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2019-06-05 第198回国会 衆議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和元年六月五日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 武藤 容治君    理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君    理事 齋藤  健君 理事 野中  厚君    理事 細田 健一君 理事 亀井亜紀子君    理事 近藤 和也君 理事 稲津  久君       池田 道孝君    泉田 裕彦君       稲田 朋美君    今枝宗一郎君       上杉謙太郎君    加藤 寛治君       金子 俊平君    木原  稔君       木村 次郎君    小寺 裕雄君       斎藤 洋明君    坂本 哲志君       西田 昭二君    福山  守君       藤井比早之君    藤原  崇君       古川  康君    宮路 拓馬君       山本  拓君    石川 香織君       尾辻かな子君    大串 博志君       金子 恵美君    神谷  裕君       佐々木隆博君    長谷川嘉一君       堀越 啓仁君    関 健一郎君       西岡 秀子君    緑川 貴士君       濱村  進君    田村 貴昭君       森  夏枝君     …………………………………    農林水産大臣       吉川 貴盛君    農林水産大臣      小里 泰弘君    農林水産大臣政務官    濱村  進君    政府参考人    (内閣官房内閣参事官)  渡辺  健君    政府参考人    (復興庁統括官)     末宗 徹郎君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 飯田 圭哉君    政府参考人    (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君    政府参考人    (農林水産省大臣官房危機管理政策立案総括審議官)            岩濱 洋海君    政府参考人    (農林水産省大臣官房統計部長)          大杉 武博君    政府参考人    (農林水産省消費安全局長)           新井ゆたか君    政府参考人    (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君    政府参考人    (農林水産省経営局長)  大澤  誠君    政府参考人    (農林水産省農村振興局長)            室本 隆司君    政府参考人    (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君    政府参考人    (水産庁長官)      長谷 成人君    農林水産委員会専門員   梶原  武君     ————————————— 委員の異動 六月五日  辞任         補欠選任   金子 恵美君     尾辻かな子君   関 健一郎君     西岡 秀子君 同日  辞任         補欠選任   尾辻かな子君     金子 恵美君   西岡 秀子君     関 健一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  農林水産関係基本施策に関する件  棚田地域振興法案起草の件      ————◇—————
  2. 武藤容治

    武藤委員長 これより会議を開きます。  農林水産関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房危機管理政策立案総括審議官岩濱洋海君、大臣官房統計部長大杉武博君、消費安全局長新井ゆたか君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長室本隆司君、政策統括官天羽隆君、水産庁長官長谷成人君、内閣官房内閣参事官渡辺健君、復興庁統括官宗徹郎君及び外務省大臣官房審議官飯田圭哉君出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武藤容治

    武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 武藤容治

    武藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木村次郎君。
  5. 木村次郎

    木村(次)委員 おはようございます。  自由民主党、青森県選出、リンゴの「ふじ」発祥の地、藤崎町に生をうけた木村次郎であります。  本日は、農林水産委員会、私、三度目の質問機会をいただきました。ありがとうございます。  令和の御代となった先月、私の地元、津軽平野では、いつもながらに淡いリンゴの花が咲き誇りました。ことしは、大きな災害もなく、日本列島全体が五穀豊穣の秋を迎えられることを願うものであります。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  まず最初に、リンゴ黒星病についてであります。  青森県は、リンゴ王国であり、産出額全国の過半数を占めております。また、輸出も堅調に推移し、果樹輸出額の約三分の二を占めるリンゴは、四年連続百億円を超え、その大宗は青森県が占めると言われております。  しかし、リンゴ黒星病が、一部農薬効力低下などによりまして、平成二十八年ごろから津軽地域を中心に多発傾向となっておりまして、生産に打撃を与えかねないと懸念されているところであります。  このため、青森県では、昨年九月に青森りんご黒星病発生防止総合対策を策定し、県内各関係機関連携して、発生予察強化防除指導強化放任園管理粗放園対策など、さまざまな対策に取り組んでいるところであります。  ことしは、現時点では前年より少ないものの、各地で発生が確認されており、その要因として、菌密度が高い状況にあることが挙げられます。  そこで、何よりも新規防除薬剤開発が望まれるところであります。リンゴ黒星病効果が見込まれる農薬メーカー申請したと聞いております。現時点での登録までの見通しについてお伺いいたします。
  6. 新井ゆたか

    新井政府参考人 お答え申し上げます。  リンゴ黒星病につきましては、昭和六十年以降、青森県の防除暦に採用されましたEBI剤につきまして、薬剤耐性ができまして使用困難となったということでございます。そのため、治療効果のある新規農薬というのが切望されているという状況は承知しているところでございます。  これらの状況を受けまして、先般、農薬メーカーより、リンゴ黒星病効果の見込まれる農薬登録申請が行われました。  農薬登録当たりましては、効果安全性に関するさまざまなデータに基づき、食品安全委員会厚生労働省等における評価を経る必要がございまして、申請から登録までに必要な期間は、通常、二、三年ということでございます。  本農薬につきましては、青森県から早期登録の要望を受けておりまして、国といたしましては、当該農薬農薬取締法に基づきます優先審査対象ということで決定したところでございます。今後、できるだけ早期登録できるよう、関係府省と連携して手続を進めていくこととしているところでございます。
  7. 木村次郎

    木村(次)委員 ありがとうございます。  今回のこの申請の内容が優先審査対象となったことはありがたいことでございます。一日も早く登録に至ることを期待したいと思います。  防除対策として、春先などの落葉処理も大事なわけでございます。被害落葉収集すき込み処理は、労力不足などもあり、十分に実施できていない生産者も多いというのが実情でございます。  そこで、リンゴ黒星病にかかわる防除技術確立に向けて、国としてどのような取組をしているのか、お伺いします。
  8. 新井ゆたか

    新井政府参考人 お答え申し上げます。  農林水産省といたしましては、青森県を始めとするリンゴの主産県と連携をいたしまして、新たな防除技術確立普及に取り組んでいるところでございます。  具体的には、平成三十年度から、農林水産省委託事業におきまして、リンゴの主産県四県が連携して、黒星病防除効果の高い代替剤選別当該薬剤を活用した防除体系確立を進めております。  加えまして、緊急対応研究という分野におきましても、生産者栽培管理黒星病発生状況関係を比較分析することによりまして、薬剤散布に当たって、散布前の適切な剪定を実施すること、薬剤散布期の適正なスピードコントロール、それから、薬剤効果が高い降雨前の散布黒星病発生抑制に重要であるということが明らかになったところでございます。  現在、青森県におきましては、これらの成果を踏まえまして、防除暦技術普及のパンフレットの作成、配布を通じまして、生産現場への指導の徹底を行っているというふうに聞いているところでございます。  さらに、黒星病蔓延防止のためには、感染した落ち葉処理というのが重要であるということでございますので、現在、青森県では、農研機構連携をいたしまして、雪解けの後に効果的に落ち葉収集が可能な落葉収集機開発に取り組んでいるというふうに聞いているところでございます。  引き続き、リンゴ主産県と連携をいたしまして、効果の高い代替剤選別、あるいは、より効果的な防除体系確立普及に努めてまいりたいと考えております。
  9. 木村次郎

    木村(次)委員 ありがとうございます。  今のお話では、さまざまな取組を試みているということでございます。  リンゴ農家も例外ではなく、労働力不足の背景には、高齢化あるいは担い手不足といった課題があるわけでございます。今回のいろいろな試みを経た暁には、より作業効率の高い落葉収集機開発など、実用化されることを願っております。そしてまた、さまざまなこの手だてが複合的に、有機的に実効性が上がることを期待したいと思います。  それでは、リンゴ黒星病最後質問に入らせていただきます。  黒星病発生源としては、隣接又は近接する放任園地が問題となっております。リンゴに限らず、何よりも放任園地を生じさせない、ふやさないということが肝要であると思っております。  そこで、放任園地発生未然に防ぐ対策が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
  10. 枝元真徹

    枝元政府参考人 お答え申し上げます。  放任園地につきましては、黒星病発生拡大の原因にもなってございますので、放任園地からの本病の蔓延防止、また、防除の的確な実施のほか、放任園地がふえないようにしていくことが非常に重要でございます。  このため、放任園地発生未然に防止する対策といたしまして、担い手への園地承継集約園地管理作業省力化に向けた施策を講じているところでございます。  まず、担い手への園地承継集約につきましては、改植等支援いたします果樹農業循環形成総合対策におきまして、産地で維持すべき園地等を明確化する農地利用計画の策定を要件化することで、放任園地になる可能性の高い園地担い手への円滑な承継集約を進めてございます。その際、農地バンクを活用する場合には、機構集積協力金支援対象とすることによりまして、農地バンクとの連携も図っているところでございます。  また、園地管理作業省力化につきましては、省力樹形導入ですとか、加工原料用生産への組入れなど、省力、効率的な生産が可能な栽培体系導入することが有効でございますので、こうした取組に対しまして、今年度から優先的に支援を行う仕組みといたしました。  さらに、このような効率的な栽培体系のもとで、リモコン式自動草刈り機アシストスーツ経営栽培管理システムなどの導入によりまして、スマート農業を進めていくことも必要だというふうに考えてございます。  今後とも、これらの対策を総合的に講じまして、放任園地発生未然防止推進してまいります。
  11. 木村次郎

    木村(次)委員 ありがとうございます。  リンゴにおいては、従前から矮化栽培などに取り組んできているところでございます。御答弁の中にありました優先採択省力樹形改植、こういったものを活用しながら、そしてまた、リンゴの高密植栽培が積極的に展開され、効率的な園地の整備はもちろん、この放任園対策につながっていくことを期待したいと思います。  それでは、水稲、米について質問に入らせていただきます。  私の家内実家も、小規模ながら山間部で、リンゴ米農家でございます。私も、先週の土曜日は、家内実家、半日だけですが、田植をやってきたところでございました。  我が国米需要が毎年約十万トン減少していくと見込まれております。そういった中、国内の産地間競争は、ある意味、激化しているというふうにも認識しております。  米の需要多様化する中、私の地元青森県では、市場のニーズに対応するため、青天の霹靂やまっしぐらなど、多様な米づくり推進しております。  一方で、この特Aランク青天の霹靂は、手間暇がかかるけれども割に合わないといった理由から、他の品種へ切りかえる動きも見受けられるわけでございます。  そうした状況も踏まえつつ、こうした多様な品種普及に向けた取組について、国の所見をお伺いいたします。
  12. 小里泰弘

    小里大臣 御指摘のとおりに、米の消費量が年間約十万トン減少をする中で、産地におきましては、家庭用ブランド米のみならず、中食外食向けなど、多様な需要に応じた生産を進めることが重要であると考えております。  こうした中、青森県では、中食外食等需要に対応した収量性ブレンド特性にもすぐれているまっしぐらや、県を代表するブランド品種である、食味のよい青天の霹靂などの品種普及を進めていると承知をしております。こうした取組は、近年、米の消費形態多様化をする中で、需要に対応しようとする産地動きであると捉えております。  農水省としましては、引き続きこのような取組推進することが重要であると考えておりまして、用途ごと需要動向など、きめ細やかな情報提供を行い、産地における取組支援してまいりたいと存じます。
  13. 木村次郎

    木村(次)委員 小里大臣、丁寧な御答弁ありがとうございます。  次に、水稲収穫量調査による作況指数についてでございます。  平成三十年産青森津軽地帯作況指数は最終的に一〇〇でしたが、水稲収穫量調査結果は、水田活用の直接支払交付金を始めとするさまざまな積算あるいは指標に活用されていることもあり、生産現場では実感との乖離指摘する声もありました。  そこで、昨年十一月、東北農政局統計部及び同局青森拠点の皆さんにも御同席いただき、私の地元藤崎町で意見交換会を行いました。  こうした生産現場意見についてどのように受けとめているでしょうか。お尋ねします。
  14. 大杉武博

    大杉政府参考人 お答え申し上げます。  平成三十年産青森津軽地帯作況指数一〇〇についてでございますが、青森津軽地帯に百八十二カ所配置しております作況標本筆を、いわゆる坪刈りによります実測を行った結果でございまして、実態を把握したものになっているというふうに考えております。  ただ、調査結果は地域実測結果の平均値でございますので、農家によってはその実感との間に乖離が生じることもあり得るというふうに考えております。  こういったことから、十アール当たり収量のふるい目幅別の数値など、きめ細かな情報提供するなどして、また、生産現場における市町村、農協、共済組合試験研究機関等と緊密な情報意見交換を行い、調査結果に対する共通認識形成に努めてきたところでございます。  今後とも、きめ細かな情報提供や緊密な意見交換に努めてまいりたいというふうに考えております。
  15. 木村次郎

