○山岡達丸君
国民民主党の山岡達丸です。
私は、
国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま
提案されました子ども・
子育て支援法の一部を
改正する
法律案について、あわせて関連する課題について質問をいたします。(
拍手)
冒頭、申し上げます。
東日本大震災から八年、また、その後も各地で震災、被災、相次いでおります。私の地元北海道におきましても、胆振東部地震が発災してから、三月六日で半年となりました。犠牲になられました
方々に心からの哀悼の意を改めて表させていただきますとともに、未来ある子供
たち、そうした将来のためにも、復興に全力で取り組んでいきたい、そのことを皆様とともに、思いをともにさせていただきたく、まずもって決意をお伝えをさせていただきます。
審議の前提として
確認をさせていただきます。
今、国家の信用を大きく揺るがす大変深刻な問題が起きています。いわゆる統計不正問題です。
毎月勤労統計をめぐる厚生労働省の特別監査
委員会の樋口
委員長は、その調査結果として、隠蔽に当たらないと驚きの結果を
報告しました。
樋口
委員長は、その
理由として、隠蔽の定義を狭めて解釈した上で、虚偽の
報告はあったが深刻な不正とは考えなかったから隠蔽とは認められないなど、言葉遊びのような
説明をされています。
これに対し、
総理をもってしても、一般の感覚では隠蔽ではないか、そうした
答弁を述べられ、そのおかしさを否定されませんでした。
ならば、今からでも、新たな第三者
委員会をつくり、誰の目から見ても第三者と言える人をリーダーに据え、再調査を行い、一般の感覚を伴う本当の意味での真相究明を行うべきだと考えますが、
総理の見解を伺います。
今回の
法律案の策定に当たって、各種の
政府の調査統計データを用いていることと思います。そうしたデータが果たして
信頼に足るものなのか、大変残念なことでありますが、この点についても
審議の前に
確認をさせていただかなければなりません。
そこで伺いますが、今回の
法案の
審議にかかわる調査統計等について、省庁による調査
方法の勝手な変更やデータの改ざんなど、統計不正はないと断言していただけますでしょうか。
公文書の改ざんや統計不正など、
政府の
信頼が失墜する中で、
安倍政権として最重要政策の
一つとも位置づけるこの
法案審議において、万が一にも不正が発覚した場合には退陣をする覚悟を持って臨んでいただきたい、そのように考えておりますが、
総理の決意を伺います。
子育てを社会全体で支援するために、必要な
予算を拡充していく、その考え方については賛同するところです。
民主党
政権時代には、子ども手当や高校無償化など、そうした考えに基づいてさまざまな施策を打ち出しました。私も、二〇〇九年初当選でありましたので、その末席におりました。
私はよく覚えておりますが、当時、所得制限なしで
措置しようとしたそれらの施策に対して、ばらまきだと述べ、子供は社会全体ではなく家庭で育てよ、所得制限を設けよ、費用対
効果を考えよなどと唱え、大
反対の論陣の先頭に立っておられたのが自民党の皆様でありました。
委員会における関連
法案の
採決時には、室内に多くの委員以外の自民党の先生方も集まり、
質疑の持ち時間が大幅に超え、
委員長に再三注意をされても論を張り続けるなど、徹底
反対の運動をされておられました。その熱量は圧巻とも思えるものでした。
二〇一〇年の参議院選挙の結果、衆議院と参議院でいわゆるねじれが生まれ、以後の制度設計に自民党の皆様の同意をもって進めるという
政権運営を行うようになりました。そして、その御意見を取り入れる中で、子ども手当は児童手当と変え、所得制限が
導入をされました。また、高校無償化についても、現
政権下の二〇一四年四月より所得制限が
導入をされました。
これらの歴史を振り返りますと、自民党の皆様の考えは、自助を基本とし、子育て支援政策には所得制限を設けることが基本的な理念であるかと思っておりました。しかし、今回の無償化に当たりましては、三歳から五歳までの子を持つ世帯には所得制限を入れないとしています。
総理にお伺いします。かねてより所得制限の
導入を主張し、制限なしに
反対をしてこられた自民党の歴史をどのように振り返りますか。今回の制度では、その思想は変わったのでしょうか。基本的な
議論をする上で重要な論点だと考えますので、御
答弁をお願いいたします。
民主党
