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山下芳生君 日本共産党の
山下芳生です。
昨日の
質問通告と順番変えまして、まず、民主主義と
地方自治に関わる重大問題について
質問します。
九月三十日、沖縄県知事
選挙で辺野古新基地建設反対を掲げる玉城デニー氏が、相手候補に八万票の大差を付けて勝利いたしました。沖縄県民の揺るがぬ民意が改めて示される結果となりました。
ところが、その直後、沖縄防衛局は、沖縄県による埋立承認撤回の処分に対し執行停止を申し立て、十月三十日、
国土交通大臣は、行政不服審査法の規定によりその効力を停止すると決定いたしました。玉城知事は強い憤りを禁じ得ないとコメントされましたが、そもそも行政不服審査
制度をこのように用いていいのかということが問われております。
資料一枚目に行政不服審査法の抜粋を載せておきました。第一条、この
法律は、行政庁の処分に関し、国民が簡易迅速に不服申立てをすることができるための
制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図ることを目的とするとあります。要するに、国民、すなわち一般私人が行政に対して裁判を起こすにはお金も時間も労力も必要となり、泣き寝入りとなりかねないので、簡易迅速に国民の権利を救済するためにこの
制度があるということであります。
したがって、これ本来、国の機関がこの
制度を用いることはできないはずです。適用除外にするべきなんです。ただ、国の機関なら全ての場合この
制度の適用除外になるかというとそうではないと。
この
法律七条二項にどういう場合適用除外となるかについて明記されてあります。傍線引いたところですが、国の機関がその固有の資格において当該処分の相手方となるものについては、この
法律の規定は、適用しない。つまり、国の機関が固有の資格において行った
事務事業に対する行政処分については、行政不服審査
制度の適用はされないということであります。
そこで問題になるのが、この行審法のいう国の、固有の資格とは何かということなんですが、
資料二枚目に、「逐条解説 行政不服審査法」、二〇一六年四月
総務省行政管理局発行より当該部分を抜粋いたしました。傍線引っ張っています。
固有の資格の概念は、一般私人が立ち得ないような立場にある状態を指すものとされる。なお、どの処分について固有の資格を認めることができるかどうかの判断はおおむね①及び②のようなメルクマールで判断されることになるとして、①は処分の相手方に着目したメルクマール、基準が述べられております。処分の相手方が国の機関等に限られているケースは、固有の資格に当たるものと考えられる。例えば、
地方公共団体による
地方債の発行はこのケースに当たり、該当し、固有の資格に当たると
総務省は説明しております。
一方、公有水面の埋立ては、国又は
地方公共団体に限らず民間
事業者も行う場合があるのでこのケースに該当しないと国交省は判断していると思われます。
そこで、②は
事務事業の性格に着目した基準を示しております。傍線引っ張ってあります。処分の相手方が、国の機関等に限られていない場合であっても、当該法令上、当該処分の相手方に係る
事務事業について、国の機関等が自らの責務として処理すべきこととされている又は原則的な
担い手として予定されているケースについては、当該法令に定める
制度において国の機関等は、その行政主体たる地位が特に着目されているものと考えることができ、一般私人が行う場合が排除されていないといっても、一般私人が任意に行う場合とは
事務事業を実施する背景が異なることから、一般には固有の資格に当たるものと考えられるとしております。大変大事な基準だと
思いますが。
そこで、今日は
国土交通副
大臣に来ていただいておりますが、この②の基準に照らして、防衛省沖縄防衛局が米軍新基地を建設するために公有水面を埋め立てる
事業が固有の資格に当たるものではないと判断した理由を述べてください。