    木村(次)委員 ありがとうございます。  今いただいたお話のとおり、できるだけ現場実態の把握、あるいは、きめ細かな情報提供情報共有に努めていただき、そしてまた、米農家の不安が和らぐよう努めていただきますよう、要望申し上げたいと思います。  関連してになります。  青森県の場合、生産者の多くは一・九〇ミリメートルのふるい目幅を用いております。作況指数の算定に用いるふるい目幅についても実態に見合ったものにすべきではないかというふうに考えますが、これに対する国の認識についてお尋ねいたします。
  16. 大杉武博

    大杉政府参考人 お答え申し上げます。  水稲作況調査は一・七〇ミリのふるい目幅基準収穫量等調査しているところでございますが、生産現場では、販売戦略等の観点から、一・七〇ミリよりもふるい目幅が大きいふるいが使用されておりまして、青森県におきましては、委員指摘のとおり、九割以上の農家等が実際の選別に使用しているふるい目幅は一・九〇ミリでございます。  こういったことから、学識経験者や米の生産流通関係者などで構成されます水稲作柄に関する委員会での議論を経まして、平成二十七年産から、作況指数の算出に用いる十アール当たり収量と十アール当たり平年収量については、一・七〇ミリのふるい目幅ベースではなくて、農業地域別に九割以上の農家等が実際の選別に使用しているふるい目幅ベース青森県を含む東北地域では一・八五ミリのふるい目幅ベースでございますが、これで計算することに変更したところでございます。これによりまして、より実態に合った作況指数となっているというふうに考えているところでございます。  なお、農家等選別に使用するふるい目幅については、作柄米価等状況に応じて変更されるために、都道府県別には、毎年のようにふるい目幅が変動することも想定されます。また、農業地域単位で見れば、同じようなふるい目幅が用いられているという実態もございまして、こういったことを踏まえて、都府県別ではなく、農業地帯別にふるい目幅を設定しているところでございます。
  17. 木村次郎

    木村(次)委員 ありがとうございます。  いろいろな検討を重ねられているということに対しては、私自身も評価したいと思います。  この調査自体の変更は、よほどのことがなければ、統計でありますので、あり得ないんだというふうに思います。ただ、現場実態を、全国、幅広く今後とも収集に努められて、場合によっては、また必要に応じて、その公表のあり方のさらなる改善とか見直し等も視野に入れながら、今後ともそういった努力をしていただくこともお願いしたいと思います。  最後に、スマート農業についてでございます。  農家においては、高齢化担い手不足などを背景に労働力不足が深刻な問題となっており、農業ローンを始め、ロボットAIIoTなど、スマート農業技術開発が急速に進んでおります。  私自身、机上の議論にとどまらず、現場の感覚に基づいた議論をしなくてはとの思いから、ドローン、すなわち、無人航空機操縦技能無人航空機安全運航管理者ライセンス認定を受けたところでございます。  このスマート農業は、水稲等土地利用型作物について先行している、そういった感があるわけでございますが、果樹作を始め、さまざまな品目、地域に早急に対応していく必要があると考えております。  こうした視点も踏まえ、今後スマート農業推進に向けてどのように取り組んでいく考えか、大臣にお伺いしたいと思います。
  18. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 我が国農業担い手減少ですとか高齢化が進行する中、人手不足解消、さらには生産性の飛躍的な向上などの実現を図る上で、今、木村委員から御指摘をいただいております先端技術を活用したスマート農業には、私は大きな可能性があると期待をいたしております。  スマート農業推進当たりましては、水稲等土地利用型作物だけでなく、特に人手不足が深刻化している果樹や中山間地域等においても必要不可欠と考えておりまして、ドローンによる農薬散布技術や急傾斜地にも対応可能なリモコン式自動草刈り機等が実用化されているほか、果樹野菜自動収穫ロボット画像診断等により病害虫被害を最小化する技術農業者導入しやすい価格の除草ロボットなどの開発を今進めているところでもございます。  スマート農業現場実装に向けまして、ロボットAIIoT等先端技術生産現場導入をして実証するスマート農業関連実証事業の中で、果樹野菜や中山間地域等への技術導入支援をしているところでもございます。  今後、現場で実際に活用いただける研究成果を生み出して、世界トップレベルスマート農業実現を目指して、その社会実装加速化をしてまいりたいと思っております。
  19. 木村次郎

    木村(次)委員 以前、自民党本部で、農水省の方から、リンゴもぎ機の開発研究も進んでいると説明がございました。リンゴは、傷なし、つるありこそ商品価値があるわけでございます。将来はそういった高度な機能を有したリンゴもぎ機が実用されることも夢見ておきたいと思います。  そして、元来物づくり産業を得意とする我が国スマート農業、これが今後より一層進化して、労働力不足の解消生産性向上はもちろん、世界を牽引するスマート農業大国になることを御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. 武藤容治

    武藤委員長 次に、関健一郎君。
  21. 関健一郎

    ○関(健)委員 国民民主党関健一郎です。  質問機会をいただきまして、ありがとうございます。  豚コレラについて質問させていただきます。  早速、質疑に入らせていただきます。  先ほど、通告はないんですけれども、ちょっとお尋ねしたら、お答えいただけるということなので、お答えいただきたいと思いますが、豚コレラの話で、ワクチン接種すべしという視点から質問させていただきます。  ワクチンを接種した場合、非清浄国との認定を受ける懸念があるというふうにこれはよく言われるんですけれども、非清浄国というのはどういうことで、どこのどういう機関がそういう認定をするのか、また認定根拠なのか、大まかでいいので教えてください。
  22. 新井ゆたか

    新井政府参考人 お答え申し上げます。  清浄国、非清浄国と申しますのは、それぞれの病気によりまして、OIEと申します国際獣疫事務局判断をするということでございます。  豚コレラにつきましては、公的に、ワクチンを接種するといったことになりますと、非清浄国という認定OIEによってなされるということでございます。  世界的に豚コレラ発生しておりますけれども、ワクチンを接種せずに対応している国というのがヨーロッパあるいは南米等ございまして、その国につきましては、豚コレラ発生をしていても、今のところ清浄国というステータスということでございます。
  23. 関健一郎

    ○関(健)委員 つまり、ワクチンを接種していなければ、どんなに感染が拡大していても非清浄国サスペンドという状況でいられるということですよね。  要は、どんなに感染が拡大していようがしていまいが、ワクチンを打たなければ清浄国だという判断基準のよしあしをここで議論してもしようがないので、現状、国際的にはそういう見られ方をするということを理解をしました。  その上で、国際的な機関から、ワクチンを接種した瞬間に非清浄国という認定を受けるということを今伺いましたけれども、改めて、そもそも論ですが、これはよく生産者の方から聞かれるので、お伺いをします。  今、この国で感染が拡大している、確認されている豚コレラウイルスに関して、我が国が備蓄しているワクチンは、これは効き目があるのか、あるとすれば、どういう根拠で、科学的な効き目があるかどうかの検査をしていると思いますが、また、今、この国に何万頭の豚がいて、何万頭分のワクチンが備蓄されているのか、お答えください。
  24. 新井ゆたか

    新井政府参考人 お答え申し上げます。  まず、先ほどの答弁について、一つ追加をさせていただきたいと思います。  ワクチンを打つと非清浄国ということになりますが、サスペンドという状態は二年間に限ってということでございますので、二年間の間に封じ込めをしないとこれは非清浄な扱いになるということで、そこについては追加をさせていただきたいと思います。  今の御質問にお答えをさせていただきます。  現在、我が国で備蓄しているワクチンにつきましては、まず、豚コレラの場合、遺伝子の型は幾つかございますけれども、ワクチン効果に関与いたします血清の型は一つであるということがわかっております。それに加えまして、現在、岐阜県で分離されたウイルスに対する効果につきまして、農研機構の動物衛生研究部門で実際に試験を行っておりまして、ウイルスへの効果が期待できるという結果が得られているということでございます。  それから、日本におきます飼養頭数、それから豚コレラの備蓄の数でございます。  豚の飼養頭数は、畜産統計で申しますと、全国で約九百十九万頭飼われているということでございます。ちなみに、岐阜県、愛知県の豚の飼養頭数は、それぞれ、岐阜県で十万頭、愛知県で三十三万頭ということでございます。  豚コレラワクチンにつきましては、過去の世界の他地域での発生状況を踏まえまして、現在、百万頭分を備蓄しているという状況でございます。これにつきましては、防疫指針におきまして、農林水産省は必要十分なワクチンを当該都道府県に対して手配するとされておりますので、リスク管理の観点から、随時ワクチンメーカーと、いつでも製造ができるように情報共有を図っているところでございます。
  25. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  今おっしゃられたところで、結構よく聞かれるので、国内で、遺伝子は幾つか違うけれども、効き目は、今のワクチンは全部効くということでいいですよね。違う遺伝子のも出たと聞いているんですけれども大丈夫ですかみたいな感じの質問をよくいただくので、今正確に答弁いただきましたので、周知を引き続きよろしくお願いいたします。  豚コレラワクチン接種のデメリットについて伺います。簡潔に何点か挙げていただけますか。
  26. 新井ゆたか

    新井政府参考人 お答え申し上げます。  まず、家畜伝染病の指針におきまして、豚コレラワクチン感染を防止することができるが、無計画かつ無秩序なワクチンの使用は清浄性確認の際に支障を来すおそれがあるということで、基本的には、我が国の防疫措置は、早期発見と屠畜及び疑似患畜の迅速な屠殺を原則とするということで、ワクチンについては緊急の場合に打つということが原則になっているところでございます。  こういう中、あえて、飼養豚へのワクチンについてのデメリットということでお話を申し上げますと、一番目は、消費者がワクチン接種豚の購入を控えるといった風評被害がこれは懸念をされるということ、二番目といたしまして、農家におけます飼養衛生管理の向上の意欲がそがれまして、アフリカ豚コレラ等の農場への侵入リスクが高まるということ、三番目といたしまして、接種豚のトレーサビリティーや移動制限が必要になるということでございます。それから加えまして、他の非清浄国からの豚肉輸入解禁の圧力が高まる可能性があるということが懸念されるところでございます。  したがいまして、仮にワクチン接種を行う場合には、全国関係者が影響を受けるということでございますので、これらの方々の合意形成が必要と考えているところでございます。
  27. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  今御答弁いただいたデメリットについて質問をさせていただきます。  ちょっと順番をくるっと変えますけれども、非清浄国からの圧力が高まる懸念があるという御答弁でしたけれども、よくわかります。今まで、清浄国であって、非清浄国であるからあなた方のは輸入できませんよというのは、至極真っ当なあれなんですけれども、じゃ、今まで、過去にこの国が豚肉を輸入していて、今、こちらが清浄国で、非清浄国だという理由で輸入がとまっている国というのは実際あるんでしょうか。
  28. 新井ゆたか

    新井政府参考人 お答え申し上げます。  まず、我が国は、豚肉の輸入を介した家畜伝染病の侵入を防止するため、家畜伝染病予防法第三十六条に基づきまして、我が国豚コレラのみならず口蹄疫、アフリカ豚コレラ清浄性を認めていない国からの生鮮の豚肉の輸入を禁止しております。  委員お尋ねのとおり、我が国豚コレラなどの清浄性を認めていないため生鮮豚肉の対日輸出が禁止されているものの、かつて輸入があった国といたしましては、台湾と韓国が挙げられます。  台湾からの生鮮豚肉につきましては、一九九七年三月の口蹄疫の発生によりまして、同月以降の輸入を禁止しております。それから、韓国からの生鮮豚肉につきましては、二〇〇〇年三月の口蹄疫の発生で、同月以降の輸入を禁止いたしまして、二〇〇四年四月に済州島に限り再開をいたしたものの、同年十一月に、済州島からの輸入も、豚コレラ発生を理由に再度禁止をしているという状況でございます。  口蹄疫の発生を機に輸出が禁止されたものの、いずれも現在では、豚コレラ清浄性を認められていないので我が国への輸出を禁止しているという状況にございます。
  29. 関健一郎

    ○関(健)委員 口蹄疫が入り口で、豚コレラが出口ということですか。
  30. 新井ゆたか

    新井政府参考人 現在では両方でございます。ですから、いずれかの病気が発生すると、その時点で停止をするということになっているところでございます。
  31. 関健一郎

