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初鹿委員 おはようございます。
立憲民主党の
初鹿明博です。
トップバッターを務めさせていただきます。きょうは、初めてこちらの
法務委員会で
質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、このような
質問の機会をつくっていただいたこと、
委員の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございます。
まず最初に、今回、
児童虐待防止法の
改正に
体罰の
禁止をするという
規定を設けるということになったということでありますので、その件に関連して、
民法八百二十二条の
懲戒権における
体罰の
意味というものを少し
質問していきたいと思います。
実は私、この問題をずっと何度も
質問で取り上げさせていただいていて、前回の
児童虐待防止法の
改正のときも、
懲戒権の中に
体罰を含むという、この
答弁をやはり変える必要があるんじゃないかという
質問をさせていただきました。先般も
質問主意書を出させていただいているところです。その
回答を見ると、ちょっと残念だなというような
回答が返ってきているんですね。
そもそも、この八百二十二条の問題というのは、
児童虐待防止法が制定をされる当初からやはり問題になってきて、ずっといまだに続いてきているわけですよね。
ついに今回、
法律に
体罰を
禁止するということを書くというところで、これは相当に私は進歩したな、前進だなとは思いながらも、でも、やはり一方で、八百二十二条では
懲戒権の中に
体罰が含まれるんだというこの
答弁が維持されている
状態だと、これは
見直しをするということも言っておりますが、
見直しされるまでの間、
懲戒権の
範囲に含まれる
体罰が存在をしていて、
懲戒権というものは
親権者に認められている、でも
児童虐待防止法では
体罰をしちゃいけないと言われている、これはどういうことなんだろうというものの
説明が非常につかないんじゃないかと思うんです。
少しおさらいをしながら
質問させていただきますが、まず、お手元に
資料をお配りをさせていただいておりますが、
平成十二年に、当時の
民事局長であった細川さんという方が、
田中甲議員の
質問に対して、こうはっきり答えちゃっているんですよね。
黒くくくってあるところの真ん中よりちょっと左側なんですが、「この
懲戒には
体罰も場合によっては含まれるわけですが、」とはっきり言っているんですよ、
体罰も場合によって含まれるわけですがと。ただ、「それが子の
監護上必要かつ相当なものとされるかどうかは、その
社会の、
時代の健全な
常識により
判断されるべきもの」であると。
社会の
常識によって
判断されるけれども、
体罰は
監護上必要だったら一部入るんだという
答弁がされてしまっているんですね。
これを
前提に私は
質問など何度かしているんですが、
質問主意書で、じゃ、
子供の
利益になるような
教育上に必要な
体罰というのはあるのかと、これは前回
質問したとき、盛山副
大臣はそういう
体罰があると答えているので、じゃ、具体的に示してくれという
質問をして、それで返ってきたのが、これは新聞でも報じられましたけれども、最後、三枚目の紙に
答弁の四というのがあるんですが、ここではこういうことがお答えされているんですね。
子が他者に危害を加えたことから、
親権者が子に反省を促すべく注意をしようとしたところ、子がこれに応じずその場を立ち去ろうとしたため、
親権者が子の手をとってこれを引きとめ、説教を継続する
行為等は、その
監護及び
教育に必要な
範囲内の
懲戒に該当し得るものと考えられる。
若干これはおかしいんじゃないかとみんな思うと思うんですよ。子の手を引っ張ることが、これが
懲戒の
範囲だと言っているんですが、実は、私が聞いているのは
体罰かどうかということを聞いているのに、
体罰かどうかと答えていないんですよね。ここがやはり、ちょっと
皆さん方、
法務省のごまかしじゃないかと思うんですよ。
有形力の
行使が全て
体罰だったらこういうものも
体罰なんだ、そういう
説明をされるんですが、国の
法律では
体罰ということを
規定していないのは事実ですけれども、もう一枚
資料をつけさせていただいておりますが、
子どもの
権利委員会が、これは二〇〇六年に出している
体罰その他
虐待又は品位を傷つける形態の罰から保護される
子供の
権利というところで、きちんと実は
定義がされているんですね、
体罰について。
まず、十一のところで、
体罰を、どんな軽いものであっても、
有形力が用いられ、かつ何らかの
苦痛又は
不快感を引き起こすことを意図した罰と
定義するというふうに書いてあって、
有形力を使ったものは全部
体罰だとまずは
規定をしています。
しかし、その後、十三、十四、十五のところに下線を引かせていただきましたが、十三のところでは、しつけ及び規律の維持という
積極的概念まで拒絶しようとしているわけではないと。
十四では、
子供を保護するための身体的な
行動及び介入が頻繁に必要とされることを認識する、これは、何らかの
苦痛、
不快感又は
屈辱感を引き起こすために意図的かつ懲罰的に行われる
有形力の
行使とは全く別である、人々を保護するために必要な
有形力の
行使は認めている。
十五番では、
教育その他の者、例えば
施設にいる
子供や
法律に抵触した
子供とともに働いている者が危険な
行動に直面し、その統制のために合理的な
抑制手段を用いることが正当化される、
子供その他の者を保護する
必要性を動機とする
有形力の
行使と、罰するための
有形力の
行使との違いは明確である。
こういうふうに言っているわけですね。
つまり、私が言いたいのは、先ほどの
答弁の四で出した例、
子供の手を引っ張るという
行為、これは
懲戒のためにやっているわけではなくて、その前の段階ですよ。
行動を抑制したり制御するために行っている
行為であって、これは
体罰ではなくて、
子供の
行動を制止するための
行動なんだと思うんですね。だから、これは
懲戒に含まれるか含まれないかということは、私は含んでいいと思うんですよ。ただ、
体罰には含まれないと思うんですね。
だから、私が言いたいのは、
民法八百二十二条の
懲戒権の中に
体罰は一切含まないということをはっきりしてもらいたいんですよ。じゃないと、やはりどこかで、しつけのためにやったんだという言いわけがずっと繰り返し続いていくことになると思うんですね。
まず、
子供の
利益になるような
体罰というのはあるのかということですよ。
質問主意書で私も
指摘しましたが、確かに、たたいたりすれば、
子供はそれに従うようになると思います。しかし、それは心から、悪いことをしたから従っているんじゃなくて、もう一回たたかれるのが嫌だから同じ
行動をしなくなっているだけで、必ずしも
教育的な効果があるとは言えないと思います。むしろ、
暴力を振るったりたたいたりすれば
相手が言うことを聞くということを、逆に、それによって
自分が身をもって学んでしまうことになる。
そうなると、
自分が
子供を育てるときに同じ
行動を
子供にとったり、ほかの友達や何かとトラブルになったときに、
相手に
自分の言うことを聞かせたいために
暴力を使うというように、
教育上マイナスになることの方がはるかに大きいと思うんですよ。
そこで、改めて
大臣に伺いますが、この
民法八百二十二条の
懲戒権に
体罰は一切含まれないというように、これまでの
答弁を撤回若しくは
見直しをしていただきたいのですが、いかがでしょうか。