○山尾
委員 立憲民主党の
山尾志桜里です。
前回に引き続き、やはり、このデジタル社会の中で、どうやって自由、人権と、あるいは安全やビジネスというもののバランスをとっていくかという問題提起をしたいと思っています。
まず、皆様のお手元に、たくさんの資料をつくったんですけれども、まず、資料一という横長の資料を開いていただけますでしょうか。これは
質問の前提ですので、聞いていただければ結構です。
この三月七日の
日本経済新聞なんですけれども、大変よくまとまっているので、ちょっと共有したいと思います。
まず、一番右上にあるんですけれども、EUのGDPRが
世界に波紋、
個人データの保護を厳しく
企業に求めている、GDPRを契機として、
データの自由な流通圏の
構築を目指す日米欧と、国家主導の
データ管理を目指す
中国との間で覇権争いも激しくなってきた、こういう分析がなされています。
この下を見ていただくと、厳しくと、どれぐらい厳しいのということが書いてありますけれども、要するに、違反
企業には、最大で全
世界の年間売上高の四%又は二千万ユーロ、約二十五億円、高い方の制裁金、これぐらい厳しいよという話であります。
左側に山本龍彦慶応大学教授の取材の記事があります。これをちょっとかいつまんで見ていただくと、一番上の段ですね、ここで、GDPRが、どうして欧州でこんな厳しいルールをつくったんだろうと。それに対して、歴史的な経緯に根差しているんだ、ナチス・ドイツが
国民の
個人情報を集積して、ユダヤ人の選別や徴兵に活用したという負の歴史が背景としてあるのではないかというふうに山本教授が語っています。
その上で、次の
質問、安倍晋三首相が
データ流通圏を提唱していますと。これは、今
国会の所信でもかなりこの
データのことはおっしゃっていたというふうに思います。この
質問の前提というのは、私たち
日本はこの
データ流通圏の中に入っている、あるいは入ろうとしているという前提で、アメリカはどういう立ち位置にあるんでしょうかという
質問に対して、三パラから四パラですけれども、確かにこれまではアメリカも
データ規制には慎重だった、しかし、フェイスブックの
個人情報流出問題で潮目が変わって、アメリカも、欧州そして
日本と足並みがそろってきた、こういう分析であります。
一方、こうした日米欧が
データの自由な流通圏の
構築を目指す中、
中国はどうかと。これに対して、
中国というのは、監視カメラと、
個人の支払い能力などを数値化する信用スコアを、こういう一体運用ということまでしている。これは非常におもしろい分析だと思いましたが、こうやって、
データを一元的にどんどん集積して
管理していくというのは、国の統治には大変適しているけれども、民主主義との関係では緊張感があるだろうということをおっしゃっています。
最後のパラですけれども、じゃ、実際に、そうやって
データ一元化とか効率というものを重視した場合には、結局それと引きかえに
個人のプライバシーが失われるという点に留意して調整すべきだ。
あるいは、最後、これは大変興味深いんですけれども、アメリカの幾つかの州では
AIで犯罪予測を
警察がしている、いろんな要素を組み込めば組み込むほどその
データの正確性は上がっていく、でも一方で、その要素の中に人種というものを組み込んだときには、これは過去の差別を再生産していくことにもつながっていく、実際この人種という要素は取り外すという運用もしているところがある。つまり、そういう犯罪予測の正確性と、しかし、そういう差別の問題を再生産してはいけない人権問題と、そこをかなり緻密に考量して、やはりそれは外しましょうとか、そういうバランスを丁寧にやっているということが書かれています。
私も
日本社会においてこの視点というのは非常に重要だと思っていまして、安全と自由というのは別にトレードオフの関係ではないので、しかし、常にバランスを丁寧にとらなければいけない。民主主義国家の立ち位置を米欧とともにとるということが、この問題を語る上で私は大事だというふうに思っています。
その問題意識を持って
質問に入っていきたいんですけれども、資料二を開いていただくと、実際、ことしの一月二十三日に、EUの
データ規則であるGDPR、
日本も十分性が認められて仲間入りということになったんですけれども、この記事を、赤線を見ていただくと、かなりEUから事前に、捜査という理由で
個人情報が吸収されていることの問題点というのを
指摘されていて、それに対して
日本がEUに対して送った
説明文書では、外部からの監督が十分に機能しています、プライバシー意識の高まりで
企業は余り照会に応じないのです、つまり安心してください、バランスとれています、こういう
説明をしているんですね。これに対して
政府関係者の談ということで、十分性認定が更新される二年後が不安、その場しのぎの言いわけだったと批判されても仕方ない内容だったのではないか、あの文書はという問題意識が書かれている記事であります。まず、きょうはこの二点について。
後者のプライバシー意識の高まりというところで、実際、本当にこの
日本は、プライバシー意識が高まり、一方でそうやって捜査の照会には余り応じない、こういう変化の
状況に現時点であるんでしょうかというところなんですね。
実際に、去年の九月に
日本政府がEUに送った文書には、こういうふうに書いてあります。
個人の意識の高まりを背景に、
事業者において、かかる照会への回答はより慎重になされる傾向が顕著になっていると。
国家公安
委員長にお
伺いをしたいんですけれども、これに対して、ページをめくっていただくと、資料三、前回の
内閣委員会の議事録ですけれども、この根拠というのは二十年前の
警察の通達であると。この根拠というのは二つあって、そのうちの
一つは十年前のアンケートである、もう
一つは二十年前の通達である、こういう御答弁でした。
十年前のアンケートについての
大臣の答弁なんですけれども、八〇%が捜査に対する協力を得ることが難しくなったと回答しているとあるんですね。でも、皆さんのお手元の資料五を見ていただきたいんですけれども、これは、過去からの変化として困難になりましたかと聞いているのではないんですね。この時点において困難であると感じていますかと聞いているんですね。細かいことに思うかもしれないけれども細かくなくて、要するに私の問題意識というのは、EUに
日本政府が出す文書には、現状における意識の変化や
事業者の対応の変化について記載しているにもかかわらず、そもそも十年前のアンケートで、しかも、その時点の意識を聞いているものは根拠たり得ないんじゃないですか。
しかも
大臣は、故意か過失かはわかりませんけれども、捜査に対する協力を得ることが難しくなったと回答していると。違いますよね。もしかしたら役所の方が用意した紙にはそういうふうに書いてあったのかもしれないですけれども、違いますね。
まず、この点は訂正していただく必要があると思います。いかがですか。