    ○関(健)委員 今の質問に関連して、では、台湾と韓国というのは非清浄国ということで、輸入を一部か、又は全部か、中止しているということですけれども、仮に日本が非清浄国になった場合、そこからの輸入の圧力というのは高まる可能性というのは高いんでしょうか。  つまり、それさえなければいっぱい輸出するのになという姿勢なのか。その需給とかそういうのを、つまり、日本を大きな市場として見ているのであれば、それはこのリスク、懸念というのは至極真っ当だなと思うんですけれども、今、非清浄国で、私たちが清浄国ということでとまっているところが、輸入がぽっとふえちゃうおそれがあるというんだったら、これはデメリット一として至極成立すると思うんですが、それについて認識を伺います。
  32. 新井ゆたか

    新井政府参考人 お答え申し上げます。  現在におきましては、それぞれの国の輸出入の状況が大分変わっておりますので、将来的な日本への豚肉の輸出力について予断を持って申し上げることは困難であるものの、過去の経験値に基づきましてお話をさせていただきますと、台湾、韓国からの生鮮の豚肉の対日輸出が可能であった直近の一九九六年におきましては、我が国の豚肉輸入量のうち、約四〇%を台湾から、五%を韓国が占めていたということでございます。  その後、韓国、台湾とも、現在の豚肉生産量自体は比較的多いということでございます。それに加えまして、距離的にも近い日本への生鮮豚肉を冷蔵のまま輸出できるという利点がございますので、こういう事情を鑑みますと、将来的に日本への生鮮豚肉の輸出が可能となった場合には、対日輸出に力を入れるという可能性は十分あるというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、仮に、韓国や台湾から将来的に生鮮豚肉の解禁要請があったという場合には、これは適正に交渉した上、リスクを判断して対応していくというふうに考えているところでございます。
  33. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございました。  先ほど御答弁された次のデメリットについてお伺いします。  農家の衛生管理基準を遵守する意欲がそがれる懸念があるというお言葉がありましたけれども、お尋ねしますけれども、豚コレラ以外に、豚さんというのはワクチンを打っていないんでしょうか。一般的にどういうのを打っているのか、教えてください。
  34. 新井ゆたか

    新井政府参考人 お答え申し上げます。  一般的に、養豚場におきまして、ワクチン接種は、地域や農場で発生しております伝染性の疾病の状況によりまして、数種類が選択されて打たれているというふうに承知しているところでございます。  伝染性の疾病につきましては、その国民経済への重要性におきましていろいろ、家畜伝染予防法によると区分がございます。これらの、農園におきまして打たれているものにつきましては、いわゆる殺処分などをする必要がないというように区分されております届出の伝染病、あるいは、届出すら必要がないという伝染病だというふうに承知をしておりまして、例えば、主な豚用のワクチンについて御説明申し上げますと、届出の伝染病であります豚丹毒、それから、届出の必要がないものとされておりますマイコプラズマ性肺炎、胸膜性肺炎、グレーサー病などが挙げられるところでございます。
  35. 関健一郎

    ○関(健)委員 つまり、いろいろあるわけですね。私も、取材をしていたときに、生産者の方と話していると、ことし、ある病気がはやって、僕、打っておいてよかったんだというような話とか、いろいろあるわけですね。生産者さんが選ぶわけですよね、どのワクチンを打つか打たないかというのは。  つまり、豚コレラワクチンを接種したから農家の皆さんの衛生管理意欲がそがれるというのは、ほかにもいろいろな衛生管理というのはしておられるわけで、豚コレラワクチンを接種したからやる気がなくなっちゃうというのは、これはちょっと感覚が違うかなと思います。  更に言うと、いわんや、アフリカ豚コレラが来たときにどうしようもないじゃないかと。これは、アフリカ豚コレラであろうがほかのウイルスであろうが、これは飼養衛生管理基準をしっかり守らなきゃいけないという生産者の姿勢というのは全く変わらないわけで、これでワクチンを打ったからほかのはやる気がなくなりますというのは、私はこれは論理展開がちょっと飛んでいるかなと思うんですが、認識を伺います。
  36. 新井ゆたか

    新井政府参考人 お答え申し上げます。  豚コレラ及びアフリカ豚コレラ、それから口蹄疫等につきましては、越境性の病原体であるということでございまして、国際的にも、それぞれ協力して対応していこうという状況にございます。  こういう中、豚コレラとアフリカ豚コレラの、いずれの疾病につきましても飼養衛生管理を徹底するということは当然のことでございますけれども、特に豚コレラとアフリカ豚コレラについて申し上げますと、豚コレラ感染は接触感染ということでございますので、飼養衛生管理による農場へのウイルスの侵入が最も重要ということでございます。これは、アフリカ豚コレラにつきましても接触感染でございますので、農場に入らないようにするということが重要ということでございます。  そういう点におきまして、豚コレラワクチンを接種いたしますと豚コレラ感染は防げるということでございますので、農家には一定の安心感が得られるということは事実でございます。しかしながら、この安心感から、飼養衛生管理は日々励行していただかないとウイルスが農場に入るということでございますので、そこにやはり気の緩みが生ずるのではないかということが懸念されるところでございます。  このような状況でございますので、先月開かれましたOIEの総会におきましても、アフリカ豚コレラの侵入を防ぐためには、農場のバイオセキュリティー、早期摘発、個体識別、啓蒙活動が一番重要であるということを挙げておりまして、国際的にも、これらによって侵入を防いでいくということが確認されたところでございます。  そのような点でも、アフリカ豚コレラを防ぐ意味からも、飼養衛生管理基準のやはり励行というのをしっかりやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  37. 関健一郎

    ○関(健)委員 ワクチン接種に抑制的であるべきという主張は全く合理的であるし、今、お話の中でもよくわかりました。その上で、私は、生産者の皆さんの声を聞いて、ワクチンを接種すべきだという主張をこの委員会にもう一個、しっかりとあるようにすべきだと思って、この質問をさせていただきました。  最後になりましたけれども、生産者の皆さん、そして、そういう、本来ならおいしく食べられるべきだった豚さんも殺処分されているわけです。これに関して、一刻も早く感染を封じ込めて、また清浄に戻るような努力を、当然私たちもですけれども、一刻も早くしていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  38. 武藤容治

    武藤委員長 次に、緑川貴士君。
  39. 緑川貴士

    ○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士です。  ことし四月にも質疑をいたしましたが、秋田県、私の地元の八郎湖の水質改善策についてお尋ねをいたします。  もともと国内で二番目に大きかった汽水湖でありました八郎潟が、一九五七年から国営による、二十年にわたる干拓事業によって、八郎湖になりました。このときから、河川の水と一緒に農業排水そして生活排水が流れ込んで、夏場になればアオコが異常発生するようになりました。この梅雨の後、これから真夏の時期を迎えますが、雨が少なく、晴れて気温が高い日、つまり日照りが続くような天候の場合にやはり発生しやすい。  水道水の異臭問題が起こることもあります。  水質の改善、そして周辺地域の環境保全に大きな課題を抱えております。干拓地に入植した時代から数えれば実に半世紀余りがたちますが、いまだに解決を見ておりません。現在の施設管理者が秋田県であるとはいっても、もともとは干拓事業がやはり国営で始まったことによる問題でございます。四月の質疑でも、吉川大臣、深刻な問題であるというふうに受けとめてくださいました。  前回の質疑では、防潮水門についてお尋ねをしたんですが、御答弁では、この水門を開放して、淡水域と汽水域がまざるような、そういう調整池の運用をした場合には、塩分濃度は基本的に高くなるということで、農業用水として利用ができなくなるというふうに政府参考人から御答弁をいただきましたけれども、農業用水を使わない八月の下旬から九月にかけての短い期間、防潮水門の一部の開放であれば、農業用水の使用時期には通年で影響を与えません。  また、調整池の周辺には揚水機場とか排水機場が縦横無尽に設置されており、調整池が海水化することによって当然腐食をして機能低下が早まる可能性とも御答弁いただいております。つまり、海水によってさびが進むというお答えでしたが、そもそも、湖に溶け込んでいる化学肥料の影響は相当に大きいと考えられます。化学肥料分はイオン化傾向が大きいですから、海水以上にさびを進めている可能性もこれは考えなければなりません。  仮に海水を導入する際には、湖の水を海水面まで一旦下げてから湖の水を外に出すわけですから、化学肥料分は海に放出されるわけです。ですから、結果として湖の水が代謝される効果の方が大きいというふうにも考えますけれども、このあたり、御認識はいかがでしょうか。
  40. 室本隆司

    ○室本政府参考人 八郎潟の水質改善の御質問でございますが、基本的には、秋田県が策定しました八郎潟に係る湖沼水質保全計画、これは今、第二期で平成三十年度までということで、ことしから新たな計画になるわけでございますが、その計画に基づきまして、環境省、八郎潟町、大潟村、そういった関係機関連携しまして、現在さまざまな取組を実施してございます。  こうした取組の一環といたしまして、これは委員も御承知かと思いますが、秋田県が、平成十九年と二十一年のそれぞれ三月ごろ、これは非かんがい期でございます、その三月に、調整池の貯留量、これは約一億トンございますが、この五割から一・五倍の水を外海に放流する、同時に、雪解け水を多量に含んだ周辺の河川水を調整池に流入させまして、湖水の入れかえや流動促進を図る試験を行いましたが、結果として期待した水質改善効果は得られず、平成二十三年度以降は試験の継続と本格運用への移行を断念したものと承知してございます。  加えまして、仮に、九月十一日以降の非かんがい期における短い期間での防潮水門の一部の開放であっても、昭和六十二年に台風による影響で海水が流入した際には、大潟村の上水道で塩化物イオン濃度が非常に上昇しまして、八郎潟町及び大潟村の水道水に多額の被害を与えたことや、海水を導入した場合、調整池内の深いくぼ地に滞留し、水質の悪化が懸念されること、あるいは、そもそも湖内の塩分コントロールが非常に困難である、そういった理由によりまして、秋田県としては、八郎湖に海水を入れることは困難であると考えてございます。  委員指摘の調整池内における化学肥料のイオン濃度、これについては、先般、四月の答弁では、確かに、農業用水利施設のさびなどによる老朽化、この原因になっているのではないかというふうに答弁申し上げましたが、先ほど御説明したいわゆる試験をやった結果、調整池の一億トンの一・五倍もの放流をしたということでもっても水質改善が行われなかったという結果を見れば、なかなか、イオン濃度がそもそも高いということをもってその効果があるとは言いづらいというふうに考えてございます。
  41. 緑川貴士

    ○緑川委員 その二〇〇七年の調査のときには、結局、強風の影響で断念したということで、全ての水を入れかえることが結局できなかったわけですね。途中で調査は断念されているわけです。  そして、塩分濃度が上昇するということについても、一部の調査では、半年たてば塩分濃度がもとの水準に下がっているというデータも、これはきょう資料には載せていませんけれども、そうした資料も私は持っております。またこれについても議論させていただきたいというふうに思っております。  また、私から申し上げるのもあれですが、海水の導入については、その地区で使用する飲料水の影響もやはり大きいということが聞かれます。これについては、隣の地区の浄水場がありますが、その地区の飲料水を賄えるほどに供給能力があるということで、飲料水の供給方法についてはそちらに切りかえれば対応ができるというお話があります。  いずれにしましても、防潮水門の開放の場合には幾つかの条件付で海水の導入ということになりますから、引き続きの検討が必要であるとは思います。  一方で、今回、水門の開放による湖の代謝とは違う、もう一つの、別の対策について私はお尋ねをしたいというふうに思います。  海水を導入したいというもう一つの大きな理由というのは、アオコを食べて富栄養化の水を浄化する、ヤマトシジミというシジミガイの一種の貝があります。海水と淡水がまざり合う汽水域でしか生まれることができないから、海水を導入したいんですね。ヤマトシジミは汽水域でしか繁殖できませんが、生まれてから一定程度まで育てば、後は淡水で成長できますから、現在の八郎湖の淡水に放流をして成長させることも可能です。ヤマトシジミが生まれる環境をいかにつくるかが極めて重要であるというふうに思っています。  ここで皆さん、資料一枚目をごらんいただきたいんですが、計画的に汽水域の管理をしながら八郎湖の淡水域も確保する、そのための海水の導入をコントロールするという方法が必要です。今回の方法は、地元自治体のほか、大学教授など有識者から御意見を聞きながら、長年、八郎湖の課題に取り組んでいる団体から御提案をいただきました。  資料にある赤枠から陸地側の湖のエリアを構造物で仕切って、それ以外の水域は塩分濃度が上がらないようにして、その仕切ったエリアをヤマトシジミが繁殖できる汽水域、汽水公園と書いていますが、そのエリアにいたします。また、防潮水門のあたりに揚水ポンプというふうに書いていますけれども、あくまで、水門をあけないで、日本海の海水をそのポンプでくみ上げて、汽水域は二ヘクタールほどのエリアが想定をされています。ヤマトシジミの繁殖ができれば、ふえたヤマトシジミを八郎湖に放流をして、アオコを食べて成長することによって、八郎湖の水はきれいになります。  自然循環型のこういう取組をぜひ実験し、検証されるべきである。これは国の責務ですから、御所見を伺いたいと思います。
  42. 長谷成人

