○松平
委員 どうもありがとうございます。明確になってすごくよかったと
思います。理解できました。今後は取消し
訴訟を提起できる、今までできなかったけれども、今回の
改正でできるようになったということで理解いたしました。本当によかったと
思います。
ただ、結論はいいんですけれども、やはり納得いかない点がありまして、納得いかないというか、なぜかなと思う点がありまして、先ほどの御
答弁で、戒告は
法律上の効果が生じないので取消し
訴訟はできませんよという話だったんですけれども、聴聞手続を設けたら取消し
訴訟ができるようになる。戒告に
法律上の効果が生じないというのは変わらないような気がするんですけれども。
今、資料三というものもお配りしています。これは
東京地裁の判決なんですけれども、こちらは戒告について述べられた裁判例です。
一行目のところに、「戒告とは、当該
司法書士に対し、その非行の責任を
確認させ、反省を求め、再び過ちのないように戒めることである。」と書いてあります。そして、「戒告に伴って生ずる法的効果を定めた
規定はない。」というふうに書いてあります。だから、先ほどおっしゃったように処分ではないという話ですね。
今回の
改正で戒告の内容が変わるわけじゃないと思うんですね。日弁連のホームページを見ると、
弁護士会も戒告をやっていますけれども、そこでは、戒告とは何かというと、反省を求め戒める処分と書いてあるんですね。
司法書士法の戒告も、今申し上げたように、その非行の責任を
確認させ、反省を求め、再び過ちのないようにすることと。これは同じなんですね。にもかかわらず、今まで
弁護士法で争うことができたというのは、立法があるからだったと思うんです、
規定があるから。
だから、私は、本来の筋でいうと、やはり
規定を本当は設けるべきだったんじゃないかな。いや、争うことはできるという結論は賛成なんですけれども。
今回、
使命規定を入れましたよね。
司法書士は、「
法律事務の
専門家として、
国民の
権利を擁護し、もつて自由かつ公正な
社会の形成に寄与することを
使命とする。」そして、
土地家屋調査士は、「
専門家として、
不動産に関する
権利の
明確化に寄与し、もつて
国民生活の安定と
向上に資することを
使命とする。」こういった立派な
使命を持つわけなので、戒告された場合に、自分の信念に反する場合であるとか事実関係を争う場合、これは争う機会を与えるべきということで、私は本当に賛成なんですけれども、聴聞の手続を入れたから取消し
訴訟ができるようになったというのはちょっと疑問があるということは申し述べさせていただきたいと
思います。あくまで立法手当てはした方がいいんじゃないかというふうに思っております。
次に行きます。
日本
司法書士連合会は、
平成二十三年に
法改正要望として
司法書士法改正大綱というものを取りまとめております。そこに、
司法書士の
業務の見直しというものが項目としてありました。ただ、今回の
改正では含まれていないようなんです。
こういった
業務範囲の問題として、隣接士業の問題というのは結構あちこちで言われております。
また日本
弁護士連合会のホームページなんですけれども、こちらも資料四としてお配りしています。これの二行目ぐらいですかね、「隣接業種の人が職務を行える範囲は、それぞれの
法律の中で
規定されていますが、
法律の
規定が必ずしも明確ではないこともあって、本来、隣接業種の人が取り扱えない職務を行っている事例が見受けられます。中には、職務範囲ではないことを知りながら職務範囲外の職務を行っている例もあります。しかし、これではこのようなサービスを受けた人の
権利や利益が充分に守られないことになります。」ということで、職務範囲を明確にする必要があるということも記載されております。
本当にそのとおりだと
思います。やはり職務の範囲を明確にして、各
専門家が
専門家同士であつれきなく職務を行う、
協力し合ってサービスを提供するというのが
国民にとってもいいことだと思うんです。やはり、後からその資格でできなかったということがわかると、依頼した方も不利益をこうむるということになってしまうと思うんです。
私が
一つ驚いたのが
司法書士と行政書士の業際の例なんですけれども、行政書士法の
規定で、
権利義務又は事実証明に関する書類について、行政書士が作成できると条文上されております。結構ざっくりした
規定なんですけれども、だからこそ業際がわかりにくくなっているんじゃないかなと
思います。
資料五で、これは結構昔なんですけれども、
昭和三十九年ですね、民事局長回答があるんですけれども、四角で囲った部分、こちらは結構いろいろ書いてあるんですけれども、つまり、この民事局長回答によると、会社の設立については、定款など各書類の作成は行政書士の
業務だと。ただ、会社設立申請というのは
司法書士の
業務だと。
これは、設立
登記の申請は
司法書士で、定款とかほかの書類の作成は行政書士だと、会社をつくりたいという
国民の利便性の点からいってどうなのかなと思うんです。
ですので、実際の現場で、
司法書士さんが、
登記申請だけじゃなくて、
登記に係る書類作成とか定款作成を行っていると思うんです。そうであれば、逆に、行政書士の方も、定款作成だけじゃなくて、
登記申請を認めてもいいような気もしてくるんですね。
なぜかというと、その方がワンストップサービスで利便性がいいからなんです。やはりこれからは
国民の視点とか
利用者の視点で考えていくべきなんじゃないかなと思うんです。そういう
意味でいうと、相互の
専門家の業界の垣根というのは低くしていってもいいんじゃないかなというふうに
思います。
今回は
司法書士法の
改正なので
司法書士中心に申しますけれども、
司法書士と
弁護士の業際もそうだと思うんですね。百四十万円の範囲で簡裁の代理権が
司法書士に与えられたということなんですけれども、この範囲について最高裁まで争われているんです。
平成二十二年に一審が、訴えが提起されました。最高裁で結論が出たのが
平成二十八年の夏なんです。結論まで六年かかっている。最高裁で争われるような話じゃなくて、本来は立法で
解決すべき話だったんじゃないかなというふうに
思います。
一応詳しく言っておきますと、何が争われたかというと、百四十万円を超えるか否かのところで、結局、
個々の債権ごとに、委任者、受任者である
認定司法書士との関係だけではなく、和解の交渉の相手方など第三者との関係でも、客観的かつ明確な基準によって決められるべきであるという判示だったんです。本当によくわからないですね、依頼者にとっては。それで、やはりこれは立法で
解決すべき、その方がすっきりするんじゃないかなというふうに思っております。
そこで、
大臣、こういった士業の隣接業際問題に今後
法務省として取り組む方針などありましたら、御見解をいただいてもよろしいでしょうか。