○高井
委員 私も、余りこういう個別の人事について取り上げるのはどうかという思いを持ちながら、しかし、本当に多くの
国民の声でもありますし、今の説明も、私は会長の本心なのかなと、何か原稿を読んでいる、読まされているという感じがしてならないんですけれども。
というのは、会長、御記憶ですよね、三年前からずっとこの
委員会で、当時監査
委員でした、籾井会長時代にこの
質疑でいろんなことがありました。ちょっと私も、過去のことなので、改めて議事録を読み直してみました。
幾つか紹介しますけれども、三年前、二〇一六年の二月二十四日の当
委員会で、NHKの籾井会長が、子会社の土地取引問題という、三百五十億円を使って、会長の独断でやろうとしたんじゃないか、それに対して、当時の板野専務
理事が急遽反旗を翻して、そんな話は聞いていないと言って、それが結局ボツになったという件を私は取り上げました。これは何度板野専務
理事に聞いても、聞いていないとおっしゃったのは本当ですかと、会長は、説明していたと言うんですね。結局は、何か正式には聞いていないみたいな。
あと、実はこのときも、一時間二十分あった
会議の議事録がわずか数行なんです。だから、我々は板野専務
理事に、どういうことをおっしゃったんですかと聞いたら、三回ぐらい、全て議事録のとおりでございますという答弁なんですよ。こういうやりとりがあった。
そして、同じ日に、関連団体ガバナンス調査会というのがあって、これは、籾井会長が私的に親しい人に随契で五千六百万円の調査を出したんじゃないかと奥野
委員が随分追及していました。ところが、これも問題なんですけれども、これと全く同じような内部監査が、実は、板野
理事、コンプライアンス担当
理事のときに五千万円発注されていたと。この問題も取り上げたら、三回、記憶にございませんと。
その翌々日のこの
委員会、二月二十六日に、記憶にございませんというのは間違いでしたと謝罪をされているわけです。
しかも、その後に、会計検査院の報告を怠っていたということがわかって、その翌週に、二年前に出しておかなきゃいけなかった会計検査院の報告を慌ててNHKは出しているんですね。これも私、三月十日に追及をしましたが、これも、失念をしていたという答弁ですよ。当時、
上田監査
委員に私は
質問していますから、監査
委員としてこのことどうなんですかと。
これは、三千万円以上は会計検査院に報告しなきゃいけないんですけれども、年間千三百件報告しているんですよ。二件だけですよ、報告していないのは。このガバナンス調査
委員会と板野
理事が発注した内部監査、この二件だけを会計検査院に報告していない。これはどう考えても、失念じゃなくて、意図的に隠していた。誰が見てもそうじゃないですか。そういう
議論をしているわけです。
その次、三月二十二日、このときも、「クローズアップ現代」の国谷キャスターが降板になった、これも結構問題になりましたよね。これも籾井会長に聞いたら、それは板野総局長が決めたことだというような趣旨の答弁でした。板野さんもそれを否定していません。
だけれども、国谷キャスターは著書でこう書いています。まさか番組をやめることになるとは想像もつかなかった、それから、菅長官のインタビューが思い浮かんだとか、あるいは、制作現場のプロデューサーたちは上層部に最後まで抵抗してくれたと。本の中でそこまで書いているんですね。
それと、三月二十二日、これは、法政大学の水島教授の分析で、最近の、二〇一六年当時、板野放送総局長のときですよ、NHKと民放のニュース番組を
比較すると、明らかに安倍総理が話す場面が非常に長い、それから、過去と比べても明らかに多くなっている、こういう問題なんかも私は
指摘しているわけです。
これをずっと会長は
審議の中で聞いてこられ、そして、会長就任になってから、私は何度も、人事が大事ですよ、そして公共放送の使命をやはり
理解した人を登用することこそが会長の最大の使命だと申し上げました。
やはりマスメディアというのは、権力に対して常に距離を置く、独立して、そして批判的で私はあるべきだと思います。イギリスのBBCがあれだけやはり
評価されているのは、かなり政権に対して批判的な報道をするから、公共放送としてしっかり支持されているわけです。
これはやはり、事実じゃないとしても、例えば杉田官房副長官と親しいんじゃないかとか、そういうことが疑われる時点で、誤解を招くようなことはやらない、避ける、これが何としてもNHKにとって私は必要だと。もし、本当に官邸の言いなりだなんということが
国民から思われたら、もうNHKは終わりだと私は思います。
そういう
観点から、ぜひ会長、これは、今は決まった人事をどうこう言いませんけれども、やはり今後、何度も私は申し上げていますが、改めて、公共放送の使命というものを
理解した職員をきちんとふやして、そして、そういう方をきちんと登用するということを肝に銘じていただきたいと思いますが、会長、御
所見を伺います。