    長谷政府参考人 委員から御紹介いただきましたアイデアにつきましては、海水等の汽水公園への導入ですとか、それから、ヤマトシジミの移送に要するコストがどの程度になるかという点、それに、アオコを摂取してもヤマトシジミの成長につながらないという調査結果が公表されている、これは宍道湖の例なんですけれども、そういう調査結果もございますので、そういう点を含めて、経済的、技術的に検討すべき部分があるというふうに考えております。  八郎湖の水質の改善につきましては、これまでも地元において種々の対応を行っていると承知しておりますけれども、農林水産省としては、地元である秋田県の意向も伺いながら取り組んでいきたいというふうに考えております。
  43. 緑川貴士

    ○緑川委員 非常に、国営事業としての半世紀以上の課題を残している中で、大変あっさりとしたお答えで、残念であります。  ヤマトシジミを移送する方法はポンプアップですから、海水を導入することでヤマトシジミの卵も流れてくる。このポンプを通じて、二キロほどのポンプを敷くということを計画しておりますが、もちろんさまざまな工作物の設置はあるかもしれませんが、そこも含めて慎重に、そして実証、検証していくべきであるというふうに私は申し上げております。  汽水公園内は不必要に海水を引く必要はないんですね。ヤマトシジミが繁殖できる水の環境というのは、海水の塩分濃度よりも十分の一の濃度で足りるんです。塩害などの影響も抑えられますから。そして、この赤枠のように一定の区域を設けて養殖して、八郎湖汽水公園の提案をぜひ、やはりこれは、国の責任として、真摯に受けとめていただきたいというふうに思います。  この汽水公園を前提としてお話をしたいんですが、海水が流入したことの経験はやはり大きいものでありました。  資料二枚目、ごらんいただきますが、一枚めくっていただいて下のグラフですけれども、八郎湖のシジミ漁獲量のグラフをごらんいただきますが、一九八七年、台風の影響がございました。そのときに、防潮水門からの海水流入で、八郎湖にはヤマトシジミが大量に発生をしました。この漁獲量を見ていただきたいんですが、一九八九年には千七百五十五トン、そしてその翌年の一九九〇年にははね上がって一万七百五十トンです。これまで漁獲量が一番だった島根県の宍道湖を抜いて、日本一のシジミ産地に躍り出たことがありました。  当時は、八郎湖の沿岸漁民の、七百人いたということですが、大半が、四百人近くがシジミ漁で生計を立てることができたんです。一九九〇年には百億円の漁獲を上げたというふうに言われています。ハタハタ漁の不振以来、秋田県の魚介類による水揚げ高が黒字に転向しました。歴史的なことでした。この年のシジミの漁獲高は、干拓地周辺の米の生産額も上回るほどです。  一九九一年には八千二百六十トンと一万トンを切って、早くも減少に転じてしまっておりますが、一個のヤマトシジミが、これは五月から九月にかけて繁殖をしますが、一個当たり十万粒以上の卵を産みます。これは薄い海水濃度で、十分の一の濃度で足りるんです。しかし、塩分が含まれていなければ、ふ化しても着底しませんから、結局これは育つことができないわけです。その後は、またこの八郎湖は淡水に戻ってしまって、繁殖は確認されなくなって、今の八郎湖がございます。  また、上のグラフを皆さんごらんいただきたいんですが、国内の漁獲量と平均単価のグラフをごらんいただきます。  シジミの、一キロ当たり、昔は、一九五〇年代は、これは本当に見えないぐらいですけれども、七円程度でした。資源量が減ったことで、シジミの価格が一九七〇年から二〇一三年までどんどんと上昇しました。一キロ当たり、今や、二〇〇〇年代に入っては四百円から六百円、そして二〇一〇年以降も六百円以上とウナギ登りに上がっているんですね。この相場で考えたときに、一キロ六百円のシジミがかつてのように仮に一万トン以上とれたら、六十億円以上の漁獲高になりますよ。  農業に影響を与えない今回の汽水公園の取組によって水質の浄化を図りながら、シジミ漁を中心とした漁業の再生も期待されるわけです。地方経済活性化のためにも、ぜひ政府の後押しをお願いをしたいと思いますが、御所見を伺います、大臣大臣大臣
  44. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 今御指摘をいただきました件につきまして、一般論として、地方にある資源を有効に活用をして地方経済の活性化につながるという委員の考え方については、私は、当然のこととして、好ましいものと考えるところでもございます。  そのような意味で、委員指摘のように、もし農業などに影響を与えないような汽水化によりヤマトシジミの再生が技術的に実現可能であり、経済的な側面からも有用であるとするならば、地方経済の活性化に資する可能性があると考えております。  本件につきましては、八郎湖の水面利用を所管する秋田県の見解が重要となると考えますけれども、秋田県は、今現在のところ、八郎湖への海水導入により水質や農業への影響が懸念されることから慎重にならざるを得ないとの認識にあるとも伺っておりますが、しかしながら、いずれにいたしましても、地元であります秋田県の意向も伺いながら取り組んでいきたいと考えているところでございます。
  45. 緑川貴士

    ○緑川委員 慎重になりながら、もう半世紀を迎えているわけです。  もう質問はこれで終わりにいたしますけれども、技術的に実現可能かどうかは、これはまさに自然の力を使った、別に先端の技術でもないんですね。これは本当に再生可能な、循環型の取組であります。  漁業と兼業する形で、漁業が盛んだったときには、つくだ煮にする加工業者も、兼業で、昔は多かったんです。干拓事業の前の最盛期には五十五軒を数えましたが、今、漁業が衰退して、今や八郎湖周辺の業者は十軒にとどまりました。四十種類近くの魚が生息をしていたと言われていますから、水質が改善することで多様な魚がふえていくことに業者は大変大きな期待をかけているところです。  最後に、この汽水公園が生けすではなくて公園というふうに命名しているのは、そこには、養殖という使い方だけではないからです。漁獲資源としてだけではなくて、八郎湖がきれいになれば、人々もどんどん自然に集まってきます。ボート競技も大会の開催場所になっておりまして、水上スポーツもますます盛んになる。そうなれば地方創生ですよ。観光資源になります。  自然による再生の力を最大限に生かした取組実現に向けて、ぜひ政府の後押し、していただきたいと思いますので、今後も議論させていただきます。  ありがとうございました。
  46. 武藤容治

    武藤委員長 次に、佐々木隆博君。
  47. 佐々木隆博

    ○佐々木(隆)委員 おはようございます。立憲民主党の佐々木でございます。  きょうは二十分しかありませんけれども、日米の貿易交渉とそれから次世代人材投資事業、この二つについて質問をさせていただきたいと思います。  最初に、日米貿易交渉についてでございますが、先日の日米首脳会談で、その冒頭、トランプ大統領は、八月には発表できるのではないかという発言がありました。共同記者会見では、安倍首相が、議論を加速させることで一致したとの発言がございました。  政府が言ってきた、昨年九月の共同声明の内容に沿って交渉を進めるというのは当たり前の話であって、この前の何か外務政務官の話はこの一辺倒だったんですが、これは当たり前の話で、この中にあって何らかの合意があったのではないかと見るのが普通の考え方であります。  貿易交渉のプロセスからいって、関税品目の貿易協定を結ぶには、これは五月二十一日に澁谷審議官がぶら下がりで言っているんですが、お互いの物品というのは九千以上のラインがあるわけで、ライン全部の譲許表をつくることになるわけで、その基礎的なデータの交換も含めて、大きな論点についての交渉は閣僚レベルになるのではないかと思いますと述べておられます。  そこで、資料を見ていただきたいんですが、お配りをさせていただいた、これは日経新聞でございますけれども、日経新聞の一段目の終わりから、「日本政府が想定しているのは「参院選後の早期」に大枠合意を目指すシナリオだ。通常、貿易協定を結ぶには首脳や閣僚級で各分野の関税水準を定める大枠合意が必要だ。「八月発表」が参院選後の大枠合意を指しているなら当初の想定から大きく外れてはいない。」  これは日経新聞の報道ですが、これが貿易交渉のスケジュール的に言えば普通のことであって、閣僚級による各分野の関税水準を定める大筋合意というのが先にあるとするならば、この、八月には発表できる、議論を加速させるという二人の首脳の表現は、この大筋合意のことをいわゆる約束したのではないか。これを発表しないものですからいわゆる密約というふうに言われているわけでありますが、別にこれは、普通のスケジュールだとするならば、つじつまの合う話であります。  ですから、そういった意味からいうと、この大筋合意について何らかの約束、括弧、密約があったのではないかというふうに思うのでありますが、答弁を求めます。
  48. 飯田圭哉

    飯田政府参考人 お答えいたします。  委員から今さまざまな御指摘をいただきましたけれども、合意の時期について、八月に発表できるのではないかというような御発言とか御指摘がございましたが、トランプ大統領はかねてから、できるだけ迅速に合意をしたいという期待感を述べられているというふうに承知をしております。  その上で、交渉は茂木大臣とライトハイザー通商代表の間で今行われているところでございまして、現段階で今後の交渉の行く末、合意の時期について予断することを差し控えたいと思っておりますけれども、日米がウイン・ウインとなるよい成果をできるだけ早期に出せるよう議論を加速させることで日米首脳会談は一致しておりまして、これを踏まえて進めてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  49. 佐々木隆博

    ○佐々木(隆)委員 今全くお答えをいただいていないわけでありますが、今、一連のこの報道によって、一番被害を受けると思われる農家の皆さん方には大変な不安が広がっているわけですね。  日米交渉というのは、別に政府のためにやっているわけじゃないんですよ。これにかかわる自動車産業とか農業とかの皆さん方に対して、これは普通のスケジュールからいったら、大筋合意があって、そしてそれから、事務的に九千を超えるラインをどうやって詰めていくかというのは、これは普通のスケジュールなわけで、そのことについて全く答えないというのは、これは農家の皆さん方に対する不安を更にあおっているというふうに言わざるを得ません。  もう一度答弁を求めます。
  50. 飯田圭哉

    飯田政府参考人 お答えいたします。  繰り返しになりますが、トランプ大統領の御発言については、やはり、できるだけ迅速に進めたいという期待感を述べられたものと理解をしておりますし、米国との具体的な交渉はこれからであり、いろいろ交渉の行く末等も含めて、それを今決めたということではございません。
  51. 佐々木隆博

    ○佐々木(隆)委員 それは全くさっきと同じです。  一つ一つこれから詰めていくのは当たり前ですよ、スケジュール的に。私は、別にこれはまとまっていただかなくても結構だし、できればまとめたくないという思いですけれども、しかし、大筋合意があって一つ一つを決めていくというスケジュールは、これは貿易交渉では当たり前のスケジュールですよね。  だったら、大筋合意というのがどこかで先に出される、きょうの新聞でも来週早々から事務レベルの会議が始まるということが報道されていましたけれども、それからすると、そういうふうに誰もが思うわけです。それに対して何も答えていないということについて、これではますます政府に対する信頼が失われていくということを申し上げさせていただかなければならないというふうに思います。  そこで、もう一つなんですが、トランプ大統領が、TPPには縛られないという発言をしました、割って入って発言したわけですが。アメリカがTPPに参加していないわけですから、これは当たり前の発言、当然の発言とも言えるわけですが、その後、これを打ち消すかのように、茂木経済再生担当相が、米国がTPPから離脱したことを話したものだというふうに説明しているんです。だとすると、アメリカはもうTPPから離脱したんだということを茂木さんも認めているということになるわけですね。  そこで、伺いたいんですが、だとすると、さきのCPTPPの協定は、もとのTPP12を想定した協定になっているわけですね。ですから、協定内容に、アメリカが離脱したということを、アメリカ大統領は離脱したと言っているし、茂木さんもそれを認めているわけですから、これは矛盾する話になるわけです。  そこで、お伺いします。  日米貿易協定とTPP協定、もし協定された場合、二つの協定が同時並行で進むことになっちゃうわけです。そうすると、今でさえTPPのアメリカを含んだとてつもない量のものがこの中に含まれているところに、日米貿易協定が更に加わって、とんでもない数字の貿易量がここで同時並行で進むということになっちゃうわけですね、二つの協定が進めば。これはどこかでちゃんと見直す作業をやっていなければおかしいんですけれども、これについてお答えをいただきます。
  52. 渡辺健

