○緑川
委員 やはり、おっしゃるような
関税制度の手続の際にかかる負担軽減のために、実情に即した簡素化、効率化、これが行政としても、そして
税関職員の課税事務の負担軽減にもつながっていくというふうに思います。それが今後、お話を今したいんですけれども、ほかの
業務に係る執行体制の強化にも私はつながっていくというふうに思いますので、行政、申請者それぞれの負担への対応を考えていただきたいというふうに思います。
ことしは、元号の改元そして皇位の継承、また国際的に見れば、G20、そしてアフリカTICAD、
ラグビーワールドカップ、そして来年は
東京オリパラと、国際的に重要な行事が多数控えておるこの数年になりますが、テロ
対策に万全を期すというのはもちろんのことなんですが、今は、金の取引価格がいまだやはり依然として
上昇を続けている中で、
日本では
消費増税というまさにこういうタイミングであります。
チャンスと見て、これを好機と見て、
税関を通過する際にかかる
消費税を逃れるために、さまざまな方法で金を運んで、その金を店などに税込み価格で買い取らせる、そしてその
消費税分を利ざやとして稼ぐ
密輸業者に対する一層の取締りが、やはりこれは
税関職員のもう一方の使命であると思います。
金の
密輸については、
消費税率が五%から八%に引き上げられた二〇一四年を境に急増している。二〇一七年の
摘発は千三百四十七件、
押収量はおよそ六・二トンに上ります。増税前の二〇一三年と比べて、
摘発件数は百十倍、
押収量が五十倍に上っています。地域別では、金の非課税地域である香港、そして韓国、中国でおよそ八割を占め、
摘発件数、
押収量ともに高い
水準にございます。手荷物に忍ばせる
密輸から、
商業貨物の中に隠すケースが目立っている。三年
連続で一トン以上の
押収量になっているということです。
これで深刻なのは、
押収量とは比較にならない、
日本から輸出されている金の量であります。おととし、二〇一七年に
日本から輸出された金は二百十五トンであったのに対し、正規の
輸入はたったの五トンです。つまり、
日本国内での金の産出量、
消費量を考えても輸出された金のうちの大半、百六十トンほどは
密輸されたということが言われています。
消費税の脱税額としては六百四十億円にも上るわけです。
こうした事態を受けて、おととしの年末から、
密輸対策を政府として強化をして、商社側に入手ルートが不明な金は買わないようにするなどの
見直しを要請したり、また昨年は、金を
密輸したり
密輸された金を買い取ったりした際の罰金額を、これまでの上限の五百万円から、金の価格の最大五倍まで引き上げる
関税法の
改正も行われたところですが、一連の
対策を行った結果である昨年を見てみましても、
摘発件数、
押収量が高い
水準にあります。
金の輸出量は、昨年、百五十六トンだったのに対して、
輸入された金は相変わらずの七トン。同じように、
国内での
生産量そして
消費量から判断しても、やはり輸出された金のうちの百トンほどが
密輸されたということになります。おととしの百六十トンから当然これは減ったように見えるんですが、金の輸出量が年によって変動しているだけですので、
密輸されたとする割合は変わっていません。取り締まれたのはごく一部にとどまっているわけです。
一連の
対策にもかかわらず、
密輸されている
状況が改善されていないようにも感じるんですけれども、
対策の効果を
麻生大臣はどのようにお感じになっているでしょうか。