○緑川
委員 この元本割れ、もう九割ではきかない、九割五分以上のオーナーが元本割れを起こしているということでございます。
これをめぐっては、国を相手取ってまだ裁判が続いているところが多数ありますね。
国民が
採算性のとれないものに
投資をしたわけです。買った、損をかぶりながら、結局は落札されなかった。それで、国が買い取った
森林をどうされていくのか。採取区に指定することはないにしても、
国民が損をかぶった形の
森林をどうしていくかは、これは
国民が冷静に見ていると思いますよ。
木材価格が低迷をしています。
国有林野事業は、そういった中で、こういうはずではなかった、
採算性がとれるはずだったという中でこの事業も
制度も進められたというふうに理解をしておりますけれども、いずれにしても、赤字が膨らんでいった
国有林野事業の中で、結局、この緑のオーナー
制度というのは、
国民から資金を得て、赤字を減らす手段にはなりました、国としては。ただ、
木材を売って利益を上げようという経済性の面では、これは見通しが非常に甘かったというふうに言わざるを得ない。そのツケを払わされているのが今の
国民です。
企業でいう独立採算制のような特別会計が廃止をされて、二〇一三年度からは一般会計化しました。その
意味というのは、やはりこれは改めて
考えていただきたいんですけれども、経済性の重視というよりは、一般会計化したということは、環境保全、公益性をより重視すべき
管理経営に転換をしたということです。
経営の前に
管理が来ているのはそういうことだと思います。
その上で、今回、再び経済性重視の観点を
管理経営のこの
法案に持ち出すというのは、やはり私は、順序がちょっと違っているのかなというふうに思います。
木材生産性の高いところ、つまり、木をとりやすいところばかりに焦点を当てている。
そもそも、
国有林における
公益的機能がこれまでに十分に発揮されてこないというところは、これは奥山の野生動物への影響、また、戦後、拡大
造林、これをしてきたけれども、その結果ふえ続けている、手入れがなされない
人工林、それが、手入れがされないだけじゃなくて、長年にわたって放置をされてきた、これが土砂災害を誘発しやすいものになっている。
ですから、先週、
質疑では、天然林の
整備含め、広葉樹の、混交林化ということを私は強く申し上げたわけです。ですけれども、なかなか具体的な
取組、
改善策というのは、
牧元長官の方からお話をいただくことはできませんでした。
ここで、資料にはつけていないんですけれども、この写真、これは兵庫県の宍粟市というところの
国有林の山です。昨年の七月に、西
日本豪雨の災害で山が崩れて、ヒノキや杉ですね、
人工林が根こそぎ流出をしたという災害であります。こういったものが起きている。やはり、根を深く張らない針葉樹が災害になっているんですね。
そして、おととしの七月の北部豪雨、九州で起きました。火山灰の地質から成るもろい地盤、この上に
造林された、拡大
造林をしてきた
人工林が集中豪雨によってやはり根こそぎ流されて、川が土砂と流木で埋まる、多くの家屋が被災をする、そうした過去最悪と言われる流木災害になりました。
やはり、深く根を張らない針葉樹が植林をされてきた。当初は、そもそもの針葉樹の植林というのは
木材生産性を見込んで植林をされてきたという方向性が、今は変わってきてしまった。適切な手入れがなされないことで災害の危険性が高まっている。
皆さん、東北地方の、特に資料の四枚目の6、ちょっと資料が飛ぶんですけれども、ごらんをいただきたいと思います。山林の保全、再生に向けて取り組んでいる
日本熊森協会というところが作成した6の資料なんですが、
国有林のうち
人工林が多いのはやはり東北なんです。特に秋田県に集中をしている。天然林でなくて、特に、黄色い
部分、
人工林が非常に多く分布をしていることになります。これを見て注目しなければならないのが、山の中腹から高所部にかけて
人工林が立っていることです。
この秋田県では、二〇一三年の八月に、集中豪雨による大
規模な土砂災害が起きました。六人が亡くなっています。斜面から崩れた土砂が根っこの浅い杉
人工林を巻き込みながら土石流化して、広範の斜面に流出をしました。
こういう中で、長官がおっしゃるように、ゾーニング、急斜面、急傾斜地やまず採算が見込めない区域が
樹木採取区に指定されないということはあっても、この
人工林の
造成、そもそもの目的がやはり
木材生産だったわけですから。適さない場所への
造林、あるいは
路網などの
生産基盤が
整備されていないがために、効率的な
木材生産が困難な
人工林は多いです。いずれにしても、
生産をしないにしても、手入れがなされていないところが余りにも多い。
自然災害を未然に防ぐというのは難しいところなんですが、大きな災害を誘発しない森づくりは人の手でできます。その中で、この
活用されない
人工林ばかりの山を、まず自然の山に戻していく。天然林の
整備、あるいは広葉樹を含めた混交林化については、秋田県内でも五つの市町村で要望されています。
木材生産機能とあわせて、公益機能を一層強化を図っていかなければならない今局面であると思います。本来の自然に戻していく必要性がより強まっているというふうに思いますけれども、長官の御
認識を
伺います。