    渡辺政府参考人 米国との貿易交渉が始まっている中で、TPP11を見直すべきではないかという御趣旨の御質問をいただきました。  御承知のとおり、TPP11協定の第六条では、米国を含めたTPP12協定の効力発生が差し迫っている場合又は効力を生じる見込みがない場合には、いずれかの締約国の要請に基づき、協定の見直しを行う旨を規定しています。  米国との貿易交渉については、閣僚間で精力的な議論が行われているところでありますけれども、具体的な交渉はまさにこれからでございまして、現時点では個別の事項については何ら決まっておりません。  したがって、現在、我が国としては、第六条の見直しが可能となる、TPPを含む協定の効力の発生が差し迫っている場合又は効力を生ずる見込みがない場合のいずれにも当たらないと考えております。  また、日米共同声明の中では、日本として、農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であることということを確認をしておりまして、この日米共同声明に沿って交渉を進めていくということも確認させていただいているところであります。  いずれにしましても、さまざまな面で農林漁業者に懸念がないように、しっかり交渉していきたいと考えております。
  53. 佐々木隆博

    ○佐々木(隆)委員 全然私の質問に答えていない。  きのうも部会でいろいろ答弁いただきましたけれども、二つが同時並行して進むことになっちゃうんじゃないですか、この協定ができたときに。だったら、それについて準備をしていなきゃおかしいでしょう、見直しをするということになっているんだから。だから、その準備も同時に進めていなきゃおかしいことになるわけですよ。二つの協定が同時に進んじゃったら、とんでもない量になっちゃうわけですよ。そのことについて全く今答えておりません。  またの機会を見てやらせていただきたいと思います、どうも同じことを繰り返して時間の無駄になりますので。  これは委員長にお願いを申し上げますが、政府のこの一連の、TPPあるいはCPTPPなどを含めて、我々は甘いと思っている試算ですが、TPP12の試算でマックス二千百億円の影響、TPP11の試算は千五百億と言われています。つまり、その間がアメリカの分になるわけです。アメリカが約六百億円ということになるわけです。  これだけ大きな影響がある日米貿易交渉が今進んでいるのに、この国会として決議をするべきだということをぜひ委員長にお願いを申し上げておきたいというふうに思います。
  54. 武藤容治

    武藤委員長 理事会で協議いたします。
  55. 佐々木隆博

    ○佐々木(隆)委員 お願いします。  それでは次に、余り時間がなくなってまいりましたが、就農支援給付金、今の次世代人材投資事業についてお伺いをいたします。  就農支援給付金は、現在の次世代人材投資事業ですが、青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るということを目的に二〇一二年から実施をされております。  今年度から対象が拡大されましたが、そこは歓迎をしますけれども、制度変更に当たっては、しっかりとニーズがあったからこそこうした制度の見直しになったんだというふうに思いますが、経年実績を見ますと、ニーズも高い、利用も多い。けさ資料をもらいましたが、定着率でいいますと、準備型で九〇%、経営開始型で九六・五%という効果を上げております。  こうした中で、対象を拡大されたにもかかわらず予算が減額をされたということが、もう一枚の資料ですが、過日報道をされました。  しかも、所得制限などの課長通知が発出されて、慌ててまた修正をするというような農水省の混迷によって、自治体では、要望に応え切れない、継続が可能なのかなどの不安が広がっているわけでありますが、これに対しての答弁を求めます。
  56. 大澤誠

    大澤政府参考人 お答えいたします。  農業次世代人材投資事業につきましては、先生御指摘のとおり、今回、対象年齢の拡大等々を行ったわけでございますけれども、これにつきましては、全国市長会、あるいは農業団体、それから各県、各市町村等々からさまざまな要望を受けて行ったわけでございます。あわせて、親元就農に関する要件の緩和という要望もありました。  こういうことを踏まえまして、年齢要件は、四十五歳未満だったものを五十歳未満に緩和いたしましたし、就農後五年以内に親から子に農地の所有権を移転する義務につきましては、利用権の設定でもいいというふうにしたわけでございます。  他方、先生御指摘の、ほかの見直しにつきましても、これも、我々としては、事業を真に必要とする方々に効果的に活用されるという観点から行ったものでございます。  まず、六百万円以下という世帯の所得の要件でございますけれども、これにつきましては、同事業はこれまでも……(佐々木(隆)委員委員長、簡潔にお願いします」と呼ぶ)
  57. 武藤容治

    武藤委員長 簡潔にお願いいたします。
  58. 大澤誠

    大澤政府参考人 これについては、生活費確保が必須の者を優先するようというような従来から求めていたものを、事業実施主体の自治体等からは、むしろもっと明確な基準にしてくれということで行ったものでございますが、これはあくまで優先して採択すべきものということで、予算の範囲内で事業実施主体が判断する場合には、それ以上の所得があることでも可能にしております。  それから、予算の減額につきましては、これは先ほどと同じように、真に事業を必要とする方々に効果的に事業を使いたいという考え方のもとに、最大五年間の交付時期の中で、経営確立して早期に卒業する場合、あるいは、逆に中途で離農する場合、こういうものを厳密に見込んだほか、就農準備段階で先進農家で研修する事業がございましたけれども、これにつきましては農の雇用事業の方へ移行する、こういうことを積み重ねまして、前年に比べて減額となっているところでございます。
  59. 佐々木隆博

    ○佐々木(隆)委員 ここも本当は質問したかったんですが、要するに再評価して、卒業者といいますか、もう自立できるねと、俗に言われている手切れ金ですが、これを渡して、そこで事業を完了させるというのと、もう一つは、断念者とに再評価をしていく。もう一つは、農の雇用事業に移行する。  ということは、予算が減額されているんですから、卒業者よりも断念者の方が多くないと予算は減額にならないですよ。だから、そんなに断念者が多いという見込みでこの予算が組まれているんだとしたら、それはそれで大変なことなわけです、できるだけ定着させるというのが本来の目的なんですから。  だから、この予算の減額と全く、農の雇用の事業に移すというのはそれはそれでわかりますが、これは、断念者が多くないとこの予算は成り立たない話になりますので、本当はここを質問したいんですが、これはちゃんと整理をしてください。  最後に、大臣にお伺いいたします。  この制度というのは、もともと、EUのCAP事業、いわゆる共通農業政策というものをモデルにして、二〇一二年ですから我々の政権のときから始めた事業なわけでありますが、EUの場合でも、一九六二年に始まって、七三年、一三年と何度か見直しをされておりまして、直接支払いとそれから農村開発というEUの両面の政策でこれらの支援を行って、年々充実をさせてきております。さらには、これは日本も行っておりますが、低利融資や、社会保障の減額などという措置もとられています。  私は、今、青年就農をふやしていかなければならないという大変意義のある事業だというふうに思っておりますので、今後、この青年就農事業をどうやって充実をさせていくのかということについて、大臣にお伺いをいたします。
  60. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 ただいま佐々木委員からお話をいただきましたように、EUの制度のもとになったフランスの制度なども参考にしながら創設をしたものであるということを承知をいたしておりまして、我が国農業者減少高齢化が進む中、新規就農者を確保、育成していくことは極めて重要であると考えております。  このため、就農初期の経営負担を軽減をして新規就農者の裾野を拡大する観点から本事業が実施をされているところでもございますので、本事業の支援対象の年齢を五歳緩和する等の見直しも行ったように、今後とも、真に支援を必要とする方々にこの事業を活用していただけますように、現場状況というものを十分踏まえながら、事業内容の改善と、さらには予算額の確保にしっかりと努めてまいりたいと考えています。
  61. 佐々木隆博

    ○佐々木(隆)委員 ぜひ、しっかり予算確保をお願いを申し上げたいと思います。  多少消化不良ですが、終わらせていただきます。
  62. 武藤容治

    武藤委員長 次に、大串博志君。
  63. 大串博志

    ○大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。  早速、質疑に入らせていただきます。  まず、諫早湾干拓問題に関する点ですけれども、先般、最高裁が一つ判断を示しました。判断といいますか、アクションを起こしました。  去年の七月に福岡高裁が、いわゆる開門判決の執行力、強制力に対して、漁業権が十年で徒過していること等を前提に、開門判決を執行する、強制するということはできないという請求異議に関する判断を示しました。これに関して、原告団、弁護団、私も一緒に活動させていただいておりますけれども、上告、そして上告受理の申立てを行ったところでございます、最高裁に対して。それに対して、先般、最高裁は、上告審として受理する旨の決定と、口頭弁論の期日を七月二十六日と定めて呼出し状を出しました。  これを受けて、いろいろな報道では、去年の福岡高裁が示した、開門判決は、漁業権が切れているのでこれを強制する、執行することはできないという福岡高裁の判断が見直される可能性がある、出てきたということの報道が続いております。  確かに、私たち、私も原告団、弁護団と一緒に活動していますけれども、最高裁において、皆さんによく知っていただきたいんですけれども、こういう上告をしたときに、それが実質的な審理を行われるという可能性は実は極めて少ないんです、事例からいうと。原告団、弁護団が上告をして負けさせられる場合には、極めてシンプルに、ぽんと紙だけ渡されて、上告を受け付けることはしませんといって棄却されます。これが極めて多いケースなんです。  ところが、今回は、極めてその狭き門をくぐり抜けて、実質的な審理を行おうということで口頭弁論の期日が指定された、狭き門をくぐり抜けたということなんです。ここで、マスコミの皆さんのような、福岡高裁の判断が見直される可能性が出てきたということが言われるゆえになるわけです。  その根拠として、やはり、福岡高裁が判示した、そして、それに向けて農水省が主張した、漁業権は十年で切れてしまうから、漁業権は切れるので、それ以後の、それをもとにした主張は原告団、弁護団はできないよといったような、漁業権は一旦終わってしまうんだというような極めて問題な主張が、これはやはりおかしいんじゃないかということが認められたんじゃないか、認められたというか、そこがよすがになっていたんじゃないかと私は思います。極めて、そういう意味で、農水省がずっと言ってきたことも、私は疑問符がともる状況になってきていると思います。  七月二十六日、口頭弁論の期日、口頭弁論に応じていくことになるというふうに思います。当然、農水省にも応じてもらわなきゃならないと私は思っていますけれども、こういう裁判の状況、今後どうしていくのか。この問題は解決しなきゃいけません。  農水大臣として、どうこの最高裁の判断を受けとめていらっしゃるか、所感をお聞かせいただきたいと思います。
  64. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 最高裁から、請求異議訴訟について、本年七月二十六日に弁論を開くとの通知があったことは承知をいたしております。  裁判の帰趨につきましては、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、引き続き、関係省庁と連携しつつ、適切に対応してまいりたいと思います。
  65. 大串博志

