○国務
大臣(麻生太郎君) 櫻井議員から、下関北九州道路の答弁、記者会見での発言、景気に関する認識、利益剰余金の取扱い等十四問、間違いないですね、十四問お尋ねがありました。
まず、下関北九州道路の私の答弁についてのお尋ねですが、四月四日の参議院決算
委員会において、事前に通告することがなく、突然の御質問をいただいた中で、下関北九州道路について、
整備を促進する大会に参加するなどの積極的な取組を最近は行っていない、予算編成過程において地方公共団体の多くの要望の一つとして陳情を受けたのではないかという
趣旨の発言をしております。
このうち、陳情につきましては、その後、正確な事実を確かめたところ、十二月十九日に下関北九州道路の
整備促進を図る参議院議員の会から、同じく十二月の二十一日に下関北九州道路
整備促進期成同盟会からお話を伺ったことが
確認できたことでありまして、いずれにいたしましても、私の答弁にそごはなかったということであります。
次に、記者会見における私の発言についてのお尋ねがあっております。
お尋ねの私の発言は、質問を明確にするよう記者に促したものであります。
したがいまして、おどすというようなことなんか全くありませんでしたが、不遜ではないかとの御
指摘も踏まえて、今後、発言には注意をしていかねばならぬと考えております。
現在の景気の認識についてのお尋ねがありました。
三月二十日に公表された月例経済
報告におきましては、
日本の経済の現状について、景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さが見られるものの、緩やかに回復をしているとの認識が示されているものと承知をいたしております。
二月と比較をいたしますと、中国経済の減速の影響を受け、輸出及び一部製造業における生産活動に弱さが見られる一方、これまでと同様、雇用並びに
所得環境の
改善を背景に、消費、設備
投資が、いずれも内需を
中心とした経済成長が続いており、緩やかに回復をしているという認識は変わっていないと考えております。
次に、
早期健全化勘定において、昨年度末の利益剰余金と含み損益は幾らか、今後、最悪の場合、利益剰余金の目減りはどの程度と予測しているかとのお尋ねがあっております。
保険機構の昨年度の決算は御存じのようにまだ未確定でありますから、したがいまして、
早期健全化勘定の本年三月末における決算は見込みの数字としかなりませんので、利益剰余金は一兆六千億円弱、保有株式の含み益は約百億円の合計一兆六千億円となっております。
議員御
指摘の最悪の場合につきましては、これは具体的な内容が必ずしも明確ではありませんが、
早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額約八千億円のうち、
早期健全化勘定の
業務に必要なものとして、一千八百億円と試算をいたしておるところです。
次に、
早期健全化勘定から一般会計への繰入額について、一兆一千億ではなく八千億円である
理由についてのお尋ねがあっております。
会計検査院の
意見表示においては、現在の
制度のもとで
早期健全化勘定に今後発生し得る損失を
最大限に見込んで機械的に試算をした約〇・五兆、五千億円を同勘定の利益剰余金約一兆六千億円から控除いたした残り一兆一千億円を余裕資金としているものと承知をいたしております。
他方、今年度予算における八千億円の国庫納付金に関しましては、まず、
早期健全化勘定に今後も留保する必要のある金額について、過去の実績も参考にさせていただきながら、
早期健全化勘定の
業務のための留保する必要がある金額約一千八百億円と、今回
提案をいたしております
法律改正が行われた場合、金融再生勘定の
業務のための留保する必要がある金額約六千二百億円、合わせて約八千億円と試算したものであります。
その上で、
早期健全化勘定の利益剰余金約一兆六千億円からこの八千億円を差し引くことにより、国庫納付額を算出したものであります。
次に、会計検査院における
意見表示を踏まえた国庫納付がなぜ今年度になったのかについてのお尋ねがありました。
早期健全化勘定の利益剰余金の取扱いにつきましては、
平成二十八年十一月の会計検査院の
意見表示のほか、
平成二十九年の六月の衆議院の本
会議及び参議院の決算
委員会の議決等を受けて、金融庁におきまして、
平成金融危機への対応を進める中、預金等の全額保護のため約十兆四千億円という巨額の
国民負担が確定しているといった経緯、また、預金保険機構の他の勘定に欠損金や含み損が発生していること及び金融資本市場の
状況等々によりましてその含み損は変動いたしますので、そういったことも踏まえまして、財政当局とも協議をしながら総合的な
検討を進めてきたところであります。
このたび、その
検討の結果が得られたことから、対応を行うこととしたものでありまして、具体的には、必要な
制度整備等々を行った上で、
早期健全化目標の利益剰余金のうち八千億円を国庫に納付するということにしたものであります。
次に、
早期健全化勘定が金融システムの安定にどのように寄与したのか、また
金融機能強化
業務の資本参加
制度の効果についてのお尋ねがあっております。
早期健全化法に基づき、三十二の金融機関に対して約八兆六千億円の資本増強を
実施したところです。これにより、短期金融市場におけるジャパン・プレミアムの鎮静化を通じて、金融システムに対する懸念の払拭に寄与したものと考えております。
その結果として、資本増強を通じて取得した優先株式等の処分及び配当等により、これまで一兆六千億円の利益剰余金が発生をいたしたところです。
なお、現在も
早期健全化勘定で保有する株式の処分の見通し等については、個別銀行の資本
政策や、また金融資本市場の
状況等にかかわる事項であり、その見通しを申し上げることは困難であります。
また、
金融機能強化法は、国の資本参加を通じて、金融機関が金融仲介機能を発揮するのに十分な資本を
確保するという枠組みであります。この
法律に基づきまして、これまで地域銀行十六行及び協同組織金融機関十四先に対して、合計六千八百九十三億円の資本参加を
実施したところです。
こうした中、これらの金融機関において、中小企業に対する信用供与及び経営
改善支援に係る計画値を掲げ、またこれらの具体的な方策を策定し取り組んでおり、結果として中小企業向け融資がふえるなど、同法の
