○
松平委員 もちろんです、
裁判所が最終的に判断する。ただ、今おっしゃっていただいたように、プライバシーを侵害することも不法行為に該当することもあり得るということだと思います。
私も、ちょっと調べてみました。
例えば会社の登記、こちらは、登記謄本を見ると代表取締役の
住所とか
氏名というものが登記事項で書かれていて、もう見たら誰でもわかるんですね。それで、これはインターネットでも登記
情報提供サービスというのがされていますので、閲覧可能になっています。
これは、裁判例で、こういった登記上の
公開情報、代表取締役の人の
住所と
氏名をインターネットで公開したという方がいて、これについて裁判例で、プライバシー侵害、不法行為を認めたという事例がございました。
それから、ほかにも、ちょっと事案が違うんですけれども、ありまして、電話帳がございますね。電話帳に名前とか
住所、電話番号とか郵便番号が書いてあります。それをウエブ上に公開したということで、やはり不法行為を認めた裁判例もありました。
これは何と言っていたかというと、電話帳に載せる際には本人は承諾しているわけです。ですので、公開されることに同意しているのかなと思いきや、
裁判所は、紙媒体の電話帳に掲載することを承諾していても、インターネット上の
ウエブサイトにおいて公開することまで承諾したものではないということを言っているんです。
一方、逆の判例もありまして、約六年前に会社とその代表者が破産したということをブログに掲載した。それについて、結論としては違法ではないという裁判例もあったんです。
これは何と
裁判所は言っているかというと、利害
関係者や取引に入ろうとする者が正当に関心を持つべき公共の利害に関することだよと。そして、
官報や登記簿に掲載されていて、誰もが見ることができ、秘匿性が低い事項である、そういうふうに言っているんですね。そういうことを
理由にしている。
ということで、結局は事案によるということになると思いますが、事案を細かく見て、そして総合考慮して結論を出しているのかなと思います。
こういった
官報に掲載される
情報、個人に関するものというのは、この破産
情報だけではなくて、ほかにもいろいろあります。叙位叙勲の
情報、それから褒章の
情報、それから国家試験の合格者の
情報であるとか、あと公務員の主な人事異動という
情報も
官報に掲載されるということです。ということで、こういった
情報も公開すると違法になり得るので、利用には慎重さが必要ということになると思います。
そして、今、プライバシーの観点から裁判例も御紹介させていただきましたけれども、もう一つの論点、
個人情報保護法との
関係、こちらもお聞きしたいと思います。
先ほど、
個人情報保護委員会が
行政指導を行ったという話でした。つまり、今回の個人
データ、同意なしに公開した。第三者提供ということになると思うんですが、第三者提供を行ったということで、
個人情報保護法違反と。実は、
破産者に関する
データベースとして、ほかにも、有料で
データベースを第三者に提供するというサービス、あったりするんです。結構行われていたりするんです。
一つ有名なところを挙げると、
破産者情報の約七百十六万件、
官報情報に載っている七百十六万件を一枚のDVDに全て収録して販売している、そういう業者さんもあるようです。これは、企業の採用予定者の確認であるとか、そういった企業の危機管理の対策の一つとして利用されている場合があるということのようなんです。
こういった
官報の
情報を
データベース化して、それで有料で利用できるビジネスというのは結構あると思うんですけれども、一般的にでいいんですが、
官報に載った
情報を事業者が
個人情報の
データベースとして適切に取り扱うためにどういった
条件が必要なのか、教えていただきたいと思います。先ほど
破産者マップはだめで、ただ、一方で、有償で販売している事業者さんは既にあるということなので、そこの辺の
要件の方を聞きたいと思います。