    ○大串(博)委員 引き続き関係省庁と連携しながら適切に対応していきたいだけですか。  いいですか。今、裁判は長引きに長引き、開門判決が確定している中で、それに対して農水省は、強制力をなくしていこうという、ある意味、私に言わせると奇手に出たわけですね。しかも、漁業権は十年で切れるという、漁業法を所管する農水省が言うというのは、極めて問題の多い主張までして。  しかも、この委員会でも私は主張しました、皆さんにお尋ねしましたけれども、漁業補償において、漁業権に関して、漁業補償を国がする際には、漁業権が何年かで切れるなんということは全く考えずに、ずっと永続するものとして国は補償し続けている、そういった実態のある中で、この件に関してだけは、十年間で漁業権は切れているといったこと、そういった極めておかしな主張まで国は行った上、今回、最高裁からそれに疑問が呈せられて、口頭弁論となっているわけです。  まさに今、この問題がどっちに行くのか、国がイニシアチブをとって解決していく以外にない、こういう状況になっているわけであります。  これは、漁業者の皆さんにとっても、あるいは干拓農地で農業を行っている皆さんにとっても、不安定な地位が続いている。ちなみに、干拓農地においては、干拓地において農業をやられた方々が、なかなかうまくいかなくて撤退が続いている例もあります。  そういった極めて双方が不安定な状況になっている中で、農水省が積極的なイニシアチブを私は発揮していかなければならないときに立っていると思います。  関係省庁と連携をとりながら適切に対応するのみならず、どのようなイニシアチブをとるのか、大臣、ぜひお聞かせください。
  66. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 諫早湾の干拓開門問題につきましては、開門と開門禁止といった裁判所の相反する判断がある中、膠着した状況を打開して問題の解決を図っていくため、平成二十九年の四月に、開門によらない基金による和解を目指すとの方針を示したところでございます。  私も、大臣就任後の昨年十月、大串先生も御出席をされておりましたけれども、長崎県、佐賀県を訪問させていただきまして、関係者の皆様から直接お話をお伺いさせていただきました。また、原告弁護団の皆様とも直接お会いをさせていただきまして、改めてこの方針を説明させていただき、話合いの機会を持たせていただいたところでもございます。  引き続き、この方針のもと対応していくことが基本と考えておりまするけれども、今後とも、この諫早湾干拓事業をめぐる一連の訴訟につきましては、先ほども申し上げさせていただきましたが、関係省庁とも連携をしなければなりませんので、連携をしながら、適切に対応してまいりたいと思います。
  67. 大串博志

    ○大串(博)委員 開門によらない基金による解決策だとしかこれまでおっしゃらなかったのが、これが基本だと考えるけれども、関係省庁と連携をして適切に対応していきたいと。少々発言ラインが変わられたと、私、今お聞きしました。  といいますのは、開門によらない基金案による和解、これは成りません。これは、訴訟当事者たる原告団、弁護団、私は一体として活動しておりますけれども、はっきり申し上げますけれども、受け入れることはできません。絶対にできません。そういう成らない和解案をいかに追求されても、成らないものは成りません。はっきり申し上げておきます。  そういった中で、成らないものを追求するという、私に言わせれば無為無策ではなくて、解決できる、解決策になり得る和解案で臨んでいただかざるを得ないと思うんです。  それは、漁業者においても、そして、長崎における農業者や、あるいは、災害がなくてあってほしいという当然の思いにも、両方にも応えられる何がしかの解決策を考えていかなければならない。それは、やはり開門を一定程度考えながら、しかし、双方にメリットのある考え方を国として示していくべきときに来ていると思うんです。  大臣、もう一歩踏み込んだ答弁をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  68. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 諫早湾干拓開門問題につきましては、複数の訴訟が提起をされ、開門と開門禁止といった、裁判所の相反する判断が存在する状況となっております。  国といたしましては、このような膠着した状況を打開し、問題の解決を図っていくため、平成二十二年の開門を命ずる福岡高裁の判決が確定した後、現場での工事着手を試みるなど、国は開門義務の履行に向けて努力を重ねてまいりましたけれども、現実に開門をすることは著しく困難な状況にあること、同判決が確定をした後は、開門しない方向での司法判断が重ねられてきていることなどを総合的に考慮をした結果、諫早湾周辺の農業者地域の方々が抱える不安を払拭するとともに、漁業者の方々の思いでもあります有明海の再生を速やかに進めるために、開門しないとの方針のもとで、基金による和解を目指すことが最良の方策であると今日まで考えております。
  69. 大串博志

    ○大串(博)委員 開門が著しく困難と言われましたけれども、それは国が積極的な取組をしてこなかったからですよ。  先ほどから申しましたように、開門をしない前提の基金案は和解案にはなり得ません、受け入れられません。その中で、何がしかの解決をしていくためには、開門も含んで、しかし、長崎の農業者の皆さんや、あるいは、災害があってほしくないと言われる地域の皆さんにも応えられるような策を何がしか考え、それを、皆さんに理解を得られるような努力を、私は、農水省大臣の政治判断のもとにやっていくべきときに来ているというふうに思います。  ぜひ、無為無策に陥らないで、政治的な判断のもと、全力を、開門をする前提での、みんながなりわいを守れる解決策に向けてやっていただきたいということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。  続いて、棚田、中山間の問題に関して議論をさせていただきたいと思います。  きょう、この後、与野党でずっと議論をしてまいりました棚田に関するこの委員会としての案が議論されるやに私は聞いております。  私も、超党派の議員連盟の副会長として、この棚田の議論には参加してまいりました。また、立憲民主党・無所属フォーラムにおいては、棚田ワーキンググループの座長として活動をしてまいりました。  その中で、大臣にお尋ねしたいんですけれども、棚田、非常に重要な日本の資産、ふるさとです。これがどういう現状にあって、それに対してどのような支援を今まで国として行ってきているのか、お答えいただきたいというふうに思います。
  70. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 棚田は、大変美しい景観、さらには、伝統文化、教育、国土保全といった多面的な機能を有しております。農業生産活動を主体としつつ、地域住民の皆さんの共同活動によって守られている国民共通の財産でもあろうかと思います。  一方、高齢化の進展等に伴う担い手不足によりまして、耕作放棄される棚田もございまして、農林水産省といたしましては、棚田を含む中山間地域でしっかりと農業が営まれ、次世代に引き継ぐことが重要であると考えているところでもございます。  このため、日本型直接支払いにおいて、平成二十七年度から、棚田など傾斜度が大きい田畑を対象とした追加支援も講じるとともに、中山間地農業ルネッサンス事業によって、地域の特色を生かした多様な取組を総合的、優先的に支援をしているところでもございます。  また、近年は、農業生産活動のみならず、観光、文化、環境といった観点から棚田を活用した地域振興の取組全国各地で見られるようになってきておりまして、そうした多様な取組に対する支援も行いますように、関係省庁とも連携して更に取り組んでまいりたいと思います。
  71. 大串博志

    ○大串(博)委員 棚田に対していろいろな支援策は考えていただいているとは思います。  特に、中山間直接支払いを含め、先ほど急傾斜加算のことの言及もありましたけれども、この急傾斜加算は、私が、農林水産委員会、ここで野党側の筆頭理事を務めているときに、皆さんに視察もしていただいて、急傾斜の棚田を見ていただき、その中で、急傾斜加算をつくっていかなければならない、こういった議論の中で、私自身も汗をかかせていただいたつもりでございます。  ただ、今国が持っている支援メニューで本当に今、耕作放棄にどうしてもなってしまいがちな棚田を守り抜いていけるのかということは、私はちょっと疑問が実はあるんです。  私たち立憲民主党・無所属フォーラムの会派の中でも随分議論をしました。お手元に資料を委員長の理解を得て配らせていただいておりますけれども、棚田の法案をつくっていこうという議論があった中ですから、私たちだったらどういうふうな内容を盛り込んでいただきたいと言うかということを議論させていただいた結果、資料にありますように、条文でなかなかわかりづらいかもしれませんけれども、端的に言えば、棚田においてやはり戸別所得補償制度を復活させるべきじゃないかという提言をするのが妥当だろうという結論に私たちは至りまして、こういった意見も、超党派の棚田に関する議論の中で、議連の中で、私たちとしてお伝えさせていただいたところでございます。  残念ながら、与党の皆様には、これはなかなかのめないということで、まだ超党派の議論においてはこれはのまれていない、了解されていない、こういう状況にあります。大変残念ですね。  政府・与党ということで一体なのかということでも思いますが、大臣、今棚田に対して国が持っている支援メニュー、先ほどおっしゃいました、これも重要です、ぜひ進めていただきたいと思いますが、やはりもう一段、棚田を棚田として耕作をしてもらうことによって棚田地域地域として守られるという形をつくっていくためには、やはり棚田の戸別所得補償制度を復活させていくべきではないかというふうに思われますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  72. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 委員指摘の、棚田についての戸別所得補償を復活させるべきとの点についてでありますけれども、米につきましては、十分な国境措置がある中で交付金を交付することは、他の農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得がたい等の課題があることから、平成三十年産からの米の直接支払交付金は廃止をしたところでもございます。  一方、棚田を含む中山間地域における所得の向上を図るために、日本型直接支払いによって、農業、農村の多面的機能の発揮ですとか営農の継続等も支援をいたしております。  地域を下支えしつつ、中山間地農業ルネッサンス事業を創設をいたしまして、地域の特色を生かした多様な取組を総合的、優先的に支援もいたしているところでございまして、棚田におきましても、麦、大豆、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産支援することで、水田のフル活用も進めているところでもございます。  これらの施策を通じまして、棚田を含む中山間地域農業の振興と発展を図ってまいりたいと存じます。
  73. 大串博志

    ○大串(博)委員 私は、それだけで本当に足りるのかというのは、極めて疑問なんですよ。今の棚田の厳しい状況を踏まえると、やはり戸別所得補償を行って、一定の所得の安定を保ちながら地域を守ってもらうしかないんじゃないかなと私は思うものだから、こういう提案も私たちの会派からさせていただいたところでございます。  今回、棚田の法案が委員会提出の法案としてここにかかっていこうという現状にあるというふうに認識しております。  これに関しては、私どもの会派も、棚田の厳しい、棚田地域の厳しい現状を踏まえれば、一歩でも前進するものがあれば、それは賛同しながら、一緒に提出もしながらやっていきたいというふうに思ってはいます。  しかし、今申し上げたように、本当にそれだけでメリット措置として十分かというのは疑問です。私たちが有識者の方々に来ていただいて会派の中でも議論を聞かせていただいた際に、有識者の方々からも、今超党派でつくろうとしている法案のメリット措置は何でしょうかという声は実際あったんです。それだけ、ここに本当の意義を入れていくためには、私は戸別所得補償制度を入れていかなければならないというふうに思います。  極めて足らざる部分がこうやって今議論されている案には残っておりますので、これからさらなる、政府・与党の皆さんにも御判断をいただいて、棚田を本当に守るということであれば、もう一歩の突っ込みをぜひお願いしたいというふうに思います。  最後に、事務方の方で結構です。  中山間直接支払い、非常に重要な支援制度ですね。五期に向けて、今見直しの議論がされていると思います。できるだけ簡素で使いやすい制度にしていく方向で議論していただきたいと思いますし、五年間の縛り、これは非常に重いといった話もありますから、こういった点もぜひ柔軟にやってほしいと思いますが、あと一つ気になるのが、執行が遅いという論点があるんですね。  地域で聞いていますと、中山間直接支払いが支払われるのが二月だ、かつ、年度の繰越しはできない。大体そういう地域はどうされているかというと、いろいろな区の費用を実は前借りして、借用して中山間直接の事業をされているんですよ。それで、二月に入ってくるとそれで穴埋めされているんです。これはどうかなと私は思います。  執行を早めてもらう取組をずっとしてもらっていると思いますけれども、執行を早める取組、どこまで進んでいるか、今後どうなっていくのか、ぜひ事務方の方から答弁をお願いします。
  74. 室本隆司

    ○室本政府参考人 昨年四月に委員の方から御指摘をいただいた件でございますが、早期執行に向けた取組として、まず、道府県、市町村に対しまして、早期執行を啓発するための課長通知、これを発出しております。あと、各種会議とか出張等の機会を通じて関係機関への働きかけを行ったり、昨年度に引き続きまして、早期執行を促すパンフレット、こういったことを配布しております。  これらの取組の結果といたしまして、これは年度末の一月時点での執行率でございますが、二十七年度が六四%、二十八年度が七三%、二十九年度が七七%、昨年三十年度には一〇〇%ということで、委員の御指摘もいただいた上で、しっかり取り組んでまいった結果、一〇〇%の執行を実現しているということでございます。
  75. 大串博志

