○櫻田
国務大臣 二〇二〇年
東京オリンピック・
パラリンピック競技
大会を担当する
国務大臣として、私の
所信を申し上げます。
東京
大会の開催まで一年半を切り、主な競技日程や観戦チケットの概要などが定まってまいりました。さらに、多くの競技では、これから代表選手の決定に向けた厳しい選考の段階が始まり、国民そして
世界の関心が高まってまいります。
私は、昨年十月の
大臣就任以降、可能な限り直接、競技会場を始め
関係施設を視察し、
関係者との意見交換を重ねてまいりました。いずれの会場においても、
関係者の方々の御尽力により、着実に準備が進められております。
大会前年となる本年は、いよいよ各競技のテストイベントが始まります。
大会本番に向けて準備を加速化していく段階となります。
政府としては、東京
大会を
世界一の
大会として大成功させるとともに、将来に受け継がれるレガシーを
創出するため、閣議決定した基本方針に基づいて、各府省庁の関連
施策を一体として確実に実行し、オール・ジャパンで
取組を
推進するために必要な措置を講じてまいります。そのために、
関係大臣等と緊密に
連携し、政府
一丸となって
関係施策の
推進を加速させるとともに、開催都市である東京都や、
大会の準備、運営に
責任を持つ組織
委員会、競技会場が所在している自治体等ともしっかりと
連携してまいります。
東京
大会の重要な柱の
一つは、
復興オリンピック・
パラリンピックです。
大会の開催により
世界の注目が
日本に集まるこの
機会に、
東日本大震災から
復興しつつある姿を
世界に向けて発信してまいります。被災三県における
復興の火の展示の後、全国をめぐる聖火リレーは、福島からスタートします。また、最初の競技も開会式に先駆けて、福島で行われます。
政府としても、被災地の自治体と
大会参加国・
地域の交流を行う
復興「ありがとう」ホストタウンの
取組を
推進するとともに、被災地産の食材等の
活用の
取組を進めてまいります。
安全は
我が国が
世界に誇る価値であり、平和と
スポーツの祭典たる東京
大会の成功に不可欠なものです。テロ事件が
世界各地で続発し、サイバー攻撃の脅威も深刻さを増すなど、セキュリティー情勢は予断を許さない状況にあります。また、自然
災害にも十分な留意が必要です。
政府においては、セキュリティ基本戦略や東京
大会等を見据えたテロ対策
推進要綱、昨年改正されたサイバーセキュリティ基本法に基づき、危機管理に万全を期すとともに、テロなど組織犯罪への対策、サイバーセキュリティー対策など、セキュリティーの万全と安全、安心を
確保するためのあらゆる対策を進めてまいります。
大会期間中は多数の
大会関係者及び観客の移動が見込まれるため、安全、円滑な輸送の
実現は
大会成功の鍵となります。また、
大会関係者や観客の輸送と一般交通及び市民生活を共存させることは、
日本経済にとっても大きな
課題です。国民や企業など、皆様の理解と協力を得ながら、テレワークや時差出勤、休暇取得、物流効率化など、
大会期間中の交通行動の見直しに関する機運醸成や合意形成を図り、今後の働き方
改革等にもつなげてまいります。
暑さが厳しい時期に開催される東京
大会では、アスリートや観客が過ごしやすい
環境を
整備することが極めて重要となります。
日本の暑さになれていない
外国人に対する、熱中症の予防や対処法などの情報
提供、多言語で
対応できる救護体制の
整備等を進め、ソフト、ハード両面で、しっかりと対策を講じてまいります。
過去の
大会の知見に学ぶことも重要であります。私は、本年一月、英国を訪問し、オリンピックパークなどロンドン
大会のレガシーを視察するとともに、
パラリンピック発祥の地であるストークマンデビル病院を訪れました。一九四八年に同地で開催された競技
大会を起源として、今日まで積み重ねられてきた
パラリンピックの歴史に触れ、
パラリンピック成功への決意を新たにしたところです。
東京
大会では、パラアスリートがその力を最大限に発揮できるよう、最高の