政権時代、なぜ、子育て政策の支援について、控除から給付を基本とし、また所得制限をなしとしたのか。所得の高い人にも低い人にも同額の給付を行う、そして所得の高い人にはより多くの税金を納めていただく。このように制度設計をシンプルにすることによって、余計な事務
経費がかからないようにしながら、結果として、所得の高い人よりも低い
方々に手厚い支援が行き届くようにする、そんな考えに至ったからでありました。
ところで、幼児教育、保育に係る費用というのは、所得の低い
方々の負担は既に低く、高い人
たちには応分の負担をお願いするという制度設計が、各自治体の御
努力の中で、多くの地域で実施をされているところであります。
単純に現行のままで無償化を進めれば、自治体が進めてきた格差の縮小政策の上書きをしてしまい、無償化のより大きな
恩恵は所得の高い人が得てしまうという批判は免れません。
さらには、その
財源とされる消費税は逆進性が強く、
政府が検討するポイント還元制度では、お金に余裕がある人がぜいたく品を買うことでより得をするという仕組みであるなど、低所得の
方々を優遇するようなものになっていないことも事実です。
保育の無償化にはおよそ五千億円の
予算がかかるとされていますが、その五〇%が年収六百四十五万円以上の
方々のために使われる、年収が二百六十万円以下の
方々には全体の一%しか使われない、そんな見通しであります。
具体的に言いますと、年収千五百万円の年収の方は、消費税増税で年間七万円程度の負担増とされていますが、三歳から五歳の子供がいて、保育園に預けたとき、無償化の
恩恵による負担減は六十六万円。一方で、年収三百万円以下の方は、無償化の
恩恵は一万五千円ぐらいしかないとされています。
安倍総理は、これらの事実をどう考えますか。所得の高い人がより得をするという制度設計をよしとしますか。今回の無償化をめぐるこうした批判に対して、どのような考えなのか、
答弁をお願いいたします。
また、無償化といいながら、給食費の実費負担を別とするということにしました。給食費は所得に
関係なく同額でありますから、消費税と同じように、低所得者に負担が重くなる逆進性が働きます。これではますます高所得者の優遇ではないか、そんな批判が生まれます。無償化を進めるという
方針ながら、給食費について除外したのはなぜでしょうか。
国民からすれば、無償化と喧伝されながら、やはりお金を取られるじゃないか、そういうことがわかれば政治不信のもとになりませんか。給食費も含めた無償化の検討をするべきだ、そのように考えますが、
総理の考えを伺います。
消費税に関連し伺います。
総理は、リーマン・ショック級の
事態が起こらない限り、ことし十月に消費税の増税をする、そんな発言をされています。言いかえれば、リーマン・ショック級とされる
事態が起こった場合には消費税増税を延期するという含みを残しておられるということです。あわせて、無償化は消費税の一〇%への増税が前提という
趣旨の
答弁をされています。
先ほども同様の
質疑がありましたが、十分にお答えをいただいていないようなので改めて伺いますが、リーマン・ショック級の
事態によって消費税の増税を延期した場合には無償化の実施も見送りになる、この理解でよろしいでしょうか。明確な
答弁をお願いいたします。
無償化による格差拡大という視点で見たときに、そもそも保育園に入ることができず、無償化の
恩恵を受けられないという
方々が多数いることにも注目しなければなりません。
かつて、保育園落ちた、
日本死ねという言葉が世間で大きな話題になりましたが、それからおよそ二年が過ぎた二〇一八年四月の時点において、依然として待機児童はおよそ二万人となっています。保育へのニーズに対し受入れ環境が圧倒的に足りていない実態は変わっていません。
そこで伺いますが、
総理は、ことし十月には幼児教育の無償化等を始めることとしていますが、その前までにこの待機児童の問題を解決するべきではありませんか。それとも、
恩恵を受ける人と受けない人の格差が広がることを承知の上で、十月に開始するということを是としますか。この点について明確に御
答弁をお願いいたします。
待機児童問題は、特に大都市の問題と考えられがちでありますが、地方都市などでも深刻な
増加をしている現状もあります。
例えば、私の地元の北海道登別市では、人口四万八千人ほどでありますが、待機児童は昨年ゼロ人だったのに対し、ことし四月には三十六人に上る見通しになっています。市では臨時の保育士十一人の公募をしていますが、まだ見つかっておりません。