趣旨を踏まえた対応により、一定の効果が生じていたものと考えております。
次に、預金保険機構からの国庫納付と財政健全化への取組についてのお尋ねがあっております。
本年十月に予定される
消費税率の引上げに際しまして、前回の引上げの経験を踏まえ、プレミアムつき商品券など、経済的影響を平準化するための十二分の
対策を講じることとし、預金保険機構からの国庫納付を含む臨時の収入は、こうした臨時特別
措置の
財源としてお示しをいたしております。
先生御
指摘のとおり、債務の返済につきましては、財政健全化の取組が重要であるということは言うまでもありませんが、こうした臨時の財政も用いて経済への影響を平準化しつつ、
消費税率を引き上げ、持続的な経済成長の実現と財政健全化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、金融再生勘定において、昨年度末の欠損金と含み損益は幾らか、今後、最悪の場合、この金額がどの程度になると予想しているか、
早期健全化勘定から金融再生勘定へ残余の金額を繰り入れることが特に必要と認められる
状況とはどのようなケースかとのお尋ねがあっております。
預金保険機構の昨年度の決算は未確定でありますため、金融再生勘定の本年三月における計数は見込み数値ということになりますが、欠損金は約二百億円、保有株式の含み損は約一千四百億円、合計一千六百億円となっております。
議員御
指摘の最悪の場合につきましては、具体的な内容が必ずしも明らかではありませんが、金融再生勘定で保有する株式の処分等々によって、金融再生勘定を廃止する際に損失が発生している
状況等が想定をされるということだと思います。
こうした場合には、
早期健全化勘定から金融再生勘定へ残余の額を繰り入れることが特に必要と認められると思います。具体的には、
早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額約八千億円のうち、金融再生勘定の
業務に必要なものとして、約六千二百億円と試算をいたしておるところであります。
次に、
早期健全化勘定から金融再生勘定への繰入れ規定
整備の妥当性等についてのお尋ねがあっております。
平成二十八年の十一月の会計検査院の意思表示や
平成二十九年六月の衆議院本
会議及び参議院決算
委員会の議決等は、
早期健全化勘定の利益剰余金について、適時に国庫納付することのみならず、預金保険機構の財務の健全性維持に活用することを求められております。
今回、これらの議決等を踏まえまして、
早期健全化勘定から金融再生勘定への繰入れ規定の
整備を行うことといたしております。両勘定の明朗な会計を維持するため、金融再生勘定の廃止の際の繰入れは、同勘定の債務超過の範囲内に限定するなどの
措置を講じているところであります。
また、
早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額につきましては、金融再生勘定の廃止の際に
国民負担が生ずることがないよう、金融再生勘定の今後の
業務におけるリスクも十分に考慮した上で試算したものだと考えております。
次に、金融再生勘定の保有株式の処理についてのお尋ねがありました。
預金保険機構は、旧長銀、旧日債銀から買い取りました株式について、
平成十八年八月から、
国民負担の最小化及び市場への影響の極小化の原則のもと、おおむね十年をめどに処分を開始しましたが、
平成二十年九月のリーマン・ショックの後の急激な株価の下落等を受けて、同年十月から、上場株式の処分を原則として停止をいたしております。
上場株式の処分の再開につきましては、その含み損益の
状況に加え、多額の株式の処分が市場に不測の影響を与えるということがないなど、金融資本市場の動向を踏まえつつ、今後、適切に判断してまいりたいと考えております。
バブルとその後の
政策からの教訓についてのお尋ねもあっております。
バブル崩壊後、株価などの資産価格の大幅な下落や大手金融機関の破綻等から実体経済が大きな影響を受けたのは御存じのとおりです。
こうした実体経済に大きな影響を与えるリスクが顕在化しないよう、経済金融市場の動向を精緻かつリアルタイムにモニタリング、観察し、金融システムの潜在的リスクや将来の健全性に
課題のある金融機関の経営
課題をあらかじめフォワードルッキングに分析、特定することが重要と考えておりまして、金融庁といたしましては、引き続き適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
次に、
金融機能の健全化をどのように達成していくのかについてのお尋ねがありました。
人口減少や低金利、超低金利
環境の継続などを背景に、金融機関をめぐる経営
環境は厳しい
状況が続いておりますのは御
指摘のとおりです。
金融庁としては、金融機関が、現状のような厳しい経営
環境のもとでも、例えば、適切なアドバイスやファイナンスを提供することで企業の生産性
向上を図り、経済の発展に貢献することなどを通じて、持続可能なビジネスモデルをみずから構築することが重要だと考えております。
金融庁としては、適切なモニタリングを通じて金融機関の自主的な取組を促していくとともに、そうした取組をサポートするため、
業務範囲に関する規制緩和などの
環境整備に引き続き努めてまいりたいと考えております。
最後に、現状の金融市場がバブルである
可能性についてのお尋ねがありました。
債券市場、また株式市場において、経済や企業のファンダメンタルズ、その見通し等に関する
投資家のさまざまな見方とか取引ニーズなどに基づいて価格が形成されるものでありますのは御存じのとおりで、現状の債券価格や株価がファンダメンタルズから大幅に乖離した、いわゆるバブルであるか否かを当局として一概に申し上げるということは困難であります。
いずれにしても、金融市場の動向につきましては、
日本経済や金融システムに深く影響するものであり、先ほど申し上げたとおり、注意深くモニタリングをいたし、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。(
拍手)
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