○緑川
委員 連日の
質疑、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。
引き続き、所得税改正についての議題で進めさせていただきます。私からは、きのうもお尋ねした教育資金の一括贈与に係る
贈与税の非課税
措置の見直しについて、引き続きということです。
働き手が今減少する中で、日本
経済に欠かせない労働生産性を高めていく上での技術革新への対応とあわせて、今後の成長がしぼむことがないように、
現状においても雇用の不安定化に直面している中間層の暮らしの底支え、特に、就職氷河期にぶつかった団塊ジュニア世代を含む、
経済の支え手としてのボリュームゾーンである三十代半ばから四十代、働き方の安定に向けた教育訓練の投資の
観点から
質疑をいたしました。この点、きょうは
質問ではないんですが、重要であるのでお話をさせてください。
政府としては、企業における人材投資に対して、きのう
麻生大臣から、支援をしていく方向というふうに
お答えをいただきました。
きのう調べていましたけれ
ども、昨年の
税制改正で、
法人税額を控除する賃上げ及び投資の促進に係る税制が昨年創設されています。これは、社会人が必要に応じて学校や教育訓練機関に戻って再教育を受ける、いわゆるリカレント教育も対象になっていますが、継続雇用者の給与などのトータルの支給額が、これは要件があります。前の年度よりも三%以上賃金が増加していなければならないこと、そして国内の設備投資額が一定以上の場合にようやく適用ということですが、やはり大きな企業向けの税制ということになります。
一方で、中小企業に対してもこの税制は適用されるんですが、設備投資の要件がない、そして、給与の支給額も前年から一・五%以上増加ということで、緩和されている面は確かにあります。
一方で、国内全体での賃上げの動きがなかなか弱い中で、適用されてくる企業、例えば、今地域で何とか踏ん張って経営しているけれ
ども、なかなか黒字に行きにくい、数字がついてこない、利益が十分に上がっていかない、こういう企業が、これから人口減少、働き手不足の中で、一層人材というのが宝になっていくという
観点で、ぜひこうした投資ができるように、融通のきいた税制であってほしいというふうに思います。
来年度から適用が始まるということで、まだ実績がないんですけれ
ども、今後の動きはしっかり見ていきたいというふうに思います。
この中小企業において人材投資が難しいところが、特に地方ですね、たくさんある中で、個々人による教育訓練、学び直しのいい機会の確保として、教育資金の一括贈与の非課税
措置、働き盛り世代のちょうどど真ん中の三十代半ば、四十代、ここに四十歳でくさびを打ってしまうということが、やはり、私にはどうしても違和感があってならないんですね。
着実な
経済成長に向けて、財政の健全化に向けての計画も前に
質疑をいたしました。生産年齢人口、働き世代のちょうど真ん中であるこの年代に対しての対応がますます求められる時代になっていくと思います。この非課税
措置の年齢要件の引上げの検討を強く求めてまいりたいというふうに思います。
きょうで、この
質問、次に入りたいと思いますが、この教育資金とあわせて、結婚・子育て資金の一括贈与、この非課税
措置も今回見直されています。評価できる点もあるんですけれ
ども、この課題としての二点目、私が考えたいのは、地域
経済への
影響です。子や孫が資金として受け取る金融機関の受入れ口座が変わっていくことに対しての地域
経済への
影響についてお尋ねをしたいと思います。
まず、このお配りした資料一枚目をごらんいただきたいというふうに思います。棒グラフと折れ線グラフのデータの資料、調査統計局の都道府県別預金、現金、貸出金というものなんですが、このデータをもとにつくったグラフ、全国の
銀行の預
金額のトータルが上の図ですけれ
ども、左の目盛りの単位、まずちょっと説明ですが、ゼロが六つ並んでいます。単位が億なので、これは済みません、百兆円から九百兆円の目盛りが振られています。オレンジの折れ線は前年比でありまして、二〇一三年の三月からの前年がそれぞれ書いてあります。前年比で、右の目盛りが対応しています。
二〇一三年からの五
年間で見ますと、この間の
日銀の大規模な
金融緩和な
どもありました。各都道府県のそもそもの預
金額、総じて増加傾向にあるんですが、中でも特に、下のグラフ、東京都の預
金額を見ていただくと、二〇一三年三月、これは二百兆に迫っているんですが、百八十六兆円なんですね。昨年三月は幾らかというと、二百七十兆円です。これは八十四兆円以上ふえています。
戻っていただいて、上の全国の
銀行預
金額の合計、この五
年間で実は百四十五兆円ふえていますが、その増加分、百四十五兆円のうちの八十四兆円が東京ということになります。これは、全国の増加した分の実に五八%を東京都の増加分が占めていることになります。
この五
年間の東京の預
金額の伸び率は、
計算すると一・六九倍です。本当にはね上がっているんですね、東京では。一方で、地域でも、今申し上げました、
金融緩和の
影響で預
金額は伸びているんですが、例えば東北、岩手県を見ると、ここ五年前に比べれば、預
金額の伸びは一・〇四倍なんです。都心以外の多くの地域では、増加傾向にはありながらも、その伸びは伸び悩んでいるという
状況です。
金融緩和で伸びた分が、結局、圧倒的に東京に流れ込んでいることがわかります。
さらに、これは今後ですけれ
ども、仮に、亡くなった人が地方
銀行を利用していた場合、これはこれまでのデータですが、そのまま同じ金融機関に預けていた人は、地方ですね、四割ほどにとどまっているという
試算があります。残りの六割はどこへ行くかというと、やはりその地銀の口座から預金が移動して、他県に移っているケースが大半です。
こうした傾向を考えれば、親元を離れて都市部に暮らす子や孫の資金の受取の利便性も考えれば、住んでいる都市部の金融機関で受入れ口座を開設するのは、やはり目に見えています。
眠れる金融
資産の若い世代の資金活用、とても重要な視点です。今回、見直しで、三十歳から四十歳に上限が上がった、これも一歩前進だと思うんですが、データから見ると、教育資金の非課税
措置を講じた場合、教育資金の受入れ口座を開設した場合には、その開設先がやはり都市部中心になって、預金の大半が都心集中化を招いてしまうのではないかという懸念があるのですが、
麻生大臣、いかがでしょうか。