○井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
会派を代表して、日欧
経済連携協定、
EPA、日欧
戦略的パートナーシップ協定、
SPAについて
質問します。
まず、日米通商協議についてです。
米国第一主義を掲げるトランプ政権が一方的な制裁をちらつかせて
日本と二国間
FTAを結びたいと迫る中、安倍政権は、日米間の通商協議、FFRに応じました。
この協議について、六月の本
会議での私の
質問に、茂木大臣は、
FTA交渉でもなければその予備
交渉でもない、
双方の利益となるような様々な成果が
考えられると
答弁しました。
ところが、結果はどうか。本年九月、米国との二国間
貿易協議の開始に合意しました。米国は、
物品貿易のみならず、非
関税障壁など他の
貿易、
投資に関する事項でも二国間
交渉を認めさせる成果を手にしましたが、
日本は一体どのような成果を得たのですか。
トランプ大統領は、車にすごい
関税を掛けると言ったら
日本はすぐに
交渉を始めたいと言ってきたと経過を明らかにしています。
交渉中は自動車に対する制裁を回避できたことを成果だというのですか。それは、一方的な圧力に屈したことを成果だと誇るに等しいではありませんか。認識をお聞きします。
日米の合意
内容のうち
物品交渉だけを切り出して、TAGなる造語を掲げ、あくまで
FTAでないと言い張ることは、
国民に対するごまかしであるのみならず、
世界に通用するかが問われます。WTOの最恵国待遇の
原則では、特定の国だけの
関税を
撤廃することはできません。その唯一の例外が
自由貿易協定です。
そこで聞きますが、
FTAでないというのならば、日米
交渉で米国に
約束する
内容は、最恵国待遇の
原則に従い、全てのWTO加盟国に認めるのですか。日米
交渉の結果がWTOに整合するかどうかを予断できないというのならば、
FTAでないと言い張るのはやめるべきです。
以上、茂木大臣の責任ある
答弁を求めます。
次に、日欧
EPAについてです。
日欧
EPAは、
農産品の八二%の
関税撤廃を
約束するものであり、
日本の農業に大きな打撃を及ぼすことが懸念をされる
内容となっています。中でも、
政府が農産物のうち重要としてきた米、麦、
牛肉・豚肉、乳
製品、
砂糖の五項目について見ると、米こそ
除外したものの、その他の
品目では、
パスタ、
チーズなど
EUの強い
分野での
TPP水準以上の
譲歩を行うことを含めて、
関税撤廃又は大幅削減を行うものとなっています。
この結果を見れば、日豪
EPA、
TPPに続いて、守るべきものは守るとしてきたものは全く守られていないと言うべきではありませんか。
日欧
EPAが農産物、加工
食品の
輸入と
国内生産にどのような
影響を及ぼすかは、生産者のなりわい、生産地域の将来を左右する問題であり、消費者も含めて当然の
関心事です。ところが、その
影響に関する
政府の
試算には大きな疑問を持たざるを得ません。
欧州委員会は、二〇一八年七月に公表したファクトシートにおいて、
日本との
EPAの
締結により、加工
食品の対日
輸出は、五一%、十億ユーロ、約千三百億円増加するとし、特に乳
製品の
輸出については、実に二一五%、七億二千九百万ユーロ、約九百四十八億円増加するとの
試算を明らかにしています。ところが、
日本政府の
影響試算では、乳
製品の
国内生産の
減少額は最大でも二百三億円とされています。両者の
試算は全く懸け離れたものとなっており、
日本政府の
試算は余りにも楽観的過ぎるとの指摘が出ています。この声に一体どう答えるのですか。
乳
製品の
生産額への
影響は、キログラム当たりの単価でどうなるのですか。乳
製品の
輸入が
欧州委員会のファクトシートが示す
水準の増加になった場合でも、
国内生産の
減少額が
政府の
試算にとどまるのですか。だとすれば、
国内市場の規模そのものの拡大を見込んでいるのですか。その場合、具体的な金額は幾らなのですか。生産者にとっては死活問題です。明確に答えていただきたい。
国内の乳牛飼育戸数は二〇一一年の二万一千戸から一万五千七百戸まで
減少し、乳牛頭数も大きく減りました。日欧
EPAは、
国内の酪農に一層深刻な打撃となることは避けられないのではないですか。
政府は、
EU向けの農林水
産品のほぼ全
品目で
関税が
即時撤廃されると、あたかも
日本から
EUへの
農林水産物輸出が期待できるように
説明しています。しかし、
EUが設ける動物検疫等により、
日本から
輸出が禁止されている
品目が少なくありません。その
品目を具体的にお答えください。
政府は、
輸出解禁に向けて協議中としていますが、
農水大臣は十月二日の会見で、まだまだ
輸出が可能な
状況となっていないと述べています。
状況はどう変わっているのですか。
以上、
農水大臣の
答弁を求めます。
日欧
SPAは、共通の
関心事項に関する政治的な
協力、四十に及ぶ
分野別
協力、共同行動を促進することにより、
パートナーシップを
強化することを目的として
枠組みを設けるものです。
外務省は、具体的な
協力の在り方について、今後
双方にて検討するとしています。重要なことは、コップが立派かどうかではなくて、コップにどんな水を入れるのか、つまり、どのような
協力を実際に協議するようになるのかということです。
SPAは、
外交及び安全保障に関する
政策について、相互の
関心事項について、対話及び
協力により
パートナーシップを
強化することを
想定しています。
安倍政権は、二〇一三年十二月に策定した国家安全保障戦略で、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場を掲げ、
欧州を共に主導的な役割を果たすパートナーと位置付け、
我が国の
政策を実現していくために、
EU、NATO、OSCEとの
関係を
強化するとの
方針を明示しました。
これに照らせば、本
協定は、
安倍内閣の積極的平和主義に基づく
外交安全保障の
施策を後押しするものになるのではないですか。
EUとの間で、安全保障
分野でどのような
関心事項に基づき、いかなる
協力を協議するつもりなのか。あわせて、
日EU間の
協力に地理的な範囲はあるのか、具体的に
説明をしていただきたいと思います。
EUは、共通安全保障・防衛
政策、CSDPに基づいて、軍及び文民による作戦能力を用いて、域外における平和
維持、紛争予防、国際的な安全保障の
強化に当たるCSDPミッションを設置し、昨年までに軍事作戦十三件を含む三十五件を実施しています。
EUは域外国との間で、CSDPミッションに要員、装備等の提供を受けるための
参加枠組み協定、FPAを結んでいますが、外務省としてどの国と結んでいると承知していますか。
EUの駐日代表部の広報誌では、
日本にもFPAの
締結を提案をしたことを紹介をしています。
日本政府はこの提案にどう臨んでいるのですか。
SPA協定によって設立されることとなる合同委員会は、FPAの
締結についても協議を行うことになるのですか。
以上、
外務大臣に明確な
答弁を求めます。
日欧
EPAは、
国民生活、とりわけ農業、酪農に大きな
影響を与えるにもかかわらず、衆議院では野党が求めた連合審査も行われずに採決をされました。
参議院では、連合審査も含めた徹底した
審議を強く求めて、
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣河野太郎君
登壇、
拍手〕