環境を整えるとともに、各競技会場が観客でいっぱいになるよう、さらなる機運醸成に取り組んでまいります。アスリートは
もとより、見る人に勇気を与え、
大会にかかわる全ての人が自信を持って
人生を切り開いていくことを後押しする
大会とします。
大会を契機とした共生
社会を
実現するため、ユニバーサルデザイン二〇二〇行動
計画に基づき、ユニバーサルデザインの町づくりと心のバリアフリーの両面で、各省庁等の
取組を継続的に
改善してまいります。また、
地域主導での
取組を加速すべく、共生
社会ホストタウンを
推進し、各自治体ならではの
取組を
促進してまいります。
東京
大会を
日本全体の祭典とするため、
大会参加国・
地域と人的、
文化的、経済的交流を通じて
地域活性化や観光
振興等を行う地方自治体をホストタウンとして登録し、
大会成功に向けた機運を高めてまいります。今日現在で、三百十を登録し、
関係する自治体数は三百八十一、相手国・
地域の数は百二十一まで拡大しており、今後、更に相手国・
地域の拡大に向けて取り組むとともに、
大会の競技終了後に選手等と交流する
取組について、特に
パラリンピックに重点を置いて取り組んでまいります。こうした全国各地における
地域住民と相手国・
地域とのさまざまな交流等を通じて、
地域活性化や観光
振興等につなげてまいります。
東京
大会は、
スポーツの祭典のみならず
文化の祭典でもあります。二〇二〇年以降を見据え、次世代に誇れるレガシー
創出に資する
文化プログラムを認証するビヨンド二〇二〇プログラムを
実施しています。これまでに、伝統芸能や祭り、最
先端技術を
活用したメディア芸術、
地域性豊かな食
文化など、全国各地のさまざまな
文化を生かした事業が約九千七百件
実施されています。今後、企業、団体との
連携を深めることにより、
取組の輪をより一層広げてまいります。また、
日本の美を体現する
日本博の
実施に向けて、
関係大臣等と
連携してまいります。
さらには、東京
大会の基本コンセプトの
一つ、「全員が自己ベスト」を踏まえ、健康面など、自己ベストを目指す個々人の
取組を
支援する事業や
活動を認証するビヨンド二〇二〇マイベストプログラムを創設し、健康や
スポーツなどの
分野におけるレガシー
創出に取り組んでまいります。
東京
大会を契機として、多くの
外国人の訪日が見込まれます。出入国の体制
強化や多言語による情報発信など、
外国人旅行者の受入れ体制の
整備を図るとともに、
日本の魅力を発信するため、選手村等における国産食材の
活用と
日本食の
提供に加え、多様な食
文化への
対応、競技会場における木材利用などについて、
関係大臣等と
連携して取り組んでまいります。
東京
大会の安全、安心の
確保のために、海外における感染症の発生動向を踏まえた検疫体制の
整備や、国内で発生した感染症に関するサーベイランス機能の
強化を進めており、風疹等を含めた感染症対策について、しっかりと取り組んでまいります。
東京
大会のメーンスタジアムとなる新国立競技場については、新国立競技場の
整備計画に基づき、
世界の人々に感動を与える場となるよう、本年十一月の完成を目指して、着実に
整備プロセスを進めてまいります。
東京
大会と共通する
事項が多く含まれる
ラグビーワールドカップ二〇一九に関する
施策との
連携を
推進するとともに、東京
大会をドーピングのないクリーンでフェアプレーの
大会とするために、
文部科学大臣等と
連携してまいります。
大会開催経費については、レガシー
創出やアスリートファーストの
観点に配慮しつつ、
関係者とともに効率化に取り組んでまいります。また、透明性を
確保し、国民の皆様の理解を得るためにも、より丁寧な説明に努めてまいります。
東京
大会が、
世界の人々に感動を与えるとともに、国民の皆さんから祝福され、将来にわたり語り継がれる
大会として大成功をおさめられるよう、全力で担当
大臣の職務に取り組んでまいりますので、
委員長、
理事、
委員の皆様方の御
指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)