○白石洋一君
国民民主党、愛媛の白石洋一です。
私は、
国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま提案がありました
民事執行法及び国際的な子の
奪取の
民事上の
側面に関する
条約の
実施に関する
法律の一部を
改正する
法律案について、関係
大臣に
質問いたします。(
拍手)
本題の前に、一言申し上げなければなりません。
昨日の野党合同ヒアリングで、森友学園籠池元理事長から、学園が借りていた国有地の賃料引下げに関し、これまでの政府の
説明と完全に矛盾する事実が明らかにされました。安倍昭恵総理夫人付の政府職員だった谷査恵子氏から、財務省国有財産審理室長と会って話をした、これで前に進んでいきますと伝えられたというのです。その後、御承知のとおり、最終的には三億円もの値引きがされて学園に
売却されたわけであります。
籠池元理事長がおっしゃるとおり、森友学園はまだ風化しておりません。
安倍総理のみならず、その取り巻きの役人までもが増長し、
情報の隠蔽、公文書の改ざん、そして統計の偽装さえもやってのけるという権力の私物化、公の私物化に
国民の怒りはマグマのようにたまっていることを申し上げて、本題に入ります。
第一の
質問として、今般の
法案について、性格の異なる課題の
内容や別の
法律を無理やり一緒にした束ね
法案になっていることの問題点を指摘します。
一つは、
債務者財産の
開示制度の
実効性の
向上、
不動産競売における
暴力団員の買受け防止の方策については、一緒に
法案にまとめることは妥当としても、子供の
引渡し、
返還という性格の異なる政策課題までも含めることには反対です。
二つ目として、子供の
引渡し、
返還のところに限ってみても、
民事執行法とハーグ
条約実施法は別個の
法律であり、一本の
法律の
改正案に含めてしまうことは不自然です。
以上の諸点に鑑み、提出
法案の組立てについては再考して、分離して出し直すべきではありませんか。法務
大臣の
答弁を求めます。
第二に、
債務者財産の
開示制度の
実効性の
向上について
お尋ねします。
財産開示手続の
利用実績は
年間一千件
程度と低調であるとの指摘や、子供が健全な環境で育ち、教育も含めてさまざまな機会を保障することに資する養育費の履行確保を求める声に応える
内容が盛り込まれていることは評価できます。特に、労働債権確保のために、こうした
制度を創設することは有用であり、ある意味当然であると言えます。
他方で、一般の
国民が
債権者にも
債務者にもなり得る可能性に鑑みれば、
制度の運用については丁寧な対応が求められます。権利実現の保障は当然ですが、プライバシーや個人
情報等の
債務者保護の視点が軽視されてはいけません。当事者間のバランスをどう図るのか、そうした点でどのような具体策を講じていくのか、法務
大臣から明快な
答弁を求めます。
公的機関からの
債務者の
給与債権にかかわる
情報取得に際しては、養育費債権など、保護する必要性の高い債権に限定すべきだとの
意見が反映されたことは評価します。いたずらに
情報が取得され、悪用されることのないよう歯どめ策を講ずるべきと考えますが、法務
大臣より具体策を明らかにしてください。
また、養育費を確保するためには、
強制執行だけではなく、それ以前のそもそもの対策も必要ではないでしょうか。厚生労働省の
調査によれば、二〇一六年において母子家庭で養育費の取決めをしているのは四三%、実際に受け取っているのは二四%にしかすぎません。
我が国の一人親世帯の貧困率は五〇・八%で、OECD諸国でも最悪レベルとい
うそもそもの問題があります。
養育費の
支払いについてはきちんと文書で残しておくなどのルールづくりを進めるとともに、さらに、母子家庭などに対する就業、自立支援に対する事業を強化すべきと考えますが、具体的な取組について、法務
大臣、そして厚生労働
大臣の御所見を伺います。
第三に、
不動産競売における
暴力団員の買受け防止の方策について
お尋ねします。
全国でおよそ千七百もの
暴力団事務所があり、そのうちおよそ二百の
暴力団事務所の物件が
不動産競売の経歴があったことが判明しています。こうした
事態に対応するため、
競売で入札を申し込む際は、
暴力団組員や元組員でないことの誓約を求め、虚偽だった場合には
罰則を設けることなどを盛り込んでいることは、時宜にかなった
改正と受けとめています。
あわせて、
暴力団員等でない者が、いわゆるダミーとして、
暴力団員等の
指示に基づき買受けの
申出をすることも制限していることも必要な
措置と考えます。
暴力団員等を
排除していくことは当然ですが、
暴力団対策法も
暴力団排除条例も適用されない、いわゆる半グレと言われる集団による犯罪的行為も看過できません。実際、ただ同然で落札されるリゾートマンションを半グレが購入して、管理費を払わず、共同施設を使い倒すというトラブルが伝わっています。
落札価格が極端に安い物件については、買受けについて別途厳格な資格
要件を課すなどの方策を講じるべきではありませんか。法務
大臣の御所見を求めます。
最後に、子の
引渡しの
強制執行に関する規律の
明確化の
見直しなどについて
お尋ねします。
国内の事案に関しては、
現行法に明文の
規定さえなく、一般の動産と同じ条文が適用されてきたこと自体大きな問題であり、ようやく
民事執行法の
改正案がまとまったことは遅きに失したと考えます。
同居中の親が抵抗したら対応は極めて難しくなるという
状況に鑑み、
法案では条件を逆転させ、
監護者の親が立ち会っていれば
強制執行が可能とされています。子供の迅速な
引渡しの観点は重要ですが、あわせて子の心身への配慮
規定が
新設されたことも当然と考えます。
いま一度、法務
大臣より、今回の法
改正は子供の人権、福祉、心情に十分な配慮をすることが大前提であり、そのための具体的な
手続、方策を明らかにしてください。
同居中の親がいなくても
引渡しが可能となるのなら、通学途上や外で遊んでいる子供について、公然と人目のある場所で
引渡しを執行すれば、子供の精神的な打撃ははかり知れないものとなるおそれもあります。そうした点に留意して、
法案は、主として自宅での
引渡しを求め、そして、力ずくで連れ出すことを禁じているものと解釈してよろしいでしょうか。法務
大臣より
答弁を求めます。
執行
手続に児童心理の専門家が関与できるような
措置が必要と考えますが、この
法案には盛り込まれているのでしょうか。関連予算が来年度予算にも計上されているのでしょうか。あわせて法務
大臣より
答弁を求めます。
法制
審議会での議論の結果、ハーグ
条約実施法に基づく国際的な子の
返還の
強制執行に関する規律の
見直しに関する検討が議論の終盤に追加され、
国内法の規律を踏まえた
内容が盛り込まれたことは適切だと受けとめています。
昨年五月に公表された米国務省の年次
報告書では日本はハーグ
条約の
条約不履行国に分類されるほど、厳しい国際的批判にさらされてきた経緯があります。
国内の子の
引渡しの
強制執行は
年間百件
程度であるのに対して、国際的な子の
返還の
代替執行は
年間一、二件
程度となっています。
今回の
改正によって
実効性は高まるのでしょうか。アメリカなどから指摘されている執行できないという批判に応えることになるのでしょうか。法務
大臣に
答弁を求め、私の
質問を終えます。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣山下貴司君
登壇〕