○
松平委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
情報通信技術の
進展に伴う
金融取引の
多様化に対応するための
資金決済に関する
法律等の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 近年における
暗号資産及び
ICO(イニシャル・
コイン・オファリング)取引の
実態等を踏まえ、
利用者保護等の
観点から、実効性のある検査及び
監督体制を整備すること。
その際、優秀な人材の確保と職員の専門性の向上を図るとともに、必要な定員の確保及び機構の整備に努めること。
二
暗号資産、
電子記録移転権利及びそれらを支える
ブロックチェーン技術は、デジタル化・ネットワーク化が
進展する新しい時代の中において特に先進的かつ革新的な技術とその適用であることを踏まえ、本法により整備される各種規定の運用に際しては、民間部門が過度に萎縮することがないよう法解釈の周知徹底に努めるとともに、基礎となる
ブロックチェーン技術の開発及び提供による
イノベーションにも十分留意すること。
三
暗号資産、
電子記録移転権利についての政府令等を定めるに当たっては、
規制対象事業の
実態を考慮し、整合的かつ合理的に実施可能な制度を全体として構築するよう努めること。
四
暗号資産、
電子記録移転権利については、
特定の地方公共団体域内や企業内、専ら
事業者間において
利用されるものなど多様な
利用場面が想定されるほか、
暗号資産交換業者の業態や
ICOについても、広く一般人を
対象とするものから適格機関
投資家等一定の知識経験を有する者のみを
対象とするものなど、多様なものが想定される。本法の運用に当たっては、こうした多様性に配慮して、
暗号資産の
利用目的や
利用対象者の関係で過度な
規制とならないよう注視し、必要に応じ適切に対応すること。
五
技術革新による金融サービスの急速な変化に対応し、適切な金融
規制体系を構築する
観点から、必要に応じて行政当局による
監督権限の行使を可能とする法令に基づく
規制と、環境変化に応じて柔軟かつ機動的な対応を行い得る
自主規制団体が策定する
自主規制の連携を十分に図るよう努めること。
六
暗号資産、
電子記録移転権利については、クロスボーダー取引が盛んに行われている
実態に鑑み、G20各国の
規制動向を十分に把握するとともに各国と連携し、国際的に調和のとれた
規制体系となるよう適時に見直しを行うこと。
七
ICOの会計処理等は、
発行される
トークンの性質に応じて異なるものと考えられるため、国際的な議論を
勘案しつつ、会計処理等の考え方について整理のうえ、ガイドラインの策定等の必要な対策を講ずること。
八 附則第三十二条の検討を行うに当たっては、法的安定性の確保及び
利用者保護の一層の確保のために、
暗号資産、
電子記録移転権利等の移転その他の権利義務関係といった私法上の
取扱いの明確化も含めた検討を行うこと。
九 地方公共団体が
暗号資産及び
電子記録移転権利を
資金調達の手段として適切に
利用することができるようにするための方策について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。
十
暗号資産及び
電子記録移転権利の譲渡、
暗号資産を用いたデリバティブ取引等に係る所得に対する所得税等の課税の在り方について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。
十一
金融商品取引法第二条第三項に規定する
有価証券の募集及び同条第四項に規定する
有価証券の売出しに対する
規制の在り方について、
電子記録移転権利の取引の
実態を踏まえた検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。
十二 他人のために
暗号資産の管理のみを業として行う者に対する
規制の在り方について、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策という国際的要請に応えつつ、可能な限り
暗号資産交換業の
利用者の利便性の向上に資する
観点から検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。
十三 八から十二までの各項の検討及び措置を行うに際しては、
暗号資産及び
電子記録移転権利並びにそれらの基礎となる技術が我が国の産業の高度化に資する
可能性があることを踏まえ、
法規制がこれらの技術の開発及び応用を過度に制限することがないように配慮すること。
十四 金融機関の
顧客情報を第三者に提供する
業務については、
個人情報の有用性に配慮しつつ、センシティブ
情報を含む
個人情報の
保護が図られるよう万全を期すとともに、十分な検査・
監督体制の整備に努めること。
十五 金融機関の
顧客情報を第三者に提供する際の当該
顧客の同意においては、提供先である第三者の範囲、当該第三者における
利用目的及び提供される
個人情報の内容について、当該
顧客が
理解した上で同意に関する判断を行うことができ、かつ、その意思を明確に反映できる方法により行われるようガイドライン等を適切に策定するとともに、検査・
監督によりその実効性を確保し、当該
顧客の利便が損なわれることがないようにすること。
以上であります。
何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。