○井出
委員 最初の方はふむふむと思って聞いておったんですが、最後のところ、被害届を受理しないのは本当にあり得ない
ケースなんだという
お話であるんですが、ただ、実際、被害に遭われて被害届を受理していただけなかったという方は私はいらっしゃると思うんですね。私のところにも実際
相談に来た方がおります。それから、SARCやSACHICOに行けば、そのことは明らかであろうと思いますので。
私も、現場の
都道府県警察の方の仕事を邪魔するつもりはございません。例えば、
法務省は今、検事歴二十年ぐらいの方がお一人、
実態把握のために、専従でちょっと研究所か何かに出ているんですかね、
調査に当たられている、半年か一年ぐらいの期間でですね。警察庁にも、現場に出ていない方はいらっしゃると思いますし、今後
指導的な立場になる警察の方もいらっしゃると思いますので、そういう方に少し、半年やってみろ、一年やってみろでも構わないんですよ、何とか少しやっていただきたいなというのが現状でございます。
そこで、きょうの、もう一つの束になった
資料を御紹介したいんですが、これは、昨日、衆議院の第二会館におきまして行われた研究発表、性暴力被害
経験に関する質的研究であると。
研究の目的は、司法で犯罪として扱われる性犯罪が被害当事者の認識する性暴力と異なっている、本研究では、当事者の認識する性暴力を深く
理解するために、インタビュー
調査を実施して、望まない性交の被害状況等の、少しはしょりますが、形成過程を整理し、刑法改正議論や被害者
支援に役立てると。
研究をされたのは、もうこの分野ではおなじみの目白大学の斎藤梓専任講師、最高裁でも研修をやっておりますし、
法務省の検討会等にもいらしている方。もう一人、大竹裕子さんという方は、オックスフォード大学で今、仕事をしながらの研究をされている方で、三十一名の方から、複数の被害を受けている方もいますので、四十一件の被害について実際にインタビューをされた
調査でございます。
一枚めくっていただきますと、その左半分ですね、被害の類型を奇襲型からエントラップメント型までと五つに類型し、その下、被害の認識までかかった時間というものが十年以上だとおっしゃっている方が九件、ほぼ四分の一なんです。
それから、一枚めくっていただいて、今少し
お話をしたエントラップメント型、これは今回の
調査の少し中心的な発見であるんですけれども、そのことについて右端に少し解説の図説が書いてありまして、これは、要は、性犯罪その場の行為だけでなく、ふだんの日常生活において、端的に言ってしまえば、少しずつ外堀が埋まっている、そういう類型であります。
一枚めくっていただくと、具体的に、地位、
関係性を利用した性被害の発生プロセスというものを、一、二、三、四、もう一枚あるんですけれども、五
段階、フェーズの五つ、分けていて、加害者はふだんは周囲や被害者から信頼、尊敬をされている人である、それがだんだんセクハラをしたり飲酒をさせたり、加害行為が行われたときのやりとり、加害行為が終わった後にはその性被害を正当化してくると。一枚めくっていただきますと、正当化することが後にうそだということが露見をして、被害者側の
相談や告発が始まると。
串田
委員と刑事
局長との答弁でも、暴行、脅迫や抗拒不能、著しく抗拒困難というものは、必ずしも加害行為と時間的に密接でなくてもいいというような答弁もあったかと思うんですが、そのことを極めてよく分析していただいたものだと思います。
一枚めくっていただくのは、もう参考にしていただいて、これは
家庭の性暴力の、少し図式でその要因や経過をあらわしたものなんですが。
最後のページなんですが、私、この
調査結果の大変すぐれているなと思うところは、
調査結果から、そのことを
支援政策、啓発、
研修等に役立てるべきもの、それが左上ですね、それからその隣、右上なんですが、刑法改正の議論として喚起すべきものと。これは、必ずしも全てを刑法で解決するべきものではないと、そこは冷静な
調査結果を出していらっしゃるなと思うんですが、その中で、左上の必要な
支援というところ、被害認識の形成を助ける啓発、不同意性交を性暴力として啓発し、警察、
支援機関への
相談につなげていくと。
今
お話ししたように、性犯罪に至る経過も本当にさまざまなものがある、突発的、瞬間的なものから、時間をかけて外堀が埋まっていくようなものまでですね。すぐに
相談に来る人はほとんどいない、十年以上かかる人が四分の一だと。
ですから、前回、
田中さんの答弁にあったように、事実
関係が明らかでないですとか構成要件に当たらないというものを、その場で警察も即断してしまってはいけないんじゃないかと思うんですね。
ぱっと聞いて、事実
関係が全然明らかでないよ、うそだよ、構成要件を全く満たしていないよとその場でお断りされたら、やはり、じっくり時間をかけて話を聞く、その日聞けなくてももう一回来ていただく、もう一回来ていただくに当たっては、しっかりと前回の記録をとっておく、そういう丁寧な
対応をしなければ、なかなか被害に遭われた方の本当の本音というものは引き出せないと思います。
そのためにも、何度も何度もお願いするんですが、やはり少しその
実態把握というものに前向きになっていただいて、そのことによって現場の警察官に、性犯罪の
相談に来る人には、慎重で、長い目で丁寧にその話を聞いていくことが大事であるということを
周知していただけると、非常にいい方向に行くかなと思うんですが、
田中さん、いかがでしょうか。