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水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御
指摘のとおり、二〇〇八年の海洋汚染防止
条約の
改正によりまして、来年一月より、全世界的に
船舶用
燃料油中の硫黄分濃度を三・五%以下から〇・五%以下へと規制強化する、いわゆるSOx規制が開始をされるところでございます。
このSOx規制に適合するためには、長期的にはLNG燃料船を建造するという
選択肢がございますが、当面は、排ガス洗浄装置、スクラバーと申しますけれども、この排ガス洗浄装置の搭載や規制適合油の使用による
対応が中心として想定されておりまして、特に規制適合油に関する課題の解決が極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。
規制適合油は、動粘度や流動点といった油の性状が従来の燃料と大きく異なることが想定されておりますことから、
国土交通省では、
船舶の安全運航が可能な性状の規制適合油が安定的に供給されるよう、
船舶のエンジン、燃料ポンプ、燃料タンクの加熱設備などに関する詳細な調査を
実施してきたところでございます。
その調査結果を受けまして、
船舶の安全や運航への
影響を最小化しつつ、石油業界が安定的に供給できる油の性状に関し、二月に、海運、石油双方の業界の共通認識が得られたところでございます。
また、海運
事業者が規制適合油を使用する際に必要となる対策や留意点につきまして、
国土交通省の方で手引書を取りまとめまして、その手引書を四月三日に公表するとともに、業界にも周知をしたところでございます。
今後、
国内で供給予定の規制適合油を用いた実船トライアルを早急に
実施し、海運
事業者が準備に万全を期すことができるよう、現在準備を進めているところでございます。
また、今回のSOx規制は、全世界において大気環境を改善し健康
被害を低減するためのものでございまして、社会全体に貢献するための環境規制でございますので、その
コストは社会全体で
負担していただくことが重要であると考えております。
海運
事業者におきましては、燃料費が
コストの中に占める割合が極めて大きい構造になっておりますので、仮に規制適合油の価格が現在の燃料よりも大きく上昇した場合、海運
事業者だけでその
コストを
負担することは困難であると考えております。
そのため、
国土交通省では、今回の規制対策に伴って生じる環境
コストの適切な分担のため、内
航海運事業における燃料サーチャージ等ガイドラインを策定し、四月四日に公表いたしました。
加えて、SOx規制強化とそれに伴う
影響について、荷主の
皆さんも含め広く社会の御
理解を得る必要がございますので、四月二十三日に経団連、
関係業界との共催でシンポジウムを開催するなど、情報の発信にも努めておるところでございます。
技術的な検証に加えまして、こうした荷主企業の
皆さんを始めとする国民の
皆さんへの環境規制の
理解の醸成などを通じまして、二〇二〇年からのSOx規制に円滑に
対応できるよう、しっかりと取り組んでまいります。