○世
耕国務大臣 先ほど、JICの民間取締役でおやめになった方のコメントを御紹介いただきました。確かに、ゾンビ
企業の救済ということに言及をされていたわけですけれども、これは少し、まだ来たばっかりですぐやめた方ですから、十分このJICやINCJについての御理解が足りなかったんだろうと思います。
INCJはそもそも、法律上、ゾンビ
企業の再生はできないんです。オープンイノベーションという説明がしっかりと成り立たないものには投資をしないわけであります。
JICは、さらに、まさにこの
委員会でも御審議をいただいた法改正によって、なおさら個別の
企業への投資は極めてしにくい。基本的に、政府が何か指図して、ここへ投資しろなんてことは絶対できないような枠組みになっているわけであります。子ファンドを通した運用ということになりますから、個別の、この銘柄をとか、この
企業へということはできなくなっているわけですから、その今おっしゃった、退任取締役のおっしゃったコメントは当たらないんだろうというふうに思っています。
そういう中で、じゃ、JDI、ジャパンディスプレイですけれども、これは今御
指摘のとおり、二〇一二年の設立当初と思惑が大分違ってきたという面はありました。設立当初は、
日本の高いディスプレーの技術力を結集をして、モバイル向けの液晶パネルを中心にグローバル市場で競争力を高めていこう、こういう戦略のもとで、オープンイノベーションだということで投資を行いました。
ただ、その後、やはり市場の大きな変化がありました。それは、
一つは、これは韓国勢ということになりますが、有機ELが
コストを下げて急速に参入をしてきたということ。そしてもう
一つ、中国を中心とする新興勢力が、液晶の分野でも技術力を高めてモバイル市場に参入をした。その結果、携帯向けディスプレー市場で多額の投資競争が発生をして、結果として、非常に激しい
価格競争が起こるなど競争環境が激変をした。
そういった中で、JDIの売上高や営業利益が大幅に減少して、株価も低迷する、時価総額も低迷するという形になったわけであります。
そういった中で、JDIは、二〇一六年十二月に中期経営計画を立てまして、単独で
事業展開を図るのではなくて、グローバルパートナーを確保をして、量産投資に必要な資金力を確保するという戦略を明確にして、それ以来、グローバルパートナーの確保に向けた努力を続けているというふうに認識をしています。
グローバルパートナーを確保するためには、やはり自分自身が強くなければ有利な条件でパートナーシップを結べないわけでありますから、そのためにも、まず今、JDIが取り組んでいるのは、最先端の有機ELの量産に向けた技術開発、そして、構造改革など
企業価値の
向上に向けた取組、こういったことを並行して進めておりまして、御
指摘の直近三年のINCJからの支援は、こういった取組に使われているというふうに理解をしております。
それで、結果も出ておりまして、もちろんまだ経営状況は厳しいんです。残念ながら、ある特定の一社からの受注状況によって利益が大分激しく上下するという環境にあるのは事実でありますから、足元の経営状況は大変厳しいわけでありますけれども、一方で、技術に目を向けると、モバイルやウエアラブル向け、特に、アップルウオッチを始めとするウエアラブルがこれから重要になってまいります。そういったもの向けの蒸着有機ELの量産化技術の実現の見通しが立ってまいりました。あるいは、国内、海外の工場の閉鎖、遊休資産の減損といったことも行って、財務体質を改善をしてきているところであります。
INCJは、投資価値最大化の
観点から、投資先
企業の自助努力を経済合理的な範囲で支援をしておりまして、こうした
支援策は、投資ファンドの投資活動の一環として、私は十分理解できるものだというふうに思います。
JDI、ジャパンディスプレイにおいては、今申し上げたような取組を通じて、まずは
事業を安定化をして、
企業価値を
向上させて、国際的な競争力を持って
事業展開していくことを期待をしておりますし、これまでのJDIのいろいろな資金的な支援は、そういったところに資するものであるというふうに考えております。