    ○大串(博)委員 現状はなかなかそこまで、私が見た感じではいっていない感じがしますので、引き続きしっかりお願いします。  終わります。
  76. 武藤容治

    武藤委員長 次に、田村貴昭君。
  77. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  最初に、吉川大臣にお尋ねします。  本委員会でも、先月の日米首脳会談については何度も取り上げられました。しかし、日米間で何が確認されたのか、農産物は、牛肉はどうなっていくのか、これは全然わかりません。国会でも明らかにされないのは、これは、私は、もう異常事態だというふうに思います。  選挙が終わってから明らかになるとはとんでもないと、生産者や国民の声が今広がっています。  一点、お伺いします。  トランプ大統領、安倍首相のこの日米会談を受けて、農林水産省が今動いていることはありますか。農産物の取扱いで日本が受ける影響があるとするならば、調査などを行っているのでしょうか。大臣にお伺いします。
  78. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 先般の日米首脳会談におきまして、両首脳は、日米貿易交渉につきましては、昨年九月の日米共同声明に沿って、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で議論が進められていることを歓迎をして、日米ウイン・ウインとなる形での早期成果の達成に向けて、日米の信頼関係に基づき、議論を更に加速させることで一致したと承知をいたしております。  日米交渉は政府一体となって取り組むことになりますけれども、農林水産大臣としての私の責務は、日米共同声明を大前提に、将来にわたって我が国農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでございまして、このため最大限の努力をしていく考えでもございます。  影響についてという御指摘もいただきましたけれども、具体的な交渉はこれからでございまして、米国の団体等の要求を前提として我が国農林水産業への影響についての試算をすることは、私は適当ではないと考えております。
  79. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 やはり何もわかりません。こうなった以上は、やはり総理から直接お話を聞かなければなりません。  与党におかれましては、野党が要求している、総理出席のもとでの予算委員会を開催してください。  それから、武藤委員長、本委員会でも、総理出席のもとでの集中審議を野党は要求しています。私からも要求したいと思います。お取り計らいをいただきたいと思います。
  80. 武藤容治

    武藤委員長 引き続いて、理事会にて協議をいたします。
  81. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 続いて質問します。  五月二十二日の委員会で、大中のまき網などの漁船団がイカ釣り船の集魚灯を使って違法に操業していることについて、私は事実を示して質問をいたしました。  水産庁長官は、違法操業しているのは知事認可の漁船だから県が取り締まるもので、国は見守るとの答弁でありました。  しかし、実際は違っていたのではありませんか。
  82. 長谷成人

    長谷政府参考人 お答えいたします。  委員からの御指摘を受けまして、再度、現場での取締りに当たっております長崎県庁に確認したところ、対馬の関係漁協から長崎県庁に対して提供があった情報の中に、国が許可をしているまき網漁船とイカ釣り漁船が朝方に錨泊、すなわち洋上でいかりどめしていたというものが含まれておりましたけれども、イカ釣り漁船の集魚灯を使った違法操業を示すものではなかったということでございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、長崎県の漁業調整規則や漁業法では、まき網漁船がイカ釣り漁船を灯船として利用し操業を行うことは違法操業になりますので、水産庁としては、長崎県とも連携して、関係漁業者に対して法令の周知徹底及び指導を行うとともに、洋上での監視なども行ってまいります。
  83. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 担当者の方にもお伝えしましたけれども、イカ釣り機を、巻き上げ機をつけていないイカ釣り船がなぜそこにいるのか、国の、大臣認可のまき網船と一緒になぜそこに停泊しているのか。そうしたら、何かやっているんだろうということになるわけですよ。しっかりと取締りを強化していただきたいと思います。  これは対馬だけの問題じゃないんですよね。  おととい、全国の沿岸漁師の方が国会に来られて、集会を開かれておられました。違法操業は、対馬海流に乗って北上する魚全てにかかわることだとお話を伺いました。資源管理に関する大問題であります。違法な操業の取締りを行っていただくように、強く要求します。  続いて、先ほど佐々木議員からもお話がありました農業次世代人材投資事業について質問をします。  新規就農者を支援するこの事業は、今年度、予算が一二%削減され、各県では対応に迫られています。  私のところでは、愛媛県からこのようなお話を伺いました。  東京の会社をやめて、そして愛媛に戻ってきた。農業を志し、ことし六月からの支給を当てにされていました。そして、研修に入られました。しかし、この六月からの交付金は受けられずに、十二月にならないとだめだと言われて、大変落胆されています。もうこの期間は無給であります、研修の中で。どうしますか。  さらに、岡山や兵庫などでも同様の事態が起こっておりますし、新聞でも報道されています。  局長、詳しい経過とか内容はもう先ほど聞きましたので、いいので、こういう事態が起こっている、答弁にもありましたように、真に事業を必要とする人が受けられていないのはもう事実なんですよね。これ、どうしますか。お答えいただきたいと思います。
  84. 大澤誠

    大澤政府参考人 お答えいたします。  減額の理由につきましては、先ほど答弁させていただきましたので、省略させていただきます。  現在の状況でございますけれども、私どもも、例えば愛媛県の方は私のところにも参りましたし、ほかの県の方もいろいろ話合いをさせていただいているところでございます。  予算額が限られている中での措置ではございますけれども、まず、実際に本当に、我々いろいろな考え方を示しているわけですけれども、全体がおりていないということで、もう当然のように、全体に予算額が、県には配分はされていますけれども、実際は事業実施主体は市町村でございますけれども、幾つかの県ではまだ市町村までは配分されていないというような事態もございまして、そこは今、こういう理由をいろいろ説明している段階でございますので、そこでおくれている県が一部あるということですが、当然のように、我々の基準を満たすような方々でも、結果的にはまだもらっていないというところもございます。  それがまた、一部の方が、不安を出しているという面もあると思いますので、我々としては、なるべく早くこの説明と県の理解を進めていただくとともに、交付対象者は速やかにまず決定していただくこと、それから、全体というよりも、まず、絶対にこの交付は行く、対象になるという方についてはもう早期に支払いを実施すること、こういうことも加えまして、自治体を指導してまいりたいというふうに考えてございます。
  85. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 いろいろ言われましたけれども、これは農水省の制度ですよね。市町村がどうのこうのと言われたけれども、農水省の制度ですよ。そして、制度としてアピールされてきたじゃないですか。準備型で就農前に二年間、経営開始型で就農後に五年間交付金が受けられるから、安心して、農業につこうと決意されている方がおられるわけですよ。その方たちのはしごを外してはいけないんじゃないですか。  指針なり、あるいは指導なり、必要なものをやはりちゃんと進めていただいて、さかのぼっても、ちゃんと交付金はその就農を決意された方に支払うことができるようにしていただきたいと、強く要求しておきたいと思います。  最後に、棚田地域振興法案に関連してお尋ねします。  先ほども議論がありました。棚田地域を含めた中山間地の疲弊の原因というのは、販売額に生産コストが見合っていない、このことについては論をまたないと思います。  政府は、際限のない農産物の輸入自由化を今進めています。日米FTA交渉と並行して、アメリカの農家団体は、日本の米の輸入追加枠を、TPPの約束だった七万トンから十五万トンに、二倍に引き上げようと今要求しています。  こうしたもとで、本当に棚田を守ることができるのか、中山間地を守り振興することができるのか。今度の新しい棚田地域振興法の議論でもあったと思いますけれども、この法律ができたとしても、この目標に向かってしっかりと対策を打っていかなければいけないと思います。  先ほど大串議員から議論の中でも提案のあった戸別所得補償制度、この提案については非常に、私たちもいい提案だというふうに思います。棚田で田んぼをつくること、これをやらないといけない。田んぼをつくらずして棚田の振興といっても、それは棚田の振興にはなりませんよね。  私の方からも、この棚田振興、棚田地域、中山間地における農家に対する所得補償制度についてはいかがお考えですか。取り入れるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  86. 天羽隆

    天羽政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘の戸別所得補償でございます。  お米につきましては、十分な国境措置がある中で交付金を交付するということにつきまして、他の農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得がたいなどの課題があるということでございまして、平成三十年産からお米の直接支払交付金は廃止をしているところでございます。  一方、棚田を含む中山間地域における所得の向上を図っていくため、日本型直接支払いによって、農業、農村の多面的機能の発揮や営農の継続を支援し、地域を下支えしつつ、中山間地農業ルネッサンス事業によりまして、地域の特色を生かした多様な取組を総合的、優先的に支援をしているところであります。  また、棚田におきましても、麦、大豆、餌米など、主食用米以外の作物の生産支援することで水田のフル活用を進めることとしているところでございまして、これらの施策を通じて、棚田を含む中山間地域農業の振興と発展を守っていく所存でございます。
  87. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 続きは、この後予定されている法案審議の中でまたさせていただくということで、質問を終わります。
  88. 武藤容治

    武藤委員長 次に、森夏枝君。
  89. 森夏枝

    ○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。  本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。  それでは、質疑に入らせていただきます。  先週の月曜日、五月の二十七日に、東日本大震災復興特別委員会の視察で、福島県南相馬市、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町へ行ってまいりました。  南相馬市の小谷他仮置場の視察をさせていただきました。この小谷他仮置場は、農地を国が借り上げて除去土壌等の仮置場としており、平成二十九年四月からは中間貯蔵施設へフレコンバッグを搬出する作業をしていると聞いております。  今後、原状回復をして農地所有者に返地をすると聞いておりますが、小谷他仮置場の現状について詳しく教えてください。
  90. 末宗徹郎

    ○末宗政府参考人 お答えいたします。  小谷他仮置場につきましては、従来農地であった土地を借り上げているものでございまして、現在、仮置きした除去土壌等の搬出作業を実施しているところでございます。  農地として使用されていた仮置場は、搬出作業が終わりましたら、営農再開に支障を来さない形で原状回復をし、土地所有者にお返しをすることになると承知をしております。
  91. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  視察をさせていただきまして、この小谷他仮置場だけでなくて、除去土壌の仮置場として借り上げた土地のうち約九割が農地だったと聞いております。福島第一原発事故から間もなく八年と三カ月がたちますが、所有者の方々は、農地を原状回復して今返されても、高齢の農家の方は、あれから八年年をとっており、この八年、農業から離れていた方もいらっしゃいます。農地を返してもらっても、営農再開をすることができるのだろうかと心配になりました。  返地後、営農再開を考えているけれども、不安に思われていたり問題を抱えている農家の方々に対して、政府として何か支援等ありましたら、教えてください。
  92. 末宗徹郎

    ○末宗政府参考人 お答えいたします。  まず、農地を利用しまして営農を再開したいという御希望を持っている方に対しましては、営農再開支援事業あるいは原子力被災十二市町村農業者支援事業といった形で補助制度がございます。  具体的には、除染終了後から営農再開までの農地の保全管理や作付の実証、あるいは営農再開に必要な農業用機械、施設の導入、こういった支援を行っているところでございます。  また一方で、リタイアなどによって営農再開を希望しないという方に対しましては、やはり地域農業振興という観点から、その農地を有効に利用するという観点で、営農意欲のある農業者あるいは法人に使っていただけるように、農地中間管理機構を通じて農地を貸し付けることが可能になっております。  これにつきましては、農地を提供した方に協力金が交付されるわけでございますので、営農を希望しない方におかれましては、この機構の活用などを通じて、地元市町村ともよく御相談いただければというふうに考えております。
  93. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  もと仮置場の農地を今後農地として営農再開を希望される方に対しても、また希望されない方に対しても、しっかりと国の支援をお願いしたいと思っております。  私自身も実際に視察現場を見て、農地として使うのはなかなか厳しいのではないかというのを実際感じました。そして、意見交換の中でも、そのようなお声も実際にあるということもお聞きしましたので、しっかりとサポートをお願いしたいと思います。  東日本大震災は大変な大災害でありました。福島県は原発事故が起きましたので、特別な支援が必要だと私は思っております。  このもと仮置場農地では、高齢化による担い手不足の問題だけでなく、風評被害の問題もあると思います。実際に、今もなお福島県には風評被害があります。  今後、除去土壌の仮置場であった農地で営農再開をして、そこでできた農作物に対して風評被害が出ることも考えられます。風評被害を出さないために対策を講じるべきと考えますが、このもと仮置場農地での農作物に対して風評被害が出た場合の対策は何か考えていますでしょうか。
  94. 岩濱洋海

