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砂川参考人 砂川でございます。
お
手元のメモに即しながらお話をさせていただきたいと思っております。
まず、
NHKの
インターネット活用業務の
拡大という点でございますが、
法案に対する賛否というよりかは、どちらかというと
懸念点を述べさせていただきたいと思っております。
まず、常時
同時配信を行う
理由というところで、これは、長年にわたりまして
NHKの方から、こういった時代の要請とともに、それから若年層に
NHKに接してもらうというようなことで、こういった常時
同時配信をやりたいというニーズがあったことは承知しているわけなんですが、私どもの学生にこういった
NHKの常時
同時配信をやるということについてどう思うかということを聞いたところ、今回始まる常時
同時配信につきまして、
利用したいというのは皆無でございました。
と申しますのも、インター
ネット、これは各
委員御案内のように、どこでもというところが大きなメリットなわけなんですけれども、
放送というのは、過去、同報型という形で編成を組んでおります。
つまり、学生からすれば、いつでも自分の欲しい
情報を手に入れられる、そういうものでスマートフォン、インター
ネットを使っているわけですが、それに対して、今回の同時常時
配信につきましては、
NHKの総合と教育の編成そのもの、同じものが流れるということですので、例えて申し上げれば、ニュースが欲しいというときに、学生たちは当然スマートフォンでキーワード検索でアクセスするわけですが、それを七時のニュースまで、じゃ、待つのかというと、全くそれに対しては反応がないということでございます。
しからば、じゃ、どうするのかというところですが、他方、
NHKが今ウエブ上で
展開しておりますニュースのアーカイブですとか、それから
選挙ウエブ、こういうものに対しては学生の関心も高うございまして、それにアクセスしていろいろな
情報を得るということに関しては、かなり高い関心を示しております。
これを実は広げてまいりますと、
NHKの場合は非常にもう格段の
整備が進んでおって、例えば
NHKが過去
放送されている
番組のアーカイブ、これにつきましても、
NHKの職員の方に伺いますと、もう既に各職員の端末でそれぞれの、例えば役者さんの名前を検索すると、その方が出たシーンごとに検索ができるぐらいまで
整備をされている。少なくとも
民放とはもう格段の差がございます。
こういったことを考えますと、今の同時常時
配信だけではなくて、
NHKがまさに
公共放送から
公共メディアというふうな言葉に変えているように、インター
ネットならではの
サービスをできる
状況は、
NHKのポテンシャルといいましょうか、
NHKさんが
整備された中でできているわけなんですね。
じゃ、これについて、今後どこまで
NHKがこの
通信領域で
サービスを行うかという
議論は、少なくとも、承知している範囲では、余りされていないのではないか。つまり、今回、常時
同時配信の先に、よりどこでも誰でもというような
サービスについてやはり
議論をして
検討していく必要があるのではないかと思っております。
それから、二号
受信料財源
業務ということですが、いわゆる上限をどう設定するかですが、先ほど
中村参考人からの御発言のように、これに何か合理的な
理由があるわけではないのですが、まずはこの二・五%ということの、どういう経費に使われるのかというのはやはりつまびらかにして、その上で、仮に増額の必要があるのであればそれを提示するということが必要なのであろう、まずは詳細を明らかにする必要があるのではないかと思います。
それから、
テレビを持たない者につきましても、今回の常時
同時配信では、結局、
受信契約を結んでいない世帯については正直言って見にくいというか、見えない程度のものが想定されているわけですので、そういたしますと、若年層に対する接触
拡大という当初
目的とは離れていってしまうわけですね。つまり、現在
受信契約を結んでいない
視聴者で、かつこの常時
同時配信を扱う方々に対して、
NHKはどういうように今後その
受信契約件数をふやしていかれるおつもりなのか、こういう点についても具体策というのがまだ見えてきておりません。
それから、
見逃し配信と
NHKオンデマンドサービスの
関係につきましても、
NHKオンデマンドサービス、十年以上たっておりますが、なかなか財源的にも伸びを示しておらず、累積も、七十億を超える累積を持っております。
陳述メモの二ページ目に参りますが、こういった
オンデマンドサービスと今回の
見逃し配信。この今回の
見逃し配信も、まだ、じゃ、どのぐらいの期間