また、人口十七万の苫小牧市では、昨年一月には百六人だった待機児童数が、ことし一月には百七十二人と、一・六倍にふえました。
無償化の実施によって、更に保育へのニーズが拡大することが考えられます。人材などが集まりにくい地方の都市では、そこに十分な対応ができないおそれがあります。
総理は、先日の玉木代表の代表質問に対し、女性の就業率について、ほかの先進国並みに上昇することを想定して必要な
整備の推計をしているから保育ニーズの拡大に十分対応可能であるという
答弁をされていますが、その対応が地方の都市まできめ細やかになされるのか、強い懸念を持つところです。
総理に伺いますが、こうした地方の現状をどのように考えますか。地方を含めて待機児童問題を解消すると断言していただけますか。見解を伺います。
人手不足を解消し、保育を担う方をふやしていくために、大胆に処遇の改善を進めていくことも必要です。
国民民主党を含む野党は、待機児童問題の解消に向け、保育士の処遇改善策として、一人当たり月額五万円の向上を進める
法案を既に提出しています。
政府が進めている処遇の改善は、月額四万円の処遇改善の
対象を経験年数七年以上の方とするなど限定的なものであり、二〇一九
年度に実施しようとしている処遇改善も、わずか一%、月三千円程度の改善にすぎない、そんな
状況であります。
人材の確保のためにも、全ての保育士に対し抜本的な処遇改善を行う必要があると考えますが、
総理の見解を伺います。
次に、無償化に伴う保育の安全性の確保について伺います。
認可外保育施設の多くは真面目に経営しているところだとしても、保育士の配置数や保育室の面積など、国の指導監督基準を満たさない施設があるというのも事実です。
また、
政府は、ベビーシッターの利用者に対しても補助金を出すこととしていますが、ベビーシッターについて、現在のところ公的な資格、免許制度はありません。ベビーシッターの
方々にさらなる役割を期待するならば、その質を保証するという意味を込めて、
政府として責任ある制度を設けるべきではありませんか。
これらの課題を踏まえた中で、子供の安全性の確保についてどのように対応する考えなのか、見解を伺います。
国と地方の費用負担のあり方について、その合意形成のあり方について伺います。
本
法律案では、幼児教育無償化における国と地方の負担割合は、国二分の一、都道府県四分の一、市町村四分の一、公共施設については市町村十分の十としています。
しかし、これら負担割合について、最終的には国と地方自治体が合意をしたものの、政策形成過程において、事前に地方自治体の声を十分に聞かなかった、地方自治体の意見が反映されなかった、そうした声が市町村から上がったのも事実です。また、地方自治体に大きな事務負担が生ずるなどの問題も残されたままとなっています。
今後の各自治体との合意形成のあり方をどのように考えますか。特に、食材料費の実費徴収や償還払いによる給付等、自治体に生じる新たな事務負担については、国として十分配慮すべきものだと考えますが、見解を伺います。
最後に申し上げます。
無償化というと聞こえはいいわけでありますが、しかし、そこにかかる
経費がただになるわけではありません。例えば、そこで働く
方々もいるわけでありますから、
人件費なども含めて必要な
経費はかかります。
では、そうした
経費をどこから捻出するのかといえば、それは
国民の皆様から納めていただいた税金からということになります。無償化とは、言いかえれば、税金
支払い化であるとも言えるわけであります。それゆえ、その税金はどのような
方々の負担によって生じ、どのような
方々の支援のために使われるのかという、所得再配分という視点が非常に重要であろうと思っております。
私
たち国民民主党は、チルドレンファーストとして、子供
たちを第一に考え、全ての子供
たちが夢を持ち、チャンスに恵まれる社会を目指すという思いのもと、子ども・子育て支援の充実のために国の
予算を拡充するという
方向性には賛同するものですが、しかしながら、その制度設計を間違えれば、格差の拡大を助長し、多くの子供
たちを不幸にしてしまうことも十分にあり得ることであります。
本
法案は、
日本社会にとって大変重要な考え方が含まれている一方で、懸念も多くあり、慎重
審議が求められるものと考えます。
審議を充実したものとするためにも、本質問に対しても真摯なる御
答弁をお願い申し上げ、質問を終わらさせていただきます。(
拍手)
〔内閣
総理大臣安倍晋三君
登壇〕