    岩濱政府参考人 現在出荷されている福島県産の農林水産物の価格については、全国平均との価格差は徐々に縮まっております。その中で、まだ震災前までの価格には回復していない状況でございます。そういう意味で、委員指摘のとおり、風評の払拭は引き続き重要な課題だというふうに考えております。  農林水産省では、平成二十九年度以来、福島県農林水産業再生総合事業、本年度の予算は四十七億円でございますが、これを活用して、第三者認証GAPの取得促進、福島県農林水産物の流通実態調査や販売促進など、生産から流通、販売に至るまでの総合的な支援を行っております。  また、平成三十年度の流通実態調査では、小売業者等の納入先は福島県産品の取扱いに決して消極的ではないということがわかっております。このため、仲卸業者等の納入業者に、評価に見合った販売を行うよう指導したところであります。  今後とも、風評払拭に向けて、流通事業者、消費者に対し、福島県産の食品の安全性や魅力に関する情報を幅広く発信するなど、関係省庁と協力して、全力で取り組んでまいりたいと思います。
  95. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  さまざまな対策を講じていただいていると思いますし、今後も関係省庁としっかりと連携をして取り組んでいただきたいと思います。  仮置場だった農地においては、風評被害が出てから対応するのではなく、風評被害が出ないように対策を講じるべきと考えております。それとあわせ、現在の風評被害対策にもより力を入れて取り組んでいただき、一日も早く福島から風評被害がなくなるよう、国としての支援をお願いいたします。  以前も質問させていただきましたが、韓国などによる福島などの水産物の輸入禁止措置に対しても、今後も政府としてしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、日本産食品の安全性については、海外に対してより強くPRしていただきたいと思います。福島のものは検査をして安全なものしか出荷されていないので、逆に一番安全なんだというようなお話も聞いてまいりました。  福島第一原発事故により、ふるさとを離れ、友人や家族と離れて暮らすことになった方々、農業を続けられなくなった方々、また、今も風評被害と闘っている方々、間もなく原発事故からもう八年三カ月がたちますが、福島の方々に対する支援はまだまだ必要でございます。  そこで、福島県の被災農家に対する吉川大臣の思いを伺いたいと思います。  以前にもお話をさせていただきましたけれども、私が政治家を目指す大きなきっかけとなったのが東日本大震災です。微力ではありますけれども、東北の復興、福島の復興の力になりたいと思っております。  農林水産委員会に所属をさせていただきまして、福島の農林水産業について知れば知るほど、福島の農水産物の風評被害について深刻であると思っております。安全であるものが安全だと理解されない、これは国の支援が必要だと思います。多くの被災農家の方々が今も努力をされております。  福島の被災農家の方々に対する吉川大臣の思いを、改めてお聞かせ願います。
  96. 吉川貴盛

    吉川国務大臣 東日本大震災から丸八年たちました。引き続き、福島県産農林水産物の風評被害が継続をするとともに、牛肉など生産が回復しておりませんで、この八年間、福島県の被災農家の方々が大変御苦労されていると感じております。  特に、原子力被災十二市町村では、担い手の確保ですとか農地の利用集積といった我が国の農政上の課題が先取りされる形で顕著にあらわれていると承知をいたしております。  このような中、私は、三月から省内で、福島の農業の再生について検討を進めてきたところでありますけれども、また、福島県やJA福島中央会との間で意見交換を行ってきたところでもございます。その中で把握した地元のニーズも踏まえ、福島県の農業の未来に向けて、最先端の技術を活用し、大規模土地利用型農業や施設園芸及び養豚等の管理型農業の展開を目指すべく、あらゆる制度を活用をして、できる限りの支援もしてまいりたいと存じます。
  97. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  福島の農業の未来に向け、力強いお言葉を大臣からいただきました。ありがとうございます。特に風評払拭に対しても、今後しっかりと取り組んでいただければと思います。  最後に、福島イノベーション・コースト構想について伺います。  福島イノベーション・コースト構想では、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉を加速するための国際的な廃炉研究開発拠点整備や、再生可能エネルギーや水素エネルギーなどの関連産業の創出、福島ロボットテストフィールドの整備とともに、農林水産分野でも、先端技術開発、実用化の推進、先進的な農林水産業を全国に先駆けて実践していくと思います。  福島イノベーション・コースト構想における農林水産分野のプロジェクト等について、どのような取組をされているのか教えてください。また、あわせて進捗状況についても教えてください。
  98. 濱村進

    濱村大臣政務官 福島イノベーション・コースト構想におきましては、原子力災害で被害を受けた地域におきまして、我が国をリードする先端的な農林水産業の実現を目指しており、復興に向けた重要な取組でございます。  このため、農林水産省では、平成二十八年度から、同構想の実現に向けて、農作業用アシストスーツロボットトラクターの開発等、先端農林業ロボットの研究開発支援してきたところでございます。その結果、農作業用アシストスーツ平成三十年二月、そしてロボットトラクターは平成三十年の十二月より販売が開始される等の成果が生まれております。  さらに、本年度から新たに、ICT活用による和牛肥育管理技術開発支援を進めているところでございます。  また、水産業の復興に資するため、平成二十八年度より、福島県が行う水産海洋研究センターの整備を支援しておりまして、本施設は本年七月に開所予定となっております。今後、本施設を活用いたしまして、放射性物質に関連する研究等が行われるものと承知をしております。  今後とも、福島県や関係機関等と連携をいたしながら、福島イノベーション・コースト構想の実現に向けて積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
  99. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  農作業用アシストスーツなどは、特に高齢の農家さんたちも必要とされていると思います。今後も、この福島イノベーション・コースト構想、しっかりと国としても進めていただきたいと思います。  視察をして感じたことは、やはり若者が帰ってこない、そういう声もたくさんお聞きをしました。この福島イノベーション・コースト構想によって、福島県が最先端技術を生み出す場所となり、若い研究者が家族を連れて福島に移り住むようになれば、そのようなお話もお聞きをしました。  福島の道路や災害公営住宅を見ますと、復興が進んでいるようにも見えるところもございますが、実際には、人口が減少し、特に、福島から避難した子供たちや若者が故郷に帰ってきていない現実があるとお聞きをしました。大熊町の大川原地区の災害公営住宅が五十戸完成したというお話もお聞きして、視察もさせていただきまして、中央には公園もあって、子供の遊び場もあるとお聞きをしましたけれども、入居される予定のうち一世帯しか子供がいないというお話もお聞きをしました。  まだまだ福島の復興には時間がかかると思います。福島の農林水産業の復興、風評払拭に力を入れながら、関係省庁と連携をして、国全体で復興に向けて取り組んでいただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。      ————◇—————
  100. 武藤容治

    武藤委員長 次に、棚田地域振興法案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、古川康君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の五会派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、棚田地域振興法案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。古川康君。
  101. 古川康

    ○古川(康)委員 棚田地域振興法案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。  本案は、棚田地域における人口の減少高齢化の進展等により棚田が荒廃の危機に直面しているということに鑑み、貴重な国民的財産である棚田を保全し、棚田地域の有する多面にわたる機能の維持増進を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、基本理念についてであります。  棚田地域の振興は、棚田地域の有する多面にわたる機能が維持され、国民が将来にわたってその恵沢を享受することができるよう、棚田等の保全を図るとともに、棚田地域における定住等並びに国内及び国外の地域との交流を促進することを旨として、行わなければならないこととしております。また、棚田地域の振興に関する施策は、農業者地域住民等が地域の特性に即した棚田地域の振興のためにする自主的な努力を助長すること並びに多様な主体の連携及び協力を促進することを旨として、講ぜられなければならないこととしております。  第二に、棚田地域の振興に関する基本方針等についてであります。  内閣総理大臣は、棚田地域の振興の意義及び目標に関する事項、棚田地域の振興に関する施策に関する基本的事項等を内容とする基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めることとしております。また、都道府県は、基本方針を勘案し、あらかじめ、関係市町村の意見を聞いた上で、棚田地域の振興に関する基本的な計画を定めることができることとしております。  第三に、指定棚田地域振興活動計画等についてであります。  主務大臣は、都道府県の申請に基づき、棚田等の保全を図るため、棚田地域の振興のための措置を講ずることが適当であると認められること等の要件に該当する棚田地域を指定棚田地域として指定することとしております。指定棚田地域を管轄する市町村は、当該市町村のほか、農業者地域住民、特定非営利活動法人等から成る指定棚田地域振興協議会を組織することができ、同協議会が作成した指定棚田地域振興活動計画について、主務大臣認定を受けることができることとしております。また、国は、同協議会に対し、指定棚田地域振興活動計画の作成及びその円滑かつ確実な実施に関し必要な情報提供、助言その他の援助を行うよう努めることとしております。  第四に、支援等の措置についてであります。  国は、認定棚田地域振興活動計画に基づく指定棚田地域振興活動を支援するため必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講ずることとし、国及び地方公共団体は、棚田地域振興活動を担うべき人材を育成し、及び確保するために必要な措置を講ずるよう努めることとしております。また、国は、毎年度、当該年度に実施する指定棚田地域の振興に資する事業について、その内容を取りまとめ、公表することとしております。  第五に、棚田地域振興連絡会議についてであります。  政府は、関係行政機関の職員をもって構成する棚田地域振興連絡会議を設け、棚田地域の振興に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、令和七年三月三十一日限りでその効力を失うこととしております。  以上が、本起草案の提案の趣旨及び内容であります。  何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————  棚田地域振興法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  102. 武藤容治

    武藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本件について発言を求められておりますので、これを許します。田村貴昭君。
  103. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  棚田地域振興法案について提案者に質問します。  まず最初に、議連などの中で審議されたときに示された資料です。棚田地域振興法案の基本的考え方という資料では、「農業生産活動のみに着目・依存した棚田の維持は、極めて困難で非現実的でないか。」とのくだりがあります。  「非現実的」というのはどういうことなんでしょうか。
  104. 古川康

    ○古川(康)委員 お答えします。  棚田は山の斜面や谷間の傾斜地に設けられておりまして、平地に比べて営農の条件が不利でございます。こうしたことから、これまで中山間地域等直接支払制度などに基づきます支援が行われてまいりました。このような農業生産活動そのものに着目した支援は、棚田を維持していく上で今後も重要であると考えているところでございます。  一方で、現在、全国各地で棚田が荒廃の危機に直面しております。  その背景には、棚田を含む棚田地域における人口の減少高齢化の進展などがございます。農業生産活動に着目した支援のみでは棚田の耕作放棄を防ぐことは難しく、棚田を含む棚田地域を振興し、定住者などの関係人口をふやすことこそが棚田を守るために必要であると考えて、今回、この法案を提案したところでございます。  棚田の保全に効果的と考えられます各府省庁の既存の制度はございますが、現場になかなか知られておりません。十分に活用されていないというのが実情でございます。  こうしたことから、各省横断的な施策を講じて、棚田を含む棚田地域を振興することが必要であると考えているところでございます。
  105. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 確認しますけれども、棚田で米はつくらなくても、地域が何らかの形でにぎわえばそれでいいということではないですよね。確認したいと思います。
  106. 古川康

    ○古川(康)委員 委員指摘のとおりでございます。こうしたことを通じて、棚田の保全に資することにするということが目的でございます。
  107. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 棚田での農業自体を直接支援する財政支援制度が盛り込まれていません。どうしてでしょうか。ここは必要ではないかなと私は考えるんですけれども、その理由について教えてください。
  108. 古川康

    ○古川(康)委員 委員指摘のように、棚田での農業自体を支援する財政支援制度はもちろん重要であると考えているところでございます。  今回の法案は、より幅広く地域の振興を図ることが棚田の保全に必要であるとの認識のもとに、この法律案では、棚田での農業自体を支援する財政支援制度も含め、より幅広く棚田地域振興のために国が必要な財政上の措置を講ずることとしております。  具体的には、本法律案の十四条におきまして、国は、認定棚田地域振興活動計画に基づく指定棚田地域振興活動を支援するため必要な財政上の措置などを講ずることとしております。この措置の中には、棚田での農業自体を支援する財政支援制度も含まれますが、それにとどまらず、棚田地域振興のためのさまざまな財政措置を講ずることを考えているところでございます。
  109. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 具体的な施策となると、例えば、内閣府の地方創生推進交付金であるとか地域おこし協力隊、また、文部科学省の体験活動推進事業や、農水省であるならば強い農業担い手づくり総合支援交付金といったようなメニューが示されています。  しかし、これはやはり既存の施策ですよね。既存の施策で、やはり棚田が厳しい状況に置かれてきた。新法をつくって棚田を守っていくというのであれば、棚田農家が先祖伝来の田んぼを維持していくという意味において、新しい支援措置がやはり必要だと思います。  きょうはこの論議もありました。所得補償も含めて、今から検討していくことは私はたくさんあるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  110. 古川康

    ○古川(康)委員 まさに、本法案を成立をさせ、そして内閣として、棚田地域の振興、棚田の保全というものにしっかり取り組むという方針を明確に示し、それに基づく政策を実施していくことによって、棚田地域の振興、さらには棚田の保全、こうしたものの実現をしていかなければいけないと考えているところでございます。
  111. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 農家に対する直接支援、所得補償も含めて、これは検討していかなければならないということを申し上げて、質問を終わります。
  112. 武藤容治

    武藤委員長 これにて発言は終わりました。  お諮りいたします。  棚田地域振興法案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  113. 武藤容治

    武藤委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 武藤容治

    武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十九分散会