見逃し配信が可能なのかとか、じゃ、この
オンデマンドサービスとどういう
関係性があるのかということについては詳細は明らかになっておりませんので、
民放のTVerとの
関係とかも含めて、こういうことの目配りが必要なのではないかと思っております。
それから、
民放との
関係で申し上げますと、そもそも
民放の
テレビと
NHKの
テレビでは
放送エリアが異なっております。
具体的に申し上げますと、
民放の場合は、岡山と香川は一つのエリア、一つの
放送局でございます。それから、鳥取、島根、これも
民放の場合は一つのエリアでございます。これを地域
番組で区切った場合には、そのエリアの中だけで
放送が完結しなきゃいけないわけなので、
NHK、
民放と共同のサーバーで管理をするということが想定されます。そういたしますと、これに対する経費負担をどうするのかというような話合いが行われるわけなんですが、御案内のように、
民放テレビ百二十七社はそれぞれ別々の
会社でございますので、キー局からそれを扶助するわけにもいきません。
これは、
地デジのときの中継局建設でも、非常に多くの労力をかけて中継局建設、そういったものをやった経緯がございますので、一口に地域
情報を拡充と言うこと、そのものは結構なんですけれども、ローカル
民放とどういうような
協力関係をつくっていくのかというのは多くの論点がございます。
それから、先ほど来お話も出ております
権利処理のことでございますが、これについても、既に
NHKは各
権利者団体との交渉を始めておりますが、その中でやはり懸念されますのは、
NHKがルールを決めてしまいますと、
民放では到達できない、
実施できないようなルールが実際には決まってしまうおそれがございます。
具体的に申し上げますと、例えば、
NHKの地上波の
番組に出ている出演者の方が、プラス一〇%で
オンデマンド、インター
ネット同時配信もオーケーですということを仮に契約したといたしますと、
NHKと
民放で、同じタレントさんで、一人の方で一万円と十万円という、タレントに支払われるギャラの差というのはよくあることでございます。
そういたしますと、一〇%プラスといっても、
NHKに出られている方は一万円のプラス一〇%、千円でございますが、
民放の場合は十万円プラス一万円ということになりますので、これはとてもじゃないけれども同じパーセンテージを適用されては困るという話になりますね。
こういったことが
著作権処理においては非常に大変でございまして、余りこれを
NHK、
民放両方で話合いなどをやりますと、独占禁止法上の問題も出てまいります。非常にナイーブな問題ですので、その辺のルールメーキングをどうされるのかというところがあろうかと思っております。
あと、ふくそうのリスク管理の問題もあろうかと思っております。
二点目、
NHKのグループの適正な
経営の確保ということですが、今回の
改正案に対して反対するものではございませんが、実効的には余り上がらないだろうというふうに考えております。
と申し上げますのも、やはり政権与党と
NHKとの
関係というのは、今回の
改正案に限らずずっと長い年月
課題となってきたことでございまして、現状に照らした場合に、
参考資料として四月九日付の毎日新聞の
ネット配信の記事を添付させていただいておりますが、これは、
NHKエンタープライズの板野社長が専務
理事として
NHKに返り咲くということに対する懸念を書かれた記事でございます。
こういった
状況を考えますと、上田会長御自身も御認識されているというふうに聞いておりますが、一点目といたしましては、やはり
経営委員会の
委員が会長になるということは禁止されるべきであろうと思いますし、それから、関連団体の役員になった方は本体の役員になるべきではなかろうと。こういったことは、一般
企業においてはもう既になされている、
制度趣旨としてなされていることですので、なぜ
NHKにだけこういうことができないのかというのは非常に疑問に思っている点でございます。
最後、三、
衛星基幹放送関係ですが、これも
法案そのものに対して賛否を述べるものではございませんが、やはりこれだけスマートフォン等が普及している中で、
高画質というような、非常に多額の
整備を必要とする衛星、及びそれから、周波数があいておりますVHF帯の地上波の
高画質、こういったものに対する
計画というのがやはり策定されないといけないのではないかというふうに思っております。
陳述は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(
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