象徴が、秋田、山口に二基二千四百億円を超える費用で導入予定のイージス・アショアです。米朝協議などで情勢に
変化があり得、運用開始は早くても二〇二四
年度以降、実験施設の建設など、更に費用の増加もあり得ます。
改めて、イージス艦を八隻
体制にしても更になおイージス・アショアが必要な理由、及び攻撃
対象になりやすく他の用途に転用できない陸上に固定されたイージス・アショアよりも、他の任務との併用や転用が可能なイージス艦によるミサイル
防衛を隊員のシフト
体制にも留意しながら充実する道は本当にないのか、お答えください。
総理は、
予算委員会での野党議員の質問に対し、イージス・アショアを置けば、明らかにプラスになりますよね、マイナスにはならないですよねという答弁をされました。二千四百億円もの巨額の
予算について、マイナスにはならない、これでは余りに無
責任です。明確にお答えください。
そもそも、現在ミサイル
防衛を担うイージス艦一隻には約九十発の迎撃用のミサイルが装填可能です。実際にはわずか八発しか装填されていないと言われています。
我が国を射程におさめる北朝鮮の弾道ミサイルは三百発とも言われていますが、本気で
防衛をする気なら、イージス・アショア導入より、今あるイージス艦への装填ミサイルをきっちりふやすはずです。発射する弾はすかすかなまま、新たな発射装置の購入をすることは、やはり米国の要求に屈したのか、又は
国民へのアピールにすぎないのではないかと疑わざるを得ません。
使用中のイージス艦に迎撃用のミサイルをフルに装填していない理由をお答えください。
さらに、配備に地元の
理解は当然の前提です。建設候補地が住宅地や学校に隣接する秋田が地元である我が会派の寺田学議員は、地元の
理解なく米国と契約することはないかと
委員会で質問しました。岩屋大臣は、契約時期については地元の皆様の御
理解を得るというのは前提と答弁されました。
ところが、地元の
理解がまだないどころか、
防衛省自身が行っている適地調査の結果も
報告されない中、
防衛省は四月二十六日、米国と契約を交わしたことを発表しました。答弁に反する今回の契約は
国会を冒涜する行為だと考えます。虚偽の答弁をされたのか、考えが変わったのか、明確にお答えください。
国会答弁に反する契約を強行して、今後更に交渉が必要な地元の皆さんの信頼を得られるとお考えですか。この質問のみ、
岩屋防衛大臣、お答えください。
第四の問題点は、イージス・アショア、F35などの米国製高額兵器導入の犠牲となり、本当に必要な
予算が
確保されていない問題です。
昨年、私は、
予算委員会で、基地のトイレットペーパーが不足し、隊員の方が自腹で購入しているという信じられない実態を指摘しました。さすがに総理も早速の改善を指示し、
状況は改善したようですが、これは氷山の一角です。
部品不足による航空機などの運用率の低下、訓練費用の抑制は、相次ぐ自衛隊機の事故の原因ではないかとの指摘もあります。海外派遣の際の医療
体制、駐屯地への自家発電機の配備、こうした自衛隊員の命を守り、当然の
活動を支える
予算確保こそ、危険を顧みずに任務に当たっている自衛官の皆さんに報いることであり、自衛隊の大きな課題、人材
確保にもつながると考えます。
自衛官の名誉のため、さらには募集のために憲法改正が必要だと、私からすると的外れなことを総理はおっしゃいますが、まずやるべきことをしっかりやっていただきたい、このことを強く申し上げたいと思います。
さらに言えば、最近の
国会で、総理の意図はともかく、自衛隊違憲論について一番語られているのは、残念ながら安倍総理です。自衛隊違憲論が世の中に蔓延しているかのような誤解を与える
発言を自衛隊の最高指揮官が安易に口にすることは、隊員の士気にもかかわりますし、さらに、自衛官の子供さんが誤解して悲しむといけませんので、おやめいただきたいと考えますが、いかがですか。
沖縄の辺野古新基地建設についても一点お伺いします。
民主党政権時代、県外移設を追求し、最終的に断念した経緯については率直に反省をしたいと思います。しかし、九年が
経過し、選挙や住民投票で県民の建設反対の意向が繰り返し明確に表明され、さらに、建設予定地の軟弱地盤問題の発覚、それに伴う建設費用の高騰、工期の長期化など、
状況は大きく
変化しました。
アメリカ海兵隊の
沖縄での存在が
抑止力だと主張されますが、米国公文書による朝日新聞の最近の報道で、海兵隊の中核部隊は年間百日以上海外に出動している実態が明らかになりました。
私たちは改めて検討を積み重ね、米国との交渉は当然前提ですが、海兵隊の運用変更などにより、新基地建設によらずとも普天間基地の返還は可能ではないかと考えるに至りました。
総理は、海兵隊が百日以上海外に出ている現実を把握されていますか。それでも常時
抑止力は維持されているとお考えですか。この海兵隊の運用実態を踏まえた上でも、辺野古新基地建設が唯一の道だとする根拠をお答えください。
結びに申し上げます。
かつて自民党には、ハト派、リベラル派、護憲派と言われる方々が
一定存在し、幅広い議論があったと思います。そうした流れの重鎮の皆さんが
国会を去り、特に安倍政権以降、北朝鮮や中国の動向も背景にあるのでしょう、こうした抑制的な議論を少なく感じるのは、他党のこととはいえ、大変残念です。
近隣諸国の動きに対する
国民の自然な不安を受けとめる必要は当然ありますが、そうした感情を
利用したり、ましてやあおったりすることは厳に慎むべきです。
安全保障環境が厳しいときほど、我々政治家は、抑制的で冷静、そして当然、現実的な安全議論をすべきです。
自民党の中でそうした流れが残念ながら弱まっていると感じる今、我々立憲民主党こそがそうした議論の先頭に立つことを
国民の皆様に申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