○遠山
委員 大臣の御答弁は大体予想していた
内容でございますが、もちろん、一般的に、刑罰とか罰則、罰則がないと法の実効性がないというのは、別に刑法以外の分野でもよく言われていることでございますので、罰則とか刑罰が何らかの不正行為、犯罪行為を抑止する効果はあるという一般的な見解については、私も、
大臣の答弁にあったその部分は共有をさせていただきます。
また、世論
調査を見て、
国民の多くの皆様がそういう意識を持っているということは、その
国民の中からそういう犯罪を犯す人が少なくなるのではないかという推測も立つことも一定の
理解をいたすわけでございますが、
先ほど私が引用した論考にありますとおり、科学的には立証されていない。死刑制度があるから死刑に値するような重大な凶悪な犯罪が抑止されているということは立証されていないということは、私、あえて申し上げておきたいと思います。
そこで、次の質問になるわけでございますが、死刑制度存置を支持する人が多い日本においても、仮に死刑を廃止したとしても、その死刑の代替刑が、具体的に申し上げますが、終身刑といったものを提示すれば、
国民の意識、考え方は変わるのではないかという指摘もあるわけでございます。
大臣御承知のとおり、無期懲役というのは終身刑と異なるわけでございます。この点で参考になるのは、私、イギリス、英国ではないかと思っております。
イギリスでは、実質的に一九六四年以降は死刑が執行されておらず、いかなる罪に対しても公式に死刑が全面廃止されたのは一九九八年でございますが、その後、二〇〇三年に、刑事司法法、これは英語でクリミナル・ジャスティス・アクト2003というものでございますが、これによって終身刑改革が行われております。
すなわち、凶悪犯罪、これは計画性のある複数謀殺、児童殺害、テロ行為、再犯などを指しますが、この凶悪犯罪に対しては、仮釈放のない完全終身刑がイギリスで導入をされました。二〇〇三年でございます。
この改革の影響かどうか不明でございますが、従来、死刑が廃止された後も
国民世論の七割前後が死刑制度を支持しているイギリスの世論
調査で、二〇〇七年二月には、死刑支持が五〇%、廃止が四五%と拮抗をしております。
ちなみに、英国におきましては、世論
調査では死刑制度存置が多数であっても、死刑制度を復活させる動きを政府や議会がとってきていないことは注目に値すると私は考えております。
いずれにしても、仮に日本で犯罪抑止効果が立証されていない死刑制度をやめるとしても、その代替刑は問われるわけでありまして、私は、仮釈放のない完全終身刑を提示することで
国民の
理解が得られる可能性はあるのではないかと思っております。
そこで、配付資料の二を見ていただきたいと思います。端的に、この世論
調査も従来の世論
調査とトレンドは変わっておりません。一番左上のグラフを見ていただきますと、死刑制度に対する意見の賛否を
国民の
皆さんに聞いたところ、「死刑は廃止すべき」は九・七%、「死刑もやむを得ない」が八〇・三%、実に八割を超える
国民の
皆さんが死刑制度を維持に賛成だということでございます。
しかしながら、この右側の、死刑もやむを得ない、死刑制度を維持すべきだと答えた人に再質問しているわけでございますが、これは、「状況が変われば、将来的には死刑を廃止してもよいと思いますか。」という更問いになっておりますが、この結果は意外と
関係者には驚きを与えたものでございまして、「将来的には死刑を廃止してもよい」が四〇・五%、「将来も死刑を廃止しない」と答えた方が五七・五ということになっております。
よって、この下の三つ目のグラフを見ていただきますと、これは日弁連の方で計算をし直しているわけでございますが、死刑は廃止すべきに賛成をした方と、将来的に死刑を廃止してよいに賛成をした方の合計は、回答した方の全体に占める割合は実は四二・三%で、死刑もやむを得ないに賛成をし、将来も死刑を廃止しないという選択をした方は四六・二%でございますので、実は、
法務大臣の、山下
大臣に限りませんけれども、その前の
大臣の方々もそうですが、
国民の八割以上が死刑制度を支持しているんですという紋切り型の御答弁が多いんですけれども、二〇一四年の世論
調査に依拠して見直すと、実に、将来的に状況が変われば死刑を廃止してもいいという人も含めると、四割以上の方が死刑の廃止を排除していないというのが出ているわけでございます。
また少し前置きが長くなったわけでございますが、そこで、私は、仮に死刑を廃止するとしても、問われるのは代替刑という
意味で、仮釈放のない終身刑自体にもいろいろな御議論があるんですが、とりあえず
大臣にお伺いしたいのは、代替刑として仮釈放のない終身刑というものを導入するという意見があるということについてどういうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。