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福田(昭)
委員 私は、この判決は事実誤認をしていると思います。
日本の裁判について、社会部の記者として一生懸命取り組んできた人の話でありますけれども、日本の裁判というのはボクシングと一緒だと。つまり、出された証拠に基づいてだけ裁判所は判断する。だから、どっちかというと有効打を打った方が実は勝ってしまう。
また、ある弁護士がこんなことも言っています。日本の裁判というのは、
行政と戦うときに、
行政の弁護士やあるいは検事と戦っているんじゃない、裁判長と戦っている、裁判長と
行政側の弁護士と検事がぐるになって、その
人たちと戦っている、こういう印象だと。だから、日本の裁判というのは検察が起訴したらば九九%有罪になるじゃないですか。
ですから、日本の裁判のあり方もちゃんと変えないとだめ。裁判官も、現地に学べという言葉があるんだから、みずから現地に行って
調査をして、何が事実なのか、真実なのか、それをしっかり判断をして判決を下さないとだめだと思います。
それで、今回も、平成二十八年十二月二十日の最高裁第二小法廷の地方自治法に基づく判決文を読んでみますと、明らかに事実誤認をしております。
まず一つは、沖縄
防衛局長には
行政不服審査法に基づく審査請求人としての資格がないということを判断しておりません。それから、前の知事が許可した二点、埋立法に基づく要件の第一号要件に合致しているというふうに言っておりますけれども、その理由が、判決文を読んでみるとびっくりします。
普天間飛行場の施設面積が約四・八平方キロメートルであるのに対し本件施設等の面積が約二平方キロメートルであり、そのうち埋立面積が約一・六平方キロメートルであることなどから埋立ての規模が適正かつ合理的である、沿岸域を埋め立てて滑走路延長線上を海域とすることにより航空機が
住宅地の上空を飛行することが回避されることや、本件新施設等が既に米軍に提供されているキャンプ・シュワブ等の一部を利用して設置されることなどから、埋立ての位置が適正かつ合理的である、こう判断したというんです。
この後でも
質問することになっていますが、これは残念ながら、辺野古の埋立ての飛行場が仮に完成したとしても、即普天間飛行場は返ってこないんですよ。返還条件の一つに、辺野古につくる飛行場には約一・三キロメートルぐらいの滑走路しかできない、これでは緊急時に耐えられないということで、今の普天間飛行場にあるような、二・八キロメートルのような長い滑走路がなければ緊急時に対応できないから、返還の条件として、そうした長い滑走路が確保できるような民間の飛行場を提供しろと書いてある。
提供する
場所は、まだ、二十数年たって、決まっていないじゃないですか。だったら、辺野古の飛行場が完成を仮にしても、普天間はすぐ返ってこないんですよ。
防衛省では、これはまだめどが全く立っていないわけです。ですから、この一番目の要件、これはちゃんと満たしておりません。
それから二つ目、二つ目の要件も、これまた事情が変わってきました。二号要件ですね。
環境影響
評価書の内容が検討の
対象とされた上で、護岸その他の工作物の施工、埋立てに用いる土砂等の性質への対応、埋立土砂等の採取、運搬及び搬入、埋立てによる水面の陸地化において、現段階でとり得ると考えられる工法、
環境保全
措置及び対策が講じられており、さらに災害防止にも十分配慮されているとして、第二号要件に適合すると前の知事は判断したわけでありますが、しかし、その後、軟弱地盤等が発見されたんじゃないですか。
ジュゴンがどこへ行っちゃったかわからないとか、サンゴ礁を全部移植してないんじゃないかとか、さらには、決定的なものとして、軟弱地盤が見つかっちゃって、七万七千本もくいを打たなくちゃうまくいくかどうかわからない、これとてまだはっきりしていないわけですよ。まさに事情が変わっちゃったから、二号要件だっておかしい。
ですから、この裁判所の判決は事実誤認も甚だしい。だから、これもやはりしっかりと、もう一度再審査請求などをして改めるべきだと思います。裁判所そのものも反省してもらわなくちゃならない、このように思います。
それでは次に、二つ目ですけれども、
行政不服審査法の法案改正要綱から見た問題点について
指摘をしたいと思います。
まず、目的等についてでありますが、資料の三をごらんいただきたいと思います。
第一点は、目的等についてであります。「1 この
法律は、
行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く
行政庁に対する不服申立てをすることができるための
制度を定めることにより、国民の
権利利益の救済を図るとともに、
行政の適正な運営を確保することを目的とすること。」国、地方
公共団体などは含まれておりません。国民です、まさに。
国民のための実は
行政不服審査法でありますが、国や地方
公共団体のためではないというふうに思いますが、いかがですか。